JP3448890B2 - マルチカー方式エレベータの運行制御装置 - Google Patents

マルチカー方式エレベータの運行制御装置

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JP3448890B2
JP3448890B2 JP05836693A JP5836693A JP3448890B2 JP 3448890 B2 JP3448890 B2 JP 3448890B2 JP 05836693 A JP05836693 A JP 05836693A JP 5836693 A JP5836693 A JP 5836693A JP 3448890 B2 JP3448890 B2 JP 3448890B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、同一走行シャフト内に
複数のかごを運行させるマルチカー方式エレベータの制
御装置に係り、特に、安全、かつ、運行間隔の均等化を
図るために好適な運行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エレベータは、各かご毎に個別の
シャフトが設けられ、その中を上下方向に自由に走行し
ていた。そのため、エレベータかごの走行,停止は、特
公昭54-24574 号に開示されているように、自号機の現
在位置,走行経過時間,呼び受持ち状況等を考慮して制
御していた。
【0003】運行時に他のかご位置を考慮するものとし
ては、同方向に併走するかごによる風音を防止するため
に、一方のかごを停止させる方法が特公昭58−42109 号
に開示されている。
【0004】しかし、高層ビルでは、各かご毎に個別の
シャフトを設ける方式では、エレベータの床占有面積比
率が多くなる。そこで、エレベータの床占有面積比率を
低減するための技術として、特開平3−297783号,特開
平4−129986号公報に開示されるマルチカー方式のエレ
ベータシステムがある。
【0005】このような、同一軌道上に複数の移動物体
を運行する代表的なものは、例えば、特開平4−201674
号等に記載されている鉄道車両の運行管理がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】マルチカー方式エレベ
ータでは、同一走行シャフト内に複数のかごを運行させ
るため、従来の、かご毎に個別のシャフトを備えたエレ
ベータシステムと違い、特有の制約がある。例えば、か
ごが追突する恐れがある、自由に方向を反転できない、
他のかごを追い越すことができない等である。
【0007】特公昭54−24574号,特公昭58−42109号公
報等のかごの運行制御に関する従来技術は、マルチカー
方式を対象としていないため、これら特有の制約につい
て考慮がなされていないため、マルチカー方式エレベー
タに適用できないことは明白である。また、特開平3−2
97783号,特開平4−129986号公報等のマルチカー方式に
関する従来技術は、機構に関するものであり、かごの運
行制御の実現方法については考慮されていない。
【0008】一方、鉄道車両用の運行管理方式は、事前
作成の運行スケジュールに従い運行すること、停止駅に
は乗降客がいなくても停止すること等、利用客からの利
用要求に応じてフレキシブルな運行を求められるエレベ
ータシステムにそのまま適用することは出来ない。
【0009】本発明の目的は、安全で、かつ、運行間隔
を均等化することができるマルチカー方式エレベータシ
ステムの運行制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するに、
循環型走行シャフトをその内部を走行するかご数の二倍
より多い数の区間に分割する区間分割手段と、任意のエ
レベータかごに関してその位置する区間の前方二番目の
区間までに他のかごが存在しない場合に、該当区間の前
方一番目の区間に進行することを許可する運行制御手段
を備えたものである。
【0011】さらに、急行通過ゾーンがある場合には、
前記目的を達成するために、エレベータかごが急行通過
ゾーン以外を走行する場合に定格最高速度より低い第2
の規定速度以下で走行させる速度規制手段を備えたもの
である。
【0012】
【作用】区間分割手段は、循環型走行シャフトを、上昇
走行専用シャフト内、または、下降走行専用シャフト内
