JP3258842B2 - 複合材料用複合化強化材 - Google Patents

複合材料用複合化強化材

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JP3258842B2 JP00767595A JP767595A JP3258842B2 JP 3258842 B2 JP3258842 B2 JP 3258842B2 JP 00767595 A JP00767595 A JP 00767595A JP 767595 A JP767595 A JP 767595A JP 3258842 B2 JP3258842 B2 JP 3258842B2
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保男 松森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合材料用複合化強化
材に関し、更に詳しくは、高融点のチタン系合金又は各
種セラミックスと複合化して、金属マトリックス複合体
(MMC)又はセラミックスマトリックス複合体(CM
C)を調製する際の強化材として有用な複合材料用複合
化強化材に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、宇宙・航空分野等に用いる材料として、耐熱性、機
械的特性に優れた材料が種々開発されており、その代表
的なものとして、金属マトリックス複合体(MMC)
や、セラミックスマトリックス複合体(CMC)等が提
案されている。
【0003】上記MMCとしては、例えば、下記の複
合体等が提案されている。 マトリックスとして、鋼、超耐熱合金又は耐熱共晶合
金に比べ、比強度、比弾性が大きく且つ耐蝕性にも優れ
ており、またAl合金に比べ、使用限界温度(例えば7
23K)が高いことから、Ti−6Al−4V等のα+
β型又はTi−15V−3Cr−3Sn−3Al等のβ
型等のチタン合金を用い、強化材として、繊芯が炭素繊
維で、その外側にCVD法によりSiCを蒸着してなる
SiC/C 複合繊維(例えば、Textron 社製のものが
最も広く使用されている)を用いて形成されてなる複合
体。
【0004】上記の複合体は、上記チタン合金に対
し、強化材として充分にその性能が発揮される上記Si
C/C繊維を用いているため、高性能を示すことが報告
されている〔日本複合材料学会誌Vol.17、No. 1(1
991)、24−31の中の頁25参照〕。例えば、上
記強化材として、炭素繊維(PAN系、ピッチ系)、A
2 3 繊維(Du Pont 社製、3M社製、住友化学社
製、他)、SiC繊維〔「ニカロン」商品名,日本カー
ボン(株))製〕、Si−Ti−C−O繊維〔「チラノ
繊維」商品名、宇部興産(株)製〕、Si−C−N系繊
維〔「HPZ繊維」商品名、ダウコーニング(株)
製〕、Si3 4 繊維〔東燃(株)製〕等、他の全ての
耐熱繊維を用いた場合は、上記チタン合金との複合化の
際に、Ti合金と著しく反応する(繊維によって程度は
異なる)ため、全く強化効果が得られないか、反応劣化
が小さくてもあまり補強効果が得られないので、上述の
如く、宇宙・航空分野に用いるには充分な性能を示すも
のではない。
【0005】しかしながら、上記の複合体では、下記
(イ)又は(ロ)の欠点がある。 (イ)上記強化材における繊芯の炭素繊維とその外側の
SiCとで熱膨張係数が極端に異なるため、熱サイクル
疲労(低温−高温繰り返し)特性に著しく劣り、高温構
造部材における強化材としては信頼性の面で使用が難し
い。 (ロ)上記強化材をCVD法で作製するため高価格(1
00万円/kg以上)であり、価格を全く気にしない特殊
な軍事用途位にしか用いることができない。また、航空
機産業でも最近は価格が問題になっており、実用部材価
格としては、20〜30万円/kgが限度であることに鑑
みても上記強化材は実用的ではない。
【0006】また、上記MMCとしては、下記の複合
体も提案されている。 マトリックスとして、上記のチタン合金よりもさら
に高耐熱性であるTi 3 Al、TiAl、Nb3 Al等
の金属間化合物を用い、強化材として上記と同様に複
合化の際における反応劣化を考慮してSiC/C繊維を
用いて形成されてなる複合体。
【0007】しかしながら、上記の複合体において
も、上記SiC/C繊維が複合体製造時に反応劣化する
問題があり、上記ほどの性能が発現されていないのが
現状である。
【0008】また、上記CMCとしては、下記〜等
が提案されている。尚、上記CMCにおいては、耐熱・
耐酸化性、性能安定性(量産、市販されていること)等
から、強化材として、Si−Ti−C−O繊維〔「チラ
ノ繊維」商品名、宇部興産(株)製〕、SiC繊維
〔「ニカロン」商品名、日本カーボン(株)製〕が最も
広範に使用されている。
【0009】強化材としてニカロンを用い、マトリッ
クスとしてLi2 3 ・Al2 3・SiO2 (LAS
−I、結晶化ガラス)を用いてなる複合体〔“J. Mate
r. Sci., 17 2371-2383" 〕。 強化材としてニカロン2D(平織)織物を用い、マト
リックスとしてCVI法により製造したSiCを用いて
なる複合体〔“Am. Ceram. Soc. Bull. 65 (2)336-338
(1986)"〕。 強化材としてチラノ3D織物を用い、マトリックスと
してCVI法により製造したSiCを用いてなる複合体
『日本機械学会、第70期通常総会講演会講演論文集
(I)1993-3.31 〜4.2, P.163〜P.166 " 』。 強化材としてチラノ繊維を用い、マトリックスとして
結晶化ガラス(上記LAS、BaO・MgO・Al2
3 ・SiO2 又はCaO・Al2 3 ・SiO 2 )を用
