JP3445804B2 - 透明性良好なポリプロピレンシートの製造方法 - Google Patents
透明性良好なポリプロピレンシートの製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品の錠剤、カプセ
ルなどの包装に使用されるPTP包装材として好適な、
透明性良好なポリプロピレンシートの製造方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術とその課題】PTP包装用のシートとして
は従来ポリ塩化ビニルシートが多用されており、ポリプ
ロピレンシートは、透湿度がポリ塩化ビニルシートより
も低いという利点にもかかわらず、ほとんど使用されて
いない。その主な理由は、ポリプロピレンシートはポリ
塩化ビニルシートに比べ透明度が大幅に劣るためであ
る。すなわち、溶融ポリプロピレンを冷却ドラムなどの
冷却表面上にシート状に押し出して冷却する方法におい
ては、シートの冷却ドラムに接する面は急冷されるが、
接しない面は冷却速度が遅く、球晶が生じて面荒れし透
明性が低下する。 【0003】ポリプロピレンシートの透明度を改良する
方法としては、(1)ポリプロピレンにジベンジリデン
ソルビトールなどの造核剤を添加する方法、(2)ポリ
プロピレンシートを溶融状態から冷却する間に延伸する
方法、(3)ポリプロピレンの溶融シートを30℃以下
の温度に水冷法により急冷する方法などがあるが、
(1)の方法は真空成形、圧空成形などの熱成形性を悪
化させる欠点があり、(2)の方法もシートが配向する
ため熱成形性を損ない、(3)の方法は複雑な装置、手
段を要するという難点がある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、簡便で生産性
の高い冷却ドラム法により、熱成形性を悪化させずに透
明性を改良するものであって、メルトフローインデック
スが1〜4のポリプロピレンを表面温度60〜80℃の
冷却表面上にシート状に溶融押出して該シートの片面の
みを接触させることにより冷却した後、表面温度100
〜120℃のロール間で、圧延比1.1〜1.4で圧延
することを特徴とする透明性良好なポリプロピレンシー
トの製造方法である。 【0005】以下本発明を詳しく説明する。本発明にお
いてポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合
体あるいはプロピレンとエチレン、ブテン−1などのα
−オレフィンとの共重合体を用いることができる。なか
でも、JIS−K7210の条件下で測定したメルトフ
ローインデックス(MI、単位g/10分)が1〜4の
ものが好ましく、さらに透明性と熱成形性のバランスの
点でプロピレン単独重合体が好適である。MIが1未満
では透明性が悪くなり、MIが4を越えると熱成形時に
シートがべとつき成形性が悪くなる。また必要に応じ、
水添石油樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ポリエチレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体などの他の熱可塑性
樹脂などを添加することもできる。 【0006】ポリプロピレンの溶融押出および冷却は、
公知の技術により実施できる。すなわち、樹脂を押出機
に供給して溶融し、Tダイから冷却ドラム、冷却ベルト
などの冷却表面上に押し出して冷却し未延伸シートにす
る。冷却表面の温度は60〜80℃の範囲が適当であ
る。このシートは冷却表面に接しない面が急速に冷却さ
れず、球晶が生成するため透明性が低いものとなる。特
に、熱成形用に供する厚手シートの場合にはこの現象が
顕著になる。 【0007】次に上記シートを一対のロール間で圧延す
る。この圧延によりシートの片側表面に生成した球晶を
つぶして、シートの透明性を向上させることができる。
ロールの表面温度は100〜120℃の範囲に設定す
る。100℃未満では透明性向上効果が不十分であり、
また120℃を越えると熱による結晶化が進んで成形性
が低下する。ロールは、球晶が生成している側(冷却表
面に接しなかった面)だけを加熱することもできるが、
両方のロールとも温度制御するのが好ましい。 【0008】また圧延比(圧延前のシート厚さと圧延後
のシート厚さの比)は1.1〜1.4の範囲が好まし
い。圧延比が1.1未満では透明性改良効果が少なく、
1.4倍を越えると配向による結晶増により成形性が悪
くなる。 【0009】なお、冷却表面により冷却されたシート
