JP3452243B2 - 人工芝生 - Google Patents

人工芝生

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JP3452243B2
JP3452243B2 JP09701999A JP9701999A JP3452243B2 JP 3452243 B2 JP3452243 B2 JP 3452243B2 JP 09701999 A JP09701999 A JP 09701999A JP 9701999 A JP9701999 A JP 9701999A JP 3452243 B2 JP3452243 B2 JP 3452243B2
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善久 水本
山口  聡
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は競技施設などに用い
られる人工芝生に関し、さらに詳しく言えば、リサイク
ル(廃棄物の再資源化、有効利用)を可能とした人工芝
生に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、テニスコートなどの広い面を人
工芝生にて構築するには、図8に示されているように、
複数枚の人工芝生1aをその下地G上に敷設し、その隣
接する端部同士をジョイントテープ5を介して連結する
ようにしている。
【0003】この種の競技施設に用いられる人工芝生1
aは、基材(基布)3に多数の人工芝糸(パイル)2を
植設してなり、人工芝糸2は基材3の裏面側において接
着材よりなる裏打ち層4にて基材3に固定されている。
なお、裏打ち層4は基材3を補強する役割をも備えてい
る。
【0004】ジョイントテープ5には、強靱な帯状のジ
ョイントベース5a上に接着層5bを有するものが用い
られている。天然芝により近い感触を出すため、また、
人工芝生1aを下地G上に固定する意図で、その芝目内
にはしばしば目砂Sが充填される。
【0005】人工芝生は長期間にわたってほとんどメン
テナンスフリーで使用できるが、永久的ではない。傷み
が進行すると張り替えることになるが、産業廃棄物処理
が社会的な問題とされている昨今、人工芝生において
も、そのリサイクル性が問われている。
【0006】そこで、本出願人は先に出願した例えば特
願平10−255106号において、裏打ち層4とし
て、それまで使用していたラテックスゴムに代えて、接
着固定後においても熱可塑性を失わない樹脂(高分子
体)を用いることにより、人工芝生にリサイクル性を付
与する提案を行なっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これによれば、人工芝
生全体が熱可塑性を有する樹脂で統一されるため、例え
ばプラスチック材のリサイクル法の一つである複合再生
法の適用が可能となるが、その後において、次のような
新たな課題が生じた。
【0008】すなわち、裏打ち層4に接着固定後におい
ても熱可塑性を有する高分子体を用いた場合、特にジョ
イントテープ5によるつなぎ目部分での接着強度が十分
でなく、競技者の踏圧などにより、図9に示されている
ように、そのつなぎ目部分が剥離していわゆる「パンク
現象」が生じやすくなることが分かった。
【0009】その理由は、主に次の点にあると推測され
る。まず、接着固定後においても熱可塑性を有する高分
子体は、そもそも難着性のものが多く、特に低融点で取
り扱いが容易なものほどその傾向が強く現れる。
【0010】しかも、熱可塑性の有無を問わず一般的
に、樹脂粉末を溶融させて層状に形成すると、その表面
が比較的表面積の小さな滑らかな面となるため、他のも
のと接着し難くなる。これらの原因により、裏打ち層4
とジョイントテープ5の接着層5bとの接合力が十分に
得られず、「パンク現象」が発生するものと思われる。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明はこのよ
うな課題を解決するためになされたもので、その目的
は、リサイクル性を損なわず、しかも低コストにて人工
芝生間のつなぎ目部分の接着強度を高めることができる
ようにした人工芝生を提供することにある。
【0012】本発明によれば、この目的は、人工芝糸が