いてなる複合体。
【0010】そして、上記〜の複合体は、下記の如
き特性を有している。上記の複合体では、一方向強化
材(0°)−曲げ強度がMax 900MPaであり、K1c
(破壊靱性地)が17〜25MPa√m(通常のSiC
成形体では3〜5MPa√m、Si3 4 成形体では7
〜9MPa√m)と極めて高い。上記の複合体では、
1cが約27MPa√mと極めて高い。上記の複合体
では、K1cは、上記の複合体よりもさらに大きく、引
っ張り強度測定S−S曲線から、50MPa√m以上と
推定される。また、引っ張り強度は400MPaで、上
記の複合体の200MPaに比べ2倍の値を示してお
り、3D、Vf=40vol%であることを考慮すると、ほ
ぼ理論値に近い繊維強度3000MPa/3×0.4=
400MPa)ものである。上記の複合体では、上記
の複合体に比べ強度は飛躍的に改善されている。
【0011】しかしながら、上記〜の複合体では、
下記の如き欠点があった。上記の複合体では、ニカロ
ンとLASとがやや製造時に反応するため、繊維の力学
的特性とCMC中の繊維体積率(Vf)とから計算され
る理論値(上記の場合1400〜1500MPa)に比
べて低いものである。上記の複合体では、ニカロンと
SiCとの結合が強すぎるため、繊維が脆弱化し、曲げ
強度が300〜400MPa、引っ張り強度が200M
Paと、理論値(〜1200MPa)に比べ、極めて低
いものである。また、上記及びの複合体の耐酸化性
温度は1000〜1200℃、上記及びの複合体の
耐酸化性温度は1200〜1300℃であり、上記〜
の複合体は、将来の宇宙・航空分野での極限状態に耐
え得る先進材料として用いるには耐熱性・耐酸化性の点
で不充分である。
【0012】また、前記の〜のCMC、即ち、結晶
化ガラスCMC若しくはCVI法による空隙率が高いS
iCマトリックス以外の、耐蝕性に優れるSi3 4
は耐熱性の高い通常の焼結法によるSiCをマトリック
スとするCMCの開発が期待されているが、Si3 4
又はSiCをマトリックスとするCMCはその製造時の
焼結温度が高く(1600〜2100℃)、CMC成形
時の無機繊維の反応劣化が著しい。そのため、上記マト
リックスCMC製造では、例えば、強化材としてニカロ
ンを用いた場合には、成形時に繊維の形状が完全に消失
するという問題があり、また、強化材としてSiC/C
複合繊維、Al2 3 繊維、Si3 4繊維又はSi−
C−N繊維等を用いた場合にも同様の問題があり、更
に、強化材としてチラノ繊維を用いた場合には、繊維形
状は保ち、やや補強効果はあるものの、複合則から計算
した理論値にはほど遠いという問題がある。
【0013】即ち、従来提案されているMMC及びCM
Cは、複合体の製造時に強化材がマトリックスと反応す
る等の弊害があるため、宇宙・航空分野において要求さ
れている耐熱性、耐蝕性、機械的特性等を満足しうるも
のではなく、上述の弊害がなく且つ充分に耐熱性や機械
的特性等を発揮しうる強化材の開発が望まれている。ま
た、従来の強化材では、上記のVfが少ない場合には、
マトリックスに対して均一な分散が困難となり、分散ム
ラが生じやすく、得られる複合体に強度ムラが生じるた
め、このような場合には強化材をオーバースペックで用
いざるを得ず、コストが高くなるという問題がある。ま
た、上記のVfが多い場合には、強化材同志が接してし
まう場合があり、得られる複合体において所望の機械的
強度等が得られない場合があるという問題がある。
【0014】従って、本発明の目的は、チタン合金、金
属間化合物等をマトリックスとするMMC及び高温焼結
の高耐熱・高性能Si3 4 やSiC等をマトリックス
とするCMCの強化材として適した新規な先進材料用複
合化強化材を提供することにある。
【0015】
【課題と解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決するために種々研究した結果、無機長繊維とガ
ラス及び/又はガラスセラミックスとからなる複合化強
化材が上記目的を達成しうることを知見した。
【0016】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、無機長繊維のフィラメントの集合体と、各フィラ
メントの間隙に存在するガラス及び/又はガラスセラミ
ックスとからなり、ワイヤー形状又はテープ形状を有す
ることを特徴とする複合材料用複合化強化材を提供する
ものである。
【0017】以下、本発明の複合材料用複合化強化材に
ついて更に詳細に説明する。本発明の複合材料用複合化
強化材(以下、単に「強化材」という。)は、多数の無
機長繊維のフィラメントと、各フィラメントの間隙に存
在するガラス及び/又はガラスセラミックスとからな
り、特定の形状を有することを特徴とする。
【0018】本発明において用いる上記無機長繊維とし
ては、ケイ素(Si)とチタン(Ti)及び/又はジル
コニウム(Zr)と炭素(C)と酸素(O)とからなる
無機長繊維等が挙げられ、具体的には、(a)実質的に
Siと、Ti及び/又はZrと、Cと、Oとからなる非
晶質、(b)上記非晶質並びに10000Å以下のβ−
SiCと、TiC及び/又はZrCとの結晶質の集合
体、若しくは(c)上記結晶質並びにその近傍に存在す
るSiOxと、TiOx及び/又はZrOx(0<x≦
2)とからなる非晶質の混合系である無機長繊維等が
好ましく挙げられる。ここで、上記(C)における「そ
の近傍」とは、好ましくは結晶質粒子からの距離が10
00Å以下の領域である。また、上記の具体的に例示し
た無機長繊維における元素組成は、Siが30〜80
wt%、Ti及び/又はZrが0.05〜8wt%、Cが1
5〜69wt%、Oが0.1〜20.0wt%であるのが好
