JP3459597B2 - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体高分子型燃料電
池に関し、特に燃料電池スタックの温度分布を均一化す
るための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、アノード側に水素リッチな
燃料ガス、カソード側に酸素を含む酸化剤ガスをそれぞ
れ供給し、水素と酸素を電気化学的に反応させて発電を
行う電池である。酸化剤ガスには空気が用いられる場合
が多い。燃料ガスには天然ガス、ナフサなどの軽質炭化
水素や、低級アルコールからなる燃料ガスを改質処理し
たもの、あるいは純水素ガスが用いられている。
【0003】燃料電池はリン酸型、炭酸溶融塩型など電
解質の種類によって様々なものがあるが、近年では固体
高分子膜を電解質とする固体高分子型燃料電池(PEF
C)の研究が積極的になされている。この固体高分子型
燃料電池は、固体高分子膜の一方の面にカソードと、他
方の面にアノードとを配した電極接合体を有する単位セ
ル(セルユニット)を基本構造としている。実用的なP
EFCは、このようなセルユニットを数十セル以上にわ
たり積層した構成(燃料電池スタック)として高出力を
得ているものが多い。ところでPEFCでは一般に、各
セルユニットに水を供給することが行われている。これ
には大別して2つの主な理由が挙げられる。
【0004】第一に、PEFCでの反応は発熱反応であ
り、そのままでは100℃を超える高温まで温度上昇す
る。この高温状態においては、前記固体高分子膜の湿潤
性が低下してしまい、発電効率が劣化する。そのため、
水はこのようなPEFCを稼働時に冷却する冷却媒体
(冷却水)として用いられる。第二に、固体高分子膜は
湿潤状態に置くことによって内部抵抗が下がり、イオン
導電性が高まって発電効率が良好になる特性を有する。
そのためPEFCでは、この固体高分子膜を加湿するこ
とによってイオン導電性(具体的には水素イオンを水和
するための移動水)を確保することが不可欠である。
【0005】PEFCの給水方式には、加湿水の給水方
式が違う外部加湿方式と内部加湿方式とがある。外部加
湿方式では、加湿水は発電用の電極を備えたセルユニッ
トに到達する前の段階で予め水蒸気として調整されて供
給される。このため冷却水は通常、冷却水専用の流通路
を用いて燃料電池スタックに供給される。なお外部加湿
方式では、冷却媒体として水以外にエチレングリコール
などの液体が使用される場合もあるが、固体高分子の加
湿用に水(水蒸気)が供給される構成は同じである。
【0006】一方、内部加湿方式では、冷却水が液体状
体で燃料電池スタックに供給され、冷却水のうちの一部
を燃料電池の発熱により水蒸気化して加湿水に使用する
ことが行われている。このため、内部加湿方式を採用す
るPEFCでは燃料電池スタックの外部に水蒸気発生装
置やこのための熱源、制御装置等を設置する手間が省け
るので、安価でコンパクトなシステムを構成できる特色
を持っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらここで、
次のような問題が懸念されている。すなわち上記した2
つの給水方式のいずれにおいても、燃料電池スタックの
冷却媒体流通路の導入口付近で冷却媒体が過度にセルを
冷却してしまうため、セル積層方向における温度分布が
不均一になってしまう。
【0008】燃料電池スタックの温度分布に不均一が生
じると、燃料電池スタックに様々な弊害を起こすおそれ
がある。例えば、燃料電池スタック内で温度が低いセル
ではこれに供給される燃料ガスの飽和水蒸気量が低くな
るため、固体高分子膜を加湿する水蒸気が不足する傾向
がある。この場合、固体高分子膜は乾燥して内部抵抗が
高まり、結果的に発電効率の低下を招く。以上の問題
は、外部・内部加湿方式のいずれにおいても生じる可能
性があるが、特に内部加湿方式の場合に生じやすい。
【0009】これに対し、例えば特開平8─16742
4号公報には、燃料電池スタックの両端に配設されるエ
ンドプレートと称する板体付近に冷却媒体流通路の導入
口を備えるPEFCにおいて、エンドプレートと隣接す
るセルとの間に板状の発熱抵抗体を介挿し、この近辺の
セルでの過冷却効果を抑制する技術が開示されている。
【0010】この技術によれば、確かに温度分布が均一
化されるといった効果が得られるが、実際には燃料電池
スタックの両端に発熱抵抗体を設けるために新たな部材
が必要になり、燃料スタックの規模などによってかなり
大型の発熱抵抗体が必要になるといった困難が伴うこと
が予想される。このような状況にある現在では、より簡
便な方法で均一な温度分布を得る技術が望まれている。
【0011】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あって、その目的は、従来よりも比較的簡便な方法で均
一な温度分布を実現し、安定した発電を行うことが可能
な固体高分子型燃料電池を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、正極と負極の電極間に固体高分子膜を介し
てなる電極接合体を有する単位セルが複数積層され、運
転時において各単位セルを冷却する媒体を導入する冷却
媒体流通路を備える固体高分子型燃料電池であって、少
なくとも前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い単位セ
の電極反応面積を、他の単位セルの電極反応面積より
小さくすることを特徴とする。
【0013】このように、少なくとも前記冷却媒体流通
路の導入口に最も近い単位セルの電極反応面積を、他の
単位セルの電極反応面積よりも小さくすることにより、
冷却媒体流通路の導入口付近に位置する単位セル(セル
ユニット)自体の発熱量を他のセルユニットよりも高く
