JP3452867B2 - 荷電粒子分光器 - Google Patents
荷電粒子分光器Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子の入射角
度を制限することによって、簡単な構造で、しかも、強
い強度を保持したまま、高いエネルギー分解能を有する
静電偏向型荷電粒子分光器に関する。
度を制限することによって、簡単な構造で、しかも、強
い強度を保持したまま、高いエネルギー分解能を有する
静電偏向型荷電粒子分光器に関する。
【0002】
【従来の技術】静電偏向型荷電粒子分光器は現在、材料
開発の現場で元素分析、構造解析および状態分析のため
に広く使用されている。図3および図4は従来の静電偏
向型荷電粒子分光器の模式図を示す。図3は従来から広
く使用されいてる静電偏向半球型分光器であり、図4は
大門型分光器である。図3,4に、各番号で指定した部
分は次のことを意味する。1は分光器の入口スリット、
2は分光器の出口スリット、3は外側偏向電極、4は内
側偏向電極グリッド、5は荷電粒子の軌道、6はハイパ
ス・エネルギーフィルタとして使用する補正電極、7は
ローパス・エネルギーフィルタ用グリッド、8は内側偏
向電極、9,10は角度制限スリットである。図3に示
す分光器Aに関しては、小間篤他編「表面物性工学ハン
ドブック」(丸善)490.に開示され、図4に示す分
光器Bに関しては、Hiroshi Daimon,“Improvement of
the spherical mirror analyzer",Review of Scientifi
c Instruments,1990,61,1,57 に開示されている。
開発の現場で元素分析、構造解析および状態分析のため
に広く使用されている。図3および図4は従来の静電偏
向型荷電粒子分光器の模式図を示す。図3は従来から広
く使用されいてる静電偏向半球型分光器であり、図4は
大門型分光器である。図3,4に、各番号で指定した部
分は次のことを意味する。1は分光器の入口スリット、
2は分光器の出口スリット、3は外側偏向電極、4は内
側偏向電極グリッド、5は荷電粒子の軌道、6はハイパ
ス・エネルギーフィルタとして使用する補正電極、7は
ローパス・エネルギーフィルタ用グリッド、8は内側偏
向電極、9,10は角度制限スリットである。図3に示
す分光器Aに関しては、小間篤他編「表面物性工学ハン
ドブック」(丸善)490.に開示され、図4に示す分
光器Bに関しては、Hiroshi Daimon,“Improvement of
the spherical mirror analyzer",Review of Scientifi
c Instruments,1990,61,1,57 に開示されている。
【0003】図3,4に示した従来型の静電偏向半球型
分析器の共通点は、外側偏向電極3と内側偏向電極8も
しくは内側偏向電極グリッド4との間に電位差を与え、
電極間に形成される半球型の等電位ポテンシャル面によ
る電場を利用して荷電粒子のエネルギー分析を行う静電
偏向型荷電粒子分光器を構成している点にある。
分析器の共通点は、外側偏向電極3と内側偏向電極8も
しくは内側偏向電極グリッド4との間に電位差を与え、
電極間に形成される半球型の等電位ポテンシャル面によ
る電場を利用して荷電粒子のエネルギー分析を行う静電
偏向型荷電粒子分光器を構成している点にある。
【0004】一般に、明るい分光器を作製するために
は、広い入射角度(α)で入射した荷電粒子ビームの焦
点を2の出口スリット上に結ばせ、かつ異なるエネルギ
ーをもつビームの焦点位置を分離することが必要であ
る。前者に関連した入射角度の違いによる焦点の広がり
(ボケ)を角度収差と呼び、後者のエネルギーの違いに
よる焦点の広がり(ボケ)は色収差と呼んでいる。これ
らの言葉で表現すると、色収差が大きく、角度収差が小
さいほど高性能の分光器となる。図3の半球型分光器
は、色収差が大きく、エネルギー分解能の点で優れてい
る一方、角度収差も大きく、大きな立体角を集めること
ができないため、信号強度が弱い。従来の図3に示す分
光器の測定可能角度は入射方向から±2度程度である。
は、広い入射角度(α)で入射した荷電粒子ビームの焦
