JP3446918B2 - ケーブル長検出回路及びケーブル長検出方法 - Google Patents

ケーブル長検出回路及びケーブル長検出方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【目次】以下の順序で本発明を説明する。 発明の属する技術分野 従来の技術 発明が解決しようとする課題 課題を解決するための手段(図1〜図4) 発明の実施の形態(図1〜図4) 発明の効果
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明はケーブル長検出回路
及びケーブル長検出方法に関し、例えば未知の長さでな
るケーブルの当該長さ(以下、これをケーブル長と呼
ぶ)を検出するケーブル長検出回路及びケーブル長検出
方法に適用して好適なものである。
【0003】
【従来の技術】従来、ケーブル長を検出する方法として
は、主に以下に示す2つのケーブル長検出方法が用いら
れている。まず、第1のケーブル長検出方法では、各々
が絶縁材で被覆されてなる複数の導体がケーブル内に収
められており、これら複数の導体のうち、2本の導体を
ケーブルの一端において所定のスイツチを用いることに
より電気的に接続する。この後、このように電気的に接
続されて1本となつた導体(以下、これを測定用導体と
呼ぶ)の直流抵抗を測定し、当該測定結果に基づいて測
定用導体の長さを算出することにより、ケーブル長を検
出し得るようになされている。
【0004】一方、第2のケーブル長検出方法では、上
述と同様にして1本となつた測定用導体の一端に正弦波
交流電圧を印加し、当該一端に印加した正弦波交流電圧
と測定用導体の他端から得られる正弦波交流電圧との位
相差を測定し、当該測定結果に基づいて測定用導体の長
さを算出することにより、ケーブル長を検出し得るよう
になされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで上述のような
第1のケーブル長検出方法においては、測定された直流
抵抗は導体の導電率(又は抵抗率)、長さ及び太さによ
つて決まることから、ケーブル内に設けられた導体の太
さが常に一定であることが必要とされる。しかしなが
ら、通常、ケーブル長が比較的長い場合にはこのケーブ
ル長に比例してケーブル内に設けられた各導体がそれぞ
れ太くなる傾向にある。従つて、ケーブル内の導体の太
さが異なる場合にはケーブル長を検出し難い問題があつ
た。
【0006】また、この第1のケーブル長検出方法にお
いては、ケーブルの一端に当該ケーブル内の2本の導体
を電気的に接続するスイツチが設けられており、測定用
導体の直流抵抗を測定する測定系の構成が煩雑になる問
題があつた。ところで、このような問題を解決する方法
の1つとして、予めケーブル内に測定用導体と同じ長さ
でなる1本の導体を、当該ケーブルの一端で折り返すよ
うにして設ける方法がある。しかしながら、この方法に
おいては、ケーブル内の導体を増設しなければならない
煩雑さがあつた。
【0007】一方、第2のケーブル長検出方法において
は、測定用導体の一端に印加する正弦波交流電圧と、当
該測定用導体の他端から得られる正弦波交流電圧との位
相差を測定する場合、この位相差の分解能を上げるに
は、正弦波交流電圧の周波数を上げる必要があつた。し
かしながら、ケーブル長が比較的長くなると測定用導体
の一端に印加される正弦波交流電圧の周波数と、当該測
定用導体の他端から得られる正弦波交流電圧の周波数と
が一周期以上の位相差を生じることになり、この結果位
相差を測定し難い問題があつた。
【0008】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、ケーブルの長さを精度良く検出し得るケーブル長検
出回路及びケーブル長検出方法を提案しようとするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明においては、時間的に比例して増加する交流電
圧を発生させ、当該交流電圧をケーブルの一端に印加す
る電圧発生手段と、ケーブルの一端における交流電圧値
を順次測定し、当該測定結果に基づいてケーブルの長さ
を算出するケーブル長算出手段とを設けるようにした。
【0010】また本発明においては、時間的に比例して
増加する交流電圧をケーブルの一端に印加する第1の工
程と、当該ケーブルの一端における交流電圧値を順次測
定し、当該測定結果に基づいてケーブルの長さを算出す
る第2の工程とを設けるようにした。
【0011】電圧発生手段は時間的に比例して増加する
交流電圧を発生させ、当該交流電圧をケーブルの一端に