することが可能となり、新たな構成要素を必要とせずに
冷却媒体流通路の導入口付近に位置するセルユニットの
過冷却が抑制される。すなわち、セルユニットの積層体
よりなる燃料電池スタックの冷却温度の均一化を図るこ
とができる。その結果、すべてのセルユニットを安定し
た稼働温度に維持できるので効率の良い発電が実現され
る。
【0014】ここで上記のように、冷却媒体流通路の導
入口付近に位置するセルユニットの発熱量を高くすれば
温度分布の均一化は可能であるが、特に冷却媒体流通路
の導入口に最も近いセルユニット位置、もしくはこれに
隣接するセルユニットの発熱量を高くすれば、冷却温度
の均一化が最も効率よく行われるので望ましいと考えら
れる。
【0015】前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い単
位セルの電極反応面積を、他の単位セルの電極反応面積
よりも小さくして、前記冷却媒体流通路の導入口付近に
位置するセルユニットの発熱温度を高くする手段として
は、前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い単位セルの
カソード又は/及びアノードの面積を、前記他の単位セ
ルのカソード又は/及びアノードの面積よりも小さくす
ることによって電極を流れる電流密度を高め、ジュール
熱を高めるという手段がある。この場合、0.5〜0.9
倍の範囲でカソード又は/及びアノードの面積のサイズ
の縮小を図ると温度均一効果が高いので望ましいことが
発明者らの実験により明らかにされている。
【0016】また電極反応面積を小さくする手段として
は、少なくとも前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い
単位セルの触媒担持密度を、前記他の単位セルの触媒担
持密度よりも小さくすることにより、単位触媒量当たり
の発熱量を高くして電極反応熱を向上させるという手段
が挙げられる。この場合、前記冷却媒体流通路の導入口
に最も近い単位セルの触媒担持密度が前記他の単位セル
の触媒担持密度の0.5〜0.9倍に相当するように構成
すると高い温度均一効果が得られるので望ましいことが
発明者らの実験により明らかにされている。
【0017】また本発明では、前記冷却媒体流通路の導
入口に最も近い単位セルの、前記導入口側に配された電
極が、電気的に分割された複数の電極片よりなり、当該
複数の電極片のいずれかが負荷回路への通電を遮断され
る構成としてもよい。このように電極を複数の電極片で
構成し、通電する電極片の数を調節することで、適宜電
極片で構成される電極を流れる電流密度を高め、高いジ
ュール熱が得られるようになる。したがって、運転条件
の変化等によって冷却温度が変動しても、燃料電池スタ
ックを安定した稼働温度に制御することができる。
【0018】このような本発明は、一般的に広く知られ
ている、複数の単位セルが直列に積層された積層体を構
成し、当該積層体の積層方向両端に前記冷却媒体流通路
の導入口が配置された構成の固体高分子型燃料電池に適
用することが可能である。 また本発明は、前記冷却媒体
が水(冷却水)であって、前記固体高分子型燃料電池は
当該水を固体高分子膜の加湿に利用する内部加湿方式で
ある場合に特に効果的であると思われる。
【0019】なお、上記「導入口付近の単位セル」と
は、例えば後述する従来例の燃料電池のスタックの温度
分布を示すグラフ(図4の比較例x)において温度が低
い範囲、すなわち冷却媒体流通路の導入口付近に位置
し、冷却媒体による冷却効果が他のセルユニットより比
較的大きくみられるセルユニット(この場合、燃料電池
スタックの両端に冷却媒体流通路の導入口があるので、
グラフ曲線の落ち込み部分に相当する燃料電池スタック
の両端付近のセルユニット)を指すものとする。
【0020】
【発明の実施の形態】1.実施の形態1 以下、本発明の固体高分子型燃料電池の実施の形態1に
ついて説明する。なお、本発明の主たる特徴は後述する
燃料電池スタック内の両端に位置するセルの構成にあ
り、その他の構成は各実施の形態で共通する。ここでは
まず固体高分子型燃料電池の基本構成を説明し、次に前
記セル構成について詳細に説明する。実施の形態2以降
では、実施の形態1と重複する部分を割愛する。
【0021】1─1.固体高分子型燃料電池スタック1
の構成 図1は、本実施の形態1に係る内部加湿方式の固体高分
子型燃料電池スタック1(以下、「PEFC1」と称
す)の正面図である。本PEFC1は、全体的に四角柱
状の形状を有する。すなわち、PEFC1は直方体状
(図2参照)のセルユニット30を28枚にわたり積層
し、その両端にセルユニット30XR及び30XL、集
電プレート(エンドプレート)20R及び20L、締付
板10R及び10Lをそれぞれ重ね、当該締付板10
R、10Lを締付ロッド11〜18と締付ナット11N
R〜18NR、11NL〜18NL(締付ロッド15〜
18と締付ナット15NR〜18NR、15NL〜18
NLは紙面の都合で不図示)で一定の圧力のもとに締め
付け固定した構成となっている。
【0022】なお締付板10R、10Lの各主面の四隅
には、水素または水素リッチな改質ガスを含む冷却水
(以降、この水素と水を含む混合物を「H2/H2O」と
称す)を流通させるH2/H2O流通路3〜6(3、4は
破線で図示、5、6は紙面の都合で不図示)の導入口と
なる導入管40、42、44、46(導入管44、46
はそれぞれ導入管40、42の紙面奥側に位置する)
と、H2/H2O流通路3〜6の排出口となる排出管4
1、43、45、47(排出管45、47はそれぞれ排
出管41、43の紙面奥側に位置する)が備えられてい
る。H2/H2Oは、例えば水中にバブラーでH2ガスを吹
き込むことによって生成され、導入管40、……に供給
される。
【0023】H2/H2O流通路3〜6は、導入管40と
