JP3448021B2 - 熱間圧延用複層ロール - Google Patents

熱間圧延用複層ロール

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱間圧延用複層ロー
ルに関し、特に熱間薄板圧延仕上げスタンド用ワークロ
ール、線材棒鋼圧延用ロール等に好ましく使用すること
ができる熱間圧延用複層ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】熱間薄板圧延仕上げスタンド用ワークロ
ール、線材棒鋼圧延用ロール等には、耐摩耗性に優れた
ハイス系ロールが従来から実用化されている。このハイ
ス系ロールは、従来の鋳鉄系ロールと比較して極めて耐
摩耗性に優れているという特性がある。一方、熱間圧延
用ロールに要求される特性としては、前記耐摩耗性の他
に、耐肌荒れ性、耐熱亀裂性、耐クラック進展性等が重
要となる。このような要求特性に対して、例えば特開平
7−109542号公報には、粒状のMC炭化物主体の
ロール材質が開示されている。MC炭化物以外の炭化物
の晶出を抑制することは、ロールの耐肌荒れ性、耐熱亀
裂性に悪影響を及ぼす因子を抑制することになり、熱間
圧延用ロールとしては好ましいことである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記特開
平7−109542号公報に記載の発明において、MC
炭化物主体の組織にするには、高価なVを多く含有させ
る必要があると共に、他の成分組成に多くの制約を必要
とし、材料を製造するにあたっての制御が非常に困難で
あるという問題がある。またハイス系材質の炭化物の中
で最も硬質なMC炭化物は、基地組織との硬度差が非常
に大きく、圧延条件によってはMC炭化物がほとんど摩
耗しないために、MC炭化物の角がロール表面から突出
する形での突起状肌荒れが発生する問題がある。またそ
れによって摩擦係数が増大し、通板性が悪くなる問題が
ある。
【0004】そこで本発明は上記従来における欠点を解
消し、ハイス系材質を外層に用い、耐摩耗性に優れ、且
つ耐肌荒れ性、耐熱亀裂性、耐クラック進展性にも優れ
た熱間圧延用複層ロールの提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記特開平7
−109542号公報に記載の発明において、MC炭化
物以外の炭化物の抑制による耐肌荒れ性、耐熱亀裂性の
向上という利点を残し、且つ高価なVを多く含有させる
必要がある欠点、V以外の成分の制約が多く制御が難し
い欠点、MC炭化物による突起状肌荒れが発生しやすい
という欠点を解消するための方策を種々検討し、実験を
重ねた。即ち、ハイス系材質を用いたロールの熱処理温
度は、実用的には1000〜1100℃で高硬度が得ら
れるため、通常において1100℃以下である。そして
ハイス系材質を用いたロールの鋳造時に晶出する炭化物
は、一般的にはCrを主体とするM23、M
、またMo、Wを主体とするMC、MC(以
上の炭化物は塊状またはネット状に分布する)、更にV
を主体とするMC(粒状が多いが、角張ったものもあ
る)である。この晶出炭化物の形態は、上記1100℃
以下の温度からの焼入れ処理とその後の焼戻し処理等に
よっては殆ど変化することがない。本発明者において、
鋳造後のロールを再加熱して種々の温度に保持し、その
炭化物の挙動を入念に調査したところ、熱処理温度を上
げていくと、1100℃を超えるあたりでCr炭化物
(M23、M)が基地に固溶し始める(微細
なものは消失し、粗大なものは角が取れて丸くなる)。
次に1200℃の手前でMo炭化物、W炭化物(M
C、MC)が基地に固溶し始める。またV炭化物
(MC)は1200℃を超えてくると基地への固溶を開
始することが明らかになった。その一方、熱処理温度が
1250℃を超えると、組織中の一部が再溶解して、穴
状の欠陥が発生する問題があることが判った。以上のよ
うな検討、実験を重ねた結果、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】即ち、本発明の熱間圧延用複層ロールは、
ロール外層の成分組成が重量%で、C:1.2〜2.6
%、Si:0.2〜1.5%、Mn:0.2〜1.5
%、Cr:3.0〜8.0%、Mo:4.0〜12.0
%、W:4.0〜12.0%、V:3.0〜8.0%を
含有すると共に、残部が実質的にFeからなり、ロール
鋳造後に1200〜1250℃で、外層厚み(mm)×
0.2時間以上の保持からなる熱処理を施すことによ
り、外層組織中のMC炭化物以外の炭化物を基地中に再
固溶させると共に、晶出MC炭化物を粒状化した状態で
残留させたことを第1の特徴としている。また本発明の
熱間圧延用複層ロールは、上記第1の特徴に加えて、ロ
ール外層は、1200〜1250℃で、外層厚み(m
m)×0.2時間以上の保持からなる熱処理を施した
後、焼入れ・焼戻し処理を行うことで、微細粒状炭化物
を基地中に分散析出させてあることを第2の特徴として
いる。また本発明の熱間圧延用複層ロールは、上記第1
又は第2の特徴に加えて、ロール内層を鋼で構成したこ
とを第3の特徴としている。
【0007】上記第1の特徴によれば、そこに示す範囲
の成分からなるハイス系材質を外層としたロールを鋳造
後に1200〜1250℃で、外層厚み(mm)×0.
