JP3449154B2 - 締結用部材 - Google Patents

締結用部材

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JP3449154B2
JP3449154B2 JP03535297A JP3535297A JP3449154B2 JP 3449154 B2 JP3449154 B2 JP 3449154B2 JP 03535297 A JP03535297 A JP 03535297A JP 3535297 A JP3535297 A JP 3535297A JP 3449154 B2 JP3449154 B2 JP 3449154B2
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C14/00Glass compositions containing a non-glass component, e.g. compositions containing fibres, filaments, whiskers, platelets, or the like, dispersed in a glass matrix
    • C03C14/002Glass compositions containing a non-glass component, e.g. compositions containing fibres, filaments, whiskers, platelets, or the like, dispersed in a glass matrix the non-glass component being in the form of fibres, filaments, yarns, felts or woven material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • C03C2214/20Glass-ceramics matrix

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  • Glass Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々分野において
用いられる締結用部材に関し、更に詳細には、高耐熱
性、高強度、軽量化が要求される用途、例えば、航空宇
宙産業等において有用な、ボルトやナット等の締結用部
材に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】例え
ば、航空宇宙産業などの分野においては、ボルトやナッ
トなどの締結用部材にも優れた耐熱性と高い比強度を有
することが要求されている。このため、従来、炭素を炭
素繊維で強化した複合材料(以下、「C/C複合材料」
という)からなるボルトやナットなどの締結用部材が実
用化されている。上記C/C複合材料からなる締結用部
材は、主に炭素繊維2D織物にマトリックスを含浸、焼
成して緻密化したり、CVI、CVDによって緻密化し
た平板を切り出し、ネジ、ボルト形状に加工することに
より得られていた。このようにして得られた従来の締結
用部材は、繊維配向に対して垂直方向に位置する2つの
面で、層間にかかる剪断応力のために破壊しやすく、図
10に示す従来のボルト100のように、ネジ山が欠落
した2つの面を有する構造を採るものが一般的であっ
た。このため、締結用部材としては、ネジ山の切れた部
分があるため使用中にネジ山が欠落しやすいという欠点
があった。
【0003】この欠点を補うため、特開平4ー1633
1号公報には、炭素繊維の短繊維を強化材料とした炭素
繊維強化複合材料を用いたネジ部材の製造方法が記載さ
れている。しかし、この製造方法により得られるネジ部
材は、その引っ張り強度がM10ネジ加工時には、60
MPa以下であり、強化繊維の引張り応力への強化効果
は低く、強度の低いものであった。
【0004】また、特開平7−19220号公報には、
種々の繊維配向を持つプリプレグシートを積層し、マト
リックスを含浸、硬化または焼成してボルト基材を製造
する方法が記載されている。しかし、この製造方法によ
り得られるボルト基材は、繊維配向方向と、ボルトの引
っ張り応力のかかる方向が一致している部分が少ないた
め、繊維強度が十分にボルト強度に反映されず、引っ張
り強度も、M10ネジに加工した場合、100MPa程
度と低いものであった。
【0005】また、C/C複合材料は、その製法上の制
約として、マトリックスが完全には繊維束の隙間を埋め
ることが出来ず通常5〜10vol%程度の気孔を有す
る。即ち、C/C複合材料に代表される長繊維強化複合
材料は、一般に繊維プリフォームを成形し、これに気相
あるいは液相でマトリックスを含浸させることによっ
て、あるいはマトリックス原料を含浸後転化してマトリ
ックスとすることによって得られるものである。このた
め、出来上がった複合材料のマトリックス中に、気孔が
残り、100%緻密な成形体を得ることは非常に困難な
ものである。従って、このようにして得られるC/C複
合材料は、ネジ山のように細かい凹凸があり、しかもそ
こに応力がかかる構造物の形成材料としては向かないも
のであった。
【0006】要するに、C/C複合材料により形成され
てなるボルト・ナット等の締結用部材は、例えば、2D
積層材料の平板であれば引張り強度が300MPaを示
すように高強度であるにも関わらず、構造材料の締結用
部材とした場合にはかなり応力の低い分野でしか使用で
きず、とりわけ大きな締め付けトルクを必要とする部位
では使用できないものであった。また、上記C/C複合
材料は、酸化に対して弱いものであるため、不活性ガス
中又は真空中でなければ、高温での使用に耐えないもの
で、耐環境性に劣るという問題もあった。この耐環境性
を向上するために、酸化に対してより安定なSiC/S
iC系の複合材料を用いることも考えられるが、このよ
うな複合材料を用いても、通常、気孔を有するために、
機械強度の点で上述したC/C複合材料と同様の欠点を
解消するものではなかった。
【0007】従って、本発明の目的は、耐熱性に優れ、
更には室温から高温までの大気中のような実使用環境下
で使用しても、経時的な機械的特性の低下が少なく、引
張り強度、ネジ山部の強度及び耐環境性に優れた締結用
部材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために種々の研究を行った結果、ガラスセラ
ミックスをマトリックスとし、無機長繊維を強化材とす
る緻密な複合材料を形成材用として用いてなる締結用部
材が上記目的を達成しうることを知見した。
【0009】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、無機長繊維とガラスセラミックスとの複合材
料からなり、上記無機長繊維が、炭化ケイ素系繊維、窒
化ケイ素系繊維及びアルミナ系繊維からなる群より選択
される1種以上であり、上記ガラスセラミックスが、A
23,SiO2,SrO及び/又はBaOを必須成分
として含むガラスセラミックスである締結用部材であっ
て、 上記締結用部材は、本体と該本体の周囲に位置する
周面層とを有し、 上記本体においては、上記無機長繊維
が該本体の軸方向に配向しており、 上記周面層において
は、上記無機長繊維は上記軸方向に対して5゜<θ≦6
0゜の角度を持って配向されている、ことを特徴とする
締結用部材を提供するものである。
【0010】また、本発明は、上記ガラスセラミックス
が、更にMgOを含む上記締結用部材を提供するもので
ある。
【0011】また、本発明は、上記無機長繊維は、下記
(1)の炭化ケイ素系繊維である上記締結用部材を提供
するものである。 (1)実質的にSiと、Ti及び/又はZrと、Cと、
Oとからなる非晶質、該非晶質並びに500Å以下のβ
−SiCと、TiC及び/又はZrCとの結晶質の集合
体、又は該結晶質並びにその近傍に存在するSiOx
と、TiOx及び/又はZrOx(0<x≦2)とから
なる非晶質の混合系であり、且つ元素組成は、Siが4
5〜60wt%、Ti及び/又はZrが0.2〜5wt
%、Cが20〜45wt%、Oが0.1〜20.0wt
%である炭化ケイ素系繊維。
【0012】また、本発明は、上記無機長繊維は、下記
(2)の炭化ケイ素系繊維である上記締結用部材を提供
するものである。 (2)元素組成が、Siが30〜80wt%、Cが20
〜70wt%、Hが2wt%以下であり、且つ、実質的
にSi,Cからなる非晶質及び/又は10000Å以下
のβ−SiCの結晶質及び炭素の凝集体からなる炭化ケ
イ素系繊維。
【0013】また、本発明は、上記無機長繊維は、下記
(3)の炭化ケイ素系繊維である上記締結用部材を提供
するものである。 (3)元素組成が、Siが30〜80wt%、Cが10
〜65wt%、Oが0.05〜25wt%、Hが2wt
%以下であり、且つ、実質的にSi,C及びOからなる
非晶質物質、又は1000Å以下のβ−SiCの結晶質
の集合体と非晶質のSiO2 とからなる集合体である炭
化ケイ素系繊維。
【0014】また、本発明は、上記無機長繊維は、下記
(4)の窒化ケイ素系繊維である上記締結用部材を提供
するものである。 (4)Siと、N及びO、C,H、金属類(元素周期律
表第II族〜第VIII族の金属元素の群から選択され
