JP3462359B2 - レニウム粉末及びその製造方法並びに金属抵抗体を備えるセラミック焼結体及びその製造方法 - Google Patents

レニウム粉末及びその製造方法並びに金属抵抗体を備えるセラミック焼結体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所要の特性を有す
るレニウム粉末及びその製造方法に関する。また、本発
明は、特定のレニウムを含む金属抵抗体が埋設されたセ
ラミック焼結体及びその製造方法に関する。この金属抵
抗体を備えるセラミック焼結体は、自動車用の酸素セン
サ或いは暖房機器等に用いられるセラミックヒータとし
て利用することができる。
【0002】
【従来の技術】セラミック焼結体と、この焼結体に埋設
された金属抵抗体とからなるセラミックヒータは、従来
より自動車用の酸素センサのヒータなどとして使用され
ている。この金属抵抗体を形成するための金属粉末とし
ては、耐熱性の観点から、通常、タングステン或はモリ
ブデン等の粉末が用いられている。しかし、これらの金
属は抵抗温度係数が大きく、形成される金属抵抗体は、
常温における抵抗値を使用温度での抵抗値よりかなり低
いものにしなければならない。そのため、通電を開始し
て暫くはヒータを多量の電流が流れ、電流を供給する電
源として容量の大きなものを使用しなければならなかっ
た。
【0003】上記の問題を解決するため、タングステ
ン、モリブデン等の粉末に、レニウム粉末を配合した金
属粉末を使用する技術が特開平5−315055号公報
に開示されている。この技術によれば、レニウム粉末の
混合比率を高めるに連れて、得られる金属抵抗体の抵抗
温度係数を小さくすることができる。そのため、常温に
おける抵抗値が高くなり、通電を開始した直後或いはそ
れから暫くの間の、ヒータを流れる電流量を従来に比べ
てかなり低減することができる。
【0004】また、これは特にヒータに限ったことでは
ないが、セラミック中に金属抵抗体を埋設する場合、金
属抵抗体とセラミックとの熱膨張率の差異に留意する必
要がある。この差異は、両者の接合強度及び金属抵抗体
の性能の安定性において重要な要素である。上記のタン
グステン及びモリブデン等は、その熱膨張率がセラミッ
クのそれとは大きく異なるため、接合強度及び金属抵抗
体の性能の安定性においては不利である。これら接合強
度等の問題においてもレニウムの配合は有用であり、タ
ングステン及びモリブデン等にレニウムを配合すると、
金属抵抗体とセラミックとの接合強度は向上し、金属抵
抗体の性能は安定化される。そのため、金属抵抗体が埋
設されたセラミック焼結体では、レニウムを含む金属抵
抗体が使用されることが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、レニウムを含
む金属抵抗体では、レニウムが金属抵抗体からセラミッ
ク焼結体へ拡散し、このレニウムの拡散量が多い場合
は、メッキ工程において問題を生ずる。即ち、セラミッ
ク焼結体の表面のメタライズ部にニッケルメッキを施す
工程において、メタライズ部以外のセラミック表面にも
レニウムを核とするメッキが形成されるという問題があ
る。
【0006】また、場合によっては、ニッケルメッキが
金属抵抗体の取り出し電極間を短絡してしまうこともあ
り、金属抵抗体に電流を供給できなくなることもある。
このような問題に対し、従来の技術では、メタライズ部
以外のセラミック表面に付着したニッケルメッキを後工
程で取り除いたり、外観検査等により金属抵抗体の取り
出し電極間がニッケルメッキによって短絡されていない
ことを確認したりする必要があった。更に、レニウムの
混合比率をある程度以下に抑えることで、メタライズ部
以外のセラミック表面にメッキが付着することを防止す
るという方法も採られている。
【0007】しかし、上記の従来の方法では、工程が複
雑になるうえ、外観検査などでは不良品を見落とすこと
もある。また、レニウムの混合比率を、金属粉末の抵抗
温度係数を小さくする等、所期の目的を達成するに要す
る程度に高くすることができないという問題もある。
【0008】本発明は、上記の問題を解決するものであ
り、メタライズ部以外のセラミック表面にメッキが付着
する等の問題を生ずることのないレニウム粉末、及び有
機溶媒による洗浄、非酸化雰囲気における加熱等によっ
て、所要の特性を有するレニウム粉末を製造する方法を
提供することを目的とする。また、本発明は、この特定
のレニウム粉末を含む金属粉末からなる金属抵抗体を備
えるセラミック焼結体、及び上記の特定のレニウム粉末
を含む金属粉末を使用し、或いは特定の条件で樹脂成分
を除去するなどした後、焼成して上記セラミック焼結体
を製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のレニウム
粉末は、示差熱分析によって測定される150℃以上、
350℃未満の温度における発熱量が、350℃におけ
る発熱量より少ないことを特徴とする。このレニウム粉
末は、特に該レニウム粉末を含む金属粉末を含有する抵
抗体パターンを、セラミックグリーンシートの表面に形
成し、該セラミックグリーンシートと上記抵抗体パター
ンとを一体に焼成して金属抵抗体を備えるセラミック焼
結体を製造した場合に、この金属抵抗体から100μm
