JP3458972B2 - 画像領域分割方法 - Google Patents

画像領域分割方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【目次】以下の順序で本発明を説明する。 産業上の利用分野 従来の技術 発明が解決しようとする課題(図10及び図13) 課題を解決するための手段(図3〜図9) 作用(図3〜図9) 実施例(図1〜図10) 発明の効果
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は画像領域分割方法に関
し、画像を限られた伝送容量の伝送媒体で伝送したりテ
ープレコーダ等へ記録し及び又は再生するために、画像
中の物体の輪郭線を重点的に保存する高能率符号化方法
を用いる場合の輪郭線抽出方法に適用し得る。
【0003】
【従来の技術】従来、画像信号の高能率符号化方法は、
画像信号の持つ相関の高さを利用して冗長性を削減する
ものであり、画像信号の伝送や記録の際に必要不可欠な
ものである。従来の画像信号の高能率符号化方法とし
て、予測符号化のような画像を画素単位に扱う符号化方
法や、離散コサイン変換(DCT(Discrete Cosine Tr
ansform ))に代表される直交変換符号化やウエーブレ
ツト変換のようなサブバンド符号化等が存在する。
【0004】予測符号化は、代表的な手法としてフレー
ム内DPCM(Differential PulseCode Modulation)
等があり、原画素と復号化した近傍画素の差分を量子化
して符号化するものである。このような予測符号化方法
は、必要な圧縮率が1/2〜1/4程度とそれほど高く
ない場合には有効であるが、それ以上の高圧縮率符号化
には適さない。一方、直交変換符号化やサブバンド符号
化は、圧縮率が1/10以上と高い場合に用いられてお
り、現在はDCTを用いた符号化方法が一般的に多く用
いられている。これはDCTが高速アルゴリズムを有
し、ハード化が容易である等の理由によるものであり、
国際標準(JPEG、MPEG)にも採用されている。
【0005】DCTを用いた画像信号符号化方法の基本
原理は、画像信号の低周波成分の電力がきわめて大きい
という特徴を利用し、DCTによつて求められた画像信
号の周波数成分を量子化する際に、低周波成分の量子化
ステツプサイズは小さく、高周波成分のステツプサイズ
は大きくすることによつて、全体として情報量を圧縮す
る方法である。しかし量子化を行うことによつてブロツ
ク歪みとモスキート雑音が生じてしまうという問題があ
り、特にマクロブロツクを単位とした処理であることに
起因するブロツク歪みは、符号化速度が低い場合に顕著
になる。このため、超低ビツトレートの画像符号化を行
うためには新たな高能率符号化方法が必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで超低ビツトレー
トでの伝送や記録を目的とした画像符号化方法として、
人間の視覚特性が物体の輪郭線に特に敏感であるという
ことを考慮し、原画像中の輪郭線部分を重点的に保存す
ることにより、低ビツトレートでも視覚的に優れた復元
性を実現しようとする方法が提案されている。このよう
な原画像中の輪郭線部分を重点的に保存する画像信号符
号化方法においては、いかに効率良く物体の輪郭線を抽
出するかが重要になる。
【0007】原画像から輪郭線部分を抽出するエツジ領
域抽出手順を図10に示す。すなわち入力される原画像
の画像信号AD0は、ソーベルフイルタ等のエツジ検出
オペレータを用いてエツジ抽出を行うエツジ強度算出処
理部AP1、AP2に入力され、この結果エツジ強度信
号AD1、AD2を得る。このエツジ強度算出処理部A
P1、AP2では、図11に示す3×3のタツプ係数の
ソーベルフイルタが用いられ、それぞれ水平方向のエツ
ジ強度を示すエツジ強度信号AD1と、垂直方向のエツ
ジ強度を示すエツジ強度信号AD2を求める。
【0008】このエツジ強度信号AD1、AD2は、注
目画素のエツジ強度の絶対値和を得るため、それぞれ乗
算器AP4、AP5において自乗され、水平方向のエツ
ジ強度信号電力AD4、垂直方向のエツジ強度信号電力