点を2の出口スリット上に結ばせ、かつ異なるエネルギ
ーをもつビームの焦点位置を分離することが必要であ
る。前者に関連した入射角度の違いによる焦点の広がり
(ボケ)を角度収差と呼び、後者のエネルギーの違いに
よる焦点の広がり(ボケ)は色収差と呼んでいる。これ
らの言葉で表現すると、色収差が大きく、角度収差が小
さいほど高性能の分光器となる。図3の半球型分光器
は、色収差が大きく、エネルギー分解能の点で優れてい
る一方、角度収差も大きく、大きな立体角を集めること
ができないため、信号強度が弱い。従来の図3に示す分
光器の測定可能角度は入射方向から±2度程度である。
【0005】一方、図4の分光器は、図3に示す分光器
と異なり、入口スリット1と出口スリット2が内外偏向
電極(3,4)間ではなく、内側偏向電極グリッド4の
更に内側にある。この分光器の特徴は角度収差が極端に
小さいが、色収差が分析器の入射角度αによって大きく
変化することである。例えば、図4で真上の方向に入射
したビームの色収差はゼロとなり、このままでは、エネ
ルギー分析できなくなる。大門寛氏は、これを補うため
に電極6の補正電極で、エネルギーの高い電子を排除し
(ハイパス・エネルギーフィルタ)、また電極7のロー
パス・エネルギーフィルタ用グリッドによってエネルギ
ーの低い電子を排除して(ローパス・エネルギーフィル
タ)、エネルギー分析したが、エネルギー分解能は0.
3eVとあまりよくない。図4に示す分析器を以後大門型
分光器と呼ぶことにする。
と異なり、入口スリット1と出口スリット2が内外偏向
電極(3,4)間ではなく、内側偏向電極グリッド4の
更に内側にある。この分光器の特徴は角度収差が極端に
小さいが、色収差が分析器の入射角度αによって大きく
変化することである。例えば、図4で真上の方向に入射
したビームの色収差はゼロとなり、このままでは、エネ
ルギー分析できなくなる。大門寛氏は、これを補うため
に電極6の補正電極で、エネルギーの高い電子を排除し
(ハイパス・エネルギーフィルタ)、また電極7のロー
パス・エネルギーフィルタ用グリッドによってエネルギ
ーの低い電子を排除して(ローパス・エネルギーフィル
タ)、エネルギー分析したが、エネルギー分解能は0.
3eVとあまりよくない。図4に示す分析器を以後大門型
分光器と呼ぶことにする。
【0006】図4の大門型分光器では、静電偏向の色収
差により、エネルギー分析するのではなく、電極6,7
のハイパス、ローパス型分析器によりエネルギー分析す
る。このため、エネルギー分解能(0.3eV)が、他の
分析器に比較して劣ることになる。
差により、エネルギー分析するのではなく、電極6,7
のハイパス、ローパス型分析器によりエネルギー分析す
る。このため、エネルギー分解能(0.3eV)が、他の
分析器に比較して劣ることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、半球
静電偏向型の大門型電子分光器の欠点を克服し、簡単な
構造で、しかも強い信号強度を保持したまま、高いエネ
ルギー分解能を有する静電偏向型荷電粒子分光器を提供
することにある。
静電偏向型の大門型電子分光器の欠点を克服し、簡単な
構造で、しかも強い信号強度を保持したまま、高いエネ
ルギー分解能を有する静電偏向型荷電粒子分光器を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために以下の構成を有する。即ち、半円球状の外
側偏向電極(3)と、半円球状の内側偏向電極グリッド
(4)と、前記内側偏向電極グリッド(4)の更に内側
に配置された入口スリット(1)及び出口スリット
(2)と、更に、前記内側偏向電極グリッド(4)と前
記入口スリット(1)との間に配置された第1の角度制
限スリット(9),前記内側偏向電極グリッド(4)と
前記出口スリット(2)との間に配置された第2の角度
制限スリット(10)の内、いずれか一方もしくは両方
を具備し、前記外側偏向電極(3)と前記内側偏向電極
グリッド(4)間に電位差を与える手段によって、前記
内側偏向電極グリッド(4)と前記外側偏向電極(3)
間に入射される荷電粒子を静電偏向させて前記出口スリ
ット(2)上に荷電粒子ビームの焦点を結ばせる静電偏