印加し、ケーブル長算出手段はケーブルの一端における
交流電圧値を順次測定して、当該ケーブルの一端に印加
された交流電圧が接地接続されたケーブルの他端で全反
射して一端に戻る所定時間後、電圧発生手段によつてケ
ーブルの一端に印加された交流電圧とケーブルの一端に
戻つた交流電圧とが合成されてなる合成交流電圧値を測
定すると、当該測定結果に基づいてケーブルの長さを算
出するようにしたことにより、ケーブルの断面形状、太
さ及び長さに左右されずにケーブルの長さを検出するこ
とができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下図面について、本発明の一実
施例を詳述する。
【0013】図1において、1は全体として実施例によ
るケーブル長検出回路を示し、一端が接地接続された電
流源2の他端にスイツチSWを介して電圧発生回路3の
積分回路4が接続されている。この電圧発生回路3で
は、積分回路4の出力側に一端が接地接続された第1の
抵抗R1の他端が接続されている。さらに、積分回路4
の出力側には第1の抵抗R1のみならず、所定の値でな
る特性インピーダンスを有するケーブル5の一端とケー
ブル長算出回路6のアナログラツチ回路7とが接続され
ている。ケーブル長算出回路6ではアナログラツチ回路
7の出力側に演算回路8が接続されている。この場合、
ケーブル5は他端が接地接続され、また単位長当たりの
遅延時間がわかっている。
【0014】ここで、オペレータの操作によりスイツチ
SWを閉動作させると電流源2から所定の電流値でなる
交流電流I0 がスイツチSWを介して積分回路4の入力
端子に通電される。積分回路4は、図2に示すように、
入力端子4Aに所定の抵抗値を有する第2の抵抗R2を
介して出力端子4Bと、一端が接地接続された所定の静
電容量値を有する第1のコンデンサC1の他端とが接続
されてなる。
【0015】従つて、積分回路4では、入力された交流
電流I0 が第2の抵抗R2を流れると、当該交流電流I
0 の積分値でなる電荷が第1のコンデンサC1に蓄積さ
れる。これによりこの積分回路4は、交流電流I0 に応
じた交流電圧値が積分されてなる次式(1)
【数1】 で表される交流電圧V1を、当該積分回路4の出力端子
4Bに接続された第1の抵抗R1の端子に発生させる。
なお、cは所定の定数でなる。
【0016】すなわち、図3に示すように、例えば時間
tが時間t0 のとき、スイツチSWを閉動作させると積
分回路4には曲線Iに示される交流電流I0 が通電され
る。これによりこの積分回路4では、入力された交流電
流I0 に基づいて発生させた交流電圧V1は斜線Vベク
トルに示される時間的に比例して増加する特性を有す
る。
【0017】ここで、積分回路4では、出力インピーダ
ンスの値が第1の抵抗R1の抵抗値に比べて充分に大き
くなるように、第2の抵抗R2の抵抗値と第1のコンデ
ンサC1の静電容量値とが予め選定されている。また、
第1の抵抗R1の抵抗値は、ケーブル5の特性インピー
ダンスの値と等しい値となるように予め選定されてい
る。これによりこの時間的に比例して増加する交流電圧
V1は、常時ケーブル5の一端に印加され、当該ケーブ
ル5の一端と第1の抵抗R1の他端との接続部において
反射せずに電圧波としてケーブル5の一端に入射する。
【0018】ケーブル5に入射された電圧波(以下、こ
れを入射電圧波と呼ぶ)は、当該ケーブル5の他端側に
伝搬し、接地接続されている他端で全反射して入射電圧
波と同じ絶対値でなり正負の符号が逆転した電圧波(以
下、これを反射電圧波と呼ぶ)となつて一端側に伝搬す
る。
【0019】この場合、このケーブル5においてケーブ
ル長をLと仮定すると一端から入射した入射電圧波が他
端に到達するまでの時間tL は次式(2)
【数2】 で表される。なお、Cは真空中の光速を示し、εr はケ
ーブル5を構成する誘電体の比誘電率を示す。従つて、
このケーブル5の一端に入射した入射電圧波が他端で全
反射して反射電圧波となり、一端に戻るまでの時間t2L
は次式(3)
【数3】 で表される。
【0020】ケーブル5の一端に戻つた反射電圧波は、
当該ケーブル5の一端に入射した入射電圧波が他端で全
反射して一端に戻つた所定時間後(すなわち、時間
2L)、ケーブル5の一端に入射する電圧波と合成さ
れ、合成交流電圧Vベクトルとなる。このケーブル5の
一端には常時電圧波が入射されていると供に、時間t2L
以降には常時反射電圧波が戻る。従つて、このケーブル
5の一端における合成交流電圧Vベクトルは時間t2L
降には一定の電圧値でなる。ここで、ケーブル5の一端
に反射電圧波が戻る時間t2Lを、例えば時間t2 (図
