JP3457545B2 - 陰極線管 - Google Patents

陰極線管

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JP3457545B2
JP3457545B2 JP24734898A JP24734898A JP3457545B2 JP 3457545 B2 JP3457545 B2 JP 3457545B2 JP 24734898 A JP24734898 A JP 24734898A JP 24734898 A JP24734898 A JP 24734898A JP 3457545 B2 JP3457545 B2 JP 3457545B2
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electron
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子銃構体及び
この電子銃構体を備えた陰極線管に係り、特に、画面全
面で良好な画質を安定して提供することのできるインラ
イン型カラー陰極線管に備えられるインライン型電子銃
構体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、インライン型カラー陰極線管
は、同一水平面上を通るセンタービームおよび一対のサ
イドビームからなる一列配置の3電子ビームを放出する
インライン型電子銃構体と、ピンクッション型の水平偏
向磁界及びバレル型の垂直偏向磁界からなる非斉一磁界
を形成して3電子ビームをセルフコンバージェンスする
偏向ヨークとを備えている。
【0003】インライン型電子銃構体は、3電子ビーム
を発生する電子ビーム発生部と、発生された電子ビーム
を予備集束するプリフォーカスレンズ部と、予備集束さ
れた電子ビームを蛍光体スクリーン上に集束する主レン
ズ部とを有している。
【0004】このようなインライン型カラー陰極線管で
は、蛍光体スクリーン上の全面での電子ビームのフォー
カス特性を良好にすることが必要である。しかしなが
ら、3電子ビームを蛍光体スクリーン上全面でコンバー
ジェンスさせるために偏向ヨークが発生する非斉一磁界
は、電子ビームに対して偏向収差を与える。すなわち、
電子ビームを蛍光体スクリーン周辺に偏向した場合、電
子ビームの垂直方向に強い集束作用を与える。これによ
り、蛍光体スクリーンの周辺に到達した電子ビームのビ
ームスポットは、図1の(a)に示すように、垂直方向
に過集束され、垂直方向すなわちV軸方向に伸びたハロ
ー部分1と、水平方向すなわちH軸方向に潰れたコア部
分2とを有する。このため、蛍光体スクリーンの周辺で
の画像が劣化するといった問題が発生する。
【0005】この問題を緩和する方法として、電子銃構
体の主レンズ部に、水平方向の集束作用が垂直方向の集
束作用よりも強い正の非点収差を与える方法がある。主
レンズ部にある一定の正の非点収差を与えることによ
り、図1の(b)に示すように、蛍光体スクリーンの周
辺での電子ビーム垂直方向の過集束を緩和することが可
能となる。
【0006】しかしながら、この方法であってもコア部
分2の形状は変化せず、蛍光体スクリーン上の電子ビー
ムのビームスポット径は、拡大し、水平方向に潰れた形
状のままである。したがって、シャドウマスクとの干渉
によるモアレ等を引き起こし、蛍光体スクリーン上のビ
ームスポットで文字等を構成した場合、見づらくなると
いった問題は、解決されない。
【0007】他の方法として、プリフォーカスレンズ部
を構成するグリッドに凹型の水平方向を長軸とする横長
薄板部を形成する方法がある。図2は、薄板部を備えて
いないグリッドで構成した電子ビーム発生部及びプリフ
ォーカスレンズ部の等電位線モデルを概略的に示す水平
垂直断面図である。
【0008】図3は、薄板部を備えたグリッドで構成し
た電子ビーム発生部及びプリフォーカスレンズ部の等電
位線モデルを概略的に示す水平垂直断面図である。図2
及び図3に示したモデルでは、電子ビーム発生部は、カ