42、排出管41と43、導入管44と46、排出管4
5と47のそれぞれの間において、x方向に沿って開孔
部202R、310、202L、……(詳しくは図2を
参照)が連続することにより構成される管状の流通路で
ある。これらの構成により、導入管40、……から各セ
ルユニット30、……にH2/H2Oを導入し、排出管4
1、……から未反応のH2と冷却水が排出される。
【0024】なお、H2/H2O流通路3〜6は当然なが
ら冷却水が流通路するので、冷却媒体流通路に相当する
ものである。図2はセルユニット30XRの構成を示す
図である。当図ではセルユニット30XRの部品構成と
集電プレート20Rの配置関係を主として示している
が、セルユニット30XRの構成は30XLと同一であ
り(「R」を「L」に置き換えるのみ)、さらにセルユ
ニット30XR(30XL)と30とは電極接合体のサ
イズが異なる点(詳細を後述する)以外でほぼ同様であ
る。したがって上記点を除き、セルユニット30XRを
例としてセルユニット30、30XLの構成も説明する
ものとする。また、集電プレート20Rの各構成も
「R」を「L」に置き換えるのみで集電プレート20L
と共通している。
【0025】セルユニット30XRは、バイポーラプレ
ート301と電極接合体333XR、シール材320等
で構成される。電極接合体333XRは固体高分子膜3
30、アノード332XR、カソード331XR等で構
成される。固体高分子膜330は、パーフルオロカーボ
ンスルホン酸からなる陽イオン交換樹脂であり、厚さ約
50μmの電解質膜(例えばDu Pont社製Nafion11
2)である。
【0026】アノード332XR、カソード331XR
は、例えば白金(Pt)を1mg/cm2電極面積で担持
する白金担持カーボン膜であって、固体高分子膜330
の両主面の中央部にそれぞれホットプレスにより密着加
工されている。なお図1において、カソード331XR
は固体高分子膜330の下面に位置するので破線で表示
している。
【0027】この電極接合体333XRのカソード33
1XR側がバイポーラプレート301のチャネル316
に重ねられる。このとき、固体高分子膜330の縁端部
はバイポーラプレート301上のチャネル316を囲む
溝に填め込まれたシリコンラバー製パッキン306(O
リング)と密着するようになっている。一方、紙面上部
に位置するアノード332XR側は、セルユニット30
のバイポーラユニット301と重ねられる。
【0028】シール材320は耐熱性・絶縁性のフッ素
樹脂やシリコンラバー等からなり、セルユニット30、
……同士の積層間に密着して内部をシールし、水素のリ
ークを防止する等の役目を有する。バイポーラプレート
301はフェノール樹脂にカーボン粉末を混合したもの
を射出成形してなる部材であって、主面の片側(当図で
は上面)にy方向を長手方向としてx方向に一定間隔毎
にリブ317が並設され、これによりy方向にH2/H2
0を流通させるチャネル316が形成されている。すべ
てのチャネル316はy方向に沿って流通路307、3
14と連通しており、当該連通部の上部に蓋304、3
05、308、309が配設され、カソード331XR
に対面するチャネル316およびリブ317の面積とH
2/H2Oの流通路長が調整されている。
【0029】また当図中において、バイポーラプレート
301の紙面裏側に位置する主面には、y方向に一定間
隔毎にリブ302が並設され、これによりz方向に酸化
剤ガス(空気)を流通させるチャネル303が形成され
ている。さらに、図示しないが306と同様のパッキン
も配されている。シール材320、バイポーラプレート
301、集電プレート20Rにはその各主面の四隅にそ
れぞれ開孔部321〜324、310〜313、202
R〜205R(205Rは不図示)が設けてあり、この
うち開孔部202R、205R、310、311、32
1、322等により構成されるH2/H20流通路3、5
(図1を参照)からチャネル316にH2/H20が供給
される。H2/H20はチャネル316を流通した後、未
反応のH2を含んだ状態で開孔部203R、204R、
312、313、323、324等により構成されるH
2/H20流通路4、6(図1を参照)に至り、PEFC
1の外部へ排出される。
【0030】なお、上記シール部材320は主に各セル
ユニット30、30XR、30XL間に介挿して使用す
るが、セルユニット30XR(30XL)と集電プレー
ト20R(20L)の密着性を高めるためにも使用する
のが望ましい。また、これと同時にパッキン306を併
用してもよい。本PEFC1では、以上のような構成を
有するセルユニット30XR、30、30XLが合計3
0セルユニット分にわたって積層されている。
【0031】ここにおいて、本実施の形態1の主な特徴
は電極接合体333XR(333XL)のカソード33
1XR(331XL)およびアノード332XR(33
2XL)にある。ここで図3は、本PEFC1に用いら
れるすべてのカソード331XL、331、331XR
(アノード332XL、332、332XR)について
の配置関係を立体的に示した図である。この図3から明
らかなように、カソード331XR、331XL(アノ
ード332XR、332XL)は、その面積(電極反応
面積)がセルユニット30のカソード331(アノード
332)の面積より小さいサイズ(具体的には70%)
に設定されている。より詳細に言えば、セルユニット3
0のカソード331(アノード332)がy方向長10
cm×z方向長10cm(100cm2)の面積を占め
るのに対し、カソード331XR、331XL(アノー
ド332XR、332XL)はy方向長7cm×z方向
長10cm(70cm2)の面積に調節されている。こ
のように本PEFC1では、合計30枚にわたるセルユ
ニット積層体の両端に位置するセルユニットの電極反応
面積が、それら以外のセルユニットの電極反応面積より