3)と仮定すると、反射電圧波と電圧波とが合成された
合成交流電圧Vベクトルは次式(4)
【数4】 で表される。なお、交流電圧V2 はケーブル5の一端に
反射電圧波が戻つたときに当該ケーブル5の一端に入射
する電圧波である。
【0021】この結果、この合成交流電圧Vベクトル
は、ケーブル5の一端に反射電圧波が戻つた所定時間後
(すなわち、時間t2L)、当該ケーブル5の一端に印加
された交流電圧V1の一定値でなり、交流電流I0
値、所定の定数c、真空中の光速C、ケーブル5の比誘
電率εr 及びケーブル長によつて決定される。すなわ
ち、このことは合成交流電圧Vベクトルはケーブル5の
ケーブル長に比例して増加することを表している。従つ
て、例えば時間t2Lを時間t3 と仮定すると、合成交流
電圧Vベクトルは交流電圧V3 となり、また時間t2L
時間t1 と仮定すると、合成交流電圧Vベクトルは交流
電圧V1 となる(図3)。
【0022】この場合、ケーブル5の一端における交流
電圧値(交流電圧V1及び合成交流電圧Vベクトルに基
づく合成交流電圧V2)は、ケーブル長算出回路6のア
ナログラツチ回路7によつて順次測定されている。図4
に示すように、アナログラツチ回路7では、時間t0
ら時間t2Lまでは入力端子7Aに交流電圧V1が入力さ
れ、時間t2L以降には入力端子7Aに合成交流電圧V2
が入力される。また、タイミング入力端子7Bには外部
から所定のタイミング間隔でタイミング信号S1が入力
される。これによりこのアナログラツチ回路7は、タイ
ミング信号S1に基づいて、交流電圧値(交流電圧V1
及び合成交流電圧V2)を所定のタイミング間隔で順次
ラツチしながら測定し、当該測定結果に応じた測定結果
信号S2を出力端子7Cを介して演算回路8に送出す
る。
【0023】演算回路8は、入力された測定結果信号S
2のうち、アナログラツチ回路7から一定電圧値でなる
合成交流電圧V2に応じた測定結果信号S2を得ると、
当該測定結果信号S2に応じた測定結果(合成交流電圧
V2の値)に基づいてケーブル長を算出する。
【0024】以上の構成において、このケーブル長検出
回路1では、スイツチSWが閉動作すると電流源2から
電圧発生回路3の積分回路4に交流電流I0 が通電さ
れ、当該電圧発生回路3は交流電流I0 に基づいて時間
的に比例して増加する交流電圧V1を発生させ、当該交
流電圧V1をケーブル5の一端に印加する。この交流電
圧V1は電圧波としてケーブル5の一端に入射し、この
入射電圧波は当該ケーブル5の他端で全反射して反射電
圧波となり所定時間後にケーブル5の一端に戻る。これ
により当該反射電圧波は、所定時間後にケーブル5の一
端に入射する電圧波と合成されて合成交流電圧V2とな
る。この場合ケーブル5の一端における交流電圧V1及
び合成交流電圧V2はケーブル長算出回路6のアナログ
ラツチ回路7によつて順次測定され、当該アナログラツ
チ回路7が測定した合成交流電圧V2の測定結果に基づ
いて演算回路8がケーブル長を算出する。
【0025】この場合、このケーブル長検出回路1で
は、電圧発生回路3の積分回路4における出力インピー
ダンスの値をケーブル5の特性インピーダンスの値に対
して充分に大きい値となるように選定するようにしたこ
とにより、電圧発生回路3によつて発生させた交流電圧
V1をケーブル5の一端で反射させずに電圧波として入
射させることができ、かくして合成交流電圧V2はケー
ブル5の一端に反射電圧波が戻つた所定時間後に電圧発
生回路3によつて発生させた交流電圧V1となる。従つ
て、このケーブル長検出回路1においては、合成交流電
圧V2の値、交流電流I0 の値、所定の定数c、真空中
の光速C、及びケーブル5の比誘電率εrに基づいてケ
ーブル5のケーブル長を算出することができるので、ケ
ーブル5の特性インピーダンスの値と比誘電率εr が予
め分かれば、ケーブル5の断面構造、太さ及びケーブル
長に左右されずにケーブル長を検出することができる。
【0026】また、このケーブル長検出回路1において
は、ケーブル5の他端を接地接続させた状態でケーブル
長を検出することができるので、従来の第1のケーブル
長検出方法において用いられた2本の導体を電気的に接
続させるスイツチを必要とせず、ケーブル長検出回路1
の測定系を簡易に構成することができる。この結果ケー
ブル内に予め設けるケーブル長を検出するための1本の
導体を必要とせず、ケーブル内の導体を簡易に構成する
ことができる。。
【0027】さらに、このケーブル長検出回路1におい
ては、従来の第2のケーブル長検出方法のような時間の
フアクタを必要とせずにケーブル長を検出することがで
きるので、ケーブル長検出回路1の回路を簡易に構成す
