JP3446117B2 - 液体の粘弾性の測定方法 - Google Patents
液体の粘弾性の測定方法Info
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Description
方法に関する。
保存などの工程と品質の制御と管理において重要な物性
の一つである。食品はその存在状態から、通常、液状食
品、半固体状食品、固体状食品に分類されることが多
い。半固体状および固体状食品のレオロジー特性は、主
に弾性と粘弾性が論議され、それらの測定も定型性を保
つことから静的方法と動的方法のいずれも用いることが
できる。これに対して液状食品の場合は、測定の容易さ
から粘度(または見かけ粘度)と流動特性が論議される
ことが多い。これら食品の粘度、弾性および粘弾性の測
定方法には各種の理論と装置があり、多くの成書に詳述
されている。しかし、一般に液状食品として扱われてい
る食品群の中には、糖液のように溶質が均一に溶解した
溶液状のものから、エマルションサスペンションのよう
に液滴や固体粒子が縣濁しているもの、各種デンプンや
多糖類の糊液のようなもの、ジャムやピューレのような
付着性の高いペースト状またはスラリー状のものなど多
種多様な性状のものがある。それらのレオロジー挙動は
濃度や温度によって大きく変化し、粘度(または見かけ
粘度)も水のような低粘度のものから、ほとんど流動し
ないような高粘度のものまで極めて範囲が広い。従っ
て、粘度の測定だけをとってみても、多様な性状に対応
した適切な測定装置と測定条件が必要になる。
流動性のよい低粘性試料に対しては粘度を精度よく測定
できる。しかし、液状食品の多くは、流動特性が測定条
件によって影響を受ける非ニュートン流体であるため、
測定結果に差の出やすい高粘性試料では、測定条件や方
法の異なる装置での粘度(または見かけ粘度)の測定結
果が一致しないこともある。特に、表面または器壁など
で離水を起こしやすい濃厚縣濁液状の食品では、測定中
のすべりや部分的な固−液分離などにより、粘度が低く
測定されることはよく経験するところである。加えて、
液体のずり流動や振動を測定原理とする大部分の既存の
測定装置では、測定値が安定するまでに加えられたずり
変形や振動によって材料内部の構造が変化し、測定値に
も影響を受けることも経験する。従って、このような広
い範囲の性状の液体に対しては、できれば同一の測定原
理で、しかも可能な限り材料変形が少なく短時間で測定
が行える汎用的な粘度測定法が望まれる。
弾性を有しており、その粘弾性挙動が液状食品の品質制
御因子として重要であることが認識されてきている。し
かし、液状食品は容易に変形して定型性を持たないた
め、その粘弾性測定には、試料に正弦振動波または正弦
振動回転を加える動的粘弾性測定法が専ら用いられてき
た。液状材料の動的粘弾性測定装置としては、国内およ
び国外の幾つかのメーカーが製造・販売しているが、い
ずれも測定条件の制御機構の複雑さから高価であるた
め、主に研究用に使用されているのが現状であり、食品
製造の現場サイドでの品質管理にはあまり用いられてい
ない。従って、粘性に加えて液体の粘弾性に関しても、
簡便・汎用性のある測定法が望まれる。
囲の性状を持つ液体の粘性および粘弾性を簡便、迅速、
しかも安価な装置で測定できる新しい方法を開発するこ
とを一義的な目的とする。この簡易測定法を考えるに当
り、解析理論が明解であり、しかも装置構造が単純であ
ることを前提とする。
流動理論を応用して各種のパイプ径の輸送ラインに対応
できる2種類の簡便なインライン粘度計を試作した(Suz
uki,K.:Theoryand Application of a New Viscomete
r based on Annulus Liquid Flow.Developmentsin Foo
d Engineering(Ed.by T.Yano,R.matsuno and K.n
akamura),Part.2,921−923(Blackie Academic & Prof
essional) (1994))。測定部の液体流動部分が短いにも
拘わらず測定精度が高いことから、この環状路流動理論
を二重円筒型ジオメトリーでの非回転定速流動に展開す
れば、その有用性は高いと考えた。
古くはBickermanによる高粘度流体に対するPenetrovisc
ometerが、また、比較的最近ではMorganらによるBack-e
xtrusion法が研究され(Morgan,R.G.,Suter,D.