ましい。
【0019】また、本発明において用いる上記無機長繊
維としては、ケイ素(Si)と炭素(C)とからなる無
機長繊維等が挙げられ、具体的には、(a)実質的にS
iと、Cとからなる非晶質、(b)10000Å以下の
β−SiCの結晶質、(c)上記非晶質及び上記結晶
質、若しくは(d)上記非晶質及び/又は上記結晶質
と、炭素の凝集体との混合系である無機長繊維等も好
ましく挙げられる。上記の具体的に例示した無機長繊維
における元素組成は、Siが30〜80wt%、Cが2
0〜70wt%、Hが2wt%以下であるのが好ましい。
【0020】また、本発明において用いる上記無機長繊
維としては、ケイ素(Si)と炭素(C)と酸素(O)
とからなる無機長繊維等も挙げられ、具体的には、
(a)実質的にSiと、Cと、Oとからなる非晶質、又
は(b)10000Å以下のβ−SiCの結晶質の集合
体と、非晶質のSiO2 とからなる集合体である無機長
繊維等が好ましく挙げられる。上記の具体的に例示し
た無機長繊維における元素組成は、Siが30〜80
wt%、Cが10〜65wt%、Oが0.05〜25wt%、
Hが2wt%以下であるのが好ましい。
【0021】また、本発明において用いる上記無機長繊
維としては、ケイ素(Si)と窒素(N)と酸素(O)
と炭素(C)と水素(H)と元素周期律表第II族〜第VI
II族の金属元素からなる群より選択される一種以上の金
属類(M)とからなる無機長繊維等も挙げられ、具体的
には、Siと、N、O、C、H及び元素周期律表第II族
〜第VIII族の金属元素からなる群より選択される一種以
上の金属類(M)とからなり、X線小角散乱強度比が1
°及び0.5°の何れにおいても1倍〜20倍である物
質である無機長繊維等が好ましく挙げられる。上記の
具体的に例示した無機長繊維における各元素の比率は
原子比で、N/Siが0.3〜3、O/Siが15以
下、C/Siが7以下、H/Siが1以下、M/Siが
5以下であるのが好ましい。
【0022】また、本発明において用いる上記無機長繊
維としては、(a)実質的にAlと、Siと、Bと、O
とからなるムライト、及び/又は(b)γ−及びη−ア
ルミナの微結晶と、非晶質のSiO2 との集合体である
無機長繊維等も好ましく挙げられる。
【0023】また、上記無機長繊維は、繊維最表面層の
C組成が35〜100wt%、Si組成が0〜60wt%、
Ti組成が0〜4wt%、O組成が0〜19wt%であり、
該表面層から繊維内部へ20〜20000Åまでの範囲
内で、C、Si、Ti、O組成が連続的に変化する傾斜
組成構造を持つのが好ましい。該傾斜組成構造における
傾斜の割合は、組成が連続的に変化していれば直線的な
傾斜の割合の変化、曲線的な傾斜の割合の変化又はそれ
らが複合した傾斜の割合の変化でも良い。
【0024】また、上記無機長繊維の上記フィラメント
の平均直径は5〜200μであるのが好ましく、本発明
の強化材における上記フィラメントの数は5〜6000
の範囲であるのが好ましい。また、上記フィラメントの
形状は、円柱状、円筒状、角柱状、角筒状等が挙げられ
る。上記フィラメントは、上記無機長繊維を公知の方法
により成形する等して容易に得ることができる。また、
上記フィラメントの密度は、通常、1.9〜4.0g/
cm3 である。
【0025】上記ガラスとしては、B2 3 ・SiO2
系、MgO・CaO・Al2 3 ・SiO2 系のガラス
等が好ましく挙げられる。上記ガラスセラミックスとし
ては、Li2 O・Al2 3 ・MgO・SiO2・Nb
2 5 系、MgO・Al2 3 ・SiO2 系、BaO・
Al2 3 ・SiO2 系、BaO・MgO・Al2 3
・SiO2 系、CaO・Al2 3 ・SiO2 系のガラ
スセラミックス等が好ましく挙げられる。また、上記ガ
ラス及びガラスセラミックスは、上記の系に、さらに第
II族金属酸化物、第III 族金属酸化物、第IV族金属酸化
物、及び/又は第V族金属酸化物を含有させることもで
きる。また、上記ガラス及びガラスセラミックスの密度
は、通常、2.0〜3.8g/cm3 である。
【0026】また、上記ガラスセラミックスは、上記各
組成の非晶質部及び/又は主要な結晶層が Anorthite,
β−Spodumene, Cordierite, BariumOsumilite, Mullit
e あるいはCelsian 等の結晶質部からなるのが好まし
い。
【0027】本発明の強化材における上記無機長繊維の
フィラメントの体積含有率とガラス及び/又はガラスセ
ラミックスの体積含有率とは、それぞれ20〜90vol
%、80〜10vol%であるのが好ましい。
【0028】また、本発明の強化材は、必要に応じて、
上記フィラメントと金属複合酸化物との界面に耐各種衝
撃緩和層を有しているのが好ましい。上記耐各種衝撃緩
和層は、炭素、炭化物、窒化物、ホウ化物セラミックス
の少なくとも1つ、具体的には、炭素、SiC、Si3
4 、TiB2 、TiN、TiC、BN、TiC・Ti
N系等からなり、5〜20000Åの厚さを有している
のが好ましい。
【0029】上記耐各種衝撃緩和層の体積含有率は、1
0vol%以下であるのが好ましい。
【0030】次いで、本発明の強化材を図1及び図2を
参照して説明する。ここで、図1は、本発明の複合材料
用複合化強化材の1例を示す一部透視斜視図であり、図
2は、本発明の複合材料用複合化強化材の他の例を示す
一部透視斜視図である。
【0031】図1に示す強化材10は、多数の円柱状の
無機長繊維のフィラメント1と、各フィラメント1の間
隙に存在するガラス及び/又はガラスセラミックス2と
からなり、ワイヤー形状を有する。
【0032】更に詳述すると、上記フィラメント1は集
合体となされており、該集合体における各フィラメント