も小さい構成になっている。
【0032】1─2.PEFC1の動作 以上のような構成によれば、PEFC1の稼働時には、
導入管40、……から供給されるH2/H2OはH2/H2
流通路3、5を経て、各セルユニット30XR、……の
チャネル316、……よりアノード332XR、……に
供給される。そしてH2/H2O中のH2は、イオン化して
プロトン(H2→2H++2e-)となり、当該プロトン
を水和する移動水とともに固体高分子膜330中をカソ
ード331XR、……側へ移動する。一方、チャネル3
03からカソード331XL、……に供給される空気中
の酸素は酸素イオン(1/2O2+2e-→O2-)となり、
酸素イオンはカソード331XL、……において固体高
分子膜330中を移動してきたプロトンと化合し、約1
00℃でH2Oを生じる発熱反応(電極反応)を起こす
(2H++O2-→H2O)。この電極反応で発生する熱に
よって、導入管40、……よりPEFC1内部に供給さ
れるH2/H2O中のH2Oの一部が水蒸気となり、上記電
極反応で生じるH2Oとともに固体高分子膜330に湿
潤性を付与し、その内部抵抗を低減させる。
【0033】そして各セルユニット30XR、30、3
0XLで発電された電力が接続端子201R、201L
より外部負荷へ出力されることとなる。ここにおいて本
PEFC1では、H2/H2O流通路3、5の各導入口
(導入管40、……)に最も近いセルユニット30X
R、30XLのアノード332XR(332XL)およ
びカソード331XR(331XL)の電極反応面積を
他のセルユニット30のアノード332およびカソード
331のそれよりも小さくするといった工夫をしている
ので、アノード332XR(332XL)およびカソー
ド331XR(331XL)の電流密度がアノード33
2およびカソード331よりも増大され、この部分で電
極反応熱又は高いジュール熱により高い発熱量が得られ
る。
【0034】一方、上記導入管40、……から導入され
るH2/H2OはH2/H2O流通路3、5を流通しながら各
セルユニット30XR、30、30XLを冷却するが、
2/H2O流通路各導入口に最も近いセルユニット(3
0XR、30XL)は、上記工夫によりこの部分での温
度低下を抑制するので、従来のように過冷却されること
を抑制でき、その温度が良好に保たれることとなる。
【0035】このようにPEFC1では、発熱源として
外部より何ら新たな構成要素を必要とすることなく、セ
ルユニット自体の発熱温度の上昇によって過冷却効果が
抑制されつつ稼働時の冷却温度が均一化されるので、高
い安定性のもとに優れた発電効率を発揮することが可能
となっている。 1─3.性能比較実験(実施例aと比較例x) ここで図4は、PEFC1と、一般的な内部加湿方式の
PEFCに冷却水を導入したときの稼働時(室温水60
0cc/minおよび0.5kWの定格運転)の温度分布
を示すグラフである。尚、各セルユニットの温度は、チ
ャネル303の一つに温度センサを設けて測定した。こ
こではPEFC1を実施例a、一般的なPEFCを比較
例xとして示している。実施例aと比較例xは、実施例
aのセルユニット30XL、30、30XRの構成が上
記実施の形態1と同様に設定され、比較例xのセルユニ
ットはすべてセルユニット30と同様のものからなる以
外はすべて共通している。なお、このときの詳細な運転
条件は以下の通りである。
【0036】・燃料ガス;純水素 ・酸化剤ガス;空気 ・燃料ガス利用率;70% ・酸化剤ガス利用率;30% 当図から明らかなように、比較例xではセルユニットの
積層方向両端において、比較的極端に温度の低下がみら
れ、冷却水による過冷却の影響が示されている。これに
対し、実施例aでは、比較例xより格段に温度低下が改
善されており、セルユニット30XR、30XLにおい
て前記ジュール熱等による補温効果が発揮されることに
より、PEFC1全体での冷却温度の均一化が図られ、
良好な状態で稼働しているとみることができる。
【0037】1─4.性能比較実験(実施例a〜eと比
較例x) 実施の形態1のPEFC1の性能をさらに調べるため、
実施例a以外に実施例を4種類し(実施例b〜e)、比
較例xとともに発電試験を行って性能比較を実施した。
実施例a〜eとしては、セルユニット30に対するセル
ユニット30XR、30XLのカソード及びアノードの
面積比(電極反応面積比)の値を変化させた5種{面積
比:40%(y方向長5cm×z方向長8cm)=実施
例d、50%(y方向長5cm×z方向長10cm)=
実施例c、70%(y方向長7cm×z方向長10c
m)=実施例a、90%(y方向長9cm×z方向長1
0cm)=実施例b、95%(y方向長9.5cm×z
方向長10cm)=実施例e}のPEFCとしてそれぞ
れ作製した。
【0038】これを前記図4の試験と同様の条件で運転
し、セル積層方向に対する温度分布を測定した。これら
の性能比較実験の結果をまとめたのが図5である。当図
から、セルユニット30に対するセルユニット30X
R、30XLの電極反応面積比を40%〜95%の範囲
で変化させた場合にも、それぞれの電極反応面積比の違
いに応じて若干の効果の違いは見られるものの、冷却水
による温度分布の均一化が図られているのが確認でき、
本実施例の優れた効果をみることができる。
【0039】しかしながら実施例dでは、セルユニット
30XR、30XLの電極反応面積が小さすぎて発熱量
が多くなり過ぎ、この部分の温度が燃料電池スタックの
中央部付近の温度よりも高くなってしまっている。また
逆に実施例eでは、セルユニット30の電極反応面積と
大差がないため、比較的本実施例の効果が小さく止まっ
ている。このため本実施の形態1を効果的に実現するた
めには、セルユニット30XR、30XLの電極反応面
積はセルユニット30ののそれに対して50%〜90%
(すなわち0.5倍〜0.9倍)の範囲で小さくするのが
望ましいと思われる。