AD5となる。次に水平方向のエツジ強度信号電力AD
4と垂直方向のエツジ強度信号電力AD5は、加算器A
P7によつて加算され注目画素のエツジ強度を示す信号
AD7を得る。
【0009】ここで、物体の輪郭や物体間の境界線など
のエツジ領域と、テクスチヤ内のエツジ領域の特性の違
いを考慮に入れた場合、エツジ領域とテクスチヤ領域を
分離するための特徴量として、局所的な階調値の変化特
性と、大局的な変化特性を示す指標値を用いる手法が有
効である。
【0010】そこでまず、階調値の局所的な変化特性を
表す特徴量として、エツジ領域か否かを判定する際に用
いる重要な特徴量として注目画素のエツジ強度がある。
またその他に、物体の輪郭や物体間の境界とテクスチヤ
領域内のエツジの特性の違いとして、注目画素周辺の空
間周波数の変化が上げられ、ハイパスフイルタ(HP
F)等の出力値が用いられる。このエツジ領域抽出に用
いるハイパスフイルタの例としては、図11に上述した
3×3のソーベルフイルタなどがあるが、この他に5×
5、7×7等、タツプ数やタツプ係数が異なるフイルタ
も適用できる。
【0011】また大局的な特性を表す特徴量として、局
所的な変化特性を表す特徴量であるハイパスフイルタの
出力値の一定領域内における平均値などを用いる。そこ
で、このような大局的な変化特性を示す特徴量を求める
際に必要な局所的特徴量を得るためのマスク領域を、注
目領域周辺に設定する。このマスク領域の種類として、
図12に示されるような窓領域がある。このマスク領域
MSK1、MSK2は、注目画素PLが持つエツジ強度
の法線方向にある注目画素PLを境とする注目画素PL
の両側の1次元の領域であり、片側の1次元の領域をそ
れぞれ第1、第2のマスク領域MSK1、MSK2とす
る。これは、エツジ領域を境として大きく変わる階調値
の変化をエツジの両側の特徴量の関係から得ようとする
ものである。
【0012】このような各種の特徴量を用いたエツジ領
域抽出のためのしきい値決定の処理手順は、図10にお
いて、処理部AP3、AP6、AP8を用いて表され
る。まず、原画像の画素信号AD0がフイルタリング処
理部AP3に入力されて得られる出力信号AD3を、マ
スク領域設定処理部AP6に入力する。ここで設定され
たマスク領域内から求められる特徴量AD6を算出し、
しきい値決定処理部AP8においてエツジ強度を示す信
号AD7と特徴量AD6をパラメータとするしきい値関
数F()に応じてしきい値AD8が求められる。
【0013】なお関数F()はテクスチヤ領域とエツジ
領域を分離するために最適だと思われるしきい値を取れ
るようにシミユレーシヨンによつて決定される。しきい
値決定処理部AP8において用いられるしきい値関数の
例を図13に示す。しきい値関数の例として図13に示
されるような注目画素のエツジ強度Eと2つのマスク領
域内の平均値M1 、M2 の関係を示す関数F1 ()が用
いられる。しきい値関数F1 ()は、次式
【数1】 で示され、マスク領域内の平均値M1 、M2 の値によ
り、しきい値Tとなるエツジ強度Eが得られるものであ
る。
【0014】しきい値が決定された後、エツジ強度を示
す信号AD7としきい値決定処理部AP8から出力され
るしきい値信号AD8を比較器AP9に入力することに
よつて、注目画素がテクスチヤ領域か、エツジ領域かを
判断する。比較器AP9からの出力信号AD9として、
注目領域がテクスチヤ領域のとき0を、エツジ領域のと
き1を得る。従つて、比較器AP9からの出力信号AD
9を各画素の画素値として得られる画像は、エツジ領域
抽出によつて抽出されたエツジ領域を示す画像であり、
以下これをマスク画像と呼ぶ。
【0015】しかし図10のエツジ領域抽出手順では、
輝度変化の少ない領域内において、物体の輪郭や物体間
の境界を抽出することが困難である。したがつて、エツ
ジ領域とそれ以外の領域を分離する際に、輝度信号だけ
でなく色差信号からもエツジ情報を得ることが必要にな
つてくる。そこで、輝度情報からだけでなく、色差情報
からもエツジ領域を求め、それらを合成する新たなエツ
ジ領域分割方法が必要となつた。