植設された基材を備え、上記人工芝糸が上記基材の少な
くとも裏面側で、接着固定後においても熱可塑性を有す
る接着材からなる裏打ち層によって接着固定された人工
芝生で、その複数枚が下地上に敷設され、隣接する端部
同士が下地側に配置された接着層を介して連結される人
工芝生において、上記裏打ち層の少なくとも上記下地側
接着層と接合される部分に、上記下地側接着層に対して
易着性を有する有機および/または無機の粒体を混入す
ることにより達成される。
【0013】すなわち、裏打ち層は接着固定後において
も熱可塑性を有する接着材からなるが、本発明による
と、易着性の個々の粒体が裏打ち層内で接着材に包み込
まれるように混入されているため、裏打ち層自体の強度
が高められる。また、裏打ち層の表面に露出された粒体
が下地側接着層に食い込んだり、粒体の材質によっては
その下地側接着層に強く付着するため、裏打ち層と下地
側接着層との接合力(接着力)も高められる。
【0014】なお、人工芝生の端部間の接合には、通
常、表面に接着層を有するジョイントテープが用いられ
るが、例えばアスファルトなどの下地上に接着層を直接
的に帯状に塗布し、その接着層を介して人工芝生の端部
間を接合してもよい。本発明において、下地側接着層に
はいずれの態様も含まれる。
【0015】本発明において、裏打ち層に混入される粒
体は、同裏打ち層を形成する接着材に対しても易着性を
有していることが好ましいが、その粒体の易着性(親和
性、付着性)は、その材質自体によるものであってもよ
いし、もしくはその形状効果により粒体に易着性を付与
するようにしてもよい。いずれにしても、粒体が易着性
を有することから、少量の粒体で接着強度を高めること
ができるとともに、接着材の熱可塑性が維持されるた
め、リサイクル性が損なわれることもない。
【0016】特に、裏打ち層および/または下地側接着
層に対する易着性を形状効果により求める場合には、研
磨作業により発生した研磨粉が最適と言える。すなわ
ち、研磨粉はその表面積が同じ重量の粉体に比べて格段
に大きいことから、接着材に対する易着性にきわめて優
れており、相対的に接着材に対する添加量を減らすこと
ができる。しかも、この種の研磨粉は特に他の利用用途
がなく、そのまま廃棄されるものであるため、低コスト
にて入手できる。
【0017】裏打ち層を形成する接着固定後においても
熱可塑性を有する接着材としては、オレフィン系熱可塑
性樹脂、代表的にはポリプロピレンやポリエチレンが挙
げられるが、その中でもアイソタクチックポリマー、ア
タクチックポリマー、それにエチレン含有のコポリマー
などがより好ましく例示される。
【0018】この接着材および下地側接着層に馴染みの
よい易着性の粒体としては、各種ゴム、各種ウレタン、
各種熱可塑性エラストマーを例示することができるが、
特にウレタン、天然ゴムやスチレンブタジエンラバーな
どは汎用性が高く、好適に採用される。
【0019】また、熱可塑性樹脂でもよく、例えば接着
材にポリエチレン、易着性の粒体として融点の高いポリ
プロピレンを用いて両者を加熱して裏打ち層とすること
もできる。無機の粒体としては、炭酸カルシウムや酸化
アルミニウムなどのほかに、クレーなどの土壌や砂など
も使用可能である。
【0020】接着後においても熱可塑性を有する接着材
と粒体との接着性の点からすれば、粒体の粒径は小さく
(例えば、1mm以下)、その表面積が大きいもの(例
えば、研磨粉などの表面に傷が付けられたもの)が好ま
しい。
【0021】このように、粒体の粒径は好ましくは1m
m以下とされるが、下地側接着層との接着性を優先する
ならば、その中でも粒体の粒径は大きい方が好ましい。
例えば、1μm以上であることが好ましく、より好まし
くは80μm以上、さらには40メッシュ/300μm
以上であれば、十分な接着効果が認められる。この場合
においても、表面形状については上記と同様にその表面
積が大きいものが好ましい。
【0022】他方において、リサイクル性の点から言え
ば、粒体の粒径は小さい方(100μm以下)が好まし
い。特には20μm以下であり、さらに好ましくは5μ
m以下であるとよい。
【0023】すなわち、粒体の粒径が大きいと、その粒
体が異物として接着材内に残るため、接着材の熱可塑性
が損なわれるおそれが出てくる。これに対して、粒体の
