JP3462473B2 - 耐応力腐食割れ性に優れた強靱鋼およびその製造方法 - Google Patents

耐応力腐食割れ性に優れた強靱鋼およびその製造方法

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弘二 小林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用成形ば
ね、織機部品等、耐応力腐食割れ性に優れ、高強度およ
び高靱性が要求される鋼およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】耐食性を具備した強靱鋼で、耐応力腐食
割れ性に優れた帯鋼として、マルテンサイト系ステンレ
ス鋼の焼き入れ・焼き戻し処理材、例えばSUS420
J2の熱処理鋼帯が知られているが、この熱処理ライン
の生産性は低く、生産コストが高いという問題を抱えて
いた。
【0003】このような問題点を解決すべく特開平10
−265907号公報には、通常のステンレス鋼の生産
設備をそのまま利用できる、高生産性を特徴とした、耐
応力腐食割れ性に優れた強靱鋼が開示されている。しか
し、該鋼の最大強度はHv420程度であり、SUS4
20J2の焼き入れ・焼き戻し処理材がHv500まで
の強度領域を網羅できることを考えると、さらなる強度
の改善が所望される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みてなされたもので、その目的とするところは、Hv
500を超える強度レベルを狙え、靱性と耐応力腐食割
れ性に優れた安価な高強度ステンレス鋼およびこの鋼を
既存の製造ラインを利用して製造できる方法を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は下記
構成の耐応力腐食割れ性に優れた強靱鋼の製造方法によ
り達成された。すなわち、
【0006】(1) 第1回の焼き入れ処理を行い、つ
いで冷間圧延を行った後第2回の焼き入れ処理を行っ
て、体積率で50〜75%のマルテンサイト相と50〜
25%のフェライト相とを有し、平均結晶粒径が10μ
m以下の金属組織とする二段二相化処理を具備する強靱
鋼の製造方法であって、質量%で、Cr:12〜16
%、Ni:0.1〜0.3%、C:0.07〜0.13
%、N:0.04〜0.085%、Cu:0.1%以下
の化学組成を有する鋼の二段二相化処理後のビッカース
硬度(Hv(Q))を下式(A)に基づいて所望の値と
することを特徴とする、耐応力腐食割れ性に優れた強靱
鋼の製造方法。 Hv(Q)=0.3{V σ +(1−V )σ } (A) 式中、Hv(Q):二段二相化処理後のビッカース硬
度; :フェライト相の体積率; 1−V =V :マルテンサイト相の体積率; σ :フェライト相の耐力(N/mm ); σ :マルテンサイト相の耐力(N/mm を表し、 1−V =V =4.074%C−0.4653%N+
0.8869%Mn−0.1575%Cr+0.223
1%Ni−0.1115%Si+0.0873%Cu−
0.1164%Mo+2.2705σ =174+250%P+26.8%Si+61%
Ni+64.8%Mo+21(d −1/2 (ここ
で、d :平均フェライト粒径(mm)); σ =σ (0)+σ (ここで、σ
(0):Fe−C−N系としてのマルテンサイト相
耐力、σ :オーステナイト相の固溶強化および粒
径強化による耐力増分); σ (0)3.33×10 ×(%C+%N) 0.425 σ =390%C+710%N+21.6%Si+
6.3%Cr−2.6%Ni−6.4%Cu−1.1%
Mn+66+8.6(d −1/2 (但し、d :平
均オーステナイト粒径(mm))である。
【0007】(2) (1)で得られた焼き入れ処理鋼
に、200℃〜550℃の低温焼鈍処理を施すことを特
徴とする耐応力腐食割れ性に優れた強靱鋼の製造方法。
【0008】(3) (1)で得られた焼き入れ処理鋼
に、冷間加工を施すことを特徴とする耐応力腐食割れ性
に優れた強靱鋼の製造方法。
【0009】(4) (1)で得られた焼き入れ処理鋼
に、冷間加工を施した後に、200℃〜550℃の低温
焼鈍処理を施すことを特徴とする耐応力腐食割れ性に優