【0016】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、カラー画像信号よりエツジ領域でなるマスク画像を
得る際に、確実かつ効率良くエツジ領域とそれ以外の領
域に分割し得る画像領域分割方法を提案しようとするも
のである。
【0017】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め第1の発明においては、複数の成分(DD1、DD
2、DD3)を有するカラー信号を入力画像信号とし、
その入力画像信号のエツジ領域を抽出してマスク画像を
生成する画像領域分割方法において、複数の成分(ED
1、ED2、ED3)それぞれに対して個別にエツジ領
域を抽出して複数のマスク画像(ED6、ED7、ED
8)を生成し、当該複数のマスク画像(ED6、ED
7、ED8)それぞれが有するマスク画素の論理和を取
ることにより、入力画像信号に対する合成マスク画像
(ED9)を生成し、合成マスク画像(ED9)におけ
るエツジ領域の水平方向の幅が一定値以下の場合は、当
該エツジ領域における中央のマスク画素か、複数の成分
(DD1、DD2、DD3)のうちの特定の一つに属す
るマスク画素のみを合成マスク画像(ED9)として用
いるようにした。
【0018】また、第2の発明においては、複数の成分
(DD1、DD2、DD3)を有するカラー信号を入力
画像信号とし、その入力画像信号のエツジ領域を抽出し
てマスク画像を生成する画像領域分割方法において、複
数の成分(ED1、ED2、ED3)それぞれに対して
個別にエツジ領域を抽出して複数のマスク画像(ED
6、ED7、ED8)を生成し、複数のマスク画像(E
D6、ED7、ED8)それぞれが有するマスク画素の
論理和を取ることにより入力画像信号に対する合成マス
ク画像(ED9)を生成し、合成マスク画像(ED9)
のエツジ領域における第1の成分のマスク画素を辿つて
いくことによりマスク画素チエーンを形成していくとと
もに、当該マスク画素チエーンの先頭の周囲に第1の成
分のマスク画素が存在しない場合は、当該マスク画素チ
エーンの進行方向にある他の成分のマスク画素を辿つて
いくことによりマスク画素チエーンを形成していき、形
成したマスク画素チエーンを構成するマスク画素を合成
マスク画像(ED9)として用いるようにした。
【0019】
【0020】
【作用】複数のマスク画像それぞれが有するマスク画素
の論理和を取つて合成マスク画像を生成することによ
り、従来の方法では抽出できなかつた輝度変化の少ない
領域内に対してもエツジ領域を確実に抽出して合成マス
ク画像を生成することができるとともに、合成マスク画
像におけるエツジ領域の水平方向の幅が一定値以下の場
合、当該エツジ領域における中央のマスク画素か、複数
の成分のうちの特定の一つに属するマスク画素のみを用
いるようにしたことにより、複数のマスク画像を合成し
たことによつて合成マスク画像のエツジ領域が実際より
も太くなることを防止することができる。
【0021】また、合成マスク画像のエツジ領域におけ
る第1の成分のマスク画素を辿つていくことによりマス
ク画素チエーンを形成するとともに、当該マスク画素チ
エーンの先頭の周囲に第1の成分のマスク画素が存在し
ない場合、当該マスク画素チエーンの進行方向にある他
の成分のマスク画素を辿つていくことによりマスク画素
チエーンを形成し、当該マスク画素チエーンを構成する
マスク画素を用いて合成マスク画像を生成するようにし
たことにより、複数のマスク画像を合成したことによつ
て合成マスク画像のエツジ領域が実際よりも太くなるこ
とを防止することができる。
【0022】
【実施例】以下図面について、本発明の一実施例を詳述
する。
【0023】図1〜図9に、本発明の実施例について述
べる。本発明は画像中から対象物体のエツジ領域の抽出
を効率良く行うための一手法であり、超低ビツトレート
における画像信号符号化手法の一部として用いられる。
この実施例においては、サンプリング周波数が異なる複
数の成分を有するカラー信号として、YUV成分から構
成されるカラー信号を、原画像として用いたエツジ抽出
処理について述べる。
【0024】物体の輪郭線の保存に重点を置いた画像信
