JP3456562B2 - 固体潤滑膜の製造方法およびその装置 - Google Patents
固体潤滑膜の製造方法およびその装置Info
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Description
いった特殊環境下で使用される半導体製造装置や宇宙機
器などに適用する転がり軸受の転動体への固体潤滑膜の
製造方法およびその装置に関する。
ロなどの転動体に二硫化モリブデン膜の固体潤滑剤をス
パッタする固体潤滑膜の製造方法としては、例えば、本
出願人が先に提案した特開平5−9707号公報に開示
されているものがある。図12の(a) は従来例を示すス
パッタ装置の側断面図、(b) はCC’線に沿う平面図で
ある。ここで、転動体が玉の場合を例に取り説明する。
真空チャンバ−1の中の上部に二硫化モリブデンからな
るターゲット2を設け、下方の真空チャンバ−1のベー
ス7には回転テーブル3を設けており、回転テーブル3
は図示しない駆動装置により回転軸31を介して回転さ
せるものである。回転テーブル3上に治具4を固定し、
治具4上のターゲット2に対向する位置に設けた穴4a
に玉6を載置する。ターゲット2と玉6との間にはシャ
ッタ5を設け、スパッタ時間を調節している。詳細には
治具4には玉6の直径よりもわずかに大きい直径の穴4
aを複数個設けて、その穴4aに玉6を入れ、玉6の高
さの半分以上が治具4から露出した状態で真空チャンバ
−1内を真空に引いてスパッタを行う。その後、真空チ
ャンバ−1を大気に開放して、治具4で隠れているため
スパッタ膜が形成されなかった玉6の高さの半分以下の
部分を治具4の外側に露出するように反転させ、一方、
スパッタ膜が形成された玉6の高さの半分以上を穴4a
の底側に向けて載置し、再びスパッタを行う。以上の説
明は、転動体が玉の場合のスパッタ方法であるが、コロ
の場合も同じ方法でスパッタされる。
方法では玉6の半面をタ−ゲット5に対向させてスパッ
タした後、一度大気に開放して、玉6を反転した後に反
転した玉6の残りの半面をスパッタするため、次のよう
な課題があった。 (1) 玉の上面部に対するタ−ゲット粒子の入射角度が
直角に近いことに対し、玉の側面部に対する入射角度が
浅いため、玉の上面部と側面部とでは膜の構造や厚みに
違いが生じる。更に、2回のスパッタによって玉の一部
に膜が二重となる合わせ面ができる。 (2) 玉の反転時の取り扱いや大気との接触によって、
ごみ、酸化、吸湿などで汚染されるため、清浄なスパッ
タ膜が得られない。 (3) 2回のスパッタ処理が必要であるため、玉の反転
に手数がかかり、生産性が悪い。 なお、玉に替えてコロをスパッタする場合も同様な問題
があった。そこで、本発明は膜の構造や厚みが均一で合
わせ面がない、清浄な潤滑膜が得られ、且つ、スパッタ
処理に手数や時間のかからない、高品質で簡便な固体潤
滑膜の製造方法およびその装置を提供することを目的と
する。
に、請求項1の本発明は、真空チャンバ−の中に固体潤
滑剤からなるターゲットとこのターゲットに間隔を置い
て対向する回転テーブルを設け、この回転テーブル上に
治具を設置し、この治具上の前記ターゲットに対向する
位置に複数の転動体を収納し、前記回転テーブルを回転
しながら前記転動体にスパッタを行う固体潤滑膜の製造
方法において、前記治具は、前記回転テ−ブルと対峙し
た位置に配設された転動体収納部を構成する複数の貫通
した穴部を形成してなる第1のプレートと、この第1の
プレートと前記回転テーブルとの間に前記穴部と対向す
るように少なくともその表面の一部が段凹部を形成して
なる第2のプレートと、この第2のプレートを前記真空
チャンバ−に固定する固定バ−とし、前記転動体収納部
と対向する前記固定された第2のプレート上に前記転動
体を収納し、前記第2のプレ−ト上で前記第1のプレ−
トを回転しながら前記段凹部上を前記転動体が通過する
