JP3462091B2 - グラスの内表面処理方法 - Google Patents
グラスの内表面処理方法Info
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、内表面に液体や泡
が付着しやすくなるグラス内表面の処理方法に関する。
が付着しやすくなるグラス内表面の処理方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】グラスでビールを飲む場合、飲んだ後に
ビールの泡がグラス内面にリング状に残るとおいしいビ
ールであるといわれている。したがって、グラスの内面
は泡が付着しやすいことが求められる。このような場
合、グラスの内面に泡が付着しやすくなるようにするた
めに、フロン処理やブルーム処理が行われている。
ビールの泡がグラス内面にリング状に残るとおいしいビ
ールであるといわれている。したがって、グラスの内面
は泡が付着しやすいことが求められる。このような場
合、グラスの内面に泡が付着しやすくなるようにするた
めに、フロン処理やブルーム処理が行われている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】上記のビールグラスの
場合、フロン処理やブルーム処理ではガラス表面に形成
される凹凸が浅いので泡の付着効果が弱く持続性も低
い。
場合、フロン処理やブルーム処理ではガラス表面に形成
される凹凸が浅いので泡の付着効果が弱く持続性も低
い。
【０００４】
本発明はこのような課題を解決するもの
で、ガラスの透明性を維持しつつ、容易かつ低コストで
グラス内表面に比較的深い凹凸が得られ、排水の問題も
なく、さらにグラス内表面の凹凸の度合の変化もつける
ことができるものである。
で、ガラスの透明性を維持しつつ、容易かつ低コストで
グラス内表面に比較的深い凹凸が得られ、排水の問題も
なく、さらにグラス内表面の凹凸の度合の変化もつける
ことができるものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、加熱下のグラ
ス内表面に亜硫酸ガス（ＳＯ２）、無水硫酸ガス（ＳＯ
３）又は塩素ガス（Ｃｌ２）を接触、反応させるグラス
内表面処理方法である。亜硫酸ガス、無水硫酸ガス又は
塩素ガスを接触、反応させるグラス内表面温度は６５０
〜９００℃が適当で、６５０℃、未満では反応が起こり
にくく、９００℃を越えるとガラスの変形などの悪影響
が発生することとなる。又本発明は、５００〜８００℃
で亜硫酸ガス、無水硫酸ガス又は塩素ガスを接触、反応
させた後グラス内表面を６５０〜９００℃に再加熱する
グラス内表面処理方法である。再加熱はガラスがまだ熱
いうちに行ってもよいし、一旦冷えた後に火炎などで行
ってもよい。
ス内表面に亜硫酸ガス（ＳＯ２）、無水硫酸ガス（ＳＯ
３）又は塩素ガス（Ｃｌ２）を接触、反応させるグラス
内表面処理方法である。亜硫酸ガス、無水硫酸ガス又は
塩素ガスを接触、反応させるグラス内表面温度は６５０
〜９００℃が適当で、６５０℃、未満では反応が起こり
にくく、９００℃を越えるとガラスの変形などの悪影響
が発生することとなる。又本発明は、５００〜８００℃
で亜硫酸ガス、無水硫酸ガス又は塩素ガスを接触、反応
させた後グラス内表面を６５０〜９００℃に再加熱する
グラス内表面処理方法である。再加熱はガラスがまだ熱
いうちに行ってもよいし、一旦冷えた後に火炎などで行
ってもよい。
【０００６】
本発明においては、亜硫酸ガス、無水硫酸
ガス又は塩素ガスをグラス内表面に直接吹き付けてガラ
スに接触させて反応させてもよいし、熱によりこれらの
ガスを発生する物質（例えば硫酸アンモニウムなど）を
ガラスに接触させ、これにより発生するガスをガラスと
反応させてもよい。
ガス又は塩素ガスをグラス内表面に直接吹き付けてガラ
スに接触させて反応させてもよいし、熱によりこれらの
ガスを発生する物質（例えば硫酸アンモニウムなど）を
ガラスに接触させ、これにより発生するガスをガラスと
反応させてもよい。
【０００７】
加熱下のガラス表面に亜硫酸ガス、無水硫
酸ガス又は塩素ガスを接触、反応させる処理（いわゆる
ブルーム処理）は、ガラス表面付近の脱アルカリ処理と
して知られている。この処理により、ガラスの表面付近
は脱アルカリされ、ＳｉＯ２リッチな表層が形成され
る。ＳＯ２、ＳＯ３又はＣｌ２は高温のガラス表面と反
応し、ガラス表面付近にあるナトリウムイオンと反応し
てＮａ２ＳＯ４又はＮａＣｌとなりブルームとしてガラ
ス表面に付着する。ガラス表面はナトリウムがかきとら
れたためＳｉリッチとなり脱アルカリ状態となるのであ
る。この処理を行った後、そのガラス表面を加熱する。
すると、表面付近のＳｉリッチ層及びガラスが膨張す
る。その後ガラス表面が冷えるにしたがって表面は収縮
するが、ガラスよりもＳｉリッチ層の方が膨張係数が小
く、ガラスの収縮の度合に比べてＳｉリッチ層の収縮の
度合が少ないので、Ｓｉリッチ層はしわとなり、これに
