JP3457310B2 - 画像神経記録法及び拡散異方性画像処理 - Google Patents

画像神経記録法及び拡散異方性画像処理

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JP3457310B2 JP51593493A JP51593493A JP3457310B2 JP 3457310 B2 JP3457310 B2 JP 3457310B2 JP 51593493 A JP51593493 A JP 51593493A JP 51593493 A JP51593493 A JP 51593493A JP 3457310 B2 JP3457310 B2 JP 3457310B2
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【発明の詳細な説明】 本出願は、1992年3月9日出願の英国特許出願第9205
058.2号の一部継続である、1992年3月13日出願の英国
特許出願第9205541.7号の一部継続である、1992年3月3
0日出願の英国特許出願第9207013.5号の一部継続であ
る、1992年5月5日に出願された英国特許出願第920964
8.6号の一部継続である、1992年5月21日出願の英国特
許第9210810.9号の一部継続である、1992年7月31日出
願の英国特許出願第9216383.1号の一部継続である、199
3年1月22日出願の先に出願された英国特許出願第93012
68.0号に基づくものであり、35U.S.C.119に従って、こ
れら出願日の恩恵をここに主張する。
発明の分野 本発明は一般的に画像処理の分野に関し、さらに特定
すれば神経組織及びその他の拡散異方性構造(diffusio
n−ally anisotropic structures)の画像処理に関する
ものである。
発明の背景 これまで、脳、脊髄、及び脊椎管内の脊椎根の位置を
突き止め、目視する多くの技術が開発されているが、末
梢、自律脳神経を目視するための方法で成功したものは
なかった。これらの神経を総体的にここでは末梢神経と
呼ぶことにするが、これらは一般的に、骨、筋肉、リン
パ管、腱、靭帯、筋間中隔、脂肪組織の集合体、空気、
流体空間、静脈、動脈、関節、皮膚、粘膜、及びその他
の組織を移動する。末梢神経は比較的サイズが小さく、
しかもそれらが隣接する他の組織も同様なサイズ及び形
状であるため、これらの位置を判定し識別することは困
難である。
末梢神経の試験は、上腕集網、腰部集網、及び仙骨集
網のような多くの神経構造の複雑性によって、更に複雑
となっている。これらの構造は神経束を含み、互いに連
結したり、分離したり、再連結したり、混合したり、分
離して、入り組んだ三次元パターンを形成するのであ
る。このような集網(例えば肩における)内の神経の小
領域の圧迫または刺激が、ある離れた場所(例えば1本
の指)における痛み、痺れ、弱化、または麻痺の原因と
なり得る。外科医が直接検査のために集網を露出させよ
うとする時でさえも、解剖上の複雑性に圧倒され、診断
に信頼がおけず、手術が困難かつ危険となる可能性があ
る。
骨、欠陥、リンパ系、胃腸管、及び中枢神経系統の組
織を含む種々の生理学的構造の、特定した組織の画像を
発生するために、例えばX線を用いた放射線方法が開発
されている。しかしながら、上述の神経の特性のためも
あって、これらの技術を末梢神経の診断に適した画像を
発生するために用いて成功したことはない。
典型的に、放射線画像における末梢神経の位置は、
腱、血管または骨のような、より顕著な非神経構造を参
照することによって推察されている。例えば、対象とな
る神経が通過している体の一領域のX線画像を生成する
ことによって、非神経構造を容易に識別できること場合
が多い。次に、この領域内の末梢神経の位置は、人体解
剖学的構造についての標準的な参照情報から推察するこ
とができる。しかしながら、個体によって神経の位置が
それぞれ異なる可能性があるので、この技術の価値は限
られたものでしかない。
生理学的構造を撮像するために用いられた手法の内、
特に興味深いのは磁気共鳴画像(MRI)である。これを
紹介すると、MRIは、種々の異なる磁気及び放射線周波
数(rf)の電磁場に組織を晒す必要がある。次に、検体
の原子核(atomic nuclei)の場に対する応答を処理
し、この検体の画像を生成する。
より具体的には、まず検体を偏向磁場に露出させる。
この場が存在するため、磁気モーメントを示す核(以後
スピンと呼ぶ)が、場に対して互いに整合しようとす
る。核は、ある角度周波数(以後ラーマ(Larmor)周波
数と呼ぶ)をもって、偏向の場を進む。この強度は、磁
場強度と対象となる具体的な核の種の磁気回転係数との
双方によって決まる。
スピンの磁気成分は、偏向の場に垂直な面では互いに
打ち消しあうが、スピンは偏向の場の方向に正味磁気モ
ーメント(net magnetic moment)を呈する。偏向の場
に垂直でラーマ周波数に近い周波数の励起の場を適用す
ることによって、正味磁気モーメントを傾けることがで
きる。傾けられた磁気モーメントは、偏向の場に垂直な
面において、ラーマ周波数で回転する横断方向成分を含
む。磁気モーメントを傾ける程度、従って正味横断方向
磁気モーメントの強度は、励起の場の強度及び持続期間
によって異なる。
一旦励起の場が除去されると、外部環流コイルを用い
て横断方向磁場モーメントに関連する場を感知する。従
って、この環流コイルは正弦波出力を生成し、その周波
数はラーマ周波数であり、その振幅は横断方向磁気モー
メントのそれに比例する。励起の場を除去すると、正味
磁気モーメントは偏向の場によって徐々に元の方位に戻
る。結果として、環流コイル出力の振幅は時間と共に対
数的に低下する。
この低下率に影響を及ぼす2つの要因が、スピン格子
弛緩係数(relaxation coefficient)T1及びスピン−ス
ピン弛緩係数T2として知られている。スピン−スピン弛
緩係数T2は、スピン間の相互作用が低下に及ぼす影響を
表わし、一方スピン格子弛緩係数T1は、スピンと固定成
分との間の相互作用が低下に及ぼす影響を表わす。この
ように、環流コイル出力が低下する比率は、検体の組成
に左右されると共にこれを示すことになる。
狭い周波数帯域を有する励起の場を用いることによっ
て、核検体内の比較的狭い帯域のみが励起される。結果
として、横断方向成分、従って環流コイル出力は、核の
種の帯域を示す比較的狭い周波数帯域を表わす。一方、
励起の場が広い周波数帯域を有する場合、環流コイルの
出力は、周波数のばらつきの大きい横断方向の磁気成分
に関連した成分を含むことがある。前記出力をフーリエ
解析することによって、異なる化学的または生物学的環
境を示す可能性がある異なる周波数を区別することがで
きる。
上述の構成においては、特定のコイルの環流コイル出
力に対する寄与は、検体内のそれらの位置には依存しな
い。結果として、出力の周波数及び低下を用いて、検体
の成分を識別することができるが、この出力は検体内の
成分の位置を示すものではない。
このような検体の空間画像を生成するために、偏向の
場に勾配が指定されている。偏向の場の方向は同一のま
まであるが、その強度は検体に対して偏向されるx、y
及びz軸に沿って変化する。x軸に沿って線形に偏向の
場の強度を変化させることによって、特定の核の種のラ
ーマ周波数もx軸に沿った位置の関数として、線形に変
化する。同様に、y軸及びz軸に沿って指定された磁場
の勾配によって、特定の種のラーマ周波数もこれらの軸
に沿った位置の関数として線形に変化する。
先に注記したように、環流コイルの出力のフーリエ解
析を行なうことによって、この出力の周波数成分を分離
することができる。狭い帯域の励起の場を適用して選択
された核の種を励起させる場合、xyz座標系に対するス
ピンの位置は、コイルの出力周波数のその種のラーマ周
波数との間の差を評価することによって判定することが
できる。従って、ある所与の時刻における周波数を分析
して磁場勾配に対するスピンの位置を判定すると共に、
周波数の低下を分析して、特定点における検体の組成を
判定するMRIシステムを構成することができる。
MRIシステムの適正な動作のために必要な場の発生及
び感知は、例えば1つ以上の主偏向場コイル、偏向勾配
場コイル、rf励起場コイル、及び環流場コイルの連続動
作に応じて達成される。一般的に励起の場を発生するた
め、及び環流場を感知するためには、同一コイル配列が
用いられる。例えば、米国特許第4,843,322号(グロー
バ)、米国特許第4,68,501号(コノリー)、米国特許第
4,901,020号(レイドバックら)に記載されているよう
に、種々の異なるシーケンスが開発されており、MRIシ
ステムの動作について具体的な制作が行なわれている。
従来のMRIシステムの1つの応用は、血管記録法又は
血管画像の生成においてなされている。例えば、米国特
許第4,516,582号(レディングトン)、米国特許第4,52
8,985号(マコブスキ)、米国特許第4,647,857号(テー
バー)、米国特許第4,714,081号(ダマリンら)、米国
特許第4,777,957号(ウェーリら)、及び米国特許第4,8
36,209号(ニシムラ)に記載されているように、種々の
異なるパルス・シーケンス及び処理技術が、MRI血管記
録法に用いるために開発されている。
血管は、そこを通過する血液の脈動流によって、周囲
の組織からは容易に区別されることは認められよう。MR
I血管記録法は、この顕著な特性を利用して、種々の方
法で血管の画像を発生させるものである。例えば、収縮
期及び拡張期に励起の場をパルス状に入力すると、血流
の環流場に対する寄与は異なり、一方静止組織及び骨の
環流場に対する寄与は同一となる。一方を他方から減算
することによって、静止成分は打ち消され、血管からの
寄与のみが残る。
しかしながら、末梢神経は血管のような流れによる識
別ができないので、MRI血管記録システム及びパルス・
シーケンスは、適正な末梢神経の画像を発生するために
用いることはできない。更に、組織及び骨の一般的な画
像処理に用いられる従来のMRIシステム及びパルス・シ
ーケンスは、受け入れ可能な結果が得られない。環流信
号の信号対ノイズ(S/N)比が低く(例えば、1倍から
1.5倍程度)、しかも神経のサイズが小さい場合、撮像
された神経の他の組織に対する顕著性が全体的にあまり
に乏しく、診断には無益となる。
神経組織の撮像においてMRIシステムの利用性向上に
用いるために提案された技法の1つに、薬品を用いて生
成される画像における神経組織の周囲組織に対するコン
トラストを強めるようにしたものがある。1992年3月15
日に発行されたPCT特許出願PCT EP 91/01780号(フィラ
ーら、WO92/04916)に記載されているように、小麦胚凝
集素または磁化デキストリン(dextrin−magnetite)の
ような2部分造影剤を注入し、その後対象の神経によっ
て取り込まれ、搬送されるようにする。この薬剤の最初
の部分は神経の取り込みを促進し、薬剤の2番目の部分
は所望の「撮像可能」特性を有する。
この薬剤を筋肉に注入し、その筋肉を通る神経内の軸
索原形質流(axoplasmic flow)を受けさせ、検体の後
に分離された画像に神経を結び付ける。MRIが用いられ
ると、磁気的にアクティブな(例えばフェライト)成分
を有するように、前記薬剤の2番目の部分が選択され
る。しかしながら、高い核密度を有する薬剤を用いる
と、X線またはコンピュータ解剖(CT)の検査時に、神
経のコントラストを増加させることができ、一方、放射
線(例えば、ポジトロンの放射)要素を用いて、ポジト
ロン射出トモグラフィ(PET)走査中の視覚性を高める
ことができる。
神経撮像における造影剤の効果を例示するために、第
1図乃至第5図を参照する。この点について、第1図
は、兎の上部前腕FAの横断面の図である。前腕は三頭筋
TM、尺骨神経(ulnar nerve)UN、上腕静脈BV、正中神
経MN、放射神経RN、上腕骨H、脳神経CV、及び二頭筋BM
を含む。
第2A図及び第2B図は、フェライト造影剤を用い、従来
のMRIシステムによって6時間間隔で生成された、この
ような部分のスピン−エコーMR画像を示す。より大きな
構造要素のいくつかは容易に識別されるが、目的物のあ
るものの位置は歪んで現れている。より具体的には、靭
帯Lや二頭筋または三頭筋間の脂肪Fがそうであるよう
に、上腕骨髄は上腕骨Hに対してずれて現れる。加え
て、更に小さい神経構造は区別が困難である。
しかしながら、作り出された画像中で神経の確認を試
みる為に幾つかの方法を適用できる。例えば、第3図中
に示されるように、若し、STIR MR Imaging of the O
rbit,151 AM.J.ROENTGEN.1025−1030(1988)のアトラ
ス等の記載によるタイプの短タウ反転復元(STIR)シー
ケンスを使用すると、より重要な正中神経MNに隣接する
明らかに神経構造でない曖昧なものが消えるように、上
腕骨の骨髄が画像から消える。従って、第4図に与えら
れた正中神経MNと尺骨神経とを含む領域の拡大画像に示
されるように、正中神経MNが見えるようになる。
同様に、第2A図及び第2B図の造影剤画像を拡大して、
それぞれ第5A図及び第5B図に示されるように、正中神経
MNを含む領域をよりよく示しても、高度に熟達した観察
者には神経の区別は可能である。より具体的には、画像
4A及び4Bの発生の間の6時間の間、フェライト造影剤を
移送させると、正中神経MNに隣接する非神経構造に対す
るMNの輝度が失われることになる。このように、この観
察及びSTIRを基礎にした評価から、正中神経MNを識別す
ることができる。
造影剤の使用は、有望であるが、それには限度があ
る。例えば、医学では可能な限り投与技術(invasive t
echnologies)の使用を避ける傾向が増加している。更
に、一般的に、造影剤は1つの神経または神経群のみを
撮像するために用いることができるものである。おそら
く最も重要なのは、使用される造影剤は、典型的に、撮
像される神経の輝度を減少させることである。神経は現
在のMRI画像においてでさえ目視することが難しいの
で、先の第2図乃至第5図の説明によって示されるよう
に、画像に対する造影剤の影響は解釈が困難なこともあ
る。
他の用途では、造影剤を使わずにMRIを用いて脳の非
末梢白質神経束(non−peripheral white matter nerve
tracts)のマッピングを行なっている。白質束は、脳
の灰質組織を貫通して延び、比較的高い異方性拡散を示
す。より具体的には、それらの物理的構造が与えられた
場合(即ち、ミエリン鞘に囲まれた軸索経路)、白質束
に沿った水の移動性は比較的高いが、この束に垂直な水
の移動性は低い。周囲の灰質は、しかしながら、このよ
うな異方性は示さない。
この神経組織の特性を利用したMRIを基本とした白質
神経束のマッピング技術は、ドウエックらの、Myelit F
iber Orientation Color Mapping,BOOK OF ABSTRACTS,S
OCIETY OP MAGNETIC RESONANCE IN MEDICINE,p.919(19
91)に記載されている。基本的に、上述の場及び勾配に
加えて、このプロセスは、撮像対象の白質束に垂直及び
平行に配向された一対の場勾配パルス(以後拡散勾配と
呼ぶ)の使用を伴なう。パルス状勾配の効果は、総ての
スピンからの受信信号の移送を変化させることである。
静止状スピンについては、2つの拡散勾配の効果が打ち
消される。これに対して、2つの拡散勾配間の時間にお
いて、ある空間位置から別の位置に移動するスピンは、
スピン磁化の周波数及び位相の変化を受け、受信信号の
減少という重大な影響を被る。信号の減少は、2つのパ
ルス状系勾配間で最大距離の拡散をしたスピンにおいて
最大となる。
先に注記したように、束の異方性特性が与えられる
と、水分は束に沿って自由に拡散するが、束に垂直な移
動については制限される。従って、拡散勾配が束と整合
されると、拡散勾配が束と垂直に整合される時よりも信
号の減少は大きくなる。この減少は周囲の灰質組織では
示されないので、白質束を識別することができるのであ
る。
モーズリーらによってAnisolropy in Diffusion Weig
hted MRI,19 MAGNETIC RESONANCE ON MEDICINE 321(19
91)で示されたように、、異方性拡散は、末梢神経の認
識された特性でもある。しかしながら、ドウエックらの
技術は、未だ認識されていない多くの理由により、末梢
神経を筋肉や他の組織から区別できない。第1に、白質
束の大きさ及び構造によって、得られる信号が画像処理
にとっては十分強いことが保証されるが、末梢神経は、
それよりかなり小さく、区別が更に困難である。第2
に、白質束とは異なり、末梢神経は一般的に筋肉及び脂
肪に囲まれており、これらは両方ともドウエックらのシ
ステムに神経を撮像する能力を減殺する。
モーズリーらのAcute Effects of Exercise on Echo
Planar T2及びDfffusion Weighted MRI of Skeletal Mu
scle in Volunteers,BOOK OF ABSTRACTS,SOCIETY OF MA
GNETIC RESONANCE IN MEDICINE 108(1991)によって認
められているように、入念に分析することにより、筋肉
も、その繊維構造によって、拡散異方性を示す。結果と
して、ドウエックらの簡単な異方性分析では末梢神経や
筋肉を区別することはできない。脂肪は等方性であるの
で神経と区別可能であるが、これも末梢神経の画像処理
を損なうものである。具体的には、脂肪の返答の神経の
返答に対する相対信号強度は非常に高く、生成された画
像内で末梢神経が区別できなくしてしまう。
ここまでの意見から認められるように、造影剤に頼る
ことなく、単一の末梢神経または神経系統全体を高速に
而も何も投与せずに撮像する方法を開発することが望ま
れている。発生される画像は十分詳しく且つ高精度であ
り、個々の末梢神経の位置及び状態が評価できなければ
ならない。更に、画像の情報内容を高め、神経障害や乱
調を診断し、処置や治療の管理を通知及び制御するよう
に神経画像(ニューログラム)を処理するシステムを提
供することも望まれている。
発明の概要 本開示は、個々の患者の神経及び神経叢の三次元画像
を発生することができる非常に注目すべき新しい方法に
関する。画像は磁気共鳴スキャナによって無投与で而も
高速に得ることができる。本発明の或る実施例は、骨、
脂肪、皮膚、筋肉、血液、及び接続組織を含む体内の他
の総ての構造を消去し、神経ツリーのみが残って見える
ように、これらの画像を取り込む。所与の撮像された領
域を通過する複数の神経を同時に観察することができ、
他の造影剤技術によって単一の神経のみを撮像する場合
に起こる、神経識別の曖昧さを低減することができる。
本発明は、空間座標での信号強度のデータ集合を収集
する方法の発見に基づいており、このデータ集合は、生
きている哺乳類の二次元断面における、或いは三次元デ
ータ獲得空間における、神経の位置を記載するものであ
る。磁気共鳴撮像装置を制御または動作させることがで
きる多数のパルス・シーケンスが存在し、それらの各々
が好適な画像最適化を達成する。しかしながら、以前
は、神経の相対的信号強度を高め、体内または腰部断面
の他の総ての組織よりも明るくすることができる、単純
な(単一)または複雑な(二重または多重)パルス・シ
ーケンスはなかった。驚くべきことに、本発明者らは、
複雑なパルス・シーケンスを組み合わせる幾つかの新た
な方法があることを発見した。シーケンスの単純な成分
が神経の信号対ノイズ比を低下させるか、或いは神経の
他組織に対する信号強度を低下させても、複雑なシーケ
ンスを完全に組み合わせることによって、実際神経信号
が他の組織よりも強くなるのである。このように、神経
の画像における顕著性が向上する。
このように、本発明の第1の態様は、神経造影剤の使
用を必要とせずに、対象の神経組織を選択的に撮像する
方法を提供することであり、この方法は、対象の一部、
即ち検査対象を磁気共鳴撮像の場に露出させて、磁気共
鳴を検出し、前記検出された共鳴から神経組織の画像を