る少なくとも一種類)からなり、各元素の比率が 原子
比で表して N/Si=0.3〜3 O/Si=15以下 C/Si=7以下 H/Si=1以下 金属類/Si=5以下 であり、且つ、X線小角散乱強度比が1゜及び0.5゜
において各々1倍〜20倍である窒化ケイ素系繊維。
【0015】また、本発明は、上記無機長繊維は、下記
(5)のアルミナ系繊維である上記締結用部材を提供す
るものである。 (5)実質的にAl、Si、B及びOからなるムライト
並びに/又はγ−アルミナ及びη−アルミナの微結晶と
非晶質のSiO2 との集合体であるアルミナ系繊維。
【0016】また、本発明は、上記ガラスセラミックス
は、その主結晶相としてセルシアン(SrO(及び又は
BaO)・Al2 3 ・2SiO2 )、バリウムオスミ
ライト(BaO・2MgO・3Al2 3 ・9Si
2 )、又はコージェライト(2MgO・2Al2 3
・5SiO2 )を有する上記締結用部材を提供するもの
である。
【0017】また、本発明は、上記締結用部材は、本体
と、該本体の外周面又は内周面に位置しねじ山を形成す
る周面層とからなり、上記本体において、上記無機長繊
維は、締結用部材の軸方向に向けて配されており、上記
周面層において、上記無機長繊維は、締結用部材の軸方
向に対して所定角度をもって配されている上記締結用部
材を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の締結用部材につい
て更に詳細に説明する。本発明の締結用部材は、特定の
無機長繊維と特定のガラスセラミックスとの複合材料か
らなることを特徴とする。
【0019】本発明において用いられる無機長繊維は、
複合材料において強化材として用いられる材料であり、
本発明においては炭化ケイ素系繊維、窒化ケイ素系繊
維、又はアルミナ系繊維である。上記無機長繊維として
は、上記炭化ケイ素系繊維、窒化ケイ素系繊維又はアル
ミナ系繊維であれば特に制限されないが、下記の(1)
〜(5)の繊維等が好ましく用いられる。また、使用に
際してはこれらを適宜混合して用いることもできる。
【0020】(1)実質的にSiと、Ti及び/又はZ
rと、Cと、Oとからなる非晶質、該非晶質並びに50
0Å以下、好ましくは10〜100Åのβ−SiCと、
TiC及び/又はZrCとの結晶質の集合体、又は該結
晶質並びにその近傍に存在するSiOxと、TiOx及
び/又はZrOx(0<x≦2)とからなる非晶質の混
合系であり、且つ元素組成は、Siが45〜60wt
%、Ti及び/又はZrが0.2〜5wt%、Cが20
〜45wt%、Oが0.1〜20.0wt%である炭化
ケイ素系繊維。
【0021】(2)元素組成が、Siが30〜80wt
%、Cが20〜70wt%、Hが2wt%以下、好まし
くは0.5wt%以下(Hは、0wt%であるのが理想
的には好ましいが、製造過程で混入する場合がある)で
あり、且つ、実質的にSi,Cからなる非晶質及び/又
は10000Å以下、好ましくは10〜2000Åのβ
−SiCの結晶質及び炭素の凝集体からなる炭化ケイ素
系繊維。尚、上記炭化ケイ素系繊維(2)は、通常の炭
素繊維或いはタングステン繊維を芯線として、CVD法
により得られるものであっても良い。
【0022】(3)元素組成が、Siが30〜80wt
%、Cが10〜65wt%、Oが0.05〜25wt
%、Hが2wt%以下、好ましくは0.5wt%以下
(Hは、0wt%であるのが理想的には好ましいが、製
造過程で混入する場合がある)であり、且つ、実質的に
Si,C及びOからなる非晶質物質、又は1000Å以
下、好ましくは0.1〜200Å、更に好ましくは10
〜200Åのβ−SiCの結晶質の集合体と非晶質のS
iO2 とからなる集合体である炭化ケイ素系繊維。
【0023】(4)Siと、N及びO、C,H、金属類
(元素周期律表第II族〜第VIII族の金属元素の群
から選択される少なくとも一種類)からなり、各元素の
比率が 原子比で表して N/Si=0.3〜3 0/Si=15下、好ましくは 0.01〜1 C/Si=7以下、好ましくは 0.01〜1 H/Si=1以下、好ましくは 0.01〜0.2 金属類/Si=5以下、好ましくは 0.01〜0.1 であり、且つ、X線小角撤乱強度比が1°及び0.5°
において各々1倍〜20倍である窒化ケイ素系繊維。
【0024】(5)実質的にA1、Si、B及び0から
なるムライト並びに/又はγ一アルミナ及び−アルミナ
の微結晶と非晶質のSi02 との集合体であるアルミナ
系繊維。
【0025】ここで、上記の(1)の炭化ケイ繁系繊維
における「その近傍」とは、好ましくは結晶質粒子から
の距離が100nm以下の領域である。上記(2)にお
ける上記「炭素の凝集体」とは、1000Å以下の大き
さを持った結晶質及び又は非晶質からなる炭素の粒子
が、複数個存在することを意味する。また、上記(3)
における「結晶質の集合体」とは、0.1〜1000μ
mの大きさを持った結晶が複数個集合してなるものを意
味し、「結晶質の集合体と非晶質のSi02 とからなる
集合体」とは、0.1〜1000μmの大きさを持った
結晶の集合体の近傍(上記の「その近傍」に同義)に非
晶質のSiO2 の粒子が複数個集合してなるものが、更
に複数個集合してなるものを意味する。尚、集合する結
晶の数は限定されない。上記(4)において用いられる
上記金属類としては、具体的には、アルミニウム,チタ
ン,ジルコニウム等が挙げられる。
【0026】また、上記X線小角散乱強度比は、下記の
如く測定した。理学電機株式会社製「RJ−200B
型」にPSPC(位置検出比例計数装置)−5を接続
し、管電圧45KV、管電流95mA,第1及び第2ス
リットが各々0.2mmφ,0.15mmφのものを使
用し,0.02°毎に1000秒積算して散乱強度を測
定した。また、試料としては、長さ15mmの繊維を、
18mg切り出したものを用い、長さ10mm×幅4m
mのスリット内に均一に張り付けて測定した。また、強
度比は、1°及び0.5°における空気散乱強度と比較
して算出した。
【0027】上記無機長繊維としては、宇部興産(株)
から「チラノ繊維」(登録商標)として市販されている
Si−Ti及び/又はZr−C−Oからなる無機長繊維
〔上記炭化ケイ素系繊維(1)の具体例〕、あるいは日
本カーボン(株)から「ニカロン」(登録商標)若しく
は「ハイニカロン」(登録商標)として市販されている
Si−C−Oからなる無機長繊維〔上記炭化ケイ素系繊
維(3)の具体例〕、あるいは米国Textron社の
SCSシリーズの無機長繊維〔上記炭化ケイ素系繊維
(2)の具体例〕等の市販品を用いることもできるし、
あるいは米国特許明細書第5,366,943号に記載
の実質的にSiと、Cと、OとBとから成る無機長繊維
〔上記炭化ケイ素系繊維(2)の具体例〕を用いること
もできる。また、Al2 3 繊維(DuPont社製、
3M社製、住友化学工業(株)製、他)〔上記アルミナ
系繊維(5)の具体例〕、Si−C−N系繊維〔「HP
Z繊維」商品名、Dow Corning社製〕〔上記
窒化ケイ素系繊維(4)の具体例〕、Si3 4 繊維
((株)東燃製)〔上記窒化ケイ素系繊維(4)の具体
例〕等を用いることもできる。
【0028】また、上記無機長繊維の繊維径は、1〜1
000μmであるのが好ましい。また、上記無機長繊維
の繊維長は、100μmより長いことが好ましい。
【0029】上記無機長繊維の強化材としての使用形態
については特別の制限はなく、連続繊維等として用いる
ことができ、連続繊維から製織された平織、朱子織、多
軸織、三次元織あるいは連続繊維を一方向に引き揃えた
シート状物として用いても良く、さらにはこれらの2種
類以上を混合した形態(例えば該シート状物を積層した
形態)として用いてもよい。
【0030】そして、本発明の締結用部材を形成する複
合材料は、このような形態とされた無機長繊維の周辺
(各無機長繊維間の間隙)に上記ガラスセラミックスが
存在するものである。
【0031】また、本発明において用いられる上記ガラ
スセラミックスは、上記複合材料におけるマトリックス
を構成する材料であり、本発明においては、Al
2 3 ,SiO2 ,SrO及び/又はBaOを必須成分
として含むガラスセラミックス、即ち、これら4分子の
うち少なくとも1種を有するガラスセラミックスであ
り、ガラス状態で成形が容易で、かつ熱処理によって耐
熱性のより高い結晶相を析出するものである。また、上
記ガラスセラミックスは、更にMgOを含んでもよい。
該MgOを含む場合の含有量は、ガラスセラミックス全
体に対して0.1〜10wt%であるのが好ましい。
【0032】このようなガラスセラミックスを有するガ
ラスセラミックス成形体は、所望の結晶成分と同じ組成
を持つガラス粉末をまず製造し、これをガラス転移点よ
り高温において加圧することによって任意の形状に成形
し、しかる後に熱処理によって所望の結晶相を析出さ
せ、耐熱性を向上させることで得られるものである。ま
た、成形型の中に溶融した原料ガラスを流し込み、冷却
過程で所望の結晶相を析出させ成形体を得ることも可能
である。そして、上記複合材料は、ガラスセラミックス
をマトリックスとする無機長繊維強化複合材料(以下、
「GMC」と称す)であるため、緻密であり、C/C複
合材料などの他の長繊維強化複合材料と違い気孔がほと
んどないものである。また、GMCが、室温から高温ま
で高強度を保持し、靱性も高いことは公知である(K.