際に前記転動体の姿勢を変化させるようにしたものであ
る。
に設けた固体潤滑剤からなるターゲットと、このターゲ
ットに間隔を置いて対向して設けた回転テーブルと、こ
の回転テーブル上に設置した治具と、この治具上の前記
ターゲットに対向する位置に収納した複数の転動体とを
備え、前記回転テーブルを回転しながら前記転動体にス
パッタを行う固体潤滑膜の製造装置において、前記治具
は、前記回転テ−ブルと対峙した位置に同軸状態で配設
されると共に前記転動体を収納するような複数の貫通し
た穴部を有する第1のプレートと、前記第1のプレート
と前記回転テーブルとの間に独立して設けられると共に
前記穴部と対向して少なくともその表面の一部に段凹部
を形成した第2のプレートと、前記第2のプレートを前
記真空チャンバ−に固定する固定バ−とを備え、前記固
定された第2のプレ−ト上で前記第1のプレ−トを回転
しながら前記段凹部上で前記穴部に収納された前記転動
体の姿勢を変化させるものである。また、請求項3の本
発明は、請求項2記載の固体潤滑膜の製造装置におい
て、前記段凹部は、一方の端部が前記第2のプレ−トの
表面に垂直な面で形成された段付の壁部と、前記第1の
プレ−トの回転方向に沿う前記壁部の前方側に形成され
た傾斜面とで構成されるものである。また、請求項4の
本発明は、請求項2または請求項3記載の固体潤滑膜の
製造装置において、前記段凹部は、前記第2のプレ−ト
の鉛直方向から見た形状がY字状としたものである。ま
た、請求項5の本発明は、請求項2または請求項3に記
載の固体潤滑膜の製造装置において、前記第1のプレー
トは、前記隣り合う複数の穴部を互いに連通するように
内側と外側のプレートの二つに分離したものである。ま
た、請求項6の本発明は、請求項2または請求項3に記
載の固体潤滑膜の製造装置において、前記第1のプレー
トを前記回転テ−ブルと同軸上に連結された太陽歯車と
し、前記第2のプレートを内歯車とし、前記太陽歯車と
前記内歯車との間に前記転動体を収納する貫通した穴部
を有する遊星歯車を設けたものである。また、請求項7
の本発明は、請求項6に記載の固体潤滑膜の製造装置に
おいて 、前記遊星歯車に設けた穴部の内壁を凹凸状に形
成したものである。
置では、例えば前記転動体がコロの場合に適用すると、
複数コロの端面および円筒面が満遍なく転がり、その結
果、コロの全面にスパッタ膜が形成される。また、スパ
ッタ途中でコロの向きを変更するために真空チャンバ−
を大気開放し、もう一度スパッタを行う処理の必要がな
くなり、スパッタを1回の処理で連続して行うことがで
きる。これにより、膜の構造や厚みが均一で合わせ面が
ない、清浄なスパッタ膜が得られる。
ながら説明する。図1の(a) は本発明の第1の実施例を
示すスパッタ装置の側断面図、(b) は(a) のAA’線に
沿う治具の平面図である。なお、従来例と同じ構成要素
には同じ符号を用いている。なお、スパッタの対象とな
る転動体は玉について説明する。真空チャンバ−1の中
の上部に二硫化モリブデンからなるターゲット2を設
け、下方には回転テーブル3を設け、回転テーブル3の
上にターゲット2に対向する半径方向位置に玉6を載せ
る治具4を設置し、ターゲット2と玉6との間にシャッ
タ5を設けるようにした基本的な構成は従来例と同じで
ある。従来例と異なる点は、回転テーブル3の上に設け
た治具4はターゲット2に対向する回転円周上に、ター
ゲット直径に近い幅の外リング41と内リング42から
なるリング溝を設け、その円周方向に複数の仕切り部材
43を設け、リング溝と仕切り部材43により転動体収
納部44を形成し、転動体収納部44に複数の玉6を載
せる際に転動体収納部44を塞がないように空き間44
aを設けるようにしたものである。また、転動体収納部
44内における玉6の転動が可能なように、回転テ−ブ
ル3には玉6に加速度を付与するための正転・逆転およ
び加速・減速の繰り返しを行う回動機構9を設けてあ
る。これにより回転テーブル3に設けた治具4の上で玉