1の間隙にガラス及び/又はガラスセラミックス2が存
在している。そして、該ガラス及び/又はガラスセラミ
ックス2により、上記強化材10自体の外形が形成され
て、上記のワイヤー形状になされている。
【0033】また、図2に示す強化材10Aは、多数の
円柱状の無機長繊維のフィラメント1Aと、各フィラメ
ント1Aの間隙に存在するガラス及び/又はガラスセラ
ミックス2Aとからなり、テープ形状を有する。
【0034】更に詳述すると、上記フィラメント1Aは
集合体となされており、該集合体における各フィラメン
ト1Aの間隙にガラス及び/又はガラスセラミックス2
Aが存在している。そして、該ガラス及び/又はガラス
セラミックス2Aにより、上記強化材10A自体の外形
が形成されて、上記のテープ形状になされている。
【0035】図1及び図2に示されるように、本発明の
強化材は、それ自体が無機繊維とガラス及び/又はガラ
スセラミックスのマトリックスとからなる複合材料で構
成されており、その形状はワイヤー状又はテープ状であ
る。
【0036】上記のワイヤー形状におけるワイヤー径
は、20μm〜5mmであるのが好ましく、また、上記の
テープ形状におけるテープ幅及びテープ高さは、それぞ
れ20μm〜10cm、10μm〜1cmであるのが好まし
い。
【0037】次いで、上記強化材の製造方法について説
明する。本発明の強化材を調製するには、例えば、下記
第1〜第6工程を順次行う等して得ることができる。
【0038】第1工程;無機長繊維の有機物サイジング
剤を除去する工程、 第2工程;第1工程で得られた有機物サイジング剤を除
去した無機長繊維を開繊する工程、 第3工程;第2工程で得られた開繊した無機長繊維を、
ガラス及び/又はガラスセラミックスを含有する水及び
/又は有機溶媒スラリー溶液内に通過させて、ガラスセ
ラミックスを無機長繊維に付着担持させる工程、 第4工程;第3工程で得られたガラスセラミックスを付
着担持させた無機長繊維を、スリット又はローラーを通
過させてワイヤー形状もしくはテープ形状に成形する工
程、 第5工程;第4工程で得られたワイヤー形状又はテープ
形状を有するガラス及び/又はガラスセラミックス付着
無機長繊維を連続焼成して、ガラス及び/又はガラスセ
ラミックスを溶融焼結する第5工程、 第6工程;第5工程で得られたガラス及び/又はガラス
セラミックスを溶融焼結した無機長繊維/ガラス及び/
又はガラスセラミックスを、更に焼成して、該溶融、焼
結した金属酸化物の一部又は全部を結晶化させて、連続
的に巻取る工程
【0039】ここで、上記第1工程で除去される上記記
有機物サイジング剤としては、ポリエチレンオキサイ
ド、酢酸ビニル等が挙げられる。また、上記第2工程に
おける開繊する方法としては、空気流を利用する方法等
が挙げられ、この際の空気流の速度は、1cm/秒〜10
0cm/秒、圧力は、0.1〜kg/cm2 とするのが好ま
しい。
【0040】また、上記第3工程において、ガラス及び
/又はガラスセラミックスの繊維への付着力を高めるた
めにスラリー溶液に繊維サイジング用バインダーを含有
させることもできる。この時用いる上記繊維サイジング
用バインダーとしては、ポリエチレンオキサイド、酢酸
ビニル等が挙げられる。また、上記水及び/又は有機溶
媒スラリー溶液における、ガラス及び/又はガラスセラ
ミックスの濃度は、1〜80wt%、また繊維サイジング
用バインダーの濃度は、0.1〜50wt%であるのが好
ましい。
【0041】また、上記第4工程において用いるスリッ
トとしては、孔径20μm〜5mm、スリット幅8μm〜
1cmであるスリットが好ましく、ローラーとしては、ガ
ラス及び/又はガラスセラミックスのスラリーが付着し
にくい金属、プラスチック、ゴム又はセラミックスから
なるローラーが好ましく用いられる。そして、上記スリ
ットを用いた場合にはワイヤー形状あるいはテープ形状
の強化材が得られ、また上記ローラーを用いた場合には
テープ形状の強化材が得られる。
【0042】また、上記第5工程における焼成温度は、
500〜1700℃とするのが好ましく、焼成時間は、
30秒〜3時間とするのが好ましい。また、上記第6工
程における焼成温度は、700〜1900℃とするのが
好ましく、焼成時間は、10分〜500時間とするのが
好ましい。
【0043】また、上記耐各種衝撃緩和層を有する強化
材を調製する場合には、上記第1工程で使用する無機長
繊維として、上述した耐各種衝撃緩和層で予め被覆され
た無機長繊維を用いることにより得ることができる。
【0044】本発明の強化材は、金属マトリックス複合
体(MMC)又はセラミックスマトリックス複合体(C
MC)等の各種複合体の強化材として用いることがで
き、該強化材を用いて、各種複合材を調製するには、通
常公知の方法により得ることができる。また、上記MM
C及びCMCに用いられる金属マトリックスやセラミッ
クスマトリックスとしては、通常用いられるものを特に
制限なく用いることができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明の先進複合材料用複合化強化材
について、実施例により更に具体的に説明するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。
【0046】〔実施例1〕下記の無機長繊維のフィラメ
ントを用い、下記第1〜第6工程を順次行って、ガラス
セラミックスであるバリウムオスミライト微結晶を一部
含む非晶質BaO・MgO・Al2 3 ・SiO2 が1
0vol%、無機長繊維が90vol%のワイヤー形状を有する
先進複合材料用複合化強化材を得た。
【0047】無機長繊維;Si、Ti、C、Oからな
り、内部の元素組成が、Si:50wt%、Ti:2wt