は、必ずしも室温近くまで冷却されている必要はなく、
十分な形状保持性があり、ポリプロピレンの結晶化開始
温度よりも低温にまで冷却された段階であれば比較的高
温の状態でも圧延処理を行うことができる。また、冷却
されたシートを一旦巻き取って、別工程でシートを巻き
戻しながら圧延を行っても良い。 【0010】圧延後のシートは、ポリプロピレン樹脂の
結晶化開始温度である約130℃よりも低温になってい
るため、特に冷却手段を講ぜずに自然空冷しても良い
が、空気吹き付けなどの強制冷却を行うのも好ましい。 【0011】本発明によるシートは、真空成形、圧空成
形などの熱成形を施して、PTP包装、ブリスタ包装な
どの用途に使用するのに適しており、その厚さは特に制
限はないが、通常200〜500μm、特に200〜4
00μm程度である。 【0012】 【発明の効果】本発明によれば、片面のみ冷却して、他
面に球晶を発生させ、生成した球晶をつぶして透明性を
向上させるという圧延でなければ得られない作用を利用
することにより、水冷法などの特殊な装置、手段を必要
とせず、熱成形性を損なうことなく透明性を向上させる
ことができ、PTP用などの成形用途に好適なシートが
得られる。 【0013】 【実施例】 (実施例1〜4)ジタ−シヤリブチル−p−クレゾール
を0.1重量部、ステアリン酸カルシウムを0.1重量
部配合したポリプロピレン(単独重合体、MI=2)
を、シリンダ径40mmの押出機により溶融、混練を行
い、温度240℃のTダイにより、表面温度70℃の冷
却ドラム上にキヤストし、無延伸シートとした。引き続
き、表面温度110℃の一対のロール間で表1に示す圧
延比で圧延し、幅200mm、厚さ300μmのシート
を作成し、PTP成形機で圧空成形を行い成形性を評価
した。成形性の評価は、成形後の形状がシヤープに表れ
ているものを「良好」、成形後の形状がシヤープに表れ
ていないものを「不良」とした。また得られたシートの
透明度(ヘーズ)をJIS−K7105により測定し
た。これらの結果を表1に示す。 【0014】(比較例)ロールによる圧延を行わない以
外は実施例1と同様にして厚さ300μmのシートを作
成し、実施例1と同様の評価を行った。 【表1】以上の結果から、圧延比1.1〜1.4の範囲で圧延す
ることにより、成形性を損なわずに透明性を大幅に改善
できることがわかる。 【0015】(実施例5〜8)実施例1と同じ無延伸シ
ートを、圧延ロールの温度を表2のように変えて、圧延
比1.3で圧延して300μmのシートを作成し、実施
例1と同じ評価を行った。その結果を表2に示す。 【表2】 【0016】この結果から、圧延するロールの表面温度
は、100〜120℃の範囲が好適なことがわかる。
ルなどの包装に使用されるPTP包装材として好適な、
透明性良好なポリプロピレンシートの製造方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術とその課題】PTP包装用のシートとして
は従来ポリ塩化ビニルシートが多用されており、ポリプ
ロピレンシートは、透湿度がポリ塩化ビニルシートより
も低いという利点にもかかわらず、ほとんど使用されて
いない。その主な理由は、ポリプロピレンシートはポリ
塩化ビニルシートに比べ透明度が大幅に劣るためであ
る。すなわち、溶融ポリプロピレンを冷却ドラムなどの
冷却表面上にシート状に押し出して冷却する方法におい
ては、シートの冷却ドラムに接する面は急冷されるが、
接しない面は冷却速度が遅く、球晶が生じて面荒れし透
明性が低下する。 【0003】ポリプロピレンシートの透明度を改良する
方法としては、(1)ポリプロピレンにジベンジリデン
ソルビトールなどの造核剤を添加する方法、(2)ポリ
プロピレンシートを溶融状態から冷却する間に延伸する
方法、(3)ポリプロピレンの溶融シートを30℃以下
の温度に水冷法により急冷する方法などがあるが、
(1)の方法は真空成形、圧空成形などの熱成形性を悪
化させる欠点があり、(2)の方法もシートが配向する
ため熱成形性を損ない、(3)の方法は複雑な装置、手
段を要するという難点がある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、簡便で生産性
の高い冷却ドラム法により、熱成形性を悪化させずに透
明性を改良するものであって、メルトフローインデック
スが1〜4のポリプロピレンを表面温度60〜80℃の
冷却表面上にシート状に溶融押出して該シートの片面の