向型荷電粒子分光器において、前記入口スリット(1)
を通過する荷電粒子の入射角度(α)を前記第1,第2
の角度制限スリット(9,10)の内、いずれか一方も
しくは両方により入射方向より入射角度を±40度の範
囲に制限したことを特徴とする静電偏向型荷電粒子分光
器としての構成を有する。
成するために以下の構成を有する。即ち、半円球状の外
側偏向電極(3)と、半円球状の内側偏向電極グリッド
(4)と、前記内側偏向電極グリッド(4)の更に内側
に配置された入口スリット(1)及び出口スリット
(2)と、更に、前記内側偏向電極グリッド(4)と前
記入口スリット(1)との間に配置された第1の角度制
限スリット(9),前記内側偏向電極グリッド(4)と
前記出口スリット(2)との間に配置された第2の角度
制限スリット(10)の内、いずれか一方もしくは両方
を具備し、前記外側偏向電極(3)と前記内側偏向電極
グリッド(4)間に電位差を与える手段によって、前記
内側偏向電極グリッド(4)と前記外側偏向電極(3)
間に入射される荷電粒子を静電偏向させて前記出口スリ
ット(2)上に荷電粒子ビームの焦点を結ばせる静電偏
向型荷電粒子分光器において、前記入口スリット(1)
を通過する荷電粒子の入射角度(α)を前記第1,第2
の角度制限スリット(9,10)の内、いずれか一方も
しくは両方により入射方向より入射角度を±40度の範
囲に制限したことを特徴とする静電偏向型荷電粒子分光
器としての構成を有する。
【0009】或いはまた、半円球状外側偏向電極(3)
と、半円球状の内側偏向電極グリッド(4)と、前記内
側偏向電極グリッド(4)の更に内側に配置された入口
スリット(1)及び出口スリット(2)と、更に、前記
内側偏向電極グリッド(4)と前記入口スリット(1)
との間に配置された第1の角度制限スリット(9),前
記内側偏向電極グリッド(4)と前記出口スリット
(2)との間に配置された第2の角度制限スリット(1
0)の内、いずれか一方もしくは両方を具備し、前記外
側偏向電極(3)と前記内側偏向電極グリッド(4)間
に電位差を与える手段によって、前記内側偏向電極グリ
ッド(4)と前記外側偏向電極(3)間に入射される荷
電粒子を静電偏向させて前記出口スリット(2)上に荷
電粒子ビームの焦点を結ばせる静電偏向型荷電粒子分光
器であって、荷電粒子を入射する前記入口スリット
(1)と、前記入口スリット(1)を通過した荷電粒子
の入射方向を変えず偏向電場に導くための前記内側偏向
電極グリッド(4)と、前記内側偏向電極グリッド
(4)を通過した荷電粒子を偏向させる前記外側偏向電
極(3)と、前記電位差を与える手段によって、前記内
側偏向電極グリッド(4)と前記外側偏向電極(3)の
間に形成された等電位ポテンシャルと、前記等電位ポテ
ンシャルによって静電偏向された荷電粒子を再び制御す
る前記内側偏向電極グリッド(4)と、前記内側偏向電
極グリッド(4)を再び通過した荷電粒子を出射する出
口スリット(2)とから構成され、前記入口スリット
(1)を通過する荷電粒子の入射角度(α)を前記第
1,第2の角度制限スリット(9,10)の内、いずれ
か一方もしくは両方により入射方向より入射角度を±4
0度の範囲に制限したことを特徴とする静電偏向型荷電
粒子分光器としての構成を有する。
と、半円球状の内側偏向電極グリッド(4)と、前記内
側偏向電極グリッド(4)の更に内側に配置された入口
スリット(1)及び出口スリット(2)と、更に、前記
内側偏向電極グリッド(4)と前記入口スリット(1)
との間に配置された第1の角度制限スリット(9),前
記内側偏向電極グリッド(4)と前記出口スリット
(2)との間に配置された第2の角度制限スリット(1
0)の内、いずれか一方もしくは両方を具備し、前記外
側偏向電極(3)と前記内側偏向電極グリッド(4)間
に電位差を与える手段によって、前記内側偏向電極グリ
ッド(4)と前記外側偏向電極(3)間に入射される荷
電粒子を静電偏向させて前記出口スリット(2)上に荷
電粒子ビームの焦点を結ばせる静電偏向型荷電粒子分光
器であって、荷電粒子を入射する前記入口スリット
(1)と、前記入口スリット(1)を通過した荷電粒子
の入射方向を変えず偏向電場に導くための前記内側偏向
電極グリッド(4)と、前記内側偏向電極グリッド