れた強靱鋼の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは、高温でオーステナ
イト相形成能を持つフェライト系或いはマルテンサイト
系ステンレス鋼の熱処理材で、耐応力腐食割れ性を確保
するにはNiの添加を抑えなければならないことを特開
平10−265907号公報で指摘し、その結果として
起こる、オーステナイト相+フェライト相の二相域での
加熱処理時の結晶粒粗大化と靱性低下を防止する手段と
して、冷間圧延工程を挟む二回の焼き入れ処理工程が結
晶粒微細化と靱性確保に有効であることを提案してい
る。
【0011】本発明においては、特定の化学組成を有す
る鋼を所定板厚まで冷間圧延した後に、冷間圧延工程を
挟む二回の焼き入れ処理で、10μm以下の結晶粒径に
調整したフェライト相(α相)とマルテンサイト相
(α′相)の二相組織とし(以下、(α+α′)二段二
相化処理と称する)、次いで強靱化と高弾性化を目的と
した低温焼鈍処理を行う工程、もしくは二段二相化処理
後に所定の冷間圧延を施した後に低温焼鈍処理を行う工
程を経て、ビッカース硬さHv380〜550の耐応力
腐食割れ性および靱性に優れた強靱鋼が得られる。
【0012】本発明鋼は、質量%で、Cr:12〜16
%、Ni:0.1〜0.3%、C:0.07〜0.13
%、N:0.04〜0.085%、Cu:0.1%以下
の化学組成を有し、二段二相化処理後の金属組織が体積
率で50〜75%の平均結晶粒径が10μm以下のマル
テンサイト相と、体積率で50〜25%の平均結晶粒径
が10μm以下のフェライト相とを有する。
【0013】以下、本発明鋼およびその製造方法を詳細
に説明する。
【0014】(鋼の化学組成)質量%で、Cr:12〜
16%、Ni:0.1〜0.3%、C:0.07〜0.
13%、N:0.04〜0.085%、Cu:0.1%
以下であり、且つ下記(I)式に示すマルテンサイト相
の体積率α′(%)が50〜75%になる化学組成を有
する。
【0015】 α′(%)=407.4%C−46.53%N+88.69%Mn− 15.75%Cr+22.31%Ni−11.15%Si+8.73%Cu−1 1.64%Mo+227.05 … (I)
【0016】Ni:0.1〜0.3% 本発明では、耐応力腐食割れ性を確保するために、Ni
添加量を0.1〜0.3%に限定する。この組成範囲で
あれば、弾性限度の負荷応力条件の下での42%塩化マ
グネシウム腐食試験におけるクラック形成時間が100
時間以上となる。
【0017】Cr:12〜16% 前述のように、本発明ではNi添加量を極力制限してい
ることとの関係で、高Cr域でのγ相形成能が制限され
る。このためCr添加量の上限を16%とした。また、
耐食性への配慮から下限を12%に設定した。
【0018】C:0.07〜0.13%、N:0.04
〜0.085% 両元素ともに、(α+α′)二段二相化処理後のα′%
と二段二相化処理材の強度に強く影響する因子であり、 %C−0.114%N=f(Hv(Q)、da、df、
…) の関係にある。本発明では、商業生産の見地から窒素添
加量の上限値を0.08%とした。また、窒素添加量の
下限値を0.04%としたのは二段二相化処理後の強度
Hv(Q)を、Hv(Q)>380とした制約による。
炭素の濃度範囲は窒素量に連動したものである。
【0019】Cu:0.1%以下 CuはNiと同様に耐応力腐食割れ性を劣化させる元素
であり、効果はNiの半分である。本発明では意図的な
Cu添加のないことを意味するものとして上限を0.1
%に設定した。
【0020】(金属組織)本発明の鋼は、平均結晶粒径
が10μm以下のマルテンサイト相のマトリックス(体
積率で75〜50%)に体積率で25〜50%の平均結
晶粒径が10μm以下のフェライト相を有する。平均結
晶粒径を10μm以下に制御し、(α+α′)二段二相
化処理後のマルテンサイト変態量を75%以下に制限す
るのは、マトリックスの靱性向上と残留するフェライト
相の緩衝効果を得るためであり、焼き入れ処理と低温焼
鈍処理を分離し、あるいはその間に冷間圧延処理を施す
等、ステンレス鋼の通常の生産設備を利用して、効率よ
く生産することができる。一方、マルテンサイト変態量
