JP3453968B2 - 差動型半導体薄膜磁気抵抗素子 - Google Patents

差動型半導体薄膜磁気抵抗素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転、変位などの
検出に用いられる半導体薄膜磁気抵抗素子、特に同一S
i基板上に直接形成された高電子移動度を有する半導体
薄膜上に多数の短絡電極を形成した二つの半導体薄膜磁
気抵抗素子列で構成される差動型半導体薄膜磁気抵抗素
子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、回転センサとしては、光学式、
磁気式を初め、種々の方式がある。この中で、特に汚
れ、塵埃など雰囲気の影響を受ける用途においては、そ
うした影響を比較的受けにくい磁気方式が最も有利であ
る。
【0003】一方、この磁気方式においても、電磁ピッ
クアップ、ホール素子、磁気抵抗素子など、種々の方式
がある。
【0004】近年、自動車の電子制御化に伴い、各種セ
ンサ素子が装着される中で、回転センサ、特にギヤセン
サとしてホール素子(ホールIC)、強磁性薄膜磁気抵
抗素子、半導体磁気抵抗素子を用いた回転センサが零速
度検知の点から各所で検討されているが、自動車用回転
センサとして用いる際、素子の動作温度範囲が−40〜
+150℃を満足しなければならない。
【0005】ところが、そうした温度耐久性を有するホ
ール素子、ホールIC、強磁性薄膜磁気抵抗素子は、い
ずれも検知素子自体の検出出力が小さく、被検出体との
間に十分なエアギャップを確保することが難しく、ギヤ
センサとして使いにくいという問題があった。
【0006】一方、半導体磁気抵抗素子は、元々検出出
力が大きく被検出体とのエアギャップを広く取れるた
め、最もギヤセンサとして適しているものと考えられる
が、現状で最も特性の優れた半導体磁気抵抗素子である
InSb磁気抵抗素子では、その動作温度範囲は、−4
0〜+120℃程度で、上記の自動車用回転センサとし
て必ずしも温度耐久性面で十分なものではなかった。
【0007】この現状多用されているInSb磁気抵抗
素子は、InSbバルク単結晶薄片化型のものが多い。
なぜなら、この素子の検出出力が、素体であるInSb
の電子移動度に比例するため、従って、その結晶性に大
きく影響されるためである。一方、この型の素子は、単
結晶ウエハを接着層を介して基板上に接着し、次いで無
歪み研磨にて十μm内外の厚みにまで研磨したものを用
いるため、結果的に接着層〜InSb層間の膨張係数差
により、低温〜高温のヒートショックに弱いという欠点
を有していた。
【0008】これに対して、特開平5−147422号
公報などに述べられているようにSiウエハ基板上に直
接これを種基板としてヘテロエピタキシャル成長させた
InSb薄膜を有する半導体薄膜磁気抵抗素子は上記温
度耐久性に優れると共に、単結晶型に比肩する感度を有
するという点で有用である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように上記InS
bエピタキシャル成長薄膜をSiウエハ構成を用いるこ
とで優れた特性を有する半導体薄膜磁気抵抗素子を実現
することができるのであるが、ここで、一つの大きな課
題を有する。それは、Siウエハが半導体であり、基板
として絶縁性ではないことであり、これにより、具体的
には、実用的に用いる同一構造を有する左右の半導体薄
膜磁気抵抗素子列を中点を介して接続した差動型素子を
同一基板上に形成したものにおいて、二つの素子列間の
電気的なクロストーク(基板に電流が流れること)によ
り、中点電位の温度特性が必ずしも良好でないことであ
り、特に零速度検知に対して大きな課題を有していた。
【0010】本発明は、こうした優れた出力感度特性と
高温耐久性を有するInSbエピタキシャル成長薄膜を
Siウエハ基板上に直接形成した構成を有する差動型半
導体薄膜磁気抵抗素子において、左右の磁気抵抗素子列
間の電気的クロストークを低減し、良好な中点電圧の温
度特性を実現する差動型半導体薄膜磁気抵抗素子を提供
することを主たる目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の差動型半導体薄膜磁気抵抗素子は、同一S
i基板上に直接エピタキシャル成長させた高電子移動度
を有する半導体薄膜、具体的には、InSb薄膜上に多
数の短絡電極を形成した二つの半導体薄膜磁気抵抗素子
列で構成される差動型半導体薄膜磁気抵抗素子におい
