JP3456220B2 - ポリエチレン組成物 - Google Patents

ポリエチレン組成物

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JP3456220B2 JP11935993A JP11935993A JP3456220B2 JP 3456220 B2 JP3456220 B2 JP 3456220B2 JP 11935993 A JP11935993 A JP 11935993A JP 11935993 A JP11935993 A JP 11935993A JP 3456220 B2 JP3456220 B2 JP 3456220B2
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紘三 平田
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄肉パイプなどの押出
成形に用いるポリエチレン組成物であって、連続生産す
る工程で目ヤニ(ダイスのノズルの周囲に蓄積した着色
ヤニ状物をいう)、なみだ(ダイスのノズルの周囲に滑
剤の溶融物が固化した表面光沢を有する球形状の蓄積物
をいう)等の滞留物の発生をなくしたポリエチレン組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】チーグラー系触媒によって重合されたポ
リエチレンは、ルイス酸であるチーグラー系触媒を中和
するためにステアリン酸カルシウムのような脂肪酸塩が
添加される。この脂肪酸塩は中和剤として作用するだけ
でなく、ポリエチレンの溶融押出時の吐出量を大きくす
る作用も持っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ポリエチレンの溶融押
出を長時間続けると、ダイスのノズルの周囲にヤニ状物
質が少しずつ蓄積して着色する。この蓄積物は一般に目
ヤニ、なみだといわれており、目ヤニは樹脂の劣化によ
り低分子量化したもの及びなみだは滑剤が溶融したもの
である。これらの蓄積物はやがてダイスから離れて押し
出され、製品に混入するだけでなく、蓄積物の付着した
部分で押し出されるポリエチレンが切れやすくなるた
め、押出成形の作業性が低下する。
【0004】従って、本発明はかかる目ヤニ、なみだの
蓄積を抑制して、成形性を向上させたポリエチレン組成
物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、ポリエチレンのQ値を15〜25に狭くしたポリマ
ーとし、かつ塩基性12−ヒドロキシステアリン酸マグネ
シウムとステアリン酸亜鉛を特定の割合で該ポリエチレ
ンに添加したポリエチレン組成物が目ヤニ、なみだの発
生が著しく減少することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、Q値(分子量分散指数を表し、次
式:Q値=重量平均分子量/数平均分子量により求めら
れる。)が25以下、好ましくは15〜25のポリエチレン10
0重量部に対して塩基性12−ヒドロキシステアリン酸マ
グネシウムが0.01〜0.20重量部であり、かつステアリン
酸亜鉛が0.01〜0.20重量部であり、この両者の和が0.25
〜0.4重量部からなるポリエチレン組成物である。
【0006】本発明で用いるポリエチレンは、エチレン
の単独重合体、エチレン成分を50重量%以上含有するエ
チレン−α−オレフィン共重合体をあげることができ、
エチレンと共重合可能なα−オレフィンとしてはプロピ
レン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−
オクテン、1−デセンなどがあげられる。重合触媒は限
定されないが、一般にチーグラー系触媒が用いられる。
【0007】本発明で用いるポリエチレンは、Q値が25
以下、好ましくは15〜25である。Q値が25より大きい場
合は、低分子量成分が多くなり、目ヤニの発生を多くす
る原因となるので好ましくない。本発明組成物は、Q値
が25以下のポリエチレン100重量部に対して、塩基性12
−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム0.01〜0.20重量
部とステアリン酸亜鉛0.01〜0.20重量部とを含む。塩基
性12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム及び/又は
ステアリン酸亜鉛が無添加の場合は、ポリエチレンのQ
値が25以下であっても目ヤニが発生する。また、塩基性
12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム及びステアリ
ン酸亜鉛の和が0.40重量部を越えるとなみだが発生して
好ましくない。更に塩基性12−ヒドロキシステアリン酸
マグネシウム又は、ステアリン酸亜鉛の一方が0.20重量
部を越えると、なみだが発生するので好ましくない。最
も適した添加量は、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸
マグネシウムが0.03〜0.15重量部でかつステアリン酸亜
鉛が0.05〜0.15重量部であり、Q値が15〜25の高密度ポ
リエチレン100 重量部に対して塩基性12−ヒドロキシス
テアリン酸マグネシウムとステアリン酸亜鉛の添加量の
和が0.25〜0.40重量部の範囲のものが目ヤニ及びなみだ
が発生しない最適の範囲である。塩基性12−ヒドロキシ
ステアリン酸マグネシウムとステアリン酸亜鉛の添加量
の和が0.25重量部未満ではポリエチレンの押出成形時の
吐出量が少なかったり、目ヤニが減少せず、あるいはチ
ーグラー系触媒の中和が不完全になる。また、0.40重量
部を越えると、滑剤の添加量が過多になり、ポリエチレ
ンの溶融押出時にダイスのノズルの周囲になみだが発生
して好ましくない。
【0008】
【作用】目ヤニの成分は低分子量のポリエチレンとカル
シウム化合物が比較的多い。カルシウム化合物としては
脂肪酸カルシウムが特に多いわけではなく、チーグラー
触媒を中和して生成した塩化カルシウムが多い。即ち、
低分子量のポリエチレンと塩化カルシウムが相乗的に目