ソードK、第1グリッドG1、及び第2グリッドG2に
よって構成され、プリフォーカスレンズ部は、第2グリ
ッドG2及び第3グリッドG3によって構成される。
【0009】図2に示したように、カソードKから射出
された電子ビーム4−1、4−2は、第1グリッドG1
及び第2グリッドG2近傍でクロスオーバし、第2グリ
ッドG2の第3グリッド側より浸透したプリフォーカス
レンズ部の集束電界E1によって集束作用を受ける。そ
して、電子ビーム4−1、4−2は、第3グリッドG3
の第2グリッドG2側より浸透したプリフォーカスレン
ズ部の発散電界E2によって発散作用を受ける。すなわ
ち、図2に示した例のように、第2グリッドに円形の電
子ビーム通過孔のみを形成した場合には、集束電界E1
は、水平方向及び垂直方向に回転対称となる。この場合
の電子ビームの仮想物点は、その形状がほぼ円形とな
り、蛍光体スクリーンの周辺に到達した電子ビームのビ
ームスポット形状は、上述したように水平方向に潰れ
る。
【0010】一方、図3に示したように、第2グリッド
G2の第3グリッドG3との対向面に、水平方向を長軸
とする横長の薄板部を設けた場合、第3グリッドG3側
から浸透したプリフォーカスレンズ部の集束電界E3
は、水平方向及び垂直方向で非回転対称となり、電子ビ
ームの水平方向より垂直方向の集束作用が強い負の非点
収差を形成する。カソードKから射出された電子ビーム
3−1、3−2は、第1グリッドG1及び第2グリッド
G2近傍でクロスオーバし、プリフォーカスレンズ部の
集束電界E3によって集束作用を受ける。ここで、電子
ビームは、水平方向に弱い集束作用を受け、垂直方向に
水平方向より強い集束作用を受ける。そして、電子ビー
ム3−1、3−2は、第3グリッドG3の第2グリッド
G2側から浸透したプリフォーカスレンズ部の発散電界
E4によって発散作用を受ける。この場合、電子ビーム
の仮想物点は、その形状が垂直方向に伸びた縦長とな
る。
【0011】縦長の仮想物点を有する電子ビームが蛍光
体スクリーン上に到達すると、縦長方向に変形した電子
ビームスポットを得ることができる。すなわち、図1の
(c)に示したように、蛍光体スクリーンの中央では、
若干縦長の電子ビームスポットとなるが、蛍光体スクリ
ーンの周辺では、横潰れを緩和する効果がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図3に
示したような第2グリッドG2に横長の薄板部を形成す
る方法は、第2グリッドG2の製造ばらつきにより、プ
リフォーカスレンズ部のレンズ特性に悪影響を及ぼすと
いった欠点がある。すなわち、第2グリッドG2は、通
常、図4に示すように、板厚Tが所定値となるように製
造される。しかし、この板厚Tは、第2グリッドG2の
製造ばらつきが最も顕著な寸法である。第2グリッドG
2の板厚Tは、板状の金属材料を加工して形成するた
め、金属材料の寸法公差の影響を最も受ける。板厚Tの
寸法が0.2mm乃至0.7mmの場合、加工に使用す
る金属材料の板厚は、一般に、0.25乃至0.75m
mであるが、この場合の材料交差は、約±0.015m
mであり、ほぼ同量の製造ばらつきが第2グリッドの板
厚Tにもかかる。
【0013】このため、第2グリッドG2の板厚T’が
所定の板厚Tより厚く形成された場合、図4に実線で示
したように、第3グリッドG3側から浸透する集束電界
E3は、破線で示したような集束電界E5のように変化
する。これにより、集束電界E5に形成された負の非点
収差が変化する。この結果、集束電界E5は、垂直方向
について、電子ビーム3−1に対してより強い集束作用
を与え、図中の破線で示したように、その軌道6−1を
変化させる。また、この集束電界E5は、水平方向につ
いて、電子ビーム3−2に対してより弱い集束作用を与
え、図中の破線で示したように、その軌道6−2を変化
させる。これにより、仮想物点は、第2グリッドG2の
板厚が所定値Tの場合と比較して、より垂直方向に伸び
た縦長の形状となる。
【0014】同様に、第2グリッドG2の板厚が所定値
Tより薄く形成された場合、垂直方向について、電子ビ