て、当該Si基板について次のものを用いることを特徴
とするものである。
【0012】(1)該Si基板の比抵抗が1kΩ・cm
以上であり、且つ厚さが100μm以下のものを用い
る。
【0013】(2)該Si基板が、その基板内部に埋め
込まれた基板面に平行なSi酸化物層を有するものを用
いる。
【0014】(3)該Si基板が、その基板内部に基板
に平行な上層と下層とのPN接合部を有し、前記上層
にしか電流が流れないものを用いる。
【0015】(4)該Si基板が、その基板内部に基板
面と平行にPN接合部を有すると共に、半導体薄膜が直
接接するSi基板部の伝導型と異なる極性の埋め込み層
を該二つの半導体薄膜磁気抵抗素子列間を分離するよう
に基板面と垂直方向に形成されたものを用いる。
【0016】(5)該Si基板が該二つの半導体薄膜磁
気抵抗素子列間を分離するように基板の厚み方向に形成
された溝を有するものを用いる。
【0017】(6)同一Si基板の上に直接InSb薄
膜をエピタキシャル成長させ、前記 InSb薄膜上に多
数の短絡電極を形成した二つの半導体薄膜磁気抵抗素子
を形成した後、当該二つの半導体薄膜磁気抵抗素子列
の間を分割し隙間を隔てて、両者を外部端子で接続した
ものを用いる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、同一Si基板の上に直接形成されたInSb薄膜上
に多数の短絡電極を形成した二つの半導体薄膜磁気抵抗
素子列で構成される差動型半導体薄膜磁気抵抗素子であ
って、当該Si基板の比抵抗が1kΩ・cm以上であ
り、且つ厚さが100μm以下であることを特徴とする
差動型半導体薄膜磁気抵抗素子である。
【0019】本発明の請求項2に記載の発明は、当該S
i基板が、基板内部に埋め込まれた基板面に平行なSi
酸化物層を有することを特徴とする請求項1記載の差動
型半導体薄膜磁気抵抗素子である。
【0020】本発明の請求項3に記載の発明は、当該S
i基板がその基板内部に基板面に平行な上層と下層との
PN接合部を有し、前記上層にしか電流が流れないこと
を特徴とする請求項1記載の差動型半導体薄膜磁気抵抗
素子である。
【0021】本発明の請求項4に記載の発明は、同一S
i基板の上に直接形成されたInSb薄膜上に多数の短
絡電極を形成した二つの半導体薄膜磁気抵抗素子列で構
成される差動型半導体薄膜磁気抵抗素子であって、当該
Si基板がその基板内部に基板面と平行にPN接合部を
有すると共に、当該半導体薄膜が直接接するSi基板部
の伝導型と異なる極性の埋め込み層を前記二つの半導体
薄膜磁気抵抗素子列間を分離するように基板面と垂直方
向に形成したことを特徴とする差動型半導体薄膜磁気抵
抗素子である。
【0022】本発明の請求項に記載の発明は、同一S
i基板の上に直接形成されたInSb薄膜上に多数の短
絡電極を形成した二つの半導体薄膜磁気抵抗素子列で構
成される差動型半導体薄膜磁気抵抗素子であって、当該
Si基板が該二つの半導体薄膜磁気抵抗素子列間を分離
するように基板の厚み方向に形成された溝を有すること
を特徴とする差動型半導体薄膜磁気抵抗素子である。
【0023】本発明の請求項に記載の発明は、同一S
i基板の上に直接InSb薄膜をエピタキシャル成長さ
せ、前記InSb薄膜上に多数の短絡電極を形成した二
つの半導体薄膜磁気抵抗素子列を形成した後、当該二つ
の半導体薄膜磁気抵抗素子列の間を分割し隙間を隔て
て、両者を外部端子で接続した差動型半導体薄膜磁気抵
抗素子である。
【0024】請求項1,2,5に記載の発明のいずれに
おいても、寄生するSi基板のシート抵抗を等価的に大
きくすることができ、これにより、基板に流れる電流を
抑えることができる。また、請求項3,4に記載の発明
では、接合の逆バイアス効果によって、左右の半導体薄
膜磁気抵抗素子列の間に流れる電流を抑えることができ
る。更に、請求項に記載の発明では、左右の半導体薄
膜磁気抵抗素子列の間に全く基板を通して電流が流れる
ことはない。
【0025】これら、いずれにおいても、Si基板に存
在する寄生抵抗、言い換えれば、導電性を抑え、これに
より、左右の半導体薄膜磁気抵抗素子列間に流れる電流
を抑えることができ、従って、電気的なクロストークを
低減し、良好な中点電圧の温度特性を有し、優れた出力
感度特性と高温耐久性を有する差動型半導体薄膜磁気抵
抗素子を実現することができる。
【0026】(実施の形態1) 図1は、本発明の第1の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子の斜視図を示す。