粒径が小さいと、その粒体が接着材内にいわゆる充填材
(骨材)として分散されるため、接着材に熱可塑性が残
される。
【0024】総じて言えば、接着強度を高めるには、粒
体の粒径は1μm以上で1mm以下が好ましく、リサイ
クル性の点では1〜100μmの範囲が好ましいと言え
る。参考までに、これらの関係を表1に示す。
【表1】
【0025】また、リサイクル性の点で、接着材と粒体
との混合比率は、重量比で、接着材:粒体=99:1〜
20:80の範囲内であることが好ましい。
【0026】本発明は、基材の裏面に粒体入りの裏打ち
層を備えているが、この裏打ち層を得るには、その接着
材の原料を粉末化し、それに粒体を混合して基材の裏面
に散布して加熱融着することが好ましく、これによれ
ば、粒体が均一に分散された裏打ち層を容易に得ること
ができる。
【0027】もっとも、接着材の粉末もしくは粒体のい
ずれか一方を先に基材の裏面に散布し、その後にいずれ
か他方を散布して、接着材を基材に対して加熱融着する
ようにしてもよい。
【0028】これとは別に、接着材としての接着固定後
においても熱可塑性を有する高分子体をあらかじめ溶融
状態とし、その中に粒体を混合した後、基材の裏面側に
塗布するようにしてもよい。
【0029】なお、リサイクルの面でよりハイグレード
な品質を得たい場合には、下地側接着層との接合部にの
み易着性の粒体を混入し、古くなった人工芝生を回収し
てリサイクルする際には、粒体が混入された端部の接合
部を切り離して、グレード別にリサイクルするとよい。
【0030】
【発明の実施の形態】次に、本発明を図面に示されてい
る実施例に基づいてより詳しく説明する。なお、この実
施例において、先に説明した図8の従来例と同一もしく
は同一と見なされる部分には、同じ参照符号が付されて
いる。
【0031】図1には、本発明の実施例に係る人工芝生
のジョイント部における要部断面図が示されている。こ
れによると、この人工芝生1においても、多数の人工芝
糸2が植設された基材3を備えている。
【0032】人工芝糸2はオレフィン系の樹脂繊維、そ
の中でもとりわけポリプロピレン繊維であることが好ま
れるが、この他の樹脂繊維であってもよい。基布3も同
様に、オレフィン系樹脂繊維、とりわけポリプロピレン
繊維の平織り布であることが好まれるが、その他の樹脂
繊維を用いてもよい。また、不織布であってもよい。
【0033】人工芝糸2は、基材3の裏面側において裏
打ち層4により固定されている。本発明によると、裏打
ち層4には人工芝糸2の接着固定後においても熱可塑性
を有する接着材(高分子体)4aが用いられている。こ
のような条件を満たす接着材4aとしては、ポリプロピ
レンやポリエチレンが好適であるが、その中でもアイソ
タクチックポリマー、アタクチックポリマー、さらにエ
チレン含有のコポリマーがより好ましい。
【0034】この人工芝生1は下地G上に敷設され、そ
の隣接する端部同士が裏打ち層4側においてジョイント
テープ5を介して互いに連結される。なお、この実施例
においても、ジョイントテープ5による連結後に、人工
芝生1の芝目内に目砂Sが充填される。
【0035】この実施例では、裏打ち層4の少なくとも
ジョイントテープ5が被着される部分に粒体6が混入さ
れている。この粒体6は、ジョイントテープ5の接着層
5bに対して馴染みのよい易着性(親和性)を有するも
のであれば、その材質は有機、無機のいずれであっても
よい。粒体6は裏打ち層4を形成する接着材4aに対し
ても易着性を有しているとなおよい。
【0036】粒体6の裏打ち層4およびジョイントテー
プ5の接着層5bに対する易着性をその材質に求めるな
らば、有機の場合には、各種のゴム、ウレタン、熱可塑
性エラストマーなどが例示されるが、特にはウレタン、
天然ゴムやスチレンブタジエンラバーが好適である。無
機の粒体としては、炭酸カルシウムや酸化アルミニウ
ム、それにクレーなどの土壌や砂なども使用できる。
【0037】粒体6の裏打ち層4およびジョイントテー
プ5の接着層5bに対する易着性をその形状に求めるな
らば、それらの接着材との接触面積が大きくて、いわゆ
る「かじり付き性」によいものが好ましい。例えば、研
磨工程により発生した研磨粉が最適である。
【0038】また、粒体6の粒径rについては、接着材