ームに対してより弱い集束作用を与え、水平方向につい
て、電子ビームに対してより強い集束作用を与える。こ
れにより、仮想物点は、第2グリッドG2の板厚が所定
値Tの場合と比較して、縦長の歪みが少ない形状とな
る。
【0015】このように、製造バラツキにより、第2グ
リッドG2の板厚が所定値に対して変化すると、仮想物
点が好ましい形状より変化することになり、蛍光体スク
リーン上に到達する電子ビームのビームスポットの形状
が歪む。
【0016】この対策として、第2グリッドG2の材料
公差を圧縮する方法が考えられるが、この方法は材料の
コストアップとなり適当な方法ではない。この発明は、
これら上述した問題点を解決するためになされたもので
あって、その目的は、電子ビームに対する偏向収差の影
響を軽減して、蛍光体スクリーン周辺部の電子ビームス
ポットの横潰れを抑制し、かつコストアップすることな
く、画面全面で良好な画質を安定して提供することので
きる電子銃構体及びこの電子銃構体を備えた陰極線管を
提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、水平方向に一列に配列された複数の電
子ビームを発生する電子ビーム発生部と、前記電子ビー
ム発生部から発生された電子ビームを予備集束する少な
くとも2つの対向配置された第1電極及び第2電極によ
って構成された水平方向より垂直方向の集束作用が強い
レンズ作用を有するプリフォーカスレンズ部と、前記プ
リフォーカスレンズ部によって予備集束された電子ビー
ムを最終的に蛍光体スクリーン上に集束する主レンズ部
と、を備えたインライン型電子銃構体と、前記電子銃構
体によって前記蛍光体スクリーン上に集束された電子ビ
ームを、電子ビームの進行方向に対して直交する垂直方
向及び水平方向に偏向する偏向磁界を発生する偏向ヨー
クと、を備えた陰極線管において、前記プリフォーカス
レンズ部の前記電子ビーム発生部側に配置された前記第
1電極は、前記電子ビーム発生部で発生された電子ビー
ムを通過するための電子ビーム通過孔を有した第1板厚
の板状部材によって形成され、前記板状部材は、前記プ
リフォーカスレンズ部の前記主レンズ部側に配置された
前記第2電極との対向面の前記電子ビーム通過孔周辺
に、前記第1板厚より薄い第2板厚に形成された前記水
平方向を長軸とする実質的に略矩形状の薄板部を有し、
前記第2電極との対向面における前記板状部材の表面と
矩形状の前記薄板部の長辺とを結ぶ側壁部は、前記薄板
部との間の成す角度が105度以上140度以下とする
ことで、蛍光体スクリーン全面において形成されるビー
ムスポットの楕円率を0.5以上1.6以下とすること
を特徴とする陰極線管を提供するものである。
【0018】
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の電子銃構体及び
この電子銃構体を備えた陰極線管の実施の形態について
図面を参照して説明する。図5は、この発明の陰極線管
の一例としてのインライン型カラー陰極線管の構造を概
略的に示す断面図である。
【0020】このインライン型カラー陰極線管は、実質
的に矩形状のパネル10と漏斗状のファンネル11とが
一体に接合された外囲器を有している。このパネル10
は、その内面に、それぞれ青、緑、赤に発光するドット
状の3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン12を備え
ている。また、パネル10の内側に、蛍光体スクリーン
12に対向して、シャドウマスク13が設けられてい
る。
【0021】また、このインライン型カラー陰極線管
は、インライン型電子銃構体17と、偏向ヨーク20と
を備えている。インライン型電子銃構体17は、ファン
ネル11の円筒状のネック15内に配設されている。こ
の電子銃構体17は、同一水平面上を通るセンタービー
ム16G、及び一対のサイドビーム16B、16Rから
なる一列配置された3電子ビームを管軸方向すなわちZ
軸方向に向けて放出する。