ることができる。
【0028】以上の構成によれば、電圧発生回路3によ
つて時間的に比例して増加する交流電圧V1を発生させ
てケーブル5の一端に印加させ、ケーブル長算出回路6
によつて当該ケーブル5の一端における交流電圧値を順
次測定させて当該測定結果のうち、合成交流電圧V2の
値に応じた測定結果に基づいてケーブル長を算出させる
ようにしたことにより、ケーブル5の断面形状、太さ及
びケーブル長に左右されずにケーブル5のケーブル長を
検出することができ、かくしてケーブルの長さを精度良
く検出し得るケーブル長検出回路及びケーブル長検出方
法を実現することができる。
【0029】なお上述の実施例においては、ケーブル5
の他端を接地接続するようにした場合について述べた
が、本発明はこれに限らず、ケーブル5の他端を高周波
的に短絡し得れば、コンデンサ等を電気的に接続するよ
うにしても良い。
【0030】また上述の実施例においては、オペレータ
の操作によりスイツチSWを閉動作させるようにした場
合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばケ
ーブル長検出回路1を起動させた後、所定のタイミング
で自動的にスイツチSWを閉動作させる等、この他種々
の方法によりスイツチSWを閉動作させるようにしても
良い。
【0031】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、電圧発生
手段は時間的に比例して増加する交流電圧を発生させ、
当該交流電圧をケーブルの一端に印加し、ケーブル長算
出手段はケーブルの一端における交流電圧値を順次測定
して、当該ケーブルの一端に印加された交流電圧が接地
接続されたケーブルの他端で全反射して一端に戻る所定
時間後、電圧発生手段によつてケーブルの一端に印加さ
れた交流電圧とケーブルの一端に戻つた交流電圧とが合
成されてなる合成交流電圧値を測定すると、当該測定結
果に基づいてケーブルの長さを算出するようにしたこと
により、ケーブルの断面形状、太さ及び長さに左右され
ずにケーブルの長さを検出することができ、かくしてケ
ーブルの長さを精度良く検出し得るケーブル長検出回路
及びケーブル長検出方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるケーブル長検出回路の
回路構成を示すブロツク図である。
【図2】本発明の一実施例によるケーブル長検出回路の
積分回路の回路構成を示す接続図である。
【図3】本発明の一実施例によるケーブル長検出回路の
電圧発生回路によつて発生される交流電圧の変化の様子
を示すタイムチヤートである。
【図4】本発明の一実施例によるケーブル長検出回路の
アナログラツチ回路の回路構成を示す接続図である。
【符号の説明】
1……ケーブル長検出回路、2……電流源、3……電圧
発生回路、4……積分回路、5……ケーブル、6……ケ
ーブル長算出回路、7……アナログラツチ回路、8……
演算回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 7/02 G01R 31/319

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケーブルの長さを検出するケーブル長検出
    回路において、 時間的に比例して増加する交流電圧を発生させ、当該交
    流電圧を上記ケーブルの一端に印加する電圧発生手段
    と、 上記ケーブルの一端における交流電圧値を順次測定し、
    当該測定結果に基づいて上記ケーブルの長さを算出する
    ケーブル長算出手段とを具えることを特徴とするケーブ
    ル長検出回路。
  2. 【請求項2】上記電圧発生手段は、 上記ケーブルの有する特性インピーダンスの値に比べて
    充分に大きい値でなるインピーダンスを有することを特
    徴とする請求項1に記載のケーブル長検出回路。
  3. 【請求項3】ケーブルの長さを検出するケーブル長検出
    方法において、 時間的に比例して増加する交流電圧を上記ケーブルの一
    端に印加する第1の工程と、 上記ケーブルの上記一端における交流電圧値を順次測定
    し、当該測定結果に基づいて上記ケーブルの長さを算出
    する第2の工程とを具えることを特徴とするケーブル長
    検出方法。
  4. 【請求項4】上記第1の工程では、上記ケーブルの他端
    を接地接続することを特徴とする請求項3に記載のケー
    ブル長検出方法。
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