(4)を通過した荷電粒子を偏向させる前記外側偏向電
極(3)と、前記電位差を与える手段によって、前記内
側偏向電極グリッド(4)と前記外側偏向電極(3)の
間に形成された等電位ポテンシャルと、前記等電位ポテ
ンシャルによって静電偏向された荷電粒子を再び制御す
る前記内側偏向電極グリッド(4)と、前記内側偏向電
極グリッド(4)を再び通過した荷電粒子を出射する出
口スリット(2)とから構成され、前記入口スリット
(1)を通過する荷電粒子の入射角度(α)を前記第
1,第2の角度制限スリット(9,10)の内、いずれ
か一方もしくは両方により入射方向より入射角度を±4
0度の範囲に制限したことを特徴とする静電偏向型荷電
粒子分光器としての構成を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施例としての静
電偏向型荷電粒子分光器の模式図を示す。図1におい
て、1は分光器の入口スリット、2は分光器の出口スリ
ット、3は外側偏向電極、4は内側偏向電極グリッド、
5は荷電粒子の軌道、αは入射角度を示す。図1の静電
偏向型荷電粒子分光器は外側偏向電極3と内側偏向電極
グリッド4との間に電位差を与え、電極間に形成される
等電位ポテンシャル面による電場を利用して荷電粒子の
エネルギー分析を行う点で、図3および図4に示した従
来型の静電偏向半球型分析器と共通している。しかる
に、図1に示す本発明の静電偏向型荷電粒子分光器は、
測定角度を第1,第2の角度制限スリット(9,10)
の内、いずれか一方もしくは両方により、±40度以下
に制限することによって、図4に示した大門型分光器の
欠点を克服する特徴をもつ。これにより(1)エネルギ
ー分解能を向上させ、また、(2)簡単な構造となる。
電偏向型荷電粒子分光器の模式図を示す。図1におい
て、1は分光器の入口スリット、2は分光器の出口スリ
ット、3は外側偏向電極、4は内側偏向電極グリッド、
5は荷電粒子の軌道、αは入射角度を示す。図1の静電
偏向型荷電粒子分光器は外側偏向電極3と内側偏向電極
グリッド4との間に電位差を与え、電極間に形成される
等電位ポテンシャル面による電場を利用して荷電粒子の
エネルギー分析を行う点で、図3および図4に示した従
来型の静電偏向半球型分析器と共通している。しかる
に、図1に示す本発明の静電偏向型荷電粒子分光器は、
測定角度を第1,第2の角度制限スリット(9,10)
の内、いずれか一方もしくは両方により、±40度以下
に制限することによって、図4に示した大門型分光器の
欠点を克服する特徴をもつ。これにより(1)エネルギ
ー分解能を向上させ、また、(2)簡単な構造となる。
【0011】色収差が大きな入射角度のみに測定を制限
し、従来型の分析器と同じように、静電偏向電場中を荷
電粒子が通過することによって発生する色収差を利用す
る。このため図4に示した大門型分光器の場合に不可欠
な電極6と7が不必要となる上に、エネルギー分解能も
2桁向上する。
し、従来型の分析器と同じように、静電偏向電場中を荷
電粒子が通過することによって発生する色収差を利用す
る。このため図4に示した大門型分光器の場合に不可欠
な電極6と7が不必要となる上に、エネルギー分解能も
2桁向上する。
【0012】
【実施例】図2は従来例との比較において、本発明の静
電偏向型荷電粒子分光器のエネルギー分解能と入射角度
αとの関係を示す図である。即ち、荷電粒子の軌道計算
を行って、角度の制限によってエネルギー分解能がどの
程度向上するか調べた結果について示されている。横軸
は入射角度、縦軸は半径120mmの分析器でパスエネル
ギー20eV、スリット幅1mmの条件での計算結果であ
る。縦軸は低いほど、エネルギー半値幅ΔEが小さく、
分解能が高いことを意味する。
電偏向型荷電粒子分光器のエネルギー分解能と入射角度
αとの関係を示す図である。即ち、荷電粒子の軌道計算
を行って、角度の制限によってエネルギー分解能がどの
程度向上するか調べた結果について示されている。横軸
は入射角度、縦軸は半径120mmの分析器でパスエネル
ギー20eV、スリット幅1mmの条件での計算結果であ
る。縦軸は低いほど、エネルギー半値幅ΔEが小さく、
分解能が高いことを意味する。
【0013】比較のために、図3に示した従来型の半球