離れた位置における上記セラミック焼結体中のレニウム
の濃度(単位体積当たりの重量で表される濃度とす
る。)が、上記金属抵抗体中のレニウムの濃度の1.5
/100以下となるような粉末である。
【0010】また、請求項2記載のレニウム粉末の製造
方法は、示差熱分析によって測定される150℃以上、
350℃未満の範囲の少なくとも一部の温度における発
熱量が、350℃における発熱量より多いレニウム粉末
を、有機溶媒によって洗浄した後、粉砕し、その後、非
酸化雰囲気中で、300〜1400℃の温度で30分以
上加熱し、示差熱分析によって測定される150℃以
上、350℃未満の温度における発熱量が、350℃に
おける発熱量より少ないレニウム粉末を得ることを特徴
とする。
【0011】更に、請求項4記載のレニウム粉末の製造
方法は、示差熱分析によって測定される150℃以上、
350℃未満の範囲の少なくとも一部の温度における発
熱量が、350℃における発熱量より多いレニウム粉末
を、有機溶媒によって洗浄した後、粉砕し、その後、非
酸化雰囲気中で、加熱し、次いで、有機溶媒によって再
度洗浄し、示差熱分析によって測定される150℃以
上、350℃未満の温度における発熱量が、350℃に
おける発熱量より少ないレニウム粉末を得ることを特徴
とする。
【0012】上記レニウム粉末は、通常、示差熱分析の
測定において150℃以上、350℃未満の範囲の少な
くとも一部の温度における発熱量が、350℃における
発熱量より多い。図1は、その示差熱分析の結果を示す
チャートであり、290℃付近に相当大きな発熱ピーク
が表れている。一方、図2は、請求項2記載の方法によ
って製造されるレニウム粉末の示差熱分析の結果であ
る。このチャートをみる限り、このレニウム粉末では、
上記の発熱ピークは表れていない。このように、請求項
2記載の方法によって得られるレニウム粉末では、15
0℃以上、350℃未満の温度における発熱量が、35
0℃における発熱量より少ない。以下、このレニウム粉
末を、所要の特性を有するレニウム粉末という。
【0013】請求項1記載の発明におけるレニウム粉末
は、この所要の特性を有するレニウム粉末であり、この
レニウム粉末を用いて金属抵抗体を一体に備えるセラミ
ック焼結体を製造した場合、金属抵抗体から100μm
離れた位置におけるレニウムの濃度が、金属抵抗体中の
レニウムの濃度の1.5/100を越えない程度にしか
拡散しないという効果が奏される。
【0014】レニウム粉末が、セラミックヒータなどの
金属抵抗体を形成するための金属粉末に配合され、使用
されることは前記の通りであるが、セラミックグリーン
シートへのレニウムの拡散の理由は以下のように推察さ
れる。即ち、従来のレニウム粉末は、示差熱分析の測定
において、上記のように150℃〜350℃の温度範囲
にかなり大きな発熱ピークを有し、このような発熱ピー
クが表れる何らかの不純物が混入しており、これがグリ
ーンシートへのレニウムの拡散を生じさせているのでは
ないかと考えられる。一方、請求項2記載及び請求項4
記載の発明の方法によって製造されるレニウム粉末は、
そのような不純物を含まないか、或いはその不純物が極
めて少量であるため、上記の特定の発熱ピークを有さな
いか、或いは極く小さなピークしか有さないものではな
いかと考えられる。
【0015】請求項2乃至請求項5記載の発明におい
て、上記有機溶媒は特に限定はされない。アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族溶媒及びトリクロロエチレンなど、
一般的な溶媒を使用することができる。上記洗浄が、静
的な洗浄である場合は所要の特性を有するレニウム粉末
を効率よく得ることができない。この洗浄は、請求項3
若しくは請求項5記載の発明のように、動的な洗浄であ
ることが好ましい。ここで、静的な洗浄とは、有機溶媒
にレニウム粉末を浸漬するだけの洗浄等である。また、
動的な洗浄とは、浸漬後、数十分から数時間の所要時
間、撹袢、振盪等をすること、或いは流動する有機溶媒
に所要時間侵漬すること、などを意味する。更に、上記
非酸化雰囲気は、真空であってもよいし、窒素ガス雰囲
気、希ガス雰囲気などであってもよい。また、窒素ガス
雰囲気中に僅かに残留する酸素による酸化を防止するた
め、微量の水素を添加した雰囲気としてもよい。
【0016】更に、請求項2記載の発明において、上記
加熱の温度が300℃未満では、所要の特性を有するレ
ニウム粉末を効率よく得ることができない。一方、この
温度が1400℃を越えると、レニウム粉末が粗大化
し、他の金属粉末との混合においてレニウム粉末の分散
不良などを生ずることがある。加熱の温度は、処理効率
及び加熱に要するエネルギー効率を考慮すると、600
〜1200℃、特に800〜1100℃であることが好
ましい。尚、加熱温度が300℃未満であっても、所要
の特性を有するレニウム粉末を得ることはできる。更
に、1400℃を越えても、レニウム粉末の特性の改良
という観点からは特に問題はない。即ち、この加熱温度
が200℃以上であれば、所要の特性を有するレニウム
粉末を得ることは可能である。また、加熱温度が140
0℃を越え、1450℃、特に1500℃であっても、
所要の特性を有するレニウム粉末を得ることができる。
【0017】更に、請求項2記載の発明において、加熱