生成させることから成り、前記画像内で対象となる神
経、根、または神経束を、周囲の構造から目で見て区別
できるようにする。
本発明の第2の態様は、対象の神経組織を選択的に撮
像する方法を提供することであり、この方法は、水分拡
散の異方性または神経組織の他の特別な性質を判別する
ように構成された磁気共鳴撮像の場に、検査対象の一部
を露出させ、磁気共鳴を検出して前記共鳴に応じた電気
信号を発生させ、前記電気信号から神経組織の画像を生
成させることから成る。
また、本発明は神経造影剤の使用を必要とせず、対象
の神経組織を選択的に撮像する装置も提供する。この装
置は、検査対象の一部を磁気共鳴場に露出させる部材、
磁気共鳴を検出し、前記共鳴に応じた電気信号を生成さ
せる部材、及び前記電気信号から神経組織の画像を生成
させ、前記画像内の対象となる神経、根、または神経束
が、周囲の構造から目で見て区別できるようにする部材
から成る。
本発明は、また、対象の神経組織を撮像する装置とし
ての表現を見出した。前記装置は、水分拡散の異方性を
判別できるように構成された磁気共鳴場に検査対象の一
部を露出させる部材、磁気共鳴を検出し前記共鳴に応じ
て電気信号を発生させる部材、及び前記電気信号から対
象となる神経組織の選択画像を生成させる部材から成
る。
図面の簡単な説明 本発明の先の態様及び付随する利点は、添付図面に従
って記載された以下の詳細な説明を参照することによっ
て、よりよく理解されるにつれて、一層容易に認められ
よう。
第1図は、種々の神経及び非神経構造を示す、兎の前
腕上部の断面図である。
第2A図及び第2B図は、前腕にフェライト造影剤が注入
された後に、MRIシステムを用いて離れた2時点におい
て生成された、第1図に描いた種類の兎の前腕上部の画
像である。
第3図は、短トー反転復元(STIR)スピン−エコー・
シーケンスを採用し、MRIシステムを用いて生成され
た、兎の前腕上部の他の画像である。
第4図は、対象となる末梢神経に関連した、第3図の
画像の一部の拡大図である。
第5A図及び第5B図は、それぞれ対象となる末梢神経に
関連する、第2A図及び第2B図の画像の一部の拡大図であ
る。
第6図は、本発明に従って構成された神経記録法シス
テムのブロック図であり、当該神経記録法システムに情
報を与えると共に、例えば神経診断、治療、外科手術及
び訓練を実施するために設計された複数の他のシステム
に結合されたものを示す。
第7図は、第6図の神経記録法システムの動作の機能
図である。
第8図は、第6図の神経記録法システムに含まれる種
々の構成物の例示である。
第9図及び第10図は、第8図の神経記録法システムを
用いてニューログラムを生成する一方法を示すフローチ
ャートである。
第11A図乃至第11F図は、第6図の神経記録法システム
から診断に適した画像を生成させる際に用いて好適なパ
ルス・シーケンスを示す。
第12図は、脂肪削除を用いた神経記録法システムの実
施例によって生成された兎の前腕上部の別の画像であ
る。
第13A図及び第13B図は、撮像される神経の異方性軸に
それぞれ垂直及び水平な勾配を用いた、神経記録法シス
テムの実施例によって生成された、兎の前腕上部の更に
別の画像である。
第14A図及び第14B図は、それぞれ、0,3,5及び7ガウ
ス/センチメートルの勾配を用いて生成された兎の前腕
上部の画像である。
第15A図乃至第15C図は、ゼロ、垂直、及び水平勾配を
用いて神経記録法システムによって生成可能な画像であ
り、一方、第15D図は第15B図及び第15C図の画像に基づ
いた画像であり、ここでは減算ニューログラムと呼ぶこ
とにする。
第16図は、第8図の神経記録法システムを用いて生成
された脳のベクトル長画像である。
第17図は、第8図の神経記録法システムを用いて撮影
した脳のアークタン画像である。
第18A図乃至第18D図は、第8図の神経記録法システム
を用いて生成し、生成された画像上のTE列の影響を示す
兎の前腕の画像である。
第19図は、本発明の神経記録法及び医療システムに用
いられた当て木(splint)を示す。
第20図、第21図、及び第22図は、第8図の神経記録法
システムを用いて生成された人間の脳神経の画像を示
し、第20図及び第21図は、神経束を撮像する(2つの断
面スケールで)システムの能力を示し、第22図は神経の
軸方向投影を示す。
第23図は、脊椎の断面図であり、1つの神経記録法用
途に示される構造の種類を示すものである。
第24図は、第8図の神経記録法システムに用いるため
の、本発明に従って構成された外科システムの概略図で
ある。
好適実施例の詳細な説明 ここで第6図を参照すると、神経記録法システム10
が、より広い医学システム12の一構成物として示されて
いる。従来技術の構成とは異なり、システム10は、造影
剤を用いることなく、個々の末梢神経または神経ツリー
全体のパターンを示す精度の高い画像を、高速且つ無投
与で発生する。本システムは、被検査標本の神経断面図
を示すこのような画像(以後ニューログラムと呼ぶ)を
二次元または三次元で表示可能とする。画像は、選択的
に標本内の他の全構造を削除することができ、或いは参
考として神経に関連する他の構造の肉体的関係を示すこ
ともできる。
1.医療システムの概要 第6図に示すように、医療システム12に含まれる神経
記録法システム10は、4つの基本構成物、MRIシステム1
4、処理システム16、入力システム18、及び出力/表示
システム20を備えている。好適な構成では、MRIシステ
ム14は、被検査患者の画像データを収集するのに用いら
れるために改造された従来のMRIシステムである。処理
システム16は、入力システム18を介して供給された操作
者の入力に応答して、MRIシステム14を制御し、その出
力を処理して、得られたニューログラムをシステム20に
表示する。以下に、より詳細に記載するが、システム16
は種々の異なる画像処理プロトコルを単一で或いは組み
合わせて用いており、生成された画像が、これまでには
達成されなかった画質であることを補償する。
医療システム12は、システム10によって生成される画
像情報を補足したり、種々の目的のためにその情報を用
いる多数の構成物を含む。例えば、補助データ収集シス
テム22は、患者の撮像された領域における血管や骨のよ
うな非神経構造についての画像情報を収集するために設
けられている。この情報は、次にシステム10によって生
成されたニューログラム内のそれら構造の表現を消去さ
せたり或いは強化させるために用いることができる。シ
ステム12に含まれている診断システム24は、システム10
によって生成された画像を分析するために用いられる。
システム10によって高解像度かつ高精度のニューログラ
ムが生成されると、システム24は神経通過情報を分析
し、例えば、神経の圧迫、怪我、腫瘍などに関連する不
連続部分を検出するようにプログラムすることができ
る。システム24は、不連続点の位置を示す出力を発生
し、医学的に評価された異常に関連付けられた画像情報
データベースを参照することによって、撮像された不連
続点の性質及び程度の指示を出す。これらの出力は診断
に用いることができ、或いはシステム10にフィードバッ
クとして供給し、患者の検査対象領域(ROI)の精度を
上げることもできる。
医療システム12は、治療システム26及び外科手術シス
テム28を含むこともできる。システム26及び28は、シス
テム10からの患者の神経構造についての情報を用い、所
望の治療または外科手術の適正な管理の補佐を行うもの
である。例えば、この情報を用いて損傷された神経部位
にロボット・スタイラスを案内して処置を行なったり、
或いは、患者の末梢神経を損なうことなく非神経構造の
手術を行なうことができる。システム26及び28は、外科
医の制御とは独立に動作することもでき、また単に外科
医に実行中の手術と患者の神経構造との間の関係に関す
るリアルタイムのフィードバックを与えることもでき
る。
訓練及び開発システム30は、種々の異なる目的のため
に医療システム12に含まれている。例えば、訓練システ
ム30を用いて、種々の神経の解剖学的構造を、それらの
非神経構造との位置的関係と共に示すことができる。こ
の情報は、従来技術の非常に限られた能力に対して、大
きな教育的価値を有するもので、直接検査を含む詳細な
解剖学的情報を提供する。訓練システム30は、神経記録
法システム10の有効性を分析すると共に、パルス・シー
ケンスやその他のシステム10の動作パラメータを制御す
るために用いられるフィードバックを与えるように設計
することもできる。
最後の構成物として、医療システム12は、システム12
の他の構成物内の個別処理システムに加えて、或いはそ
れに代わって、ホスト処理システム32を含む。第6図に
は別個に示されていないが、システム32は入出力回路に
よってシステム12の残りの部分に結合されている中央処
理部(CPU)を含んでいる。CPU及びシステム12の種々の
構成物の動作を制御するため、及びシステム12によって
収集された画像やその他のデータを記憶するためにメモ
リが設けられている。システム12の種々の構成物が1つ
のソフトウエア・セットに従って対話式で動作させるよ
うな場合、別個のホスト処理システム32を用いることは
特に望ましい。
2.神経記録法システム 次に神経記録法システム10の詳細な説明に移る。シス
テム10のより重要な動作上の構造の幾つかが、第7図に
大まかに描かれている。後により詳細に記載するが、シ
ステム10は、1つ以上のこれら構造を用いて従来のMRI
の画像処理能力を十分に高め、診断上及び治療上有用な
情報を得るように構成されている。
図示のように、システム10の動作は、データ収集34、
画像処理及び分析、画像表示38、及び制御40の大まかな
ステップに分けることができる。データ収集プロセス34
は、例えばスピン−エコー画像処理42を含み、これが1
つ以上の以下のプロトコル、脂肪削除44、拡散重み付け
46、及び「長T2」処理48、ならびに磁化移転(magnetiz
ation transfer)を含む他のプロトコルによって補足さ
れる。これらのプロトコルの各々は、末梢神経の画質を
十分高め、これまで得られなかったMRIニューログラム
を提供するものである。
プロセス34によって収集されたデータは、二次元及び
三次元の画像発生50を含む画像処理及び分析36を受け
る。画像発生50は、生成された画像上の例えば血管や患
者の動きの影響を低減する作用を行なう、更に種々雑多
の削除機構52によって改良される。画像減算機構54を採
用して画像から総ての非神経成分を除去することもでき
る。
a.神経記録法システムの構成 先に神経記録法システム10の動作的側面を簡単にまと
めたので、その構成及び動作についてここで詳細に検討
する。一実施例では、MRIシステム14は、SIGNA(ソフト
ウエア・リリース5.2)という商標でGE Medical Syst
emsから販売されている種類の撮像部Iを含む。
この点について、第8図に示すように、撮像すべき患
者の領域Rを、MRIシステムの撮像部Iの空隙B内に配
置する。後に詳細に記載するが、撮像部に対する領域R
の位置を当て木58によって安定させてもよい。当て木58
は動きのアーチファクトを制限し、二次的参照フレーム
に基準マーカを発生し、システムの境界効果を被る可能
性を低減させる。これを用いなければ、皮膚と空気との
間の境界付近で、脂肪削除が大きく低下する。
MRIシステム14は、領域Rを所望の偏向の場に露出さ
せるための偏向場コイル60を含む。偏向場は、例えば1.
5テスラの強度を有し、z軸に沿って配向されている。
同調したrf励起コイル62も、検査対象の領域R上の空
隙B内に配置される。コイル62にはパルス状rf入力が供
給され、以下に説明するような方法で、領域Rにおいて
核スピンの励起のための場を発生する。また、コイル62
は、スピンによって発生される返答またはエコーの場を
検出するためのものでもあるが、別個の送受信コイルを
代わりに用いてもよい。
励起コイル62は、例えば、ソレノイドまたは表面コイ
ルであり、撮像すべき領域(例えば、患者の腕、脚、
肩、胸、骨盤、頭部、首または背中)上に密接するよう
な構成及び寸法とされている。好適実施例では、しかし
ながら、位相アレイ・コイル・システムを用いて、返答
の信号対ノイズ比を高め、これによってシステム14の空
間解像度を改善すると共に、こうしなければ余りに弱す
ぎて有用な画像を形成できなかった信号から情報を引き
出せるようにしている。例えば、1−2ミリ程度の厚さ
を有する末梢神経を鋭く分解する場合、各アレイは横方
向及び縦方向に対に配列した、即ち線形に対をなすアレ
イ状に配列した、4−6個の別個のコイル7を含む。
3対の勾配コイル64及び66も撮像部の空隙B内に配置
されている。これらのコイルは、各x,y及びz軸に沿っ
て、サンプル領域R上の偏向場上の、約1ガウス/セン
チメートルの位置勾配に重なり合っている。しかしなが
ら、簡単化のために、z勾配コイル64及び66のみが第8
図に示されている。
好適な構成では、同一のコイル対64及び66を用いて所
望の軸に沿った拡散勾配、及び必須の位置的勾配を生成
する。また、1つ以上の別個の拡散勾配コイル対68及び
70を撮像部の空隙Bに設けてもよい。別個のコイル対68
及び70が可動台(track)上に取り付けられる場合、実
質的に如何なる所望の拡散勾配配向でも得ることができ
る。拡散勾配は、位置的勾配に比べて、比較的強く、例
えば10ガウス/センチメートル以上の範囲である。
コンピュータ72及びフロントエンド回路74が、処理シ
ステム16、入力システム18を形成し、フロントエンド回
路74は第6図に示す神経記録法システム14の処理システ
ム16、入力システム18、及び出力表示システム20を形成
する。コンピュータ72及び回路74は協同してMRIシステ
ム14の動作を制御し且つ同期させると共に、獲得したデ
ータの処理及び表示を行なう。
コンピュータ72は、例えば、486プロセッサ、VGAモニ
タ及びキーボードを備えたIMB互換型パーソナル・コン
ピュータである。回路74に含まれるインターフェース・
バス76が、コンピュータ72を回路74の他の構成物に結合
する。
回路74に含まれる勾配パルス発生器78は、全体的に矩
形型の出力パルスを生成し、偏向場に所望の勾配を形成
する。発生器78の出力は、x−、y−及びz−軸勾配場
増幅器80に供給されるが、第8図にはz−軸の増幅器80
しか示されていない。好ましくは、別個のコイル68及び
70を用いて拡散勾配を形成するが、その場合、発生器78
の出力は別個の増幅器82を経てそれらのコイルに供給さ
れなければならない。
回路74は、更にrfパルス発生器84も含み、励起場の形
成に用いられるrf信号パルスを生成する。好適な構成で
は、パルス発生器は、プロトンMRIに用いるのに適したr
f出力を生成するが、19フッ素、13炭素、31燐、デュー
テリウム、または23ナトリウムのような、他のMRIが可
能な核に特定した周波数を用いることもできる。発生器
84の出力は、デュプレクサ88によって選択的に励起コイ
ル62に供給される前に、高出力rf増幅器86によって増幅
される。デュプレクサ88も、励起コイル62によって受信
された低レベルのMR返答を、前置増幅器90に選択的に向
けるように制御される。
ミキサ92は、増幅されたMR返答をデジタル的に制御さ
れたrf発振器94からの信号と混合することによって、前
置増幅器90の高周波数出力を低周波数信号に変換する。
発振器94は、発生器84にも入力を供給する。ミキサ92か
らのアナログ出力は、最終的にアナログ/デジタル変換
器98によってデジタル形状に変換される前に、ローパス
フィルタ96に入力される。コンピュータ72は、スピンの
印加された場に対する応答を表わす、結果的に得られた
デジタル信号を処理し、所望のニューログラムを発生す
る。
b.神経記録法システムの動作 神経記録法システム10の基本構造を見直したので、こ
こでは所望の二または三次元ニューログラムを発生する
ための動作について考える。このために、第9図及び第
10図はニューログラムの生成において、システム10によ
って行なわれる全体的な一連のステップを示す。これら
のニューログラムは神経が非常に顕著に現れる。今後の
議論のために、これは神経と背景画像との間のコントラ
スト(例えば輝度または色)を参照することによって理
解されよう。以下に記載する方法を用いることにより、
脳を含む体の実質的に如何なる領域のニューログラム例
えば、脳神経系(CNS)のニューログラムでも生成させ
ることができる。
ブロック100に示されるように、本システムの動作
は、まずシステムのある動作パラメータを決定するため
に初期化される。この点について、操作者は起動時に発
生される質問に応答してコンピュータ72を通じて所望の
パラメータを入力する。システムの動作の殆んどがコン
ピュータ72のメモリに常駐するソフトウエアによって制
御されるので、デフォルト初期化パラメータにアクセス
することも可能である。
初期化すべき特定のパラメータは、ユーザの裁量によ
って変化するが、その例として、発生すべき画像の種類
(即ち、二次元断面または三次元投影図)、視野(FO
V)、各撮像されるスライスの厚さ、パルス繰り返し率
(IR)、位相エンコーディング・ステップ数、拡散異方
性の既知の軸の存在、及び用いる拡散勾配の強度及び方
位が含まれる。例えば、操作者は、二次元画像、4cm×4
cmのFOV、1.5秒のTR、及び256位相エンコード・ステッ
プを選択することができる。異方性軸の識別について
は、以下に論じる。
一旦初期化が完了すれば、第7図に関連して論じたデ
ータ収集処理34に対応する一連のステップが実行され
る。このプロセスは、一般的に、フロント・エンド回路
74に関連して用いられるパルス・シーケンスの制御に関
する。以下により詳細に説明するが、パルス・シーケン
スの異なる集合及びパルス・シーケンスの組み合わせを
発生し、小さな末梢神経を、隣接する類似形状及び位置
の構造から、大まかに区別する。或る既存の列を組み合
わせて新しい集合として新たな状況に用いたり、ニュー
ログラム処理のための最適化された構造を組み込むため
の新しい列を設計することが含まれる。例示として、適
正なパルス・シーケンスの一例の図を第11A図乃至第11F
図に示す。
i.脂肪の削除 第9図のブロック102に示されるように、画像発生プ
ロセスにおいて実行される第1の選択ステップは、脂肪
の削除である。脂肪は骨及び組織のMRI画像におけける
既知の妨害源を表わすが、神経MR信号は背景成分には関
係なく撮像には不適当であると広く考えられていたた
め、これまで有効な神経撮像に対する妨害とは認識され
ていなかった。脂肪削除の値は、本発明の開発中に、撮
像システムのスペクトロンスコピー(spectroscopy)部
分用に設計された主磁場磁石を偶然用いることによって
発見された。
この点について、MRスペクトロスコピーでは、比較的
強い磁場を用いて、同一核の異なる化学的種から発生す
る信号間の周波数間の分離を増大させて、これによって
これらの成分がより簡単に区別できるようにしている。
MRIはサンプルに周波数分散(場勾配を加えることによ
って形成する)も用いて、スピンを位置決めすると共
に、画像を作成する。脂肪及び水からの信号は周波数が
僅かに異なっており、画像では互いにずれて現れる。
脂肪/水のずれは、低磁場診療用MRIシステムが用い
られる時は、比較的小さい。偶然、非常に強いスペクト
ロスコピー場磁石が、初期の神経撮像の試みにおいて用
いられ、生成された画像では脂肪のずれがより大きいも
のとなった。輝度の高い脂肪信号を神経からずらせるこ
とにより、神経をより目立たせて観察できることになっ
た。この改良が認識され、実際には、システム14に脂肪
削除を含ませることによって、効果的な神経撮像を達成
することができたという現実に至った。
明らかに、脂肪削除は、神経記録法用の従来のMRIシ
ステムの使用を、幾つかの方法で促進するものである。
第1に、余分な成分を除去すれば、撮像された構造の中
で区別するものの数が減少する。第2に、脂肪が削除さ
れた画像では、末梢神経が比較的高い輝度で現れ、削除
された脂肪によって低い輝度となった他の空間に対して
非常に目立つことになる。以下により詳細に記載する
が、脂肪削除は拡散異方性及び磁化転移効果の見かけ上
の度合いも相乗的にに増大させる。