号符号化方法の代表的なものとして、3CC(3 Compon
ent Coding)がある。3CCとは原画像を画像のもつ視
覚的重要度に応じて局所輝度情報、エツジ情報及びテク
スチヤ情報に分割し、それぞれ情報の重要度に応じて符
号化を行うものである。3CCのエンコード処理手順を
図1に、デコード処理手順を図2に示す。
【0025】3CCのエンコード処理は、図1におい
て、まず入力画像信号BD0から画像の大局的な輝度情
報を表す局所輝度(Local Luminance )成分を求めて符
号化する局所輝度発生及び符号化処理部BP1から出力
される局所輝度信号BD1と、画像の輪郭線すなわちエ
ツジ情報(Edge Informatoin)部分を抽出して符号化す
るエツジ情報検出及び符号化処理部BP2から出力され
るエツジ情報信号BD2をそれぞれ得る。
【0026】さらに局所輝度信号BD1とエツジ情報信
号BD2から、エツジ画像を再構成するエツジ情報復号
化及び再構成処理部BP3において得られた再構成エツ
ジ画像信号BD3と、入力画像信号BD0との差分を求
めることによりテクスチヤ画像信号BD4を得る。テク
スチヤ画像信号BD4は、エントロピー符号化を行うテ
クスチヤ情報符号化処理部BP4によつて符号化され出
力信号BD5となる。従つて入力画像信号BD0は最終
的に、符号化された局所輝度信号BD1、符号化された
エツジ情報信号BD2及び符号化されたテクスチヤ信号
BD5に変換される。
【0027】一方3CCのデコード処理は、図2におい
て、まず符号化された局所輝度信号CD1が、局所輝度
復号化及び再構成処理部CP1に入力され、復元された
信号CD4を得る。符号化されたエツジ情報信号CD2
と局所輝度を復元した信号CD4をエツジ情報復号化及
び再構成処理部CP2に入力することにより、エツジ再
構成画像信号CD5を得る。また符号化されたテクスチ
ヤ信号CD3もテクスチヤ情報復号化処理部CP3にお
いて復号化され、テクスチヤ画像信号CD6となる。最
後にエツジ再構成画像信号CD5とテクスチヤ画像信号
CD6を加算することにより再構成画像信号CD7を得
る。
【0028】従つて3CCではエンコード処理部中のエ
ツジ情報検出及び符号化処理部BP2において、図10
について上述した処理部AP1〜AP9に相当する画像
のエツジ領域の抽出処理と、エントロピー符号化処理を
行つている。
【0029】ここで3CCでは、物体の輪郭線の保存に
重点をおいて画像の符号化を行つており、画像中の細か
な模様などの高周波成分はテクスチヤ画像信号BD5に
含まれるが、輪郭線などの画像情報の大部分は、局所輝
度情報信号BD1とエツジ情報信号BD2に含まれるこ
とが望ましい。しかし、エンコード処理部中のエツジ画
像のエツジ情報検出及び符号化処理部BP2において、
物体の輪郭線抽出が十分になされなかつた場合、エツジ
画像を再構成するエツジ情報復号化及び再構成処理部B
P3において得られたエツジ画像信号BD3は原信号B
D0との誤差が大きくなり、テクスチヤ成分の符号化効
率が悪化する結果となる。
【0030】従来のエツジ領域抽出手順のように、画像
の輝度信号のみのエツジ情報を抽出した場合、輝度変化
が少ない領域における物体の輪郭や物体間の境界を抽出
することは困難である。このような場合、輝度変化が少
ない領域におけるエツジ領域抽出を行うことができる新
たなエツジ抽出手法が必要になる。そこでこの実施例で
は、対象画像のエツジ領域を抽出する際に輝度信号(Y
成分)だけでなく、色差信号(UV成分)を併せて用い
るエツジ領域抽出手順について述べる。
【0031】エツジ領域抽出に輝度信号だけでなく色差
信号を併せて用い、色差信号のエツジ情報を輝度信号の
エツジ情報に加えることにより、再構成後のエツジ画像
信号BD3と原信号BD0との誤差を少なくすることが
できる。しかしYUV成分の画像を用いてエツジ領域を
抽出する際の問題として、4:2:2フオーマツト画像の
場合、Y成分の画像とUV成分の画像では、サイズが
2:1:1となつており、YUV成分の画像に対して、一
様にエツジ領域の抽出を行つただけでは、輝度情報と色
差情報のエツジ領域をそのまま加えることはできない。