ヤニとなみだの発生現象を起こしているものと思われ
る。本発明では、Q値を小さくして、低分子量成分をな
くすとともに、特定の脂肪酸アルカリ金属塩の組み合わ
せにより、該塩化カルシウムの分散性を向上させ、ノズ
ル周囲における蓄積を減少させるものと考えられる。
【0009】
【発明の効果】本発明のポリエチレン組成物は押出成形
時に目ヤニやなみだの発生が少なく、成形性に優れてい
る。
【0010】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定され
るものではない。目ヤニ発生の判定方法としては、東芝
TEM35Bの二軸押出機をテスト機として使用した。
尚、押出条件は次の通りである。 押出機:東芝TEM35B(二軸押出機) L/D=31.9 設定温度:C1/200, C2〜C3/210, C4/220, C5/210, H/210(℃) スクリュウ回転数:200 r.p.m. 吐出量:10kg/時 樹脂温度:250〜260 ℃ 樹脂圧力:17〜20kg/cm2 目ヤニ判定:スタート時、1時間後、2時間後に目ヤニ
発生の有無を判定する。
【0011】実施例1 Q値25のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.15重量部とステアリン酸
亜鉛0.10重量部を、ヘンシェルミキサーで混合したの
ち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテストを
実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニの発
生と蓄積状態を観察したが、スタート時、1時間後、2
時間後に目ヤニの発生は認められず、目ヤニ防止の効果
は大であった。
【0012】実施例2 Q値20のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.15重量部とステアリン酸
亜鉛0.15重量部を、ヘンシェルミキサーで混合したの
ち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテストを
実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニの発
生と蓄積状態を観察したが、スタート時、1時間後、2
時間後に目ヤニの発生は認められず、目ヤニ防止の効果
は大であった。
【0013】実施例3 Q値15のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.20重量部とステアリン酸
亜鉛0.20重量部を、ヘンシェルミキサーで混合したの
ち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテストを
実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニの発
生と蓄積状態を観察したが、スタート時、1時間後、2
時間後に目ヤニの発生は認められず、目ヤニ防止の効果
は大であった。
【0014】比較例1 Q値28のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.15重量部とステアリン酸
亜鉛0.10重量部を、ヘンシェルミキサーで混合したの
ち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテストを
実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニの発
生と蓄積状態を観察したが、スタートして30分後に目ヤ
ニが発生して、徐々に発達して蓄積されて行った。塩基
性12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムおよびステ
アリン酸亜鉛(以下、総称して滑剤という)の和が0.25
重量部であってもQ値が28と大きいと目ヤニが発生する
ことが判った。
【0015】比較例2 Q値30のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.22重量部とステアリン酸
亜鉛0.22重量部を、ヘンシェルミキサーで混合したの
ち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテストを
実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニの発
生と蓄積状態を観察したが、滑剤の和が0.44重量部と大
きいため、スタート直後にダイス部分より過剰の滑剤が
溶出したため実験を中止した。
【0016】比較例3 Q値26のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.22重量部とステアリン酸
亜鉛0.21重量部を、ヘンシェルミキサーで混合したの
ち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテストを
実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニの発
生と蓄積状態を観察したが、滑剤の和が0.43重量部と大
きいため、スタート直後に、ダイス部分より過剰の滑剤
が溶出したので実験を中止した。
【0017】比較例4 Q値28のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.21重量部とステアリン酸
亜鉛0.21重量部を、ヘンシェルミキサーで混合したの
ち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテストを
実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニの発
生と蓄積状態を観察したが、滑剤の和が0.42重量部と大
きいため、スタート直後に、ダイス部分より過剰の滑剤
が溶出したので実験を中止した。
【0018】比較例5 Q値28のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.21重量部とステアリン酸
亜鉛0.20重量部を、ヘンシェルミキサーで混合したの