【0027】同図は、同一単結晶Si基板1の上に直接
形成された高電子移動度を有する半導体薄膜、具体的に
は、InSb薄膜2の上に多数の短絡電極3を形成した
二つの半導体薄膜磁気抵抗素子列4,5で構成される差
動型半導体薄膜磁気抵抗素子6を示す。この素子の基本
的構成としては、取り出し電極7〜10において、取り
出し電極7,10が入力電圧端子であり、7がグランド
端子、10がVin端子である。取り出し電極8,9は共
通中点端子であり、外部で共通接続し、出力端子(中点
端子)とする。ここでは、この際の出力端子(中点端
子)の挙動、即ち、中点電圧の温度特性を考慮の対象と
している。
【0028】上述した構成において、Si基板1の比抵
抗を100Ω・cm、基板厚を500μmとした際、室
温において、シート抵抗として見積もると、2kΩ/□
程度である。一方、InSb薄膜2については、Si基
板1上に高配向でエピタキシャル成長した良好な結晶性
を有するものを用いると、室温での比抵抗は約6mΩ・
cm、膜厚は磁気特性に影響を与える電子移動度が飽和
する3μmは必要であり、その程度とすると、そのシー
ト抵抗は、20Ω/□程度である。従って、室温におけ
るSi基板1とInSb薄膜2のシート抵抗の比は、1
00倍程度である。図2にSi基板1のシート抵抗と、
InSb薄膜2のそれの温度依存性を示すが、同図で明
らかなように、InSb薄膜とSi基板のシート抵抗の
温度依存性は、異なった傾向を示し、−20℃におい
て、最も、シート抵抗の比が接近し、上記の例の場合で
は、50倍程度にまで接近する。この程度になってくる
と、InSb薄膜磁気抵抗素子の抵抗値に対して、Si
基板の寄生抵抗が無視できなくなる。これにより、半導
体薄膜磁気抵抗素子列4,5の間でクロストークが生
じ、結果的に、図3に示すように中点電圧の温度特性が
−20℃付近で大きくずれる現象を招く。
【0029】これに対して、Si基板1の比抵抗を1k
Ω・cm以上とし、さらにその厚さを100μm以下に
することで、室温におけるSi基板1のシート抵抗は1
00kΩ/□以上となる。この場合、InSb薄膜2と
の比は、室温で5000倍以上とれ、−20℃付近で
も、2500倍程度で、クロストークを回避するに十分
なシート抵抗比と言える。この様子を前述した図3に示
している。−20℃におけるずれが、小さく収まってい
る。同図で明らかなように、Si基板の比抵抗が大きい
程、厚さが薄い程、この現象は、小さくなる。実用上、
この中点電圧の温度変動は、出力電圧の1割以下である
ことが、この半導体薄膜磁気抵抗素子を回路駆動する
際、回路処理の簡略化の点で望まれる。このため、例え
ば、5V電圧印加時、出力電圧が実用的には、200m
VP-P程度とれるが、この際、20mV以下の中点電圧
の温度変動に納めることが必要であり、図3より、本実
施形態のSi基板、即ち比抵抗1kΩ・cm以上、厚さ
100μm以下のものを用いることで、中点電圧の温度
変動を小さくすることができる。尚、この際、Si基板
1の伝導型は不問である。
【0030】(実施の形態2) 図4は、本発明の第2の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子の斜視図を示す。
【0031】差動型半導体薄膜磁気抵抗素子6自体の構
成は、実施の形態1の場合と同一であるため、ここで
は、Si基板1の構成のみに言及するものとする。同図
に示すようにSi基板1は、基板面11に平行にSi基
板内に埋め込まれた酸化物層12を有する。この酸化物
層12についてはよく知られているように、Si基板へ
の酸素の高濃度ドーピング技術等によって形成される。
Si基板表面13から、数μm程度の部分に酸化物層1
2を形成するため、例えば、元々のSi基板1の比抵抗
を実施の形態1と同様に1kΩ・cm以上とすれば、室
温におけるシート抵抗は少なくとも106〜107Ω/□
はあり、InSb薄膜2の比抵抗との比は4桁〜5桁あ
り、ほぼ完全に、中点電圧の温度変動ばらつきを回避で
きる。この構成の場合は、Si基板1の元々の比抵抗が
100Ω・cm程度であっても、中点電圧の温度変動ば
らつきを抑えるに十分である。さらに、上記酸化物層1
2は可能な限りSi基板表面13から浅い所に設けられ
た方が好ましく、またSi基板1の比抵抗も大きい程好
ましい。酸化物層12を浅い位置に設けられる程、Si
基板1の比抵抗は小さくしても良い。尚、この場合もS
i基板1の伝導型は不問である。
【0032】(実施の形態3) 図5は、本発明の第3の実施形態の差動型薄膜磁気抵抗