型電子分光器(分光器A)の性能も示したが、この分光
器Aではわずかな入射角度(±2度)の広がりによっ
て、著しく分解能が劣化することがわかる。
型電子分光器(分光器A)の性能も示したが、この分光
器Aではわずかな入射角度(±2度)の広がりによっ
て、著しく分解能が劣化することがわかる。
【0014】一方、図4に示した大門型分光器(分光器
B)の分光器特性は、非常に広い範囲で一定であるが、
±30度を超えると著しく劣化し、真上に相当する45
度に近づくとエネルギー分析する機能が劣化する。図4
に示した大門型分光器(分光器B)ではこの劣化を補う
ために、電極6,7を導入している。本発明の静電偏向
型荷電粒子分光器(分光器C)では、この電極6,7を
必要とせずに入射角度を±40度以下に制限して高い分
解能を得る。
B)の分光器特性は、非常に広い範囲で一定であるが、
±30度を超えると著しく劣化し、真上に相当する45
度に近づくとエネルギー分析する機能が劣化する。図4
に示した大門型分光器(分光器B)ではこの劣化を補う
ために、電極6,7を導入している。本発明の静電偏向
型荷電粒子分光器(分光器C)では、この電極6,7を
必要とせずに入射角度を±40度以下に制限して高い分
解能を得る。
【0015】表1に各分光器の同時に測定可能な立体角
とその時のエネルギー分解能を示した。表1より、本発
明の静電偏向型荷電粒子分光器(分光器C)では、従来
型分光器(分光器A)と同じエネルギー分解能をもち、
2桁近く広い立体角を保持していることがわかる。一方
図4に示した大門型分光器(分光器B)と比較すると、
測定立体角は1桁低くなるが、エネルギー分解能が1桁
向上し、さらに構造は著しく簡単になるという特徴が得
られた。
とその時のエネルギー分解能を示した。表1より、本発
明の静電偏向型荷電粒子分光器(分光器C)では、従来
型分光器(分光器A)と同じエネルギー分解能をもち、
2桁近く広い立体角を保持していることがわかる。一方
図4に示した大門型分光器(分光器B)と比較すると、
測定立体角は1桁低くなるが、エネルギー分解能が1桁
向上し、さらに構造は著しく簡単になるという特徴が得
られた。
【0016】
【表1】
【0017】本発明の静電偏向型荷電粒子分光器では外
側偏向電極3と内側偏向電極グリッド4のなす球面形状
は、図4に示す大門型分光器の半球型球面形状よりも狭
い立体角の占有範囲を有することが明らかである。これ
は荷電粒子の軌道を狭い入射角度範囲に制限しているた
めである。入口スリット1及び出口スリット2は内側偏
向電極グリッド4の更に内側に配置されている。しかも
大門型分光器で必須であったハイパス・エネルギーフィ
ルタとして使用する補正電極6およびローパス・エネル
ギーフィルタ用グリッド7は不要であり、極めて簡単な
構成となっている。
側偏向電極3と内側偏向電極グリッド4のなす球面形状
は、図4に示す大門型分光器の半球型球面形状よりも狭
い立体角の占有範囲を有することが明らかである。これ
は荷電粒子の軌道を狭い入射角度範囲に制限しているた
めである。入口スリット1及び出口スリット2は内側偏
向電極グリッド4の更に内側に配置されている。しかも
大門型分光器で必須であったハイパス・エネルギーフィ
ルタとして使用する補正電極6およびローパス・エネル
ギーフィルタ用グリッド7は不要であり、極めて簡単な
構成となっている。
【0018】入口スリットを通過する荷電粒子の入射角
度を入射方向より±40度以下に制限する理由は前述の
如く、図2に示す通りエネルギー分解能を向上させるた
めである。具体的な方法としては、図1の構造から明ら
かなように球面形状の電極(3,4)の球面のなす幅を
狭くすることである。また、前記内側偏向電極グリッド
4と入口スリット1との間に第1の角度制限スリット9
を配置することである。或いはまた、前記内側偏向電極
グリッド4と出口スリット2との間に第2の角度制限ス
リット10を配置することである。これらの角度制限ス
リット9,10はいずれか一方もしくは両方を配置す
る。
度を入射方向より±40度以下に制限する理由は前述の
如く、図2に示す通りエネルギー分解能を向上させるた
めである。具体的な方法としては、図1の構造から明ら
