JP3448336B2 - 油圧式無段変速機 - Google Patents

油圧式無段変速機

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JP3448336B2
JP3448336B2 JP04548794A JP4548794A JP3448336B2 JP 3448336 B2 JP3448336 B2 JP 3448336B2 JP 04548794 A JP04548794 A JP 04548794A JP 4548794 A JP4548794 A JP 4548794A JP 3448336 B2 JP3448336 B2 JP 3448336B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本願発明は、固定容量型の油圧ポ
ンプと、該油圧ポンプの吐出部と吸入部にそれぞれ供給
側油路と戻り側油路とを介して接続されて油圧閉回路を
構成する可変容量型の斜板式油圧モータとを備えた油圧
式無段変速機に関し、特に、閉回路内にチャージング油
圧を供給するためのチャージング油路に関する。 【0002】 【従来の技術】図20は、特開昭53−88460号公
報に記載された油圧式無段変速機のチャーング油路の構
造を示しており、入力軸1に形成された油路250を介
して分配盤(バルブボディ)251内の閉回路部分に至
る構造となっており、また、逆止弁252は、常時回転
部材である分配盤251に設けられている。 【0003】別のチャージング油路構造としては、特願
平4−68230号に記載されたものがあり、常時回転
部材であるモータ用シリンダブロックに形成された油路
を介してリヤカバー内の油室に至る構造であり、チャー
ジング油路内の逆止弁は、モータ用シリンダブロックと
一体回転するバルブボディに設けられている。一方、ポ
ンプPとモータMとを直結するための油圧クラッチC1
と、出力側回転速度ガバナー弁を備えており、該ガバナ
ー弁の入口ポートを前記チャージング油路に連通してい
る。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】前者及び後者のいずれ
の場合も、入力軸やモータ用シリンダブロックという常
時回転部材内に形成された油路を、チャージング油路と
して利用しており、このため、必ず回転部材と静止部材
との間の摺動面、たとえば入力軸1の前端外周面と静止
ケース部材253との嵌合面を通過して、チャージング
油圧が供給されることになり、該摺動面のシール部材2
54において、摩耗対策を確実にする実施する必要があ
り、油の洩れ等を阻止するために、シール部材として耐
久性の高い高価なものが必要となる。 【0005】また、いずれの場合においても、チャージ
ング油路途中の逆止弁252は、前述のように、分配盤
251あるいはバルブボディという回転部材に配置しな
ければならない。その理由は、逆止弁252が、HST
閉回路内の高圧油がチャージングポンプ側へ逆流を防止
することを目的としているため、仮に、回転摺動面から
手前側(チャージングポンプ側)の静止ケース部材25
3に逆止弁を設けたとすると、上記回転摺動面のシール
部分254に、高圧が負荷される結果となり、シール部
分に非常に大きな耐圧性が要求され、この場合でも油洩
れの問題が生じ易くなる。故に、上記従来例では必然的
に、回転部材内に逆止弁を配置して、少しでも油洩れの
防止を図っている。 【0006】このような場合、逆止弁252は、分配盤
251あるいはバルブボディ等の回転部材と一体的に回
転するため、遠心力による影響をうけるものであり、こ
の影響を少なくするため、前者では配置スペースが小さ
い回転軸中心付近に配置しており、後者では、回転軸心
から離れた位置に配置されているが、逆止弁用ボールの
シート面を傾斜させ、遠心力の影響を減らしている。ま
た、逆止弁自体を小型化することによっても遠心力の影
響を減らしている。 【0007】以上の制約を受けた逆止弁は極力小さなも
のとならざるをえず、この結果、チャージング油圧回路
の圧力損失が高まる傾向となる。これを補償し、適正チ
ャージング油量を確保するためには、チャージング油圧
を上げなければならず、チャージングポンプの駆動ロス
を増加させることになる。また、チャージング油圧を上
げれば、前記回転摺動面シール部の耐久性が低下し、該
シール部からの漏れ量が大きくなれば、最終的にチャー
ジング油圧の低下を招き、該チャージング油圧と連通し
た油圧クラッチC1の伝達トルク容量が不足することに
もなる。 【0008】 【発明の目的】 (1)高価なシール部材を使用することなく、チャージ
ング油路内のシール性能を向上させる。 【0009】(2)チャージング油路内に配置される逆
止弁の配置、大きさ及び容量の設定自由度を増加させる
ことができるようにすることにより、チャージング油路
の圧力損失を低減し、チャージングポンプの駆動ロスを
低減する。 【0010】(3)直結クラッチを長期の使用に渡り伝
達トルク容量の低下を防ぐ。 【0011】 【課題を解決するための手段】 [請求項1記載の発明]図5において、固定容量型の油
圧ポンプPと、該油圧ポンプPの吐出部と吸入部にそれ
ぞれ供給側油路B1と戻り側油路B2とを介して接続さ
れて油圧閉回路を構成する可変容量型の斜板式油圧モー
タMと、油圧モータMに、図1のバルブボディ3を介し
て一体的に結合されるリヤカバー23と、リヤカバー内
の油室24を上記供給側油路B1の一部となる内方油室
24bと戻り側油路B2の一部となる外方油室24aと
に区画すると共にバルブボディ端面に回動自在に摺接す
るシフト用の油圧分配環29と、該分配環29を支持す
る分配環支持軸25と、上記内方油室24bと外方油室
24aを短絡させるクラッチ弁72と、上記閉回路にチ
ャージング油圧を供給するためのチャージングポンプ1
00(図5)を備えている。 【0012】このような油圧式無段変速機において、チ
ャージング油圧供給用のチャージング油路として、静止
ケース部材(カバーケース47)内に形成されたチャー
ジング用の油路94及び逆止弁95a,95bから、分
配環支持軸25内に形成された油路(環状油路33、斜
め油路84あるいは油路31a等)を経て、リヤカバー
内の油室24に至るチャージング油路を形成している。 【0013】また、図12のように、静止ケース部材
(カバーケース47)内の油路94は、カバーケース4
7内で2つの油路94a,94bに分岐し、各油路94
a,94b内にそれぞれ逆止弁95a,95bを配置
し、分配環支持軸25内には、一方の油路94aと外方
油室24aとを連通する支持軸内の油路(環状油路33
及び斜め油路84等)と、他方の油路94bと内方油室
24bとを連通する油路(内側管31内の油路31a)
を形成している。 【0014】さらに図1のように、ポンプPとモータM
とを直結するための油圧式直結クラッチC1と、出力側
回転速度に応じて上記直結クラッチC1への作動油供給
を断続する出力側回転速度ガバナー弁76を備えてお
り、該ガバナー弁76の入口ポート部分をバルブボディ
3内の油路を介して外方油室24aに連通している。 【0015】 【作用】図5において、チャージングポンプ100から
の作動油は、例えば1次圧油路101、1次調圧弁12
1及び2次圧油路102を介して、図12のカバーケー
ス47内の油路94から、ケース47内の逆止弁95
a,95b介して各油路94a,94bに供給される。 【0016】一方の油路94aからは、環状油室45、
42等を通り、支持軸25内の環状油室33及び斜め油
路84等を介して外方油室24aに供給される。 【0017】他方の油路94bからは、支持軸25内の
油路31aを通って内方油室24bに供給される。 【0018】出力側回転速度が上昇して一定の高速回転
になると、図1のガバナー弁76は例えば遠心力により
開き、外方油室24aから油路75を介してガバナー7
6の入口ポート部分にくる作動油を、図4のように油路
77を介して直結クラッチC1の作動油室78に圧送
し、直結クラッチC1を接続する。 【0019】 【発明の効果】以上説明したように本願発明によると、 (1)チャージング油圧は、静止ケース部材内の油路9
4及び逆止弁95a,95bから、分配環支持軸25内
の油路を介して油圧閉回路内の油室24に供給される
が、支持軸25はシフト時あるいはエンジンドライブと
エンジンブレーキとの切り換わり時以外は、カバーケー
ス47等の静止ケース部材に固定された状態であり、ま
た、クラッチ弁72も作動していない時は同様なので、