6をランダムに転動させるようにしてある。なお、回動
機構9は回転テ−ブル3の回転方向と回転速度を可変で
きるようなサ−ボモ−タが望ましいが、これに限定され
るものではない。このような構成において、真空チャン
バ−1内を真空に引いてスパッタを行うと、玉6は回転
テ−ブル3の回動機構9により加速度を受けて治具4上
の転動体収納部44内をランダムに転がり、ターゲット
2に対してスパッタされる玉6の面が時間変化と共に順
次変わるため、玉6の全面にスパッタが行われる。した
がって、回転テーブル3の回転方向とは同期することな
く、玉6が治具4上の転動体収納部44内を転がるた
め、清浄で均一なスパッタ膜を得ることができる。ま
た、玉6はスパッタ処理において、真空チャンバ−1を
大気開放して反転させる必要がなくなり、玉6の取り扱
いや大気との接触によって、ごみ、酸化、吸湿などで汚
染される心配が無く、また、大気解放による長時間の真
空引きが必要なく、玉6の反転に手数や時間がかかるこ
となくスパッタ処理を一括で行うことができ、生産性が
向上する。また、転動体収納部44の形状は図1の(b)
に示したものに限定されるものでなく、円形や長方形な
どの形状にしても構わない。図1の(a) のAA’線に沿
う治具の平面図に相当するものとして、図2に治具のそ
の他の形状を示している。回転テ−ブル3上に円形状の
仕切り部材43を設け、仕切り部材43に囲まれた転動
体収納部44内で玉6がランダムに転がるように空き間
44aを有する構成にしてある。また、図3は第1の実
施例のその他の発明を示すスパッタ装置の側断面図であ
る。シャッタ5と玉6との間に玉6および回転テーブル
3を覆うカバー8をベース7に固定するようにしても良
い。カバー8のターゲット2の直下にはターゲット2の
外径とほぼ同じ大きさの径の貫通穴81を設けてある。
こうような構成にすることで、玉6がターゲット2真下
近辺以外にあるときはカバ−8によってスパッタ粒子の
付着が防止されるので、より均一な特性の膜質が得られ
る。
側断面図である。回転テーブル3に第1の実施例と同様
の転動体収納部44を設けた治具4を設置して、転動体
収納部に玉6を入れる構成は同じである。第1の実施例
と異なる点は治具4を設置した回転テーブル3を傾斜し
たまま回転させる構成にしたものである。すなわち、図
示しないタ−ゲットと治具4との間隔を一定に保つよう
にするため、治具4を設置した回転テーブル3の軸31
を軸受32により支持させるとともに、回転テーブル3
を図示しないベ−スの面に対してαの角度だけ傾斜した
まま回転させるようにし、回転テーブル3の軸31とそ
の下方にある回動機構9の軸91とは自在継手92を介
して連結された構成にしたものである。このような構成
において、回転テーブル3を支持する軸31が回動機構
9の軸91に対して傾斜しているので治具4の連続的あ
るいは非連続的な回転にともなって、玉6は重力を受
け、治具4上を転がるので、玉6の全面にスパッタが行
なわれる。したがって、第1の実施例と同様に回転テー
ブル3の回転方向とは同期することなく、玉6が治具4
上の転動体収納部44内をランダムに転がるため、清浄
で均一なスパッタ膜を得ることができる。また、玉のス
パッタ処理を一括で行うことができ、生産性が向上する
効果は同じである。
側断面図を示す。本実施例が上記に述べた第1および第
2の実施例と異なるのは、転動体収納部44に玉6を入
れた複数の治具4は各々の治具4の中心に軸45を設
け、回転テ−ブル3の軸31に歯車伝達機構10を設け
た構成である。治具4を支持する軸45は回転テーブル
3を貫通し、回転テーブル3に設けた軸受33で支持さ
れるとともに、回転テーブル3を貫通した軸45に装着
した歯車103は回転テーブル3の軸31に装着した歯
車104と噛み合わせるようにしたものである。また、
回転テーブル3は軸受34に支持され、治具4の中心に
備えた軸45には回転テーブル3の公転に対して治具4