よりガラス表面に凹凸が形成される。ガラス表面が６５
０〜９００℃の高温の状態で亜硫酸ガス、無水硫酸ガス
又は塩素ガスを反応させても同様のこととなる。
酸ガス又は塩素ガスを接触、反応させる処理（いわゆる
ブルーム処理）は、ガラス表面付近の脱アルカリ処理と
して知られている。この処理により、ガラスの表面付近
は脱アルカリされ、ＳｉＯ２リッチな表層が形成され
る。ＳＯ２、ＳＯ３又はＣｌ２は高温のガラス表面と反
応し、ガラス表面付近にあるナトリウムイオンと反応し
てＮａ２ＳＯ４又はＮａＣｌとなりブルームとしてガラ
ス表面に付着する。ガラス表面はナトリウムがかきとら
れたためＳｉリッチとなり脱アルカリ状態となるのであ
る。この処理を行った後、そのガラス表面を加熱する。
すると、表面付近のＳｉリッチ層及びガラスが膨張す
る。その後ガラス表面が冷えるにしたがって表面は収縮
するが、ガラスよりもＳｉリッチ層の方が膨張係数が小
く、ガラスの収縮の度合に比べてＳｉリッチ層の収縮の
度合が少ないので、Ｓｉリッチ層はしわとなり、これに
よりガラス表面に凹凸が形成される。ガラス表面が６５
０〜９００℃の高温の状態で亜硫酸ガス、無水硫酸ガス
又は塩素ガスを反応させても同様のこととなる。
【０００８】
ブルーム処理後の加熱処理は、バーナーの
火炎を接触させたり、レーザー光を走査させる方法など
が好適である。この加熱処理において、温度を高くする
ほど、又、加熱処理時間を長くするほどガラス表面に生
じる凹凸が大きく、深くなる。バーナーの火炎による加
熱処理の場合、１０〜３００秒程度の加熱処理時間が適
当である。
火炎を接触させたり、レーザー光を走査させる方法など
が好適である。この加熱処理において、温度を高くする
ほど、又、加熱処理時間を長くするほどガラス表面に生
じる凹凸が大きく、深くなる。バーナーの火炎による加
熱処理の場合、１０〜３００秒程度の加熱処理時間が適
当である。
【０００９】
【発明の実施の形態】容量４００ｍｌのグラス内に１ｇ
の硫酸アンモニウムを入れ焼成炉で約６５０℃まで上げ
て発生する亜硫酸ガスとガラス表面とを反応させた。そ
の後、グラスを焼成炉から取り出し、口径２分のバーナ
ー（ガス圧１ｋｇ／平方ｃｍ：流量エアー３５Ｎｌ／ｍ
ｉｎ，プロパン１．４Ｎｌ／ｍｉｎ）で、６０秒間グラ
ス内部を加熱し、実施例の処理を行った。その後グラス
を常温に放置し、温度が常温に下がった後グラスを洗浄
した。この実施例の処理を行ったグラスは、無処理のグ
ラスと同様の透明性を有していた。この実施例の処理を
行ったグラスと、他の比較例のグラスを用意し、グラス
内にビールを注いでアスピレーターでビールを何回かに
分けて底から吸引し、グラス内面の泡付着状態の実験を
行った。その結果を図１に示す。図１において、左側の
グラスはまったく処理を行っていないもの、中央のグラ
スはグラス内面に亜硫酸ガスを反応させたのみで加熱処
理を行っていないもの（ブルーム処理のみのもの）、右
側のグラスは上記の実施例の処理を行ったものである。
右側のグラスは段階的に口部からリング状に泡が付着し
ており、泡の付着性が良好なことが確認された。
の硫酸アンモニウムを入れ焼成炉で約６５０℃まで上げ
て発生する亜硫酸ガスとガラス表面とを反応させた。そ
の後、グラスを焼成炉から取り出し、口径２分のバーナ
ー（ガス圧１ｋｇ／平方ｃｍ：流量エアー３５Ｎｌ／ｍ
ｉｎ，プロパン１．４Ｎｌ／ｍｉｎ）で、６０秒間グラ
ス内部を加熱し、実施例の処理を行った。その後グラス
を常温に放置し、温度が常温に下がった後グラスを洗浄
した。この実施例の処理を行ったグラスは、無処理のグ
ラスと同様の透明性を有していた。この実施例の処理を
行ったグラスと、他の比較例のグラスを用意し、グラス
内にビールを注いでアスピレーターでビールを何回かに
分けて底から吸引し、グラス内面の泡付着状態の実験を
行った。その結果を図１に示す。図１において、左側の
グラスはまったく処理を行っていないもの、中央のグラ
スはグラス内面に亜硫酸ガスを反応させたのみで加熱処
理を行っていないもの（ブルーム処理のみのもの）、右
側のグラスは上記の実施例の処理を行ったものである。
右側のグラスは段階的に口部からリング状に泡が付着し
ており、泡の付着性が良好なことが確認された。
【００１０】
上記の実施例の処理を行ったガラス表面
と、未処理のガラス表面とを電子顕微鏡で観察した。そ
の結果を図２に示す。下に示すものが処理を行ったもの
で、径１〜５μｍの穴（凹部）が観察できる。上に示す
未処理のガラス表面には、そのような穴は見られない。
と、未処理のガラス表面とを電子顕微鏡で観察した。そ
の結果を図２に示す。下に示すものが処理を行ったもの
で、径１〜５μｍの穴（凹部）が観察できる。上に示す
未処理のガラス表面には、そのような穴は見られない。
【００１１】
【発明の効果】本発明のグラス内表面処理方法は、ガラ
スの透明性を維持しつつ、容易かつ低コストでガラス表
面に比較的深い凹凸が得られ、処理設備における排水の
問題もなく、さらにガラス表面の凹凸の度合の変化もつ