4自体の強度を高めることからすれば、その粒径rは1
mm以下であることが好ましい。より好ましくは、その
上で研磨粉のように表面積が大きいとよい。
【0039】粒体6は裏打ち層4内に均一に混合される
ことにより、図2に示されているように、一部の粒体6
が接着材4aの表面にも露出され、その結果、ジョイン
トテープ5との接着力を高めることになる。
【0040】すなわち、裏打ち層4にジョイントテープ
5を貼り合わせる際、粒体6がジョイントテープ5の接
着層5bに食い込んで、いわゆるアンカーの役割を果た
すため、裏打ち層4とジョイントテープ5とがより強固
に接合される。
【0041】粒体6によるアンカー効果をより発揮させ
るという点からすれば、粒体6の粒径rが1mm以下の
下において、その粒径rは大きい方が好ましく、1μm
以上であるとよい。例えば、40メッシュ/300μm
以上とすることにより、ジョイントテープ5との十分な
接合強度が得ることができる。
【0042】他方において、接着材4のリサイクル性を
維持するには、粒体6の粒径rは小さい方が好ましい。
具体的には100μm以下で、好ましくは20μm以
下、さらには5μm以下がよい。
【0043】ここで総括すると、接着強度を高めるに
は、粒体6の粒径rが1μm≦r≦1mmであることが
好ましく、これに対してリサイクル性を維持するには、
粒径rが1μm≦r≦100μmの範囲内がよいという
ことになる。
【0044】上記実施例では、裏打ち層4のジョイント
テープ5が被着される部分にのみ粒体6を混入させてい
るが、人工芝生1を任意の幅にカットして使用する場合
を考慮すると、図3に示されているように、裏打ち層4
の全部分にわたって粒体6を混入することが好ましい態
様として挙げられる。
【0045】また、図4に示されているように、人工芝
生1,1間に競技用のライン芝7を入れ込み、人工芝生
1,1およびライン芝7を、それらの裏面側でジョイン
トテープ5介して連結する場合にも、本発明を適用する
ことができる。
【0046】すなわち、ライン芝7の裏打ち層4内に
も、上記実施例と同じように粒体6を混入することによ
り、ライン芝7の剥離現象(パンク現象)を防止するこ
とができる。
【0047】この人工芝生1は、次のようにして得るこ
とができる。まず、図5によりその第1製造例について
説明する。人工芝糸2が植設された基材3は、その裏面
側を上にして搬送ローラR、Rによる搬送経路に沿って
矢印A方向(図5において右方向)に搬送される。この
搬送経路上にはホッパ8が設けられている。また、ホッ
パ8よりも搬送方向下流側には、例えば赤外線ヒータか
らなるヒータ9が設けられている。
【0048】この第1製造例において、裏打ち層4を形
成する接着材(接着後においても熱可塑性を有する高分
子体)4aは粉末状として、有機もしくは無機の粒体6
と混合されてホッパ8内に入れられており、基材3の搬
送に伴なって、ホッパ8からその裏面側に適量が散布さ
れる。そして、ヒータ9により加熱されることにより、
基材3の裏面側に粒体6を含む裏打ち層4が形成され
る。
【0049】このように、接着材4aをあらかじめ粉末
状として粒体6と混合して散布することにより、粒体6
が均一に分散された裏打ち層4が得られる。なお、ホッ
パーを2つ用意し、その一方のホッパから接着材4aの
粉末を散布し、他方のホッパーから粒体6を散布するよ
うにしてもよい。この場合、接着材4aの粉末にヒータ
により、その散布前にあらかじめ可塑性を与えるように
してもよい。
【0050】また、図6の第2製造例に示されているよ
うに、上記のホッパ8に代えて、ヒータ91を有する加
熱ホッパ(炉)9を用い、この加熱ホッパ9内で接着材
4aを溶融させて粒体6と混合して、その混合溶融物を
基材3の裏面側に塗布して、粒体6を含む裏打ち層4を
形成することもできる。
【0051】
【実施例】次に、ジョイント部の接合状態やその製造時
の作業性(コストを含む)およびリサイクル性などを評
価するために、具体的に行なった本発明による実施例お
よびその比較例について説明する。
【0052】なお、各例ともに、人工芝糸は熱可塑性樹
脂であるポリプロピレン製のパイルを用い、基材には同
じく熱可塑性樹脂であるポリプロピレン製の平織り布を
用いた。また、図7に例示されているように、ジョイン