【0032】このため、この実施例では以下に示す方法
を用いて、輝度信号と色差信号とから得られるエツジ領
域を合成する。この実施例で用いるエツジ領域抽出手順
は、色差信号(UV成分)や輝度信号(Y成分)などの
各成分に対し行うエツジ領域抽出手順は、図10に上述
した従来の手順と同じだが、輝度信号と色差信号から得
られるエツジ領域情報を併せてエツジ領域を決定するよ
うになされている。
【0033】輝度信号と色差信号を用いたエツジ領域抽
出手順に付いて図3〜図9を用いて説明する。YUV信
号併用エツジ領域抽出手順として、YUV各成分の原信
号を加算した画像からマスク画像を作成する方法と、Y
UV成分の各成分に対し個別にマスク画像を作成し、3
成分のマスク画像を合成して、原画像に対する合成マス
ク画像を得る方法がある。
【0034】まずYUV各成分の原信号を加算した画像
からマスク画像を作成する方法を図3に示す。すなわち
YUV各成分の原信号をDD1、DD2、DD3とする
と、UV成分の信号DD2、DD3はアツプサンプル回
路DP1、DP2において1:2にアツプサンプルさ
れ、Y成分の画像信号と同じ画像サイズのUV成分信号
DD4、DD5を得る。Y成分信号DD1とUV成分信
号DD4、DD5はそれぞれ乗算器DP3、DP4、D
P5に入力され、重み付け係数a、b、cを示す信号D
D6、DD7、DD8と掛け合わされ、乗算器DP3〜
DP5からの出力信号DD9、DD10、DD11とな
る。
【0035】乗算器DP3〜DP5からの出力信号DD
9、DD10、DD11は、加算器DP6に入力されY
UVの合成画像信号DD12を得る。合成画像信号DD
12は、マスク画像生成処理部DP7に入力され合成マ
スク画像信号DD13を得る。但し、マスク画像生成処
理部DP7は図10について上述した従来のエツジ領域
抽出手順と同様の処理を行う。これは、原画像がYUV
成分のエツジ領域が互いに異なる領域に存在する画像で
ある場合、有効なエツジ領域抽出手順となる。
【0036】またもう一方のエツジ領域抽出手法とし
て、YUV成分の各成分に対し個別にマスク画像作成を
行い、3成分のマスク画像を合成してその原画像に対す
る合成マスク画像を得る方法について、図4〜図9に示
す。この方法におけるエツジ領域抽出手順は2段階から
構成されており、その第1段階としてYUVの各成分に
対してマスク画像を作成する処理があり、第2段階とし
てYUVの各マスク画像を合わせて合成マスク画像を作
成する処理がある。
【0037】第1段階のYUV成分の各マスク画像の作
成を行う方法として、UV成分に対するマスク画像の作
成方法の違いにおいて2通りの生成方法がある。まず第
1のマスク画像の生成方法は、図4に示すように、UV
成分の原画像をアツプサンプルしてからエツジ領域抽出
手順を行う。すなわちYUVの原信号ED1、ED2、
ED3の内、UV成分の信号ED2、ED3はアツプサ
ンプル回路EP1、EP2に入力され1:2にアツプサ
ンプルされ、Y成分の画像信号と同じ画像サイズのUV
成分信号ED4、ED5を得る。Y成分の原信号ED1
とUV成分のアツプサンプル画像信号ED4、ED5
は、マスク画像生成処理部EP3、EP4、EP5に入
力され、YUVの各成分に対するマスク画像信号ED
6、ED7、ED8が得られる。その後、マスク画像信
号ED6、ED7、ED8は、マスク画像合成処理部E
P6に入力され、合成マスク画像信号ED9となる。
【0038】これに対し第2のマスク画像の生成方法
は、図5に示すように、YUV成分の原画像に対しマス
ク画像生成処理を行つた後に、UV成分のマスク画像を
アツプサンプルする方法である。すなわちYUVの原信
号FD1、FD2、FD3をマスク画像生成処理部FP
1、FP2、FP3に入力し、各成分に対するマスク画
像信号FD4、FD5、FD6を得る。UV成分のマス
ク画像信号FD5、FD6は、Y成分に対するマスク画
像信号FD4の半分のサイズであるため、アツプサンプ
ル回路FP4、FP5において1:2にアツプサンプル
され、Y成分のマスク画像信号と同サイズのマスク画像
信号FD7、FD8を得る。YUVのマスク画像信号F
D4、FD7、FD8は、マスク画像合成処理部FP6