従来例のように、チャージング油圧が入力軸、モータ用
シリンダブロックあるいはポンプ用シリンダブロック等
の回転部材内を通過することはなくなり、回転部材と静
止ケース部材間の回転摺動面を通過することはなくな
る。すなわち、チャージング油路用のシール部分、たと
えば図12の0リング142,143,144等は回転
摺動せず、たとえ高圧油が負荷された場合であっても、
耐回転摺動性、耐圧性の大きい高価なシール部材を使用
することなく、シール部分の洩れ等を阻止でき、良好な
シール性能を維持できる。 【0020】(2)逆止弁95a,95bは、共に静止
ケース部材内に配置されているので、従来例のように回
転部材に配置する場合に比べ、スペース、寸法及び容量
の設定自由度が増える。すなわち、大形の容量の大きい
逆止弁を容易に設置でき、これにより圧力損失の小さい
チャージング油圧回路を、簡単かつ安価に確保できる。 【0021】上記効果に加え、次のような効果もある。
直結クラッチ作動用の圧油を断続するためのガバナー弁
76の入口ポート部分を、逆止弁95aを経て油が供給
されるHST回路内の外方油室24aに連通しているの
で、直結運転時にHST回路内の安定した作動油圧を、
直結クラッチの接続維持用に有効に利用でき、長期に渡
る使用に対して初期の伝達トルク容量が確保できる。 【0022】 【実施例】図1は、本願発明を適用した油圧式無段変速
機の全体縦断面図を示しており、モータ用プランジャ突
出方向(図中の左側)を軸方向の前方向と規定してい
る。 【0023】まず、全体のレイアウトを説明する。駆動
源側の変速用入力軸1の外周には、前側から順に可変容
量型の斜板式の油圧モータ(アキシャル形プランジャモ
ータ)Mと固定容量型の斜板式の油圧ポンプ(アキシャ
ル形プランジャポンプ)Pとが軸方向に直列配置されて
いる。 【0024】さらに具体的には、前側から順に、モータ
用斜板19、モータ用シリンダブロック4、ポンプ用斜
板15及びポンプ用シリンダブロック2が配置され、ポ
ンプ用シリンダブロック2の半径方向外方にはこれを間
隔をおいて覆う中間ドラム5が配置され、該中間ドラム
5とポンプ用シリンダブロック2の間には、両者5、2
を直結するための多板式油圧直結クラッチC1 が配置さ
れている。 【0025】中間ドラム5及びポンプ用シリンダブロッ
ク2の後側に、油圧回路を有するバルブボディ3が配置
され、バルブボディ3の後側には、リヤカバー23が配
置され、バルブボディ3及びリヤカバー23は、中間ド
ラム5と共にモータ用シリンダブロック4に一体に締結
され(図4)、モータ用シリンダブロック4と一体回転
し、かつ、軸方向スラスト力も互いに直接伝達される。
リヤカバー23は、後で詳しく説明するが、ころがり玉
軸受7を介して変速機ケース22の後部支持壁部22a
に回転自在かつ後方移動不能に支承され、リヤカバー2
3の後端部には出力ギヤ53が一体に形成され、該出力
ギヤ53は車輪側のギヤ54に噛み合っている。リヤカ
バー23内には、リヤカバー内油室24を外方油室24
aと内方油室24bに区画する前後進切換用の油圧分配
環29と、これを偏心支持する分配環支持軸25と、該
支持軸25内に内装された内側管31等が配置されてい
る。 【0026】変速機ケース22の後部支持壁部22aの
後面には、後部ケース46が固着され、さらにその後側
にはカバーケース47が固着され、カバーケース47内
には、前後進切換用のシフト機構10及び内外方油室短
絡用のクラッチ弁72等が備えられている。 【0027】モータM及びポンプPの半径方向外方側に
は、モータ用斜板19の傾斜角度を制御して、自動変速
制御及び速比ロック制御を行う変速制御用油圧アクチュ
エータ、すなわち、コントロールラムA1が配置されて
いる。 【0028】油圧ポンプPの概要を説明する。ポンプ用
シリンダブロック2は、その内周が入力軸1にスプライ
ン嵌合し、入力軸1と一体的に回転する。ポンプ用シリ
ンダブロック2には円周方向に等間隔を置いて、奇数個
(例えば5個)の円筒穴41が形成されており、各円筒
穴41は入力軸1と平行に形成されると共に、前方に向
いて開口している。各円筒穴41には、それぞれ有底筒
状のポンプ用プランジャ14が軸方向摺動自在に嵌合し
ており、各ポンプ用プランジャ14の前端球面部はポン
プ用斜板15に当接している。ポンプ用斜板15は、ポ
ンプ用プランジャ14の往復運動のガイドとなるもので
あり、スラスト軸受16を介してモータ用シリンダブロ
ック4の後端部斜面に設置されている。各ポンプ用プラ
ンジャ14内にはこれを前方に付勢するコイルばね17
が円筒穴後端面との間に縮設されており、これにより、
ポンプ用斜板15を押さえてポンプ用斜板15の脱落を
防止すると共に、ポンプ用シリンダブロック2を後側の
バルブボディ3に押さえ付けて摺動シール面2bにおけ
る低回転時のシール性を向上させ、さらに、ポンプ用プ
ランジャ14を前方に付勢していることにより、自己吸
引能力を油圧ポンプPに付与している。 【0029】油圧モータMの概要を説明する。モータ用
シリンダブロック4は、その内周側が入力軸1に対して
環状油路50を隔てて回転自在に嵌合し、変速機ケース
22に軸受44等を介して支持されている。モータ用シ
リンダブロック4には円周方向に等間隔を置いて、複数
個(例えば9個)の円筒穴43が形成されており、該円
筒穴43は、入力軸1と平行に形成されると共に前方に
向いて開口している。各円筒穴43には、それぞれ有底
筒状のモータ用プランジャ18が軸方向摺動自在で前方
に突出可能に嵌合しており、各モータ用プランジャ18
の前端球面部はモータ用斜板19に当接している。モー
タ用斜板19は、モータ用プランジャ18の往復運動の
ガイドとなるものであり、転動体20等を介して前側の
斜板ホルダー21に支持されている。各モータ用プラン
ジャ18内にはこれを前方に付勢するコイルばね37が
円筒穴後端面との間に縮設されており、これにより、自
己吸引力を油圧モータMに付与している。 【0030】油圧モータMと油圧ポンプPとの間で構成
されるHST回路(閉回路)の概要を説明する。油圧ポ
ンプPに関して、バルブボディ3には、ポンプ用円筒穴
41と内方油室24b又は外方油室24aとを連通する
油路148,149が形成されており、吐出行程の円筒
穴41は内方油室24bに連通して、油路148を介し
て作動油を内方油室24bに吐出し、吸入行程の円筒穴
41は外方油路24aに連通し、油路149を介して外
方油室24aから作動油を吸入する。 【0031】油圧モータMに関して、バルブボディ3、
中間ドラム5及びモータ用シリンダブロック4には、各
モータ用円筒穴43と、内方油室24b又は外方油室2
4aとを連通する油路150、151が形成されてお
り、膨張行程のモータ用円筒穴43は、内方油室24b
に連通して内方油室24bからモータ用円筒穴43内に
作動油が圧送され、一方、排出行程のモータ用円筒穴4
3は、外方油室24aに連通してモータ用円筒穴43か
ら外方油室24aに作動油を排出する。 【0032】図5の一部に、ポンプPとモータMとの間
で構成されるHST回路(閉回路)の簡略図を示してお
り、油圧ポンプPは入力軸1を介してエンジン11に連
結されており、油圧ポンプPの吐出部と油圧モータMの
入口部を連通する圧油供給側油路B1は、前記油路14
8、内方油室24b及び油路150等から構成され、エ
ンジンドライブ時では、高圧となる。油圧モータMの出
口部と油圧ポンプPの吸入部を連通する戻り側油路B2
は、前記油路149、外方油室24a及び油路151等
から構成され、通常、エンジンドライブ時では、低圧と
なっている。また、エンジンブレーキ時には油圧モータ
Mが油圧ポンプPを駆動することになり、戻り側油路B
2が高圧となり供給側油路B1が低圧となる。 【0033】前記クラッチ弁72は、終局的には閉回路
の両油路B1,B2間を短絡する弁である。戻り側油路
B2には、油路75を介して出力側回転速度ガバナー弁
76として、遠心式車速ガバナー弁(以下符号「76」
は車速ガバナー弁と称する。)の入口ポートが接続し、
車速ガバナー弁76の出口ポートは、油路77を介して
直結クラッチC1の作動油室78に連通している。 【0034】HST回路の各油路B1,B2は、それぞ
れ逆止弁95b,95aを介して油路94に連通し、該
油路94は、2次圧油路102、1次調圧弁121及び
1次圧油路101を介してチャージングポンプ100に
接続している。 【0035】遠心式車速ガバナー弁76の構造を説明す
る。図1において、遠心式車速ガバナー弁76の弁ケー
ス80は、中間ドラム5の半径方向の嵌着孔に固着さ