2時間以上の保持からなる熱処理を施すことにより、前
記外層組織中にあるMC炭化物以外の炭化物の大半が基
地中に再固溶される。またMC炭化物は残留するが、
が取れて丸い粒状になる。従ってロール外層は、基地中
に粒状化したMC炭化物と、固溶されてしまうことなく
残った小径で粒状化した少量のその他の炭化物(M
、MC、MC)とが分散した組織となり、よって
MC以外の炭化物による耐肌荒れ性、耐熱亀裂性及び耐
クラック進展性に対する悪影響が除外される。またMC
炭化物による耐摩耗性が確保されると共に、MC炭化物
はその角が取れた形状になされるので、MC炭化物によ
る突起状肌荒れの問題が解消できる。勿論、Vを多量に
使用する必要はなく、また鋳造時にMC炭化物だけが晶
出するように他の成分組成に多くの制約を必要としたり
する欠点も解消され、材料を製造するにあたっての制御
が難しいということも解消される。1200〜1250
℃での保持時間は、MC炭化物が丸く粒状化し、MC炭
化物以外の炭化物の大半が再固溶されて、残った炭化物
も小径で粒状化した状態になるような時間を、外層の厚
み等に応じて予め実験により得ておく。が、例えば外層
温度が1200〜1250℃に上がった後、外層厚み
(mm)×0.2時間の目安とすることができる。
【0008】また本発明の第2の特徴によれば、上記第
1の特徴による作用効果に加えて、焼入れ・焼戻しする
ことで、基地に固溶していた合金元素が微細な粒状炭化
物として析出し、ロールの耐摩耗性、耐肌荒れ性、耐熱
亀裂性を一層向上させることができる。前記微細炭化物
の析出は、焼入れ処理による冷却時、或いは焼戻し処理
時の焼戻し温度及び時間によって、その粒子の大きさや
量が異なる。しかし本発明においては、外層組織中の8
0%以上が、粒径10μm以下の粒状炭化物になること
が好ましい。従って焼入れ・焼戻し処理は、予め実験に
より、粒径10μm以下の炭化物が多量に析出するよう
に、焼入れ速度、焼戻し温度、焼戻し時間を設定するこ
とになる。前記焼入れ処理は、例えば単位時間当たり1
00℃以上の冷却速度とし、焼戻し処理は、例えば53
0〜580℃で5〜15時間保持し、徐冷する処理を3
回以上(1乃至複数回でもよい)繰り返すようにするこ
とができる。また本発明の第3の特徴によれば、上記第
1又は第2の特徴による作用効果に加えて、1200℃
以上でロールに熱処理を施すためには、内層材が鋳鉄系
材質(例えばダクタイル鋳鉄)では融点を超えてしまう
可能性があるため、適当ではない。内層材を鋼系材で構
成することで、上記熱処理に耐えることができると共
に、靭性の良い内層を外層に組み合わせることができ
る。
【0009】本発明の熱間圧延用複層ロールについて、
その成分組成における各成分元素の含有範囲の限定理由
について、以下に説明する。なお成分組成は全て重量%
で示す。
【0010】Cの含有量は1.2〜2.6%とする。C
は炭化物生成に必要である。1.2%未満では炭化物の
晶出が少なく、耐摩耗性が劣化する。一方、2.6%を
超えると炭化物が過多となり、靭性を低下させる。また
粗大な一次炭化物が晶出しやすくなり、高温熱処理にお
いても粒状化し難くなる。Cの含有量はより好ましく
は、1.8〜2.4%とするのがよい。
【0011】Siの含有量は0.2〜1.5%とする。
鋳造性を考慮して0.2%以上とする。1.5%を超え
ると材質を脆くする。Siの含有量はより好ましくは、
0.5〜1.0%とするのがよい。
【0012】Mnの含有量は0.2〜1.5%とする。
Mnは炭化物生成元素である。本発明においては、Mn
Sを形成してSの害を防止する程度でよい。Mnの含有
量はより好ましくは、0.3〜0.8%とするのがよ
い。
【0013】Crの含有量は3.0〜8.0%とする。
Crは炭化物生成元素である。3.0%未満では炭化物
晶出量が不足する。また焼入れ性を向上させるために
3.0%以上が必要である。8.0%を超えると粗大な
炭化物が晶出し、耐肌荒れ性、耐クラック進展
性、耐熱亀裂性に悪影響をおよぼす。Crの含有量はよ
り好ましくは、4.0〜6.0%とするのがよい。
【0014】Moの含有量は4.0〜12.0%とす
る。Moは基地に固溶して基地の高温硬度を高めると共
に、焼入れ性を向上させる。また4.0%以上含有させ
ると硬質の一次炭化物が晶出し、耐摩耗性を大幅に向上
させる。Moの含有量はより好ましくは、4.0〜8.