において合成マスク画像信号FD9となる。これらの処
理方法により、YUV各成分に対する同じサイズのマス
ク画像を生成することができる。
【0039】次にこのエツジ領域抽出手順における第2
段階であるマスク画像の合成処理は、図4及び図5中に
示されるマスク画像合成処理部EP6、FP6において
実行されるものであり、3つの異なる方法がある。まず
第1の合成方法としてYUV成分の3つのマスク画像中
に存在するマスク画素の論理和により合成マスク画像を
得る手法がある。この合成方法の処理を図6及び図7を
用いて説明する。YUV成分の各成分に対するマスク画
像作成処理により図6に示すYUVの各成分に対するマ
スク画像(図6(A)、図6(B)、図6(C))を得
たとする。画像中の任意の位置において、YUV成分の
各マスク画像のいずれかにマスク画素がある場合、合成
マスク画像の同じ位置の画素はマスク画素となる。
【0040】従つてこの合成方法により、図7(A)に
示すマスク画像が得られる。しかし、このマスク画像の
合成処理手法における問題として、UV成分のマスク画
像を生成する際にアツプサンプルすることによるエツジ
領域の位置ずれが合成マスク画像にそのまま影響してし
まうことがある。UV成分のエツジ領域とY成分のエツ
ジ領域が異なつた領域に存在する場合には問題は生じに
くいが、Y成分とUV成分のいずれの画像からも同じ領
域でエツジが抽出される場合、Y成分のマスク画素とU
V成分のマスク画素の横方向の位置がずれることによ
り、実際のエツジ領域よりも幅広いマスク画像となつて
しまう恐れがある。
【0041】そこで第2の合成方法では、第2の合成方
法と同様にYUV成分のマスク画像の論理和をとつた
後、マスク領域の水平方向の幅が2又は3の場合、マス
ク領域の水平方向の幅が1になるように細線化を行う。
ここで用いる細線化の手法としては、マスク領域の水平
方向の幅が3の場合は、中央の画素のみをマスク画素と
し、水平方向の線幅が2の場合は、2つのマスク画素の
内どちらか一方のみがY成分のマスク画素のときはY成
分のマスク画素のみを残し、両方の画素がY成分のマス
ク画素であつたりUV成分のマスク画素であるときは左
側の画素のみをマスク画素として残す。
【0042】図6におけるYUVのマスク画像を処理す
る場合、図7(A)に示される各成分の論理和を取つた
マスク画像に対し、上述した第3の合成方法を行う。図
7(A)において、水平方向のマスク画素の線幅が4以
上である0ライン目と7ライン目のマスク画素は、すべ
ての画素をマスク画素とし、線幅が3である4、5、6
ライン目のマスク画素は中央のマスク画素のみを残す。
さらに、線幅が2である1、2、3ライン目の内、同じ
ラインの両方の画素がUV成分のマスク画素である場
合、左の画素のみをマスク画素として残し、同じライン
の画素の一方がY成分のマスク画素である場合、Y成分
のマスク画素のみを残す。このようにして得られた合成
マスク画像を、図7(B)に示す。
【0043】また第3の合成方法は、チエーンコーデイ
ングを用いてYUVのマスク画像を生成する方法であ
り、その処理について図8及び図9を用いて述べる。マ
スク画像を合成する際に用いるチエーンコーデイングの
軌跡は、画像の左上を始点として、Y成分のマスク画素
や直進方向に位置するマスク画素を優先するなどの拘束
条件を満たしながら決定される。図8におけるYUVの
マスク画像(図8(A)、図8(B)、図8(C))を
処理する場合、図9(A)に示されるYUV成分の各マ
スク画像の論理和をとつた画像の、左上の画素である
(x、y)=(2、0)に位置する画素がチエーンの始
点となる。
【0044】始点からは、Y成分のマスク画素を優先し
てたどるため、(2、0)→(2、1)→(2、2)→
(2、3)→(2、4)→(2、5)→(3、5)に位
置する画素の順にチエーンが構成される。さらに、
(3、5)のマスク画素の隣にはY成分のマスク画素が
存在しないので、隣接するUV成分のマスク画素の内、
チエーンの進行方向に位置する(4、5)の画素がチエ
ーンを構成する次の画素となる。同様に、(4、5)→
(5、5)→(6、5)→(7、5)に位置する画素が