A.andSweat,V.E.:Mathematical analysis of a si
mple back-extrution rheometer. PaperNo.79-6001.
American Sciety of Agricultural Engineers,St. Jos
epf,MI.(1979))、非ニュートン流体への適用性も検
討されている。また、レオロジー特性の熱走査試験の一
方法として、温度制御下でBack-extrusion法を用いた装
置も開発されている。これらはいずれも、プランジャー
を試料中に下向きに挿入することによって試料を上方向
に流動させ、その際に生じる応力変化を流動時間に対し
て測定し、粘度または見かけ粘度を求めるものである。
粘弾性を有している場合でも、測定応力に含まれる粘性
寄与分と弾性寄与分を分離できないことから、測定され
る応力はすべて粘性応力として計算され、粘弾性の評価
はできない。
発明では、液体の粘性と粘弾性を簡便・迅速に測定する
ための一方法として、共軸二重円筒の外筒(シリンダー
又はカップ)内の液体試料に内筒(プランジャー又はボ
ブ)を定速で進入させる場合に、プランジャーが試料か
ら受ける総合的な応力に含まれる粘性応力と弾性応力と
を明確に分離して測定する理論と解析法を提案する。
に内筒を浸した内筒定速侵入型非回転二重円筒装置の内
筒の荷重測定値から、下式を用いて粘弾性を算出するこ
とを特徴とする液体の粘弾性の測定方法である。 Ft=Fv0−2πμVp 2αt/(1−κ2)+{3
π(κRo)2VptG/Lb}−[2πL0VptG
/{(1−κ2)ln(κ)}] (ただし、Ftは前記装置の内筒の荷重測定値Fのt=
0での接線〔N〕、F v0はt=0での内筒の荷重測定
値〔N〕、μは液体の粘性率〔Pa・s〕、Vpは内筒が移
動する一定速度〔m/s〕、tは内筒が移動する時間
〔s〕、κはκ<1で内筒と外筒の半径の比、Roは外
筒の内半径〔m〕、Gは液体のずり弾性率〔Pa〕、Lb
は内筒底面と外筒底面との距離〔m〕、L0は内筒初期
進入深さ〔m〕、α=(1+κ2)/{(1+κ2)ln
κ+(1−κ2)}、Fv0=−2πμL0Vpα)
いて、下式を用いて液体の粘度または見かけ粘度μを算
出する液体の粘弾性の測定方法である。 Fv0=−2πμL0Vpα
(b)に示す。内筒定速侵入型非回転二重円筒装置にお
いて、内半径Roの外筒(試料容器シリンダー)と外半
径Riの内筒(プランジャー)とからなる共軸二重円筒
の外筒に試料を入れ、この試料にプランジャーを予め任
意の距離(深さ)L0だけ浸らせる。この状態からプラ
ンジャーを一定速度Vpで下方に微小距離ΔL移動させ
て、環状路に試料の上方向流動を起こさせる場合を考え
る。実際には、外筒を一定速度Vpで押し上げるが、理
論的にはプランジャーを一定速度Vpで下方に移動させ
る場合と同じ現象であり、ΔLは任意の微小距離とす
る。
動によってプランジャー壁面に作用するずり応力F
sと、その流動の結果液深L(=L0+増加分)に生じ
る圧力差ΔPによりプランジャーの底面に作用する力F
pの合力Fvとなる(但し、液体が作用する浮力は、試
料密度と液深で補正されているものとする)。この場
合、プランジャーの進行方向を正にとり、試料の粘度を
μ、中心軸からrの距離の環状路での流速をur、ずり
応力をτrzとすれば(図1(b)参照)、環状路流動
での基礎式は次式で表される(Bird,B.B.,Stewart,W.E.