素子の斜視図を示す。
【0033】ここでは、上記と同様、Si基板1の構成
のみに言及するものとする。同図に示すように、Si基
板1は、基板面に平行な上層14がP型、下層15がN
型のPN接合部16を基板内に有する。上層14がN
型、下層15がP型であっても良い。更に、上層14
は、この領域から、下層15にキャリアがトンネル伝導
を起こさない範囲において、できるだけ薄い方が好まし
い。
【0034】このSi基板1の構成を有する差動型半導
体薄膜磁気抵抗素子6を用いると、例えば、電子がSi
基板面を流れる場合、上層14がP型、下層15がN型
の場合、上層14のP型領域を電子が流れ、PN接合部
16を通し下層15のN型領域に流れ込むことは順方向
特性であるため容易であるが、この後、下層15のN型
領域から、PN接合部16を通し上層14のP型領域に
流れ込むことは、逆方向特性のため困難であり、結果的
に、電流は、上層14にしか流れないこととなる。上層
14がN型、下層15がP型の場合でも、PN接合部1
6での電流の流れは、基本的に必ず、逆接合の部分を通
ることとなり、結果的に、上層14にしか電流は流れな
い。従って、InSb薄膜2が接するSi基板1の上層
14のシート抵抗が問題となる。この上層14のシート
抵抗とInSb薄膜2のシート抵抗の比が実施形態1と
同様、室温で5000倍以上となり、実用上十分な中点
電圧の温度特性となる。
【0035】(実施の形態4) 図6は、本発明の第4の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子の斜視図を示す。
【0036】同図に示すように、Si基板1は、その基
板内部に基板面と平行な上層17がP型、下層18がN
型のPN接合部19を有する。上層17がN型、下層1
8がP型であっても良い。更に、二つの半導体薄膜磁気
抵抗素子列4,5で構成される差動型半導体薄膜磁気抵
抗素子6が直接接触するSi基板1の上層17の伝導型
と異なる伝導型、即ち本実施形態では、上層17がP型
であるため、N型の埋め込み層20を該二つの半導体薄
膜磁気抵抗素子列4,5間を分離するように基板面と垂
直な方向に形成している。上層17がN型の場合には、
埋め込み層20がP型となる。この際、埋め込み層20
は、下層18に貫通している方が好ましく、上層17
は、この領域からキャリアがトンネル伝導を起こさない
範囲で、できるだけ薄い方が好ましい。
【0037】このSi基板1の構成を有する差動型半導
体薄膜磁気抵抗素子6を用いると、半導体薄膜磁気抵抗
素子列4から5へのキャリアの流れに対して、埋め込み
層20及びPN接合部19により、必ず、逆接合状態が
生じ、キャリアの流れを遮断する。従って、半導体薄膜
磁気抵抗素子列4,5間に電流は流れず、これにより、
良好な中点電圧の温度特性を得ることができる。
【0038】(実施の形態5) 図7は、本発明の第5の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子の斜視図を示す。
【0039】同図に示すように、Si基板1の、半導体
薄膜磁気抵抗素子列4,5部分をレジストマスクで覆
い、例えば、イオン注入法を用いて、酸素もしくは、窒
素をドーピングし、半導体薄膜磁気抵抗素子列4,5を
形成していない領域21を酸化もしくは窒化して、高抵
抗化する。半導体薄膜磁気抵抗素子列4,5形成前の生
のSi基板の半導体薄膜磁気抵抗素子列4,5を形成し
ない領域にイオン注入法などを用いて、酸素もしくは、
窒素をドーピングしても良い。この際、この酸化もしく
は窒化した領域21は、基板深くまで酸化もしくは窒化
された方が好ましい。更に、元々のSi基板1の比抵抗
ができるだけ高いもの、基板厚ができるだけ薄いものを
用いる。このようなSi基板1を用いると、電流の流れ
る基板領域22が狭くなり、結果的に半導体薄膜磁気抵
抗素子列4,5間に電流が流れにくくなり、クロストー
クを低減することができ、中点電圧の温度特性を改善す
ることができる。
【0040】(実施の形態6) 図8は、本発明の第6の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子の斜視図を示す。
【0041】同図に示すように、Si基板1の半導体薄
膜磁気抵抗素子列4,5部分をレジストマスクで覆い、
化成液に浸漬し、化成電流を流すことで、半導体薄膜磁
気抵抗素子列4,5を形成していないSi基板1の領域
23を陽極酸化する。この際レジストマスクを少なくと
