JP3442785B2 - スマートファスナ - Google Patents

スマートファスナ

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JP3442785B2
JP3442785B2 JP51914995A JP51914995A JP3442785B2 JP 3442785 B2 JP3442785 B2 JP 3442785B2 JP 51914995 A JP51914995 A JP 51914995A JP 51914995 A JP51914995 A JP 51914995A JP 3442785 B2 JP3442785 B2 JP 3442785B2
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    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
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    • G01N17/02Electrochemical measuring systems for weathering, corrosion or corrosion-protection measurement

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は腐食検出に関し、特に航空機構造の継ぎ目に
おける金属腐食の検出に関する。さらに特定すれば、本
発明は航空機構の造継ぎ目における金属腐食のセンサに
関する。
近年、出願人等は商用輸送機及び軍用航空機における
腐食の影響を理解することに多大の研究努力を専ら注い
できた。出願人等は、航空機の腐食の非破壊検査には、
疲労亀裂のような構造の一体性の問題に関わる従来の非
破壊評価(NDE)検査技法を越えるより一層の複雑さが
伴うことを知った。疲労亀裂検査は、通常、機体構造の
継ぎ目や大きな応力が加わる場所に限定されている。外
に現れない腐食の影響はそのような場所ばかりでなく、
航空機構造の至るところで起こりうる。図1は、航空機
で起こる腐食の種類のいくつかを示す。腐食11、12、1
3、14、15及び16は、それぞれ、ピッチング、粒間剥
脱、応力腐食割れ、粒間クラック、割目腐食及び電気化
学的腐食、そして、均一微生物腐食の例である。
腐食は、機体の中でも過剰な湿気にさらされる領域又
は水以外の液体でぬれる領域で起こる。それらの領域と
しては輸送用航空機の機体のビルジの翼ファスナ穴の周
囲(主として剥脱)、燃料シェルフ領域、様々な航空機
の車輪ウェルシェルフ/背壁、貨物出入口及び着陸装着
用ドアを含む全てのドアなどである。
腐食を検出するために既存のいくつかの非破壊検査
(NDI)方法を利用できるが、それぞれの方法は特定の
1種類の腐食を検出するように最適化されている。それ
らの検出方法は視覚検査、タップ試験、電気抵抗プロー
ブ検査、電気化学的解析、超音波検査、うず電流検査、
X線撮影及び熱を伴う音波発射などである。視覚検査は
ピッチング又は剥脱(ふくれ)などの表面状態を検査す
るのに適しているが、重ね継ぎ目相互間に隠れている腐
食の検査にはほとんど役に立たない。音波放射NDE(た
とえば、水素バルブ又は気体の音響検出)は重ね継ぎ目
相互間の材料損失による間隙や、構造の一体性の喪失を
引き起こしかねない構造亀裂を検出できるが、材料損失
又は腐食生成物のパーセンテージを直接には定量化しな
い。
1992年12月16日 Hughes Aircraft Co.により公告
された欧州特許文書第0518508A1号は、三角形を成すよ
うにして隣接する3つの音響センサを有するスマートセ
ンサパッチを使用して構造における材料疲労の場所を確
定するシステム及び方法を開示する。このスマートセン
サパッチは、疲労点の場所を三角測量するローカルプロ
セッサを有する。1981年10月20日発行のJ、Couchmanに
よる米国特許第4、295、377号は、きず又は亀裂を検出
し且つ監視を行うことを目的として予荷重測定並びに後
続測定を得るために着脱自在の音波変換器を有するねじ
付きファスナを開示している。J.Gerard他による論文