%、C:30wt%、O:18wt%、最表層の元素組成が
Si:0wt%、Ti:0wt%、C:100wt%、O:0
wt%であり、最表面層から内部へ700Åの範囲までS
i、Ti、C、O組成が最表面層組成から内部元素組成
へ連続的に変化する傾斜組成構造をもち、繊維径が11
μm、0.5〜1wt%のポリエチレンオキサイドでサイ
ジングが施されている1600フィラメント/ヤーンの
繊維束からなる非晶質の無機長繊維のフィラメントの集
合体
【0048】第1工程;空気中350℃で連続処理して
サイジング剤を除去し、 第2工程;空気流で開繊したのち、 第3工程;超音波分散したBaO・MgO・Al2 3
・SiO2 (ガラスセラミックス)微粉末スラリー溶液
(繊維サイキング剤としてポリエチレンオキサイドを1
0vol%含有)中を通過させて上記ガラスセラミックスを
繊維に付着させた。 第4工程;引き続き上記のガラスセラミックスが付着さ
れた繊維をスリットを通過させてワイヤー状に成形し、 第5工程;1000℃窒素中で連続熱処理して、付着し
た前記ガラスセラミックスを溶融・焼結したのち、 第6工程;さらに1200℃窒素中で連続熱処理して得
られたワイヤー形状の先進複合材料用複合化強化材の1
200℃空気中での引っ張り試験結果では、引っ張り強
度2.5GPa、破断伸度0.20%であった。
【0049】〔実施例2〕下記の無機長繊維のフィラメ
ントを用い、下記第1〜第6工程を順次行って、β−Sp
odumene 微結晶を一部含む非晶質の下記のガラスセラミ
ックスが60vol%、該繊維が40vol%のテープ形状を有
する先進複合材料用複合化強化材を得た。
【0050】無機長繊維; Si、Ti、C、Oからな
る非晶質及び20Åのβ−SiC、TiC超微粒子から
なり、内部の元素組成が、Si:54wt%、Ti:2wt
%、C:32wt%、O:12wt%、最表面層の元素組成
がSi:42wt%、Ti:3wt%、C:47wt%、O:
8wt%であり、最表面層から内部へ80Åの範囲までS
i、Ti、C、O組成が最表面元素組成から内部元素組
成へ連続的に変化する傾斜組成をもち、さらに該最表面
層の上に、化学蒸着法(CVD法)で付与された厚さ8
000ÅのBN耐各種衝撃緩和層を有する、繊維径が1
1μm、0.5〜1wt%のエポキシ樹脂でサイジングが
施されている3200フィラメント/ヤーンの繊維束か
らなる無機長繊維のフィラメントの集合体。
【0051】第1工程;空気中400℃で連続処理して
サイジング剤を除去し、 第2工程;開繊(実施例1と同様に行った)した後、 第3工程;超音波分散したZrO2 を微量含有するLi
2 O・Al2 3 ・MgO・SiO2 ・Nb2 5 (ガ
ラスセラミックス)微粉末スラリー溶液(繊維サイジン
グ剤としてポリエチレンオキサイドを10%含有)中を
通過させて上記ガラスセラミックスを繊維に付着させ
た。 第4工程;引き続き上記のガラスセラミックスが付着さ
れた繊維をローラー上を通して10mm幅のテープ状に成
形し、 第5工程;950℃で溶融・焼結した後、 第6工程;1100℃で溶融焼結、連続熱処理をした。
【0052】得られたテープ形状の先進複合材料用複合
化強化材の室温での引張り試験結果は、引張り強度が、
1.4GPa、破断伸度が、0.35%であった。
【0053】〔実施例3〕下記の無機長繊維のフィラメ
ントを用い、下記1〜第5工程を順次行って、ガラスセ
ラミックであるAnorthite 微結晶を一部含む非晶質Ca
O・MgO・Al 2 3 ・SiO2 が10vol%、無機長
繊維が90vol%のワイヤー形状を有する複合化強化材を
得た。
【0054】無機長繊維;Si、C、O及びHからな
り、内部の元素組成が、Si;58.3wt%、C;3
0.4wt%、O;11.1wt%、H;0.2wt%であ
り、500Å以下のβ−SiCの結晶質の集合体と非晶
質のSiO2 とからなる集合体からなる、繊維径が14
μmで、表面に130nmの炭素コーティングがされ、
0.5〜1wt%のポリビニルアルコールでサイジングが
施されている500フィラメント/ヤーンの繊維束から
なる無機長繊維のフィラメントの集合体。
【0055】第1工程;空気中600℃で連続処理して
サイジング剤を除去し、 第2工程;超音波分散したCaO・MgO・Al2 3
・SiO2 (ガラスセラミックス)微粉末スラリー溶液
(繊維サイジング剤としてポリエチレンオキサイドを1
0wt%含有)を通過させて上記ガラスセラミックスを繊
維に付着させた。 第3工程;引き続き上記のガラスセラミックスが付着さ
れた繊維をスリットを通過させてワイヤー状に成形し、 第4工程;1100℃窒素中で連続処理して、付着した
前記ガラスセラミックスを溶融・焼結したのち、 第5工程;さらに1300℃窒素中で連続熱処理した。
【0056】得られたワイヤー形状の複合化強化材の1
200℃空気中での引っ張り試験結果では、引っ張り強
度2.2GPa、破断伸度が0.17%であった。
【0057】〔実施例4〕下記の無機長繊維のフィラメ
ントを用い、下記1〜第5工程を順次行って、ガラスβ
−Spodumene 微結晶を一部含む非晶質の下記のガラスセ
ラミックスが60vol%、該繊維が40vol%のテープ形状
を有する複合化強化材を得た。
【0058】無機長繊維;Si、C、O及びHからな
り、内部の元素組成が、Si;58.3wt%、C;3
0.4wt%、O;11.1wt%、H;0.2wt%であ
り、1000Å以下のβ−SiCの結晶質の集合体と非
晶質のSiO2 とからなる集合体からなる、繊維径が1
2〜14μmで、表面に130nmの炭素コーティング
がされ、0.5〜1wt%のポリビニルアルコールでサイ
ジングが施されている500フィラメント/ヤーンの繊