and Lightfoot,E.N.: Transport Phenomena, PP.51-5
4,(Lohn Wiley&Sons,Inc., NewYork))。 d(rτrz)/dr=rΔP/L (1) この基礎式を、境界条件 B.C. ur=0 at r=Ro (2) ur=Vp at r=Ri とニュートンの流動方程式 −(dur/dr)=τrz/μ (3) を用いて解けば次式を得る。
ずり応力τiは次式となる。 τi={κRoΔP/(2L)}−[μVp+{Ro 2ΔP(κ2−1)/4L }]/(κRolnκ) (8)
uavは
から、平均流速は次式となる。 uav=Vp κ2/(κ2−1) (10) (5)式〜(9)式より、VpとΔPとの関係は次式の
ように求めることができる。 ΔP=4μLVp/[Ro 2{(1+κ2)lnκ+(1−κ2)}](11)
る力FsとFpの合力Fvは、 Fv = Fs+Fp = 2πκRoLτi−π(κRo) 2 △P = −2πμLVp α (12) ここで、 α=(1+κ2)/{(1+κ2)lnκ+(1−κ2)} (13) (13)式のαの値は、RiとRoの比κ(κ<1)だ
けで決まる装置定数である。従って、(12)式で得ら
れるFvの値は、試料容器シリンダー(外筒)とプラン
ジャー(内筒)のサイズそのものには依存せず、その比
だけに依存することになるが、この解析結果は実用上に
おいても有用である。
は、プランジャーの移動時間をt(=ΔL/Vp)とす
れば L=L0+{Vpt/(1−κ2)} (14) の関係があるから、(12)式は次式のように書き換え
られる。 Fv=−2πμVpα[L0+{Vpt/(1−κ2)}] (15) この(15)式が、プランジャーを一定速度Vpで粘性
流体に侵入させた場合に、プランジャーが流体から受け
る力(測定荷重値)の時間変化を表している。従って、
Fvは時間tに対して、図2(a)で表されるような変
化を示す。ここで、もしプランジャーを移動させる瞬間
(t=0)の作用力が測定できれば、その値は次式のよ
うに粘度に比例する値となる。 Fv0=−2πμL0Vpα (16) 後述するように、(16)式を用いることが、本法で流
体の粘弾性を測定する場合に、流体の作用力に含まれる
粘性寄与分と弾性寄与分を分離するための基本的な条件
となる。
体(ヤング率をE、ずり弾性率をG、E=3G)である
と仮定する。この試料に、深さL0だけ浸っているプラ
ンジャーを一定速度Vpで下方に微小距離ΔL移動させ
る場合を考える(図1参照)。弾性試料の変形に関する
基礎式(τrz=Gγ=G(dZ/dr))を適用し
て、プランジャー側壁面に作用する力Fesは Fes=2πrL0τrz=2πrL0G(dZ/dr) (17) ここで、γはずり歪み、Zはプランジャーと試料との相
対移動距離である。(17)式をrについてRi〜
Ro、Zについて0〜Zの範囲で積分して次式を得る。 Fes=−2πL0GZ/ln κ (18) プランジャー壁面で試料とのスリップは無いものとする
と、プランジャーと試料との相対速度Vは、V=Vp/
(1−κ2)となるから、プランジャーが微小距離移動
する場合のZの値は、Z=Vt=Vpt/(1−κ2)
となる。ここから次式が求められる。 Fes=−2πL0VptG/{(1−κ2)lnκ} (19)
際の圧縮応力Fecは、非圧縮性物質のE=3Gを仮定
して次式となる。 Fec=3π(κRo)2VptG/Lb (20) ここで、Lbはプランジャー底面と試料容器底面との距
離、R0はシリンダー(外筒)の内半径である。従っ
て、プランジャーが弾性試料から受ける力の合力Fe=