「Health monitoring system for aircraft」(199
1年11月4日〜8日にバージニア州アレキサンドリアで
開催されたADPA/AIAA/ASME/SPIEの会報の中のActive M
aterials and Adaptive Structuresに掲載)は、構
造の異常を確定するために航空機の構造の中にセンサシ
ステムを組込んだ構造一体性監視システムを開示してお
り、この場合、構造の異常は、能動センサモジュールの
ネットワークを使用して振動シグネチャを監視すること
によって連続的に確定される。
本発明は、航空機構造において表に見えない腐食の影
響を検出することを可能にする。技術の上で必要とされ
る重大な条件は、航空機用ファスナの頭部のすぐ下方で
且つ重ね継ぎ目の間又は航空機の機体の内壁における航
空機構造の内部腐食の検出である。スマートファスナの
概念は、能動的腐食の証拠を航空機の構造の一体性をそ
こなわずに現場測定値として測定するために電気化学を
利用するセンサを航空機構造の中に直接に組込むという
新規な考えに焦点を合わせている。
発明の概要 本発明は、航空機構造において表に見えない腐食を検
出することを可能にする「現場」測定方式である。これ
は、腐食感知素子を具現化するように変形された標準形
航空機用HI−LOKファスナから構成されており、航空機
の重ね継ぎ目(又は隔壁)アセンブリの中に配置され
る。このセンサは、溶液中の腐食イオンの濃度を測定す
る多重素子マイクロ電極アレイ検出器と、将来の検索と
航空機の構造保守支援に備えて腐食データを読出し表示
又は記録情報に変換するためのスマート電子回路モジュ
ールとを含む。
本発明は現場腐食検出を実行する。ファスナシステム
は、関心構造のすぐ内部の隠れた腐食の影響を「現場」
電気化学的測定値として測定する。画像処理(IR又は可
視光を利用する)方法、抵抗プローブ方法、うず電流方
法、音響放出(AE)方法及びX線方法などの従来のNDI
技法は、表面の(すなわち、腐食によって起こる表面亀
裂)ビルドアップ又は材料の損失を検出することができ
る。ところが、それらの代替方法は、いずれも、重ね継
ぎ目の境界面、隔壁と翼装着部の境界面又は翼フェアリ
ングにおける表に見えず、手がとどきにくい腐食を信頼
性をもって検出することができない。
もう1つの特徴は腐食の成長の追跡である。ファスナ
は自律長期間データロギングを実行するので、航空機構
造の内部の腐食プロセスの追跡が容易になり、また、履
歴結果を不揮発性アナログメモリ素子に記憶することも
容易になる。出願人の知るところでは、この能力と同じ
ものは他のどこにも見られていない。
さらに別の特徴は腐食の予測である。マイクロ電極セ
ンサの各アレイ素子は、特定の腐食関連イオンの有無を
測定する。個々の素子の電位に基づくタイムベーストレ
ンドシグネチャは、腐食特性を予測するのに有用な方法
であることがわかるであろう。
ファスナの構造は、標準形航空機HI−LOCファスナの
内部の腐食の測定を航空機の構造の一体性をそこなうこ
となく具現化する。この新たなパッケージング技法は、
別の種類の感知(すなわち、音響放出及び気流)素子や
構造制御(すなわち、気流偏向及び振動抑制)素子を組
込める可能性を多く保っている。出願人の知るところで
は、この方法と同じものは関連技術の中には見られな
い。
図面の簡単な説明 図1は、腐食の例を示す。
図2は、ファスナ及びそのファスナと用途との関係を
示す。
図3a及び図3bは、腐食の電気的な面を示す。
図4は、ファスナの切取り図である。
図5は、ファスナの本体を示す。
図6は、電子回路の線図である。
図7は、直接アナログ記憶メモリのブロック線図であ
る。
図8は、メモリ記憶フォーマットを示す。
図9は、多重素子腐食マイクロセンサのレイアウトで
ある。
特定実施形態の説明 図2は、航空機21の腐食を現場電気化学測定プロセス
として検出するように構成されているスマート航空機用
ファスナ10を強調したスマートファスナ10の全体のシス
テムが示されている。システム10は、広帯域音響放出変
換器を組込むことによって金属20の疲労と亀裂に関連す
る構造の一体性を検出するために2つの用途に適用可能
である航空機ファスナ本体19に感知素子17と電子回路18
