JP3461388B2 - 釣竿の表面仕上げ方法 - Google Patents

釣竿の表面仕上げ方法

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JP3461388B2
JP3461388B2 JP19726294A JP19726294A JP3461388B2 JP 3461388 B2 JP3461388 B2 JP 3461388B2 JP 19726294 A JP19726294 A JP 19726294A JP 19726294 A JP19726294 A JP 19726294A JP 3461388 B2 JP3461388 B2 JP 3461388B2
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浩康 鈴江
英二 菅谷
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ダイワ精工株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、釣竿の表面仕上げ方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化プリプレグ等によって成形され
た竿管は、緊締テープによって緊締加圧して焼成される
ため、表面には緊締テープ跡の凹凸が通常1〜2mm程
度のピッチにて残っており、この長い筒状の竿管表面を
研摩する場合、従来は研摩ベルトの回転軸を竿管の長手
方向に平行に設置して、該回転軸周りに研摩ベルトを周
回させ、該研摩ベルトの幅全体を竿管の長手方向に亘っ
て押し付けた状態で竿管の円周方向に沿って研摩しつ
つ、該竿管を回転させて研摩を進め、長手方向にもゆっ
くりと移動させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、上記のよ
うにして研摩すると、研摩ベルトが竿管に対して長い面
当たりとなり、当たり面全体に均等な圧力が作用し難
く、竿管の周方向に指向しつつ長手方向に並んだ複数の
凸条が均一には研摩され難く、研摩過多の部分や研摩不
足の部分が発生する。また大きな押し付け力を必要とす
る。更には、竿管にはプリプレグ巻回数の差異等による
竿管断面の肉厚の不均一や外形状の真円度の不均一があ
り、上記の方法で研摩する場合、上述のように複数の凸
条を一度に均一に研摩しようとして竿管に押し付ける力
を大きくするが、このため竿管断面が変形し易く、肉厚
不均一さと合わせて断面形状の変形が大きくなり、真円
度の不均一さと合わさって表面研摩が不均一になる。ま
た、上述の研摩方法では研摩面に竿管の円周方向の微小
な研摩傷(溝)が生じ、竿管の長手方向に扱きながら塗
装する扱き塗装等においては、その微小研摩溝方向と扱
き方向とが一致せず、微小研摩溝内部に気泡が残って塗
料が充分に浸透充填されず、密着不良や厚い塗膜層にな
りがちである。
【0004】依って本発明は、釣竿表面を均一に平滑研
摩することを目的とする。また、釣竿表面に薄くて密着
性の良い塗装を施すことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑みて本発明
は、請求項1において、合成樹脂をマトリックスとして
高強度繊維によって竿管を形成し、研摩機の断面円形状
弾性ローラーの円弧状研摩面の回転軸芯を前記竿管の長
手方向に対して略直交する方向に設定し、前記円弧状研
摩面を前記竿管の外表面に押し付けつつ研摩することを
特徴とする釣竿の表面仕上げ方法を提供する。請求項2
において、上記竿管外表面研摩の後に、竿管の長手方向
に沿って塗装することを特徴とする釣竿の表面仕上げ方
法を提供する。
【0006】
【作用】研摩機の断面円形状弾性ローラーの円弧状研摩
面の回転軸芯を竿管の長手方向に対して略直交する方向
に設定しているため、研摩面と竿管表面との接触が点状
になり、竿管への押し付け力を小さくしても、研摩する
点状部への圧力は大きくでき、竿管表面を効果的に研摩
でき、均一な平滑研摩ができる。
【0007】請求項2に対応の構成では、上記研摩方法
によれば、円弧状研摩面による研摩方向が竿管の略長手
方向に沿うため、微小な研摩傷は竿管表面の略長手方向
に付く。従って、竿管の長手方向に沿って扱きながら塗
装したり、或いは長手方向に沿って吹き付け塗装する
と、その方向は研摩傷の方向に一致するため研摩傷内の
空気が押し出され、塗料が充分に浸透充填できて密着性
が良好になり、薄くて剥離し難い塗膜が形成できる。
【0008】
【実施例】以下、本発明を添付図面に示す実施例に基づ
き、更に詳細に説明する。図1は繊維強化プリプレグを
巻回して加圧焼成し、エポキシ樹脂等の熱硬化性合成樹
脂をマトリックスとして炭素繊維等の高強度繊維によっ
て形成した竿管10の表面を研摩する状態を模式的に示
している。回転軸芯CLが竿管10の長手方向に対して
略直交する方向に設定された弾性ローラー14の周りに
サンディングベルト12を張架させ、該サンディングベ
ルト12を弾性ローラー14によって竿管10に押し付
けつつ高速旋回させている。一方、竿管10の反対側に
は弾性ローラー14に対向して支持ローラー16が配設
されており、弾性ローラー14の押し付け力による竿管
10の曲がりを防止している。
【0009】図2は加圧焼成して形成された竿管10の
部分断面を示し、このA領域を拡大図示したものが図3
である。強化繊維が竿管10の長手方向に向くように配
設された本体層10Bの内外に、強化繊維が円周方向に
指向するように配設された補強層10A,10Cが形成
されている。この外側補強層10Cの外側に、竿管10
用の素材管の加圧成形時にその表面に緊締テープが略円