M.PrewoらJ.Mater.Sci.,17[1
2]P3549−3563)。また、加工が一般のモノ
リシックなセラミックスに比べ容易であり、しかも緻密
であるためC/C複合材料などに比べて寸法精度を高く
保てる。
【0033】上記ガラスセラミックスは、上記各成分を
含有すれば組成等は特に制限されないが、主結晶相とし
て、セルシアン(単斜晶のセルシアン)〔SrO(及び/又
はBaO)・Al2 O3 ・2SiO2 〕、バリウムオスミライト(BaO・
2MgO・3Al2 O3 ・9SiO2 )、又はコージェライト(2MgO・2Al
2 O3 ・5SiO2 )を有するのが好ましい。また、上記セル
シアン、上記バリウムオスミライト及び上記コージェラ
イトは、それぞれ、単独で又は2種以上混合して用いる
ことができ、これらの1種又は2種以上の結晶の集合体
として含有されるものである。また、上記ガラスセラミ
ックスは、上記の結晶の集合体のみにより(即ち、該集
合体100wt%で)形成されてもよいが、上記の結晶
の集合体を少なくとも50wt%以上、好ましくは80
〜100wt%含有してなるのが好ましい。また、他の
成分と混合する場合には、通常ガラスセラミックスに用
いられる成分を特に制限なく用いることができる。ここ
で、上記の「結晶の集合体」とは、0.1〜1000μ
mの大きさを持った結晶が複数個集合してなるものを意
味し、集合する結晶の数は限定されない。上記結晶の集
合体の含有量が、50wt%未満であると、得られる締
結用部材の耐熱性及び曲げ強度などの力学的特性が要求
されるレベルとならない場合があるので、上記の範囲で
含有するのが好ましい。
【0034】また、上記ガラスセラミックスには、Zr
等の元素周期律表4A族に属する元素を核形成剤として
添加することもできる。これらの元素は如何なる形態で
用いてもよいが、ZrO2 のような酸化物の状態で用い
られるのが好ましい。また、上記核形成剤の添加量は、
例えば、酸化物として用いる場合にはガラスセラミック
ス全体に対して10wt%以下であることが好ましく、
0.1〜10wt%であることが更に好ましい。
【0035】また、本発明の締結用部材において、上記
無機長繊維と上記ガラスセラミックスとの配合比率は、
特に制限はないが、上記無機長繊維の含有量が30vo
l%〜70vol%であるのが好ましい(即ち、上記ガ
ラスセラミックスの含有量が70vol%〜30vol
%)。上記無機長繊維の含有量が30vol%未満であ
ると、締結用部材として加工したときに強化繊維の効果
が少なく要求される機械的強度を維持できない場合があ
り、また、繊維含有率が70vol%を超えると、無機
長繊維が互いに直接接触する箇所ができ過ぎてしまい、
そこが大きな欠陥となり、加工して得られ締結用部材が
十分な機械的強度を発現しない場合が多いため好ましく
ない。
【0036】本発明の締結用部材における上記無機長繊
維の配向形態は、無機長繊維による強化効果を十分なも
のとするために、後述するように、軸方向に向けて配向
された本体と軸方向に対して角度を持って配向された周
面層とからなる構造をもつ。
【0037】以下、図面を参照して本発明の締結用部材
の好ましい形態について詳述する。ここで、図1は、本
発明の締結用部材としてのボルトを示す斜視図であり、
図2(A)は、図1のA−A拡大断面図であり、図2
(B)は、図1のB−B拡大断面図であり、図3は、図
2に示す締結用部材における周面層を示す平面図であ
る。図4(A)は、図1に示す締結用部材のA−A断面
の他の形態を示す断面図であり、図4(B)は図1に示
す締結用部材のB−B断面の他の形態を示す断面図であ
り、図5は、図4に示す締結用部材における周面層を示
す斜視図である。尚、図2及び図4においては、本発明
の締結用部材の内部構造の理解を容易なものとするため
に、ネジ山については省略して示す。
【0038】本形態の締結用部材としてのボルト1は、
図1〜3に示すように、強化材としての無機長繊維2と
マトリックスとしてのガラスセラミックス3とからな
る。本形態について更に詳述すると、上記ボルト1は、
図1に示すように、ボルト頭1Aとネジ部1Bとからな
り、通常のボルトと同様の外形を有する。そして、本形
態のボルト1は、図2(A)及び(B)に示すように、
本体10と、該本体10の外周面に位置しねじ山を形成
する周面層20とからなり、上記本体10において、無
機長繊維2は、締結用部材としてのボルト1の軸方向D
に向けて配されており、上記周面層20において、上記
無機長繊維2は、図2及び図3に示すように、締結用部
材としてのボルト1の軸方向Dに対して所定角度θ゜
(図3参照)をもって配されている。ここで、本体の軸
方向に対して角度θ゜を持つというのは、図3に示すよ
うに、ボルトの軸方向Dを0゜とした場合における角度
であり、本形態においては、軸方向Dに対して左回りの
方向を向くようにθ゜傾いている場合を+θ゜、その逆
方向を向くようにθ゜傾いている場合を−θ゜とする。
【0039】更に詳述すると、上記本体10は、図2
(A)及び(B)に示すように、丸棒状であり、複数の
上記無機長繊維2が、所定間隔をあけて、連続繊維の形
態でボルト1の軸方向Dに向けて配されている。また、
図2(A)に示すように、その直径Lが、ボルト1にお
けるネジの谷径に対して、10%以上の長さであるのが
好ましく、さらに好ましくは30%〜90%の長さであ
る。上記直径が10%未満の長さであると、ボルトとし
ての引張り強度に寄与する割合が小さすぎ、その力学的
特性が要求されるレベルとならないので上記範囲とする
のが好ましい。また、直径が90%を超えると、ネジの
谷底部分と本体の外面との距離が近すぎ、ネジ山に応力
がかかる際に、ネジ山の亀裂が該本体にまで達するた
め、ネジ山の強度が要求される強度レベルとならない。
【0040】また、上記周面層20は、それぞれ無機長
繊維の配向方向が異なる複数の配向層21,22,2
1’,22’・・・・20n,20n’が積層されて形
成されている。上記配向層について説明すると、図2
(A)及び(B)に示すように、各配向層21,21’
・・・・は、上記本体10の周面を覆うと共に、ボルト
1を上面側と下面側とに2分するように、配向層21と
配向層21’とが重ね合わされており、該配向層21上
に順に配向層22,・・・20nが積層されており、ま
た、配向層21’上に順に配向層22’,・・・20
n’が積層されている。これにより、上方と下方とに点
対称に配向層が配されてなる形態となされている。ま
た、上記配向層21,22,・・・は、図3に示すよう
に、それぞれ、幅方向中央部がボルトの軸方向に向けて
突状になされた、平板状となされている。また、本形態
においては、周面層20の最外層をなす配向層20n
は、図2(B)に示すように、断面形状が円弧状の板状
の層である。
【0041】そして、各配向層21,21’,22,2
2’・・・・において上記無機長繊維は、図2及び3に
示すように、所定の間隔で且つ所定の角度で配されてい
る。また、配向層21と配向層21’とは、それぞれ、
同じ角度θ°をもって配されており、配向層22と配向
層22’とは、それぞれ、同じ角度−θ°をもって配さ
れている(図示せず)。このように、配向層21を第1
番目の層として、該配向層21よりも上方にn番目の層
と、配向層21’を第1番目の層として、該配向層2