かなように球面形状の電極(3,4)の球面のなす幅を
狭くすることである。また、前記内側偏向電極グリッド
4と入口スリット1との間に第1の角度制限スリット9
を配置することである。或いはまた、前記内側偏向電極
グリッド4と出口スリット2との間に第2の角度制限ス
リット10を配置することである。これらの角度制限ス
リット9,10はいずれか一方もしくは両方を配置す
る。
【0019】
【発明の効果】本発明の静電偏向型荷電粒子分光器によ
れば、簡単な構造で、しかも強い強度を保持したまま、
高いエネルギー分解能を実現することができる。
れば、簡単な構造で、しかも強い強度を保持したまま、
高いエネルギー分解能を実現することができる。
【0020】本発明の静電偏向型荷電粒子分光器によれ
ば、測定角度を入射方向より±40度以下に制限したこ
とにより、従来型の大門型電子分光器に比べエネルギー
分解能を1桁高く向上させることができ、しかも構造は
著しく簡単になる。
ば、測定角度を入射方向より±40度以下に制限したこ
とにより、従来型の大門型電子分光器に比べエネルギー
分解能を1桁高く向上させることができ、しかも構造は
著しく簡単になる。
【0021】本発明の静電偏向型荷電粒子分光器によれ
ば、従来型静電偏向半球型分光器に比較し同じエネルギ
ー分解能を保持しつつ、2桁近く広い立体角(計測可
能)を保持することができる。
ば、従来型静電偏向半球型分光器に比較し同じエネルギ
ー分解能を保持しつつ、2桁近く広い立体角(計測可
能)を保持することができる。
【図1】本発明の実施例としての静電偏向型荷電粒子分
光器の模式的構造図(分光器C)
光器の模式的構造図(分光器C)
【図2】従来例との比較において、本発明の静電偏向型
荷電粒子分光器のエネルギー分解能と入射角度αとの関
係を示す図(分光器Aではわずかな入射角度の広がりに
よって、著しく分解能が劣化する。分光器Bは±30度
を超えると著しく分解能が劣化する。分光器C(本発
明)は入射角度を±40度の範囲に制限して高い分解能
を得る。)
荷電粒子分光器のエネルギー分解能と入射角度αとの関
係を示す図(分光器Aではわずかな入射角度の広がりに
よって、著しく分解能が劣化する。分光器Bは±30度
を超えると著しく分解能が劣化する。分光器C(本発
明)は入射角度を±40度の範囲に制限して高い分解能
を得る。)
【図3】従来の静電偏向半球型分光器の模式的構造図
(分光器A)
(分光器A)
【図4】従来の大門型分光器の模式的構造図(分光器
B)
B)
1 入口スリット
2 出口スリット
3 外側偏向電極
4 内側偏向電極グリッド
5 荷電粒子の軌道
6 補正電極
7 ローパス・エネルギーフィルタ用グリッド
8 内側偏向電極
9 第1の角度制限スリット
10 第2の角度制限スリット
α 入射角度
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭63−126148(JP,A)
特開 昭57−70433(JP,A)
特開 昭63−126149(JP,A)
実開 昭52−72783(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01J 49/44
H01J 49/46
H01J 49/48
Claims (2)
- 【請求項1】 半円球状の外側偏向電極と、 半円球状の内側偏向電極グリッドと、 前記内側偏向電極グリッドの更に内側に配置された入口
スリット及び出口スリットと、 更に、前記内側偏向電極グリッドと前記入口スリットと
の間に配置された第1の角度制限スリット,前記内側偏
向電極グリッドと前記出口スリットとの間に配置された
第2の角度制限スリットの内、いずれか一方もしくは両
方を具備し、 前記外側偏向電極と前記内側偏向電極グリッド間に電位
差を与える手段によって、前記内側偏向電極グリッドと
前記外側偏向電極間に入射される荷電粒子を静電偏向さ
せて前記出口スリット上に荷電粒子ビームの焦点を結ば
せる静電偏向型荷電粒子分光器において、 前記入口スリットを通過する荷電粒子の入射角度を前記
第1,第2の角度制限スリットの内、いずれか一方もし
くは両方により入射方向より入射角度を±40度の範囲
に制限したことを特徴とする静電偏向型荷電粒子分光