ある適当な脂肪削除技術は、化学的シフト選択(CHES
S)パルス・シーケンスの使用を伴なう。これは、例え
ば、ハースら.のNMR Chemical Shift Selective Imagi
ng,30 PHYS.MED.BIOL.341−344.(1985)に記載されて
いる。
第11A図に示すように、CHESSは、狭帯域rfパルス・シ
ーケンスA、B及びCを励起コイル62に印加し、撮像さ
れる患者の領域R内の脂肪分子の核スピンを選択的に励
起させることを伴なう。一例として、−3dB、600ヘルツ
の帯域を有する3ミリ秒のガウス型パルスを用いること
ができる。一連の勾配パルスa、b及びcのシーケンス
を次に3組の勾配コイル64及び66に印加し、励起された
スピンの位相を外す(dephase)。これによって脂肪信
号の最終画像に対する影響を最少に抑える。直交する勾
配コイル対に印加される勾配パルスa、b及びcは、例
えば、それぞれx,y及びz軸に沿って、3ミリ秒の間5
ガウス/センチメートルの勾配を生成する。
第12図は、MRIシステム14によって生成されたニュー
ログラム上での脂肪削除の効果を示す。第12図に得られ
た画像は兎の前腕であって、先に述べた第1図乃至第5
図の画像に対応するものである。画像の暗い部分は、画
像の輝度が高い所を表す。第12図に示すように、尺骨神
経UN及び正中神経MNは容易に識別される。
脂肪削除にCHESSを用いる代わりとして、選択的水刺
激(water stimulation)によって所望の削除を行なっ
てもよい。他の適した代替案には、例えば、ディクソン
らのSimple Proton Spectroscopic Imaging,153 RADIOL
OGY 189−194(1984)に記載されているディクソンの技
術、及びImproved Fat Suppression in STIR MR lntagi
ng:Selecting Inversion Time through Speclral Displ
ay,178 RADIOLOGY 885−887(1991)に記載されたSTIR
(短トー反転復元)が含まれる。
好適実施例では、脂肪削除は拡散重み付けや長T2処理
のような他の技術と組み合わせたが、脂肪削除それ自体
でも従来のMRI処理を十分強化し、医療上有用なニュー
ログラムを発生することができる。同様に、以下により
詳細に記載するが、システム10によって用いられている
他の技術を用い、脂肪削除を使用せずに適切なニューロ
グラムを発生することもできる。
ii.スピン−エコー・シーケンス(拡散重み付け不使
用) 第11図に描かれた例示的なパルス・シーケンスの任意
の導入部分について論じたので、神経記録法システムの
動作の次の段階を検討する。
この点について、第11A図に示されたrf励起パルスD
をコイル62に印加し、スピンの正味磁石モーメントを偏
向場に対して90度勾配させ、横断面に入れる。すると、
スピンの位相が外れるにつれて、得られた最大横断方向
磁化がゼロに低下する。返答即ちエコー時間(TE)の半
分の遅れの後、パルスDの2倍の強度を有する第2パル
スEを、コイル62に印加する。このパルスは、スピンを
更に180度回転させ、スピンが再度同相となると、スピ
ン−エコーを形成させる。スピン−エコーは更にTE/2の
遅れの後、最大振幅をもつようになる。従って、励起パ
ルスDと再合焦パルスEとの影響の結合に応答して、ス
ピン−エコー信号Fは時刻TEにおいてコイル62に発生す
る。これらのステップは、第9図のブロック104、106及
び108に描かれている。
同時に、直交コイル対64及び66によって撮像勾配が生
成され、通常の方法でエコー信号Fをエンコードし、ブ
ロック110に示すように、MR画像を構成させる。z軸に
沿って配向されたサンプルを用いて、第11C図に示す
「スライス選択」パルスd、d′及びeをz軸コイル対
64及び66に印加し、対象となるスライスのz軸を励起
し、かつ再合焦する。第11D図に示す「読み取り勾配パ
ルスf及びf′を、例えば、x軸コイル対64及び66に印
加し、フーリエ変換すべき所望の出力を得る。第11E図
に示す「位相エンコーディング」パルスg及びg′をy
軸コイル対64及び66に印加し、受信すべきエコー数(例
えば256)を制御する。このシーケンスは連続的なスラ
イスや、患者の領域から画像を発生する。
操作者が(ブロック100において)神経記録法システ
ム10によって特定の画像の発生のために拡散重み付けを
必要としないことを示すと、第11A図乃至第11E図に示す
パルスが実質的にスピン−エコー・シーケンス全体を規
定することは理解されよう。拡散重み付けを用いるとし
ても、好適実施例では初期画像は、改善のための脂肪削
除のみを用いて発生され、その結果、特定のスライスに
対するスピン−エコー・シーケンスの最初の実行中(ブ
ロック104−110)、拡散重み付けは用いられない。
先の神経記録法システム10の実施例ではスピン−エコ
ー画像処理を用いたが、他の技術を用いることもでき
る。適切な代替技術には、例えば、刺激エコー撮像(st
imulated echo imaging)及び勾配呼び出しエコー撮像
(gradient−recalled echo imaging)、例えばエコー
平面撮像(EPI)が含まれる。このような代替技術は、
パリックのMAGNETIC RESONANC IMAGING TECHNIQUES(19
92)に記載されている。
iii.エコー処理 第11図に描いた連続画像処理では、一連のエコー信号
Fを得て、二次元画像を作成した。例えば、ブロック11
2において、第9図では256のエコーと256の異なる位相
エンコード勾配振幅とを用いて、256×256画素の画像を
構成した。このデータ集合は、次にブロック114でゼロ
を充填することによって拡大し、1024×1024マトリクス
のデータを生成する。結果として、最終画像の見かけ上
の解像度が高くなり、画像がより明確となる。
次に拡大データ集合を、2Dガウス・フィルタを用いて
ブロック116において処理する。このフィルタは、画像
内の高周波成分を減衰することによって画像を平滑化
し、対象領域全体の相対的平均画素輝度を変えずに、微
細部分の非線形性(delineation)を明確にする。ブロ
ック118において、二次元マトリクスのデータに二次元
フーリエ変換を行ない、記憶すべき画像を生成する。望
ましければ、画像をコンピュータ・モニタに表示しても
よいが、好適な構成では、この画像は選択された強調画
像を発生するために行なわれる、より広範な分析に用い
られる一構成物に過ぎない。
一旦初期画像が発生されると、第10図に示すようにそ
の画像の分析が始まる。ブロック122において、当該画
像内の1つ以上の対象領域(ROI)を識別することがで
きる。各ROIは、単一の画素またはボクセル(voxel)、
或いはより広い領域のこともある。ROIの選択は、例え
ば、キーボードまたはマウスを用いて、表示画面上のRO
Iに亘ってカーソルを動かすことにより、手動で行なう
ことができる。また、ROIの選択は、全画素の連続的選
択、または例えば診断システム26からの特定領域に関す
る外部入力によって、自動的に実行することもできる。
次に、各ROI内の平均画像または画素の輝度を、ブロ
ック124で計算する。この平均画像輝度Sは、次の式で
表すことができる。
S=A0[exp(−TE/T2)][exp(−bD)] (1) ここでA0は特定画素の絶対信号強度、bは勾配係数であ
り、次の式に従って決められる。
b=γ(Gi 2)(δ)(Δ−δ/3) (2) ここで、rは磁気回転比、Giは偏向場強度、δは拡散重
み付け勾配パルスの長さ、及びΔは拡散重み付け勾配パ
ルス間の間隔である。拡散重み付けが用いられる前の最
初の繰り返しでは、式(1)の最終項は、従って1であ
る。
式(1)及び(2)の表現を利用するために、先のデ
ータ獲得プロセスを、エコー時間の異なる値について繰
り返す。一方、以下に詳細に記載するが、拡散重み付け
を用いる場合、データ獲得プロセスは、異なる勾配強度
(勾配強度及び/または期間を調節することにより制御
する)または勾配方位について繰り返す。例えば、30、
60、90及び110ミリ秒のTE、または0、3、5及び7ガ
ウス/センチメートルの勾配強度を用いることができ
る。TEの特定の値に対する、同一横断スライスのこれら
多重画像の特定画素に対する画像輝度S(または、拡散
重み付けを用いる場合はb)が得られ、対数関係の線形
回帰分析がブロック126で実行される。
最後に、ブロック128において、見かけ上のT2弛緩時
間(relaxation time)の値(または拡散重み付けが用
いられる場合は、見かけ上の拡散係数D)が、特定のRO
Iについて計算される。これらの計算は、画像内の種々
のROIの定量的評価を与え、医療システム12の他の構成
物による以降の画像処理に用いられる。
iv.拡散重み付けに対する勾配方位 好適な構成では、初期脂肪削除画像が収集されそのRO
Iの特徴付けが行なわれた後に、拡散重み付けの分析を
開始し、神経及びその他の組織によって示される拡散異
方性を評価することによって発生されるニューログラム
を、更に改善する。この分析の最初の要点は、用いる拡
散勾配の選択である。
紹介のために述べると、現好適実施例では、この分析
は、パルス化された磁場勾配を2方向以上で偏向場に印
加し、末梢神経が強調された、或いは削除された画像を
生成する。これは、選択された特定のパルス状勾配軸か
ら得られる「拡散重み付け」によって左右される。次
に、以下により詳細に記載する方法で、強調画像から削
除画像を差し引くことによって水の拡散異方性の判別を
行ない、末梢神経のみを描いた画像を生成する。
より具体的には、磁場勾配を互いに実質的に直交する
方向に印加する。例えば、撮像される特定点における末
梢神経の軸に略垂直及び水平な勾配を用いて、平行勾配
画像を、垂直勾配画像から差し引いて、所望の「神経の
み」の画像を生成することができる。
神経の軸は通常操作者には知られており、そのMRIシ
ステム14の基準フレームとの関係が、初期ブロック100
において示され、所望の直交する拡散重み付け勾配の方
向を容易に判定することができることが、認められよ
う。一方、末梢神経の軸が判らない場合、または異なる
軸を有する多くの神経が撮像される場合、神経記録法シ
ステム10は、実質的にあらゆる軸に整合する、神経を撮
像するのに適した勾配配向システムを用いなければなら
ない。例えば、以下により詳細に記載するが、全三次元
ベクトル分析を用いて、拡散係数を特徴付け、拡散重み
付け勾配の固定配列に基づく構造を、ニューログラムに
与えることができる。
上腕または手首のような解剖的分析領域において、対
象位置において神経の軸に垂直な単一の拡散勾配のみを
加えることによって、ニューログラムを分離させ適当に
強調することも可能である。結果として、ニューログラ
ムを生成するために減算を行なう必要がなくなる。脂肪
を削除し、直交方向に拡散重み付けした画像は、直接処
理することができ、或いは、しきい値処理を施し、非神
経組織または撮像位置における移動と異なる軸または方
向を有する神経と関連する強度が低い信号を除去するこ
とができる。
より速く効率的なデータ収集及び処理のために、偏向
場における拡散勾配の設定は、目下問題となっている撮
像に応用する先の筋書き(scenario)の特定の1つに応
じるべきことは認められよう。ブロック100で与えられ
た入力に応じて、(a)既知の方位の1つの勾配のみが
要求されること、(b)既知の方位の2つの直交する勾
配が要求されること、または(c)方位が判らない2つ
以上の勾配が要求されることを、システムは知らされて
いる。
第10図のブロック130に示すように、画像分析の完了
時に、システムは、例えば、スピン−エコー処理または
高速スピン−エコー処理によって、後続するデータ獲得
の間に、総ての所望の拡散勾配が偏向場に印加されたか
を考慮する。初期の脂肪削除処理では拡散勾配を用いな
かったので、初期状態では答えは否であり、処理はブロ
ック132に進む。
ここで、コンピュータは、拡散異方性の軸が既知であ
ることを操作者が初期状態で示したかを判定する。当該
軸が既知であれば、ブロック134に示すように、垂直な
拡散勾配を用いる。次に、ブロック136に示すように、
一連の拡散重み付けしたスピン−エコーを行ない(以下
に詳細に記載する方法で拡散勾配を含ませることによっ
て変更する)、ブロック124−128において画像の数量化
が生じてDまたはT2を計算する前に、ブロック102−122
に従って画像を発生する。操作者が初期化において、現
在問題となっている特定の撮像に直交拡散勾配が要求さ
れていることを指示したならば、この処理を、平行拡散
勾配について、ブロック138及び140で繰り返す。
ブロック132において行なわれた質問で、拡散異方性
が未知であると判定されたなら、処理はブロック142に
進む。ここで、初期拡散勾配を任意に選択し、続いて異
方性軸が未知の場合操作者が用いるために、一連の代わ
りの勾配を選択する。
ブロック144において、初期拡散勾配を用いて、スピ
ン−エコー・シーケンスを実行し(以下に詳細に記載す
る方法で、拡散勾配を含ませることによって変更す
る)、ブロック124−128において画像データの量子化が
行なわれる前に、ブロック102−122に従って、画像を発
生する。次に、ブロック146において、試験を実施し
て、所望の数の異なる拡散勾配(例えば、x,y及びz軸
に沿った3つの勾配)が用いられたかどうかを判断す
る。用いられていなければ、ブロック148において次の
拡散勾配を選択し、ブロック144に示されているよう
に、スピン−エコー・シーケンス、撮像及び処理動作を
実行する。このプロセスは、所望数の別の拡散勾配が用
いられるまで、繰り返される。
局所勾配コイルによって与えられるもの以外に勾配が
軸に沿って望まれる場合、勾配コイルを追加してもよい
ことは認められよう。このために、拡散勾配コイルは、
撮像部の空隙内の磁気的に互換性のある可調整トラック
(track)上に取り付けられ、実質的に連続する方位範
囲に亘って、勾配の再配置及び印加を可能とすることも
できる。同様に、撮像すべき領域を、1組の固定勾配コ
イルに対して移動可能に支持し、勾配方向に所望の多様
性を導入することもできる。他の選択肢として、複数の
異なる勾配コイルを用い、種々の組み合わせで作動させ
て、所望の勾配変更を行なうこともできる。また、限ら
れた数の勾配方向から得られる結果を、ベクトル分析を
用いて処理し、直接得られるもの以外の勾配によって得
られる結果を予測することができる。これについて以下
に詳細に記載する。
v.拡散重み付けのためのスピン−エコー・シーケンス 先に簡単に注記したように、用いられた異なる拡散勾
配の各々について、スピン−エコー・シーケンスを繰り
返し、次に画像データの発生及びそのデータの処理を行
ない、例えば、弛緩時間T2または拡散係数Dを量子化す
る。好適な構成では、拡散勾配の使用は、スピン−エコ
ー・シーケンスに多くの面で影響がある。
第11F図に示すように、所望の勾配コイル対に印加さ
れる2つのパルスh及びh'を用いて、偏向場において特
定の拡散勾配を決定する。50ミリ秒のエコー時間(TE)
に対して、各パルス時間(δ)は例えば10ミリ秒であ
り、それらの分離(Δ)は20ミリ秒である。拡散勾配が
存在すると、エコー信号F、従って最終的に生成された
画像内の画素またはボクセルの輝度は、撮像領域R内の
水分子の空間拡散に感応するようになる。
この点について、先に示したように、拡散異方性のあ
る神経に実質的に垂直に配向された拡散勾配を用いて、
ニューログラムが強調され、全体的に撮像された種々の
機構を最も高い輝度で示す。この現象を第13A図に示
す。これは第1図に与えられた図に対応する兎の前腕の
画像である。尺骨神経UN及び正中神経MNが双方とも相対
的に暗く(輝度が高い)、容易に見ることができる。こ
れとは別に、拡散異方性のある神経に実質的に平行に配
向された拡散勾配を用いて、第13B図に示すように、ニ
ューログラムを削除し、全体的に他の撮像された構造よ
りも低い輝度で示す。これらの画像は、以後に詳細に記
載する減算プロセスによって組み合わせ、神経が他の全
構造から隔離された画像を生成することができる。
第11図に示したスピン−エコー・シーケンスは、撮像
用勾配と拡散重み付け勾配との間のクロス−ターム(cr
oss−terms)の効果を低減するための、従来のシーケン
スの変更版である。より具体的には、第11D図に示す読
み取り勾配再位相合わせパルスfを、第11C図に示すス
ライス選択励起パルスdの後ろの代わりに、第11A図に
おけるエコーFの獲得の直前に配置する。しかしなが
ら、この変更の結果として、おそらく第11C図に示すス
ライス選択パルスd,d′及びeの不完全性によって形成
される望ましくないエコーによる、拡散重み付けされて
いない画像にアーチファクトが現われることがあった。
この問題を克服するために、パルス・シーケンスに第2
の変更を行なった。具体的には、位相エンコード勾配を
2つの部分g及びg′に分割し、2つまたは4つの(S/
Nによる)遷移(transients)を、位相を循環させなが
ら獲得した。結果として、残っているクロス−タームの
影響は、拡散重み付け係数に対して3パーセント未満と
なる。
拡散重み付け勾配によって得られる画像の強調を利用
するためには、脂肪の削除は必要ではないが、好適な構
成では、拡散重み付けされたスピン−エコー・シーケン
スの開始の前に、第11A図及び第11B図に示す脂肪削除シ
ーケンスを採用している。以後により詳細に記載する
が、これらの技術の組み合わせによって、一般的に、何
れかの技術で個別に得られるものを越える画質が得られ
る。
拡散重み付けされたパルス・エコー・シーケンスを用
いて生成されたエコーFを、第9図及び第10図のブロッ
ク112乃至128に関連して前述したように処理する。拡散
重み付けを用いた場合、ブロック128における拡散係数
Dの計算は異なる勾配の強度について収集されたデータ
の分析に基づくことが好ましい。例えば、計算は、0、
3、5及び7ガウス/センチメートルの勾配に基づいて
行なうことができ、その結果、それぞれ第14A図乃至第1
4D図に表されるような画像データが生成される。脂肪、
骨髄、皮膚及び血管は通常勾配が低い場合でも見えない
が、筋肉及び腱は勾配が高いと欠落する。先に示唆した
ように、強度ではなく勾配期間を延長することによっ
て、徐々に勾配を強くすることができる。代わりに、繰
り返しデータ収集プロセスを、異なる勾配方向を用いて
行なってもよい。
vi.画像選択/生成 ブロック130で一旦、コンピュータ72が、総ての所望
拡散勾配に対して画像の収集がなされたと判断したな
ら、処理はブロック150に移行する。異方性軸が未知の
場合、ブロック150において異なる勾配方位を用いて各R
OIについて計算された種々の拡散係数Dを計算し、最大
及び最小値を識別する。これらの係数は、その点におけ
る、各画素またはボクセルに関連する、拡散異方性の度
合いの測定値を与え、異方性の方向は勾配方位によって
示される。
(a)減算神経記録法 好適な構成では、ブロック152に示すように、特定のR
OIに対する拡散係数の最大及び最小値に関連する画像を
減算プロセスで用いる。勾配が神経軸に対して垂直に近
い程、より大きな係数に関連する画像が生成されて、神
経画像を強調し、一方この軸に対して平行に近い程、よ
り小さな係数に関連する画像が生成され、選択的に神経
信号を消し去る。これら2枚の最終手前の画像を次に数
学的に(または写真的或いは光学的に)互いに減算し、
減算ニューログラムを生成する。
例示として、第15A図は、拡散重み付けをせずに生成
した画像を示す。次に、第15B図及び第15C図は、それぞ
れ平行及び垂直勾配を用いて生成した画像を示す。最後
に、第15C図の画像を第15B図のそれから減算した時に生
成される減算ニューログラムを第15D図に示す。
この「理想的な」ニューログラムは、減算血管撮影法
(血管のみを示す画像)にいくらか類似しているが、血
管ではなく神経を顕著に浮き立たせるものである。この
ような画像は、所与の撮像面または空間における神経の
識別を確認する際、及び神経の損傷や神経の圧縮を突き
止める際に有用である。或る解剖学的分析領域における