を自転させるようにした歯車101と歯車102が噛み
合わせるようにしたものである。このような構成におい
て、回転テーブル3の回転によって治具4が回転テーブ
ル3上で自転するので、治具4を連続的あるいは非連続
的に回転させることによって、玉6は治具4上を転がる
ので玉6の全面にスパッタが行なわれる。したがって、
第1および第2の実施例と同様に回転テーブル3の回転
方向とは同期することなく、玉6が治具4上の転動体収
納部44内をランダムに転がるため、清浄で均一なスパ
ッタ膜を得ることができる。また、玉のスパッタ処理を
一括で行うことができ、生産性が向上する効果は同じで
ある。
において、スパッタの対象となる転動体は玉について説
明してきた。上記の転がし方式による転動体へのスパッ
タをコロに適用した場合、コロのように円筒面と平らな
端面とからなる異形状を有するものでは、慣性力や重力
だけでは両面の間の回転ができず、さらに、例えば治具
上を複数のコロが転がる際に、タ−ゲットに対向する鉛
直方向に直立したコロなどが周囲の横倒しになったコロ
の転がりを妨害することになる。その結果、円筒面と端
面の両面を満遍なく転がすことができないという課題が
生じることになる。そこで、転動体がコロの場合の発明
を、次の第4ないし第7の実施例において説明する。
図6は本発明の第4の実施例を示すスパッタ装置の側断
面図である。また、図7の(a) は図6の治具の分解斜視
図、(b) は(a) の組立斜視図である。また、図8の(a)
,(b) ,(c) は第1のプレ−トと第2のプレ−ト間に
おけるコロの転がり状態を示す概念図である。図6にお
いて、真空チャンバ−1の中の上部に二流化モリブデン
からなるターゲット2を設け下方には回転テーブル3を
設けて、ターゲット2に対向する半径方向位置に治具4
に入れたコロ61を収納し、ターゲット2とコロ61と
の間にシャッタ5およびカバー8を設けた構成は従来と
同じである。第1ないし第3の実施例と異なるのは、治
具構成である。図7の(a) の分解斜視図に示すように、
回転テーブル3の上に設けた治具4は、回転テ−ブルと
対峙した位置に転動体を収納するような複数の貫通した
穴部47を有する第1のプレート46が同軸状態で設け
てあり、第1のプレート46と回転テーブル3との間に
は、複数の穴部47と対向してその表面の一部に段凹部
49を形成した第2のプレート48が独立して設けら
れ、第2のプレート48を図示しない真空チャンバ−1
に固定バ−48aにより固定するようにしてある。ま
た、図7の(b) の組立斜視図に示す治具4は、第2のプ
レート48を下面とし、第1のプレート46を第2のプ
レート48の上に対向させた状態で組み立てたものであ
る。第1のプレート46の穴部47にコロ61で塞がな
い程度の個数分のコロを入れ、第2のプレート48には
コロ61の直径の三分の一程度の深さで段凹部49を設
けている。段凹部49の形状は、図7の(a) に示すよう
に一方の端部が第2のプレ−ト48の表面に垂直な面で
形成された段付の壁部49aと、第1のプレ−ト46の
回転方向に沿う壁部49aの前方側に形成された緩やか
な傾斜面49bとで構成されるものである。このような
構成において、図7の(b) に示すように、コロ61が第
1のプレ−ト46の穴部47と第2のプレ−ト48との
間で構成される転動体収納部44に収納されており、コ
ロ61は、回転テーブル3の回転に伴って第1のプレ−
ト46に設けた穴部47の内壁に押され、第2のプレ−
ト48の上を移動して段凹部49に落ちてコロ61の姿
勢を変化させるようにしてあり、図示しない真空に引か
れた真空チャンバ−内でスパッタされる。次に動作を図
8にしたがって説明する。コロ61が穴部47に複数収
納される場合、図8は図7の(b) のD部を拡大した、第
1のプレ−トと第2のプレ−トの側面から見たコロの動
きを示す概念図である。第1のプレ−ト46の回転方向