を埋設することにより構成されている。エージング航空
機プログラムは、音響放出事象をエージング航空機構造
の腐食反応プロセスにおける水素ガスの放出と関連づけ
るものであろう。図3a及び図3bは、以下に論じる腐食プ
ロセスを示す。
図4は、重ね継ぎ目アセンブリ20の中に挿入されて、
トルク感知ナット22によって保持されている直径0.5イ
ンチの頭部突出形ファスナ(HL6201又はそれと同等のも
の)であるスマートファスナ10の切取り図である。ナッ
トは22は、ナット22に形成された溝穴のアレンレンチな
どによってある量のトルクが加わったときに折れるよう
に構成されたHI−LOCファスナであっても良い。ファス
ナ本体19の材料は、壁の厚さが0.050の、強度の高い耐
腐食性鋼(300シリーズ)から形成されている。図示す
るように、スマートファスナ電子回路23はファスナ本体
19の中に、密封パッケージに入れて配置されている。セ
ンサアレイ17と環境空洞26は、セラミック基板25によっ
て電子回路18から密封されている。電子回路18を操作す
るときには、アレンレンチ又は別のスロット形工具を使
用してねじ2を外せば良い。
図3aは、本発明が検出し、測定することになる腐食の
原理を示す。真水又は塩水、酸、気体又は他の同様の物
質であると考えられる電解物52が腐食環境を形成する。
金属58の表面には、ごく小さな陽極54と陰極56が形成さ
れる。時間の経過に伴って、陽極54と陰極56は腐食電位
に分極し、絶えずその性質を切替えることにより、一様
な表面腐食60を発生させる。図3bは、電子の流れ64及び
イオンの流れ78を有する腐食活動をより精密に示す図
(62)である。両面セラミック基板25には多重素子電気
化学センサが取付けられ、ファスナ10の頭部24には一体
の腐食感知環境チェンバが配置されている。多重素子ア
レイ17は、セラミック基板25の中のガラスフェルールフ
ィードスルー接続を介して、センサ電子回路23モジュー
ルに電気的に接続している。腐食を検出するためのファ
スナ10の動作の原理は次の通りである。ファスナ10の周
囲環境にある腐食性電解物52(すなわち、H2O)は、フ
ァスナ本体19の壁に放射状に配置されている複数の0.01
0インチの電解物毛管27を経て環境チェンバ26の中にし
み込む。個々の毛管27は、ファスナ10のヒール24に向か
うか、密封されていない表皮縁部に侵入する腐食剤を検
出するために重ね継ぎ目20の間に入るか、又は航空機21
の気体の内壁20に沿って走るかという腐食の感知場所の
所望の位置に応じて、指定の長さを有する。関心腐食イ
オンを含有する電解物52は、毛管27の毛管作用によって
ファスナの壁19に沿って上昇し、ファスナの環境チェン
バ26の中に入る。そこで、電気化学センサは電解物の独
特の電気化学的特性を検出し、航空機保守スタッフによ
る詳細な解析とデータ検索に備えて、それらの特性をサ
ンプリングし、記録し、アナログメモリ41に記憶する。
マイクロアレイ17感知素子は、たとえば、図3b及び図
9に示すようにイオン電流流れ78を発生する「局部的
な」腐食セルを形成する陽極54と陰極56から成る極微領
域を含む。温度測定平衡状態にある基準電極77は局部的
腐食反応に起因するそれ自体とマイクロアレイ素子との
電位差を感知する。マイクロアレイ素子の電気入力端子
では、10の12乗の入力インピーダンスを維持しなければ
ならない。マイクロセンサアレイ17はセンサ(電極)表
面で起こる反応を検出する。多くの場合、感知面25は金
属であるが、金属を覆うガラス、セラミック又はポリマ
ー層であっても良く、あるいは、金属を覆う化学被膜で
あっても良い。マイクロセンサ17は、通常、試験すべき
環境、普通は水の中に浸されている。検出すべき化学物
又はイオンはその水に溶解して、センサ表面と接触して
いる。通常、感知反応は関心化合物への電子の追加又は
関心化合物からの電子の離脱を含む。電位差測定型の測
定の場合、イオンの相互作用によって、基準電極と感知
素子との間に特有の電位が発生する。典型的な電極構造
はイオン選択電極であり、Cl−イオン選択電極を製造す
るために銀基板の中にCl+がインプラントされている。
通常、シリコン基板にはIrO2(陽極酸化イリジウム)を