チエーンとなる。従つて、チエーンの軌跡は図9(B)
中のa〜kで表される順になる。
【0045】a〜eの画素をたどる際に、Y成分のマス
ク画素の隣に位置するU成分のマスク画素(3、0)、
(3、1)、(3、2)、(3、4)は、その片側のみ
にしかマスク画素が存在しないため削除される。また、
f〜kの画素をたどる際には、Y成分のマスク画素の隣
に位置するV成分のマスク画素(4、5)、(5、5)
は、その両側にマスク画素が存在するため削除されな
い。この結果、図9(C)に示すように、垂直方向に伸
びるエツジ領域(a〜f)におけるUV成分のマスク画
像の位置ずれの影響を抑えると共に、水平方向に伸びる
エツジ領域(f〜k)を保存することができる。
【0046】以上の方法によれば、画像中のエツジ領域
とテクスチヤ領域の分離処理を、輝度情報からだけでな
く色差情報からもエツジ領域を求め、それらを合成して
エツジ領域を抽出するようにしたことにより、従来の方
式では抽出できなかつた輝度変化の少ない領域内のエツ
ジ領域を抽出することができ、かくして、原信号により
近いエツジ再構成画像を得ることができる。
【0047】なお上述の実施例においては、YUV成分
からなるカラー信号について、輝度情報に加えて色差情
報からもエツジ領域を求めるようにしたが、本発明はこ
れに限らず、複数の成分からなるあらゆる画像信号に対
して適用できるものであり、その際、各成分のサンプリ
ング周波数は同一であつても、異なつていても上述の実
施例と同様の効果を実現できる。
【0048】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、複数のマ
スク画像それぞれのマスク画素の論理和を取つて合成マ
スク画像を生成することにより、従来の方法では抽出で
きなかつた輝度変化の少ない領域内に対してもエツジ領
域を確実に抽出して合成マスク画像を生成することがで
きるとともに、合成マスク画像におけるエツジ領域の水
平方向の幅が一定値以下の場合、当該エツジ領域におけ
る中央のマスク画素か、複数の成分のうちの特定の一つ
に属するマスク画素のみを用いるようにしたことによ
り、複数のマスク画像を合成したことによつて合成マス
ク画像のエツジ領域が実際よりも太くなることを防止す
ることができる。
【0049】また本発明によれば、合成マスク画像のエ
ツジ領域における第1の成分のマスク画素を辿つていく
ことによりマスク画素チエーンを形成するとともに、当
該マスク画素チエーンの先頭の周囲に第1の成分のマス
ク画素が存在しない場合、当該マスク画素チエーンの進
行方向にある他の成分のマスク画素を辿つていくことに
よりマスク画素チエーンを形成し、当該マスク画素チエ
ーンを構成するマスク画素を用いて合成マスク画像を生
成するようにしたことにより、複数のマスク画像を合成
したことによつて合成マスク画像のエツジ領域が実際よ
りも太くなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像領域分割方法の前提となる3
CCのエンコード処理手順を示すブロツク図である。
【図2】3CCのデコード処理手順を示すブロツク図で
ある。
【図3】YUVの各成分の合成画像からマスク画像を生
成するマスク画像生成方法を示すブロツク図である。
【図4】YUVの各成分毎の各マスク画像を合成してマ
スク画像を生成するマスク画像生成方法を示すブロツク
図である。
【図5】図4と同様にYUVの各成分毎の各マスク画像
を合成してマスク画像を生成するマスク画像生成方法を
示すブロツク図である。
【図6】マスク画像合成方法の説明としてYUV成分の
各マスク画像を示す略線図である。
【図7】YUV成分の各マスク画像よりマスク画像を生
成するマスク画像合成方法の説明に供する略線図であ
る。
【図8】マスク画像合成方法の説明としてYUV成分の
各マスク画像を示す略線図である。
【図9】YUV成分の各マスク画像よりマスク画像を生
成するマスク画像合成方法の説明に供する略線図であ
る。
【図10】従来の画像信号中のエツジ領域抽出手順を示
すブロツク図である。
【図11】水平方向と垂直方向のエツジ領域抽出に用い
るソーベルフイルタのタツプ係数を示す略線図である。