ち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテストを
実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニの発
生と蓄積状態を観察したが、滑剤の和が0.41重量部と大
きいため、スタートして30分後にダイス部分より過剰の
滑剤が溶出した。
【0019】比較例6 Q値28のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.15重量部とステアリン酸
亜鉛0.15重量部を加えて滑剤の和が0.30重量部のもの
を、ヘンシェルミキサーで混合したのち、東芝TEM35
Bのテスト機で目ヤニ発生のテストを実施し、スタート
時、1時間後、2時間後の目ヤニの発生と蓄積状態を観
察した。スタートして30分後に目ヤニが発生した。滑剤
の和は0.30重量部であったが、Q値が28と大きいために
目ヤニが発生した。
【0020】比較例7 Q値28のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.15重量部とステアリン酸
亜鉛0.14重量部を、ヘンシェルミキサーで混合したの
ち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテストを
実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニの発
生と蓄積状態を観察したが、スタートして30分後に、目
ヤニが発生した。滑剤の和は0.29重量部であったが、Q
値が28と大きいために目ヤニが発生した。
【0021】比較例8 Q値28のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.15重量部とステアリン酸
亜鉛0.10重量部を、ヘンシェルミキサーで混合したの
ち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテストを
実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニの発
生と蓄積状態を観察したが、スタートして30分後に、目
ヤニが発生した。滑剤の和は0.25重量部であったが、Q
値が28と大きいために目ヤニが発生した。
【0022】比較例9 Q値20のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.22重量部とステアリン酸
亜鉛0.22重量部を加えて、ヘンシェルミキサーで混合し
たのち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテス
トを実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニ
の発生と蓄積状態を観察したが、滑剤の和が0.44重量部
と大きいため、スタートして30分後にダイス部分より過
剰の滑剤が溶出した。
【0023】比較例10 Q値20のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.21重量部とステアリン酸
亜鉛0.20重量部を加えて、ヘンシェルミキサーで混合し
たのち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテス
トを実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニ
の発生と蓄積状態を観察したが、滑剤の和が0.41重量部
と大きいため、スタートして30分後にダイス部分より過
剰の滑剤が溶出した。
【0024】比較例11 Q値20のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.12重量部とステアリン酸
亜鉛0.12重量部を加えて、ヘンシェルミキサーで混合し
たのち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテス
トを実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニ
の発生と蓄積状態を観察したが、スタートして30分後に
ダイス部分に目ヤニが発生した。
【0025】比較例12 Q値20のポリエチレン100 重量部に塩基性12−ヒドロキ
システアリン酸マグネシウム0.11重量部とステアリン酸
亜鉛0.11重量部を加えて、ヘンシェルミキサーで混合し
たのち、東芝TEM35Bのテスト機で目ヤニ発生のテス
トを実施し、スタート時、1時間後、2時間後の目ヤニ
の発生、蓄積状態を観察したが、スタートして30分後に
ダイス部分に目ヤニが発生した。
【0026】実施例および比較例の結果を以下の表にま
とめて示す。
【0027】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/04 - 23/08 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Q値(分子量分散指数を表し、次式:Q
    値=重量平均分子量/数平均分子量により求められ
    る。)が25以下のポリエチレン100 重量部に対して塩基
    性12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム0.01〜0.20
    重量部とステアリン酸亜鉛0.01〜0.20重量部からなり、
    かつ塩基性12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムと
    ステアリン酸亜鉛の和が0.25〜0.40重量部であるポリエ
    チレン組成物。
  2. 【請求項2】 Q値が15〜25のポリエチレンを用いる請
    求項1記載のポリエチレン組成物。
JP11935993A 1993-04-23 1993-04-23 ポリエチレン組成物 Expired - Lifetime JP3456220B2 (ja)

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