の時間は30分以上であるが、下限に近い加熱温度であ
れば加熱時間を2時間以上とすることが好ましい。一
方、600℃以上、特に800℃以上の加熱温度であれ
ば、30〜40分程度の加熱時間であっても、十分な熱
処理の効果を得ることができる。この加熱時間を長くし
ても特に問題はないが、加熱温度が低い場合でも2時間
で十分であり、温度が高い場合は1時間の加熱によって
十分な効果が得られる。
【0018】また、請求項4記載の発明では、加熱後の
レニウム粉末の再度の洗浄による効果もあるため、加熱
温度及び加熱時間は特に限定はされない。しかし、この
請求項4記載の発明においても、請求項5記載の発明の
ように、加熱の温度が300〜1400℃、時間が30
分以上であることが好ましい。更に、加熱前後の洗浄の
少なくとも一方が動的な洗浄であることが望ましい。ま
た、請求項2記載の発明と同様、加熱温度は600〜1
200℃、特に800〜1100℃であることが好まし
く、加熱時間は加熱温度との相関において適宜設定する
ことが好ましい。請求項4記載の発明においても、加熱
の温度及び時間をこのように特定することにより十分な
効果が奏されるが、これに更に加熱後の洗浄を加えるこ
とによって、レニウム粉末の所要特性をより向上させる
ことができる。
【0019】尚、請求項4記載の発明の加熱後の洗浄に
おいても、加熱前の洗浄と同様、ケトン類、芳香族溶媒
及びトリクロロエチレン等、一般的な溶媒を使用するこ
とができる。加熱後の洗浄では、加熱前の洗浄と同じ溶
媒を用いてもよいし、異なる溶媒を使用してもよい。ま
た、請求項2及び請求項4記載の発明において、請求項
4記載の発明の加熱後の洗浄も含め、洗浄時の溶媒の温
度は常温、例えば15〜35℃程度とすればよい。この
溶媒の温度は常温を越え、40〜60℃程度としてもよ
く、更に、溶媒の沸点等を考慮し、より高い適宜の温度
に加温してもよい。
【0020】静的な洗浄の場合、洗浄時間は、例えば2
時間以上の長時間洗浄とすることが好ましい。動的な洗
浄であっても、洗浄時間が長いほどその効果は大きい
が、動的な洗浄であれば、30分の洗浄で十分である。
静的な洗浄であっても、5時間の洗浄によって実用上、
十分な効果が得られる。この洗浄の時間は、洗浄が静的
であるか動的であるか、或いは動的である場合は、その
攪拌条件などを考慮し、十分な洗浄の効果が得られるよ
うに設定する必要がある。即ち、示差熱分析における前
述の所要の特性を有するレニウム粉末となるように条件
を設定する。
【0021】レニウム粉末の洗浄、非酸化雰囲気におけ
る加熱などは従来も行われていた。しかし、加熱温度が
低い、或いは加熱時間が短い等の理由で、所要の特性を
有するレニウム粉末を得ることができなかった。これ
は、従来は、レニウム粉末が、示差熱分析の測定におい
て、150℃以上、350℃未満の範囲の少なくとも一
部の温度における発熱量が、350℃における発熱量よ
り多くなるような、特定の発熱ピークを有することが知
られておらず、この発熱ピークを有さないレニウム粉末
を得ることを目的とした洗浄或いは加熱ではなかったた
めである。
【0022】請求項2及び請求項4記載の発明では、上
記の加熱の温度及び時間を特定することにより、或いは
加熱後に再度洗浄することにより、グリーンシートへの
レニウム粉末の拡散の原因となっている不純物が除去さ
れたものと推測される。尚、請求項2及び請求項4記載
の発明の洗浄或いは加熱といった処理方法では、一度に
大量のレニウム粉末を処理することができ、この点でも
有利である。
【0023】請求項6記載の発明の金属抵抗体を備える
セラミック焼結体は、セラミック焼結体と、該セラミッ
ク焼結体に埋設された金属抵抗体とからなり、該金属抵
抗体は少なくともレニウムを含み、該レニウムの一部
は、上記金属抵抗体の周縁の上記セラミック焼結体中に
拡散して分布しており、且つ上記金属抵抗体から100
μm離れた位置におけるレニウムの濃度(単位体積当た
りの重量で表される濃度とする。)が、上記金属抵抗体
中のレニウムの濃度の1.5/100以下であることを
特徴とする。
【0024】上記金属抵抗体を備えるセラミック焼結体
では、僅かな量の上記レニウムがセラミック焼結体中に
拡散して分布している。この拡散して分布するレニウム
は、金属抵抗体とセラミック焼結体との接合を強化す
る。その反面、レニウムの拡散量が多い場合は、ニッケ
ルメッキ工程において、セラミック焼結体の表面に拡散
したレニウムを核としてメッキが形成され、好ましくな
い。請求項6記載の発明では、所要の特性を有するレニ
ウム粉末を使用することにより、焼成後のセラミック焼
結体において、金属抵抗体から100μm離れた位置に
おけるレニウムの濃度が、金属抵抗体中のレニウムの濃
度の1.5/100以下、特に1.0/100以下に抑
えられる。そのため、金属抵抗体とセラミック焼結体と
の接合が適度に強化され、且つメタライズ部以外のセラ
ミック表面におけるメッキの形成は十分に抑制され、或
いは防止される。
【0025】尚、上記の金属抵抗体を備えるセラミック
焼結体をセラミックヒータとした場合、通電を開始した
直後及び通電を開始して暫くの間の、ヒータを流れる電
流を容易に低減することができる。しかも、このセラミ
ックヒータでは、メタライズ部以外のセラミック表面に