【0040】1─5.実施の形態1に関するその他の事
項 上記実施の形態1では、電極反応面積のサイズを調節す
る例を示したが、これらの電極のサイズを一定とし、電
極と対面するバイポーラプレートのチャネルおよびリブ
の面積を調節する構成としてもよい。具体的にはバイポ
ーラプレートの蓋305、308等のサイズをy方向に
沿って変える方法等が挙げられる。
【0041】さらに、本発明ではセルユニット30X
R、30XLにおいて、電極反応面積を小さくするため
に、これらのセルユニットにおける電極の触媒担持密度
(電極面積当たりの触媒担持量)を小さくしても良い。
これらのセルユニットにおける電極の触媒担持密度をセ
ルユニット30におけるそれよりも小さくすると、触媒
の表面積が減少することにより電極反応面積が小さくな
るため、実施の形態1と同様の効果が得られる。この場
合、具体的にセルユニット30XR、30XLの電極面
積当たりの触媒担持量は、セルユニット30のそれに比
べて0.5倍〜0.9倍の範囲が望ましいことが別の実験
により明らかになっている。
【0042】また、上記例では、冷却水とH2の混合物
であるH2/H2Oを各セルユニットに導くタイプの例を
示したが、冷却水とH2とを別々に各セルユニットに導
入するタイプでも同様に実施できる。 2.実施の形態2 次に、本発明の固体高分子型燃料電池の実施の形態2に
ついて説明する。実施の形態2の基本的な構成は実施の
形態1と同様であり、ここではその特徴部分を中心に説
明する。
【0043】2─1.固体高分子型燃料電池スタック2
の構成 図6は、本実施の形態2に係る内部加湿方式の固体高分
子型燃料電池スタック2(以下「PEFC2」と称す)
の正面図である。本PEFC2が前記PEFC1と異な
る点は、PEFC1でセルユニット30XR、30XL
および集電プレート20R、20Lが配設されていた各
位置に、電気的に3分割されたセルユニット40XR、
40XL、および集電プレート21R、21L等が代わ
りに配置されている点、およびこれら40XR、21
R、40XL、21Lが分割された各部分を経由してP
EFC2の電力を選択的に外部に取出せるスイッチ回路
50R、50Lを備える点、さらに、PEFC2のセル
ユニット積層中央部のセルユニット30とセルユニット
40XR、40XLの各電極温度が測定できるように温
度センサS1〜S3が配置され、その測定温度に基づい
て制御回路60により前記スイッチ回路50R、50L
が制御される点にある。これらの構成は、具体的には以
下の通りである。
【0044】図7はセルユニット40XRの構成を示す
図である。当図のように本実施の形態2では、セルユニ
ット40XR、バイポーラプレート401XR、集電プ
レート21Rの各部品が電気的に3つの独立した配置関
係になっている。すなわち、アノード414XRおよび
カソード415XRは、それぞれ固体高分子膜330の
両主面に対し、アノード414XRおよびカソード41
5XRは3つの短冊状のアノード片414a〜414
c、カソード片415a〜415cを並設して構成され
ている。バイポーラプレート40XRは、これらのアノ
ード片414a〜414c、カソード片415a〜41
5cの各並設間隔に合わせてシリコンラバー製の絶縁部
材404、405で電気的に独立(絶縁)して設けられ
たバイポーラプレート片400a〜400cから構成さ
れ、さらに集電プレート21Rも、絶縁部材221、2
22で絶縁された集電プレート片210a〜210cで
構成されている。つまり図7に示すように、アノード片
414a〜414c、カソード片415a〜415c、
バイポーラプレート400a〜400c、集電プレート
210a〜210cの各々は、各番号のa〜cで電気的
に分割されて積層された構成となっている。ここで各a
〜cは、アノード片414a〜414cおよびカソード
片415a〜415cの面積比がa:b:c=2:1:
1になるサイズで分割されている。
【0045】このように本実施の形態2では、バイポー
ラプレートとこれに隣接するセルユニットが、ともに電
気的に独立して3分割された構成を有する。なお、セル
ユニット40XRの構成は40XLと同一である
(「R」を「L」に置き換えるのみ)。また、集電プレ
ート21Rの各構成は「R」を「L」に置き換えるのみ
で集電プレート21Lと共通している。
【0046】このような構成のセルユニット40XR
(40XL)は、一様の通電性を有するセルユニット3
0とともに積層される。そしてPEFC2の発電時の電
力は、アノード片414a、……およびカソード片41
5a、……のそれぞれに対応する集電プレート21R
(21L)の接続端子211R、212R、213R
(211L、212L、213L)のいずれかからスイ
ッチ回路50R、50L(図6を参照)を経由して外部
負荷に供給される。
【0047】ここで、スイッチ回路50R、50Lには
内部にスイッチ接点51R、51L、52R、52Lが
備わっており、スイッチ接点51R、51L(52R、
52L)は接続端子212R、212L(213R、2
13L)とそれぞれ連結され、その開閉調節は制御回路
60によって制御される。なお、接続端子211R、2
11Lはスイッチ回路50R、50Lを通して常時外部
負荷に接続されている。
【0048】このように本実施の形態2にあっては、P
EFC2の電力は、アノード片414a〜c、カソード
片415a〜cで最大面積のアノード片414a、カソ
ード片415aを経由し、接続端子211R、211L
より常時外部負荷に接続されている。つまりアノード4
14XR、カソード415XRは、スイッチ回路50
R、50Lを制御することによって、元の面積の1/2
倍、3/4倍及び等倍のいずれかの面積分が外部負荷へ
接続されることとなる。
【0049】なお、PEFC2のセルユニット積層中央
部のセルユニット30と、セルユニット40XR、40