に対して前方にあるコロを61a、後方にあるコロを6
1bとする。(a) において、コロ61aが第2のプレ−
ト48に設けた段凹部49の壁部49aに達し、直立し
たコロ61aがコロ61bに押されて壁部49aから落
ちる。さらに(b) では、第1のプレ−ト46が回転方向
に移動すると、壁部49aから落ちたコロ61aは、傾
斜面49bで横倒しになる。(c) に示すように、さらに
第1のプレ−ト46が回転方向に移動すると、傾斜面4
9bにある横倒しのコロ61aは、壁部49aを直立し
たまま落ちる後方のコロ61bから押されるため、横倒
しのまま傾斜面49bを登る。逆に(a) において、コロ
61aが横倒しになったままで壁部49aから落ちる場
合は段凹部49の傾斜面49bに直立した姿勢に変化す
る。したがって、段凹部により、複数のコロのうち第1
のプレ−トの回転方向に対して前方に位置するコロをそ
の円筒面および端面の両面間で回転させることできるの
で、前方のコロの姿勢を容易に変化させることが可能と
なり、その結果、均一に前方のコロの両面をスパッタす
ることができる。
図9の(a) は第5の実施例を示すその他の第2のプレ−
トの斜視図、(b) は(a) の段凹部におけるコロの動きを
示す概念図、(C) は(b) の側面図である。前述した第4
の実施例において、図8に示すように複数のコロを収納
した場合であって、段凹部49に複数のコロが落ちる際
に、後方のコロ61bは前方のコロ61aが支えとなっ
て、直立していたコロ61bは直立したまま、横倒しに
なっていたコロ61bは横倒しになったままの状態で壁
部49aを落ちる。本実施例では複数のコロが第2のプ
レ−ト48上で転がる際に、前方と後方のコロの位置を
入れ換えることを目的とするものである。図9の(a) の
第2のプレ−トの組立斜視図に示すように、段凹部49
の形状を中央部から分岐するようなY字状としたもので
ある。このような構成において動作を説明すると、図9
の(a) のE部を拡大した(b)、(c) に示すように、第1
のプレート46の動きに連れ、複数のコロ61がY字状
の傾斜面49bを上がる際、分岐した傾斜面に沿って、
先頭中央に位置するコロ61は左右どちらかの端に追い
やられる。複数のコロが第1のプレ−ト46の回転によ
り、第2のプレ−ト48上で数回段凹部49を通過する
ことで、複数のコロにおける後方のコロは先頭へ、先頭
にあったコロは後方へ互いの位置が入れ換わるようにな
る。したがって、本実施例は、第4の実施例で説明した
第1のプレ−トの回転方向に対して前方に位置するコロ
を段凹部によってその姿勢を変化させる作用に加え、段
凹部をY字形状とすることで、転動体収納部の前方と後
方に入れられたコロの位置を互いに入れ換えることが可
能となり、その結果、複数のコロを満遍なく転がすこと
ができ、コロの全面に効率よくスパッタを施すことがで
きる。
図10の(a) は第6の実施例を示すその他の第1のプレ
−トの斜視図、(b) は(a) の転動体収納部におけるコロ
の動きを示す概念図である。第1のプレート46は、図
10の(a) に示すように、隣り合う複数の穴部47を互
いに連通するように内側プレート461と外側プレート
462の二つに分離してあるものである。内側プレート
461と外側プレート462に分離したところは継手4
63で接続している。このような構成において、図10
の(a) のF部を拡大した(b) に示すように第1のプレー
ト46の動きに連れ、複数のコロのうち、第1のプレ−
ト46の回転方向に対して後方に位置するコロは連通溝
464を通り抜け、隣り合う転動体収納部に収納された
複数のコロの先頭に移すことができる。したがって、各
転動体収納部ごとに収納され、第1のプレ−トの回転方
向に対して前方と後方に入れられたコロの位置を互いに
入れ換えることが可能となり、その結果、第4の実施例
における第2のプレ−トの段凹部による作用に相乗して
複数コロを満遍なく転がすことができ、コロの全面に効