維束からなる無機長繊維のフィラメントの集合体。
【0059】第1工程;空気中400℃で連続処理して
サイジング剤を除去し、。 第2工程;超音波分散したZrO2 を微量含有するLi
2 O・MgO・Al23 ・SiO2 ・Nb2 5 (ガ
ラスセラミックス)微粉末スラリー溶液(繊維サイジン
グ剤としてポリエチレンオキサイドを10wt%含有)中
を通過させて上記ガラスセラミックスを繊維に付着させ
た。 第3工程;引き続き上記のガスセラミックスが付着され
た繊維をローラー上を通して10mm幅のテープ状に成形
し、 第4工程;950℃で溶融・焼結した後、 第5工程;1100℃で溶融焼結、連続熱処理した。 得られたテープ形状の複合化強化材の室温での引っ張り
試験結果は、引っ張り強度が1.2GPa、破断伸度が
0.30%であった。
【0060】〔実施例5〕下記の無機長繊維のフィラメ
ントを用い、下記1〜第5工程を順次行って、ガラスセ
ラミックであるCordieriteを一部含む非晶質MgO・A
2 3 ・SiO 2 が10vol%、無機長繊維が90vol%
のワイヤー形状を有する複合化強化材を得た。
【0061】無機長繊維;Si、N、C、O、Hからな
り、内部の元素組成が、Si;59.2wt%、N;3
7.5wt%、C;1.5wt%、O;1.5wt%、H;
0.3wt%であり、主に2000Å以下のSi3 4
微結晶質の集合体からなる、繊維径が10〜20μm
で、0.5〜1wt%のポリビニルアルコールでサイジン
グが施されている200フィラメント/ヤーンの繊維束
からなる無機長繊維のフィラメントの集合体。
【0062】第1工程;空気中600℃で連続処理して
サイジング剤を除去し、 第2工程;超音波分散したMgO・Al2 3 ・SiO
2 (ガラスセラミックス)微粉末スラリー溶液(繊維サ
イジング剤としてポリエチレンオキサイドを10wt%含
有)を通過させて上記ガラスセラミックスを繊維に付着
させた。 第3工程;引き続き上記のガラスセラミックスが付着さ
れた繊維をスリットを通過させてワイアー状に成形し、 第4工程;1100℃窒素中で連続熱処理して、付着し
た前記ガラスセラミックスを溶融・焼結したのち、 第5工程;さらに1300℃窒素中で連続熱処理した。 得られたワイヤー形状の複合化強化材の1200℃空気
中での引っ張り試験結果では、引っ張り強度1.7GP
a、破断伸度が0.16%であった。
【0063】〔実施例6〕下記の無機長繊維のフィラメ
ントを用い、下記1〜第5工程を順次行って、ガラスβ
−Spodumene 微結晶を一部含む非晶質の下記のガラスセ
ラミックスが60vol%、該繊維が40vol%のテープ形状
を有する複合化強化材を得た。
【0064】無機長繊維;Si、N、C、O、Hからな
り、内部の元素組成が、Si;59.2wt%、N;3
7.5wt%、C;1.5wt%、O;1.5wt%、H;
0.3wt%であり、主に2000Å以下のSi3 4
微結晶質の集合体からなる、繊維径が10〜20μm
で、0.5〜1wt%のポリビニルアルコールでサイジン
グが施されている200フィラメント/ヤーンの繊維束
からなる無機長繊維のフィラメントの集合体。
【0065】第1工程;空気中600℃で連続処理して
サイジング剤を除去し、 第2工程;超音波分散したZrO2 を微量含有するLi
2 O・MgO・Al23 ・SiO2 ・Nb2 5 (ガ
ラスセラミックス)微粉末スラリー溶液(繊維サイジン
グ剤としてポリエチレンオキサイドを10wt%含有)中
を通過させて上記ガラスセラミックスを繊維に付着させ
た。 第3工程;引き続き上記のガラスセラミックスが付着さ
れた繊維をローラー上を通して10mm幅のテープ状に成
形し、 第4工程;950℃で溶融・焼結した後、 第5工程;1100℃で溶融焼結、連続熱処理した。 得られたテープ形状の複合化強化材の室温での引っ張り
試験結果は、引っ張り強度が1.0GPa、破断伸度が
0.29%であった。
【0066】〔実施例7〕下記の無機長繊維のフィラメ
ントを用い、下記1〜第5工程を順次行って、ガラスセ
ラミックであるバリウムオスミライトを一部含む非晶質
BaO・MgO・Al2 3 ・SiO2 が10vol%、無
機長繊維が90vol%のワイヤー形状を有する複合化強化
材を得た。
【0067】無機長繊維;Al、Si、B、Oからな
り、内部の元素組成が、Al;37.1wt%、Si;1
8.1wt%、B;0.6wt%、O;44.2wt%であ
り、ムライトの微結晶体の集合体と非晶質のSiO2
からなる集合体からなる、繊維径が10〜20μmで、
表面に100nmのBNコーティングがされ、0.5〜
1wt%のポリビニルアルコールでサイジングが施されて
いる1800フィラメント/ヤーンの繊維束からなる無
機長繊維のフィラメントの集合体。
【0068】第1工程;空気中600℃で連続処理して
サイジング剤を除去し、 第2工程;超音波分散したBaO・MgO・Al2 3
・SiO2 (ガラスセラミックス)微粉末スラリー溶液
(繊維サイジング剤としてポリエチレンオキサイドを1
0wt%含有)を通過させて上記ガラスセラミックスを繊
維に付着させた。 第3工程;引き続き上記のガラスセラミックスが付着さ
れた繊維をスリットを通過させてワイヤー状に成形し、 第4工程;1100℃窒素中で連続熱処理して、付着し
た前記ガラスセラミックスを溶融・焼結したのち、 第5工程;さらに1300℃窒素中で連続熱処理した。 得られたワイヤー形状の複合化強化材の1200℃空気
中での引っ張り試験結果では、引っ張り強度1.3GP
a、破断伸度が0.10%であった。
【0069】〔実施例8〕下記の無機長繊維のフィラメ
ントを用い、下記1〜第5工程を順次行って、ガラスβ
−Spodumene 微結晶を一部含む非晶質の下記のガラスセ