XLには、それぞれ温度センサS2、S1、S3がこの
順に配設されており、各セルユニット30、40XR、
40XLの電極温度が測定される。これらの温度センサ
S1〜S3による各測定温度は制御回路60によって監
視される。
【0050】制御回路60はワンチップマイクロコンピ
ュータを内蔵しており、PEFC2のセルユニット積層
中央部のセルユニット30、およびセルユニット40X
L、40XRの各電極温度を温度センサS1〜S3より
監視し、通常稼働時における当該セルユニット30の電
極温度基準値(例えば80℃)に対してセルユニット4
0XR、40XLの電極温度差が予め定められた一定値
(例えば10℃)以上になった場合に、前記スイッチ回
路50R、50Lのスイッチ接点51R、……を開放
し、PEFC2から外部負荷への電力供給を遮断すると
いった命令を含む制御プログラムが組み込まれている。
【0051】なお、この制御プログラムでは、セルユニ
ット40XR、40XLの温度低下の原因は冷却水によ
る過冷却であると見なし、上記のような制御命令を下す
ようになっている。 2─2.PEFC2の動作 このような構成によれば、実施の形態1と同様に、PE
FC2の稼働時には、開孔部231、232(不図
示)、407、411より流通路406を通ってチャネ
ル412からアノード414XR、……に供給されるH
2/H2O中のH2はプロトンとなり、固体高分子膜330
中をカソード415XR、……側へ移動する。一方、リ
ブ402間のチャネル403から供給されるO2がカソ
ード415XR、……において前記プロトンと化合し、
2Oを生じる発熱反応(電極反応)を起こす。
【0052】この電極反応によって、導入管40、……
よりPEFC2内部に供給されるH 2/H2O中のH2Oの
一部が水蒸気となり、上記電極反応で生じるH2Oとと
もに固体高分子膜330が湿潤性が付与され、その内部
抵抗が低減される。そして各セルユニット40XR、3
0、40XLで発電された電力が接続端子211R、2
12R、213R、……のそれぞれよりスイッチ回路5
0R、50Lに至る。ただし各接続端子211R、……
からの電力は、制御回路60の制御によってスイッチ回
路50R、50L中のスイッチ接点51R、……が接続
および遮断されることにより、セルユニット40XR、
40XLの電極片414a、……の電通が選択的に遮断
された状態で適宜外部負荷へ供給されることとなる。
【0053】以上の制御回路60によるPEFC2の特
徴的な動作は、より具体的には以下の通りである。すな
わち、PEFC2に供給されるH2/H2Oによって、導
入管40、……に最も近いセルユニット40XR、40
XLを中心にセルユニットが過冷却されることがある。
この場合にはPEFC2全体の冷却温度に不均一が生
じ、飽和水蒸気量の低下に伴って固体高分子膜330に
供給される水蒸気が不足するなどの問題が生じ、発電効
率が低下することがある。なお発電効率の低下は、PE
FC2に掛かる負荷が増大する場合にも同様に見られる
ときがある。
【0054】そこでPEFC2では、センサS2が測定
したPEFC2のセルユニット積層中央部のセルユニッ
ト30の電極温度(80℃)に対し、センサS1および
センサS3が測定したセルユニット40XR(40X
L)の電極温度の差が10℃以上になった場合、制御回
路60は制御プログラムに基づいてスイッチ回路50
R、50Lに制御命令を送り、スイッチ接点51R、5
1Lを開放し、カソード片415bおよびアノード片4
14bを経由して外部負荷に供給される電力をストップ
する。
【0055】このような制御回路60の制御によって、
今の場合、導入管40、……に最も近接するセルユニッ
ト40XR、40XLの電極反応面積が元の3/4の面
積に小さくなる(セルユニット40XR、40XLでは
カソード片415b、アノード片414bは発電に寄与
しなくなり、残りのカソード片415a、415c、ア
ノード片414a、414cのみが電極反応面積とな
る)ように制御されるので、これらのセルユニット40
XR、40XLの電極接合体416XR、416XLに
おいて、電極反応熱又はジュール熱により高い発熱量が
得られる。そして、この発熱が冷却水によるセルユニッ
ト40XR、40XLの過冷却効果を抑制するように働
くこととなる。
【0056】続いて、このような制御にも関わらず、依
然として前記各セルユニット30に対するセルユニット
40XR、40XLの電極温度差が10℃以上であるこ
とを温度センサS1〜S3により検知した場合、制御回
路60は制御プログラムに基づき、さらに上記スイッチ
接点51R、50Lに加えてスイッチ接点52R、52
Lも開放し、カソード片414cおよびアノード片41
5cを経由して外部負荷に供給される電力までもストッ
プする。この場合、セルユニット40XR、40XLの
電極反応面積が元の1/2の面積までに小さくなり、電
極接合体416XR、416XLにおいて、さらに高い
発熱量が得られるようになり、より強力かつ効果的に冷
却水によるセルユニット40XR、40XLの過冷却効
果を抑制するように働く。
【0057】以上のように、制御回路60の各制御によ
って、過冷却効果を被りやすいセルユニット40XR、
40XLの電極面積が適宜段階的(本実施の形態2では
3段階)に小さくなるように制御され、その段階的制御
のそれぞれに見合った度合いで電極接合体416XR、
416XLにおいて高い発熱量が発生する。そしてこの
発熱量によって、セルユニット40XR、40XL近辺
の過冷却が効果的に抑制される。したがってPEFC2
は均一な冷却温度分布に保たれ、電力効率がセルユニッ
トの過冷却効果により変動しても良好に復帰されるの
で、全体として安定した発電が可能となる。
【0058】なお、制御回路60は上記各制御動作の結
果、セルユニット40XR、40XLの電極温度が予め
設定された一定値まで回復すると、制御プログラムによ