は、メッキはほとんど形成されない。そのため、取り出
し電極間が短絡して金属抵抗体に電流を供給することが
できず、ヒータを発熱させることができないといった問
題を生ずることもない。
【0026】請求項7記載の発明の金属抵抗体を備える
セラミック焼結体の製造方法は、示差熱分析によって測
定される150℃以上、350℃未満の温度における発
熱量が、350℃における発熱量より少ないレニウム粉
末を、該レニウム粉末以外の金属粉末に配合し、その
後、このレニウム粉末を含む金属粉末と、有機バインダ
とを混合し、混練してペーストを調製し、次いで、該ペ
ーストをセラミックグリーンシートの表面に印刷して抵
抗体パターンを形成し、その後、該抵抗体パターンが形
成された表面に、他のセラミックグリーンシートを重ね
合わせて積層体とし、次いで、該積層体を加熱して該積
層体に含まれる樹脂成分を除去し、その後、樹脂成分が
除去された上記積層体を焼成することを特徴とする。
【0027】上記の所要の特性を有するレニウム粉末を
使用することにより、請求項7記載の発明においては、
セラミック焼結体におけるレニウムの拡散が少ない、例
えば請求項6記載の発明の金属抵抗体を備えるセラミッ
ク焼結体を得ることができる。この焼結体では、メタラ
イズ部以外の焼結体表面にメッキが形成されることがな
く、この焼結体をセラミックヒータとした場合、取り出
し電極の短絡等の問題が生じない。また、レニウム粉末
のグリーンシートへの拡散が僅かな量に抑えられるた
め、金属粉末に配合されるレニウム粉末のほとんど全量
が、焼成後の金属抵抗体に含まれることになる。そのた
め、容易に且つ正確に、目標とする抵抗値及び抵抗温度
係数を有する金属抵抗体を形成することができる。
【0028】請求項8記載の発明の金属抵抗体を備える
セラミック焼結体の製造方法は、レニウム粉末を含む金
属粉末と有機バインダとを混合し、混練してペーストを
調製し、その後、該ペーストをセラミックグリーンシー
トの表面に印刷して抵抗体パターンを形成し、次いで、
該抵抗体パターンが形成された表面に、他のセラミック
グリーンシートを重ね合わせて積層体とし、その後、該
積層体を200〜240℃の温度に加熱して該積層体に
含まれる樹脂成分を除去し、次いで、樹脂成分が除去さ
れた上記積層体を1400〜1600℃の温度で焼成す
ることを特徴とする。
【0029】請求項8記載の発明では、請求項7記載の
発明とは異なり、所要の特性を有しないレニウム粉末で
あっても使用することができる。例えば150〜350
℃の範囲の少なくとも一部の温度における発熱量が、3
50℃における発熱量より多い従来のレニウム粉末をそ
のまま用いることもできる。この場合、上記積層体を加
熱して、この積層体に含まれる上記樹脂成分を除去する
(これを以下、樹脂抜きという。)温度を240℃以下
とすることにより、所要の特性を有するレニウム粉末を
使用した場合と同様の金属抵抗体を備えるセラミック焼
結体とすることができる。これは、樹脂抜きの温度を2
40℃以下とすることにより、レニウム粉末に含まれる
不純物の、レニウム粉末をグリーンシートに拡散させる
作用が抑制されるためであると推測される。
【0030】また、樹脂抜きの温度は、十分な焼結強度
を確保するため200℃以上にする必要がある。この樹
脂抜きの温度は、特に230〜240℃とすることが好
ましい。この範囲の温度であれば、従来のレニウム粉末
をそのまま用いても何ら問題はなく、また、十分な強度
を有する焼結体を得ることができる。尚、積層体に含ま
れる樹脂成分とは、上記有機バインダであるエチルセル
ロース、ブチルカルビトール等、及びグリーンシート作
製時などに使用されるポリビニルブチラール等である。
【0031】請求項9記載の発明の金属抵抗体を備える
セラミック焼結体の製造方法は、レニウム粉末を含む金
属粉末と有機バインダとを混合し、混練してペーストを
調製し、その後、該ペーストをセラミックグリーンシー
トの表面に印刷して抵抗体パターンを形成し、次いで、
該抵抗体パターンが形成された表面に、他のセラミック
グリーンシートを重ね合わせて積層体とし、その後、該
積層体を、非酸化雰囲気中で、加熱して該積層体に含ま
れる樹脂成分を除去し、次いで、樹脂成分が除去された
上記積層体を1400〜1600℃の温度で焼成するこ
とを特徴とする。
【0032】請求項9記載の発明でも、請求項8記載の
発明のように、所要の特性を有しないレニウム粉末であ
っても使用することができ、150〜350℃の範囲の
少なくとも一部の温度における発熱量が、350℃にお
ける発熱量より多い従来のレニウム粉末をそのまま用い
ることもできる。この場合、樹脂抜きの雰囲気を非酸化
雰囲気とすることにより、所要の特性を有するレニウム
粉末を使用した場合と同様の金属抵抗体を備えるセラミ
ック焼結体とすることができる。これは、樹脂抜きの雰
囲気を非酸化雰囲気とすることにより、レニウム粉末中
の不純物の影響を抑えられるためであると推測される。
尚、この請求項9載の発明においても、樹脂抜きの温度
は、十分な焼結強度を確保するため200℃以上にする
ことが好ましい。また、この請求項9記載の発明の上記
非酸化雰囲気としては、請求項2及び請求項4記載の発
明における非酸化雰囲気と同様の雰囲気とすればよい。
【0033】請求項8及び請求項9記載の発明でも、請