全血管パターンを示す血管撮影法という公知技術の存在
にも拘わらず、そして神経撮像技術の問題に適用可能で
あったMRI技術の存在にも拘わらず、更には、特に神経
を分離して見せる大きな必要性にも拘わらず、このよう
なニューログラムを作成する方法が従前は全くなかっ
た。
画像減算が望ましい構成では用いられたが、必須のも
のではない。例えば、公知の異方性の応用では、減算は
不要であり、しきい値分析が好ましいこともある。ま
た、望ましければ、減算プロセスを更に補強することが
できる。例えば、減算プロセスの出力を、脂肪削除し、
T2で重み付けしたスピン−エコー・シーケンス(例え
ば、前述のCHESS技術を用いて)からの信号情報で除算
することができる。
減算プロセスの使用によって考慮すべき実際上の問題
として、画像登録(image registration)がある。非神
経組織が、減算処理を受ける両画像に同様に含まれてい
る場合、この非神経成分は、得られる画像では打ち消さ
れることを理解されよう。一方、非神経組織の見かけ上
の位置にずれやその他の不一致が、例えば対象の動きに
よって、画像に入り込んだ場合、打ち消しは起こらず、
得られた画像における神経の識別が、実際より困難とな
る。
一実施例では、減算プロセスの開始に先だって、受け
入れ可能な画像登録を評価する。より具体的には、1つ
の画像内の画素の輝度を二番目の画像の対応する画素の
輝度と比較する。神経組織の画素は、それら拡散係数に
よって評価され、それらの拡散異方性が高いことによっ
て、対象から外される。残りの非神経画素が、受け入れ
可能な画像登録を示すある範囲内に互いに納まらなけれ
ば、減算は禁止される。
(b)ベクトル処理及び三次元画像の発生 この時点まででは、生成された出力は一般的に単一の
二次元画像か、または一連の二次元画像で、これらを関
連付けて三次元画像を形成することができるものであっ
た。以下に詳細に記載するが、三次元画像発生の簡単な
構成では、システム14によって生成された二次元ニュー
ログラムの高いS/N比によって、撮像された神経断面図
を識別し、互いに連携して神経構造の三次元投影図を形
成することができる。
しかしながら、関連する神経パターン及び要求される
空間解像度によっては、この簡素化した手法は、三次元
投影図に望ましくない不連続性をもたらし得ることは認
められよう。より洗練された処理方式では、各二次元画
像における神経の異方性方向についての情報を用いて、
更に三次元画像の投影図の精度を高めている。異方性方
向に関する情報が得られるか否かは(availability)、
先に述べた拡散重み付け分析において用いられる勾配に
対する最適な方向を決定し、2次元画像を生成するのに
有用である。
この点について、撮像される末梢神経の異方性軸は、
時として操作者に判っており、操作者はブロック100に
おいてこの方向に関する情報を入力し、撮像に最良の拡
散勾配を選択することができる。しかしながら、より一
般的には、神経及びCNS神経束は比較的複雑な経路を進
み、神経または束の拡散異方性係数が最大となる方向
は、神経または束が曲線を描く、即ち曲がるにつれて、
徐々に一方の面から他方に移っていく。結果として、1
つまたは2つの任意に配向された標準勾配では、所望の
画像を得るには不適当な場合がある。
神経方向の変化を監視するには、撮像部の空隙内で、
固定した1組の勾配コイルに対して患者を移動させる
か、或いは非磁気駆動システムを有するトラック上に取
り付けられた可動型拡散系差コイルを用いれば可能であ
り、対象領域に印加される拡散勾配の方位を調節可能に
制御することができる。別の勾配整合を用いて、所与の
画素について得られた、または同じ勾配整合を用いて連
続画素に対して得られたDpl/Dprの比の変化を監視する
ことによって、神経方向の変化を予測し、適切な勾配方
向を選択することができる。これとは別に、3つの面に
配向された勾配コイルを同時に種々の組み合わせて動作
させ、異なる方位の勾配の無限の多様性の効果を得るこ
とができる。
神経方向の変化を追跡する試みの一つの利点は、平行
及び垂直勾配情報を収集し、上述の形式の減算ニューロ
グラムの生成に使用可能なことである。しかしながら、
所与の画素に対する最適な勾配方向が、繰り返し調節さ
れた勾配を用いて発生された画像からのフィードバック
を用いて決定される場合には、処理速度を著しく損なう
可能性がある。
多くの場合、公知の神経分析では、前もって特定の軸
の方位を用いることができる。初期の撮像情報は、神経
経路の全体を記述する。その後、「情報を得て」近似を
行なうことによって、各スライスの方位を最適化するこ
とができる。これは、神経画像の輝度の高い同一性を保
証する際に、或いは神経経路に沿った異方性の係数を測
定する際に有用となり得る。
機械的な複雑性を減少させ処理速度を高めた好適な代
替案として、個々の勾配軸との整合度合いとは独立し
て、拡散異方性を観察する技術が開発された。このプロ
セスは、3本の標準直交軸に沿って、または多数の固定
軸からの情報を用いて得られた異方性測定からの情報を
組み合わせることが含まれる。例えば、好適実施例で
は、ベクトル分析を用いて、上述の3つの直交方向に拡
散重み付けした画像から補間画像及び方向に関する情報
を生成している。
この点について、画像情報は、例えば、x,y及びz直
交方向におけるゼロ拡散勾配B0及び拡散勾配Bx,By,Bz
用いて、4つの「多数スライス」から収集される。生成
すべき画像の各画素に対して、4つの拡散勾配画像内の
対応する画素に関する情報を結合し、いずれかの方向に
おける神経繊維に沿った水分子の移動を表わす、拡散ベ
クトルを生成する。このベクトルは、当該画素の画像輝
度を表わす大きさと、当該画素に関連する「有効な」拡
散勾配を表わす方向とを有する。
より具体的には、新たな画像における所与の画素の画
像輝度Snは、次のベクトル式を用いて計算される。
Sn=ベクトル長=[(SX 2+SY 2+SZ 2)/S0 2
1/2 (3) ここで、SX、SY及びSZは、BX,BY及びBZ勾配によって生
成された画像内の対応する画素の画像輝度である。S0
B0勾配によって生成された画像内の対応する画素の画像
輝度であり、式(3)に含まれ、得られる画像輝度Sn
正規化する。この画素画像に関連する有効な勾配の方向
は、θxyxz及びθyzを含み、次のように計算され
る。
θXZ=BX及びBy間の拡散ベクトル角度=arctan (SY/SX) (4) θXY=BX及びBz間の拡散ベクトル角度=arctan (SX/SZ) (5) θYZ=BY及びBZ間の拡散ベクトル角度=arctan (Sy/Sz) (6) 式(3)、(4)、(5)及び(6)において計算し
たパラメータを用いて、種々の異なる方法で画像を発生
することができる。例えば、画素の輝度を、「ベクトル
長」画像として表示することができる。画像の輝度がSn
の大きさと姿勢に比例する、CNS画像のベクトル長の一
例として、第16図に示されている。
第16図の画像は、重さ2−2.5kgの猿(macaca fascic
ulans)の脳のスキャンであり、General Elecric CSI
II 撮像装置/スペクトロメータ(2テスラ、活性遮
蔽勾配(actively shielded gradients)を装備)上で
拡散撮像(スピン−エコー)を用いて行なわれたもので
ある。獲得パラメータは、TR=1000ms、TE=80ms、拡散
勾配=5ガウス/cm、拡散勾配期間=20ms、拡散勾配分
離=40msである。厚さ4mmのスライス4枚を撮像した。T
2重み付け画像を用いて、再生可能に拡散画像を選択し
た。
ベクトル長画像の使用に代わって、アークタン(arct
an)画像を使用することができる。これらの画像は、式
(4)、(5)または(6)の1つの角度出力に直接比
例する画素の輝度を決定することによって得られる。ア
ークタン画像の一例を第17図に示す。このCNSニューロ
グラムの例に示すように、選択された対象の神経束を選
択的に追跡し、他の神経束から分離し目立たせることが
できる。
第16図及び第17図に示した形式のCNS画像における障
害を評価するために用いる時、ベクトル長画像は水分拡
散変化により敏感である。この場合3つの直交画像が同
様に変化し、ベクトル角画像は2つの直交方向間の異方
性の変化に感応する。ミエリンの基礎蛋白質によって誘
発される実験的アレルギー性脳脊髄炎(experimental a
llergic encephalomyelitis)によって起こるCNS障害
を、拡散異方性からその開始(departure)によって示
す。これは、特定のベクトル角画像において強調された
ベクトル長の短縮及び画像輝度の変化として現れる(第
16図及び第17図との関係は明らかでない)。
例えば、バッサーらのFiber orientation Mapping in
an Anisolroptc Medeum wlth NMR Diffision Spectros
copy SMRI BOOK OF ABSTRSACT 1221(1992)に記載され
ているように、ベクトル分析の他の形式を応用すること
もできる。同様に、例えば、バッサーらのDiagonal and
off Diagonal Components of the Self−Diffusion Te
nsor:Their Relation to an Estimation from the NMR
Spin−Echo Signal SMRM BOOK OF ABSTRACTS 1222(199
2)に記載されているように、種々のランクの張筋を用
いた張筋分析を用いて、MR拡散異方性データの座標を処
理または変換することができる。磁気、熱的、及び構造
的異方性データの評価に用いるのに適した他の処理技術
も開発されている。
従来技術のシステムとは異なり、システム14によって
生成されるニューログラムの非神経成分は比較的低い輝
度で示されるか、或は実際画像から総て消去するので、
コンピュータ72は分析すべき構造における神経の位置を
容易に識別し、二次元画像平面間または三次元獲得空間
において、神経の経路を正確に辿ることができる。例え
ば、所与の画像面における神経の位置の検出は、画素の
輝度を或るしきい値レベルと比較することによって行な
うことができる。そして、所望の空間に対するこれら二
次元分析の結果を連携または投影することによって、次
に三次元画像を形成することができる。
代替案として、先に得られたベクトル情報を用いて、
神経または束がその神経経路に沿って移動する際に、神
経または神経束の最大異方性の方向における連続した変
化を追跡することができる。この点について、神経に関
連する各ボクセルに対する最大異方性の方向を判定し、
サロナーらのApplication of a Connected−Voxel Algo
rithm to MR Angiographic Data,1 JOURNAL OF MAGNETI
C RESONANCE IMAGING 324−430(1992)に記載されてい
る形式のボクセル接続ルーチンを用いて、最大異方性を
有するボクセルを連結する。得られた神経または神経束
のプロットは、空間周波数を高め、1つの画像面から次
への不連続性を減少させる。
上述の二次元撮像シーケンスに代わるものとして、フ
ラームらのRapid Three−Dimensional MR Imaging Usin
g the FLASH Technique,10 JOURNAL OF COMPUTER ASSIS
TED TOMOGRAPHY 363−368(1986)に記載された形式の
「三次元」撮像シーケンスを用いて、データ獲得を実行
することもできる。このシーケンスの出力を、次に三次
元フーリエ変換を用いて処理し、撮像された空間におけ
る核からの返答を抽出する。所与のボクセルに対するD
を計算し、例えば減算血管撮影図を発生するために用い
らる、処理の結果は、実質的に上述のものと同一であ
る。
三次元の神経構造を投影するために用いられたルーチ
ンには無関係に、構造の既知の特性を参照することによ
って投影を実施するようにも、システム10をプログラム
可能である。より具体的には、一旦所与の神経が所与の
二次元画像内で識別されたなら、「エキスパート」シス
テム10は、支脈の発生を予測し、たとえ未知の位置にお
いてでも、この構造内で併合することができる。次に、
この情報を用いて発生された投影のもっともらしさを試
験し、必要であれば改良を加える。
vii.脂肪削除及び拡散重み付けを組合わせた結果 先に注記したように、筋肉と神経の双方は拡散異方性
を呈する。神経成分の比較的信号強度が低いものに関し
ては、拡散分析は、診療に有益なニューログラムを提供
することは期待できなかった。しかしながら、脂肪削除
と拡散重み付けとを組合わせて用いることは、所望の神
経画像の強調をもたらすのに非常に効果的であることが
判った。
例示として、7G/mの勾配強度及び50msのエコー時間に
対して、神経に垂直及び水平に配向されたパルス状勾配
を有する信号強度間の相違に基づき、17のニューログラ
ム信号強度(Sn)と、7の筋肉画像信号強度(Sm)とを
計算した。同様に、2.43の神経対筋肉コントラスト・パ
ラメータRを、比Sn/Smとして計算した。同様に、神経
及び筋肉に対して垂直(Dpr)及び平行(Dpl)な拡散勾
配に対する見かけ上の拡散係数の比較は、次の通りであ
る。
みかけ上の拡散係数(10-5cm2/sec) 筋肉 神経 Dpr 1.17 0.65 Dpl 2.08 2.00 Dpl/Dpr 1.9 3.1 これらの結果は、拡散異方性分析を行なった時、神経
成分が筋肉成分よりも遥かに大きな相対強度変化を表わ
すことを示す。
拡散重み付けと組み合わせて用いた時の、脂肪削除の
期待したかったが明白な相乗作用の利点は、神経信号の
異方性が実際増加し、脂肪成分が除去された時、画像の
神経成分の顕著性が約250パーセント増大した。神経の
顕著性の増大と脂肪の妨害の現象とが組み合わされて、
神経撮像の効果が大幅に高くなる。
完全には理解されないだろうが、脂肪削除と拡散重み
付けとの間の相乗効果の関係を説明しておく。第1に、
脂肪削除は神経のみかけ上の拡散異方性を増大させ、神
経組織の方向において拡散重み付け勾配の利用を促進す
る。一例として、以下の表に示すように、脂肪及び「短
いT2」の水分を除去した信号を用いて得た検査データで
は、残りの画像信号の強度は、異方的に拡散する水分に
大きく影響される。
CHESS適用 CHESS適用せず 勾配方向 勾配方向 撮影された神経 pr pl 比率 pr pl 比率 尺骨神経 29 <8 >3.6 62 49 1.3 正中神経 30 <8 >3.8 46 22 2.1 筋肉 14 8 1.8 18 12 1.5 脂肪削除の相乗効果の役割は、磁化転移効果の表現と
しても見ることができる。より具体的には、脂肪削除シ
ーケンスの飽和パルスによる、例えば、神経周囲のミエ
リン脂質上のプロトンの放射によって、飽和パルスが脂
質と密接に関連のある水分子に転移し、非常に効率的な
転移が可能となる。以後、これら分子は、異方的に拡散
する移動水プール(mobile water pool)に交換するこ
とができる。
vii.長TE/TR/T2処理 上述の拡散勾配の使用に代わって、対象領域によって
は、比較的長いTE(エコー時間)またはTR(繰り返し時
間)を用いたスパン−エコー脂肪削除技術を用いて、神
経画像の分離を適当に強調し、T2重み付け画像を得るこ
とができる。この点について、脂肪削除の後、エコーF
に残っている支配的な成分を筋肉から戻す。抹消神経の
T2は、筋肉のT2の約2倍であることが、本発明者によっ
て既に測定されているので、比較的長いTEまたはTRをス
ピン・エコー・シーケンスに用いることによって、筋肉
の返答を応答することができる。
この構造を採用した神経記録法システム14の基本動作
は、TEの初期化された値が大きくなっていることを除い
て、第9図及び第10図に示すものと同一である。この点
について、操作者は、所望の画像が筋肉の存在によって
分裂せられる可能性があるか(例えば、患者の腰部の神
経撮像)、または可能性がないか(例えば、CNS撮像)
を、最初に考慮することを要求されることがある。筋肉
の妨害があり得るのであれば、50乃至100ミリ秒の間のT
2、またはそれより長いものを、ブロック100で初期設定
する。選択する特定のTEまたはTRは、所望のT2重み付け
の度合いによって左右される。また、システム14は、TE
処理と拡散重み付けとを用いて別個に収集されたデータ
を比較し、どれが最良の結果を与えるか評価するよう
に、プログラムすることができる。
長いTEを用いた撮像によって得られる結果の例を、第
18A図乃至第18D図に、それぞれTEが30、40、60、100ミ
リ秒に等しい場合について示す。4.7テスラの場強度で
生成された第18D図に示す兎の前腕の画像では、神経は
画像内の他の何れの構造よりも明るくなっている。神経
の顕著性を増大させる度合いは、10倍程度であり、画像
をニューログラムの構成に明らかに使用可能とするもの
である。顕著性が約1.1よりも低い場合も有用なことが
あることは、認められよう。
長いTE処理の使用は、以前実現不可能であると思われ
ていた。この点について、モーズリーらのAnisotropy i
n Diffusion−Weighted MRI,19 MAGNETIC RESONANCE IN
MEDICINE 321,325(1991)に記載されているように、
神経は、比較的短いT2時間を示すと信じられていた。し
かしながら、驚くべきことに、測定を行って、筋肉のT2
は約27ミリ秒であったのに対し、抹消神経のT2は約55ミ
リ秒であり、これら2種類の組織に2倍の差があった。
ix.ニューログラム撮像の追加強調 (a)血管の削除 上述の脂肪削除及び筋肉削除技術に加えて、血管削除
を用いてシステム14によって発生された画像のニューロ
グラムの選択性を改善することができる。ゆっくりと動
く血管の明るさのため、これがなければ有用なシーケン
スにおいて、血管の削除は、長いシーケンス神経記録法
とともに用いれば、特に価値がある。
種々の代替手法を用いて所望の血管削除を達成するこ
とができる。例えば、第1の実施例では、位相コントラ
ストまたはタイムオブフライト(time−of−flight)情
報を用いて、血管を個別に撮像し、流れを基にしたMR血
管撮影図を生成する。血管撮影図は、別のプログラム命
令の下で、MRIシステム14を用いて、或は以下に述べる
補助データ収集システム22によって、生成することがで
きる。次に、この血管撮影図をニューログラムから差し
引き、血管のコントラストが完全に削除されたニューロ
グラムが得られる。
画像の減算の説明に関連して先に述べたように、或る
画像から除去すべき情報が、減算される画像において同
じ輝度及び位置で、同一に表現されていない時、登録問
題が発生する。血管撮影パルス−エコー・シーケンス
(または以下に記載する他の技術)を用いて得られた血
管画像情報と、上述の神経パルス−エコー・シーケンス
を用いて得られたニューログラム情報とでは、2つの画
像において血管の輝度に幾らかの相違が予想される。こ
の状況において登録エラーを回避する1つの方法は、血
管撮影図を、対応するニューログラムに正規化すること
である(即ち、血管撮影図上で識別された血管の画素に
おいて、比較測定に基づき血管撮影図の輝度を等価す
る)。
血管削除に用いられる第2の技術は、短いTEを用い
て、血管が比較的明るく、そして神経が比較的暗く表わ
される第1の画像を生成することである。この画像を、
次に、長いTEを用いて得られ、明るい神経と暗い血管と
を表わす第2の画像から差し引く。
第3の血管削除技術は、静脈の「黒い血液」造影剤を
血管に投与することを含む。この造影剤は、ディスプロ
シウム−DOTA・ポリリジン、または酸化鉄のタイプの造
影剤を含む、「ブラッド・プール」のものが好ましい
(が絶対に必要ではない)。血管は、こうすることによ
り、薬品によって消去されるので、所望の血管を削除し
たニューログラムを生成するために、減算ステップを行
なう必要性はなくなる。
最後に、注意深く調節した水削除技術を用いて、血管
及び脳脊椎流体(CSF)の、システム14によって生成さ
れたニューログラムに対する影響を制限することができ
る。このような技術の1つが、例えば、バイデーらのCo