が50%未満では十分な強度が得られない。なお、本発
明において体積率とは、任意切断面における面積率をい
う。
【0021】(鋼の製造方法)次に、上記の化学組成お
よび金属組織を有する鋼の製造方法を説明する。まず、
金属組織がフェライト相である上記設定範囲内の化学組
成を有する鋼を所定の板厚まで冷間圧延し、(α+
α′)二段二相化処理に供する。ここで二段二相化処理
前の冷間圧延率は、その後の特性に特に影響は与えない
ため特別に留意する必要はないが、一般的な圧延率は3
0〜80%程度である。二相化処理温度は第1回焼き入
れ処理と第2回焼き入れ処理ともに同じであり、図1に
示すように、最大硬さが得られる1000〜1100℃
が好適である。
【0022】結晶粒径の制御は、二段二相化処理におけ
る第1回焼き入れ処理と第2回焼き入れ処理の間(以
下、「二段二相化処理間」ともいう)に介在する冷間圧
延工程の圧延率の設定により行う。ここで、二段二相化
処理後のマルテンサイト相の平均結晶粒径(d;二相
化処理温度域のオーステナイト相の平均結晶粒径d
等しい)とフェライト相平均結晶粒径(d)はほぼ等
しく、二段二相化処理の間に介在する圧延真歪みRと下
式(II)の関係にある。 d(μm)=d(μm)=2.24(1/R)+3.70 (II) ここで、R=Ln{1/(1−r)}であり、rは二段二
相化処理間の冷間圧延工程における圧延率を表す。
【0023】靱性の観点から、平均結晶粒径は10μm
以下にすることが必要であり、(II)式から、二段二相
化処理間の圧延工程における圧延率は30%以上である
ことが必要となる。同圧延率の上限は製品板厚や経済的
理由により決定されるが、一般には80%以下である。
【0024】次いで、(a)200〜550℃の低温焼
鈍処理を施し(以下、Tempered仕上げと称する)、もし
くは(b)冷間加工を施した後、200〜550℃の低
温焼鈍処理を施す(以下、R&T仕上げと称する)。
【0025】低温焼鈍処理は強靱化と高弾性化を目的と
して行う。本発明において、好ましい焼鈍処理温度は2
00〜550℃である。該焼鈍処理の効果はKb値(弾
性限)の回復挙動を観察することで評価することがで
き、図2に滞炉時間が2分と短時間時効の場合の例を示
す。図2の短時間時効の場合、450〜550℃の温度
範囲が好適な低温焼鈍処理条件となり、Kb値も100
0N/mmと高いレベルに回復している。30分以上の
長時間時効の場合の好適な低温焼鈍処理温度は低温側に
移行するが、200℃未満になることはない。200℃
未満でのKb値は400N/mm以下となる。冷間圧延
は強度を高めるために行い、圧延率20〜70%程度が
好ましい。上記(a)Tempered仕上げおよび(b)R&
T仕上げは、所望する強度値により適宜選択される。前
者はHv380〜420レベルの強靱鋼が対象となり、
それ以上の強度を有する強靱鋼が対象の場合は後者の工
程となる。
【0026】Tempered仕上げおよびR&T仕上げの曲げ
靱性を90度V曲げ試験で評価し、その結果を表1に示
す。これより、Tempered仕上げおよびR&T仕上げは、
共に高強度であるにもかかわらず良好な曲げ靱性を示し
ていることがわかった。なお、表中の(R/t)とは
最小曲げ半径Rを板厚tで除した値で、曲げ靱性を示
す無次元量である。
【0027】
【表1】
【0028】[(α+α′)二段二相化処理後のビッカ
ース硬さの決定]ここで、所望の強度レベルを備えた強
靱鋼を得るために、(α+α′)二段二相化処理後の鋼
のビッカース硬さの算出方法について説明しておく。
【0029】(α+α′)二段二相化処理後の冷間圧延
における圧延率とビッカース硬さ増分の関係は(1)式
に、その後の低温焼鈍処理におけるビッカース硬さ増分
は(2)式に依存する。
【0030】 ΔHv(R)=58.5 LogR + 93.5 …(1) ΔHv(A)=20 …(2) ここで、ΔHv(R):二段二相化処理後の圧延加工に
よるビッカース硬さ増分 R:圧延真歪み=Ln{1/(1−r)} r:圧延率 ΔHv(A):低温焼鈍処理におけるビッカース硬さ増
分 従って、例えばR&T仕上げを施したビッカース硬さH
v=500の鋼における(α+α′)二段二相化処理後
の硬さHv(Q)は、r=0.5としたとき、(1)式