求項7記載の発明の場合と同様に、メタライズ部以外の
上記セラミック焼結体表面にメッキが形成されることを
抑制することができる。そのため、これらの方法によっ
て得られるセラミック焼結体をセラミックヒータとした
場合、取り出し電極の短絡等の問題を抑えることができ
る。また、請求項7記載の発明と同様、焼成後の金属抵
抗体に含まれるレニウムと、焼成前に金属粉末に配合さ
れたレニウム粉末とはほとんど同量であり、容易に且つ
正確に、目標とする抵抗値及び抵抗温度係数を有する金
属抵抗体を形成することができる。
【0034】更に、請求項8及び請求項9記載の発明に
おいて、焼成温度が1400℃未満では、緻密なセラミ
ック焼結体とすることができない。この焼成温度は15
00℃以上、特に1500〜1550℃とすることが好
ましい。請求項7記載の発明においても請求項8及び請
求項9記載の発明と同様に1400〜1600℃で焼成
することができる。更に、セラミック焼結体の組成は特
に限定はされないが、この焼結体をセラミックヒータと
する場合には、アルミナ質焼結体が多用される。また、
請求項7、請求項8及び請求項9記載の発明において、
レニウム以外の金属粉末としては、タングステン、モリ
ブデン、クロム等が使用され、一般に水素を含んだ雰囲
気において焼成される。これら金属粉末に対するレニウ
ム粉末の配合量は特に限定されず、金属抵抗体の所要の
抵抗値及び抵抗温度係数によって適宜設定すればよい。
通常、金属粉末100重量部に対して1〜40重量部、
特に20〜30重量部のレニウム粉末が配合される。
【0035】尚、請求項7、請求項8及び請求項9記載
の発明によって得られるセラミック焼結体をセラミック
ヒータとした場合、金属抵抗体に含まれるレニウムが目
標値に極めて近い量となる。そのため、通電直後の所要
電流の大きさ、或いは昇温に伴う抵抗値の上昇などを設
計通りとすることができ、性能の安定したセラミックヒ
ータを得ることができるとの効果を得ることもできる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を示
す。 (1)レニウム粉末の製造方法 本発明の第1の実施の形態においては、まず、平均粒径
10μm以上のレニウム粉末をアセトン等の有機溶媒中
に投入し、攪拌しつつ、洗浄した後、粉砕し、平均粒径
10μm以下、例えば3μm程度のレニウム粉末とす
る。その後、得られたレニウム粉末を水素と窒素との体
積比が3:1である非酸化雰囲気中で、900℃で2時
間加熱処理する。加熱炉はバッチ式の炉で、その炉内に
レニウム粉末を空間的に均等に分散するように小分けし
て配置する。
【0037】次いで、加熱炉を密閉した状態で窒素ガス
を注入し、炉内の酸素濃度が0.1体積%以下になるま
で窒素ガス置換を行う。その後、窒素ガスと、窒素ガス
と水素ガスとを1:3の体積比で混合したガスとを2:
3の体積比でそれぞれ炉内に注入し、更に炉内の圧力が
200mmHg程度に保たれるように排気ポンプを作動
させた状態で加熱処理を行う。まず、常温から900℃
までを1時間当たり100℃の速さで昇温させ、900
℃に達した後、その温度を2時間保持し、その後は平均
して1時間に約200℃の割合で自然放冷させる。
【0038】洗浄及び加熱の処理をする前のレニウム粉
末の示差熱分析の結果を図1に、処理した後の結果を図
2に示す。図1と図2とを比較すると、処理前のレニウ
ム粉末では、150℃〜350℃において290℃付近
に相当大きな発熱ピークを示すが、処理後はこの発熱ピ
ークが表れない。尚、示差熱分析は、標準試料としてア
ルミナを使用し、測定試料であるレニウム粉末80mg
を白金製の測定皿に載せ、毎秒100ccの空気を流通
させながら測定試料温度を室温から800℃まで毎分1
0℃の速さで昇温させながら測定した。
【0039】また、上記の洗浄及び加熱の処理の後、再
度、有機溶剤による洗浄工程を加えることができる。本
発明の第2の実施の形態においては、レニウム粉末を洗
浄した後、粉砕し、その後、250℃の温度で20分加
熱処理して製造されたレニウム粉末をアセトン中に投入
し、適度に攪拌、混合した後、濾過してレニウム粉末と
アセトンとを分離することによりレニウム粉末を再度洗
浄する。この加熱後の洗浄は、密閉容器に約300gの
レニウム粉末、約600gのアセトン及び約600gの
玉石を投入し、回転機によって密閉容器を約24時間回
転させて混合した後、混合液を濾過し、レニウム粉末と
アセトンとを分離することにより行った。この洗浄工程
を3回繰り返すことにより、所要の特性を有するレニウ
ム粉末を得ることができる。
【0040】(2)金属抵抗体を備えるセラミック焼結
体の製造 次に、上記の所要の特性を有するレニウム粉末を用いて
製造した金属抵抗体を備えるセラミック焼結体及びその
製造方法について、セラミックヒータを例として説明す
る。 1)抵抗体パターン作製のためのペーストの調製 上記のいずれかの方法で得られたレニウム粉末とタング
ステン粉末及びアルミナ粉末を、それぞれ23:77:
10の重量比で混合した。使用したレニウム粉末は平均
粒径約3μm、純度99.5%、タングステン粉末は平
均粒径約1.2μm、純度99.9%、アルミナ粉末は
平均粒径約1.0μm、純度99.9%である。
【0041】その後、上記の混合粉末とトルエン及び玉