りスイッチ回路50R、50Lの各スイッチ接点51
L、…を再度接続し、スイッチ回路50R、50Lの状
態を元に戻す。 2─3.実施の形態2に関するその他の事項 上記実施の形態2では、電極のアノード414XRおよ
びカソード415XRを3つの短冊状のアノード片41
4a〜414c、カソード片415a〜415cを並設
して構成する例を示したが、この電極の分割数は3つに
限るものではなく、適宜その数を変更してもよい。但し
その場合、接続端子数およびスイッチ回路のスイッチ接
点の数も合わせた調整が必要になるのは言うまでもな
い。
【0059】また、上記では通常稼働時におけるPEF
C2のセルユニット積層中央部のセルユニットの電極温
度基準値を80℃とし、これに対するセルユニット40
XR、40XLの電極温度に10℃以上の差が生じた場
合に制御回路60が所定の制御を行う例を示したが、当
然ながら本発明はこれらの数値に限定するものではな
く、適宜他の電極温度に設定してもよい。また、セルユ
ニット40XR、40XLのどちらか一方がセルユニッ
ト積層中央部のそれに対して一定値以上の温度差を生じ
た場合を考慮して、該当する40XR、40XLのいず
れかの電極面積を制御するように制御プログラム等を変
更してもよい。
【0060】さらに、セルユニット30に設ける温度セ
ンサの配置位置も上記位置に限定するものではなく、積
層中央部よりずれた位置にセットしてもよい。但し、あ
まり積層方向端部寄りに設けると過冷却によって測定温
度にずれが生じるため注意が必要である。また、セルユ
ニット40XR、40XLに関しては、これら両方に温
度センサを設ける必要はなく、少なくともどちらか一方
に温度センサを設ければよい。また逆に、上記S1〜S
3以上に温度センサを多数設け、より精密な温度測定を
行って制御回路60の制御に反映させるようにしてもよ
い。
【0061】また、冷却媒体通路の導入口(導入管4
0、……)に最も近いセルユニットの電極を電極片とす
る例を示したが、本発明はこれに限定せず、前記導入口
に最も近いセルユニットに加えて2番目、さらに3番目
のセルユニットでその電極を電極片で構成してもよい。
またアノード414XRおよびカソード415XRは両
方とも分割する必要はなく、集電プレートに対向する側
の電極だけを分割するようにしても同様の効果が得られ
る。
【0062】さらに、電極片を有するセルユニットは基
本的に燃料電池スタック中において、冷却媒体による過
冷却効果を被り易い任意のセルユニットの位置に配設し
てもよいが、構成上の理由から、電極片と、これに対し
てすべての電極片との一括した通電を避けたい電極とが
対向する場合がある。このときはゴム等の絶縁部材を介
して両者を積層し、当該スタックの外側にぞれぞれ配線
を設けて通電を制御するなどの工夫が適宜必要となる。 3.実施の形態1および2に共通するその他の事項 電極接合体の構成要素である固体高分子膜が50μm程
度と比較的薄い場合、冷却媒体の過冷却によって固体高
分子膜の保湿が不安定になりやすいので、そのような固
体高分子膜を使用する場合などに本発明を適用すると特
に顕著な効果が期待できる。
【0063】なお、本発明の性能は外部加湿方式のPE
FCでも有効に発揮されるが、内部加湿方式のPEFC
では水蒸気を生成するため気化熱が要求されるので、セ
ルユニットの温度が低下しすぎて固体高分子膜の保湿不
良が生じやすい。そのため本発明は、内部加湿方式のP
EFCで特に有効であると期待される。また、各実施の
形態ではセルユニット数が30枚にわたり積層する例を
示したが、本発明は当然ながらこれに限定するものでは
なく、発電規模などの条件に応じて適宜セルユニットの
積層数を変更してもよい。また、同様の理由から電極の
サイズも変更してもよい。但し、電極サイズを変更する
場合には、冷却媒体通路の導入口付近のセルユニットと
その他のセルユニットでサイズを区別する必要があるの
は言うまでもない。
【0064】また、上記実施の形態ではセルユニットの
積層体の両端部から冷却水を導入する構成を例に示した
が、冷却媒体流通路の導入口は前記端部の片方のみに配
設してもよい。さらに前記導入口付近にセルユニット3
0XR、30XL、……を配置する限り、上記以外の位
置に前記導入口を設ける構造としてもよい。さらに上記
実施の形態では各セルユニットに冷却媒体を分配する例
を示したが、本発明は、一定積層数のセルユニット間隔
毎に冷却プレートを介挿し、当該冷却プレートに冷却媒
体を導入するタイプのPEFCにも適用できる。
【0065】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、本発明
は正極と負極の電極間に固体高分子膜を介してなる電極
接合体を有する単位セルが複数積層され、運転時におい
て各単位セルを冷却する媒体を導入する冷却媒体流通路
を備える固体高分子型燃料電池であって、前記冷却媒体
流通路の導入口付近の単位セルで、運転時において発生
する発熱量が、前記導入口付近以外の他の単位セルのそ
れよりも高い構成であるため、従来よりも比較的簡便な
方法で均一な温度分布に冷却しつつ、安定した発電を行
うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の固体高分子型燃料電池の正面図
である。
【図2】実施の形態1のセルユニットと集電プレートの
斜視図である。
【図3】実施の形態1の各セルユニットの電極の各サイ
ズ関係を示す図である。
【図4】実施例と比較例の燃料電池スタックの実験結果
を示す図である。
【図5】実施例と比較例の燃料電池スタックの実験結果
を示す図である。
【図6】実施の形態2の固体高分子型燃料電池の正面図
である。
【図7】実施の形態2のセルユニットと集電プレートの
斜視図である。
【符号の説明】