における各区間の長さが、エレベータかごの定格速度か
らの停止距離、及び、かごの外形寸法より長く、また、
1箇所以上の停止可能階を含むように、シャフト内部を
走行するかご数の二倍より多い数の区間に分割する。
【0013】また、区間分割手段は、単位時間あたりの
ホール呼び発生数、及び、かご呼び到着数を均等化する
ように区間を分割する。
【0014】運行制御手段は、任意のエレベータかごに
関して、その位置する区間の前方二番目の区間までに他
のかごが存在しない場合には該当区間の前方一番目の区
間に進行することを許可し、存在する場合には該当区間
の前方一番目の区間に進行することを阻止するように動
作する。
【0015】あるいは、運行制御手段は、任意のエレベ
ータかごに関して、その位置する区間とその前後の区間
内に他のかごを走行させないように動作する。
【0016】さらに、速度規制手段は、急行通過ゾーン
がありエレベータかごが急行通過ゾーンを含まない区間
を走行する場合に、定格最高速度より低い第2の規定速
度以下で走行させるように動作する。
【0017】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1から図3によ
り説明する。
【0018】初めに、システムの構成と各部の動作の概
略を説明する。
【0019】図1は、本発明の一実施例のシステムの説
明図である。
【0020】運行制御装置のシステムは、図1の(a)
の全体構成図に示すように、運行制御装置1,かご制御
装置2,エレベータかご3,ホール呼び釦4より構成す
る。運行制御装置1内には、運行制御部1−1,区間分
割データ1−2を含んで構成する。また、各部は、デー
タ伝送路により互いに接続される。
【0021】図1の(b)に示すように、エレベータか
ご3は、乗りかご3−1,かご外枠3−2,安全装置3
−3より構成する。
【0022】ここで、エレベータの運行制御は、一般
に、マイクロコンピュータ内のソフトウェア処理として
実行されており、システム内部に実際のハードウェアと
して運行制御装置1を設けず、各かご制御装置2間に区
間情報を伝送することにより、運行制御装置1の機能を
かご制御装置2で分散処理することも可能であるが、そ
の際にも以下説明の方法を変形適用できることは明白で
ある。
【0023】運行制御装置1は、本発明の基本となる安
全なマルチカー方式エレベータシステムの運行制御を行
うものである。
【0024】運行制御装置1内の運行制御部1−1は、
エレベータかご3からかご位置の情報と、ホール呼び釦
4から待ち客の情報とを、入力として取り入れ、区間分
割データ1−2を用いて、エレベータかご3の走行,停
止等の運行を決定し、かご制御装置2に対して、走行停
止指令,加減速指令,戸開閉指令等の指令を出力する。
【0025】区間分割データ1−2は、循環型走行シャ
フトを、上昇走行専用シャフト内、または、下降走行専
用シャフト内における各区間の長さが、エレベータかご
の定格速度からの停止距離、及び、かごの外形寸法より
長く、少なくとも1箇所以上の停止可能階を含むよう
に、シャフト内部を走行するかご数の二倍より多い数の
区間に分割したデータである。本実施例では、区間の設
定は、予め決定したものを区間分割データ1−2として
装置内に記憶する方式で説明する。この詳細は、後述す
る。
【0026】かご制御装置2は、エレベータかご3の一
つ一つに対応して設けられ、運行制御装置1から前記の
各指令を受け取り、図示していないかごの駆動装置、戸
開閉用モータ等の制御を行う。
【0027】マルチカー方式エレベータのかご駆動装置
は、かご側にリニアモータや電動機等の動力源を備えた
自走式のものと、機械室に設置したモータでロープを駆
動し、かごがそのロープにより走行する非自走式のもの
があるが、以下説明するように本発明は方式を問わずに
実施できる。以下、本実施例中では、かご外枠3−2に
組み込んだリニアモータにより、自走する方式により説
明する。
【0028】エレベータかご3は、乗りかご3−1,か
ご外枠3−2,安全装置3−3より構成する。
【0029】かご外枠3−2には、かご駆動用のリニア
モータ,戸開閉用のモータがあり、かご制御装置2から
の制御信号により、制御される。
【0030】安全装置3−3は、緊急停止装置(キャッ
チ)や追突時の衝撃防止装置(バンパー)等である。