石を、それぞれ1:2:2の重量比で混合し、密閉容器
に封入した。次いで、回転機によって密閉容器を約24
時間回転させ、各粉末を十分に分散させた。その後、1
00重量部の混合粉末に対して有機バインダとして約6
重量部のエチルセルロース及び約3重量部のブチルカル
ビトールを加え、再び回転機によって密閉容器を約12
時間回転させ、混合粉末と有機バインダとを十分に混合
した。
【0042】次いで、回転、混合の終わった密閉容器か
ら混合液を取り出し、濾過によって玉石を分離した。そ
の後、ロールミルによって混合液を回転させながら残留
した溶媒を蒸発させ、金属粉末を含む印刷用のペースト
を調製した。上記の工程においてレニウム粉末とタング
ステン粉末及びアルミナ粉末の量比は、形成される金属
抵抗体の抵抗値及びその温度係数が所要のものとなるよ
うに適宜設定することができる。また回転機での回転時
間及び有機バインダの種類並びに配合量等も、ペースト
が取り扱い易い粘度のものとなり、或いは各粉末の分散
状態が良好となるように適宜に設定することができる。
【0043】2)セラミックヒータの製造 以下に、図3に基づきセラミックヒータの製造方法につ
いて説明する。まず、第1のグリーンシート1と第2の
グリーンシート3及び芯材5を、それぞれ圧着して積層
する。以下は、グリーンシートと芯材の作製方法であ
る。 グリーンシートの作製 平均粒径約1.5μm、純度約99.9%のアルミナ粉
末と、焼結助剤として平均粒径約2μm、純度約98%
のシリカ粉末、平均粒径約2μm、純度約90%のマグ
ネシア粉末、及び平均粒径約2μm、純度約93%のカ
ルシア粉末とを、97.2:2.5:0.1:0.1の
重量比で配合し、ボールミルで20〜60時間湿式混合
した後、脱水乾燥して得られる混合粉末を準備した。そ
の後、この混合粉末100重量%に対して、約8重量%
のポリビニルブチラール、約4重量%のDBP、約70
重量%のメチルエチルケトンとトルエンとの混合溶媒を
添加した。次いで、これらをボールミルによって混合し
てスラリー状とし、減圧脱泡後、ドクターブレード法に
より、厚さ0.2〜0.4mmの第1のグリーンシート
1を作製した。また、同じ方法によって厚さ約0.05
mmの第2のグリーンシート3を作製した。
【0044】芯材の作製 上記の混合粉末100重量%に対して、約1重量%のメ
チルセルロース、約15重量%のワックス(中京油脂株
式会社製、商品名「マクセロン」)及び約10重量%の
水を添加し、混練した後、押出成形法で円筒状に成形
し、所定寸法に切断後、約1200℃の温度で仮焼して
外径約2.3mmの芯材5を形成した。
【0045】抵抗体パターンの作製 図4はヒータの抵抗体パターンである。第1のグリーン
シート1の一方の面2に厚膜印刷法によって前記(2)
の1)において調製したペーストを用いて抵抗体パター
ン11を形成した。その後、抵抗体パターン11の端部
に接続してリード電極パターン12を形成した。一方、
第1のグリーンシート1の他方の面6に取り出し電極パ
ターン14を形成し、スルーホール13によって一方の
面2のリード電極パターン12に電気的に接続した。リ
ード電極パターン12と取り出し電極パターン14の形
成に用いるペーストは、抵抗体パターン11の印刷に用
いたペーストと同じものでもよいが、電気抵抗の低い他
の導体を含むペーストを用いると更によい。この特定の
導体を含むペーストとしては、タングステン粉末と有機
バインダとを有機溶剤に混合、分散させたものを用いる
ことができる。
【0046】グリーンシートの積層は、第1のグリーン
シート1の表面2にアセトン等の接着用の溶剤を塗布
し、第2のグリーンシート3を圧着して行った。また、
得られた積層体の第2のグリーンシート3の表面4に接
着剤としてアルミナペーストを塗布し、この表面4が芯
材5に接するように積層体を芯材5に巻き付けて加圧
し、圧着した。このアルミナペーストとしては、第1の
グリーンシートと同様の組成の混合粉末100重量%に
対して、約25重量%のポリビニルブチラール、約8重
量%のDBP、及び約30重量%のブチルカルビトール
を混合したものなどを用いた。
【0047】次いで、上記の積層体を連続焼成炉に収容
し、大気開放の状態で加熱し、樹脂抜きした。この樹脂
抜き工程における炉内温度の変化を図5のAに示す。こ
の場合、所要の特性を有するレニウム粉末を使用してい
るため、樹脂抜きの温度を240℃以下とする必要はな
く、ここでは265℃程度の温度としている。樹脂抜き
に続いて、還元雰囲気下、連続焼成炉にて焼成を行っ
た。この焼成における炉内温度の変化を図6に示す。焼
成は、炉内に水素ガスと窒素ガスを24:7の体積比で
注入し、この混合ガス雰囲気において実施した。
【0048】尚、本発明の第3の実施の形態において
は、レニウム粉末として洗浄或いは加熱の処理を施さな
いものを用い、樹脂抜き工程の温度を図5のBのように
240℃以下とする。この方法でも、セラミック焼結体
へのレニウムの拡散を抑制することができる。また、こ
の場合の樹脂抜きの温度は、十分な強度を有する焼結体
とするためには200℃以上とする必要がある。また、
本発明の第4の実施の形態においては、レニウム粉末と
して洗浄或いは加熱の処理を施さないものを用い、樹脂
抜き工程の雰囲気を水素ガスと窒素ガスとの混合ガス雰