0%とするのがよい。
【0015】Wの含有量は4.0〜12.0%とする。
Wは硬質の複合炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させ
る。Moとほぼ同様であるが、その効果はMoの半分に
相当するため、2Mo+Wの値で成分設定する。Wの含
有量はより好ましくは、4.0〜8.0%とするのがよ
い。
【0016】Vの含有量は3.0〜8.0%とする。粒
状で硬質のMC炭化物を形成し、均一に分布するため、
耐肌荒れ性と耐摩耗性を向上させる。3.0%未満では
その効果がなく、8.0%を超えて含有させると、一次
の粗大炭化物が晶出して、微細な粒状炭化物が均一に分
布しなくなる。Vの含有量はより好ましくは、4.0〜
7.0%とするのがよい。
【0017】Coの含有量は0〜5.0%とする。Co
は基地に固溶して、ロールの高温硬度を向上させる。し
かしながら、焼入れ加熱時に合金元素の拡散移動を抑制
する働きがあるため、5.0%を超えて含有させると本
発明の炭化物粒状化を阻害する。よってCoは添加しな
いことが好ましいが、ロール性能上、添加する必要のあ
る場合は、5.0%以下の範囲とする。
【0018】以上のような成分組成からなるハイス系材
質をロール外層とした鋳造ロールを、1200〜125
0℃に加熱して、一定時間保持する。保持の時間は、要
するにロール外層中のMC炭化物以外の炭化物の大半が
基地中に再固溶され、且つMC炭化物がその角を丸めら
れた形の粒状になるのに必要な時間であり、予め実験に
より、外層の厚み等に応じて好ましい時間範囲を決定し
ておくことになる。前記保持時間は既述したように、外
層厚みmm×0.2時間以上とすることができる。なお
鍛造したハイス系刃物やハイス系粉末HIP材等におい
ては、高硬度を得るために高温で熱処理することがある
が、前記鍛造刃物やHIP材はもともと微細炭化物組織
となっており、これらの材料の高温での熱処理は、本発
明での炭化物処理のための熱処理とは本来的に異なる。
また前記1200〜1250℃での熱処理の後に行う焼
入れ・焼戻し処理は、先の高温での熱処理により一旦基
地中に再固溶した炭化物生成元素による微細炭化物の析
出を行うために行う。この焼入れ処理により微細な粒状
炭化物が結晶粒界に析出し、また焼戻し処理により電子
顕微鏡でやっと見える程度の非常に微細な二次炭化物が
ひげ状に結晶粒内に析出する。そしてそれら基地中に存
在する炭化物としては、その80%以上が粒径10μm
以下となることが好ましい。このような炭化物の条件を
満たす焼入れ・焼戻し条件を、予め実験により決定して
おけばよい。そのような条件として、例えば1200〜
1250℃から単位時間当たり100℃以上の冷却速度
での焼入れを常温まで行い、更に530〜580℃で5
〜15時間保持し、徐冷する処理を3回以上繰り返す。
【0019】以上の成分組成及び熱処理により、熱間圧
延用複層ロールの外層としての特性として、以下の向上
が期待できる。 (1).耐摩耗性の向上 ハイス系材質が本来有する耐摩耗性を保持し、また基地
中に微細炭化物が多数分散して存在することで、一層の
耐摩耗性が良好となる。 (2).耐肌荒れ性の向上 従来のハイス系材質によるロールにおいては、針状、塊
状またはネット状に分布するMC、MC、M
等の粗大共晶炭化物が、圧延によってロール表面から欠
け落ち、それが起点となって肌荒れが進展する。本発明
においては、1200〜1250℃の高温で一定時間熱
処理することで、上記の脆弱な炭化物集積部を再固溶さ
せることで解消した。これによって耐肌荒れ性を著しく
向上させることができた。また適当に残留させた硬質の
MC炭化物についても、熱処理によって角張った部分の
ない丸みを帯びた粒状にされるので、従来のMC炭化物
のみを晶出させた材質に生じる突起状肌荒れの発生率を
十分に低減させることができる。 (3).耐熱亀裂性の向上 1200〜1250℃での一定時間の保持、及びその後