mparison of FLAIR Pulse Sequences with Heavily T2
weighted SE sequence in MR Imaging of the Brain,
185 RADIOLOGY SUPP.151(1992)に記載された、流体減
衰反転回復(FLAIR)である。
(b)動きの削除 例えば、拡散重み付けを用いた上述の画像処理技術の
あるものは、撮像する領域の動きの悪影響を受けること
がある。この曖昧で過った内容の生成画像への混入(即
ち、運動アーチファクト)を制限するために、幾つかの
異なるハードウエア及びソフトウエアの構造に、神経記
録法システム14を用いることができる。
第18図に示すように、画像情報の獲得は、当て木156
によって固定された、被検査患者の領域に対して、選択
的に行なうことができる。当て木156は、プラスチック
またはその他の非鉄磁性材料で作られた堅い基台158を
含む。基台158は、被検査領域に対して基準となる固定
フレームを与えるために設けられており、撮像部Iの空
隙内に、随意に固定されるように設計されている。以下
に更に詳細に記載するが、一旦神経記録法システム10が
当該領域を撮像したなら、基台158によって設けられた
基準フレームによって、外科手術システム28のような他
のシステムが、撮像された神経と既知の関係で、その基
準フレームの中で動作することができる。以下に述べる
非固定システムは、当て木内の皮膚表面に塗布する基準
マーカを用いる。
堅固なフレーム160は、プラスチックまたはその他の
非鉄磁性材料で作られ、基台158に取り付けられて、当
て木156に対して構造的支持となる。1つ以上の基準マ
ーカ162、例えば、水を充填したビーズまたは直線的マ
ーカ帯を、フレーム160及び/または基台158上に設け
て、発生された画像から判定する。好適な構成では、各
マーカ162は当て木156の長さに亘っているので、発生さ
れる各断面画像において目視可能である。マーカまたは
帯162の少なくとも一方を、画像面のx、y及びz軸
に、ゼロでない角度で整合し、画像内のその特定位置
は、当て木に対する基準位置となることを保証する。
薄膜プラスチックで作られ、含水ジェル、シリコン、
発泡材、または塩化コバルトを注入した水のような、従
順な物質166で充填されたスリーブ164を、フレーム160
の周囲に形成し、ストラップ168を備えて、当て木を患
者に装着する際に用いる。図示のように、フレーム160
とスリーブ164とは、多数の開口領域170を含み、被検査
領域の選択部分に、例えば、外科手術システム28によっ
てアクセスすることができる。また、基台158は、2つ
のスリーブと共に用いることもできる。第1のこのよう
なスリーブは、撮像のために、皮膚に完全かつ連続的に
密着するためのものであり、第2のスリーブは腕を固定
するが、外科手術用器具によるアクセスを全体的に可能
にする。
ポンプ172が設けられており、加圧された貯蔵器174か
らスリーブ164に流体を導入可能とし、スリーブを患者
の皮膚に対して押圧し、被検査領域を固定する。解放バ
ルブ176が、スリーブ164内の流体を貯蔵器174に還流さ
せ、スリーブ164内の圧力を弱める。
運動アーチファクトを低減することに加え、当て木15
6は幾つかの他の機能も行なう。まず、先に示唆したよ
うに、当て木156は、基準フレームを設け、これを医療
システム12の他の構成物が使用して、撮像された神経網
に適正に関連した動作が、確実に行なわれるようにする
ことができる。第2に、当て木156はシステム12による
治療または外科手術の実行を首尾よく管理できるよう
に、被検査領域を固定することが要求される場合があ
る。
当て木156の第3の機能は、エッジ効果の低減であ
り、これがなければ脂肪削除を用いる場合に、エッジ効
果が起こる可能性がある。この点について、被検査領域
の表面(即ち、患者の皮膚)は、撮像される物質の性質
を帯びて、急激な遷移を起こす。この組織と空気との界
面に起因する場の非均一性は、患者の表面の脂肪組織内
の脂肪信号が、神経を取り囲む深層にある脂肪に対し
て、周波数の拡散及び/またはずれを生じる原因とな
る。しかしながら、脂肪削除の所望の効果は、神経組織
に隣接する下部組織からの信号が撮像されないようにす
ることである。薄く可撓性のあるポリエチレンまたはそ
の他のプラスチックをスリーブ164に採用し、物質166に
常磁的にドープされた水を採用することによって、被検
査領域の表面に入り込むこれらのエッジ効果を、神経組
織に対して、1.5乃至5程度に低減する。
加えて、当て木を特別に設計し、連続撮像の間特定の
身体領域を移動させて、手足の連続的な歩進的再配置を
導入することができる。この移動は油圧システムによっ
て外部から制御し、光ファイバによるフィードバックを
用いて再配置を評価することもできる。このようにし
て、一連の制御された位置における手足の一連の画像を
収集することができる。後にこれらを組み合わせて、肱
の尺骨に関して、動きの間に神経に加わる応力及び衝突
の力学的視点を与えることができる。
運動アーチファクトは、神経記録法システム10を制御
するために用いられるソフトウエアによっても、対処可
能である。この点について、MRIに対して適当なエコー
振幅を確保するために、1つのパルス・シーケンスによ
って発生される正気磁気モーメントは、典型的に、次の
パルス・シーケンスが開始される前に、その平衡値附近
に戻ることができなければならない。この要素は、撮像
に典型的に必要なパルス・シーケンスの全数と組み合わ
せて、典型的に、比較的長い時間期間(例えば、1乃至
20分程度、またはそれ以上)に亘って、データ収集を行
なわせる。データ収集プロセス中に、患者が大きく動く
可能性は、データ収集に必要な時間に直接比例すること
を理解されるであろう。
処理されたデータの収集を制御するソフトウエアを最
適化して、運動アーチファクトの感度に影響を与える遅
れの少なくとも或るものを低減させるようにする。上述
の構成では、多数の異なる画像からの情報を用いて、選
択的に最終画像を生成することもできる。例えば、減算
ニューログラムは、典型的に、直交拡散勾配を用いて得
られた2つの画像からの情報を用いて、画素毎に(また
はボクセル毎に)発生される。一連の画像をインターリ
ーブして所与の画素についてのデータを各拡散勾配に対
して収集し、それから他の画素についてのデータを収集
することにより、減算プロセスが運動アーチファクトに
影響される可能性を低減する。同様に、多数の画像を異
なる勾配強度で収集し、所与の画素またはボクセルにつ
いて拡散係数Dを計算する場合、勾配選択プロセスの一
部として、総ての勾配強度に対するある画素におけるデ
ータを収集し、それから他の画素についてのデータを収
集することによって、計算が運動アーチファクトに影響
される可能性を低減することができる。このように、第
9図及び第10図に描いた比較的単純なデータ収集プロセ
スではあるが、好適な構成では、次に進む前に所与の面
について収集を総て完全に繰り返すのではなく、各獲得
における幾つかの面のデータを収集することによって、
データ収集をインターリーブする。
所望の動き削除を得るために用いられる他の技術は、
或る周期的な動きの源を予想することに基づくものであ
り、これは、例えば、補助データ収集システム22によっ
て監視することができる。例えば、被検査患者の領域に
よっては、患者の心拍及び呼吸は或る動きを発生し、そ
れが当て木156によって削除される。システム22から得
られるこれら源の周期性に関する情報を用いて、コンピ
ュータ72は、一連のデータ収集を調節し、励起及びエコ
ー・パルスが、当該源によって発せられた動きに関連し
た一貫性のある時点で生じるようにすることができる。
MRIにおいて呼吸運動アーチファクトを低減するため
の1つの技術が、アメリカ合衆国特許第4,930,508号
(シモニら)に開示されている。一方、神経記録法シス
テム10は、二酸化炭素出力の質量スペクトロメータによ
る監視、胸板の動きの光ファイバによる観察、または自
動音響分析を用いた長管聴診器による音響監視を含む種
々の技術と共に用いることができる。
(c)小束識別及び神経の強調 神経記録法システム10の他の特徴は、個々の神経小束
を撮像できる能力である。例えば、整相アレイ・コイル
62またはその他の高解像度MRIシステムを、長いTEシー
ケンスと共に用いると、個々の神経小束が、神経内及び
小束間の抹消及び神経弓突起(epineural)組織よりも
かなり明るく現われ、神経は多数の小束構造として現わ
れる。
一例として、神経移植を行なった患者の神経内の小束
を表わした神経画像を、第20図、第21図及び第22図に示
す。これらの画像は、1.5テスラのMRIシステム(GE Me
dical Systemsより販売されているSigna Syste 5.2
software release)を、標準1ガウス/cmの勾配及び上
述の形式の整相アレイRFコイル・システムと共に用いて
得たものである。TRが5000ms、TEが102ms、及び8エコ
ー・シーケンスの「高速」スピン−エコー・シーケンス
を用い、脂肪削除及び血管削除のための空間RFパルスを
行なった。
2回のフーリエ変換を用いて、2系統の軸方向連続画
像を生成した。一方の連続画像は、断面の厚さ5ミリ、
512×512マトリクス、1ミリ間隔、及び1ネック(励起
の数)の24枚で構成されている。第2の連続画像は、軸
方向の断面の厚さ3ミリ、256×256マトリクス、0ミリ
間隔、及び2ネックの41枚で構成されている。視野は18
cmで、獲得時間は両方の連続画像について10.6分であっ
た。
第2の連続画像は、各部分における座骨神経周囲の直
径約2cmの楕円形対象領域を(手動で)選択することに
よって、後処理を施した。この対象領域は、更に複雑な
上述の分析血管削除機構の使用を必要とせずに、血管を
消去するために選択されたものである。
投影画像は、GE Medical Systemsによって供給され
ているSystem 5.1(IVI)の一部として入手可能な、最
大輝度投影(MIP)アルゴリズムを用いることによっ
て、得ることができた。得られたニューログラムは、座
骨神経の脛骨構成物と外科的に配置した腓腹(sural)
神経移植との間の界面を示す。第19図及び第20図で徐々
に拡大して神経を示し、第22図で移植を含む神経の軸方
向投影を示す。付加的な恩恵として、この撮像プロトコ
ルは、小束間の神経内の組織からの信号を弱め、神経の
個々の小束(f)の輪郭を目立たせることができる。
神経記録法システム10の小束を撮像する能力は、幾つ
かの理由から重要なものである。第1に、小束の撮像に
よって、病気の痕跡のために神経の内部組織を観察及び
分析することが可能になるので、ニューログラムの診断
に対する有用性が高まる。この観察及び分析は、以下に
更に詳細に記載する診断システム24の動作の一部とし
て、操作者によってまたは自動的に、しかも視覚的に行
なえることは、認められよう。
第2に、この特有の内部組織を用いれば、特定の神経
の顕著性又は信号強度が識別し得る程高くない時でも、
撮像プロセスにおいて神経の選択性や強調を加えること
ができる。より具体的には、血管、リンパ管、リンパ
節、及び脂肪組織の集合体は、多くの場合、断面画像中
では、神経と同様の形状、位置及び輝度となる。しかし
ながら、これらの組織の内、神経のような内部小束構造
を呈するものはない。
一例として、小束の識別及び神経の確認を使用して、
以下のように、曖昧な画像において神経を他の構造から
区別することができる。まず、しきい値プロセスを用い
て、神経を表わす可能性のある、画像の比較的明るい領
域を識別する。これらの領域の境界を決定して、各領域
に関連する画素の輝度を評価し、それら領域の平均画像
輝度を計算する。
ある領域内の所与の画素の輝度が、平均輝度より低い
所定量より大きければ、その画素に関連する構造は、小
束の可能性がある。しかしながら、小束構造を表わすこ
のような画素群の所定の複数のシーケンスの1つ以上が
識別された時にのみ、積極的な小束の識別を行なう。例
えば、互いに隣接しこの基準を満足しない画素によって
少なくとも一方側が接している、少なくとも3つのこの
ような画素の集合が見つからなければならない。
この分析の結果を用いて、例えば、血管やリンパ管に
関連する領域から、神経に関連する明るい領域を区別す
ることができる。小束識別パラメータを満足しない領域
の画像の輝度を次に0に調整し、これら曖昧な構造を効
果的に画像から除去してもよい。また、神経放射線技師
または他の専門家がこの情報を用いて、神経記録法シス
テムが投影ニューログラムを描写できるような対象空間
を選択することもできる。
(d)種々の神経強調技術 上述の神経記録法システム10の種々の実施の具体例及
び特徴を変更して、他の手法を神経識別及び強調に組み
込むことが可能である。
例えば、磁化転移パルス・シーケンスを用いて、脂肪
削除の処理をした後に、神経撮像を強化することができ
る。磁化転移は、化学的にシフトしたプロトンを、「共
鳴しない(off resonance)」パルスで励起することを
含む。短いT2の等方的に拡散する水区分(T2 isotropic
ally diffusing water compartment)内のこれらプロト
ンは、長いT2の等方的に拡散する区分に変化する。こう
する際に、それらは高い強度の磁化信号を共に搬送し、
周囲の神経組織に磁化の転移を誘発し、画像におけるそ
の顕著性を高める。神経は、ミエリン鞘内の共鳴しない
比較的安定したプロトンと、軸索原形質水(axoplasmic
water)の共鳴する可動プロトンとの間の効率的な交換
を示すことができる。一方、筋肉は、大きな共鳴しない
プロトンのプールでは、比肩し得る程度には、交換を示
さない。磁化転移パルス・シーケンスは、脂肪削除に似
た刺激方法を用いてこの神経と筋肉との間の感度の差を
利用し、相乗的に同時に2つの方法で画像の神経記録法
感度を改善するように設計されたものである。
代わりに他のパルス・シーケンスを用いることもでき
る。例えば、パッツらのThe application of Steady−S
tate Free Precission to the Study of Very Slow Flu
id Flow,3 MAG.RES.MED.140−145(1986)に記載されて
いるように、定常状態自由精度(steady−state free p
recision)(SSFP)を用いることができる。しかしなが
ら、脂肪削除を達成するには、SSFPを変更して撮像プロ
トコルに含まれるようにする。同様に、ミュジェらのTh
ree Dimensional Magnetization Prepared Rapid Gradi
ent−Echo Imaging(3D MP RAGE),15.MAG.RES.MED.152
−157(1990)に記載されているように、T2のコントラ
ストを改善するように変更すれば、磁化された迅速勾配
エコー(magnetization prepared rapid gradient ech
o)(MP−RAGE)シーケンスを用いることができる。加
えて、神経の選択性は、プロトン高速交換率またはT1
緩率を用いることによって、達成することができる。
ニューログラムを発生するための更に別の技術に、神
経繊維流体(endoneurial fluid)の遅い凝集性の流れ
に感応するように、シーケンスを最適化して用いるもの
がある。これらのシーケンスは、流れの末端側に近いた
めに、そして本来灌流を拡散と区別するために開発され
た技術を用いて監視することができる遅い流速のため
に、唯一の信号を発生することができる。このような技
術には、例えば、エーマンらのFlow Artifact Reductio
n in MAI:A Review of the Roles of Gradient Moment
Nulling and Spatial Pre−saturation,14 MAG.RES.ME
D.293−307(1990)、及びモランのA Flow Velocity Ze
umatographic Interface for NMR Imaging,1 MAG.RES.I
M.197−203(1982)に記載されているような、勾配モー
メントの零化(gradient moment nulling)による速度
補償が含まれる。
3.医療システムの構成と動作 先に注記したように、神経記録法システム10は、より
広い医療システム12の一構成物である。システム12の残
りの構成物については、次の章でより詳しく記載する。
これらの構成物は、例えばホスト処理システム32または
システム12の個々の構成物の処理システムによって実行
されるソフトウエア命令に従って、神経記録法システム
10に情報を与えると共に、そこからの情報を処理し、末
梢神経の撮像以外の種々の機能を達成するものである。
(a)補助データ収集システム 補助データ収集システム22は、種々の異なる形式のど
れを取ることもできる。例えば、先に示唆したように、
システム22は、システム10によって生成された画像内に
ある構造に関する補足情報を収集するように設計するこ
ともできる。このようなシステムの例には、神経除去
(denervation)または筋肉の機能損失による高筋肉信
号の領域を示すために、血管撮影またはSTIRシーケンス
において用いるのに適した従来のパルス−エコー・シー
ケンスを用いた二次的MRIシステム、骨及び/または組
織の画像データを発生する際に用いるのに適したX線撮
像システム、軸索的に搬送された薬剤の進展を示すため
のPETスキャニング・システム、または造影剤リンパ管
データを収集するためのCTシステムが含まれる。また、
CT及びMRIを用いて見ることができる基準マーカ(例え
ば、水内のヨード造影剤)で当て木(splint)に形成
し、システム10及び22からの情報を統合することができ
る。
補足情報を用いて、画像内の構造に関する内容を圧縮
し、神経選択性をさらに大きくすることができる。例え
ば、血管撮影図を用いて、ニューログラムから血管に関
する内容を除去したり、色を基準に神経と血管とを区別
することができる。また、非神経構造は既に全体的に存
在しないので、追加情報を用いて、血管などの特定の構
造を、ニューログラムに明確に付け加えてもよい。神経
構造を評価するために見るMR画像に構造を加えること
は、神経返答成分の信号内容が貧弱であったため、従来
技術のシステムでは事実上考えられなかったことは認め
られよう。
データ収集システム22の別の形式を用いて、神経記録
法システム10の動作を制御する際に用いる、患者に関す
る情報を収集し、その出力を変更しないようにしてもよ
い。このようなシステムの例には、患者の心拍や呼吸に
対してシステム10のデータ収集連続処理のタイミングを
合せるのに用いる、従来の心拍及び呼吸モニタが含まれ
る。
関心のあるデータ収集システム22の最後の形式は、神
経網についての補足情報を収集するために設計されたも
のである。例えば、システム22は、神経移動速度(nerv
e conduction velociy)(NCV)を示し、このNCVの変化
が生じた大体の場所や磁気刺激へのNCVの応答を含む、
出力を生成するように構成することもできる。呼び出さ
れた電位電極または磁気SQUID検出器からの情報を収集
して、多入力表示のために統合することもできる。
b.診断システム 診断システム24は、神経記録法システム10によって発
生されるニューログラムやその他の情報(DやT2等)を
処理し、担当の外科医に、例えば、神経異常の診断を与
えるために選択される。また、システム24は、診断を行
なったり、手術の必要性または成功の可能性を評価する
際に外科医を補佐することもできる。一実施例では、単
に外科医の診断を確認したり、質問するためのみに、シ
ステム20を用いることもできる。
一例として、問題となっている神経の混乱が共通に生
じているが診断が難しい領域の1つに、脊椎管(spinal
canal)がある。第23図の椎骨の断面図に示すように、
対象領域は、比較的高い生理学的複雑性を呈している。
図示の構造は、椎間板ヘルニア(HD)、圧縮された左脊
椎根(LSR)、棘突起(SP)、線維輪(AF)、髄核(N
P)、自律神経節(AG)、前根(LVR)、前根(VRA)、