率よくスパッタを施すことができる。
図11の(a) は本発明の第7の実施例を示す治具の側断
面図、(b) は(a) のBB’線に沿う治具の平面図であ
る。本実施例は、図6の第4の実施例に示した第1のプ
レートを、回転テ−ブル3と同軸上に連結された太陽歯
車112とし、また、第4の実施例に示した第2のプレ
ートを、内歯車111とし、太陽歯車112と内歯車1
11との間に転動体を収納する貫通した穴部113aを
有す0遊星歯車113を設けてある遊星歯車式治具11
を構成したものである。また、遊星歯車113の穴部1
13aの内壁面は円周方向に凹凸形状をしたものであ
る。なお、内歯車111は真空チャンバ1に固定バ−1
11aにより固定されており、内歯車111のうち、遊
星歯車113の穴部113aに対向する面には第4の実
施例で示した段凹部111bを設けている。このような
構成において、動作を説明する。回転テ−ブル3の鉛直
上方に位置した太陽歯車112の自転に伴って遊星歯車
113が公転し、遊星歯車113の穴部113aに収納
したコロ61が穴部113aの内壁面に設けた凹凸面に
引っ掛かって回転し、複数のコロの位置が絶えず入れ換
わるようになる。この結果、複数のコロの位置を互いに
入れ換えることが可能となり、段凹部による複数のコロ
のうち前方に位置するコロの姿勢変化作用に相乗して、
複数コロの円筒面と端面の両面を満遍なく転がすことが
でき、コロの全面に効率よくスパッタを施すことができ
る。以上にスパッタの対象となる転動体はコロについて
説明したが、転動体であれば同様の効果が得られること
が期待できる。なお、スパッタ膜の重なりの有無はコロ
表面の段差の計測、コロ表面をエッチングした時の膜消
失までのエッチング時間の違いなどの方法によって検出
される。また、ここでは、スパッタ装置の例について説
明したが、スパッタ以外の方法のコロへの成膜にも効果
が期待できる。
が必要であった従来の転動体に対する固体潤滑膜の製造
方法に対し、本発明によれば、スパッタ途中で真空チャ
ンバ−を大気開放することなく1回の処理で連続したス
パッタができるので、玉やコロの一部にスパッタ膜が二
重となる合わせ面を生じることなく、玉やコロの全面に
均一な膜質が得られ膜の特性が向上するという効果があ
る。また、玉の反転時の取り扱いや大気との接触がない
ため、ごみ、酸化、吸湿などで汚染されることがなく、
玉やコロの全面に清浄な潤滑膜が得られるという効果が
ある。また、スパッタ処理に手数や時間がかからず、ス
パッタ膜の生産性が向上するという効果がある。したが
って、スパッタ処理が簡便となり高信頼性の固体潤滑膜
の製造方法およびその装置を提供することができる。
装置の側断面図、(b) は(a) のAA’線に沿う治具の平
面図である。
断面面である。
である。
である。
である。
の組立斜視図である。
プレ−ト間におけるコロの転がり状態を示す概念図であ
る。
第2のプレ−トの斜視図、(b) は(a) の段凹部における
コロの動きを示す概念図、(C) は(b) の側面図である。
の第1のプレ−トの斜視図、(b) は(a) の転動体収納部
におけるコロの動きを示す概念図である。
側断面図、(b) は(a) のBB’線に沿う装置の平面図で
ある。
図、(b) は(a) のCC’線に沿う平面図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 真空チャンバ−の中に固体潤滑剤からな
るターゲットとこのターゲットに間隔を置いて対向する
回転テーブルを設け、この回転テーブル上に治具を設置
し、この治具上の前記ターゲットに対向する位置に複数
の転動体を収納し、前記回転テーブルを回転しながら前
記転動体にスパッタを行う固体潤滑膜の製造方法におい
て、 前記治具は、前記回転テ−ブルと対峙した位置に配設さ
れた転動体収納部を構成する複数の貫通した穴部を形成
してなる第1のプレートと、この第1のプレートと前記