Fes+Fecは Fe={3π(κRo)2VptG/Lb}−[2πL0VptG/{(1− κ2)ln(κ)}] (21) となり、時間tに対して図2(b)で表されるような直
線的な変化を示す。
用する場合には、その合力は(15)式と(21)式の
値を単純に加えたものになるが、粘弾性試料の場合に
は、測定される応力は粘性による緩和を受け、図2
(c)に示すように時間に対して曲線的な変化を示す。
しかし、(15)式と(21)式の合力F=F v+Fe
の時間微分値(dF/dt)、即ち曲線Fの任意の時間
での接線の勾配は、時間を含まない値となり、粘性緩和
の発現しないt=0(プランジャーを移動させる瞬間)
での値は、粘弾性流体の弾性を適正に含む値であるもの
と考えられる。
にF=Fv+Feのt=0での接線Ftを次式のように
求め、任意の時間におけるFtの値から粘性寄与分Fv
を差し引けば、残りは弾性寄与分Feとなるから、(2
1)式を適用して弾性率Gを算出できるものと考えられ
る。 Ft=Fv0−2πμVp 2αt/(1−κ2)+{3π(κRo)2Vpt G/Lb}−[2πL0VptG/{(1−κ2)ln(κ)}] (22) この場合、接線中に含まれる粘性率μは、(16)式を
用いてt=0での荷重測定値Fv0から求められること
が条件となる。試料が粘弾性を示さない場合(G=0)
には、(22)式の接線は(15)式と一致する。
発明はこれに限定されるものではない。 1.測定装置 測定には、試料ステージの微小移動が可能な物性測定装
置レオメータ(株式会社サン科学製品名、型番号CR-200
D)を用いた。試料用シリンダーとプランジャーは、ど
ちらもアクリル樹脂で作製し、粘性と粘弾性の測定に
は、内径29.18mmのシリンダーに外径23.95mm
(κ=0.8208)と26.95mm(κ=0.923
6)の2種類のプランジャーを試料粘度に対応して用い
た。また、弾性率の測定理論の適用性の確認には、上記
以外のシリンダーとプランジャーの組み合わせも用い
た。プランジャーに対し、共軸となるようにシリンダー
を測定装置のステージに固定し、本実施例ではステージ
の上昇速度を0.50mm/s〜1.33mm/sの範囲、
ステージ(プランジャー)の移動距離を0.1mm〜0.
5mmとして測定を行った。他の測定法との比較のため
に、本実施例でのプランジャー壁面でのずり速度を
(3)、(5)、(8)式より次式を得て求めた。 (dγ/dt)Ri=−(1−κ2)Vpα/(1+κ 2 )R i (23) ここで、円管内流動では(dγ/dt)=−(dur/
dr)の関係がある。(23)式から、外径26.95
mmのプランジャーを用いた場合のずり速度は3.24s
−1〜8.62s−1の範囲であった。
L0、およびプランジャー底面とシリンダー底面との距
離Lbが測定結果に及ぼす影響を検討するためにL0と
Lbを変化させた測定も行ったが、ここではすべてL0
=50mmとLb=20mmとした場合の結果を示す。従っ
て、一回の測定に必要な試料量は、約25cm3又は19
cm 3である。
するために、市販の液体用動的粘弾性測定装置(Reolog
icaInstrument AB社製,製品名StressTech)を用いて、
ほぼ同様のずり速度範囲での測定を行った。使用したジ
オメトリーは、ステンレス製のボブ・カップ(共軸二重
円筒)型で、シリンダー内径27.0mm、プランジャー
外径25.0mm(κ=0.9259)である。測定はす
べて25℃で行った。
用性を検討するために、それぞれの測定目的に応じた試
料を用いた。粘度測定用の試料として、グリセリン水溶
液とショ糖水溶液を用いた。蒸留水を混合して調製した
各試料濃度での粘度は、それぞれの濃度に対応する粘度
の文献値(日本化学会編:化学便覧、基礎編II、丸善、