のΔHv(R)r=0.5値と(2)式から(3)式と
して求められる。
【0031】 Hv(Q)=500−ΔHv(R)r=0.5−ΔHv(A) =500−84.2−20=395.8 …(3)
【0032】[(α+α′)二段二相化処理後のビッカ
ース硬さと化学組成]次いで、所望するビッカース硬度
を有する二段(α+α′)二相鋼を得るための化学組成
の決定方法について説明する。二段(α+α′)二相鋼
のビッカース硬さHv(Q)はα相およびα′相の平均
粒径、それらの体積率と化学組成から算出でき、(4)
式に従う。
【0033】 Hv(Q)=0.3{Vσ +(1−V)σ } …(4) ここで、 V :フェライト相の体積率 1−V=V:マルテンサイト相の体積率 =4.074%C−0.4653%N+0.8869%Mn−0. 1575%Cr+0.2231%Ni−0.1115%Si+0.0873%C u−0.1164%Mo+2.2705 …(5) σ :フェライト相の耐力(N/mm) =174+250%P+26.8%Si+61%Ni+64.8% Mo+21(d-1/2 …(6) d:平均フェライト粒径(mm) σ :マルテンサイト相の耐力(N/mm) =σ (0)+σ …(7) σ (0):Fe−C−N系としてのマルテンサイト相耐力 =3.33×10(%C+%N)0.425 …(8) σ :オーステナイト相の固溶強化および粒径強化による耐力増分 =390%C+710%N+21.6%Si+6.3%Cr−2. 6%Ni−6.4%Cu−1.1%Mn+66+8.6(d-1/2…(9) d:平均オーステナイト粒径(mm) (4)式から必要な化学組成を決定することができ、表
2は(α+α′)二段二相化処理後のビッカース硬さH
v400を得るために必要な化学組成の一例を示すもの
である。(4)式において表2記載の指定条件および前
提条件を用いることにより決定することができる。表2
に示す結果からわかるように、高窒素系の化学組成とな
るのが大きな特徴である。
【0034】
【表2】
【0035】本発明では、(α+α′)二段二相化処理
後のビッカース硬さをHv380〜420に、α′比率
を50〜75%に、平均結晶粒径を7μm(二段二相化
処理間の圧延率:50%)に設定して、前述の(1)式
から(4)式および製鋼時の脱酸条件を前提に、(I)
式を解くことで全体の化学組成を得ることができる。上
記設定範囲内で、本発明の特に好適な化学組成範囲を挙
げると、表3の13%Crフェライト系ステンレス鋼と
なる。
【0036】
【表3】
【0037】二段二相化処理鋼の冷間圧延後の冷間圧延
率と硬さの関係、および、冷間圧延後、500℃で2分
間の時効を施した鋼の冷間圧延率と硬さの関係を図3に
示す。二段二相化処理後の冷間圧延率と硬さの関係は、
前述の(1)式と同様の関係にあり、時効硬化による硬
さ上昇は圧延率20%以上の領域ではΔHv=20〜3
0の間にある。
【0038】
【実施例】以下に本発明鋼の耐応力腐食割れ性について
実施例を挙げて説明する。ただし、本発明はこの実施例
に限定されるものではない。
【0039】表4に示す各組成の材料を、真空溶解 →
インゴット鋳造 → 熱間圧延(仕上げ板厚:5mm) →
酸洗 → バッチ焼鈍(750℃×2時間) → 冷間圧延
(仕上げ板厚:2.6mm、圧延率:50%) → 第1
回(α+α′)二相化処理(1050℃×2分間) →
冷間圧延(仕上げ板厚:1.3mm、圧延率:50%)
→ 第2回(α+α′)二相化処理(1050℃×2分
間) → 冷間圧延(仕上げ板厚:0.57mm/圧延率5
6%) → 低温焼鈍処理(500℃×2分)のR&T仕
上げ工程で処理し、沸騰42%塩化マグネシウム腐食試
験に供した。耐応力腐食割れ性の評価は100時間に耐
える限界負荷応力で行い、結果をR&T仕上げ硬さと合
わせて表5に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】本発明鋼は(α+α′)二段二相化処理後
に圧延率56%の冷間圧延処理を施し、続いて500℃
で2分間の低温焼鈍処理を施すR&T仕上げでHv>5
00の強度を示し、尚かつ応力腐食割れを引き起こす限
界負荷応力が1360N/mm と当該鋼種の弾性限を十