れ、弁ケース80内にはスプール弁体81が半径方向移
動可能に嵌合しており、該弁スプール弁体81はばね8
2により半径方向内方側に付勢されて、弁を閉じてい
る。車速が一定の高速値に達すると、ばね82に抗して
半径方向外方にスプール弁体81が移動することによ
り、弁が開くようになっている。 【0036】車速ガバナー弁76の入口側の油路75
は、中間ドラム5及びバルブボディ3内に形成されてお
り、外方油室24aに連通している。ガバナー弁76の
出口側の油路77には、モータ用シリンダブロック4内
に形成された信号用油路83が連通し、該油路83は前
記環状油路50を介して変速機ケース22の前壁内の油
路90に連通し、該油路90は、図5に示すように、ガ
バナーレバーYのストッパ用シリンダ115の作動油室
に連通している。 【0037】図3は、図2のIII−III断面図であり、車
速ガバナー弁76の出口部に接続する前記油路77はコ
の字形に折れ曲がっった後、図4のように後方へ延びて
直結クラッチC1の作動油室78に至っている。 【0038】図1において、前後進切換用のシフト機構
10を説明する。支持軸25の後端部にはギヤ部32が
一体に形成されており、該ギヤ部32は扇形のシフトギ
ヤ60に噛み合い、該シフトギヤ60は、その上端部が
切換軸56に回動自在に支持されると共に、中間部に上
下方向に長い長孔60aを有している。長孔60aには
中間ギヤ58の偏心円筒突起部58aが係合している。
中間ギヤ58は、後部ケース46に固着された支持ピン
59に回転自在に支承されており、駆動ギヤ57に噛み
合っている。駆動ギヤ57は切換軸56に固定され、切
換軸56と一体に回転する。切換軸56は、後部ケース
46及びカバーケース47に回動自在に支持されると共
にケース外方へと延び出し、操作レバー等の適宜の操作
部材に連動連結されている。 【0039】すなわち、切換軸56を外部から回動操作
することにより、駆動ギヤ57を介して中間ギヤ58を
回動し、偏心円筒突起部58aにより長孔60aを介し
てシフトギヤ60を切換軸56回りに揺動させ、ギヤ部
32を介して前記支持軸25及び油圧分配環29を回動
するようになっている。 【0040】図18はシフト機構10の縦断後面拡大図
を示しており、駆動ギヤ57は前記中間ギヤ58に噛み
合うギヤ部57aと、切換軸心を中心とする円周面57
bを有しており、該円周面57bには、前進、中立及び
後進の各シフト位置を明確にするための前進用位置決め
溝61a、中立用位置決め溝61b及び後進用位置決め
溝61cが設けられ、位置決め溝61a,61b,61
cには位置決め用の鋼球62が係脱自在に噛み合う。該
鋼球62は、カバーケース47に形成された孔63内に
嵌合すると共に、圧縮コイルばね64により駆動軸心側
へと付勢され、圧縮コイルばね64の弾性力により、例
えば前進用位置決め溝61aに噛み合っている。 【0041】各位置決め溝61a,61b,61cは、
略U字形あるいはV字形又は斜面状になっており、駆動
ギヤ57に一定以上の回転トルクが加わることにより、
溝61a等の斜面のカム作用により、ばね64の弾性力
に抗して、鋼球62を押し退けて回転することができ
る。 【0042】シフトギヤ60の回動方向の両側には、突
出量調節自在な前進位置規制用ストッパ85と、固定壁
式の後進位置規制用ストッパ86が設けられている。 【0043】上記シフト機構10には、上記鋼球62等
の位置決め機構やストッパ85,86に加え、中立位置
において駆動ギヤ57を完全にロックするための中立ロ
ック用アクチュエータ129が配置されており、以下の
ように構成されている。カバーケース47に、ロッド支
持孔68及びこれに連通するシリンダ71が形成され、
シリンダ71内には円柱状ロッド66のピストン部66
aが摺動自在に嵌合し、ロッド66は、支持孔68に液
密状態に嵌合すると共にこれを貫通して駆動ギヤ中心側
に突出している。シリンダ71にはプラグ73が螺着さ
れ、該プラグ73とピストン部66aとの間に縮設され
たばね67により、ロッド66を駆動ギヤ中心側へと付
勢し、中立状態において、駆動ギヤ円周面57bに形成
されたロック溝70に係合させている。ロック溝70
は、コの字形に形成され、一方ロッド66の先端面は平
面状に形成され、これにより、一旦,円柱状ロッド66
が係合すると、駆動ギヤ57の回転トルクによっては外
れないようになっている。 【0044】シリンダ71内はピストン部66aによっ
て、油室69とばね室74とに区画されており、ばね室
74は、逃がし通路65を介してケース47内に連通し
ている。油室69は、図5のように、油路106を介し
て中立ロック作動弁(電磁弁)126の入口ポートと2
次圧油路102に接続している。油室69に作動油が圧
送されるとロッド66がばね67に抗して後退し、中立
ロック状態が解除されるようになっている。 【0045】中立ロック作動弁126のソレノイドは、
図11に示すようにブレーキ作動検出スイッチ226に
接続し、ブレーキ作動時(ブレーキオン時)には、中立
ロック作動弁126を閉じ、図6のように2次圧油路1
02から油路106を通して油室69に作動油を圧送す
るようになっている。すなわち、ブレーキ作動時にロッ
ド66を後退させるようになっている。 【0046】図12において、リヤカバー23の支持構
造及び内部の構造を具体的に説明する。リヤカバー23
の軸方向の中間部外周に、段部23aを介して軸受取付
面23bが形成され、該取付面23bに、前記ころがり
玉軸受7のインナーレースが嵌着され、かつ前端面が段
部23aに当接している。ころがり玉軸受7のアウタレ
ースは、変速機ケース22の後部支持壁22aに形成さ
れたボス6の内周面に嵌着され、後端面がボス6の後部
内向きフランジ6aに当接している。 【0047】油圧分配環支持軸25は、前後方向に貫通
する中空孔を有し、入力軸1と概略同軸心に配置されて
いる。支持軸前端部には、支持軸心から偏心した円筒状
の頭部25aが一体に形成され、頭部25aの後側部位
に、十字形に半径方向貫通するメインクラッチ用クラッ
チ油孔51が形成され、その後側部位には支持軸心と同
心で外方に張り出す嵌合支承部25bが形成され、さら
に後方へと延びて後部ケース46を通過し、後端部は、
クラッチ弁72用回動スリーブ34の内周面の前半大径
部に、Oリング142を介して回転自在かつ軸方向相対
移動可能に支持されている。 【0048】内側管31は、支持軸25の後端縁よりも
後方へと延び、回動スリーブ34の内周面の後半小径部
に嵌合支持されると共に、さらに後方へと延び、カバー
ケース47のボス部47aに支持され、位置決め固定用
ボルト38により、軸方向及び回転不能に規制されてい
る。内側管31の外周面と支持軸25の内周面との間に
は、環状油路33が形成され、該環状油路33の前端部
は、斜め油路84を介して外方油室24aに連通し、後
端部は回動スリーブ34との間の環状油室42に連通し
ている。回動スリーブ34は、その外周面がころがり玉
軸受40を介してカバーケース47の軸受支持穴47c
に回転自在かつ軸方向移動不能に支持されると共に、O
リング143を介してカバーケース47の嵌合面47d
部分に嵌合している。 【0049】支持軸25を、シフト機構10により、図
18の中立位置から、支持軸心回りにF側あるいはR側
に一定角度回動することにより、分配環29を支持軸心
回りに前進位置(図17)あるいは後進位置(図19)
に変位させることができ、これにより、図12のバルブ
ボディ3の摺接面に開口している油路150,151の
各ポートP0 (図18)に対して、内方油室24b及び
外方油室24aの連通関係が切り換わり、HST回路を
前進あるいは後進状態とする。 【0050】チャージング油圧の供給経路を説明する。
図12において、静止部材であるカバーケース47内
に、HST作動油補給用の供給油路94a,94bが形
成されており、それぞれ逆止弁95a,95b及び油路
94を介して2次圧油路102に連通している。一方の
油路94bの上端部は、内側管31の後端部の孔及び内
側管31内を介して内方油室24bに連通している。他
方の油路94aの上端部は、回動スリーブ34の後側の
油室45に連通し、該油室45は、回動スリーブ34の
内周面に形成された軸方向の油溝35を介して油室42
に連通している。すなわち、カバーケース47の油路9
4aは、油室45、油溝35、油室42、環状油路33
及び斜め油路84を介して常時外方油室24aに連通し
ている。 【0051】支持軸25の頭部25aと油圧分配環29
との嵌合部分には、Oリング144が配置されている。