周方向に緊締され、その結果、テープ跡の凸条11の形
成された樹脂の層10Dが形成されている。このテープ
跡の凸条11を平滑に研摩するのである。
【0010】図1に示すように、サンディングベルト1
2を高速で旋回させて竿管10の長手方向に沿う方向で
研摩しつつ、竿管10を低速で回転させ、1凸条ずつ研
摩しながら、竿管10又はサンディングベルト12を少
しずつ長手方向に移動させて全体を研摩する。一方、従
来の研摩方法は図4に示すように弾性ローラー14’の
回転軸芯CLが竿管10の長手方向に対して略平行に設
定されおり、弾性ローラー14’の周りに張架されたサ
ンディングベルト12’は竿管10の円周接線方向に沿
って研摩している。11は緊締テープによるテープ跡
(テープ目残り)の凸条である。サンディングベルト1
2’を高速で旋回させつつ、竿管10を低速回転させ、
該竿管10を少しずつ長手方向に移動させることは本発
明の場合と同様である。
【0011】これらの比較からも判るように、従来方法
ではサンディングベルトは竿管10に対して面当たりす
るが、本発明方法ではサンディングベルト12は竿管1
0に対して点状に当たる。従って、同じ押し付け力では
本発明の方が接触面圧が大きくなり、略円周方向に指向
して形成されている緊締テープのテープ跡の凸条11の
研摩が容易となる。また、図3に示すように樹脂層10
Dは長手方向に傾斜した鋸歯状に凸条11を生じている
ため、本発明の長手方向に沿った研摩では山部である凸
条11の研摩が容易になる。また、このために竿管10
の樹脂層10Dのみを研摩して、外側補強層10Cの強
化繊維を研摩切断することのないようにする研摩調整が
容易になる。更にこの発明研摩方法では、図3の鋸歯状
の凸状11に対して矢印方向(図3において時計周り方
向)にサンディングベルトを回転させると、効率的に研
摩できる。
【0012】また、従来の方法では、複数の凸条11を
同時に研摩するが、既述の理由により弾性ローラーの押
し付けによる面当たりが生じ、各凸条に対する面圧は一
定にならず、偏りを生む。従って、研摩過多の部分と、
研摩不足の部分とが生じ、平滑研摩ができない。一方、
本発明方法では、点状の当たりであるため、1凸条ずつ
研摩でき、偏りの無い平滑な研摩が達成される。更に
は、従来方法では複数の凸条を同時に研摩するため、実
際の押し付け力は1凸条ずつの本発明方法の場合とは異
なって大きい。従って、従来方法では竿管10を曲げる
力が大きく作用して、よけいに研摩の偏りを生み易い
が、本発明方法では小さな力で押し付けるため、竿管1
0の曲りは小さく、研摩が一様に行える。
【0013】また、従来方法ではサンディングベルト1
2’が竿管10の円周方向に沿って研摩している(ベル
トの旋回円の接線方向が竿管10の円周方向である)た
め、竿管10に付く微小研摩傷は略円周方向に指向して
いる。しかし本発明方法ではサンディングベルト12は
竿管10の長手方向に沿って研摩している(ベルトの旋
回円の接線方向が竿管10の長手方向である)ため、竿
管10に付く微小研摩傷は略長手方向に指向している。
【0014】従って、竿管10の塗装(下地塗装等を含
む)において、所謂扱き塗装や吹き付け塗装を行う場合
には、竿管10の長手方向に沿って扱いたり、吹き付け
たりして塗装すると、微小な研摩傷内の空気を、従来の
研摩傷の方向とは略90度異なる長手方向に押し出しな
がら塗装できるため、研摩傷内に塗料が充分に充填され
て密着性が良くなり、従って薄肉厚(15ミクロン以
下)の剥離し難い、軽量で丈夫な塗膜層が形成できる。
この後、クリヤー塗装等を行うことは自由である。また
以上ではサンディングベルトを例に説明したが、バフベ
ルト(筒バフ等)を使用してもよい。更には、外側補強
層10Cの外側に樹脂を塗装し、この樹脂塗膜を以上の
研摩方法によって長手方向研摩傷を付して研摩し、その
後に扱き塗装や吹き付け塗装を竿管10の長手方向に沿
って行ってもよい。
【0015】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、円弧状の研摩面を竿管表面に略点状の当たりに
できるため、釣竿表面を均一に平滑研摩することができ
る。また研摩傷が竿管の略長手方向に指向するため、こ
の長手方向に沿って塗装すれば釣竿表面に薄くて密着性
の良い塗装を施すことができる。従って、仕上がりの良
い釣竿が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る研摩方法を示す模式図であ
る。
【図2】図2は竿管の部分断面図である。
【図3】図3は図2のA部の拡大図である。
【図4】図4は従来の研摩方法を示す模式図である。
【符号の説明】
10 竿管 12 サンディングベルト 14 弾性ローラー CL 研摩機の円弧状研摩面の回転軸芯
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01K 87/00 - 87/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂をマトリックスとして高強度繊
    維によって竿管を形成し、 研摩機の断面円形状弾性ローラーの円弧状研摩面の回転
    軸芯を前記竿管の長手方向に対して略直交する方向に設
    定し、 前記円弧状研摩面を前記竿管の外表面に押し付けつつ研
    摩することを特徴とする釣竿の表面仕上げ方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の竿管外表面研摩の後に、
    竿管の長手方向に沿って塗装することを特徴とする釣竿
    の表面仕上げ方法。
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