の焼入れ・焼戻し処理によって炭化物を微細粒状化し、
且つ均一に分散させたことで、熱伝導率がよくなり、耐
熱亀裂性の向上が図られた。また圧延トラブル等によっ
て焼付きが発生した場合に亀裂の発生率が低くなる。 (4).耐クラック進展性の向上 炭化物を微細粒状化し、均一に分散させることにより、
靭性が向上し、クラックが発生しても進展し難くなる。
またクラックは炭化物に沿って進展するため、ネット状
の炭化物をなくした本発明の材質ではクラック進展抵抗
が大きくなる。
【0020】
【実施例】実施例1〜4と比較例1〜2について、外層
材質を表1に示す成分組成とし、内層材質をSCM44
0相当の鋼を用い、外層厚さ40mm(片側の厚み)の
複層ロールを鋳造した。ロールを粗加工後、1100
℃、1200℃、1250℃の3種類の温度に加熱して
各10時間保持し、その後、単位時間当たり100℃以
上の速度で常温まで焼入れ、直ちに530〜580℃の
温度で焼戻し処理を3回実施した。
【0021】
【表1】
【0022】熱処理終了後の実施例及び比較例の各ロー
ルについて、同様の条件下において、組織調査、硬度、
圧延試験評価(実施例1と比較例1についてだけ行っ
た)、破壊靭性値等の特性を測定した。表2に測定結果
を示す。表2において、粒状炭化物面積率は全炭化物量
に対する粒状化炭化物の割合を示す。なお比較例1は焼
入れ前の保持温度が1100℃で、本発明の処理温度に
満たないものであり、比較例2はCo濃度が本発明の許
容範囲を超えているものである。
【0023】
【表2】
【0024】1200℃で処理した実施例1〜3におい
ては、80%以上の炭化物が粒状化しており、その粒径
は殆どが10μm以下で、全体に分散して分布していた
(実施例1の組織図を図1に示す)。1250℃で処理
した実施例4においては、95%以上の炭化物が粒状化
しており、温度を上げると粒状化率が増加することがわ
かる。炭化物の粒径は殆どが10μm以下で、全体に分
散して分布していた。一方、比較例1においては粒状化
率は36%と低く、個々の炭化物の大きさも10μmを
超えるものが大半を占めている(比較例1の組織図を図
2に示す)。また比較例2においては熱処理条件は12
00℃であり、実施例1〜3と同様であるが、Co含有
量が過多であることに起因して、粒状炭化物面積率が6
6.5と値が低い。従って肌荒れ性に難がある。硬度に
ついては、各実施例1〜4は比較例1に対しては向上が
みられた。Coを6.7%含有させた比較例2は、硬度
的には悪くはなかった。
【0025】実施例1と比較例1による実機圧延試験評
価について述べる。耐摩耗性に関しては、実施例1が比
較例1に比べて若干の向上が認められた。耐肌荒れ性に
関しては、実施例1のロールは比較例1のロールの2倍
の圧延量においても肌荒れが少なく、非常に耐肌荒れ性
の改善効果が大きいことが判明した。耐熱亀裂性に関し
ては、明らかに実施例1の方が熱亀裂が少なく、微細で
あった。
【0026】なお圧延トラブルがなかったため、クラッ
ク進展性については実機圧延評価ができなかった。そこ
で実施例1〜4、比較例1〜2について、破壊靭性試片
を採取し、破壊靭性値を測定した。その結果、実施例1
〜4では比較例1に比べて20%以上破壊靭性値が向上
していることが明らかである(表2参照)。なお比較例
2の破壊靭性値も良い値を示しているが、これは120
0℃の処理とCo添加による効果と考えられる。
【0027】
【発明の効果】本発明は以上の構成、作用よりなり、請
求項1に記載の熱間圧延用複層ロールによれば、ロール
外層の成分組成が重量%で、C:1.2〜2.6%、S
i:0.2〜1.5%、Mn:0.2〜1.5%、C
r:3.0〜8.0%、Mo:4.0〜12.0%、
W:4.0〜12.0%、V:3.0〜8.0%を含有
すると共に、残部が実質的にFeからなり、ロール鋳造
後に1200〜1250℃で、外層厚み(mm)×0.