1’よりも下方にn番目の層とは、いずれも同じ角度を
持って無機長繊維が配されているのが好ましい。尚、
「上方」及び「下方」は、説明の便宜上、図面において
本体の上側を上方といい、下側を下方という。尚、この
周面層20における配向層の積層枚数は,目的とするネ
ジの谷径,山径と各複合材料からなる配向層の厚みから
相対的に決定されるものである。また、上記各配向層の
厚みは、20〜400μmとするのが好ましい。
【0042】また、上記配向層21(21’)は、角度
+θ°で、第2配向層22(22’)は、角度−θ°
で、上記無機長繊維2が配されている。即ち、本形態に
おいては角度+θの層と−θの層とが交互に配されてい
る。ここで、上記角度θは、5°<θ≦60°であり、
ましくは、30°<θ≦60°である。角度θが5°
未満であると、ボルト軸方向と直交する方向では強化繊
維による強化効果が全くないか非常に小さいために、ネ
ジ加工時に発生する応力によってネジ山が飛んでしま
い、うまく加工できない。即ち、加工性が悪化するとい
う問題が生じるので好ましくない。また、ネジ山加工が
出来ても、このネジ山では、軸方向の単純引張りに対し
てしか、繊維強化の効果がなく、ナットと嵌合し応力を
かけた際にネジ山が容易に剥離しでしまい、要求される
程度の力学的強度を実現できないので、好ましくない。
また、θが60°を超えると、ネジ山加工は比較的容易
になるものの、本体に対しボルト軸方向の強化効果が非
常に小さく、本体と周面層での繊維配向角度の差も大き
いため、ナットと嵌合し応力をかけた際に、本体と周面
層との間で亀裂を生じ,本体と周面層が互いに抜けてし
まい,要求される力学的強度を実現できないので、好ま
しくない。
【0043】また、上記各配向層の角度θは、下記の如
くすることもできる。即ち、配向層21(21’)から
配向層20n(20n’)まで、順次角度を変更するこ
ともできる。例えば、配向層21(21’)の角度を+
θ1 とし、配向層22(22’)の角度を−θ1 とした
場合に、配向層20nー1(20n−1’)の角度が+
60゜、配向層20n(20n’)の角度が−60゜と
なるように、各配向層において角度をα゜刻みで配向角
度を増していくこともできる。ここで、θ1 は、0<θ
1 ≦60゜、αは、0<α≦60゜の任意の値である
が、好ましくは、0<θ1 ≦5゜、0<α≦5゜であ
る。θ1 が5゜を超えると、本体と周面層との繊維強化
方向の差が大きくなるために、ネジに応力がかかったと
きにこの面での剥離を生じやすいので好ましくない。ま
た、αが5゜を超えると、周面層一層あたりでの繊維強
化方向の差が大きくなるために、各層の間での剥離が起
こりやすくなり、要求される力学的強度を実現できない
ので好ましくない。
【0044】従って、例えば、θ1 が5゜で、αが5゜
である場合には、配向層22(22’)と配向層20n
−1(20n−1’)との間には、±10゜、±15
゜、±20゜、±25゜、±30゜、±35゜、±40
゜、±45゜、±50゜、±55゜の層が、合計20×
2層存在することになる(即ち、配向層が合計48層あ
る)。
【0045】また、上記本体10における上記無機長繊
維2の密度は、2.1〜4.9g/cm3 とするのが好ま
しく、長さは、締結用部材(ボルト)長さと等しいこと
が好ましく、繊維径は、5〜200μmとするのが好ま
しい。上記ガラスセラミックス3の密度は、2.2〜
3.8g/cm3 とするのが好ましい。また、上記周面層
20における上記無機長繊維2の密度は、2.1〜4.
9g/cm3 とするのが好ましく、長さは、ネジ山の山径
の周の長さの1/20〜締結用部材の長さとネジ山の山
径の周の長さの20倍の長さとのどちらか短い方、とす
るのが好ましく、繊維径は、5〜200μmとするのが
好ましい。上記ガラスセラミックス3の密度は、2.2
〜3.8g/cm3 とするのが好ましい。
【0046】次いで、本発明の締結用部材の他の形態に
ついて図4及び5を参照して説明する。尚、特に詳述し
ない点については、上述した図1〜3に示す形態におい
てしたた説明が適宜適用される。図4及び5に示す形態
の締結用部材としてのボルト1は、図4(A)及び
(B)に示すように、強化材としての無機長繊維2とマ
トリックスとしてのガラスセラミックス3とからなる。
そして、上記ボルト1は、図4(A)及び(B)に示す
ように、丸棒状の本体10と、該本体10の外周面に位
置しネジ山を形成する周面層20とからなる。また、上
記周面層20は、図4(B)及び図5に示すように、そ
れぞれ、円筒状の配向層21,22,・・・・20nか
らなる。各配向層21,22・・・は、それぞれ、図5
に示すように、円筒状であり、螺旋状に無機長繊維2が
配されてなる。そして、上記配向層21においては角度
+θで上記無機長繊維2が配されており、第2配向層2
2においては角度−θで上記無機長繊維2が配されてい
る。このように、本形態においては、角度+θで無機長
繊維が配されてなる配向層と−θで無機長繊維が配され
てなる配向層とが交互に配されている。尚、上記無機長
繊維の密度や繊維径並びにガラスマトリックスの密度に
ついては、上述した図2及び3に示す形態においてした
説明が適用されるが、無機長繊維の長さは、螺旋状に配
することが可能であれば良く、締結用部材の長さの5倍
の長さ程度までとするのが好ましい。
【0047】また、上記周面層は、下記の如くすること
もできる。即ち,図6に示すように、本体中心軸に対し
点対称な繊維配向を持つ、上方の配向層21,22・・
・20nと下方の配向層21’,22’・・・20n’
とからなり、上方の配向層21,22・・・20nと下
方の配向層21’,22’・・・20n’とで円筒状の
配向層を形成するように構成することもできる。
【0048】本発明の締結用部材は、上述の如く、無機
長繊維とガラスセラミックスとにより構成されているの
で、緻密な構造を有するものであり、各種強度に優れ、
更には、耐熱性、耐環境性にも優れたものである。ここ
で、「緻密」とは、マトリックス中に空孔等が実質的に
存在しないことを意味し、具体的には、その見かけ密度
が,理論密度の95%以上であることをいう。
【0049】尚、上述の説明においては、ボルトを例示
して説明したが、本発明の締結用部材の構成はナットに
ついても適用することができる。この際、ナットにおい
ては、軸方向はボルトの軸方向と同じ(ナットの内周の
円心軸方向)であり、周面層はナットの内周面において
ネジ山を形成する周面である。尚、ナットの場合には、
無機長繊維が、0°方向に配されたプリプレグシートと
90°方向に配されたプリプレグシートとを交互に積層
してなる二方向強化積層板を用い、該二方向強化積層板
がナットの軸方向となるようにネジ穴を機械加工して、
製作しても良い。
【0050】次いで、本発明の締結用部材の製造方法に
ついて説明する。本発明の締結用部材は、上記無機長繊
維と上記ガラスセラミックスを用いて常法に従って繊維
強化基材を作成し、次いで、機械的加工により任意のボ
ルト形状等とすることにより、得ることができる。
【0051】更に、上記の図2に示す形態のボルトの如
く、本体と該本体とは無機長繊維の配向方向が異なる周
面層とを有する締結用部材は、好ましくは下記の方法
i)とii)等により製造される。 i)本体となる複合材丸棒を成形し、次いで、該丸棒の
周面に周面層を形成する方法(図2及び3に示す形態の