このOリング144と、前記したように、支持軸後端部
と回動スリーブ34の嵌合部分のOリング142と、回
動スリーブ34の外周面とカバーケース47の嵌合面4
7dのOリング143等により、チャージング油圧の経
路のシールを行っているが、これらはいずれも、シフト
操作時あるいはクラッチ弁72の作動時に僅かに揺動す
るだけで、それ以外は回転しない部材間に配置されてい
るので、十分に高いシール性能を長期に渡って維持でき
る。すなわち、内方油室24bと外方油室24aとを、
シフト操作時しか回動しない支持軸25の内側管31内
通路を介して、静止ケース部材であるカバーケース47
内の油路94b,94aに連通し、逆止弁95a,95
a等を介してチャージングポンプ100(図5)に連通
していることにより、常に回転する部材と静止部材の間
に装置するような複雑なシール構造が不要となり、簡単
なシール構造でチャージング油圧をHST回路に供給で
きる。 【0052】クラッチ弁72の具体的構造を説明する。
内側管31の回動スリーブ34との嵌合部分には、クラ
ッチ用油孔36が形成されており、回動スリーブ34の
回動により、油溝35を油孔36に一致させたときに
は、内側管31内、油孔36、油溝35、油室42、環
状油路33及び斜め油路84を介して、内、外方油路2
4b,24a間を連通する。すなわち、クラッチ弁72
を開いて、HST回路を短絡させる。一方、回動スリー
ブ34の回動により、油溝35の位置を円周方向にずら
して油孔36を閉じることにより、内、外方油路24
b,24a間を遮断する。なお、油溝35は、回動スリ
ーブ34の両端油室42,45を連通するように設けら
れ、逆止弁95aからのチャージング油圧を外方油室2
4aに導く。 【0053】回動スリーブ34は、そのレバー部34a
が、エンジン11の回転速度により変化するガバナー油
圧で作動する油圧アクチュエータ(図示せず)に連結し
ており、アイドリング時に開弁し、エンジン回転速度が
速くなると閉弁する。また、直結クラッチ作動時に、開
いて油溝35と内側管31内とを連通するようになって
いる。 【0054】支持軸25の詳細な支持構造を説明する。
前述のように支持軸25に外向きフランジ状に形成され
た嵌合支承部25bは、前面が外方油室24aに面し、
該支承部25bの外周に円環49が配置されており、該
円環49の内周面には前向きの段部49aを介して嵌合
面49bが形成され、該嵌合面49bに、シールリング
を介して支承部25bが回動自在かつ軸方向相対移動可
能に嵌合支持されている。円環49の外周面は、ローラ
ころがり軸受48を介してリヤカバー23の後部内周支
持孔39に回転自在に支持されると共に、外周面前端部
49cはシールリングを介してリヤカバー23内の内向
き嵌合部23dに、液密状態で軸方向相対移動可能に嵌
合している。円環49の後端面は、樹脂等の円板状の緩
衝材55を介して後部ケース46の前端面に当接してい
る。 【0055】円環49の段部49aと支承部25bの後
面の間には、支持軸25の軸方向移動により体積変化す
るダンパー油室87が形成されており、該ダンパー油室
87は、支持軸25の外周面と円環49の後部内周面と
の間の狭い環状油路88を介してカバーケース47内の
油溜まりに連通している。 【0056】支承部25bの外径(円環49の嵌合部4
9bのボア径)D1は、エンジンブレーキ時に必要な分
配環29の押付力を維持できる程度に決定される。すな
わち、支承部25bの外径D1を大きくすれば支持軸2
5を前方へ押す力は小さくなり、反対に小さくすれば前
方へ押す力は大きくなる。一方、円環49の外周面前端
部49cのシール部分の外径D2は、エンジンブレーキ
時及びエンジンドライブ時のいずれの状態においても、
支持軸25まわりの総スラスト力が、モータ用プランジ
ャ18の軸方向反力を越えず、リヤカバー23等を前方
に押し戻さないことを限度に、できるだけ大きく設定さ
れる。 【0057】モータ用プランジャ18の反力は、エンジ
ンドライブ時とエンジンブレーキ時を問わず、後向きに
働いており、この反力は、支持軸25の後端縁と、円環
49の後端面と、軸受7で受けているが、軸受7は相対
回転しているので、これに反力が集中しないように、前
記緩衝材55介して静止ケース部材である後部ケース4
6に負担させて、軸受7にかかる後向きのモータ用プラ
ンジャ反力を軽減しているのである。 【0058】円環49のシール径(外径)D2を大きく
することは、外方油室24aに面する円環49の受圧面
積が大きくなるので、外方油室24a内の作動油を介し
て全体(バルブボディ3)を左の方向へ押そうとする力
が大きくなり、その分、モータ用プランジャ18の反力
に対する軸受7の負担が減る。特に、エンジンブレーキ
時は、外方油室24aが高圧となって支持軸25が引き
込まれる場合に有効である。 【0059】支持軸頭部25aの前端面には、該頭部2
5aの中心部に僅かに前方へ突出する突子25cが形成
され、エンジンブレーキ時の油圧分配環29の概ね中心
部分を前方へ押すようになっている。 【0060】エンジンドライブ時は、図13のように内
方油室24bが外方油室24aより高圧になり、支持軸
25は円環49及びリヤカバー23に対して後方へ押さ
れるが、ダンパー油室87のダンパー作用により、緩や
かに後方へ移動し、支承部25bの後面が円環段部49
aに係合する。リヤカバー23にかかるモータ用プラン
ジャの後方への反力は、支持軸25の後端縁と、円環4
9の後端縁と、軸受7で分散して受けており、これによ
り、相対的回転するスラスト軸受7にかかる荷重を低減
する。 【0061】エンジンブレーキ時は、図12のように、
外方油室24aが内方油室24bより高圧になり、リヤ
カバー23等に対して分配環支持軸25は前方へと引き
込まれる。この時、円環49はその前面の環状受圧面で
外方油室24aの高圧油の圧力を受け、静止ケース部材
46に押し当てられ、これにより、軸受7にかかるモー
タ用プランジャの反力によるスラスト力を軽減する。 【0062】また、エンジンブレーキ時に分配環29を
バルブボディ3の端面に押し付ける際、油圧反発力の略
中心を集中的に押さえることにより、分配環29の傾斜
を防止して、分配環29とボディ端面との間のシール性
能を維持する。 【0063】図14〜図16により、自動変速制御用油
圧アクチュエータとしてのコントールラムA1の具体的
構造を説明する。図14において、コントロールラムA
1は、三段ピストン式になっており、前段の小径のメイ
ンピストン161と、中段の中間径の第1補助ピストン
162と、後段の大径の第2補助ピストン163とを有
し、多段型のシリンダ164内に直列に備えられてい
る。多段型シリンダ164は、五段階の筒部171,1
72,173,174,175を一体に有しており、前
端の第1筒部171から後側へと順次拡径している。 【0064】メインピストン161は、後端が開口する
有底筒形に形成されており、斜板ホルダー21の上端部
に連結リンク12を介して連結しており、メインピスト
ン1161が前方に移動する伴い、斜板ホルダー21が
立ち上がるようになっている。 【0065】メインピストン161は、前端部の外周が
シールを介して第1筒部171の内周面に軸方向移動自
在に嵌合し、後部には環状段部161aを介して拡径嵌
合部が形成され、第2筒部172の内周面に軸方向移動
自在に嵌合しており、第2筒部172とメインピストン
161の間で環状の第1油室181を構成している。 【0066】第1補助ピストン162は、前端が開口す
る有底筒形に形成されると共に後端部に環状段部162
aが形成されている。前端開口端はメインピストン16
1の後端縁と略同形状に形成され、当接自在となってい
る。後部の拡径シール部は、第3筒部173の内周面に
軸方向移動自在に嵌合している。メインピストン161
と第1補助ピストン162の間で、第2油室182を構
成している。第1補助ピストン162の後端中央部に
は、後方に突出する筒状の芯出しガイド突起162bが
形成され、第2補助ピストン163の前壁の孔にシール
を介して嵌合している。 【0067】第2補助ピストン163は、後端が開口し
た有底筒状に形成されると共に、前部に段部163aが
形成されている。前部外周シール部分は、第4筒部17
4の内周面に軸方向移動自在に嵌合し、前端縁は、第1
補助ピストン162の後端縁と同形状に形成され、当接
自在となっている。第2補助ピストン163の後端縁
は、シリンダ164の底壁面(後部ケース46)に当接
自在となっている。第1補助ピストン162と第2補助
ピストン163との間で、第3油室183を形成してい