回転テーブルとの間に前記穴部と対向するように少なく
ともその表面の一部が段凹部を形成してなる第2のプレ
ートと、この第2のプレートを前記真空チャンバ−に固
定する固定バ−とし、前記転動体収納部と対向する前記
固定された第2のプレート上に前記転動体を収納し、前
記第2のプレ−ト上で前記第1のプレ−トを回転しなが
ら前記段凹部上を前記転動体が通過する際に前記転動体
の姿勢を変化させるようにしたことを特徴とする固体潤
滑膜の製造方法。 - 【請求項2】 真空チャンバ−の中に設けた固体潤滑剤
からなるターゲットと、このターゲットに間隔を置いて
対向して設けた回転テーブルと、この回転テーブル上に
設置した治具と、この治具上の前記ターゲットに対向す
る位置に収納した複数の転動体とを備え、前記回転テー
ブルを回転しながら前記転動体にスパッタを行う固体潤
滑膜の製造装置において、 前記治具は、前記回転テ−ブルと対峙した位置に同軸状
態で配設されると共に前記転動体を収納するような複数
の貫通した穴部を有する第1のプレートと、前記第1の
プレートと前記回転テーブルとの間に独立して設けられ
ると共に前記穴部と対向して少なくともその表面の一部
に段凹部を形成した第2のプレートと、前記第2のプレ
ートを前記真空チャンバ−に固定する固定バ−とを備
え、前記固定された第2のプレ−ト上で前記第1のプレ
−トを回転しながら前記段凹部上で前記穴部に収納され
た前記転動体の姿勢を変化させるものであることを特徴
とする固体潤滑膜の製造装置。 - 【請求項3】 前記段凹部は、一方の端部が前記第2の
プレ−トの表面に垂直な面で形成された段付の壁部と、
前記第1のプレ−トの回転方向に沿う前記壁 部の前方側
に形成された傾斜面とで構成される請求項2記載の固体
潤滑膜の製造装置。 - 【請求項4】 前記段凹部は、前記第2のプレ−トの鉛
直方向から見た形状がY字状としてある請求項2または
請求項3記載の固体潤滑膜の製造装置。 - 【請求項5】 前記第1のプレートは、前記隣り合う複
数の穴部を互いに連通するように内側と外側のプレート
の二つに分離してある請求項2または請求項3に記載の
固体潤滑膜の製造装置。 - 【請求項6】 前記第1のプレートを前記回転テ−ブル
と同軸上に連結された太陽歯車とし、前記第2のプレー
トを内歯車とし、前記太陽歯車と前記内歯車との間に前
記転動体を収納する貫通した穴部を有する遊星歯車を設
けてある請求項2または請求項3に記載の固体潤滑膜の
製造装置。 - 【請求項7】 前記遊星歯車に設けた穴部の内壁を凹凸
状に形成してある請求項6に記載の固体潤滑膜の製造装
置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP31550196 | 1996-11-11 | ||
JP10275697A JP3456562B2 (ja) | 1996-11-11 | 1997-04-04 | 固体潤滑膜の製造方法およびその装置 |
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JPH10183343A JPH10183343A (ja) | 1998-07-14 |
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Family
ID=26443437
Family Applications (1)
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-
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- 1997-04-04 JP JP10275697A patent/JP3456562B2/ja not_active Expired - Lifetime
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