横突起(TP)、背側枝(DRA)、背側根神経節(DRG)、
小関節面(F)、背側根(DRO)、硬膜外脂肪(EF)、
馬尾内根(RCE)、硬膜包(DS)、及び髄液(CF)を含
む。
この図で、最も興味深い2つの構造が、左脊髄根(LS
R)と左前根(LVR)であり、これらは双方とも椎間板ヘ
ルニア(HD)からの圧迫の危険性がある。双方の神経
は、硬膜外脂肪(EF)を通過しているが、骨に囲まれて
おり、X線を基にした技術によって、観察することがで
きる。双方の神経は、また、椎間板(HD)の強水信号
(strong water signal)、硬膜包(DS)内の髄液(C
F)、及びその他の膨張した組織(一般的に用いられる
磁気共鳴技術では画像の解像度及び画質を低下させるこ
とがよくある)に隣接している。
診断対象の左脊髄根(LSR)及び左前根(LVR)は、そ
の近くにある多くの解剖学的構造に較べて小さい。ま
た、これらの根は互いにほぼ垂直である。この撮像に共
通する問題は、神経記録法システム10を用い、脂肪削除
を採用し、次に左脊髄根(LSR)または左前根(LVR)の
いずれかを強調するようにパルス状拡散勾配を配向し、
各々が所与の画像内で明確に見えるようにすることによ
って、対処することができる。いずれかの根が圧迫され
ているなら、その画像は物理的な歪、または圧迫による
圧痕を示すことになり、それ自体が構造上の変化、また
は圧迫の両側間の信号強度の変化として現われる。
選択性及びシステム10によって生成されたニューログ
ラムの解像度のために、外科医がそれらを評価して、存
在するいかなる神経の異常を診断できることは認められ
よう。加えて、システム10によって生成された画像を診
断システム24で分析して、例えば、圧迫または炎症の証
拠を検出したり、適切な診断を行なうことも可能であ
る。
システム24の動作は、部分的に、評価すべき条件によ
って異なる。一実施例では、操作者は、最初にシステム
24に含まれる陰極線管(CRT)表示装置上に発生される
二または三次元画像を見て、カーソルを用いて評価すべ
き特定の撮像された神経を識別する。また、操作者は検
出すべき特定のタイプの異常を入力することもできる。
次に、システム24は、しきい値プロセスを用いて、使
用可能な二次元画像の各々において、撮像された神経の
境界を決定する。これらの境界を、次に画像毎に比較し
て、対象である特定の異常に関連する形状の不連続また
は変化を見つけ出す。例えば、事故によって損傷した神
経にこの分析を用いると、その神経は、そうでなければ
現われることが予想されるある画像から、完全に消失す
ることがある。システム24は、このような領域も容易に
識別することができ、外科医にその異常に関する正確な
位置情報を与えることができる。
同様に、外科医は、あまり現われない神経の境界また
は強度の変化に関する状態に関心があるかもしれない。
システム24は、隣接する神経領域の平均輝度、ならびに
隣接領域の大きさ及び形状を示す出力を、画像毎に容易
に発生することができる。次に、この情報を用いて、圧
迫のような異常を検出することができる。
1つの構成では、カーソルを用いて、CRT上(例え
ば、「通常の」神経断面図に関連する)の対象となる基
準境界を初期化し、システム24が用いるようにすること
ができる。次に、システム24は、後続の画像における実
際の神経の境界を、基準境界と比較して、神経圧迫の位
置を突き止め、その量を検出する。この異常の数量化に
よって、外科医は神経の回復度を監視し、提供する治療
の有効性を評価することができる。
システム24によって用いることができる他の手法は、
損傷を受けた神経によって示される、T2のみかけ上の増
加に基づくものである。より具体的には、初期状態の
「長T2」分析または画像の拡散重み付けを行って、総て
の神経構造を撮像することができる。次に、T2を約100
ミリ秒に延長して、損傷している神経のみを撮像する。
例えば骨折や関節の損傷の手動評価に用いるための別
の手法には、脂肪成分が選択的に表示されており残りの
組織が削除されている画像の分析を伴うものがある。こ
の手法は、皮膚、脂肪の集合、及び骨髄の存在により骨
(多くの場所において)の表示を強調する。このような
画像を収集して、神経を表示するのに用いる以外の色を
割り当てると、同じ三次元構造において2つの画像が透
き通って見える。結果として、外科医は、神経と骨との
間の物理的関係に関する有用な情報を得ることができ
る。この情報は、骨折及び関節の損傷を評価及び処置す
る際に最も重要なものである。
用途によっては、造影剤を用いて、対象となる異常を
相乗的に強調することもできる。また、神経は画像内で
は明るく現われ分離されるので、神経内医薬造影剤を投
与することによって、神経の1つを選択的に消去するほ
うが分りやすいこともある。
神経記録法システム10の出力を分析することに加え
て、診断システム24は、システム10にフィードバックを
与えて、用いるパルス・シーケンス及び生成される情報
の種類を制御することもできる。例えば、神経圧迫、切
開、破傷、または繊維症の部位が撮像されている場合、
神経繊維液流及び軸索原形質液における変化が、T2を基
にしたまたは他の神経記録法動作を用いる時、信号強度
の増加を監視することによって、容易に検出される。
ここでは詳細には記載しないが、種々の異なる診断へ
の応用が考えられる。それには次のものが含まれる。
1.患者の末梢、脳、自律神経及び神経集網詳細構造の表
示。
2.患者の脊髄根詳細構造、特に、頸部、胸部及び腰部脊
髄根及び神経の表示。これらは孔(foramina)において
脂肪を通過し、ここを通って脊髄根からぬけ出す。
3.根が多量の硬膜外脂肪を通過する腰部管(lumbar can
al)内の、患者の脊椎根の詳細構造の表示。
4.三又神経痛(第5神経)、半側顔面痙攣またはベルの
麻痺(Bell's palsy)(第7神経)、重要な高血圧(第
10神経)またはその他の脳神経症候群の原因となり得
る、血管または他の構造による圧迫に対する患者の脳神
経の検査。
5.方向、位置またはその他の拡散特性の異常な変化が、
神経離断、脱髄疾患、神経症、多くの硬化症、末梢神経
障害及び挫傷、有害なプロセスによって起こされた場合
の、患者の神経、集網、根の圧迫または損傷の表示、及
び神経の再成長の監視。
6.異常に関連する皮質脊椎路(cortico−spinal motor
tracts)または他の機能的白質長路(functional white
matter long tracts)の位置を知ることが有用な場
合、脊椎内の腫瘍または他の塊状物の位置の判定。
7.眼窩周囲の脂肪またはその角膜への経路上の脂肪を通
る場合の、視神経の詳細構造、脳の伸長の表示。
8.放射線技師、外科医または専門医の研究のため、そし
て特に、運動性帯(motor strip)または言語に関連す
る領域のような「能弁な皮質(eloquent cortex)」の
領域の位置の識別のために有用な画像を与えるための、
脳内の束の追跡。この方法は、視床または内部きょう膜
の適切な領域の空間的識別を含み、そして皮質表面上の
対象領域への束の投影、または皮質表面上の他の領域と
それらの関連を参照することによる、対象領域の識別が
続く。例えば、言語皮質投影路(speech cortex projec
tion tracts)は、言語生成に関連があることがわかっ
ている領域から、怪我または傷が適正な神経機能を疎外
している可能性のある他の領域へ(またはこれを通過し
て)続くことができる。
9.聴覚神経腫を通過する第7神経の通路のような神経に
ついて、これらが低拡散異方性の腫瘍を通過する場合を
追跡し、外科医が腫瘍内またはこれに隣接する神経の位
置を知り、その腫瘍の手術中神経を避ける能力を持たせ
ることができる。
10.頭部の怪我において起こるような、散在性軸索損傷
(diffuse axonal injury)の評価のために、拡散異方
性撮像を応用する。
11.骨折及び脱臼、または異常の詳細構造領域内の神経
路を知ることによって、外科医の計画、管理及び固定に
有益であるような脱臼/骨折の評価。
c.治療システム 先に注記したように、治療システム26も用いて、神経
記録法システム10または医療システム12の他の構成物か
らの情報を処理し、患者の治療をよりよく管理できるよ
うにする。例えば、システム26は、神経記録法システム
19からのフィードバックを用い、その動作を規制する薬
品配達システム、または電流刺激システムである。この
ように、神経記録法データを用いて刺激または記録電極
を配置し、より正確な神経伝導速度(NCV)または誘発
電位検査を行うことができる。治療のためには、路(tr
act)情報は、移植組織の配置、または視床内に震えを
起こし得る異常活動の領域の病巣のための、補助を行な
うことができる。
d.外科手術システム 外科手術システム28は、システム10からの神経記録法
情報を用いて、行う可能性のある種々の外科手術のいず
れかに影響を与える。得られた情報を用いて、手術中に
神経を避けたり、必要な神経手術を位置及び性質を確認
することができる。外科手術システム28の動作は、シス
テム10からのフィードバックに応答して自動的に制御さ
れるか、或は外科医が自分で与えられた情報を見直し、
それを基に手動で制御することもできる。
一実施例では、手術を行なう患者の領域は、上述の当
て木上156に配置される。当て木(splint)156の開放領
域170は、手術の実行中、当て木156が外科手術システム
28を妨害しないことを保証するように設計され、かつ配
置されなければならない。そして、当て木156を当て
て、神経記録法システム10から画像データを収集する。
先に注記したように、神経記録法システム10の処理シス
テム16は、三次元の数値座標を設け、当て木の基台158
及び基準マーカ162を参照して、神経のそれらの経路に
沿った位置を記述する。
実行する手術の性質によって、補助データ収集システ
ム22からの出力も必要なことがある。例えば、システム
28を用いて撮像された領域内の骨に手術をする場合、シ
ステム22は骨の脂肪選択画像を発生することを要求され
ることがある。また、患者をCTスキャナに搬送し、骨の
画像を用意することもある。MRIの当て木156は、この付
加情報が収集される間装着されるが、二次画像から位置
情報を引き出すため、そして発生された2つの画像間で
必要な登録を行なうために、マーカの追加(例えば、CT
X線のためのチョークまたはヨード溶液)が必要とさ
れる。
画像情報は、第24図に示す、外科手術システムプロセ
ッサ178のメモリに記憶される。以下により詳細に記載
するが、好適な構成では、プロセッサ178は、ある座標
系で行われる外科手術の案内を行なうようにプログラム
され、この座標系は画像座標系を参照する。当て木156
の基台158は、外科手術システム28に含まれるプラット
フォーム180に固着され、画像において用いられる座標
系とシステム28によって用いられる座標系との間に固定
関係を与える。次に、この座標システムは三次元空間の
コンピュータ・モデルを用いて、プロセッサ178によっ
て連係される。マーカの正確な位置決めを確保するため
の手順において、確認用X線を用いることも便利であ
る。
交連手術用アーム(articulated surgical arm)182
が、プラットフォーム180に結合される。これはその自
由端にスタイラス184(例えば焦点が合ったレーザービ
ーム又はドリルのような外科的器材)を有する。アーム
182は、いずれの選択点にも、または、プロセッサ178か
らの出力に応答して手術環境に関連して規定されるいず
れかの選択された経路に沿ってでも、電気的または空気
的に移動することができる。従って、アーム182の位置
は、プロセッサ178によって印加される制御出力によっ
て追跡することができる。別個の座標を基にした、また
はレーザを基にしたシステムも、所望であれば、用いる
ことができることは、認められよう。
好適実施例では、外科手術過程中、撮像される神経網
及びその他の網は、システム表示装置186上に写し出さ
れる。外科医は、手術中、解剖学的構造に対するスタイ
ラスの位置を目で追いながら、例えばジョイスティッ
ク、電子グローブ、またはその他の入力装置188によっ
て、スタイラス184を導く。この視覚的フィードバック
は、単にスタイラスの以前に収集した画像に対する既知
の位置関係に基づくものでよい。
代わって、リアル・タイムに得られた画像フィードバ
ック・データを用いて、視覚的確認を得ることも可能で
ある。例えば、ウオーシントンらのThe Clinical Appli
cations of Echo Planar Imaging in Neuroradiology,3
2 NEURORADIOLOGY 367−370(1990)に記載されてい
る、エコー・プレーナ撮像のような、高速MRIデータ収
集連続処理を用いれば、高速に画像を更新することがで
きる。得られた画像を表示する時、外科医は適切な名称
を与えられた非磁気的プローブが体内に進入するのが、
リアル・タイムで観察することができる。もっと遅い画
像収集プロセスを用いる場合、前記プローブまたは装置
は、一連の画像が取り込まれるに連れて、段階的に進ん
でいく。いずれの場合でも、神経記録法画像は、不透明
で硬い身体構造内側の敏感な神経組織の明確な映像を、
X線透視画像と全く同じであるが、神経路に関する情報
も合せて、外科医に与えることができる。
外科手術中外科医がシステム28の動作を制御しなけれ
ばならないのに代わって、コンピュータによって導かれ
る定位固定または信頼システムを用いてもよい。この点
について、外科医は、スタイラスの経路及び行われる手
術に対して適切な動作を含む、行なわれる手術の性質を
識別する入力を、プロセッサ178に与える。これらのス
テップは、非係合状態のアーム182を用いて行なうこと
ができ、手術の手順を確認する前に、外科医が手術のシ
ミュレーションを行なったり、画像上でスタイラスの経
路を目視することができる。一旦確認されれば、プロセ
ッサ178に命令を与え、実際の外科手術の間所望の経路
にアーム182を自動的に導くことができる。
外科手術システム28を使用すれば、現在用いられてい
る「神経については盲目の」外科手術システムに対し
て、多くの重要な利点を得ることができる。例えば、神
経を容易に撮像できるので、外科医はいかなる神経状態
でもよりよく評価することができ、処置を施したり、手
術の計画を変更することも可能である。加えて、神経に
対するスタイラス182の位置を容易に撮像することがで
き、手術が行なわれる前に確認できるので、スタイラス
が偶然神経路に進入してしまうというような事故が回避
される。
上述の実施例では当て木156を用いてニューログラム
と外科手術システム28との基準フレーム間の連係を得る
ようにしたが、必ずしもこうしなくてもよい。例えば、
特に運動アーチファクトの可能性が比較的少ない場合、
基準マーカを直接身体に(例えば、顔面の感覚及び運動
神経に関係する時には頭部または顔面、または腰部神経
根に関係する時には、腸骨稜及び腰椎棘突起に隣接し
て)貼り付けることもできる。
このような基準マーカを用いたコンピュータ誘導式外
科手術システム28を使用することは、脳、胸部、及び腰
椎の手術では特に重要なことと信じられている。この点
について、システム28は、例えば、解放すべき対症的圧
迫が実際は腰部4/5根であるのに、不注意で腰部3/4根に
対して減圧してしまった場合のように、「良い」手術で
はあるが、悪いレベルで行なうという問題をなくすこと
になろう。脊椎に対する作用については、元の画像を、
システム28によって感知されるように、患者の背中にテ
ープで止めた基準マーカ帯及び独立してマークした基準
マーカ帯を共に収集し、手術中スタイラス182の位置付
けを行なうことができる。
外科手術システム28の種々の構成物は種々の方法で変
更可能なことは認められよう。例えば、スタイラス182
は、神経の作用を検出するように構成された、電界の表
面検出器または神経作用の磁気検出器を含んでいてもよ
い。このような装置の例には、体性感覚誘発電位(soma
tosensory evoked potential)または磁気脳造影システ
ムが含まれる。結果として、スタイラス182の実施例に
よって提供される神経検出によって、確認すべきニュー
ログラムを参照して決定された神経に関して、スタイラ
スを位置付けることが可能となる。
特に重要な神経手術システム28の応用の1つに、首の
手術がある。このタイプの外科手術には、例えば、内部
頸動脈からストロークを生じるプラークを除去する頸動
脈内膜切除、頸根圧迫を和らげるための前部頸部椎間板
切除、または首の癌手術が含まれる。このような外科手
術で最も複雑なものの1つが、反回神経の破砕または離
断であり、おそらく一方または双方の声帯の永久的麻痺
という結果になる。最適なのは、予備ニューログラムを
用いて、反回神経の経路を表示し、外科医がそれを最も
効果的に避けるか、少なくとも手術中それを識別し保護
できるようにすることである。
ニューログラムによる誘導は、経皮針による障害の生
体組織検査、または組織を除去するのに用いられる超音
波または他の機械的装置のような、より洗練された経皮
システムの配置のために用いることもできる。一例とし
て、このような手術には、椎間板切除術、レーザ/断面
システムの導入、第5脳神経の神経節溶解のような手順
に用いられるRF病巣装置の配置、深部組織に配された薬
品の管理、ジアテルミー、寒冷療法、またはその他の物
理的または機械的技術が含まれる。また、ニューログラ
ムによる誘導は、硬内視鏡の硬い組織を通過する経路を
制御するため、または方向付け可能な可撓性内視鏡の経
路を制御するために用いることもできる。
外科手術システム28の更に別の重要な用途は、脳内の
定位手術を誘導するためのCNSニューログラムの使用に
ある。現在、T1またはT2MRIによって目視可能な組織構
造を用いて、定位手術を誘導している。一方、CNSニュ
ーログラムは、対象となる特定の路の接続または関係に
関する情報を与える。これらの路は他の路内を通るの
で、これらは従来の組織に基づく画像によっては区別で
きないのである。
e.訓練及び開発システム 訓練及び開発システム30は、神経記録法システム10か
ら収集した情報を処理するように設計された種々の形状
のあらゆるものを採用することができる。一実施例で
は、ニューログラムを複数の患者から収集し、外科医や
その他の人々が参考にするための、通常及び異常な神経
路の解剖学的地図を生成する。ある患者から得た画像
を、前記地図における医学的に知られている割合と比較
し、ある条件で外科手術を受けるように設定された患者
の神経経路の異常を素速く識別することができる。結果
として、外科医は自身の技術を改変し、手術の分野で起
こり得る神経への損傷の危険性を低減することができ
る。同様に、個々の患者の皮膚や皮膚神経のニューログ
ラム地図を用いて、外科医の切開の計画を助けることが
できる。慣例的な外科の切開中に皮膚神経を過って離断
し、皮膚の下の組織に達してしまうというような、よく
見られる事故を回避することもできる。
他の実施例では、訓練及び開発システム30は、神経記
録法システム10によって用いられるプログラミングの有
効性を評価するように設計することができ、更にシステ
ム10にフィードバックを与え、その動作を規制すると共
に、発生されるニューログラムの質を高めることができ
る。より具体的には、一旦神経を明確に識別可能なシー
ケンスを採用したなら、他のシーケンスを用いて、それ
らの結果を確認された方法と比較することができる。結
果として、技術の収集がもたらされ、各シーケンスが最
良の性能を発揮する条件と共に、それを神経記録法シス
テムにプログラムすることができる。
他の訓練及び開発システム30の代替案を用いて、神経
圧迫の診断を補助するために設計された、神経間薬物造
影剤を評価することもできる。より具体的には、このよ
うな訓練及び開発システム30を用いて、異なる造影剤を
用いて生成された画像のコントラストを数量化し、既知
の神経異常を画像化する。結果として、システム30は、
特定の神経撮像の問題に最良の結果を与える造影剤を識
別することができる。
訓練及び開発システム30の更に他の実施例では、ニュ
ーログラムからの情報を、種々の製品の設計に用いるこ