【0022】偏向ヨーク20は、ファンネル11の径大
部18とネック15との境界部付近の外側に装着されて
いる。この偏向ヨーク20は、インライン型電子銃構体
17から放出された3電子ビーム16(R、G、B)を
水平方向すなわちH軸方向及び垂直方向すなわちV軸方
向に偏向する非斉一磁界を発生する。この非斉一磁界
は、水平方向に形成されるピンクッション型の水平偏向
磁界と、垂直方向に形成されるバレル型の垂直偏向磁界
とによって形成される。
【0023】インライン型電子銃構体17から放出され
た3電子ビーム16(R、G、B)は、蛍光体スクリー
ン12の中央に集束される。また、この3電子ビーム1
6(R、G、B)は、偏向ヨーク20によって発生され
る非斉一磁界により、蛍光体スクリーン12上でセルフ
コンバージェンスされながら、水平方向及び垂直方向に
走査される。これにより、カラー画像が表示される。
【0024】図6は、図5に示したインライン型カラー
陰極線管に適用される3電子ビームを放出するインライ
ン型電子銃構体の構造を概略的に示す図である。図6に
示すように、この電子銃構体17は、水平方向すなわち
H軸方向に一列に配置された3個のカソードK(B、
R、G)と、これらのカソードK(B、R、G)をそれ
ぞれ個別に加熱する3個の図示しないヒータと、カソー
ドK(B、R、G)から順次蛍光体スクリーンに向かっ
てZ軸に沿って配置された第1乃至第4グリッドG1乃
至G4とを有している。これら第1乃至第4グリッドG
1乃至G4は、所定間隔をおいて互いに隣接して配置さ
れている。
【0025】第1グリッドG1及び第2グリッドG2
は、板状電極であり、その板面に、それぞれ3個のカソ
ードK(B、R、G)に対応して水平方向に一列に配置
された3個の略円形の電子ビーム通過孔を有している。
第3グリッドG3及び第4グリッドG4は、筒状電極で
あり、隣接するグリッドとの対向面にそれぞれ水平方向
に長軸を有する長円形の開孔部を有している。
【0026】図6に示すように、カソードKと第1グリ
ッドG1との間の間隔d1は、約0.10mmであり、
第1グリッドG1と第2グリッドG2との間の間隔d2
は、約0.3mmであり、第2グリッドG2と第3グリ
ッドG3との間の間隔d3は、約1.5mmである。ま
た、第1グリッドG1の板厚t1は、約0.10mmで
あり、第2グリッドG2の板厚t2は、約0.4mmで
ある。
【0027】第1グリッドG1に形成された3個の電子
ビーム通過孔それぞれの直径Φ1は、0.4mmであ
り、第2グリッドG2に形成された3個の電子ビーム通
過孔それぞれの直径Φ2は、0.4mmである。第3グ
リッドG3の第2グリッドG2との対向面に形成された
開孔部の直径は、1.5mmであり、第3グリッドG2
及び第4グリッドG4の対向面に形成された開孔部の直
径は、約5.5mmである。
【0028】図7の(a)乃至(c)は、この電子銃構
体に適用される第2グリッドの構造を概略的に示す図で
あり、図7の(a)は、第3グリッド側から見たH−V
平面図、図7の(b)は、第2グリッドのV−Z断面
図、図7の(c)は、第2グリッドのH−Z断面図であ
る。
【0029】図7の(a)乃至(c)に示すように、第
2グリッドG2は、板状電極を貫通する3個の電子ビー
ム通過孔G2b、G2r、G2gを有している。また、
この第2グリッドG2は、第3グリッドG3との対向面
に、板状電極の板厚t2より相対的に薄い板厚t3を有
するように形成された3個の薄板部102B、102
R、102Gを有している。これらの薄板部102
(B、R、G)は、3個の電子ビーム通過孔G2(b、
r、g)に対応して水平方向に一列に配列されている。
すなわち、3個の電子ビーム通過孔G2(b、r、g)
は、それぞれ薄板部102(B、R、G)に設けられて
いる。ここで、薄板部102(B、R、G)の板厚t3
は、約0.2mmである。
【0030】また、それぞれの薄板部102(B、R、
G)は、水平方向に平行な長軸を有する非円形状に形成
されている。この実施の形態では、それぞれの薄板部1
02(B、R、G)は、実質的に水平方向を長辺とし、