分カバーするレベルにある。すなわち、本発明鋼はHv
500を超える強度域で実用的に応力腐食割れを回避で
きることが示された。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればH
v500を超える強度レベルを狙え、尚かつ靱性と耐応
力腐食割れ性に優れた安価な高強度ステンレス鋼および
その製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1回焼き入れ処理における二相化処理温度と
硬さの関係を示すグラフ。
【図2】低温焼鈍処理における加熱温度とKbの関係を
示すグラフ。
【図3】二段二相化処理後圧延真歪と低温焼鈍処理後の
硬さの関係を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 勝 東京都北区神谷3丁目6番18号 日本金 属株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−265907(JP,A) 特公 平7−100821(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/02 C22C 38/00 - 38/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1回の焼き入れ処理を行い、ついで冷
    間圧延を行った後第2回の焼き入れ処理を行って、体積
    率で50〜75%のマルテンサイト相と50〜25%の
    フェライト相とを有し、平均結晶粒径が10μm以下の
    金属組織とする二段二相化処理を具備する強靱鋼の製造
    方法であって、質量%で、Cr:12〜16%、Ni:
    0.1〜0.3%、C:0.07〜0.13%、N:
    0.04〜0.085%、Cu:0.1%以下の化学組
    成を有する鋼の二段二相化処理後のビッカース硬度(H
    v(Q))を下式(A)に基づいて所望の値とすること
    を特徴とする、耐応力腐食割れ性に優れた強靱鋼の製造
    方法。 Hv(Q)=0.3{V σ +(1−V )σ } (A) 式中、Hv(Q):二段二相化処理後のビッカース硬
    度; :フェライト相の体積率; 1−V =V :マルテンサイト相の体積率; σ :フェライト相の耐力(N/mm ); σ :マルテンサイト相の耐力(N/mm を表し、 1−V =V =4.074%C−0.4653%N+
    0.8869%Mn−0.1575%Cr+0.223
    1%Ni−0.1115%Si+0.0873%Cu−
    0.1164%Mo+2.2705σ =174+250%P+26.8%Si+61%
    Ni+64.8%Mo+21(d −1/2 (ここ
    で、d :平均フェライト粒径(mm)); σ =σ (0)+σ (ここで、σ
    (0):Fe−C−N系としてのマルテンサイト相
    耐力、σ :オーステナイト相の固溶強化および粒
    径強化による耐力増分); σ (0)=3.33×10 ×(%C+%N) 0.425 σ =390%C+710%N+21.6%Si+
    6.3%Cr−2.6%Ni−6.4%Cu−1.1%
    Mn+66+8.6(d −1/2 (但し、d :平
    均オーステナイト粒径(mm))である。
  2. 【請求項2】 請求項1で得られた焼き入れ処理鋼に、
    200℃〜550℃の低温焼鈍処理を施すことを特徴と
    する、耐応力腐食割れ性に優れた強靱鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1で得られた焼き入れ処理鋼に、
    冷間加工を施すことを特徴とする耐応力腐食割れ性に優
    れた強靱鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1で得られた焼き入れ処理鋼に、
    冷間加工を施した後に、200℃〜550℃の低温焼鈍
    処理を施すことを特徴とする耐応力腐食割れ性に優れた
    強靱鋼の製造方法。
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