【0031】ホール呼び釦4は、各階の待ち客からの呼
びを受け付ける。
【0032】本発明で対象とするマルチカー方式エレベ
ータシステムの概略と、区間分割方法について、図2に
より説明する。
【0033】マルチカー方式エレベータシステムとは、
上昇方向の走行に専用に用いる上昇走行シャフト5,下
降方向の走行に専用に用いる下降走行シャフト7、及
び、走行方向を転換し、走行シャフトを5から7に移動
する上層の方向反転スペース6,7から5に移動する下
層の方向反転スペース8で構成する循環型の走行シャフ
ト内を、複数のかご3が走行するものである。この時、
任意の位置で同一方向に走行するかごは、1台に限定さ
れる。また、走行方向の反転は、上下の方向反転スペー
ス6,8のみで行われる。
【0034】図2では、サービス階床が1階から15階
までの15階床、かご数が5台の場合を例にとり表記し
ている。しかし、以下説明するように本発明は、台数や
階床数に限定されることなく実施できることは明白であ
る。また、鉄道線路のスイッチバック方式のように、か
ごのガイドレールを中間階は複線,端階だけは単線化し
て構成した循環型の走行シャフトの場合でも、問題なく
適用できる。
【0035】また、図2で、A〜Lで示した位置が分割
された各区間を、かごからの矢印の範囲が各かごの走行
可能範囲を、それぞれ表わしている。
【0036】ここで、区間分割の方法について詳細に述
べる。以下簡単にするため、各階の階床ピッチ(ある階
の床面から次の階の床面までの距離間隔)を、均一に
3.5mとして説明するが、この階床ピッチが各階によ
って異なっていても、区間分割の設定時に考慮すればよ
いので、本発明を問題なく適用できる。
【0037】マルチカー方式では、後続かごが前走かご
に追い付き、追突する可能性がある。これを防止するた
めに、かご間には常に所定の間隔以上を保持する必要が
ある。
【0038】本発明の要点は、循環型走行シャフト5〜
8を、複数の区間に分割し、各かご間は必ず1区間以上
の間隔を保持することにより、追突を防止することにあ
る。図2に示したA〜Lの12の区間が、区間分割の例
である。
【0039】各かごの走行規則は、現在の区間内では自
由に走行可能であるが、次の区間に進行するときには、
二つ先のまでに区間に他のかごが存在しない場合にのみ
進行できる、というものである。図2の例では、上昇走
行シャフト5内4階のかごは、区間Bに属し、B内は自
由に走行可能であるが、二つ先の区間Dに別のかごがあ
るため、区間Cには進行できない。一方、上昇走行シャ
フト5内11階の区間Dにいるかごは、前方E,Fの2
区間に他のかごが存在しないため、区間Eに進行でき
る。同様に、図2の各かごから示した矢印が、現在の状
態での各かごの走行可能な範囲である。
【0040】またこの時、かご数に対して、区間の数が
二倍未満では、必ず1区間以上の間隔を保持できず、区
間の数が二倍ちょうどでは、どのかごも次の区間に進行
できないため、区間の数は二倍より多く必要である。
【0041】なお、走行シャフトを「かご数分」など二
倍以下の区間に分割し、かごの位置が区間内のある点よ
り前方の時には、後続かごはその区間内の別の点まで進
行できる、という方式は、区間内をその点で副区間に分
割することに相当する。よって、この方式も本発明の変
形例として、本発明に含まれることは明白である。
【0042】またここで、上昇走行シャフト5と下降走
行シャフト7内の各区間の長さは、エレベータかごの定
格速度からの停止距離より長いこと、及び、かごの外形
寸法より長いこと、の二点を満たさなければならない。
【0043】速度との関係については、例えば、下降走
行シャフト7内15階の区間Gにいるかごは、前走かご
が区間J内の6階にいるため、区間Hには進行可能であ
るが、区間Iには進むことができない。よって、区間H
に進行する時にかごの定格速度(最大速度)で走行して
いても、必ず区間H内で停止しなければならない。
【0044】以上のことは、上昇走行シャフト5と下降
走行シャフト7内の各区間について同様であるので、各
区間の長さは、
【0045】
【数1】
【0046】を満たす必要がある。
【0047】かごの定格速度を2m/秒(120m/
分),加減速度を0.8m /秒/秒とすると、定格速度
からの停止距離は、
【0048】
【数2】
【0049】となり、実施例の各区間は3階床で10.