みを接触させることにより冷却した後、表面温度100
〜120℃のロール間で、圧延比1.1〜1.4で圧延
することを特徴とする透明性良好なポリプロピレンシー
トの製造方法である。 【0005】以下本発明を詳しく説明する。本発明にお
いてポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合
体あるいはプロピレンとエチレン、ブテン−1などのα
−オレフィンとの共重合体を用いることができる。なか
でも、JIS−K7210の条件下で測定したメルトフ
ローインデックス(MI、単位g/10分)が1〜4の
ものが好ましく、さらに透明性と熱成形性のバランスの
点でプロピレン単独重合体が好適である。MIが1未満
では透明性が悪くなり、MIが4を越えると熱成形時に
シートがべとつき成形性が悪くなる。また必要に応じ、
水添石油樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ポリエチレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体などの他の熱可塑性
樹脂などを添加することもできる。 【0006】ポリプロピレンの溶融押出および冷却は、
公知の技術により実施できる。すなわち、樹脂を押出機
に供給して溶融し、Tダイから冷却ドラム、冷却ベルト
などの冷却表面上に押し出して冷却し未延伸シートにす
る。冷却表面の温度は60〜80℃の範囲が適当であ
る。このシートは冷却表面に接しない面が急速に冷却さ
れず、球晶が生成するため透明性が低いものとなる。特
に、熱成形用に供する厚手シートの場合にはこの現象が
顕著になる。 【0007】次に上記シートを一対のロール間で圧延す
る。この圧延によりシートの片側表面に生成した球晶を
つぶして、シートの透明性を向上させることができる。
ロールの表面温度は100〜120℃の範囲に設定す
る。100℃未満では透明性向上効果が不十分であり、
また120℃を越えると熱による結晶化が進んで成形性
が低下する。ロールは、球晶が生成している側(冷却表
面に接しなかった面)だけを加熱することもできるが、
両方のロールとも温度制御するのが好ましい。 【0008】また圧延比(圧延前のシート厚さと圧延後
のシート厚さの比)は1.1〜1.4の範囲が好まし
い。圧延比が1.1未満では透明性改良効果が少なく、
1.4倍を越えると配向による結晶増により成形性が悪
くなる。 【0009】なお、冷却表面により冷却されたシート
は、必ずしも室温近くまで冷却されている必要はなく、
十分な形状保持性があり、ポリプロピレンの結晶化開始
温度よりも低温にまで冷却された段階であれば比較的高
温の状態でも圧延処理を行うことができる。また、冷却
されたシートを一旦巻き取って、別工程でシートを巻き
戻しながら圧延を行っても良い。 【0010】圧延後のシートは、ポリプロピレン樹脂の
結晶化開始温度である約130℃よりも低温になってい
るため、特に冷却手段を講ぜずに自然空冷しても良い
が、空気吹き付けなどの強制冷却を行うのも好ましい。 【0011】本発明によるシートは、真空成形、圧空成
形などの熱成形を施して、PTP包装、ブリスタ包装な
どの用途に使用するのに適しており、その厚さは特に制
限はないが、通常200〜500μm、特に200〜4
00μm程度である。 【0012】 【発明の効果】本発明によれば、片面のみ冷却して、他
面に球晶を発生させ、生成した球晶をつぶして透明性を
向上させるという圧延でなければ得られない作用を利用
することにより、水冷法などの特殊な装置、手段を必要
とせず、熱成形性を損なうことなく透明性を向上させる
ことができ、PTP用などの成形用途に好適なシートが
得られる。 【0013】 【実施例】 (実施例1〜4)ジタ−シヤリブチル−p−クレゾール
を0.1重量部、ステアリン酸カルシウムを0.1重量
部配合したポリプロピレン(単独重合体、MI=2)
を、シリンダ径40mmの押出機により溶融、混練を行
い、温度240℃のTダイにより、表面温度70℃の冷
却ドラム上にキヤストし、無延伸シートとした。引き続
き、表面温度110℃の一対のロール間で表1に示す圧
延比で圧延し、幅200mm、厚さ300μmのシート
を作成し、PTP成形機で圧空成形を行い成形性を評価
した。成形性の評価は、成形後の形状がシヤープに表れ
ているものを「良好」、成形後の形状がシヤープに表れ
ていないものを「不良」とした。また得られたシートの
透明度(ヘーズ)をJIS−K7105により測定し
た。これらの結果を表1に示す。 【0014】(比較例)ロールによる圧延を行わない以