【図12】階調値の大局的な特性を得るために用いる1
次元のマスク領域の説明に供する略線図である。
【図13】適応型しきい値処理のためのしきい値決定関
数の説明に供する特性曲線図である。
【符号の説明】
BP1……局所輝度発生及び符号化処理部、BP2……
エツジ情報検出及び符号化処理部、BP3……エツジ情
報復号化及び再構成処理部、BP4……テクスチヤ情報
符号化処理部、CP1……局所輝度復号化及び再構成処
理部、CP2……エツジ情報復号化及び再構成処理部、
CP3……テクスチヤ情報復号化処理部、DP1、DP
2、EP1、EP2、FP4、FP5……アツプサンプ
ル回路、DP3、DP4、DP5……乗算器、DP6…
…加算器、DP7、EP3、EP4、EP5、FP1、
FP2、FP3……マスク画像生成処理部、EP6、F
P6……マスク画像合成処理部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−230694(JP,A) 特開 平5−336346(JP,A) 特開 平2−292988(JP,A) 正木 利行,ベクトル場理論に基づく カラー画像の符号化,電子情報通信学会 技術研究報告,1990年10月19日,Vo l.90 No.251,p.21−26 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04N 9/00 - 9/78 H04N 11/00 - 11/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の成分を有するカラー信号を入力画像
    信号とし、当該入力画像信号のエツジ領域を抽出してマ
    スク画像を生成する画像領域分割方法において、複数の上記成分それぞれに対して個別に上記エツジ領域
    を抽出して複数の上記マスク画像を生成し、 複数の上記マスク画像それぞれが有するマスク画素の論
    理和を取ることにより、上記入力画像信号に対する合成
    マスク画像を生成し、 上記合成マスク画像におけるエツジ領域の水平方向の幅
    が一定値以下の場合は、当該エツジ領域における中央の
    上記マスク画素か、複数の上記成分のうちの特定の一つ
    に属する上記マスク画素のみを上記合成マスク画像とし
    て用いる ことを特徴とする画像領域分割方法。
  2. 【請求項2】複数の成分を有するカラー信号を入力画像
    信号とし、当該入力画像信号のエツジ領域を抽出してマ
    スク画像を生成する画像領域分割方法において、複数の上記成分それぞれに対して個別に上記エツジ領域
    を抽出して複数の上記マスク画像を生成し、 複数の上記マスク画像それぞれが有するマスク画素の論
    理和を取ることにより、上記入力画像信号に対する合成
    マスク画像を生成し、 上記合成マスク画像のエツジ領域における第1の上記成
    分のマスク画素を辿つていくことによりマスク画素チエ
    ーンを形成するとともに、当該マスク画素チエーンの先
    頭の周囲に上記第1の成分のマスク画素が存在しない場
    合は、当該マスク画素チエーンの進行方向にある他の上
    記成分のマスク画素を辿つていくことにより上記マスク
    画素チエーンを形成し、 上記形成したマスク画素チエーンを構成するマスク画素
    を上記合成マスク画像として用いる ことを特徴とする画
    像領域分割方法。
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CN107644427B (zh) * 2017-09-08 2021-06-25 康达洲际医疗器械有限公司 一种基于msew-ca结合灰度直方图的多模态图像分割方法

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正木 利行,ベクトル場理論に基づくカラー画像の符号化,電子情報通信学会技術研究報告,1990年10月19日,Vol.90 No.251,p.21−26

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