東京(1975)、Lange,N.A.:Hand book of Chemistry,10
th ed.,pp.1183-1140,1681,1154-1155(McGraw-Hill,New
York)(1967))から求め、試料濃度は密度測定装置(京
都電子工業社製、型番号 DA-110)によって確認した。
弾性率測定の確認には、寒天ゲルおよびゼラチンゲルを
用い、加熱溶解してシリンダーに注入した所定濃度の各
試料にプランジャーを浸したまま冷却してゲル化させ
た。また、試料の弾性率は、別に高さ10mm〜20mmの
試料を用いて平板間圧縮法により測定して求めた。粘弾
性の測定に用いた試料は、アラビアゴムなどガム類の水
溶液およびケチャップ、ドレッシング、マヨネーズなど
市販の液状食品である。上記ガム類はナカライテスク株
式会社、液状食品は市中のマーケットより購入した。
ーに入れ、プランジャーを所定の深さまでゆっくりと試
料に侵入させて停止させた。この際にプランジャーに作
用する浮力は、測定装置のゼロ点校正で消去した。その
後、プランジャーを0.50mm/s〜1.33mm/sの
速度で0.1mm〜0.5mm移動させる場合の荷重の変化
を測定した。この条件でのプランジャー移動時間は、最
長で1秒間である。得られた荷重−時間曲線と測定理論
から、粘性率と弾性率を求めた。
こと、即ち、プランジャーを移動させる瞬間の荷重値F
v0から粘度を測定できることが必要である。図3に粘
度既知のグリセリン水溶液(図中の●)およびショ糖水
溶液(図中の○)を試料として用いた場合の測定結果を
示す。図中の実線は、測定値と前出文献値が一致してい
る場合の関係であるが、両者は良い一致(相関係数:
0.985)を示し、(16)式の適用が可能であるこ
とが明らかとなった。従って、本測定法では、プランジ
ャーを移動させる瞬間の荷重値Fv0から粘度を求める
ことが可能であることから、試料の構造を大きく変化さ
せないで粘度が測定できることと極めて短時間で粘度測
定ができる特徴がある。また、プランジャーの微小の移
動距離および移動時間の制御に関するハード的な精度が
増せば、測定精度も向上するものと考える。
れば、水のような低粘度の試料の粘度も精度良く測定で
きるのは勿論のこと、後述するように、極めて粘度の高
い試料でも、シリンダーに試料を注入することができれ
ばその粘度(又は見かけ粘度)を測定することができ
る。本実施例では、試料中へのプランジャーの初期侵入
深さL0を5cmとしたが、L0を変化させた場合の測定結
果も(16)式を満足した。
v0の値はμ、L0およびVpの値に比例するが、更に
シリンダーとプランジャーの実寸ではなく、それらの半
径比κだけで決まる装置定数αにも比例する。αの値
は、κを大きくして1に近づけると大きくなることか
ら、シリンダーとプランジャーのサイズを適切に組み合
わせてκの値を変化させれば、測定されるFv0の値を
変化させることができ、低粘度から高粘度までの試料の
粘度を同一感度のセンサーで測定することも可能であ
る。
一つの条件として、弾性率の測定理論である(21)式
の適用性を証明することが必要である。図4に、5wt%
寒天ゲルを試料とした測定荷重値(図中の●)と(2
1)式による理論値(実線)との比較を示す。理論値
は、別に測定したずり弾性率(G=120kPa)と測定
条件を(21)式に代入して求めた。なお、測定条件
は、G=120kPa、ΔL=0.1mm、Ro=14.59
mmとした。図4から明らかなように、測定値は理論値と
良い一致を示した。他の試料と条件でも、測定値は(2
1)式とよく一致したことから、(21)式を用いて弾
性率の測定も可能であると考える。
いた液体試料の粘弾性の測定を試みた結果を図5に示
す。図5(a)は、プランジャーを移動させた瞬間の荷