囲気、即ち非酸化雰囲気とする。この方法でも、セラミ
ック焼結体へのレニウムの拡散を抑制することができ
る。
【0049】第1〜4の実施の形態において、焼成に続
いて、セラミックヒータの取り出し電極14に端子をロ
ー付けするための下地としてニッケルメッキを施す。メ
ッキは無電解ニッケルメッキ等、通常の方法によって行
うことができる。先ず、焼結体を塩酸に約1分間侵漬し
た後、脱脂液に3分間侵漬し、更に塩酸に5分間侵漬し
た。その後、活性化液に5分間侵漬し、更に塩酸に5分
間侵漬した。次いで、ニッケルメッキ液に撹袢しながら
32分間侵漬する工程を2回、及び35分間侵漬する工
程を1回行った。メッキ後は純水にて10分間洗浄し、
更に水切り剤に10分間侵漬した後、10分間の洗浄を
して水を除き、乾燥させた。
【0050】(3)セラミックヒータの外観及びレニウ
ムの濃度分布の評価 本発明における各種の条件及び方法によって製造したセ
ラミックヒータと、比較例として従来の製造方法によっ
て製造したセラミックヒータについて外観検査を行い、
その結果を表1に示す。表1の結果によれば、条件1
(従来の製造方法)に比べて条件2〜5(本発明の製造
方法)は外観不良率が大幅に低下していることが分か
る。また、条件1及び条件4によって製造したセラミッ
クヒータの断面のレニウムの濃度分布を模写した図をそ
れぞれ図7、図8に示す。条件1ではヒータの金属抵抗
体11の近傍のセラミック焼結体の比較的広い範囲に渡
ってレニウムの濃度分布が確認された。それは金属抵抗
体11から離れるに従って徐々にレニウム濃度が減少す
るという典型的な拡散濃度分布を示している。一方、条
件4ではレニウムの濃度分布はヒータの金属抵抗体11
の近傍に集中しており、条件1のような広い拡散分布は
確認されない。
【0051】更に、金属抵抗体11からの距離をパラメ
ータとして測定したセラミック中のレニウムの濃度の測
定結果を図9に示す。条件4で製造したセラミックヒー
タでは、金属抵抗体から100μm離れた場所では、レ
ニウムの濃度は金属抵抗体中のレニウムの濃度に比較し
て1/100以下となっている。一方、条件1で製造し
たセラミックヒータでは、金属抵抗体から100μm離
れた場所でのレニウムの濃度が、金属抵抗体中のレニウ
ムの濃度に比較して1.5/100以上の高い濃度を示
す箇所が随所にみられた。なおレニウム濃度の測定はE
PMAによる定量分析法によって行った。測定のスポッ
ト径は10μmとした。
【0052】尚、上記の実施の形態において記載したセ
ラミックヒータの形状は円筒状であるが、このヒータ
は、円筒状の他、直方体或いは平板等、様々な形状とす
ることができる。また、セラミック焼結体はヒータに限
らずセラミックパッケージ及びセンサ基板など、種々の
用途或いは形態をとり得る。
【0053】
【発明の効果】請求項1記載の発明のレニウム粉末は、
金属抵抗体を一体に備えるセラミック焼結体における金
属抵抗体の形成に好適である。また、請求項2及び請求
項4記載の発明によれば、有機溶媒による洗浄或いは加
熱等、簡易な操作、方法によって所要の特性を有するレ
ニウム粉末を容易に製造することができる。更に、請求
項6記載の発明では、上記の特定のレニウム粉末などを
使用することにより、金属抵抗体からセラミック焼結体
中へのレニウムの拡散が十分に抑えられたセラミック焼
結体を得ることができる。この特定のセラミック焼結体
は、特にセラミックヒータとして有用である。
【0054】更に、請求項7、請求項8及び請求項9記
載の発明によれば、上記の所要の特性を有するレニウム
粉末を使用することにより、或いは樹脂抜きの温度を特
定の範囲に限定することにより、又は樹脂抜きの雰囲気
を非酸化雰囲気とすることによって、請求項6記載の発
明の優れた特性を有するセラミック焼結体を容易に製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】洗浄或いは加熱処理をしていない従来のレニウ
ム粉末の示差熱分析の結果を表すチャートである。
【図2】本発明の方法によって製造したレニウム粉末の
示差熱分析の結果を表すチャートである。
【図3】発明の実施の形態における金属抵抗体を備える
セラミック焼結体の一例であるセラミックヒータの組立
図である。
【図4】発明の実施の形態における金属抵抗体を備える
セラミック焼結体の一例であるセラミックヒータの印刷
パターンの平面図である。
【図5】樹脂抜き工程における炉内温度の変化を表すグ
ラフである。
【図6】焼成における炉内温度の変化を表すグラフであ
る。
【図7】表1の条件1のセラミックヒータの断面の金属
抵抗体周縁におけるレニウムの拡散の状態を模写した説
明図である。
【図8】表1の条件4のセラミックヒータの断面の金属
抵抗体周縁におけるレニウムの拡散の状態を模写した説
明図である。
【図9】表1の条件1と条件4のセラミックヒータにお
ける金属抵抗体周縁のレニウム濃度の、金属抵抗体中の
レニウム濃度に対する相対的な濃度を比較したグラフで
ある。
【符号の簡単な説明】
1;第1のグリーンシート、3;第2のグリーンシー
ト、5;芯材、11;金属抵抗体、13;スルーホー
ル、14;取り出し電極。