ラミックスが60vol%、該繊維が40vol%のテープ形状
を有する複合化強化材を得た。
【0070】無機長繊維;Al、Si、B、Oからな
り、内部の元素組成が、Al:37.1wt%、Si;1
8.1wt%、B;0.6wt%、O;44.2wt%であ
り、γ−あるいはη−アルミナの微結晶質の集合体と非
晶質のSiO2 とからなる集合体からなる、繊維径が1
0〜20μmで、表面に100nmのBNコーティング
がされ、0.5〜1wt%のポリビニルアルコールでサイ
ジングが施されている1800フィラメント/ヤーンの
繊維束からなる無機長繊維のフィラメントの集合体。
【0071】第1工程;空気中600℃で連続処理して
サイジング剤を除去し、 第2工程;超音波分散したZrO2 を微量含有するLi
2 O・MgO・Al23 ・SiO2 ・Nb2 5 (ガ
ラスセラミックス)微粉末スラリー溶液(繊維サイジン
グ剤としてポリエチレンオキサイドを10wt%含有)中
を通過させて上記ガラスセラミックスを繊維に付着させ
た。 第3工程;引き続き上記のガラスセラミックスが付着さ
れた繊維をローラー上を通して10mm幅のテープ状に成
形し、 第4工程;950℃で溶融・焼結した後、 第5工程;1100℃で溶融焼結、連続熱処理した。 得られたテープ形状の複合化強化材の室温での引っ張り
試験結果は、引っ張り強度が0.7GPa、破断伸度が
0.18%であった。
【0072】〔参考例1〕実施例1で製造したワイヤー
形状を有する先進複合材料用複合化強化材を、90mmの
長さに切断し、アルミ箔を貼り付けたカーボン板の上
に、一方向に引き揃えて幅50mmになるように装着し
た。この一方向に引き揃えたワイヤー形状の強化材上及
び間隙に、粒径90〜150μmのTiAl(金属間化
合物)アトマイズ粉を、20Torr、アルゴン雰囲気下で
真空プラズマスプレー法により蒸着させて、ワイヤー形
状の複合化強化材65vol%、TiAl35vol%の複合化
強化材を用いた先進複合材料用複合化強化材のプリプレ
グシートを得た。得られたプリプレグシートを積層した
ものを、950℃、10MPaの条件下で1分間ホット
プレスすることにより、幅50mm、長さ90mm、厚み6
mmのワイヤー形状先進複合材料用複合化強化材を用いた
金属間化合物(TiAl)複合材料を製造した。得られ
た金属間化合物複合材料の室温〜900℃での曲げ強度
試験結果では、室温〜900℃まで強度変化はほとんど
なく、その三点曲げ強度の平均値は1.6GPaであっ
た。
【0073】比較のために、上記の先進複合材料用複合
化強化材を用いるかわりに、実施例1で使用した無機長
繊維のフィラメントのみを用いて上記と全く同様にプリ
プレグ、複合材料を製造した。この複合材料の曲げ強度
を測定したところ、真空プラズマスプレーでのプリプレ
グ製造中での繊維とTiAlとの反応や繊維切断、また
ホットプレス中での繊維とTiAlとの反応により、高
強度発現が困難となり、室温での3点曲げ強度は0.1
〜0.2GPaの程度に止まった。
【0074】〔参考例2〕実施例1で製造したワイヤー
形状を有する複合化強化材を、6cmの長さに切断し、
ポリエチンオキサイドをバインダーとして一方向に引き
揃えてプリプレグシートを作製した(ポリエチレンオキ
サイド/複合化強化材(容積比)=1/10)。このプ
リプレグシートとY2 3 4重量%、Al2 3 4重量
%を含む平均粒径が0.5μのSi3 4 粉末をカーボ
ンダイス中に交互積層し、1750℃、500kgf/
cm2 で30分間ホットプレス成形することにより、幅
30mm、長さ60mm、厚み5mmの、上記複合化強
化材60vol%、Si3 4 /Y2 3 ・Al2 3
40vol%のセラミック複合材料を得た。
【0075】得られたセラミック複合材料の空気中、室
温〜1200℃での引張り強度試験結果では、1200
℃まで強度変化はほとんどなく、その引張り強度の平均
値は、1.5GPa、平均破断伸度0.15%であっ
た。
【0076】比較のために、上記の複合化強化材を用い
るかわりに、実施例1で使用した無機長繊維のフィラメ
ントのみを用いて上記と全く同様にプリプレグ、複合材
料を製造した(繊維の体積含有率を同等とした)。この
複合材料の引張強度を室温で測定したところ、ホットプ
レス成形中の繊維のSi3 4 との反応による強度劣化
のため0.3GPa程度に止まり、破断伸度も0.07
%であった。
【0077】
【発明の効果】本発明の複合材料用複合化強化材は、チ
タン合金、金属間化合物等をマトリックスとするMMC
及び高温焼結の高耐熱・高性能Si3 4 やSiC等を
マトリックスとするCMCの強化材として適したもので
ある。
【0078】即ち、本発明の複合材料用複合化強化材
は、無機繊維が強化材におけるマトリックスであるガラ
ス及び/又はガラスセラミックスで保護されているた
め、高融点のチタン系合金又は各種セラミックスと複合
化して金属マトリックス複合体(MMC)又はセラミッ
クスマトリックス複合体(CMC)を調製する際の強化
材として優れている。
【0079】更に詳しくは、本発明の複合材料用複合化
強化材を高融点金属マトリックスと複合化させる際に、
金属との反応性の低いガラスセラミックス等によって無
機繊維が保護されているため、無機繊維と金属との反応
による無機繊維の劣化が防止される結果、所望の機械的
特性を有するMMCが得られる。また、窒化ケイ素又は
炭化ケイ素で代表されるセラミックスを無機繊維で強化
した複合体を調製する際には、1500℃以上の温度に
加熱してこれらセラミックスを焼結する必要があるが、
本発明の複合材料用複合化強化材は、無機繊維がガラス
セラミックス等に予め埋設されているので、無機繊維が
上記の高温において劣化することがなく、結果として優