5mあるので、数1を満たしている。但し、以上は単純
な停止距離であるが、次区間への進行待機時に戸開状態
で停止するためには、各区間の入口からその区間内の少
なくとも一つのサービス階までの距離が、定格速度から
の停止距離以上である必要がある。
【0050】かごの外形寸法との関係については、二つ
のかごが最接近する状態においても、互いに接触しない
ことが必要である。例えば、下降走行シャフト7内6階
の区間Jにかごがいる状態で、15階の区間Gにいるか
ごは10階まで最接近できる。図1(2)に示したよう
に、かご3の外形寸法は、安全装置3−3まで含める
と、1階床分のピッチより大きくなりえる。安全装置3
−3として2mのバッファをかごの下部に取付けて外形
寸法が5mであれば、3階床10.5m の間隔で接触す
ることはないが、高速のかごでバッファ10m必要な場
合には、かご外寸が13mとなり、最接近状態で接触す
るため、この区間の長さでは足りないことがわかる。
【0051】よって、上昇走行シャフト5と下降走行シ
ャフト7内の各区間の長さは、エレベータかごの定格速
度からの停止距離より長いこと、及び、かごの外形寸法
より長いこと、の二点を満たさなければならない。
【0052】以下、実際の制御の流れを、図3を用いて
説明する。なお、この中で、公知公用の部分(加速の方
法や戸開閉の方法等)については、特公昭54−24574 号
等多数の文献により開示されているため、説明を省略す
る。
【0053】図3は、実施例の運行制御処理フローチャ
ートである。
【0054】この処理は、運行制御装置1内で行われ、
ここで作成する各種指令信号に基づいて、かご制御装置
2が実際の機器の制御を行う。また、運行制御装置1で
行う処理には、待ち時間予測,割当て制御,管制運転制
御他,多数の処理があるが、これらの処理については、
例えば、特開昭63−247276号公報等に開示されているた
め説明を省略し、ここでは、本発明に関連する部分のプ
ログラムの流れについてのみ説明する。
【0055】運行制御処理10は、運行制御装置1の制
御周期毎に繰り返し起動される処理である。
【0056】運行制御処理10は、各かごの現在位置か
ら、進行可能な区間を算出する処理と、各かごの移動を
決定する処理と、の二つの処理により構成される。
【0057】ステップ10−1とステップ10−3は、
全かごに関するループ処理である。ステップ10−2
で、該当かごの現在の区間と、一つ前に走行した区間と
に、他かごの進行を禁止するフラグを立てる。図2の例
では、上昇走行シャフト5内4階のかごは区間Bに属
し、一つ前の区間はAであるので、区間A、Bに他かご
進行禁止のフラグを立てる。
【0058】処理終了後、ステップ10−4で、進行可
能区間を設定する。この処理は、各かごごとの各区間の
進行禁止フラグを総合することである。具体的には、図
2の例に対し、各区間A〜Lのフラグ状態を、進行禁止
区間に設定されている場合は1、それ以外は0として表
記すると、 ABCDEFGHIJKL 111101101111 となるので、進行禁止フラグが設定されていない区間
E,Hは、進行可能区間となる。
【0059】次に、移動決定の処理について説明する。
【0060】ステップ10−5とステップ10−11
は、全かごに関するループ処理である。
【0061】ステップ10−6では、現区間の進行方向
前方に、ホール呼び,かご呼びが登録されているかを調
べ、登録されている場合は、ステップ10−7でその呼
びをサービスするため、該当階で停止する。
【0062】ステップ10−6で呼びが無い場合は、ス
テップ10−8で先に設定した進行可能区間を参照し
て、次区間に進行可能であるかを調べる。
【0063】次区間が進行可能でない場合は、ステップ
10−9で現区間の進行方向の端にあるサービス階で待
機する指令を出す。
【0064】次区間が進行可能である場合は、ステップ
10−10で次区間に進行する。
【0065】以上の処理を全かごに対し行った後、シス
テムプログラムに戻る。
【0066】本実施例によれば、以下の効果がある。
【0067】運行制御処理として説明した以外の処理
は、従来のエレベータの群管理制御処理がそのまま利用
できる効果がある。
【0068】区間分割が予め決まっているので、区間端
階の待機階に利用頻度の高い、更衣室,売店等を配置す
ることができ、使い勝手の良いマルチカー方式エレベー
タシステムを提供できる効果がある。
【0069】次に、本発明の他の実施例を、図4から図
6を用いて説明する。
【0070】以下は、学習データに基づき、区間分割を
動的に変更する場合の実施例である。
【0071】図4は、システムの説明図である。
【0072】これは、先に説明した図1に、区間分割部
1−3,学習部1−4を加えたものである。ここで、こ
の変更部分以外の処理は、先の実施例と同様であるた
め、説明を省略し、変更部分のみを以下説明する。
【0073】区間分割部1−3は、区間分割を動的に変
更する処理を行う。
【0074】学習部1−4は、区間分割に用いるデータ
を、運行結果から収集し学習する。以下、本実施例で