1、2 固体高分子型燃料電池(PEFC) S1〜S3 温度センサ 3〜6 冷却媒体流通路 20R、20L 集電プレート 30、30XR、30XL セルユニット 40、42、44、46 導入管 41、43、45、47 排出管 50R、50L スイッチ回路 51R、51L、52R、52L スイッチ接点 60 制御回路 201R、201L、211R、211L、212R、
212L、213R、213L 接続端子 202R〜205R、310〜313、321〜324
開孔部 221、222、404、405 絶縁部材 302、317、402、413 リブ 301、401XR、401XL バイポーラプレー
ト 303、316、403、412 チャネル 330 固体高分子膜 331、331XR、331XL、415XR カソ
ード(触媒層) 332、332XR、332XL、414XR アノ
ード(触媒層) 333、333XR、333XL、416XR 電極
接合体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米津 育郎 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−167416(JP,A) 特開2001−15145(JP,A) 特開2000−251912(JP,A) 特開 平5−242902(JP,A) 特開 平9−245802(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/86 - 4/98 H01M 8/00 - 8/24

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正極と負極の電極間に固体高分子膜を介し
    てなる電極接合体を有する単位セルが複数積層され、運
    転時において各単位セルを冷却する媒体を導入する冷却
    媒体流通路を備える固体高分子型燃料電池であって、少なくとも 前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い単位
    セルの電極反応面積を、他の単位セルの電極反応面積
    りも小さくすることを特徴とする固体高分子型燃料電
    池。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の固体高分子型燃料電池に
    おいて、 少なくとも前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い単位
    セルのカソード又は/及びアノードの面積を、前記他の
    単位セルのカソード又は/及びアノードの面積よりも小
    さくすることにより、 前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い単位セルの電極
    反応面積を、前記他の単位セルの電極反応面積よりも小
    くすることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の固体高分子型燃料電池に
    おいて、 前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い単位セルのカソ
    ード又は/及びアノードの面積が前記他の単位セルの
    ソード又は/及びアノードの面積の0.5〜0.9倍に相
    当することを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の固体高分子型燃料電池に
    おいて、 少なくとも 前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い単位
    セルの触媒担持密度を、前記他の単位セルの触媒担持密
    度よりも小さくすることにより、 前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い単位セルの電極
    反応面積を、前記他の単位セルの電極反応面積よりも小
    さくする ことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の固体高分子型燃料電池に
    おいて、 前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い単位セルの触媒
    担持密度が前記他の単位セルの触媒担持密度の0.5〜
    0.9倍に相当することを特徴とする固体高分子型燃料
    電池。
  6. 【請求項6】前記冷却媒体流通路の導入口に最も近い単
    位セルの、前記導入口側に配された電極が、電気的に分
    割された複数の電極片よりなり、当該複数の電極片のい
    ずれかが負荷回路への通電を遮断される構成であること
    を特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
  7. 【請求項7】複数の単位セルが直列に積層された積層体
    を構成し、当該積層体の積層方向両端に前記冷却媒体流
    通路の導入口が配置された構成の請求項1〜6のいずれ
    かに記載の固体高分子型燃料電池。
  8. 【請求項8】前記冷却媒体は水であり、前記固体高分子
    型燃料電池は当該水を固体高分子膜の加湿に利用する内
    部加湿方式であることを特徴とする請求項1〜7のいず
    れかに記載の固体高分子型燃料電池。
  9. 【請求項9】前記固体高分子膜は膜厚が50ミクロン以
    下のパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子膜である
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の固体
    高分子型燃料電池。
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