垂直方向を短辺とする矩形状に形成されている。
【0031】矩形状に形成された薄板部102(B、
R、G)は、それぞれ4辺の側壁部によって囲まれてい
る。薄板部102(B、R、G)の長辺と板状電極の表
面とを結ぶ側壁部112(B、R、G)は、図7の
(b)に示すように、薄板部102(B、R、G)との
間の成す角度θ1、すなわち板状電極表面との間の成す
角度θ1が90度より大きくなるように形成されてい
る。θ1は、105度以上140度以下である。
【0032】また、薄板部102(B、R、G)の短辺
と板状電極の表面とを結ぶ側壁部122(B、R、G)
は、図7の(c)に示すように、薄板部102(B、
R、G)との間の成す角度θ2、すなわち板状電極表面
との間の成す角度θ2が90度より大きくなるように形
成されることが望ましい。
【0033】この電子銃構体17では、各カソードK
(B、R、G)には、約100Vの直流電圧に映像信号
に対応する電圧が重畳された電圧が印加されている。第
1グリッドG1は、接地されている。第2グリッドに
は、約600Vの電圧が印加されている。第3グリッド
G3には、約6KVの電圧が印加されている。第4グリ
ッドG4には、約25KVの電圧が印加されている。
【0034】上述したインライン型電子銃構体の各グリ
ッドにそれぞれ所定の電圧が印加されることにより、こ
の電子銃構体17は、電子ビーム発生部130、プリフ
ォーカスレンズ部131、及び主レンズ部132を形成
する。
【0035】電子ビーム発生部130は、カソードK、
第1グリッドG1、及び第2グリッドG2によって構成
される。この電子ビーム発生部130は、管軸方向に沿
って電子ビームを蛍光体スクリーン12に向けて放出
し、かつ主レンズ部132に対する仮想物点を形成す
る。
【0036】プリフォーカスレンズ部131は、第2グ
リッドG2、及び第3グリッドG3によって構成され
る。このプリフォーカスレンズ部131は、電子ビーム
発生部130から放出された電子ビームを予備集束す
る。
【0037】主レンズ部132は、第3グリッドG3、
及び第4グリッドG6によって構成される。この主レン
ズ部132は、プリフォーカスレンズ部131で予備集
束された電子ビームを最終的に蛍光体スクリーン12上
に集束する。
【0038】このような電子銃構体では、カソードKか
ら放射された電子ビーム30−1、30−2は、カソー
ドレンズ134によって強い集束作用を受け、電子ビー
ム発生部130においてクロスオーバを形成した後、発
散しながら管軸方向に沿って進行し、プリフォーカスレ
ンズ部131において、集束作用を受け、さらに、主レ
ンズ部132において、強い集束作用を受けることによ
り、蛍光体スクリーン12上において結像する。
【0039】ここで、プリフォーカスレンズ部131を
構成する第2グリッドG2の第3グリッドG3との対向
面に設けられた薄板部102(B、R、G)と側壁部1
12(B、R、G)との間の成す角度θ1を90度より
大きくしたことの効果について説明する。
【0040】図8は、図6に示した電子銃構体の電子ビ
ーム発生部及びプリフォーカスレンズ部の等電位線モデ
ルを概略的に示す水平垂直断面図である。図8に示した
モデルでは、電子ビーム発生部130は、カソードK、
第1グリッドG1、及び第2グリッドG2によって構成
され、プリフォーカスレンズ部131は、第2グリッド
G2及び第3グリッドG3によって構成される。また、
第2グリッドG2は、第3グリッドG3との対向面に薄
板部102を設け、薄板部の水平方向に平行な長辺と板
状電極表面とを結ぶ側壁部112は、板状電極表面との
成す角度θ1が90度より大きくなるように、好ましく
は、105度以上140度以下となるように形成されて
いる。
【0041】図8に示したように、カソードKから射出
された電子ビーム30−1、30−2は、第1グリッド
G1及び第2グリッドG2近傍でクロスオーバし、第2
グリッドG2の第3グリッド側より浸透したプリフォー
カスレンズ部131の集束電界E11によって集束作用