は、上昇,下降の方向別に、区間の数は固定して、範囲
のみを変更する場合について説明する。
【0075】理想的な運行状態である時間的等間隔運行
を実現するためには、各区間を通過するために必要な時
間が、均等に近くなることが望ましい。区間毎の必要時
間として、各区間の通過時間を直接測定することは、可
能である。しかし、マルチカー方式エレベータシステム
の場合、次区間への進行待ち状態があるため、通過時間
と各区間の必要時間とが、必ずしも一致するわけではな
い。各区間の必要時間を測定するためには、利用者から
の運行要求である、ホール呼び数,かご呼び数のほう
が、より忠実な指標と考えられる。
【0076】図5に、運行結果学習と区間分割修正の例
を示す。図5は、上昇方向の各階毎の、ホール呼び数と
かご呼び数を、ある30分間について測定したシミュレ
ーション例である。
【0077】図2で示した区間分割を現在の分割状態と
して、現区間での呼び数を集計すると、区間Aが55で
最大,区間Eが28で最小となる。この学習結果から
は、区間Aを通過するために必要な時間は、区間Eを通
過するために必要な時間より、より多く必要になること
が判る。現在の区間分割での、呼び数のばらつきを、標
準偏差で表わすと、9.77 となる。
【0078】呼び数を均等化するために、最大の区間を
狭く、最小の区間を広くする修正を考える。この例で
は、区間Aは、範囲を1,2階のみとして、区間Eは、
12〜15階、その間の区間B,C,Dは、1階ずつシ
フトする。これにより、修正後の新区間をa〜eで表わ
すと、標準偏差が5.43 となり、呼び数はより均一化
できる。
【0079】図6は、分割区間修正処理のフローチャー
トである。
【0080】分割区間修正処理20は、運行結果の学習
データの蓄積に伴い、1日1回などの所定のタイミング
で起動される。また、本実施例では、上昇,下降の方向
毎に、以下の処理を個別に行うものとする。
【0081】ステップ20−1では、現在の区間分割に
従い、呼び数の集計を行う。
【0082】ステップ20−2では、集計したデータの
標準偏差を求める。
【0083】ステップ20−3では、集計結果から呼び
数が最大の区間と最小の区間を選択し、最大の区間の範
囲を1階床減らして、最小の区間の範囲を1階床増やす
ように、途中区間の範囲をシフトして、仮の新区間を作
成する。
【0084】ステップ20−4では、仮の新区間が、区
間の長さに関する上記した制約条件、及び、区間の数の
制約条件を満たしているかを確認する。満たしていない
場合は、その分割は採用できないため、処理を終了す
る。満たしている場合は、ステップ20−5へ進む。
【0085】ステップ20−5では、仮の新区間分割に
従い、呼び数の集計を行う。
【0086】ステップ20−6では、集計した仮の新区
間のデータの標準偏差を求める。
【0087】ステップ20−7では、ステップ20−2
で求めた現在の区間の標準偏差と、ステップ20−6で
求めた仮の新区間の標準偏差とを比較し、結果が改善さ
れていない場合は終了し、改善されている場合はステッ
プ20−8へ進む。ここで、結果が改善されていると
は、標準偏差の値が小さくなり、区間毎の呼び数がより
均一化している状態を指す。
【0088】ステップ20−8では、仮の新区間に区間
分割データを更新する。その後、ステップ20−3以降
の処理を終了するまで繰り返す。
【0089】以上の処理により、図5に示した区間A〜
Eが区間a〜eに修正できる。
【0090】本実施例によれば、区間毎の負荷が均等化
できるので、各かごの運行間隔が、時間的等間隔に近
い、理想的な運行を実現できる効果がある。
【0091】上記した方法の変形例として、以下の方法
が挙げられる。但し、フローチャートは特に図示しな
い。
【0092】区間分割を出勤,平常,昼食といった時間
帯毎に変更する。
【0093】上昇,下降の方向を一括して扱い、方向毎
の区間数も変更する。
【0094】上記二つを組み合わせて利用することによ
り、例えば、出勤時には上昇方向7区間,下降方向2区
間の分割を採用して、利用の偏りにも対処した時間的等
間隔を実現することが可能になる。
【0095】また、区間修正の別方法として、制約条件
を満たす区間分割の全組み合わせをデータとして予め記
憶しておき、学習結果を全組み合わせに適用,比較し
て、新区間を選択することもできる。通常の場合、かご
数は8程度まで、サービス階床数は20程度までと限ら
れており、制約条件を満足する組み合わせの数は、それ
ほど多くないため、上記した方法でも、計算時間は十分
に実用の範囲で実現できる。
【0096】さらに、急行通過ゾーンを持つ場合に、マ
ルチカー方式を適用する際の運行制御装置に関する一実
施例を説明する。
【0097】一般に、階床数が多いビルでは、15〜2
0階床毎に、例えば、1階から15階を下層バンク,1
階と16階から30階を中層バンク,1階と31階から
45階を上層バンク、というように、エレベータ群をバ
ンク分けすることが行われている。この場合、高層バン
ク用のエレベータとしては、1階から31階までの間の