も半導体薄膜磁気抵抗素子列4,5の形成幅よりやや広
めに覆う必要がある。こうしない場合は、半導体薄膜磁
気抵抗素子列4,5の側壁が露出するため、陽極酸化時
に酸化腐食が生じる。この場合も、実施の形態5の場合
と同様、陽極酸化膜厚が厚い程好ましく、Si基板1の
比抵抗ができるだけ大きく、基板厚ができるだけ薄い方
が好ましい。このようなSi基板1を用いると、実施の
形態5と同じ理由により、クロストークを低減すること
ができ、中点電圧の温度特性を改善することができる。
【0042】(実施の形態7) 図9は、本発明の第7の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子の斜視図を示す。
【0043】同図に示すように、Si基板1の、半導体
薄膜磁気抵抗素子列4,5部分をレジストマスクで覆
い、酸素プラズマもしくは窒素プラズマを用いて、半導
体薄膜磁気抵抗素子列4,5を形成していない領域24
の表面を酸化もしくは窒化して高抵抗化する。この際、
この酸化もしくは窒化した領域24は、基板深くまで酸
化もしくは窒化された方が好ましい。更に、元々のSi
基板1の比抵抗ができるだけ高いもの、基板厚ができる
だけ薄いものを用いる。このようなSi基板1を用いる
と、電流の流れる基板領域22が狭くなり、結果的に半
導体薄膜磁気抵抗素子列4,5間に電流が流れにくくな
り、クロストークを低減することができ、中点電圧の温
度特性を改善することができる。
【0044】(実施の形態8) 図10は、本発明の第8の実施形態の差動型半導体薄膜
磁気抵抗素子の斜視図を示す。
【0045】同図に示すように、Si基板1の半導体薄
膜磁気抵抗素子列4,5を分離するように基板の厚み方
向に形成された溝25を有するものを用いる。この分離
溝25は、ダイシングブレードでハーフカットするなど
して容易に形成することができる。この溝25は、もち
ろん半導体薄膜磁気抵抗素子4,5の間に複数個設けて
も良い。更に、彫り込み深さが深い程、また、Si基板
1の比抵抗が大きい程、基板厚が薄い程、好ましい。こ
のようにすることで、半導体薄膜磁気抵抗素子4,5の
間をSi基板1の内部を通して流れる電流を抑え込むこ
とができる。これは、無論、等価的にSi基板の抵抗を
上げることになるからである。これによっても、中点電
圧の温度特性を改善することが可能である。
【0046】(実施の形態9) 図11は、本発明の第9の実施形態の差動型半導体薄膜
磁気抵抗素子の斜視図を示す。
【0047】同図に示すように、同一Si基板1の上に
形成した半導体薄膜磁気抵抗素子列4,5を形成した
後、該半導体薄膜磁気抵抗素子列4,5をその間をダイ
シングなどの方法で分割し隙間26を隔てて両者を外部
端子で接続した構成を有する差動型半導体薄膜磁気抵抗
素子6である。この構成では、当然であるが、半導体薄
膜磁気抵抗素子列4,5でのSi基板を介しての電流の
流れを完全に絶つことができ、更に、Si基板1の比抵
抗、厚さに対しても、個々の半導体薄膜磁気抵抗素子列
4,5の抵抗に影響を与えない程度に比抵抗を前述した
実施形態などより小さくすることもでき、また、基板厚
も厚くすることができる。更にこの構成の場合、半導体
薄膜磁気抵抗素子列4,5の間の中心間距離27を任意
に設定でき、回転センサとして用いる場合など、被検知
ギヤロータの山谷ピッチに任意に低コストで合わせるこ
とができる。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、優れた出
力感度特性と高温耐久性を有するInSbエピタキシャ
ル成長薄膜をSiウエハ基板上に直接形成した構成を有
する差動型半導体薄膜磁気抵抗素子において、Si基板
の導電性に起因し基板に電流が流れることにより生じる
左右の半導体薄膜磁気抵抗素子列間の電気的クロストー
クを低減し、良好な中点電圧の温度特性を実現すること
ができ、産業上の利用価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子を示す斜視図
【図2】Si基板およびInSb薄膜のシート抵抗の温
度依存性を示す図
【図3】中点電圧の温度特性を説明するための図
【図4】本発明の第2の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子を示す斜視図
【図5】本発明の第3の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子を示す斜視図