とを可能にする。例えば、システム10によって生成され
たニューログラムは、人間工学的家具、高比重空気(hi
gh gravity air)または空間工芸座席(space craft se
ats)、特別製ボディ・スーツ、ブーツ、及び様々の種
類の電子的または電気的医療機器の設計者にとって、非
常に有効な情報を提供する。これらは、神経の位置をあ
らかじめ性格に突き止めることができて、最良に使用で
きるものである。システム30は、システム10からの神経
経路に関する情報を、このような機器の設計に関連のあ
る計算プロセスに組み込み、製品の性能を高めることが
できる。
一例として、椅子の人間工学的設計では、システム30
は、当該椅子によって得られる主要な支えが神経路と一
致しないことを、関係する顧客に保証するように、プロ
グラムされる。これは、座る人の神経網を、椅子の数学
的モデルに重ね合わせ、主要支持点を識別し、神経から
所定の距離内にある支持点総てに対して、画面上でフラ
グ(flag)を発生することによって、行なうことができ
る。結果として、この椅子の設計は神経の圧迫を回避す
るように操作することができる。
他の応用では、システム30を用いて、電子的人工器官
を制御することができる。より具体的には、システム10
からの情報を用いて、例えば、切断された神経に隣接し
て電子的検出器を配置し、人工器官によって置き換えら
れた肢部に関連する神経の活動を検出することができ
る。この検出された神経の活動を用いて、人工器官を制
御する。
4.非神経撮像への応用 原則として、他の目的物または対象が上述の神経特性
に対応する特性を示すのであれば、上述のMRI技術を用
いて、当該目的物または対象の選択的撮像を行なうこと
ができる。例えば、いずれかの部分において拡散異方性
を呈する目的物は、拡散重み付けを用いて撮像すること
ができる。このように、医学では、例えば、心臓血管も
このようにして撮像することができ、更にこの技術を用
いて、拡散異方性を呈するのであれば、例えば、ロック
・ストラータ(rock strata)や植物(plants)を検査
することもできる。
5.結論 神経の明確な画像を作成する適切な方法がなかったこ
とは、専門医、外科医、運動トレーナ、痛み処置の専門
家には大きな障害であった。以前でも神経を周囲の構造
から区別することが時として可能ではあったが、神経を
他の全構造から区別するシステム10の特有の能力は、素
晴らしい進歩を表わすものである。システム10の感度に
よって、最も小さい神経でも精度高く識別し、連係させ
て神経網の三次元投影図を形成することができる。造影
剤を必要とすることなく、神経記録法情報を素速く収集
することができる。
本発明の好適実施例を例示し記載したが、本発明の精
神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能であ
ることは認められよう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 9216383.1 (32)優先日 平成4年7月31日(1992.7.31) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9301268.0 (32)優先日 平成5年1月22日(1993.1.22) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (72)発明者 フイラー,アーロン ジー. アメリカ合衆国,98109 ワシントン州, シアトル,ゲイラー ストリート ナン バー 236 620 (72)発明者 ハウ,フランクリン エイ. イギリス国,エスダブリュ 17 オーア ールイー ロンドン,ツーティング,ク ランマー テラス(番地なし) (72)発明者 ツルダ,ジェイ エス. アメリカ合衆国,98040 ワシントン州, マーサーアイランド,84ス アベニュー エス.イー.6120 (72)発明者 リチャーズ,トッド エル. アメリカ合衆国,98155 ワシントン州, シアトル,60ス アベニュー エヌ.イ ー.18211 (56)参考文献 特開 平2−77239(JP,A) M.E.Moseley et a l,Diffusion−weight ed MR Imaging of A nisotropic Water D iffusion in Cat Ce ntral Nervous Syst em,Radiology,米国,EA STON,1990年 8月,Vol.176 /No.2,p.439−445 J.V.Hajnal et al, MR Imaging of Anis otropically Restri cred Diffusion of Water in the Centr al Nervous System: Technical,Journal of Computer Assist ed Tomography,米国,N ew York,1991年 1月,Vo l.15/No.1,p.1−18 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/055

Claims (73)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】人間を除く哺乳類の組織の形状及び位置を
    判定するために磁気共鳴を利用する方法であって、 (a)対象となる生体領域を磁気偏向場に露出させるス
    テップであって、前記生体領域は非神経組織と神経とを
    含み、前記神経は末梢神経、番号3ないし12の脳神経の
    1つ、または自律神経から成る、ステップ、 (b)前記生体領域を、電磁励起場に露出させるステッ
    プ、 (c)前記生体領域の前記偏向及び励起場に対する共鳴
    応答を表す出力を生成するステップ、 (d)前記ステップ(a)、(b)及び(c)の動作を
    制御し、生成された出力において、末梢神経、番号3な
    いし12の脳神経の1つ、または自律神経から成り、前記
    対象となる生体領域内で生きている、前記神経の選択性
    を高めるステップ、 及び (e)前記出力を処理して、前記神経の形状及び位置を
    記述するデータセットを発生させ、前記データセットは
    前記生体領域内において前記神経と前記非神経組織とを
    区別し、神経造影剤を使用することなく、前記生体内の
    非神経領域よりも少なくとも1.1倍である、神経の顕著
    性を与えるステップ、 から成ることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】前記データセットは、前記生体領域におい
    て前記神経を非神経組織から区別し、前記データセット
    が、前記神経を前記非神経組織の少なくとも5倍の輝度
    で記述するようにしたことを特徴とする、請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】前記生体領域を偏向の場に露出させるステ
    ップは、前記生体領域を、少なくとも1つの拡散重み付
    けされた勾配を含む偏向の場に露出させるステップを含
    むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記少なくとも1つの拡散重み付けされた
    勾配は、前記神経に実質的に平行な第1の勾配と、前記
    神経に実質的に垂直な第2の勾配とを含み、前記出力を
    生成するステップは、前記第1の勾配を用いた時の第1
    の出力と、前記第2の勾配を用いたときの第2の出力と
    を生成するステップを含み、更に、前記出力を処理する
    ステップは、前記第2の出力から前記第1の出力を減算
    するステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の
    方法。
  5. 【請求項5】前記減算するステップは、更に、前記第1
    の出力と前記第2の出力との間の登録を判断するステッ
    プを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記方法は、登録のしきい値レベルが前記
    第1及び第2出力の間に示されないならば、前記減算す
    るステップを禁止するステップを含むことを特徴とする
    請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】前記非神経組織は脂肪を含み、前記生体領
    域を前記第1及び第2の勾配に露出させる前に、前記生
    体領域は、前記脂肪の前記第1及び第2の出力における
    前記脂肪の寄与を削除する電磁場に露出されることを特
    徴とする請求項4に記載の方法。
  8. 【請求項8】前記少なくとも1つの拡散重み付けされた
    勾配は、所定の配列の勾配を含み、前記出力を生成する
    ステップは、各勾配に関連する個別の出力を生成するス
    テップを含み、前記出力を処理するステップは、前記別
    個の出力をベクトル処理し、前記神経によって示される
    異方性拡散を表わすデータを発生し、前記異方性拡散を
    表わすデータを処理して、前記神経の形状及び位置を記
    述する前記データセットを発生させることを特徴とする
    請求項3に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記非神経組織は脂肪を含み、前記生体領
    域を励起場に露出させるステップ及び前記出力を生成す
    るステップは、前記脂肪の出力に対する寄与を削除する
    ように、前記生体領域内のすべての脂肪を励起させるこ
    とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記脂肪の寄与は、化学的シフト選択シ
    ーケンスを用いることによって削除されることを特徴と
    する請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】前記処理するステップは、更に、末梢神
    経、番号3から12の脳神経、及び自律神経内に見出され
    る束を表わす情報に関する前記出力を分析するステップ
    を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  12. 【請求項12】前記処理するステップは、更に、前記束
    を表わす情報に関する出力を分析するステップの結果を
    用いて、束でない組織を前記データセットから削除する
    ことを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】前記処理するステップは、更に、末梢神
    経、番号3から12の脳神経、及び自律神経内に見出され
    る束を表わす情報に関する前記出力を分析するステップ
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】前記処理するステップは、更に、前記束
    を表わす情報に対して出力を分析するステップの結果を
    用いて、前記データセットから、束でない組織を削除す
    ることを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】前記ステップ(d)を用いて、末梢神
    経、番号3ないし12の脳神経、及び自律神経の特徴的な
    スピン−スピン緩和係数を利用し、これらの神経の前記
    スピン−スピン緩和係数は、他の周囲の組織のそれより
    大幅に大きいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. 【請求項16】前記生体領域を励起場に露出させるステ
    ップ及び出力を生成するステップは、60ミリ秒より長い
    エコー時間によって分離され、前記生体領域における前
    記神経と非神経組織との区別を強化することを特徴とす
    る請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】前記非神経組織は筋肉を含み、前記筋肉
    は、前記末梢神経、番号3ないし12の脳神経、及び自律
    神経の特徴的なスピン−スピン緩和係数を利用すること
    によって、前記ステップ(d)によって削除されること
    を特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】前記生体領域を励起場に露出させるステ
    ップは、1秒より長い繰り返し時間の後に繰り返され、
    前記生体領域において、前記末梢神経、前記脳神経、ま
    たは前記自律神経と、非神経組織との区別を強化するこ
    とを特徴とする請求項16に記載の方法。
  19. 【請求項19】前記非神経組織は脂肪を含み、前記ステ
    ップ(c)の前に、前記出力内の前記脂肪の寄与を削除
    する電磁場に、前記生体領域を露出させることを特徴と
    する請求項16に記載の方法。
  20. 【請求項20】前記ステップ(d)によって、前記生体
    領域を励起場に露出させるステップ(b)に、前記生体
    領域において非異方性拡散水から前記神経内の異方性拡
    散水への磁化転位を誘発させ、より簡単に神経と非神経
    組織とを区別することを特徴とする請求項1に記載の方
    法。
  21. 【請求項21】前記非神経組織は脂肪を含み、前記ステ
    ップ(c)の前に、前記生体領域を、前記出力における
    前記脂肪の寄与を削除する電磁場に露出させることを特
    徴とする請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】前記生体領域は血管を含むこともでき、
    前記ステップ(d)は、前記データセットから、前記血
    管を削除することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  23. 【請求項23】前記ステップ(a)、(b)及び(c)
    を繰り返して、神経の影響が強調された第1の出力と、
    血管の影響が強調された第2の出力とを生成し、前記出
    力を処理するステップ(e)は、前記第1及び第2の出
    力を処理して、前記データセットから前記血管を削除す
    るステップを含むことを特徴とする請求項22に記載の方
    法。
  24. 【請求項24】前記生体領域内の非神経組織が血管と髄
    液とを含む場合、前記ステップ(d)は前記データセッ
    トから前記血管と前記髄液とを削除することを特徴とす
    る請求項1に記載の方法。
  25. 【請求項25】前記ステップ(d)は、前記データセッ
    ト上の前記生体領域の動きの影響を削除することを特徴
    とする請求項1に記載の方法。
  26. 【請求項26】前記方法は、更に、前記生体領域を当て
    木にて固定し、前記データセットにおける運動アーチフ
    ァクトを減少させるステップを含むことを特徴とする請
    求項1に記載の方法。
  27. 【請求項27】前記生体領域は、複数の末梢神経、番号
    3ないし12の脳神経、または自律神経を含み、前記方法
    は更に、前記複数の末梢神経、番号3ないし12の脳神
    経、または自律神経のうち選択された1つの神経に、造
    影剤を投与し、前記選択された1つの神経を前記データ
    セットから削除するステップを含むことを特徴とする請
    求項1に記載の方法。
  28. 【請求項28】前記ステップ(a)ないし(c)は、前
    記生体領域を、読み取り勾配再位相パルス及びスライス
    選択励起パルスに露出させるステップを含み、前記読み
    取り勾配再位相パルスは、前記スライス選択励起パルス
    の発生の直後に代わって、前記出力が生成される直前に
    発生され、前記データセット内の望ましくないクロス−
    タームの表示を減少させることを特徴とする請求項1に
    記載の方法。
  29. 【請求項29】前記ステップ(a)ないし(c)は、更
    に、前記生体領域を二部分位相エンコーディング勾配に
    露出させ、前記データセットにおける望ましくないクロ
    ス−タームの表示を更に減少させるステップを含むこと
    を特徴とする請求項28に記載の方法。
  30. 【請求項30】前記データセット内の前記神経の輝度
    は、前記生体領域内の非神経組織の輝度の少なくとも10
    倍であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  31. 【請求項31】前記方法は、更に、前記データセットを
    処理して、前記神経の形状及び位置を表示する画像を発
    生させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記
    載の方法。
  32. 【請求項32】人間を除く哺乳類内の生理学的構造の形
    状及び位置を判定するために磁気共鳴を利用する方法で
    あって、 (a)拡散重み付けされた所定の配列の勾配を含む磁気
    偏向場に、人間を除く哺乳類内の領域を露出させるステ
    ップであって、前記領域は、前記領域から選択された生
    理学的構造であって拡散異方性を示す生理学的構造と前
    記選択された生理学的構造以外の生理学的構造であって
    拡散異方性を示さない生理学的構造とを含む、ステップ
    と、 (b)前記領域を電磁励起場に露出させるステップと、 (c)前記拡散重み付けされた勾配の各々について、前
    記励起場と前記拡散重み付けされた勾配を含む偏向場に
    対する、前記領域の共鳴応答を示す出力を生成するステ
    ップと、 (d)前記出力をベクトル処理して、前記拡散重み付け
    された勾配の前記選択された生理学的構造の方位に関す
    る整合には無関係に、前記領域内の前記選択された生理
    学的構造によって示される異方性拡散を表わすデータを
    発生させるステップと、 (e)前記異方性拡散を表わすデータを処理し、前記領
    域内の前記選択された生理学的構造の形状及び位置を記
    述するデータセットを発生させるステップであって、前
    記データセットは、前記選択された生理学的構造を、前
    記領域内の前記選択された生理学的構造以外の生理学的
    構造であって拡散異方性を示さない生理学的構造から区
    別する、ステップと を包含する方法。
  33. 【請求項33】前記選択された生理学的構造は、人間を
    除く哺乳類の神経組織であり、前記選択された生理学的
    構造以外の生理学的構造は、前記人間を除く哺乳類の非
    神経組織であることを特徴とする請求項32に記載方法。
  34. 【請求項34】前記異方性拡散を表わすデータを処理す
    る前記ステップは、 前記異方性拡散を表わすデータを分析して、前記神経組
    織によって示される前記異方性拡散の有効な方向を判定
    し、拡散重み付けされた勾配に対する最適な方位を決定
    するステップ、 前記領域を、前記有効な方向に対して実質的に平行及び
    実質的に垂直な2つの拡散重み付けされた付加勾配に、
    それぞれ露出させるステップ、 前記2つの拡散重み付けされた付加勾配に対する前記領
    域の共鳴応答をそれぞれ示す2つの付加出力を生成する
    ステップ、及び 前記2つの付加出力間の差を計算し、前記神経組織の形
    状及び位置を記述する前記データセットを発生させるス
    テップ、を含むことを特徴とする請求項33に記載の方
    法。
  35. 【請求項35】前記神経組織の形状及び位置を記述する
    前記データセットは、前記神経組織の選択された断面の
    形状及び位置を記述するものであり、前記データセット
    を発生させるために用いられた前記ステップを繰り返し
    て、前記神経組織の異なる断面を記述する付加データセ
    ットを発生させ、更に、前記神経組織の断片の三次元形
    状及び位置を記述する更なるデータセットを、 前記異方性拡散を表わすデータを分析して、前記データ