急行通過ゾーンを考慮して、10m/秒(600m/
分)などの高速のものが利用される。
【0098】速度に関する制約条件の数1に、10m/
秒を代入すると、
【0099】
【数3】
【0100】となり、階床ピッチが3.5m では、1区
間18階床以上が必要となってしまうため、このままで
は本発明を適用できない。
【0101】そこで、急行通過ゾーンを含まない区間を
走行する場合に適用する定格最高速度より低い第二の規
定速度を設け、走行する区間に応じて定格最高速度と第
二の規定速度とのどちらに従って走行するかを決定す
る。これにより、区間の長さの制約条件を、急行通過ゾ
ーンを含む区間と含まない区間とで変更することがで
き、上記で説明した運行管理方法を適用可能である。
【0102】本実施例によれば、走行区間に応じた第
一,第二の規定速度に従って運行することにより、急行
通過ゾーンを持つビルにもマルチカー方式エレベータシ
ステムを適用できる。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、マルチカー方式の各か
ごを、区間により把握し、運行管理することにより、以
下の効果を有する。
【0104】従来の運行制御に簡単な処理を追加するだ
けで、互いに追突することのない、安全なマルチカー方
式エレベータシステムの運行制御装置を、提供すること
が可能になる。
【0105】区間によりかご間の間隔を適切に保持する
ことができ、運行間隔を均等化するマルチカー方式エレ
ベータシステムを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のシステムの説明図。
【図2】マルチカー方式エレベータシステムの概略と区
間分割方法の説明図。
【図3】運行制御処理のフローチャート。
【図4】本発明の他の実施例のシステムの説明図。
【図5】停止中処理のフローチャート運行結果学習と区
間分割修正の例の説明図。
【図6】区間分割修正処理のフローチャート。
【符号の説明】
3…エレベータかご、5…上昇走行シャフト、6…方向
反転スペース(上層)、7…下降走行シャフト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−354772(JP,A) 特開 平6−144720(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B66B 1/00 - 9/193

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上層と下層で接続された上昇走行専用シャ
    フトと下降走行専用シャフトで形成する循環型走行シャ
    フトと、前記循環型走行シャフト内を走行する複数のエ
    レベータかごと、エレベータ利用客からの利用要求に応
    動して前記エレベータかごの運行を決定し制御する運行
    制御装置とを備えたマルチカー方式エレベータシステム
    において、前記循環型走行シャフトをその内部を走行す
    るかご数の二倍より多い数の区間で、かつ、上昇走行専
    用シャフト内、または、下降走行専用シャフト内におけ
    る各区間の単位時間あたりのホール呼び発生数、及び、
    かご呼び到着数を均等化するように区間を分割する区間
    分割手段と、任意のエレベータかごに関してその位置す
    る区間の前方二番目の区間までに他のかごが存在しない
    場合に、該当区間の前方一番目の区間に進行することを
    許可し、存在する場合に、該当区間の前方一番目の区間
    に進行することを阻止する運行制御手段とを備えたこと
    を特徴とするマルチカー方式エレベータの運行制御装
    置。
  2. 【請求項2】上層と下層で接続された上昇走行専用シャ
    フトと下降走行専用シャフトで形成する循環型走行シャ
    フトと、前記循環型走行シャフト内を走行する複数のエ
    レベータかごと、エレベータ利用客からの利用要求に応
    動して前記エレベータかごの運行を決定し制御する運行
    制御装置とを備え、エレベータかごの停止階配置が不停
    止の急行通過ゾーンを持ったマルチカー方式エレベータ
    システムにおいて、前記循環型走行シャフトをその内部
    を走行するかご数の二倍より多い数の区間に分割する区
    間分割手段と、前記エレベータかごが前記急行通過ゾー
    ンを含まない区間を走行する場合に定格最高速度より低
    い第2の規定速度以下で走行させる速度規制手段と、任
    意のエレベータかごに関してその位置する区間の前方二
    番目の区間までに他のかごが存在しない場合に、該当区
    間の前方一番目の区間に進行することを許可し、存在す
    る場合に、該当区間の前方一番目の区間に進行すること
    を阻止する運行制御手段とを備えたことを特徴とするマ
    ルチカー方式エレベータの運行制御装置。
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