2時間以上の保持からなる熱処理を施すことにより、外
層組織中のMC炭化物以外の炭化物を基地中に再固溶さ
せると共に、晶出MC炭化物を粒状化した状態で残留さ
せたので、ロール外層は、基地中に粒状化したMC炭化
物と、固溶されてしまうことなく残った小径で粒状化し
た少量のその他の炭化物とが分散した組織とすることが
でき、よってMC以外の炭化物による耐肌荒れ性、耐熱
亀裂性及び耐クラック進展性に対する悪影響を除去する
ことができる。加えてMC炭化物による耐摩耗性が確保
されると共に、MC炭化物はその角が取れた形状になさ
れるので、MC炭化物による突起状肌荒れの問題も解消
できる。勿論、Vを多量に使用する必要はなく、また鋳
造時にMC炭化物だけが晶出するように他の成分組成に
多くの制約を必要としたりする欠点も解消され、材料を
製造するにあたっての制御が難しいということも解消さ
れる。以上より、ハイス系材質を外層に用いたものとし
て、耐摩耗性に優れ、且つ耐肌荒れ性、耐熱亀裂性、耐
クラック進展性にも優れた熱間圧延用複層ロールを提供
することができ、圧延効率、圧延製品の品質の大幅な向
上が期待できる。また請求項2に記載の熱間圧延用複層
ロールによれば、請求項1の構成による効果に加えて、
ロール外層は、1200〜1250℃で、外層厚み(m
m)×0.2時間以上の保持からなる熱処理を施した
後、焼入れ・焼戻し処理を行うことで、微細粒状炭化物
を基地中に分散析出させてあるので、一旦、基地に固溶
した合金元素を微細な粒状炭化物として析出させること
ができ、ロールの耐摩耗性、耐肌荒れ性、耐熱亀裂性を
一層向上させることができる。また請求項3に記載の熱
間圧延用複層ロールによれば、請求項1又は2の構成に
よる効果に加えて、ロール内層を鋼で構成したので、1
200℃以上でのロールの熱処理に内層材として耐える
ことができると共に、靭性の良い内層を外層に組み合わ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の組織図である。
【図2】本発明の比較例1の組織図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−109542(JP,A) 特開2000−54080(JP,A) 特開2000−204431(JP,A) 特開2000−160283(JP,A) 特開 平11−302768(JP,A) 特開 平10−192916(JP,A) 特開 平9−99306(JP,A) 特開 平6−336615(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 37/00 B21B 27/00 C22C 38/00 301 C22C 38/36 C21D 9/38

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロール外層の成分組成が重量%で、 C : 1.2〜2.6% Si: 0.2〜1.5% Mn: 0.2〜1.5% Cr: 3.0〜8.0% Mo: 4.0〜12.0% W : 4.0〜12.0% V : 3.0〜8.0 含有すると共に、残部が実質的にFeからなり、ロー
    ル鋳造後に1200〜1250℃で、外層厚み(mm)
    ×0.2時間以上の保持からなる熱処理を施すことによ
    り、外層組織中のMC炭化物以外の炭化物を基地中に再
    固溶させると共に、晶出MC炭化物を粒状化した状態で
    残留させたことを特徴とする熱間圧延用複層ロール。
  2. 【請求項2】 ロール外層は、1200〜1250℃
    で、外層厚み(mm)×0.2時間以上の保持からなる
    熱処理を施した後、焼入れ・焼戻し処理を行うことで、
    微細粒状炭化物を基地中に分散析出させてあることを特
    徴とする請求項1に記載の熱間圧延用複層ロール。
  3. 【請求項3】 ロール内層を鋼で構成したことを特徴と
    する請求項1又は2に記載の熱間圧延用複層ロール。
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