ボルト並びに図6に示すボルトを製造するのに好適な方
法)。 ii)本体と周面層とを同時に成形する方法(図4及び
5に示す形態のボルトを製造するのに好適な方法)。
【0052】上記i)の方法について詳述すると、上記
i)の方法においては、先ず、上記本体を構成する丸棒
を製造する。次いで、該丸棒の上下に無機長繊維とマト
リックス粉体とこれらを接着する有機バインダーとから
なるプリプレグシートの積層体を所望の周面層構造をと
るように配し、図7に示すホットプレス装置を用いて、
擬似等方的にホットプレスし、次いで更に熱処理するこ
とによって基材を得る。図7に示すホットプレス装置に
ついて詳述すると、図7に示すホットプレス30は、公
知のホットプレス装置と同様のものであり、上部パンチ
棒31と、下部パンチ棒32と、該上部パンチ棒31及
び該下部パンチ棒32を支持するダイス33と、該上部
パンチ棒31の下方及び該下部パンチ棒32の上方にそ
れぞれ配されたグラファイト粉末などからなる圧力媒体
粉末34とからなり、両圧力媒体粉未34間に上記無機
長繊維プリフォーム(プリプレグシート)を複数枚挟持
させることにより、加圧を行うことができる。また,こ
こで、「擬似等方的」とは、図7に示されるようにホッ
トプレスされるプリフォームの周囲に、例えば炭素粉末
などのこの製造方法における成形条件では焼結しない無
機粉体を配し、これを圧力媒体としてホットプレスを行
い異形の材料を成形することを言う。そして、得られた
基材を通常の機械加工によって任意のボルト形状に仕上
げ、所望の締結部材を得る。
【0053】上記丸棒は、無機長繊維の表面にマトリッ
クス原料粉末を付着せしめ、1方向に引きそろえたシー
ト状物を製造し、これを同方向に多数積層し、図7に示
す装置を用いてホットプレスし、更にその後熱処理して
平板を得る。次いで、得られた平板を機械加工すること
によって得ることができる。上記ホットプレスは、圧力
を0.1〜20MPaとし、加圧時間を5〜60分間と
し、温度を800〜1100℃として行うのが好まし
い。また、上記熱処理の条件は、1100〜1400℃
で、1〜24時間とするのが好ましい。また、上記熱処
理は、上記ホットプレスの終了後すぐに行うのが好まし
い。
【0054】丸棒とプリプレグシートとの上記ホットプ
レスについて図8を参照して説明すると、得られた丸棒
状の本体の上方及び下方にそれぞれ平板状のプリプレグ
シート21A,21A’,22A,22A’・・・・を
所望の枚数配し、上部及び下部パンチ棒31,32を、
矢印方向に向けてプレスすることにより、圧力媒体粉末
34を介して、上記疑似等方的ホットプレスを行うこと
ができる。そして、上記プリプレグシートにおける無機
長繊維の配向方向を種々変更することにより、各配向層
における上記角度θを種々変更することができる。ま
た、プリプレグシートの幅を調節することにより、図2
及び3に示す形態としたり、図6に示す形態とすること
ができる。
【0055】上記本体と、上記プリプレグシートの積層
体とをホットプレスする際の条件は、圧力を0.1〜2
0MPaとし、加圧時間を5〜60分間とし、温度を8
00〜1100℃とするのが好ましい。また、上記熱処
理の条件は、1100〜1400°Cで、1〜24時間
とするのが好ましい。また、上記熱処理は、上記ホット
プレスの終了後すぐに行うのが好ましい。
【0056】次いで、上記ii)の方法について詳述す
ると、上記ii)の方法は、先ず、目的とする締結用部
材(ボルト)に適するプリフォーム、即ち、丸棒状の上
記本体と円筒状の上記周面層とを構成するように、所定
角度に無機長繊維を配してなる無機長繊維プリフォーム
を製造する。次いで、この無機長繊維プリフォームを通
常の成形型にセットし、溶融したマトリックス原料を流
し込み、冷却過程で所望のガラスセラミックス結晶相を
析出させて基材を得る。得られた基材を、機械加工によ
って任意のボルト形状等の所望の形状に仕上げ、本発明
の締結用部材を得る。
【0057】上記無機長繊維プリフォームは、まず中心
部に一方向に引きそろえた無機長繊維を配し、その外側
に螺旋状に繊維を巻き付け,1層毎にその巻き付け方向
を変えていくことで製造できる。また、この際、上記無
機長繊維プリフォームは有機バインダーによって固化さ
れ、保形されていることが好ましい。この繊維プリフォ
ームを、マトリックスと高温で反応しないよう離型剤を
塗ったグラファイト製ダイスの底の所定位置に置き、そ
の上部にマトリックス原料粉末を詰める。そして、上記
ダイスを加熱し、マトリックスガラスを溶解させて、繊
維プリフォームに浸透させる。このとき、図9に示すよ
うなダイスを有するホットプレス装置を用い、短時間に
加圧することによって浸透を短時間かつ空孔を生じない
ように行うことが好ましい。
【0058】図9に示すホットプレス装置について詳述
すると、図9に示すホットプレス50は、公知のホット
プレス装置と同様のものであり、上部パンチ棒51と、
プリフォームをセットする溝54のついた下部パンチ棒
52と該上部パンチ棒51及び該下部パンチ棒52を支
持するダイス53とから成り、下部パンチ棒52の溝5
4に繊維プリフォームをセットし,その上部にマトリッ
クス粉体を上部パンチ棒51との間に挟持させることに
より,加圧を行うことが出来る。
【0059】上記ホットプレス装置を用いてホットプレ
スする場合、圧力は5〜30MPaとするのが好まし
く、加圧時間は、2〜10分間とするのが好ましく、ま
た温度は、1400〜1600℃とするのが好ましい。
【0060】その後、降温過程において、熱処理を行
い、マトリックスガラス中に所望のガラスセラミックス
相を析出させる。上記熱処理の条件は、1000〜14
00℃で、1〜24時間とするのが好ましい。また、上
記熱処理は、1000℃まで一旦隆温させた後行うのが
好ましい。
【0061】そして、得られた基材について、通常の機
械加工を施して、ボルト形状などの所望の形状とするこ
とにより、本発明の締結部材を得ることができる。
【0062】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0063】<実施例1>無機長繊維〔Si‐Ti−C
‐O繊維、宇部興産(株)製、商品名「チラノ繊維Fグ
レード」〕を開繊し、ガラスセラミックス粉体(SrO
−MgO−Al2 3 −SiO2 、配合比(SrO:M
gO:Al2 3 :SiO2 =18:4:28:50)
2500gを水8000gと有機バインダー(ポリエチ
レンオキサイド)500gとからなる分散媒中に分散し
てなるスラリーに浸漬させて含浸させ、巻き取り、乾燥
することによって1方向プリプレグシートを製造した。
【0064】得られたプリプレグシートを積層して積層
板を得た。尚、各プリプレグシートにおける繊維配向方
向は同一方向として積層した。得られた積層板を、10
00℃で20分間、10MPaでホットプレスし、さら
に1300℃で1時間熱処理を行って結晶化を行うこと
により、1方向に繊維が配向されてなる繊維強化複合材
料の厚板を製造した。得られた厚板を用いて、長手方向
に繊維が配向するように、φ4mm×L50mmの丸棒
を加工した。得られた丸棒に+5°〜+60。まで、ま
た−5°から−60°まで5°刻みで配向角を傾けた計
24枚のプリプレグシート(各厚さ200μm)を、+