トテープ5には、合成樹脂シート5aの表面に接着層5
bとして、長さ1m、幅150mmあたり、住友ゴム工
業社製ウレタン接着材(商品名;オムニグルーUA)を
200g塗布したものを用いた。
【0053】接着強度の評価は、このジョイントテープ
5の接着層5bに人工芝生1,1の各端部を貼り付け、
1週間かけて室温にて養生した後に、人工芝生1,1の
各端部を毎分100mmで引っ張ることにより、人工芝
生1とジョイントテープ5との間に剪断力を加えて、そ
の剥離状態を観察した。
【0054】また、リサイクル性(熱可塑性の有無)の
評価は、人工芝全体を粉砕機により粒径5mm程度に粉
砕し、180℃のオーブンに投入して、その溶融状態を
観察した。作業性およびそのコストは、製造時について
のものである。
【0055】《実施例1》ともに平均粒径が約300μ
mの粉末ポリエチレンとウレタン研磨粉とを、重量比で
100:20の割合で混合し、基材の裏面側に1平方m
あたり300g散布し、加熱溶融して裏打ち層を形成し
た。この人工芝生の裏打ち層に上記ジョイントテープを
貼り付け、1週間室温にて養生した後、毎分100mm
の剪断力を加えて接着強度を測定したところ、40kg
fと高く、したがってジョイント部でのパンク(剥離)
現象は生じなかった。また、製造時の作業性および製造
コストはともに極めてよく、可塑性(リサイクル性)も
良好であった。
【0056】《実施例2》ともに平均粒径が約200μ
mの粉末ポリエチレンと粉末クレーとを、重量比で10
0:20の割合で混合し、基材の裏面側に1平方mあた
り300g散布し、加熱溶融して裏打ち層を形成した。
実施例1と同様にして、この人工芝生の裏打ち層と上記
ジョイントテープとの接着強度を測定したところ、30
kgfでジョイント部でのパンク現象は見られなかっ
た。製造時の作業性および製造コストも実施例1と同じ
くきわめてよく、また、可塑性も良好であった。
【0057】《実施例3》加熱ホッパにてポリエチレン
を溶融し、これに平均粒径が約300μmのウレタン研
磨粉を重量比で100:20の割合で混合し、その溶融
物を基材の裏面側に、1平方mあたり300g塗布して
裏打ち層を形成した。実施例1と同様にして、この人工
芝生の裏打ち層と上記ジョイントテープとの接着強度を
測定したところ、実施例1と同じく40kgfで、ジョ
イント部でのパンク現象は見られなかった。また、製造
時の作業性およびコストは、溶融ポリエチレン内にウレ
タン研磨粉を投入したり、塗布に手間が掛かるなどの理
由により、評価はきわめて良いとは言えず、その下の良
とした。可塑性は良好であった。
【0058】《実施例4》平均粒径が約300μmの粉
末ポリエチレンと平均粒径が約20μmのゴム粉末と
を、重量比で100:20の割合で混合し、基材の裏面
側に1平方mあたり300g散布し、加熱溶融して裏打
ち層を形成した。実施例1と同様にして、この人工芝生
の裏打ち層と上記ジョイントテープとの接着強度を測定
したところ、35kgfで、ジョイント部でのパンク現
象は見られなかった。また、製造時の作業性および製造
コストはともに極めてよく、リサイクル性もきわめて良
好であった。
【0059】〈比較例1〉溶融ポリエチレンのみを基材
の裏面側に1平方mあたり300g塗布して裏打ち層を
形成した。実施例1と同様にして、この人工芝生の裏打
ち層と上記ジョイントテープとの接着強度を測定したと
ころ、15kgfしかなく、ジョイント部において部分
的にパンク現象が発生した。製造時の作業性およびコス
トはともに良好であった。可塑性については、きわめて
良好であり、リサイクル性の評価は最高とした。
【0060】〈比較例2〉接着材として、現行の標準品
であるSBR/NRラテックスを基材の裏面側に1平方
mあたり300g塗布して裏打ち層を形成した。実施例
1と同様にして、この人工芝生の裏打ち層と上記ジョイ
ントテープとの接着強度を測定したところ、45kgf
を示しジョイント部でのパンク現象は見られなかった。
しかしながら、製造時の作業性およびコストは普通であ
り、上記各実施例1〜3に比べて良いとは言えない。可
塑性については、形成後に裏打ち層に熱可塑性が失われ
るため、リサイクル性は期待できなかった。
【0061】以上の結果から、本発明によれば、比較例
2の現行品と同等の高い接着強度が得られ、したがって