を受ける。図中の実線で示した集束電界E11は、第2
グリッドG2が所定の板厚t2の場合に形成される。こ
の集束電界E11は、水平方向及び垂直方向で非回転対
称となり、電子ビームの水平方向より垂直方向の集束作
用が強い負の非点収差を形成する。
【0042】ここで、電子ビーム30−1、30−2
は、水平方向に弱い集束作用を受け、垂直方向に水平方
向より強い集束作用を受ける。そして、電子ビーム30
−1、30−2は、第3グリッドG3の第2グリッドG
2側から浸透したプリフォーカスレンズ部131の発散
電界E12によって発散作用を受ける。この場合、電子
ビームの仮想物点は、その形状が垂直方向に伸びた縦長
となる。
【0043】縦長の仮想物点を有する電子ビームが蛍光
体スクリーン上に到達すると、縦長方向に変形した電子
ビームスポットを得ることができる。すなわち、図1の
(c)に示したように、蛍光体スクリーンの中央では、
若干縦長の電子ビームスポットとなるが、蛍光体スクリ
ーンの周辺では、横潰れを緩和する効果がある。
【0044】これに対して、第2グリッドG2の板厚が
製造バラツキなどにより最大となった場合には、板厚t
2’は、所定値t2より厚くなる。この時、第2グリッ
ドG2の第3グリッドG3側から浸透したプリフォーカ
スレンズ部131の集束電界E13は、図中の破線で示
したような形状となる。
【0045】この時、θ1が90度より大きな角度とな
っているため、集束電界E13は、水平方向及び垂直方
向について、電子ビーム30−1、30−2の軌道位置
及び軌道近傍において、集束電界E13との変化がきわ
めて少ない。すなわち、第2グリッドG2の板厚の変動
に対して、集束電界の電子ビームに対する集束作用の強
さが変化せず、電子ビームの軌道に対する変化が少な
い。したがって、電子ビーム発生部から放出された電子
ビームの仮想物点は、その形状の変化が少ない。結果と
して、蛍光体スクリーン上に到達するる電子ビームのビ
ームスポット形状の変化が少なくなり、安定した画質の
画像を表示することが可能となる。
【0046】ここで、板状電極表面と側壁部との間の成
す角度θ1は、110度以上140度以下であることが
望ましい。その根拠を以下に説明する。まず、蛍光体ス
クリーン上のビームスポット径の楕円率を以下のように
定義する。すなわち、図1の(c)に示すように、 楕円率=ビームスポットの垂直径(SSv)/ビームス
ポット径(SSh) とする。この時、ビームスポット径は、低輝度のハロー
部分1と高輝度のコア部分2とを含むサイズである。
【0047】図9は、上述したインライン型カラー陰極
線管における蛍光体スクリーン中央部に形成されるビー
ムスポットの楕円率と、蛍光体スクリーン水平軸端に形
成されるビームスポットの楕円率との関係を示す図であ
る。
【0048】図10は、θ1に対する蛍光体スクリーン
中央部でのビームスポットの楕円率の関係を示す図であ
る。図9及び図10に示したカラー陰極線管は、偏向角
が90度、すなわち蛍光体スクリーンの対角軸端に到達
する電子ビームの軌道と管軸との間の成す角度が45度
である。また、図10に示したθ1と楕円率との関係
は、第2グリッドG2の板厚t2を0.4mmとし、板
厚のバラツキ±0.015mmを考慮したものである。
【0049】一般的に、蛍光体スクリーン上に形成され
るビームスポットの楕円率の許容範囲は、0.5以上
1.6以下である。蛍光体スクリーン全面において、こ
の許容範囲を越えるビームスポットが形成された箇所が
あれば、画質の劣化が確認される。
【0050】図10に示したように、θ1が大きくなる
と、蛍光体スクリーンの中央部でのビームスポットの楕
円率は、次第に低下し、1.0に近づく傾向にある。す
なわち、θ1が大きくなると、蛍光体スクリーンの中央
部に形成されるビームスポットの形状は、真円に近くな
る。この時、図9に示すように、蛍光体スクリーン中央
部でのビームスポットの楕円率が1.3を下回ったとこ
ろで、蛍光体スクリーン水平軸端でのビームスポットの
楕円率が0.5を下回る。つまり、蛍光体スクリーンの