重測定値Fv0に(16)式を適用して求めた粘性率、
図5(b)は荷重変化曲線のt=0での接線と(22)
式とを用いて求めたずり弾性率の結果である。なお、図
5(a)と(b)では、本実施例で求めた各試料の粘性
率の値を、○:マヨネーズ、●:トマトケチャップ、
△:フレンチドレッシング、■:アラビアゴム(30w
t%)で示し、また、図5に示した点線は、同一試料を
前述した既存の動的粘弾性測定装置で測定した粘性率と
複素ずり弾性率である。
は、既存の装置での測定結果と良く一致し、アラビアゴ
ム水溶液のような低粘性からマヨネーズのような高粘性
に至る広範囲の粘性率をプランジャーを移動させる瞬間
の荷重値から測定できることが明らかとなった。また、
ずり速度の増加に伴う粘性率の低下を示すずり流動性な
どの非ニュートン性も評価できる結果を得た。
な測定曲線となり、弾性率は算出できない((22)式
右辺の弾性寄与分はない)が、本実施例で用いた液体試
料はいずれも図2(c)のような明確な粘弾性曲線を示
し、(22)式を適用して求めたずり弾性率は図5
(b)に示すような値となった。これらの結果より、本
発明で液体試料の粘弾性を簡便・迅速に測定することが
可能であるということができる。なお、上記実施例では
液状食品について測定したが、本発明は食品に限定され
るものではなく、他の粘弾性を有する液体にも適用され
る。
せる瞬間の荷重値から各液体の粘度(又は見かけ粘度)
を測定でき、続くプランジャーの微小移動に伴う荷重変
化からt=0での接線を求めることにより、液体の広範
囲の粘弾性が、液体の構造破壊を最小限にして、簡便・
迅速に評価できた。
である。(b)は(a)における測定流動解析理論の説
明図である。
である。(b)は本発明における弾性率を説明する概略
図である。(c)は本発明における粘弾性を説明する概
略図である。
およびショ糖水溶液(○)の粘度と理論値による粘度と
の相関を示す図である。
(●)と理論値(実線)との比較を示す図である。
値(○:マヨネーズ、●:トマトケチャップ、△:フレ
ンチドレッシング、■:アラビアゴム(30wt
%))、および既存の測定装置による測定値(点線)を
示す図である。(b)は弾性率の、本発明の実施例によ
る測定値(○:マヨネーズ、●:トマトケチャップ、
△:フレンチドレッシング、■:アラビアゴム(30w
t%))、および既存の測定装置による測定値(点線)
を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 外筒に注入した液体に内筒を浸した内筒
定速侵入型非回転二重円筒装置の内筒の荷重測定値か
ら、下式を用いて粘弾性を算出することを特徴とする液
体の粘弾性の測定方法。 Ft=Fv0−2πμVp 2αt/(1−κ2)+{3
π(κRo)2VptG/Lb}−[2πL0VptG
/{(1−κ2)ln(κ)}] (ただし、Ftは前記装置の内筒の荷重測定値Fのt=
0での接線〔N〕、F v0はt=0での内筒の荷重測定
値〔N〕、μは液体の粘性率〔Pa・s〕、Vpは内筒が移
動する一定速度〔m/s〕、tは内筒が移動する時間
〔s〕、κはκ<1で内筒と外筒の半径の比、Roは外
筒の内半径〔m〕、Gは液体のずり弾性率〔Pa〕、L
bは内筒底面と外筒底面との距離〔m〕、L0は内筒初
期進入深さ〔m〕、α=(1+κ2)/{(1+κ2)
lnκ+(1−κ2)}、Fv0=−2πμL0Vpα) - 【請求項2】 請求項1記載の液体の粘弾性の測定方法
において、下式を用いて液体の粘度または見かけ粘度μ
を算出する液体の粘弾性の測定方法。 Fv0=−2πμL0Vpα
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