ジョイント部でのパンク現象は見られず、人工芝生端部
間の安定した接合状態が得られることが確認された。
【0062】また、製造時の作業性およびコストも改善
され、しかもリサイクル性が失われることもない。参考
までに上記実施例1〜3および比較例1,2の比較結果
を表2に示す。なお、この表中◎がきわめて良好、○は
良、△が普通、×が不良をそれぞれ示している。
【表2】
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
基材に植設された人工芝糸を固定する裏打ち層の接着材
に、接着固定後においても熱可塑性を有する高分子体を
用いる場合において、その裏打ち層内に易着性の有機お
よび/または無機の粒体を混入するようにしたことによ
り、リサイクル性を損なわず、しかも低コストにて人工
芝生間のつなぎ目部分の接着強度を高めることができ
る。したがって、ジョイント部に剥離現象が生ずるおそ
れのない安定した性状の人工芝生が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る人工芝生の敷設状態を示
した要部断面図。
【図2】図1におけるジョイント部の拡大断面図。
【図3】本発明の変形実施例を示した図1と同様の要部
断面図。
【図4】本発明の変形実施例を示した図1と同様の要部
断面図。
【図5】本発明による人工芝生を得るための第1製造例
を示した模式図。
【図6】本発明による人工芝生を得るための第2製造例
を示した模式図。
【図7】本発明の具体的な実施例およびその比較例にお
いて行なった接着強度テストを説明するための説明図。
【図8】従来の人工芝生の敷設状態を示した要部断面
図。
【図9】上記従来例において人工芝生の剥離状態を示し
た模式図。
【符号の説明】
1 人工芝生 2 人工芝糸 3 基材 4 裏打ち層 4a 接着材 5 ジョイントテープ 5a ジョイントベース 5b 接着層 6 粒体 7 ライン芝 8 ホッパ 9 加熱ホッパ G 下地 R 搬送ローラ S 目砂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−245398(JP,A) 特開 平7−324305(JP,A) 特開 平10−237810(JP,A) 実公 平2−12927(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E01C 13/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人工芝糸が植設された基材を備え、上記
    人工芝糸が上記基材の少なくとも裏面側で、接着固定後
    においても熱可塑性を有する接着材からなる裏打ち層に
    よって接着固定された人工芝生で、その複数枚が下地上
    に敷設され、隣接する端部同士が下地側に配置された接
    着層を介して連結される人工芝生において、 上記裏打ち層の少なくとも上記下地側接着層と接合され
    る部分には、上記下地側接着層に対して易着性を有する
    有機および/または無機の粒体が混入されていることを
    特徴とする人工芝生。
  2. 【請求項2】 上記粒体は上記裏打ち層の接着材に対し
    ても易着性を有していることを特徴とする請求項1に記
    載の人工芝生。
  3. 【請求項3】 上記粒体の易着性は、その材質自体によ
    るものであることを特徴とする請求項1または2に記載
    の人工芝生。
  4. 【請求項4】 上記粒体の易着性は、その表面形状によ
    るものであることを特徴とする請求項1,2または3に
    記載の人工芝生。
  5. 【請求項5】 上記粒体は、研磨工程により発生した研
    磨粉であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれ
    か1項に記載の人工芝生。
  6. 【請求項6】 上記裏打ち層は、上記接着材が上記粒体
    を含む粉末状として上記基材の裏面に散布され、同基材
    に対して加熱融着されたものからなることを特徴とする
    請求項1ないし5のいずれか1項に記載の人工芝生。
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