る。また、第2補助ピストン163の後側に第4油室1
84を形成している。 【0068】各油室181,182,183,184に
はそれぞれ第1,第2,第3,第4ポート191,19
2,193,194が形成されている。各ポート19
1,192,193,194は、それぞれ後述する各種
弁機構を介してエンジンガバナー弁112(図5)に接
続し、各種走行条件に対応して、選択的にエンジ回転ガ
バナー油圧が供給される。 【0069】上記第4油室184と第1油室181の受
圧面積の差は、図14において、第2ポート192から
第2油室182にガバナー油圧が供給されてメインピス
トン161が前方へ移動する際のメインピストン161
の受圧面積と等しくしてある。 【0070】また、第3油室183の前方への推力と第
1油室181の後方への推力との差は、第2ポート19
2からのガバナー油圧による前方への推力と略等しくな
るように受圧面積が設定されている。 【0071】このコントロールラムA1によると、3種
類の速比位置で、速比ロックできると共に、車輪側負荷
(モータ用プランジャ側負荷)に応じて自動変速制御で
きる。以下、各速比ロック位置及び通常運転時の状態を
説明する。 【0072】[第1ロック位置時(最大減速比L1)−
図14]図14に実線の矢印で示すように、第1ポート
191から第1油室181へのみガバナー油圧を圧送
し、他のポート192,193,194を開放した場合
には、第1油室181の油圧により全ピストン161,
162,163は同時に後方へ押され、最大収縮状態と
なる。すなわち、斜板ホルダー21は最大傾転位置(最
大減速比L1)でロックされる。 【0073】[通常走行時]図14に破線で示すよう
に、第2ポート192から第2油室182へのみエンジ
ンガバナー油圧を圧送し、他のポート191,193,
194を開放した場合には、第2油室182に入るガバ
ナー油圧に比例して、メインピストン161が前後方向
に移動しようとし、モータ用斜板19の傾転位置を自動
制御する。両補助ピストン162,163は、第2油室
182の作動油により、後方へと付勢され、後方位置で
係止している。 【0074】メインピストン161が最大ストロークS
1を前進して、シリンダ164の第1ストッパ面201
にメインピストン161の段部161aが当接すると、
モータ用斜板19は略直立状態となる。 【0075】この状態から車輪側(モータ側)の負荷が
増加すると、HSTの供給側油路B1の圧力が上昇し、
モータ用プランジャ18がモータ用斜板19を傾斜さ
せ、減速比を大きくしようとする。 【0076】[第2ロック位置時(最大減速比に近い中
間速比L2)−図15]図15において、実線の矢印で
示すように、第1、第4ポート191,194から第
1,第4油室181,184にガバナー油圧を圧送し、
第2,第3ポート192,193を開放した場合には、
第2補助ピストン163は、受圧面積が大であるので、
第4ポート194から第4油室184に入る油圧により
前進し、第2補助ピストン163の段部163aがシリ
ンダ164の第3ストッパ面203に当接し、係止され
る。 【0077】一方、メインピストン161は、第1ポー
ト191から第1油室181に入るガバナー油圧により
後方へ押され、第1補助ピストン162の前端縁に当接
し、該第1補助ピストン162を介して第2補助ピスト
ン163により係止され、図15の速度比L2でロック
される。 【0078】モータ用斜板19を直立側へと押す力は、
第4油室184の作動油による前方への推力と第1油室
181の後方への推力の差である。上記第4油室184
と第1油室181の受圧面積の差は、前述のように、第
2ポート192から第2油室182にガバナー油圧が供
給されてメインピストン161が前方へ移動する際のメ
インピストン161の受圧面積と等しいので、第1ポー
ト191から第1油室181へのみガバナー油圧が供給
されている図14の状態から、さらに第4ポート194
にガバナー油圧を追加した場合には、通常運転時の場合
(第2ポート192へのみ圧送時)と同じ推力特性で3
つのピストン161,162,163は前進し、モータ
用斜板19を起こし、図15の状態に至ることになる。
すなわち、通常運転時と同様の特性で自動変速を行いな
がら、最終的に図15の速比L2の状態でロックされ
る。 【0079】図15の状態で、車輛の負荷が増加した場
合、たとえば登坂時等では、キックダウンが必要となる
が、HST回路のモータ用プラジャ18の作動油圧が高
くなるので、モータ用プラジャ18の前方への圧力が増
加し、これによりモータ用斜板19を傾転させようとす
る力が増大すると、第2補助ピストン163がメインピ
ストン161及び第1補助ピストン162と共に後方へ
押し戻されて、シフトダウンされる。もしも、負荷が増
大したときでも、第2ロック位置で完全にロック状態が
保たれていると、駆動力が抵抗に打ち負けてしまい、エ
ンストしてしまうが、これを上記のように第2補助ピス
トン163の移動により補正するのである。すなわち、
通常はロックされているが、負荷増大時には自然にロッ
クを解除してシフトダウンできるのである。 【0080】[第3のロック位置(トップ側に近い速比
L3)−図16]図16に実線の矢印で示すように、第
1,第3ポート191,193から第1,第3油室18
1,183にガバナー油圧を圧送し、残りのポート19
2,194を開放した場合、図14の最大傾転位置での
ロック状態から、第3ポート193を経て第3油室18
3にガバナー油圧を入れて、図16の状態まで移行する
場合において、第3油室183の前方への推力と第1油
室181の後方への推力との差は、前記のように通常走
行時における第2ポート192からのガバナー油圧によ
る前方への推力と略等しくなるように受圧面積が設定さ
れているので、最大減速比L1の位置から図16の状態
までは自動変速制御時と同じ特性でモータ用斜板19を
変化させることができる。また、車輪側の負荷が急激に
増加した場合には、通常運転の場合と同様にメインピス
トン161を後方へ移動し、変速比を大きくし、シフト
ダウンする。 【0081】該実施例の油圧無段変速機は、自動変速の
制御、シフトロックの制御並びに直結クラッチ接続時に
余分な部分に余分の圧力が発生しないようにする制御等
が行われ、それら全体の制御系の油圧回路を図5〜図1
0に示している。チャージング油圧は、制御系の駆動用
及び直結クラッチの作動用に利用されると共に、前述の
ようにHST回路の洩れの補給のため等に利用される。 【0082】図5において、制御用の電磁弁としては、
主として次の5つが配置されており、いずれも常閉型の
電磁弁である。 走行モード切換パイロット弁 120 コントロールラム切換パイロット弁 105 第1シフトロックパイロット弁 108 第2シフトロックパイロット弁 110 中立ロック作動弁 126 【0083】図5〜図10においては、シフト機構10
を簡略化して示しており、駆動ギヤ57及び扇形シフト
ギヤ60を、一つの部材のように描いてある。また、各
油路の内、パイロット用の油路は破線で示しており、ま
た、圧力が立っている油路は、太く描いてある。 【0084】図11において、各電磁弁のソレノイド
は、次のような各スイッチが接続されている。走行モー
ド切換パイロット弁120のソレノイドには、走行モー
ド切換スイッチ220と直結クラッチ作動検出スイッチ
221が直列に接続され、走行モード切換スイッチ22
0の正側端子は、電源204に接続すると共に、エコノ
ミーモード接点Ecと、パワーモード接点Paと、速比
ロックモード接点Loに切換自在に接続する。 【0085】コントロールラム切換パイロット弁105
のソレノイドには、前進検出用スイッチ205と、クラ
ッチ弁作動検出用スイッチ206と、アクセルペダル踏
込操作検出用スイッチ207が並列に接続されると共
に、前記走行モード切換スイッチ220のロック接点L
oが接続している。 【0086】第1シフトロックパイロット弁108と第
2シフトロックパイロット弁110の各ソレノイドは、
シフトロック位置切換スイッチ208の各接点部分に接
続しており、両シフトロックパイロット弁108、11
0のソレノイド間には、後進検出用スイッチ209が接
続され、該後進検出用スイッチ209は、前進及び中立
検出接点F,Nと、後進検出接点Rに切換可能である。
シフトロック位置切換スイッチ208の正側端子は、前
記走行モード切換スイッチ220のロック接点Loに接
続している。 【0087】中立ロック作動弁126のソレノイドに
は、前述のようにブレーキ作動検出スイッチ226が接