外は実施例1と同様にして厚さ300μmのシートを作
成し、実施例1と同様の評価を行った。 【表1】以上の結果から、圧延比1.1〜1.4の範囲で圧延す
ることにより、成形性を損なわずに透明性を大幅に改善
できることがわかる。 【0015】(実施例5〜8)実施例1と同じ無延伸シ
ートを、圧延ロールの温度を表2のように変えて、圧延
比1.3で圧延して300μmのシートを作成し、実施
例1と同じ評価を行った。その結果を表2に示す。 【表2】 【0016】この結果から、圧延するロールの表面温度
は、100〜120℃の範囲が好適なことがわかる。
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フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B29C 47/88
B29C 43/24
B29C 43/52
Fターム
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】メルトフローインデックスが1〜4のポリ
プロピレンを表面温度60〜80℃の冷却表面上にシー
ト状に溶融押出して該シートの片面のみを接触させるこ
とにより冷却した後、表面温度100〜120℃のロー
ル間で、圧延比1.1〜1.4で圧延することを特徴と
する透明性良好なポリプロピレンシートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27884791A JP3445804B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 透明性良好なポリプロピレンシートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27884791A JP3445804B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 透明性良好なポリプロピレンシートの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0592470A JPH0592470A (ja) | 1993-04-16 |
JP3445804B2 true JP3445804B2 (ja) | 2003-09-08 |
Family
ID=17602978
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27884791A Expired - Fee Related JP3445804B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 透明性良好なポリプロピレンシートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3445804B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3513040B2 (ja) | 1998-12-16 | 2004-03-31 | 株式会社共立 | 可動刃用制動装置を備えた携帯式刈取機 |
JP4041885B2 (ja) * | 2003-04-08 | 2008-02-06 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 高強度・高透明性ポリプロピレンシート及びその製造方法 |
ATE551370T1 (de) | 2007-03-02 | 2012-04-15 | Univ Hiroshima | Polymerkristall |
JP5339350B2 (ja) | 2009-01-23 | 2013-11-13 | サンアロマー株式会社 | 結晶性樹脂フィルムまたはシートの製造方法および製造装置 |
JP5534458B2 (ja) * | 2009-01-23 | 2014-07-02 | 国立大学法人広島大学 | 高分子シートおよびその製造方法 |
-
1991
- 1991-09-30 JP JP27884791A patent/JP3445804B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0592470A (ja) | 1993-04-16 |
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