    セットと、前記神経組織の断面の形状及び位置を記述す
    る前記付加データセットとをどのように関連付けるかを
    決定すること、及び 前記異方性拡散を表わすデータを分析する前記ステップ
    の結果を基に、前記データセットと前記付加データセッ
    トとを組み合わせて、前記神経組織の断片の三次元形状
    及び位置を記述する前記さらなるデータセットを発生さ
    せ、これによって湾曲した神経組織の三次元形状および
    位置を記述可能とすること、を含むステップによって発
    生させることを特徴とする請求項33に記載の方法。
  36. 【請求項36】前記異方性拡散を表わすデータを分析す
    るステップは、前記選択され且つ異なる断面の各々にお
    いて、前記神経組織によって示される前記異方性拡散の
    有効な方向を判定することを含むことを特徴とする請求
    項35に記載の方法。
  37. 【請求項37】前記所定の配列の勾配は、第1、第2及
    び第3の直交勾配を含み、前記異方性拡散を表わすデー
    タは、前記神経組織によって示される前記異方性拡散を
    表わす有効ベクトルの記述を含むことを特徴とする請求
    項33に記載の方法。
  38. 【請求項38】前記神経組織の形状及び位置を記述する
    前記データセットは、前記有効ベクトルの長さに基づく
    ことを特徴とする請求項37に記載の方法。
  39. 【請求項39】前記領域を磁気偏向場に露出させるステ
    ップは、拡散重み付けされた勾配を含まないゼロ拡散勾
    配偏向場に、前記領域を露出させるステップを含み、前
    記出力を生成するステップは、前記ゼロ拡散勾配偏向場
    に対する前記領域の共鳴応答を示すゼロ拡散勾配出力を
    生成するステップを含み、前記有効ベクトルの長さは、
    前記ゼロ拡散勾配出力の大きさによって正規化されるこ
    とを特徴とする請求項38に記載の方法。
  40. 【請求項40】前記神経組織の形状及び位置を記述する
    前記データセットは、前記有効ベクトルの方向を部分的
    に記述する角度に基づくことを特徴とする請求項37に記
    載の方法。
  41. 【請求項41】前記異方性拡散を表わすデータを処理す
    る前記ステップは、 前記神経組織によって示される前記異方性拡散を表わす
    前記有効ベクトルの方向に実質的に平行及び実質的に垂
    直な、2つの拡散重み付けされた付加勾配に、前記領域
    をそれぞれ露出させるステップ、 前記2つの付加拡散重み付けされた勾配に対する前記領
    域の共鳴応答をそれぞれ示す2つの付加出力を生成する
    ステップ、及び 前記2つの付加出力間の差を計算し、前記神経組織の形
    状及び位置を記述する前記データセットを発生させるス
    テップ、を含むことを特徴とする請求項37に記載の方
    法。
  42. 【請求項42】前記データセットは前記神経組織の選択
    された断面の形状及び位置を記述するものであり、前記
    データセットを発生するために用いられた前記ステップ
    を繰り返して、前記神経組織の異なる断面を記述する付
    加データセットを発生させ、更に、前記神経組織の断片
    の三次元形状及び位置を記述する更なるデータセット
    を、 前記異方性拡散を表わすデータを分析して、前記データ
    セットと、前記神経組織の断面の形状及び位置を記述す
    る前記付加データセットとをどのように関連付けるかを
    決定すること、及び 前記異方性拡散を表わすデータを分析する前記ステップ
    の結果を基に、前記データセットと前記付加データセッ
    トとを組み合わせて、前記神経組織の断片の三次元形状
    及び位置を記述する前記更なるデータセットを発生さ
    せ、これによって湾曲した神経組織の三次元形状及び位
    置を記述可能とすること、を含むステップによって発生
    することを特徴とする請求項37に記載の方法。
  43. 【請求項43】前記異方性拡散を表わすデータを分析す
    るステップは、前記断面の各々において、前記神経組織
    によって表わされる前記異方性拡散を表わす前記有効ベ
    クトルの方向を分析するステップを含むことを特徴とす
    る請求項42に記載の方法。
  44. 【請求項44】前記異方性拡散を表わすデータを分析す
    るステップは、 前記異方性拡散を表わすデータを分析して、前記選択さ
    れた生理学的構造によって示される異方性拡散の有効な
    方向を判定し、拡散重み付けされた勾配に対する最適な
    方位を決定するステップ、 前記領域を、前記有効な方向に対して実質的に平行及び
    実質的に垂直な2つの拡散重み付けされた付加勾配に、
    それぞれ露出させるステップ、 前記2つの拡散重み付けされた付加勾配に対する前記領
    域の共鳴応答をそれぞれ示す2つの付加出力を生成する
    ステップ、及び 前記2つの付加出力間の差を計算し、前記選択された生
    理学的構造の形状及び位置を記述する前記データセット
    を発生するステップ、を含むことを特徴とする請求項32
    に記載の方法。
  45. 【請求項45】前記選択された生理学的構造の形状及び
    位置を記述する前記データセットは、前記選択された生
    理学的構造の選択された断面の形状及び位置を記述する
    ものであり、前記データセットを発生するために用いら
    れた前記ステップを繰り返して、前記選択された生理学
    的構造の異なる断面を記述する付加データセットを発生
    し、更に、前記選択された生理学的構造の断片の三次元
    形状及び位置を記述する更なるデータセットを、 前記異方性拡散を表わすデータを分析して、前記データ
    セットと、前記選択された生理学的構造の断面の形状及
    び位置を記述する前記付加データセットとをどのように
    関連付けるかを決定すること、及び 前記異方性拡散を表わすデータを分析する前記ステップ
    の結果を基に、前記データセットと前記付加データセッ
    トとを組み合わせて、前記選択された生理学的構造の断
    片の三次元形状及び位置を記述する前記更なるデータセ
    ットを発生させ、これによって湾曲した構造の三次元形
    状及び位置を記述可能とすること、を含むステップによ
    って発生することを特徴とする請求項32に記載の方法。
  46. 【請求項46】前記所定の配列の勾配は、第1、第2及
    び第3の直交勾配を含み、前記異方性拡散を表わすデー
    タは、前記選択された生理学的構造によって示される前
    記異方性拡散を表わす有効ベクトルの記述を含むことを
    特徴とする請求項32に記載の方法。
  47. 【請求項47】ある構造によって示される拡散異方性を
    表わすデータを判定するために、磁気共鳴を利用する方
    法であって、 (a)拡散異方性を示さない、人間を除く哺乳類のある
    領域内の構造の電磁応答性を削除する電磁場の削除シー
    ケンスに、前記領域を露出させ、拡散異方性を示す前記
    領域内の構造の見かけ上の拡散異方性を増大させるステ
    ップであって、前記電磁場の削除シーケンスは拡散重み
    付けされた勾配を含まない、ステップ、 (b)前記人間を除く哺乳類の領域を、拡散重み付けさ
    れた所定の配列の磁気勾配に露出させるステップであっ
    て、前記拡散重み付けされた所定の配列の磁気勾配を、 i)特定の方向における拡散異方性を示す前記領域内の
    選択された構造を強調し、 ii)前記特定の方向とは異なる方向において、拡散異方
    性を示す前記領域内の他の構造を削除する、 ように選択するステップ、 (c)前記拡散重み付けされた勾配の各々について、前
    記拡散重み付けされた勾配に対する前記領域の共鳴応答
    を示す出力を生成するステップ、及び (d)前記出力を処理して、前記選択された構造の前記
    拡散異方性を表わすデータを発生させるステップ、 から成ることを特徴とする方法。
  48. 【請求項48】前記選択された構造の前記拡散異方性を
    表わすデータを処理して、前記選択された構造の形状及
    び位置を記述するデータセットを生成することを特徴と
    する請求項47に記載の方法。
  49. 【請求項49】前記選択された拡散異方性構造は、生体
    内の生きている神経組織であることを特徴とする請求項
    48に記載の方法。
  50. 【請求項50】前記選択された拡散異方性構造は、末梢
    神経、番号3ないし12の脳神経の1つ、または自律神経
    であり、それは生きていることを特徴とする請求項48に
    記載の方法。
  51. 【請求項51】哺乳類の組織の形状及び位置を判定する
    磁気共鳴装置であって、 (a)非神経組織と神経とを含み、前記神経は末梢神
    経、番号3ないし12の脳神経の1つ、または自律神経か
    ら成り、対象となる生体領域を磁気偏向場に露出させる
    偏向場源と、 (b)前記対象を電磁励起場に露出させる励起及び出力
    構成部(62)と、 (c)前記偏向場源と前記励起及び出力構成部(62)の
    動作を制御するシーケンス制御部(74)であって、前記
    偏向場及び励起場が協同して、前記生体領域内に共鳴応
    答を誘発し、末梢神経、番号3ないし12の脳神経の1
    つ、または自律神経から成り、生体内に在り且つ生きて
    いる前記神経の選択性を高め、前記励起及び出力構成部
    (62)が、前記シーケンス制御部(74)によって決定さ
    れる時刻に、前記生体領域の前記共鳴応答を示す出力を
    生成するように制御する、シーケンス制御部と、 (d)前記出力を処理して、前記神経の形状及び位置を
    記述するデータセットを生成し、前記データセットは、
    前記生体領域内の神経と非神経組織とを区別し、神経造
    影剤の使用を必要とせずに、前記神経の顕著性を前記非
    神経組織のそれより少なくとも1.1倍とする、プロセッ
    サ(72)と、から成ることを特徴とする装置。
  52. 【請求項52】前記励起及び出力構成部(62)は、整相
    コイル・システムを含むことを特徴とする請求項51に記
    載の装置。
  53. 【請求項53】前記装置は、更に、前記生体領域を実質
    的に固定する当て木(156)を含むことを特徴とする請
    求項51に記載の装置。
  54. 【請求項54】前記当て木(156)は、前記当て木(15
    6)の位置と前記対象領域とを関係付ける、少なくとも
    1つのマーカ(162)を含むことを特徴とする請求項53
    に記載の装置。
  55. 【請求項55】前記当て木(156)は、前記神経の形状
    及び位置を記述する前記データセットに影響し得る、エ
    ッジ効果を減少させるように構成されていることを特徴
    とする請求項54に記載の装置。
  56. 【請求項56】前記装置は、非神経構造に関する情報を
    収集するように構成された補助データ収集システム(2
    2)と結合可能であり、前記情報は前記プロセッサ(7
    2)によって用いられて、前記神経の形状及び位置を記
    述する前記データセットが、前記生体領域内の非神経組
    織を区別する度合いを高めることを特徴とする請求項51
    に記載の装置。
  57. 【請求項57】前記装置は、前記データセットを分析し
    て、対象となる神経状態を検出するように構成された診
    断システム(24)に結合可能であることを特筆とする請
    求項51に記載の装置。
  58. 【請求項58】前記装置は、治療システム(26)に結合
    可能であることを特徴とする請求項51に記載の装置。
  59. 【請求項59】前記装置は、外科手術システム(28)に
    結合可能であることを特徴とする請求項51に記載の装
    置。
  60. 【請求項60】前記装置は、開発システム(30)に結合
    可能であることを特徴とする請求項51に記載の装置。
  61. 【請求項61】前記装置は、更に、前記データセットに
    基づいて前記神経の画像を表示する出力装置(72)を含
    むことを特徴とする請求項51に記載の装置。
  62. 【請求項62】ある構造の形状及び位置を決定する磁気
    共鳴装置であって、 (a)拡散重み付けされた所定の配列の勾配を含む磁気
    偏向場に、拡散異方性を示す選択された構造と拡散異方
    性を示さない他の構造とを含む、ある領域を露出させる
    偏向場源と、 (b) i)前記領域を電磁励起場に露出させ、 ii)前記拡散重み付けされた勾配の各々に対して、前記
    励起の場と前記拡散重み付けされた勾配を含む偏向の場
    とに対する前記領域の共鳴応答を示す出力を生成する、 励起及び出力構成部(62)と、 (c) i)前記出力をベクトル処理し、前記拡散重み付けされ
    た勾配の前記選択された構造の方位に関する整合には無
    関係に、前記領域内の前記選択された構造によって示さ
    れる異方性拡散を表わすデータを発生させ、 ii)前記異方性拡散を表わすデータを処理して、前記領
    域内の前記選択された構造の形状及び位置を記述するデ
    ータセットを発生させ、前記データセットは、前記選択
    された構造と拡散異方性を示さない前記領域内の他の構
    造とを区別する、プロセッサ(72)と、 から成ることを特徴とする装置。
  63. 【請求項63】前記選択された構造は、哺乳類の神経組
    織であり、前記他の構造は前記哺乳類の非神経組織であ
    ることを特徴とする請求項62に記載の装置。
  64. 【請求項64】前記プロセッサ(72)は、前記異方性拡
    散を表わすデータを分析して、前記神経組織によって示
    される前記異方性拡散の有効な方向を判定することによ
    り、拡散重み付けされた勾配に対して、最適な方位を判
    定し、 前記偏向場源は、前記有効な方向に実質的に平行及び実
    質的に垂直な2つの拡散重み付けされた付加勾配に、前
    記領域をそれぞれ露出させ、 前記励起及び出力構成部(62)は、前記2つの拡散重み
    付けされた付加勾配それぞれに対する前記領域の共鳴応
    答を示す2つの付加出力を生成し、 前記プロセッサ(72)は、前記2つの付加出力間の差を
    決定し、前記神経組織の形状及び位置を記述する前記デ
    ータセットを発生させる、 ことを特徴とする請求項63に記載の装置。
  65. 【請求項65】前記神経組織の形状及び位置を記述する
    前記データセットは、前記神経組織の選択された断面の
    形状及び位置を記述するものであり、前記装置は、前記
    神経組織の異なる断面を記述する付加データセットを発
    生し、前記プロセッサ(72)は、 前記異方性拡散を表わすデータを分析して、前記データ
    セットと、前記神経組織の断面の形状及び位置を記述す
    る前記付加データセットとをどのように関連付けるかを
    決定し、 前記異方性拡散を表わすデータの分析の結果を基に、前
    記データセットと前記付加データセットとを組み合わせ
    て、前記神経組織の断片の三次元形状及び位置を記述す
    る前記更なるデータセットを発生させ、これによって湾
    曲した神経組織の三次元形状及び位置を記述可能とする
    こと、によって前記神経組織の断片の三次元形状及び位
    置を記述する更なるデータセットを計算することを特徴
    とする請求項63に記載の装置。
  66. 【請求項66】前記所定の配列の勾配は、第1、第2及
    び第3の直交する勾配を含み、前記異方性拡散を表わす
    データは、前記神経組織によって示される前記異方性拡
    散を表わす有効ベクトルの記述を含むことを特徴とする
    請求項63に記載の装置。
  67. 【請求項67】前記プロセッサ(72)は、前記異方性拡
    散を表わすデータを分析して、前記選択された構造によ
    って示される前記異方性拡散の有効な方向を判定するこ
    とにより、拡散重み付けされた勾配に対して、最適な方
    位を判定し、 前記偏向場源は、前記有効な方向に実質的に平行及び実
    質的に垂直な2つの拡散重み付けされた付加勾配に、前
    記領域をそれぞれ露出させ、 前記励起及び出力構成部(62)は、前記2つの拡散重み
    付けされた付加勾配それぞれに対する前記領域の共鳴応
    答を示す2つの付加出力を生成し、 前記プロセッサ(72)は、前記2つの付加出力間の差を
    決定し、前記選択された構造の形状及び位置を記述する
    前記データセットを発生させる、 ことを特徴とする請求項62に記載の装置。
  68. 【請求項68】前記選択された構造の形状及び位置を記
    述する前記データセットは、前記選択された構造の選択
    された断面の形状及び位置を記述するものであり、前記
    装置は、前記選択された構造の異なる断面を記述する付
    加データセットを発生させ、前記プロセッサ(72)は、
    前記選択された構造の断片の三次元形状及び位置を記述
    する更なるデータセットを、 前記異方性拡散を表わすデータを分析して、前記データ
    セットと、前記選択された構造の断面の形状及び位置を
    記述する前記付加データセットとをどのように関連付け
    るかを決定し、 前記異方性拡散を表わすデータの分析の結果を基に、前
    記データセットと前記付加データセットとを組み合わせ
    て、前記の選択された構造の断片の三次元形状及び位置
    を記述する前記更なるデータセットを発生させ、これに
    よって湾曲した構造の三次元形状及び位置を記述可能と
    すること、 によって決定することを特徴とする請求項62に記載の装
    置。
  69. 【請求項69】前記所定の配列の勾配は、第1、第2及
    び第3の直交する勾配を含み、前記異方性拡散を表わす
    データは、前記選択された領域によって示される前記異
    方性拡散を表わす有効ベクトルの記述を含むことを特徴
    とする請求項62に記載の装置。
  70. 【請求項70】ある構造によって示される拡散異方性を
    表わすデータを判定する磁気共鳴装置であって、 (a)拡散異方性を示さないある領域内の構造の電磁応
    答性を削除する、電磁場の削除シーケンスに、前記領域
    を露出させ、拡散異方性を示す前記領域内の構造の見か
    け上の拡散異方性を増大させる励起及び出力構成部(6
    2)、 (b)前記領域を、 i)特定の方向における拡散異方性を示す前記領域内の
    選択された構造を強調し、 ii)前記特定の方向とは異なる方向において、拡散異方
    性を示す前記領域内の他の構造を削除する、 ように選択された、拡散重み付けされた磁気勾配の所定
    の配列に露出させる偏向場源であって、前記励起及び出
    力構成部(62)は、更に、前記拡散重み付けされた勾配
    の各々について、前記拡散重み付けされた勾配に対する
    前記領域の共鳴応答を示す出力を生成し、 (c)前記出力を処理して、前記選択された構造の前記
    拡散異方性を表わすデータを発生するプロセッサ(7
    2)、 とから成ることを特徴とする装置。
  71. 【請求項71】前記プロセッサ(72)は、前記選択され
    た構造の前記拡散異方性を表わすデータを処理して、前
    記選択された構造の形状及び位置を記述するデータセッ
    トを生成することを特徴とする請求項70に記載の装置。
  72. 【請求項72】前記選択された拡散異方性構造は、神経
    組織であり、それは生きていることを特徴とする請求項
    71に記載の装置。
  73. 【請求項73】前記選択された拡散異方性構造は、末梢
    神経、番号3ないし12の脳神経の1つ、または自律神経
    であり、それは生きていることを特徴とする請求項71に
    記載の装置。
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