の角度の層と−の角度の層とが交互に積層されるように
積層し、プリフォームとした。
【0065】図7に示すグラファイト製ダイス内部にこ
のプリフォームを配し、その上下に炭素粉末を充墳し、
1000℃でl時間、10MPaで擬似等方的にホット
プレスし、さらに1300℃で1時間熱処理を行って結
晶化を行うことにより緻密な成形体を得、これをネジ用
基材とした。このネジ用基材を機械加工して、図1〜3
に示す本体と該本体の周面に配された24層の配向層か
らなる周面層とからなるM10ネジを得た。
【0066】得られたM10ネジは、室温引張り強度が
380MPaであり、また、1000℃空気中での引張
り強度は350MPaであった。
【0067】<実施例2>無機長繊維〔Si‐Ti‐C
‐O繊維、字部興産(株)製、商品名「チラノ緩維Fグ
レード」〕を開繊し、ガラスセラミックス粉体(BaO
−MgO−Al23 −SiO2 、配合比BaO:Mg
O:Al2 3 :SiO2 =14:8:28:50)2
700gを水8000gと有機バインダー(ポリエチレ
ンオキサイド)270gとからなる分散媒中に分散して
なるスラリーに浸漬させて含浸させ、巻き取り、乾燥す
ることによって1方向プリプレグシートを製造した。
【0068】得られたプリプレグシートを積層して積層
板を得た。尚、各プリプレグシートにおける繊維配向方
向は同一方向として積層した。得られた積層板を、10
00℃で30分間、10MPaでホットプしスし、さら
に1300℃で1時問熱処理を行って結晶化を行うこと
により、1方向に繊維が配向されてなる繊維強化複合材
料の厚板を得た。得られた厚板を用いて、長手方向に繊
維が配向するように、φ5mm×L50mmの丸棒を加
工した。得られた丸棒に+5°〜+60°まで、また−
5°〜−60°まで5°刻みで配向角を傾けた計24枚
のプリプレグシート(各厚さ300μm)を+の角度の
層と−の角度の層とが交互に積層されるように積層し、
プリフォームとした。
【0069】図7に示すグラファイト製ダイス内部にこ
のプリフォームを配し,その上下に炭素粉末を充旗し、
1000℃で1時間、10MPaで擬似等方的にホット
プレスし、さらに1300℃で1時間熱処理を行って結
晶化を行うことにより緻密な成形体を得、これをネジ用
基材とした。このネジ用基材を機械加工して、図1〜3
に示す本体と該本体の周面に配された24眉の配向層か
らなる周面層とからなるM10ネジを得た。得られたM
10ネジは、室温引張り強度が320MPaであり、1
000℃空気中での引張り強度は300MPaであっ
た。
【0070】<実施例3>炭化ケイ素構維〔日本カーボ
ン(株)製、商品名「ニカロン」〕を開繊し、ガラスセ
ラミックス粉体(BaO−MgO−Al2 3 −SiO
2 、配合比BaO:MgO:Al2 3 :SiO2 =1
5:4:29:52)と炭化ケイ素粉末とを重量比で
6:1に混合した混合物3500g、水5000g、エ
タノール3000g及び有機バインダー(ポリビニルア
ルコール)400gからなる分散媒中に分散してなるス
ラリーに浸漬させて含浸させ、巻き取り、乾燥すること
によって1方向プリプレグシートを製造した。
【0071】得られたプリプレグシートを積層して積層
板を得た。尚、各プリプレグシートにおける繊維配向方
向は同一方向として積層した。得られた積層板を、10
00℃で1時間、10MPaでホットプレスし、さらに
1300℃で1時間熱処理を行って結晶化を行うことに
より、1方向に繊維が配向されてなる繊維強化複合材料
の厚板を製造した。得られた厚板を用いて、長手方向に
繊維が配向するように、φ5mm×L50mmの丸棒を
加工した。得られた丸棒に+7.5°〜+60°まで、
また−7.5°から−60°まで7.5°刻みで配向角
を傾けた計16枚のプリプレグシート(各厚さ250μ
m)を+の角度の層と−の角度の層とが交互に積層され
るように積層し、プリフォームとした。
【0072】図7に示すグラファイト製ダイス内部にこ
のプリフォームを配し、その上下に炭素粉末を充填し、
1000℃で1時間、10MPaで擬似等方的にホット
プレスし、さらに1300℃で1時間熱処理を行って結
晶化を行うことにより緻密な成形体を得、これをネジ用
基材とした。このネジ用基材を機械加工して、図1〜3
に示す本体と該本体の周面に配された16層の配向層か
らなる周面層とからなるM10ネジを得た。得られたM
10ネジは、室温引っ張り強度が200MPaであっ
た。また、1000℃空気中での引張り強度は180M
Paであった。
【0073】<実施例4>無機長繊維として下記の組成
の微結晶質の集合体からなるものを用いた。組成:S
i,N,C、O及びHからなり、内部の元素組成が、S
i:59.2wt%、N:37.5wt%、C:1.5
wt%、O:1.5wt%、H:0.3wt%であり、
主たる微結晶質が2000Å以下のSi3 4 である微
結晶質の集合体。そして、上記の組成を有し、繊維径が
10〜20μmである繊維に、0.5〜1wt%のポリ
ビニルアルコールでサイジングが施されて200フィラ
メント/ヤーンの繊維束となされた無機長繊維のフィラ
メントの集合体を開繊し、ガラスセラミックス粉体(B
aO−MgO−Al2 3 −SiO2 、配合比BaO:
MgO:Al2 3 :SiO2 =14:8:28:5
0)2600gと水8000gと有機バインダー(ポリ
エチレンオキサイド)450gとからなる分散媒中に分
散してなるスラリーに含浸し、巻き取り、乾燥すること
によって1方向プリプレグシートを製造した。
【0074】得られたプリプレグシートを積層して積層
板を得た。尚、各プリプレグシートにおける繊維配向方
向は同一方向として積層した。得られた積層板を、10
00℃で30分間、10MPaでホットプレスし、さら
に1300℃で1時間熱処理を行って結晶化を行うこと
により、1方向繊維強化複合材料の厚板を製造した。得
られた厚板を用て、長手方向に繊維が配向するように、
φ5mm×L50mmの丸棒を加工した。得られた丸棒
に+60°の配向角度を持ったプリプレグシートと−6
0°の配向角を持ったプレグシート各16枚のプしグシ
ート(各厚さ200μm)を+の角度の層と−の角度の
層とが交互に積層されるように積層し、プリフォームと
した。
【0075】図7に示すグラファイト製ダイス内部にこ
のプリフォームを配し、その上下に炭素粉末を充填し、
1000℃で1時間、10MPaで擬似等方的にホット
プレスし、さらに1300℃で1時間熱処理を行って結
晶化を行うことにより緻密な成形体を得、これをネジ用
基材とした。このネジ用基材を機械加工して、図1〜3
に示すように本体と該本体の周面に配された2層の配向
層からなる周面層とからなるM10ネジを得た。得られ
たM10ネジは、室温引張り強度が220MPaであ
り、1000℃空気中での引張り強度は200MPaで
あった。
【0076】<実施例5>無機長繊維として下記の組成
の集合体からなるものを用いた。 組成:A1,Si、B,0からなり、内部の元素組成
が、A1:37.1wt%、Si:18.1wt%、
B:O.6wt%、O:44.2wt%であり、γ−あ
るいはη−アルミナの微結晶体の集合体と非晶質のSi
2 とからなる集合体。そして、上記の組成を有し、繊
維径が10〜20μmである織維の表面に100nmの
BNコーティングがなされ、0.5〜1wt%のポリビ