器。 - 【請求項2】 半円球状の外側偏向電極と、 半円球状の内側偏向電極グリッドと、 前記内側偏向電極グリッドの更に内側に配置された入口
スリット及び出口スリットと、 更に、前記内側偏向電極グリッドと前記入口スリットと
の間に配置された第1の角度制限スリット,前記内側偏
向電極グリッドと前記出口スリットとの間に配置された
第2の角度制限スリットの内、いずれか一方もしくは両
方を具備し、 前記外側偏向電極と前記内側偏向電極グリッド間に電位
差を与える手段によって、前記内側偏向電極グリッドと
前記外側偏向電極間に入射される荷電粒子を静電偏向さ
せて前記出口スリット上に荷電粒子ビームの焦点を結ば
せる静電偏向型荷電粒子分光器であって、 荷電粒子を入射する前記入口スリットと、 前記入口スリットを通過した荷電粒子の入射方向を変え
ず偏向電場に導くための前記内側偏向電極グリッドと、 前記内側偏向電極グリッドを通過した荷電粒子を偏向さ
せる前記外側偏向電極と、 前記電位差を与える手段によって、前記内側偏向電極グ
リッドと前記外側偏向電極の間に形成された等電位ポテ
ンシャルと、 前記等電位ポテンシャルによって静電偏向された荷電粒
子を再び制御する前記内側偏向電極グリッドと、 前記内側偏向電極グリッドを再び通過した荷電粒子を出
射する出口スリットとから構成され、 前記入口スリットを通過する荷電粒子の入射角度を前記
第1,第2の角度制限スリットの内、いずれか一方もし
くは両方により入射方向より入射角度を±40度の範囲
に制限したことを特徴とする静電偏向型荷電粒子分光
器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000159667A JP3452867B2 (ja) | 2000-05-30 | 2000-05-30 | 荷電粒子分光器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000159667A JP3452867B2 (ja) | 2000-05-30 | 2000-05-30 | 荷電粒子分光器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001338606A JP2001338606A (ja) | 2001-12-07 |
JP3452867B2 true JP3452867B2 (ja) | 2003-10-06 |
Family
ID=18663964
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000159667A Expired - Fee Related JP3452867B2 (ja) | 2000-05-30 | 2000-05-30 | 荷電粒子分光器 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3452867B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2454749A4 (en) * | 2009-07-17 | 2013-09-04 | Kla Tencor Corp | ENERGY ANALYZER OF CHARGED PARTICLES |
-
2000
- 2000-05-30 JP JP2000159667A patent/JP3452867B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JP2001338606A (ja) | 2001-12-07 |
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S631 | Written request for registration of reclamation of domicile |
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S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
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