続している。 【0088】図5において、チャージングポンプ100
の吐出側に接続された1次圧油路101には、1次調圧
弁121及びエンジンガバナー弁112が接続されてい
る。1次調圧弁121の出口ポートに接続されている2
次圧油路102には、2次調圧弁122が接続すると共
に、オリフィス91及び油路106を介して前述のよう
に中立ロック用アクチュエータ129の油室が接続する
と共に油路107を介してスロットル量検出用シリンダ
92の油室が接続している。スロットルレバー押し戻し
用シリンダ92の移動ロッドは手動式スロットルレバー
93に当接し、ロッドが突出した時にスロットルレバー
93をアイドリング状態へと押し戻すようになってい
る。 【0089】2次圧油路102は、前述のように油路9
4、逆止弁95b,95a及び油路94b,94aを介
してHST回路の吐出側油路B1と戻り側油路B2にそ
れぞれ接続している。HST回路に装備されるクラッチ
弁72、車速ガバナ−弁76、直結クラッチC1等は前
述の通りに接続している。 【0090】エンジンガバナー弁112の出口ポート
は、ガバナー圧切換弁113の入口ポートに直接に至る
油路96と、オリフィス97を介してガバナー圧切換弁
113の別の入口ポートに至る油路98と、コントロー
ルラム切換弁104の入口ポート及びクラッチ弁72の
作動油室に至る油路99とに分岐している。また、油路
98は、コントロールラム切換弁104の作動油室に至
る油路とコントロールラム切換パイロット弁105の入
口ポートに至る油路118とに分岐している。 【0091】エンジンガバナー弁112の移動ロッドは
ガバナレバーYの一端部に当接している。エンジン回転
速度が上昇するに従い、機械式ガバナー117により、
ガバナーレバーYの他端側を押して所定角度矢印T1方
向に回動し、エンジンガバナー弁112は、その移動ロ
ッドが押し込められて開弁し、エンジンガバナー圧を次
第に上昇させるようになっている。 【0092】ガバナーレバーYの一端部には、エンジン
ガバナー弁112の反対側に増圧用アシストシリンダ1
14が配置され、また、他端部には機械式ガバナー11
7とは反対側にストッパ用シリンダ115が配置されて
いる。増圧用アシストシリンダ114の油室は、ガバナ
ー圧切換弁113の出口ポートに接続している。ストッ
パ用シリンダ115の油室は、前記信号用油路90を介
して車速ガバナー弁76の出口ポートに接続し、車速が
上昇して同車速ガバナー弁76が開弁するとロッドが突
出し、ガバナレバーYのT1 方向への回動を抑制するこ
とにより、エンジンガバナー圧を降下させるようになっ
ている。 【0093】コントロールラム切換弁104の出口側第
1ポート104aは第1油路131を介してコントロー
ルラムA1の第1ポート191に接続し、出口側第2ポ
ート104bは油路132を介してコントロールラムA
1の第2ポート192に接続している。上記第1油路1
31は、途中で分岐して、第1,第2シフトロック切換
弁109,111の入口ポートにそれぞれ接続すると共
に、さらに分岐し、オリフィス133,134及び油路
135,136を介して第1,第2シフトロック切換弁
109,111の各作動油室に連通している。上記油路
135,136には、第1,第2シフトロックパイロッ
ト弁108,110の入口ポートがそれぞれ接続してい
る。第1,第2シフトロックパイロット弁108,11
0の出口ポートはタンクに接続している。 【0094】第1シフトロック切換弁109の出口ポー
トは油路138を介してコントロールラムA1の第4ポ
ート194に接続し、第2シフトロック切換弁111の
出口ポートは、油路139を介してコントロールラムA
1の第3ポート193に接続している。 【0095】1次調圧弁121には、減圧用アクチュエ
ータ123が備えられており、該アクチュエータ123
の作動油室と、前記ガバナー圧切換弁113の作動油室
は、油路140及びオリフィス141を介して2次圧油
路102に接続している。油路140には、該油路14
0をタンクに接続可能な走行モード切換パイロット弁1
20が接続している。 【0096】エンジンのアイドル回転状態から発進、加
速、低速及び高速走行までの一連の油圧制御を説明す
る。 【0097】図5は、発進前で、エンジンのアイドル回
転時の状態を示している。 [条件] エンジン回転 :アイドル シフト位置 :中立 走行モード :エコノミー 速比ロック :解除(通常変速モード) 【0098】[電磁弁の状態] 走行モード切換パイロット弁120 オン(エコ
ノミーモード) コントロールラム切換パイロット弁105 オン(中立
シフト位置) 第1シフトロックパイロット弁108 オフ 第2シフトロックパイロット弁110 オフ 中立ロック作動弁126 オン(中立
ロック) 【0099】チャージングポンプ100からの圧油は、
フィルター103を通って、まず1次圧油路101に入
る。該油路101内は、1次調圧弁121により1次圧
(1.3MPa)に調圧されており、エンジンガバナー
弁112に至り、閉状態のエンジンガバナー弁112に
より、一旦そこで遮断されている。 【0100】ブレーキを作動させていない状態なので、
中立ロック作動弁126は、スプールをX2方向へ移動
して開弁しており、油路106,107をドレインし、
減圧している。2次圧油路102の圧油は、オリフィス
91を通って油路106,107に供給されるが、上記
のように中立ロック作動弁126を介してドレインされ
ており、しかも油路106と2次圧油路102の間に
は、オリフィス91が配置されていることにより、油路
106,107の圧は略0になっている。したがって、
中立ロック用アクチュエータ129の油室69は0付近
まで減圧し、図18のようにアクチュエータ129のロ
ッド66がばね67の力により突出して、駆動ギヤ57
のロック溝70に係合し、シフト機構10を中立状態に
ロックしている。また、図5のシリンダ92も非作動状
態で、引っ込んでいる。 【0101】2次圧油路102の圧油は、油路94を通
ってHSTの閉回路内に補給される。 【0102】エンジンガバナー弁112は未だ閉じてい
るので、ガバナー油圧は該弁112からは供給されてお
らず、したがって油路99からクラッチ弁72へのパイ
ロット作動油の供給はなく、クラッチ弁72は開いてい
る。これによりHST回路の油路B1,B2(油室24
a,24b)間は短絡されており、モータMは作動して
いない。また、車速は0なので、遠心式車速ガバナー弁
76は閉じており、直結クラッチC1 には圧油は供給さ
れず、信号用油路90にも信号用圧油は供給されていな
い。 【0103】図6は、車発進後、中、低速域まで加速し
ている状態を示している。 エンジン :中、高速 車速 :中、低速(直結クラッチオフ) シフト位置 :前進 走行モード :エコノミー 速比ロック :解除(通常変速モード) 【0104】[電磁弁の状態] 走行モード切換パイロット弁 120 オン(エ
コノミーモード) コントロールラム切換パイロット弁 105 オフ 第1シフトロックパイロット弁 108 オフ 第2シフトロックパイロット弁 110 オフ 中立ロック作動弁 126 オフ(ブ
レーキ作動時のみ) 【0105】前記図5の状態から、ブレーキを踏むと、
中立ロック作動弁126がX1方向に移動して閉状態と
なり、油路106内の圧力が上昇する。それにより、ア
クチュエータ129の油室69の圧力が上昇し、ばね6
7に抗してロッド66後退させて、図18の駆動ギヤ5
7のロック溝70からロッド66を外す。これにより、
シフト機構10の中立ロック状態は解除され、前進また
は後退にシフト可能となる。 【0106】また、ブレーキを踏んで図5の中立ロック
作動弁126が閉じた場合に、上記油路106の上昇と
共に油路107も上昇することにより、シリンダ92の
ロッドが突出し、スロットルレバー93をスロットル閉
じ側へと押さえてアイドル状態を保つ。上記、スロット
ルレバー93は、手動式であり、通常前進あるいは後退
シフト時には、所定のアイドル位置に停止保持している
が、アクセル位置が仮に中開度あるいは高開度位置にあ
った場合、入力回転速度が高すぎて大きなスタートショ
ックを伴うため、ブレーキを踏むことにより、自動的に
スロットルレバー93をアイドル位置に戻すのである。 【0107】ブレーキ踏込状態を維持しつつ、シフト機
構を前進または後進位置等へシフトした後は、アクチュ
エータ129のロッド66はロック溝70から外れて図
17のように駆動ギヤ57の円周面57bに乗り上げて
いるので、ブレーキを戻しても、ロックは解除されたま