けることができるものである。本発明処理方法で処理し
たビールグラスは、未処理のものと同様の透明性を有し
泡の付着が良好である。
スの透明性を維持しつつ、容易かつ低コストでガラス表
面に比較的深い凹凸が得られ、処理設備における排水の
問題もなく、さらにガラス表面の凹凸の度合の変化もつ
けることができるものである。本発明処理方法で処理し
たビールグラスは、未処理のものと同様の透明性を有し
泡の付着が良好である。
【図１】実施例の処理を行ったビールグラスと比較例の
ビールグラスの泡付着実験結果の説明図である。
ビールグラスの泡付着実験結果の説明図である。
【図２】実施例の処理を行ったガラス表面と未処理のガ
ラス表面の顕微鏡写真である。
ラス表面の顕微鏡写真である。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭58−64248（ＪＰ，Ａ)
特開 昭57−175749（ＪＰ，Ａ)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
C03C 15/00 - 23/00
Claims (3)
- 【請求項１】 加熱下のグラス内表面に亜硫酸ガス、無
水硫酸ガス又は塩素ガスを反応させるグラス内表面処理
方法であって、亜硫酸ガス、無水硫酸ガス又は塩素ガス
を反応させるガラス表面の温度が６５０〜９００℃であ
ることを特徴とするグラスの内表面処理方法 - 【請求項２】 ５００〜８５０℃に加熱されたグラス内
表面に亜硫酸ガス、無水硫酸ガス又は塩素ガスを反応さ
せた直後に火炎などでガラス表面を６５０〜９００℃に
再加熱することを特徴とするグラス内表面処理方法 - 【請求項３】 ５００〜８５０℃に加熱されたグラス内
表面に亜硫酸ガス、無水硫酸ガス又は塩素ガスを反応さ
せ、一旦常温まで冷却した後、グラス内表面を火炎など
を用いて再加熱することを特徴とするグラス内表面処理
方法
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25763198A JP3462091B2 (ja) | 1998-08-28 | 1998-08-28 | グラスの内表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25763198A JP3462091B2 (ja) | 1998-08-28 | 1998-08-28 | グラスの内表面処理方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000072491A JP2000072491A (ja) | 2000-03-07 |
| JP3462091B2 true JP3462091B2 (ja) | 2003-11-05 |
Family
ID=17308935
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP25763198A Expired - Fee Related JP3462091B2 (ja) | 1998-08-28 | 1998-08-28 | グラスの内表面処理方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3462091B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US8887528B2 (en) | 2006-12-04 | 2014-11-18 | Asahi Glass Company, Limited | Process for producing surface-treated glass plate |
| JP5564744B2 (ja) * | 2006-12-04 | 2014-08-06 | 旭硝子株式会社 | 表面処理ガラス板の製造方法 |
| CN102317168B (zh) * | 2010-03-30 | 2013-06-26 | 东洋玻璃株式会社 | 玻璃容器的内表面处理方法及玻璃容器 |
| US8389052B2 (en) | 2010-03-30 | 2013-03-05 | Toyo Glass Co., Ltd. | Method for treating inside surface of glass container and glass container |
| JP5988349B2 (ja) * | 2012-01-11 | 2016-09-07 | 株式会社パイロットコーポレーション | 筆記具インキ収容体 |
-
1998
- 1998-08-28 JP JP25763198A patent/JP3462091B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2000072491A (ja) | 2000-03-07 |
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