水平軸端でのビームスポットの楕円率が許容範囲を越え
てしまい、画質の劣化が確認される。
【0051】一方、θ1が小さくなると、蛍光体スクリ
ーンの中央部でのビームスポットの楕円率は、次第に増
大する。すなわち、θ1が小さくなると、蛍光体スクリ
ーン中央部でのビームスポットの形状は、垂直方向に伸
びた縦長に近づく。この時、図9に示すように、蛍光体
スクリーン水平軸端でのビームスポットの楕円率が許容
範囲内であるにもかかわらず、蛍光体スクリーン中央部
でのビームスポットの楕円率が1.6を越えてしまう。
つまり、蛍光体スクリーン中央部でのビームスポットの
楕円率が許容範囲を越えてしまい、画質の劣化が確認さ
れる。
【0052】上述したように、蛍光体スクりーン中央部
での楕円率は、1.3以上1.6以下が許容範囲とな
る。蛍光体スクリーン中央部での楕円率を1.3以上
1.6以下とするためには、図10に示したように、θ
1を105度以上140度以下とすることが必要であ
る。
【0053】このように、θ1を105度以上140度
以下とすることにより蛍光体スクリーンの全面におい
て、形成されるビームスポットの楕円率を0.5以上
1.6以下の許容範囲内とすることが可能となり、画質
の著しい劣化を抑制することができる。
【0054】上述したように、第2グリッドG2は、第
3グリッドG3との対向面に、水平方向に長い薄板部1
02(R、G、B)を形成し、この薄板部102(R、
G、B)に電子ビーム通過孔G2(r、g、b)を形成
している。また、この薄板部102(R、G、B)と第
2グリッドG2の板状電極表面とを結ぶ側壁部112
(R、G、B)は、薄板部102(R、G、B)との間
の成す角度θ1が90度より大きくなるように形成され
ている。好ましくは、θ1は、105度以上140度以
下となるように設定されている。これにより、第2グリ
ッドG2の板厚が変化しても、電子ビーム30−1、3
0−2の軌道の変化が微量であり、表示画像の画質に与
える影響は問題とならないレベルに小さくなる。
【0055】すなわち、蛍光体スクリーン周辺部に到達
する電子ビームに対する偏向収差の影響を軽減させ、か
つ蛍光体スクリーン全面において、ビームスポットの横
潰れを抑制することができ、かつコストを上昇させるこ
となく画質のばらつきの少ない陰極線管を提供すること
が可能となる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、電子ビームに対する偏向収差の影響を軽減して、蛍
光体スクリーン周辺部の電子ビームスポットの横潰れを
抑制し、かつコストアップすることなく、画面全面で良
好な画質を安定して提供することのできる電子銃構体及
びこの電子銃構体を備えた陰極線管を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(a)乃至(c)は、電子銃構体による
蛍光体スクリーン上の第1象限における電子ビームスポ
ットを概略的に示す図である。
【図2】図2は、薄板部を備えていないグリッドで構成
した電子ビーム発生部及びプリフォーカスレンズ部の等
電位線モデルを概略的に示す水平垂直断面図である。
【図3】図3は、薄板部を備えたグリッドで構成した電
子ビーム発生部及びプリフォーカスレンズ部の等電位線
モデルを概略的に示す水平垂直断面図である。
【図4】図4は、図3に示した電子銃構体の電子ビーム
発生部及びプリフォーカスレンズ部の等電位線モデルを
概略的に示す水平垂直断面図である。
【図5】図5は、この発明の陰極線管の一例としてのイ
ンライン型カラー陰極線管の構造を概略的に示す水平断
面図である。
【図6】図6は、図5に示した陰極線管に適用されるイ
ンライン型電子銃構体の構造を概略的に示す水平垂直断
面図である。
【図7】図7の(a)乃至(c)は、この電子銃構体に
適用される第2グリッドの構造を概略的に示す図であ
り、図7の(a)は、第3グリッド側から見たH−V平
面図、図7の(b)は、第2グリッドのV−Z断面図、
図7の(c)は、第2グリッドのH−Z断面図である。
【図8】図8は、図6に示した電子銃構体の電子ビーム