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 9/04 B22F 1/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 示差熱分析によって測定される150℃
    以上、350℃未満の温度における発熱量が、350℃
    における発熱量より少ないことを特徴とするレニウム粉
    末。
  2. 【請求項2】 示差熱分析によって測定される150℃
    以上、350℃未満の範囲の少なくとも一部の温度にお
    ける発熱量が、350℃における発熱量より多いレニウ
    ム粉末を、有機溶媒によって洗浄した後、粉砕し、その
    後、非酸化雰囲気中で、300〜1400℃の温度で3
    0分以上加熱し、示差熱分析によって測定される150
    ℃以上、350℃未満の温度における発熱量が、350
    ℃における発熱量より少ないレニウム粉末を得ることを
    特徴とするレニウム粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記洗浄が動的な洗浄である請求項2記
    載のレニウム粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 示差熱分析によって測定される150℃
    以上、350℃未満の範囲の少なくとも一部の温度にお
    ける発熱量が、350℃における発熱量より多いレニウ
    ム粉末を、有機溶媒によって洗浄した後、粉砕し、その
    後、非酸化雰囲気中で、加熱し、次いで、有機溶媒によ
    って再度洗浄し、示差熱分析によって測定される150
    ℃以上、350℃未満の温度における発熱量が、350
    ℃における発熱量より少ないレニウム粉末を得ることを
    特徴とするレニウム粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記洗浄及び上記再度の洗浄の少なくと
    も一方が動的な洗浄であり、且つ上記加熱の温度が30
    0〜1400℃、時間が30分以上である請求項4記載
    のレニウム粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 セラミック焼結体と、該セラミック焼結
    体に埋設された金属抵抗体とからなり、該金属抵抗体は
    少なくともレニウムを含み、該レニウムの一部は、上記
    金属抵抗体の周縁の上記セラミック焼結体中に拡散して
    分布しており、且つ上記金属抵抗体から100μm離れ
    た位置におけるレニウムの濃度(単位体積当たりの重量
    で表される濃度とする。)が、上記金属抵抗体中のレニ
    ウムの濃度の1.5/100以下であることを特徴とす
    る金属抵抗体を備えるセラミック焼結体。
  7. 【請求項7】 示差熱分析によって測定される150℃
    以上、350℃未満の温度における発熱量が、350℃
    における発熱量より少ないレニウム粉末を、該レニウム
    粉末以外の金属粉末に配合し、その後、このレニウム粉
    末を含む金属粉末と、有機バインダとを混合し、混練し
    てペーストを調製し、次いで、該ペーストをセラミック
    グリーンシートの表面に印刷して抵抗体パターンを形成
    し、その後、該抵抗体パターンが形成された表面に、他
    のセラミックグリーンシートを重ね合わせて積層体と
    し、次いで、該積層体を加熱して該積層体に含まれる樹
    脂成分を除去し、その後、樹脂成分が除去された上記積
    層体を焼成することを特徴とする金属抵抗体を備えるセ
    ラミック焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】 レニウム粉末を含む金属粉末と有機バイ
    ンダとを混合し、混練してペーストを調製し、その後、
    該ペーストをセラミックグリーンシートの表面に印刷し
    て抵抗体パターンを形成し、次いで、該抵抗体パターン
    が形成された表面に、他のセラミックグリーンシートを
    重ね合わせて積層体とし、その後、該積層体を200〜
    240℃の温度に加熱して該積層体に含まれる樹脂成分
    を除去し、次いで、樹脂成分が除去された上記積層体を
    1400〜1600℃の温度で焼成することを特徴とす
    る金属抵抗体を備えるセラミック焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】 レニウム粉末を含む金属粉末と有機バイ
    ンダとを混合し、混練してペーストを調製し、その後、
    該ペーストをセラミックグリーンシートの表面に印刷し
    て抵抗体パターンを形成し、次いで、該抵抗体パターン
    が形成された表面に、他のセラミックグリーンシートを
    重ね合わせて積層体とし、その後、該積層体を、非酸化
    雰囲気中で、加熱して該積層体に含まれる樹脂成分を除
    去し、次いで、樹脂成分が除去された上記積層体を14
    00〜1600℃の温度で焼成することを特徴とする金
    属抵抗体を備えるセラミック焼結体の製造方法。
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