まである。 【0108】スロットルレバー93の開度を上げエンジ
ン回転数を上昇することにより、図6の機械式ガバナー
117のロッド117aの突出量が大きくなり、ガバナ
レバーYをT1方向へ回動し、エンジンガバナー弁11
2のロッド112aが押さえ込まれることにより、エン
ジン回転速度の二乗に比例した作動油がガバナー弁11
2から吐出される。 【0109】この作動油(ガバナー油圧)は、オリフィ
ス97、油路98及びガバナー圧切換弁113を通っ
て、アシストシリンダ114に入り、ガバナーレバーY
のT1方向への回動力を増幅させる。したがって、機械
式ガバナー117で押す以上に出力を高めている。たと
えば通常、3000rpmで0.6MPaのガバナー油
圧が出る場合において、アシストシリンダ114でアシ
ストすることにより、略1.2MPaに上がる。すなわ
ち、回転に対する比例定数(ゲイン)を増大させてい
る。 【0110】走行モードがエコノミーであることは、エ
ンジン回転が低い回転でも、ガバナー油圧を大きくし
て、コントロールラムA1の各ポート192等に供給す
るので、同じエンジン回転でも、コントロールラムA1
のピストン161(図14)等を強く押すことになり、
モータ用斜板19が直立しやすく、減速比が早くトップ
側へと変化する。すなわち、低いエンジン回転速度にマ
ッチングして変速比をトップ側へと変化させることによ
り、駆動力は低下するものの燃料消費量を低減させる。 【0111】ガバナー油圧は油路99を介してクラッチ
弁72の作動油室にも供給され、エンジンが所定の回転
速度に達した際、クラッチ弁72が閉じる。これにより
ポンプ圧が供給側油路B1内に立ち、HST回路が機能
し、モータMが回転する。 【0112】なお、図5から図6に変化する初期過程に
おいて、ガバナー油圧が低くコントロールラム切換弁1
04がまだ図5のようにばね146に押されている場合
には、油路99からのガバナー油圧は、第1油路131
に入り、コントロールラムA1の第1ポート191に圧
送される。これにより、モータ用斜板19は、最大傾転
位置(最大減速比)にロックされる。すなわち、車の発
進時においては、最大減速比の状態となる。 【0113】しかし、上記状態からすぐにエンジンの回
転が上がりガバナー油圧が上昇するので、車両発進後、
すぐにコントロールラム切換弁104は、図6のように
変化する。すると今度は、油路99から油路132を通
って、コントロールラムA1の第2ポート192に圧油
が供給され、一方、第1ポートへ191への圧油はドレ
インされる。 【0114】なお、発進時には勿論ブレーキは解除され
ているので、シリンダ92は解除状態となっており、ス
ロットルレバー93は自在に操作可能である。 【0115】図7は、車速が上昇し、車速ガバナー弁7
6が開いて、直結クラッチC1が接続した状態を示して
いる。 [条件] エンジン回転 :中、高速 車速 :高速(直結クラッチオン) シフト位置 :前進 走行モード :エコノミーモード 速比ロック :解除 【0116】[電磁弁の状態] 走行モード切換パイロット弁 120 オフ(エ
コノミーモード) コントロールラム切換パイロット弁 105 オン 第1シフトロックパイロット弁 108 オフ 第2シフトロックパイロット弁 110 オフ 中立ロック作動弁 126 オン 【0117】車速が上昇することにより、遠心式車速ガ
バナー弁76は開き(連通し)、直結クラッチC1 の作
動油室78にHST回路の圧油が供給され、直結クラッ
チC1が接続すると共に、信号用油路90を介してスト
ッパ用シリンダ115の作動油室に作動油(車速ガバナ
ー油圧)が供給され、シリンダ115のロッドを突出さ
せてガバナーレバーYをT2方向に押さえ、これにより
エンジンガバナー弁112を閉じ、ガバナー油圧を0と
する。すなわち、直結時におけるガバナー油圧の作動を
停止する。したがって、エンジンガバナー弁112の出
口ポートからガバナー油圧は供給されず、油路99を介
してクラッチ弁72の作動油室にガバナー油圧は供給さ
れないので、クラッチ弁72は開き、HST回路の両油
路間は短絡状態となる。これにより、直結運転状態にお
いて、たとえモータ用斜板19が多少傾いていても、そ
の油圧の立ち上がりをクラッチ弁72を介して逃がし、
負荷の増大を無くし、エネルギーの損失を防止してい
る。 【0118】また、遠心式車速ガバナー弁76が上記の
ように開いて信号用油路90に圧油が供給されると、図
11の直結クラッチ作動検出スイッチ(プレッシャスイ
ッチ)221が作動して、図7のように走行モード切換
パイロット弁120をオフとする。これにより、油路1
40内に圧力が立ち上がり、アクチュエータ123のロ
ッドを突出させて、1次調圧弁121の1次設定圧をた
とえば1.3MPaから0.8MPaまで下げる。した
がって、チャージングポンプ100の負担は軽減され、
省エネルギー化が達成される。これと同時に、ガバナー
圧切換弁113の作動油室にも圧油が供給され、該弁1
13をストレート形セクション(図の上側のセクショ
ン)に切り換え、アシストシリンダ114を非加圧状態
(ガバナーレバーを加圧しない状態)としている。 【0119】図7の状態では、エンジンガバナー弁11
2からガバナー油圧が供給されないので、コントロール
ラムA1には、いずれのポート191,192,19
3,194にも圧油は供給されない。したがって、コン
トロールラムA1のシフト推力は消失し、モータ用斜板
19は、単にモータ用プランジャ18の押圧力により、
略垂直姿勢に保たれる。 【0120】図8は、コントロールラムA1を最大減速
比L1で速比をロックし、一定の車速で走行作業をして
いる状態を示している。 [条件] エンジン回転 :中、高速 車速 :中、低速(直結クラッチオフ) シフト位置 :前進 走行モード :速比ロックモード 速比ロック :L1(最大減速比) 【0121】[電磁弁の状態] 走行モード切換パイロット弁 120 オフ(速
比ロックモード) コントロールラム切換パイロット弁 105 オン 第1シフトロックパイロット弁 108 オン(L
1指定) 第2シフトロックパイロット弁 110 オン(L
1指定) 中立ロック作動弁 126 オン 【0122】前提の状態としては、車速が中、低速なの
で、直結クラッチC1はオフになっており、ガバナー弁
112は開き、該ガバナー弁112からガバナー油圧が
供給された状態である。コントロールラム切換パイロッ
ト弁105は走行モード切換スイッチ220(図11)
が速比ロックモード位置であることにより、常にオンと
なっているので、油路116,118内の圧油はドレイ
ンされ、オリフィス97より下流側の油路部分には圧力
は立たなくなる。したがって、コントロールラム切換弁
104の作動油室にはパイロット圧は作用せず、ガバナ
ー弁12から吐出されるガバナー油圧は、油路99から
コントロールラム切換弁104を通り、油路131か
ら、コントロールラムA1の第1ポート191、第1シ
フトロック切換弁109及び第2シフトロック切換弁1
11の入口ポートに圧送される。 【0123】ところが、第1、第2シフトロック切換弁
109,111の各パイロット用の第1,第2シフトロ
ックパイロット弁108,110が開いていることによ
り、上記両シフトロック切換弁109,111は閉状態
になっており、結局、コントロールラムA1には油路1
31から第1ポート191のみに圧油が供給される。こ
れにより、コントロールラムは図14のように最大減速
比L1にロックされる。 【0124】上記ロック操作は、上述のように中、低速
走行時で直結クラッチC1がオフになっている時のみ有
効に動作するが、一方、高速走行時で直結クラッチC1
が接続している時には、急激な車速減少を防止するため
に、いくらロック操作をしても、ロック作動しない。す
なわち、図7のように、直結クラッチが接続している時
に、第1、第2シフトロックパイロット弁108,11
0を開いて最大減速比L1にロックしたとしても、エン
ジンガバナー弁112からガバナー油圧は供給されてい
ないので、図8のような状態にはならず、コントロール
ラムA1の第1ポート191には圧油は供給されず、ロ
ックされない。すなわち、高速走行時にたとえシフトロ
ック操作を行ったとしても、ロックはされず、急激なシ
フトダウンを避けることができる。 【0125】車速が下がって直結クラッチC1が解除さ
れた状態になると、ガバナー弁112は開いてガバナー
油圧が供給されるので、図8のように、シフトロック操
作を行うと、コントロールラムA1の第1ポート191
に圧油が供給され、最大減速比1にロックされるのであ