発生部及びプリフォーカスレンズ部の等電位線モデルを
概略的に示す水平垂直断面図である。
【図9】図9は、図5に示した陰極線管における蛍光体
スクリーン中央部に形成されるビームスポットの楕円率
と、蛍光体スクリーン水平軸端に形成されるビームスポ
ットの楕円率との関係を示す図である。
【図10】図10は、θ1に対する蛍光体スクリーン中
央部でのビームスポットの楕円率の関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
10…パネル 11…ファンネル 12…蛍光体スクリーン 13…シャドウマスク 15…ネック 16(R、G、B)…電子ビーム 17…電子銃構体 20…偏向ヨーク K(R、G、B)…カソード G1…第1グリッド G2…第2グリッド G3…第3グリッド G4…第4グリッド G2(r、g、b)…電子ビーム通過孔 102(R、G、B)…薄板部 112(R、G、B)…側壁部 130…電子ビーム発生部 131…プリフォーカスレンズ部 132…主レンズ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武川 勉 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 東芝電子エンジニアリング株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−193340(JP,A) 特開 昭59−157936(JP,A) 特開 平8−129967(JP,A) 特開 平4−160737(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 29/48 - 29/51

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水平方向に一列に配列された複数の電子ビ
    ームを発生する電子ビーム発生部と、前記電子ビーム発
    生部から発生された電子ビームを予備集束する少なくと
    も2つの対向配置された第1電極及び第2電極によって
    構成された水平方向より垂直方向の集束作用が強いレン
    ズ作用を有するプリフォーカスレンズ部と、前記プリフ
    ォーカスレンズ部によって予備集束された電子ビームを
    最終的に蛍光体スクリーン上に集束する主レンズ部と、
    を備えたインライン型電子銃構体と、 前記電子銃構体によって前記蛍光体スクリーン上に集束
    された電子ビームを、電子ビームの進行方向に対して直
    交する垂直方向及び水平方向に偏向する偏向磁界を発生
    する偏向ヨークと、 を備えた陰極線管において、 前記プリフォーカスレンズ部の前記電子ビーム発生部側
    に配置された前記第1電極は、前記電子ビーム発生部で
    発生された電子ビームを通過するための電子ビーム通過
    孔を有した第1板厚の板状部材によって形成され、 前記板状部材は、前記プリフォーカスレンズ部の前記主
    レンズ部側に配置された前記第2電極との対向面の前記
    電子ビーム通過孔周辺に、前記第1板厚より薄い第2板
    厚に形成された前記水平方向を長軸とする実質的に略矩
    形状の薄板部を有し、 前記第2電極との対向面における前記板状部材の表面と
    矩形状の前記薄板部の長辺とを結ぶ側壁部は、前記薄板
    部との間の成す角度が105度以上140度以下とする
    ことで、蛍光体スクリーン全面において形成されるビー
    ムスポットの楕円率を0.5以上1.6以下とすること
    を特徴とする陰極線管。
  2. 【請求項2】前記第2電極との対向面における前記板状
    部材の表面と矩形状の前記薄板部の長辺とを結ぶ側壁部
    は、前記薄板部との間の成す角度が110度以上140
    度以下であることを特徴とする請求項1に記載の陰極線
    管。
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