ニルアルコールでサイジングが施されている1800フ
ィラメント/ヤーンの繊維束となされた無機長繊維のフ
ィラメントの集合体を開繊し、ガラスセラミックス粉体
(BaO−MgO−Al2 3 −SiO2 ,配合比Ba
O:MgO:Al2 3 :SiO 2 =14:8:28:
50)及び炭化ケイ素粉末を重量比で6:1で混合して
なる混合物3600gと水6000gとエタノール20
00g有機バインダー(ポリビニルアルコール)600
gとからなる分散媒中に分散してなるスラリーに含浸
し、巻き取り、乾燥することによって1方向プリプレグ
シートを製造した。
【0077】得られたプリプレグシートを積層しで積層
板を得た。尚、各プリプレグシートにおける繊維配向方
向は同一方向として積層した。得られた積層板を、10
00℃で1時間、10MPaでホットプレスし、さらに
1300℃で1時間熱処理を行って結晶化を行うことに
より、1方向に繊維が配向されてなる繊維強化複合材料
の厚板を製造した。得られた厚板を用いて、長手方向に
繊維が配向するように、φ5mm×L50mmの丸棒を
加工した。得られた丸棒に、+7.5°〜+60°ま
で、また−7.5°〜−60°まで7.5°刻みで配向
角を傾けた計16枚のプリプレグシート(各厚さ300
μm)を+の角度の層と−の角度の層とが交互に積層さ
れるように積層し、プリフォームとした。
【0078】図7に示すグラファイト製ダイス内部にこ
のプリフォームを配し、その上下に炭素粉未を圧力媒体
として配し、1000℃でl時間、10MPaで擬似等
方的にホットプレスし、さらに1300℃で1時間熱処
理を行って結晶化を行うことにより緻密な成形体を得、
これをネジ用基材とした。このネジ用基材を機械加工し
て図1〜3に示す本体と該本体の周面に配された16層
の配向層からなる周面層とからなるMl0ネジを得た。
得られたM10ネジは、室温引っ張り強度が180MP
aであった。また、1000℃空気中での引張り強度は
170MPaであった。
【0079】<実施例6>無機長繊維〔SiC繊維、テ
キストロン社(株)製、商品名「SCS−6」〕を,2
0cmの長さに切りそろえ,1列に並べた。ガラスセラ
ミックス粉体(SrO−MgO−Al2 3 −Si
2 、配合比(重量比,以下配合比はすべて重量比であ
る)SrO:MgO:Al2 3 :SiO2 =18:
4:28:50)2500gを水8000gと有機バイ
ンダー(ポリビニルアルコール)500gとからなるス
ラリーをこの整列した繊維列の上に塗布し,乾燥した。
得られた簾状のシートを巻いて,直径約5mmの棒状に
し,ポリビニールアルコールの5%溶液を塗布,乾燥
し,棒状プリフォームを作成した。得られた棒状プリフ
ォームに,無機長繊維〔Si‐Ti−C‐O繊維、宇部
興産(株)製、商品名「チラノ繊維LoxEグレー
ド」〕に5%のポリエチレン溶液を含浸した繊維束を、
上記棒状プリフォームの軸方向に対して配向角が60°
になるように隙間なく巻いていき、端まで巻き終わった
ら,反転する(配向角−60°とする)ことにより,配
向方向の異なる繊維束の層を交互に形成した。この操作
を繰り返して、26層(各厚さ100μm)層を持つ繊
維プリフォームを製造し,乾燥した。乾燥後、有機バイ
ンダーによって固化された繊維プリフォームを,5cm
の長さに切断した。
【0080】切断された繊維プリフォームを,図9に示
す下部パンチ棒52の溝54にセットし,その上部に適
量のガラスセラミックス粉体(SrO−MgO−Al2
3−SiO2 、配合比(SrO:MgO:Al
2 3 :SiO2 =18:4:28:50)を投入し,
上部パンチ棒51をセットし,1500℃,15MPa
で10分間ホットプレスをし,1000℃まで降温した
後,再び1300℃で1時間熱処理を行って成形体を
得,ネジ用基材とした。このネジ用基材を機械加工し
て、図1、4及び5に示す本体と該本体の周面に配され
た26層の円筒状の配向層よりなる周面層とからなるM
10ネジを得た。
【0081】得られたM10ネジは、室温引張り強度が
180MPaであり、また、1000℃空気中での引張
り強度は160MPaであった。
【0082】尚、上述の実施例においてそれぞれ測定さ
れる上記の室温及び1000℃での引っ張り強度は、そ
れぞれ、下記の如くして測定されるものである。即ち、
上記M10ネジに同一素材からなる、二方向強化積層板
(無機長繊維を0°方向に配向させたシートと90°方
向に配向させたシートを積層したもの)の厚さ方向にネ
ジ穴加工を行った、外径17m/m角、高さ8m/mの
複合材料ナットを嵌合し、ナットの間隔を3cmとなる
ようにして、ナットを引張り試験の治具(試験機「引張
圧縮試験機、AL−50kN」ミネベア製)に取り付
け,1cm/minの速度で引張った。この時の破壊荷
重をネジの有効径と谷径との平均径を有効断面積の径と
して計算した値である。
【0083】<参考例1>炭素繊維〔東レ(株)製、商
品名「T300」]を開繊し、ガラスセラミックス粉体
(BaO−MgO−Al2 3 −SiO2、配合比Ba
O:MgO:Al 2 3 :SiO2 = 41: 1:1
0:48)とアルミナ粉末とを重量比で5:1に混合し
てなる混合物3200gを、水8000g、及び有機バ
インダー(ポリエチレンオキサイド )500gからな
る分散媒中に分散してなるスラリーに含浸させ、巻き取
り、乾燥することによって1方向プリプレグシートを製
造した。
【0084】得られたプリプレグシートを積層して積層
板を得た。尚、各プリプレグシートにおける繊維配向方
向は同一方向として積層した。得られた積層板を、10
00℃で1時間、10MPaでホットプレスし、さらに
1200℃で30分間熱処理を行って結晶化を行うこと
により、1方向に繊維が配向されてなる繊維強化複合材
料の厚板を製造した。得られた厚板を用いて長手方向に
繊維が配向するように、φ5mm×L50mmの丸棒を
加工した。得られた丸棒に+60°の配向角度を持った
プリプレグシートと−60°の配向角を持ったプリプレ
グシート各10枚(各厚さ200μm)を+の角度の層
と−の角度の層とが交互に積層されるように積層し、プ
リフォームとした。
【0085】図7に示すグラファイト製ダイス内部にこ
のプリフオームを配し、その上下に炭素粉末を圧力媒体
として配し、1000℃で1時間、10MPaでホット
プレスし、さらに1200℃で30分間熱処理を行って
結晶化を行うことにより成形体を得、ネジ用基材とし
た。このネジ用基材を機械加工して図1〜3に示す形状
のM10ネジを得た。得られたM10ネジは、室温引っ
張り強度が180MPaであったが、空気中1000℃
での引張り強度は40MPaであった。
【0086】
【発明の効果】本発明の締結用部材は、耐熱性に優れ、
更には室温から高温までの大気中のような実使用環境下
で使用しても、経時的な機械的特性の低下が少なく、引
張り強度、ネジ山部の強度及び耐環境性に優れたもので
ある。更に詳述すると、本発明の締結用部材は、緻密な
GMC素材からなるので、ネジ加工性が容易であるのみ
ならず、ネジ山に応力がかかった際に破壊の起点となる
ボイド等の欠陥が従来の複合材料に比べてきわめて少な
く、ほとんど存在しない。このため、材料本来の強度が
発現できるものである。また、マトリックスであるガラ
スセラミックス及び強化材である無機長繊維が耐酸化性
に優れるため、室温から高温まで大気中でも性能が落ち