る。 【0126】図9は、コントロールラムA1を第2の減
速比L2で速比をロックしている状態を示している。 [条件] エンジン回転 :中、高速 車速 :中、低速(直結クラッチオフ) シフト位置 :前進 走行モード :速比ロックモード 速比ロック :L2(中間減速比) 【0127】[電磁弁の状態] 走行モード切換パイロット弁 120 オフ(速
比ロックモード) コントロールラム切換パイロット弁 105 オン 第1シフトロックパイロット弁 108 オフ(L
2指定) 第2シフトロックパイロット弁 110 オン(L
2指定) 中立ロック作動弁 126 オン 【0128】第1シフトロックパイロット弁108が閉
じていること以外は、図8の状態と同様な状態となって
いる。ガバナー弁112から吐出されるガバナー油圧
は、油路99からコントロールラム切換弁104を通
り、油路131から、コントロールラムA1の第1ポー
ト191と、第1シフトロック切換弁109の入口ポー
トと、第2シフトロック切換弁111の入口ポートに供
給される。 【0129】第2シフトロック切換弁111のパイロッ
ト用の第2シフトロックパイロット弁110が開いてい
ることにより、第2シフトロック切換弁111は閉状態
になっているので、コントロールラムA1には、油路1
31から第1ポート191に圧油が供給されると同時
に、オン状態の第1シフトロック切換弁109を介して
第4ポート194に圧油が供給され、図15のように第
2の減速比L2にロックされる。 【0130】図10は、第3の減速比L3で速比をロッ
クしている状態を示している。 [条件] エンジン回転 :中、高速 車速 :中、低速(直結クラッチオフ) シフト位置 :前進 走行モード :速比ロックモード 速比ロック :L3 【0131】[電磁弁の状態] 走行モード切換パイロット弁 120 オフ(速
比ロックモード) コントロールラム切換パイロット弁 105 オン 第1シフトロックパイロット弁 108 オン(L
3指定) 第2シフトロックパイロット弁 110 オフ(L
3指定) 中立ロック作動弁 126 オン 【0132】第2シフトロックパイロット弁110が閉
じていること以外は、図8の状態と同様な状態となって
いる。ガバナー弁112から吐出されるガバナー油圧
は、油路99からコントロールラム切換弁104を通
り、油路131から、コントロールラムA1の第1ポー
ト191と、第1シフトロック切換弁109の入口ポー
トと、第2シフトロック切換弁111の入口ポートに供
給される。 【0133】第1シフトロック切換弁109のパイロッ
ト用の第1シフトロックパイロット弁108が開いてい
ることにより、第1シフトロック切換弁109は閉状態
になっているので、コントロールラムA1には、油路1
31から第1ポート191に圧油が供給されると同時
に、オン状態の第2シフトロック切換弁111を介して
第3ポート193に圧油が供給され、図16のように第
3の減速比L3にロックされる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本願発明を適用した油圧式無段変速機の全体
縦断面図である。 【図2】 図1のII−II断面拡大図である。 【図3】 図2のIII−III断面図である。 【図4】 図1と同じ変速機であって、別の切断面によ
る部分縦断面図である。 【図5】 本願発明の油圧式無段変速機の制御機構全体
を示しており、アイドル回転時状態を示す油圧回路図で
ある。 【図6】 図5と同じ油圧回路図であって、通常運転開
始時の状態を示す油圧回路図である。 【図7】 図5と同じ油圧回路図であって、直結クラッ
チ接続時の通常運転状態を示す油圧回路図である。 【図8】 図5と同じ油圧回路図であって、最大減速比
で速比ロックした状態を示す油圧回路図である。 【図9】 図5と同じ油圧回路図であって、第2の減速
比で速比ロックした状態を示す油圧回路図である。 【図10】 図5と同じ油圧回路図であって、第3の減
速比で速比ロックした状態を示す油圧回路図である。 【図11】 図5の制御機構に使用される各種電磁弁の
配線図である。 【図12】 図1の支持軸部分であって、エンジンドブ
レーキ時の状態を示す縦断面拡大図である。 【図13】 図1の支持軸部分であって、エンジンドラ
イブ時の状態を示す縦断面拡大図である。 【図14】 変速制御用油圧アクチュエータ(コントロ
ールラム)であって、最大減速比で速比ロックした状態
を示す縦断面図である。 【図15】 変速制御用油圧アクチュエータであって、
第2の減速比で速比ロックした状態を示す油圧回路図で
ある。 【図16】 変速制御用油圧アクチュエータであって、
第3の減速比で速比ロックした状態を示す油圧回路図で
ある。 【図17】 シフト機構であって、前進シフト状態を示
す縦断後面拡大図である。 【図18】 シフト機構であって、中立シフト状態を示
す縦断後面拡大図である。 【図19】 シフト機構であって、後進シフト状態を示
す縦断後面拡大図である。 【図20】 従来例の縦断面図である。 【符号の説明】 1 入力軸 3 バルブボディ 23 リヤカバー 24 油室 24a 外方油室 24b 内方油室 25 分配環支持軸 29 油圧分配環 31a 内側管内油路(チャージング油路の一部) 33 環状油路(チャージング油路の一部) 47 カバーケース(静止ケース部材) 76 出力側回転速度ガバナー弁 84 斜め油路(チャージング油路の一部) 94,94a,94b 油路(チャージング油路の一
部) 95a,95b 逆止弁 100 チャージングポンプ P 油圧ポンプ M 油圧モータ B1 供給側油路 B2 戻り側油路 C1 直結クラッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−30650(JP,A) 特開 平5−296343(JP,A) 特開 平6−17925(JP,A) 特開 昭63−149469(JP,A) 特開 昭61−48662(JP,A) 実開 平2−114253(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 61/38 - 61/64 F16H 39/02 - 39/14

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 固定容量型の油圧ポンプ(P)と、該油圧
    ポンプ(P)の吐出部と吸入部にそれぞれ供給側油路(B1)
    と戻り側油路(B2)とを介して接続されて油圧閉回路を構
    成する可変容量型の斜板式油圧モータ(M)と、油圧モー
    タ(M)に、バルブボディ(3)を介して一体的に結合される
    リヤカバー(23)と、リヤカバー内の油室(24)を上記供給
    側油路(B1)の一部となる内方油室(24b)と戻り側油路(B
    2)の一部となる外方油室(24a)とに区画すると共にバル
    ブボディ端面に回動自在に摺接する油圧分配環(29)と、
    該分配環(29)を支持する分配環支持軸(25)と、上記内方
    油室(24b)と上記外方油室(24a)を短絡させるクラッチ弁
    (72)と、上記閉回路にチャージング油圧を供給するため
    のチャージングポンプ(100)を備えた油圧式無段変速機
    において、 チャージングポンプ(100)と閉回路とを接続するチャー
    ジング油路として、静止ケース部材内に形成されたチャ
    ージング用の油路(94)及び逆止弁(95a,95b)から、分配
    環支持軸(25)内に形成された油路を経てリヤカバー内の
    油室(24)に至る油路を形成し、 静止ケース部材内の油路(94)は、2つの油路(94a、94b)
    に分岐し、各油路(94a、94b)内にそれぞれ逆止弁(95a,95
    b)を配置し、分配環支持軸(25)内には、一方の油路(94
    a)と外方油室(24a)と連通する支持軸内の油路と、他方
    の油路(94b)と内方油室(24b)とを連通する油路を形成
    し、 ポンプ(P)とモータ(M)とを直結するための油圧式直結ク
    ラッチ(C1)と、出力側回転速度に応じて上記直結クラッ
    チ(C1)への作動油供給を断続する出力側回転速度ガバナ
    ー弁(76)を備えており、該ガバナー弁(76)の入口ポート
    部分をバルブボディ(3)内の油路を介して外方油室(24a)
    に連通していることを特徴とする油圧式無段変速機。
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