れた機械的特性を有するCMCを得ることができる。
【0080】更には、本発明の複合材料用複合化強化材
を用いた複合体においては、その成形時の反応劣化がほ
ぼ完全に抑えられるので、理論値に近い力学的特性を得
ることができ、また、本発明の複合材料用複合化強化材
は、SiC/C複合繊維に比べ、構成成分の熱膨張係数
の差がほとんどないものに仕上げられるため、熱サイク
ルにも問題がなく、また著しく低コストで製造できるも
のである。
【0081】また、本発明の複合材料用複合化強化材
は、フィラメントを種々のVfで用いてもROM値に近
い強度を得ることができ、また複合材料用複合化強化材
中のフィラメントの含有率を自在にコントロールできる
ため、従来の強化材では問題が生じていた低Vf及び高
Vfの複合体においても、所望の特性を付与することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の先進材料用複合化強化材の1
例を示す1部透視斜視図である。
【図2】図2は、本発明の先進材料用複合化強化材の他
の例を示す1部透視斜視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 誠 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 無機材料研究所内 株 式会社 先進材料利用ガスジェネレータ 研究所 宇部分室内 (72)発明者 梶井 紳二 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 無機材料研究所内 株 式会社 先進材料利用ガスジェネレータ 研究所 宇部分室内 (72)発明者 松森 保男 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 無機材料研究所内 株 式会社 先進材料利用ガスジェネレータ 研究所 宇部分室内 (72)発明者 原田 義勝 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 無機材料研究所内 株 式会社 先進材料利用ガスジェネレータ 研究所 宇部分室内 (56)参考文献 特開 昭49−35627(JP,A) 特開 昭60−226462(JP,A) 特開 昭61−111974(JP,A) 特開 昭62−3079(JP,A) 特開 平2−275780(JP,A) 特開 平4−310579(JP,A) 特開 平7−315946(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/80 C22C 47/00 - 49/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の無機長繊維のフィラメントと、各
    フィラメントの間隙に存在するガラス及び/又はガラス
    セラミックスとからなり、ワイヤー形状又はテープ形状
    を有することを特徴とする複合材料用複合化強化材。
  2. 【請求項2】 上記無機長繊維は、(a)実質的にSi
    と、Ti及び/又はZrと、Cと、Oとからなる非晶
    質、(b)上記非晶質並びに10000Å以下のβ−S
    iCと、TiC及び/又はZrCとの結晶質の集合体、
    若しくは(c)上記結晶質並びにその近傍に存在するS
    iOxと、TiOx及び/又はZrOx(0<x≦2)
    とからなる非晶質の混合系であり、且つその元素組成
    は、Siが30〜80wt%、Ti及び/又はZrが0.
    05〜8wt%、Cが15〜69wt%、Oが0.1〜2
    0.0wt%であることを特徴とする請求項1記載の複合
    材料用複合化強化材。
  3. 【請求項3】 上記無機長繊維は、(a)実質的にSi
    と、Cとからなる非晶質、(b)10000Å以下のβ
    −SiCの結晶質、(c)上記非晶質及び上記結晶質、
    若しくは(d)上記非晶質及び/又は上記結晶質と、炭
    素の凝集体との混合系であり、且つその元素組成は、S
    iが30〜80wt%、Cが20〜70wt%、Hが2wt%
    以下であることを特徴とする請求項1記載の複合材料用
    複合化強化材。
  4. 【請求項4】 上記無機長繊維は、(a)実質的にSi
    と、Cと、Oとからなる非晶質、又は(b)10000
    Å以下のβ−SiCの結晶質の集合体と、非晶質のSi
    2 とからなる集合体であり、且つその元素組成は、S
    iが30〜80wt%、Cが10〜65wt%、Oが0.0
    5〜25wt%、Hが2wt%以下であることを特徴とする
    請求項1記載の複合材料用複合化強化材。
  5. 【請求項5】 上記無機長繊維は、Siと、N、O、
    C、H及び元素周期律表第II族〜第VIII族の金属元素か
    らなる群より選択される一種以上の金属類(M)とから
    なり、X線小角散乱強度比が1°及び0.5°の何れに
    おいても1倍〜20倍である物質であり、且つ上記各元
    素の比率が原子比で、N/Siが0.3〜3、O/Si
    が15以下、C/Siが7以下、H/Siが1以下、M
    /Siが5以下であることを特徴とする請求項1記載の
    複合材料用複合化強化材。
  6. 【請求項6】 上記無機長繊維は、(a)実質的にAl
    と、Siと、Bと、Oとからなるムライト、及び/又は
    (b)γ−及びη−アルミナの微結晶と、非晶質のSi
    2 との集合体である請求項1記載の複合材料用複合化
    強化材。
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