ることなく使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の締結用部材の1形態としてのボ
ルトの斜視図である。
【図2】図2(A)は、図1に示す締結用部材のA−A
断面の1形態を模式的に示す断面図であり、図2(B)
は図1に示す締結用部材のB−B断面の1形態を模式的
に示す断面図である。
【図3】図3は、図2に示す締結用部材における周面層
を示す斜視図である。
【図4】図4(A)は、図1に示す締結用部材のA−A
断面の他の形態を示す断面図であり、図4(B)は図1
に示す締結用部材のB−B断面の他の形態を示す断面図
である。
【図5】図5は、図4に示す締結用部材における周面層
を示す斜視図である。
【図6】図6は、図1に示す締結用部材のB−B断面の
他の形態を示す断面図である。
【図7】図7は、擬似等方的ホットプレスに用いられる
装置の概略図である。
【図8】図8は、擬似等方的ホットプレスの概要を示す
概略図である。
【図9】図9は、ホットプレスに用いられる装置の概略
図である。
【図10】図10は、従来のボルトの斜視図である。
【符号の説明】
1 ボルト(締結用部材) 2 無機長繊維 3 ガラスセラミックス 10 本体 20 周面層 21,22,・・・20n 配向層 30 ホットプレス装置 31 上部パンチ装置 32 下部パンチ棒 33 ダイス 34 圧力媒体粉末(グラファイト粉末など) 35 プリフォーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 拓夫 神奈川県藤沢市片瀬1−1−1 ミネベ ア株式会社 藤沢製作所内 株式会社先 進材料利用ガスジェネレータ研究所 片 瀬分室内 (72)発明者 島田 行夫 神奈川県藤沢市片瀬1−1−1 ミネベ ア株式会社 藤沢製作所内 株式会社先 進材料利用ガスジェネレータ研究所 片 瀬分室内 (72)発明者 鈴村宣行 東京都保谷市新町3−12−12 株式会社 先進材料 利用ガスジェネレータ研究所 田無分室内 (56)参考文献 特開 平3−140609(JP,A) 特開 平6−114859(JP,A) 特開 平2−34574(JP,A) 特開 平7−247175(JP,A) 特開 平8−188479(JP,A) 特開 平7−315946(JP,A) 特公 平5−30614(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 1/00 - 14/00 C04B 35/80 F16B 33/00,35/00,37/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機長繊維とガラスセラミックスとの複
    合材料からなり、 上記無機長繊維が、炭化ケイ素系繊維、窒化ケイ素系繊
    維及びアルミナ系繊維からなる群より選択される1種以
    上であり、 上記ガラスセラミックスが、Al23,SiO2,Sr
    O及び/又はBaOを必須成分として含むガラスセラミ
    ックスである締結用部材であって、 上記締結用部材は、本体と該本体の周囲に位置する周面
    層とを有し、 上記本体においては、上記無機長繊維が該本体の軸方向
    に配向しており、 上記周面層においては、上記無機長繊維は上記軸方向に
    対して5゜<θ≦60゜の角度を持って配向されてい
    る、ことを特徴とする締結用部材
  2. 【請求項2】 上記ガラスセラミックスが、更にMgO
    を含むことを特徴とする請求項1記載の締結用部材。
  3. 【請求項3】 上記無機長繊維は、下記(1)の炭化ケ
    イ素系繊維であることを特徴とする請求項1記載の締結
    用部材。 (1)実質的にSiと、Ti及び/又はZrと、Cと、
    Oとからなる非晶質、該非晶質並びに500Å以下のβ
    −SiCと、TiC及び/又はZrCとの結晶質の集合
    体、又は該結晶質並びにその近傍に存在するSiOx
    と、TiOx及び/又はZrOx(0<x≦2)とから
    なる非晶質の混合系であり、且つ 元素組成は、Siが45〜60wt%、Ti及び/又は
    Zrが0.2〜5wt%、Cが20〜45wt%、Oが
    0.1〜20.0wt%である炭化ケイ素系繊維。
  4. 【請求項4】 上記無機長繊維は、下記(2)の炭化ケ
    イ素系繊維であることを特徴とする請求項1記載の締結
    用部材。 (2)元素組成が、Siが30〜80wt%、Cが20
    〜70wt%、Hが2wt%以下であり、且つ、 実質的にSi,Cからなる非晶質及び/又は10000
    Å以下のβ−SiCの結晶質及び炭素の凝集体からなる
    炭化ケイ素系繊維。
  5. 【請求項5】 上記無機長繊維は、下記(3)の炭化ケ
    イ素系繊維であることを特徴とする請求項1記載の締結
    用部材。 (3)元素組成が、Siが30〜80wt%、Cが10
    〜65wt%、Oが0.05〜25wt%、Hが2wt
    %以下であり、且つ、 実質的にSi,C及びOからなる非晶質物質、又は10
    00Å以下のβ−SiCの結晶質の集合体と非晶質のS
    iO2 とからなる集合体である炭化ケイ素系繊維。
  6. 【請求項6】 上記無機長繊維は、下記(4)の窒化ケ
    イ素系繊維であることを特徴とする請求項1記載の締結
    用部材。 (4)Siと、N及びO、C,H、金属類(元素周期律
    表第II族〜第VIII族の金属元素の群から選択され
    る少なくとも一種類)からなり、各元素の比率が 原子
    比で表して N/Si=0.3〜3 O/Si=15以下 C/Si=7以下 H/Si=1以下 金属類/Si=5以下 であり、且つ、 X線小角散乱強度比が1゜及び0.5゜において各々1
    倍〜20倍である窒化ケイ素系繊維。
  7. 【請求項7】 上記無機長繊維は、下記(5)のアルミ
    ナ系繊維であることを特徴とする請求項1記載の締結用
    部材。 (5)実質的にAl、Si、B及びOからなるムライト
    並びに/又はγ−アルミナ及びη−アルミナの微結晶と
    非晶質のSiO2との集合体であるアルミナ系繊維。
  8. 【請求項8】 上記ガラスセラミックスは、その主結晶
    相としてセルシアン(SrO(及び又はBaO)・Al
    23・2SiO2)、バリウムオスミライト(BaO・
    2MgO・3Al23・9SiO2)、又はコージェラ
    イト(2MgO・2Al23・5SiO2)を有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の締結用部材。
  9. 【請求項9】 上記締結用部材は、本体と、該本体の外
    周面又は内周面に位置しねじ山を形成する周面層とから
    なり、 上記本体において、上記無機長繊維は、締結用部材の軸
    方向に向けて配されており、 上記周面層において、上記無機長繊維は、締結用部材の
    軸方向に対して所定角度をもって配されていることを特
    徴とする請求項1記載の締結用部材。
  10. 【請求項10】 ボルト又はナットである請求項1記
    載の締結用部材。
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