【図6】本発明の第4の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子を示す斜視図
【図7】本発明の第5の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子を示す斜視図
【図8】本発明の第6の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子を示す斜視図
【図9】本発明の第7の実施形態の差動型半導体薄膜磁
気抵抗素子を示す斜視図
【図10】本発明の第8の実施形態の差動型半導体薄膜
磁気抵抗素子を示す斜視図
【図11】本発明の第9の実施形態の差動型半導体薄膜
磁気抵抗素子を示す斜視図
【符号の説明】 1 Si基板 2 InSb薄膜 3 短絡電極 4,5 半導体薄膜磁気抵抗素子列 6 差動型半導体薄膜磁気抵抗素子 7〜10 取り出し電極 12 酸化物層 14,17 上層 15,18 下層 16,19 PN接合部 20 埋め込み層 21 酸素もしくは窒素をドーピングした層 22 電流の流れる基板領域 23 陽極酸化領域 24 プラズマ酸化もしくは窒化領域 25 分離溝 26 分割隙間 27 中心間距離
フロントページの続き (72)発明者 谷川 秀之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 松浦 昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 大内 智 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−179289(JP,A) 特開 平7−249577(JP,A) 特開 平3−91273(JP,A) 特開 平2−234454(JP,A) 特開 昭59−208745(JP,A) 特開 平5−343320(JP,A) 特開 平5−66133(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 43/08 G01R 33/09

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一Si基板の上に直接形成されたIn
    Sb薄膜上に多数の短絡電極を形成した二つの半導体薄
    膜磁気抵抗素子列で構成される差動型半導体薄膜磁気抵
    抗素子であって、当該Si基板の比抵抗が1kΩ・cm
    以上であり、且つ厚さが100μm以下であることを特
    徴とする差動型半導体薄膜磁気抵抗素子。
  2. 【請求項2】該Si基板が、基板内部に埋め込まれ
    た基板面に平行なSi酸化物層を有することを特徴とす
    請求項1記載の差動型半導体薄膜磁気抵抗素子。
  3. 【請求項3】該Si基板がその基板内部に基板面
    平行な上層と下層とのPN接合部を有し、前記上層にし
    か電流が流れないことを特徴とする請求項1記載の差動
    型半導体薄膜磁気抵抗素子。
  4. 【請求項4】 同一Si基板の上に直接形成されたIn
    Sb薄膜上に多数の短絡電極を形成した二つの半導体薄
    膜磁気抵抗素子列で構成される差動型半導体薄膜磁気抵
    抗素子であって、当該Si基板がその基板内部に基板面
    と平行にPN接合部を有すると共に、当該半導体薄膜が
    直接接するSi基板部の伝導型と異なる極性の埋め込み
    層を前記二つの半導体薄膜磁気抵抗素子列間を分離する
    ように基板面と垂直方向に形成したことを特徴とする差
    動型半導体薄膜磁気抵抗素子。
  5. 【請求項5】 同一Si基板の上に直接形成されたIn
    Sb薄膜上に多数の短絡電極を形成した二つの半導体薄
    膜磁気抵抗素子列で構成される差動型半導体薄膜磁気抵
    抗素子であって、当該Si基板が該二つの半導体薄膜磁
    気抵抗素子列間を分離するように基板の厚み方向に形成
    された溝を有することを特徴とする差動型半導体薄膜磁
    気抵抗素子。
  6. 【請求項6】 同一Si基板の上に直接InSb薄膜を
    エピタキシャル成長させ、前記InSb薄膜上に多数の
    短絡電極を形成した二つの半導体薄膜磁気抵抗素子列
    形成した後、当該二つの半導体薄膜磁気抵抗素子列の間
    を分割し隙間を隔てて、両者を外部端子で接続した差動
    型半導体薄膜磁気抵抗素子。
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