スパッタリングして、pH感知マイクロセンサ素子73を形
成する。
図5は、ナット22を除いたファスナ10を示し、電解物
52が通る毛管27は長さが異なり、半径方向に45度の間隔
をおいて位置している。希望に応じて、ファスナの柄19
に沿って複数の特定の場所で腐食効果を測定するため
に、様々なファスナ10の構造を製造できる。このパッケ
ージング構成方式の重大な利点は、既存の航空機用ファ
スナの保守手順と全く矛盾せず、挿入により航空機構造
の一体性がそこなわれることはなく、電子回路の修理と
交換が容易になり、毛管27の長さに沿った腐食測定の選
択性にすぐれ且つ低価格の製造が可能になるというすぐ
れた利点がある。
ファスナ10の機械的構造の解析を行った。航空機トル
ク仕様によれば、ファスナ10は約50ft−1bsまでの長手
方向トルクを維持できなければならない。中心に穴のあ
るファスナの引張り強さは、中実のファスナより劣る。
中空のファスナにより支持される最大引張り荷重は次の
式を使用してほぼ計算できる。
PT=(AT−AH)・TS 式中、PT=引張り荷重(ポンド) AT=引張り面積(平方インチ) AH=穴面積(平方インチ)及び TS=引張り強さ(psi) ファスナ10の特徴は、図4に示すようなドライシール
アクセスねじ又はプラグ29である。プラグ29は、航空機
21の構造からファスナ10を取り外さずに電子回路モジュ
ール23の取り外しと交換を容易にするために、市販のス
テンレス鋼1/16NPTドライシールプラグである。電子回
路の取り外しを容易にするために、プラグ29の中心に六
角形のキースロットが配置されている。この種の保守行
動は、多重素子電気化学センサが汚染したか又は電子回
路バッテリ30の交換が必要になった場合に実行可能であ
る。トルクが加わったために起こる引張り荷重は最大限
界を越えてはならない。強度の高い鋼(すなわち、AISI
4340又はそれと同等のもの)の選択は、ファスナ本体19
に穴があるために起こる強度の劣化を補償するために必
要であろう。ファスナ10の製造に際しては、カドミウム
めっき鋼鉄、ステンレス鋼又はチタンなどの様々な材料
を使用できるであろう。ファスナ10の構造それ自体は腐
食を受けるべきではない。
図6に示すようなファスナ10の電子回路システムは機
能の上ではアナログ変換器ユニット(ATU)31と、共通
電子回路ユニット(CEU)32と、航空機通信ユニット(A
CU)33という3つのモジュールに分割される。ATU31は
電気化学マイクロセンサアレイ17と、アナログマルチプ
レクサ34と、信号増幅器35とを含む。CEU32は、固体ア
ナログメモリ記憶装置40と、状態機械シーケンス論理37
と、一体形再充電可能リチウムポリマーバッテリ電池30
とを含む「共通電子回路」デジタルコアを組込んでい
る。ACU33は、構造保守データの検索と収集を容易にす
るために、低電力送信機38/受信機39回路を含む。
ファスナ10のもう1つの特徴は、直接アナログ記憶テ
クノロジーメモリ(DASM)40である。ファスナ10の電子
回路に現場構造ヘルス監視腐食データを記憶する能力
は、時間関連腐食事象を記録し且つ構造材料の損失を追
跡するためには不可欠である。DASM40は、アナログ形態
の腐食データをDASM記憶装置41に直接に記憶し且つDASM
記憶装置41から直接に読取るための手段を備えている。
DASM40はアナログ電気的消去可能なプログラム可能読取
り専用メモリ(EEPROM)デバイスである。DASM40は、出
力端子がエイリアス防止フィルタ43に接続されている入
力増幅器42を有する。エイリアス防止フィルタ43の出力
は、セル128,000個の不揮発性アナログ記憶アレイ41に
至る。アレイ41の出力は平滑化フィルタ44に至る。フィ
ルタ44からの信号は出力増幅器45に至る。また、アレイ
41には、サンプリングクロック46からのクロック信号
と、アドレスバッファ47からのアドレス制御論理信号も
供給される。DASM40EEPROMは、記憶前にデジタルフォー
マットを必要とせずにアナログデータを直接に記憶する
低パワー128Kアナログ記憶アレイ41として編成されてい
る。発生器47は、レコードがアドレスであり且つ再検討
のためにアナログアレイ41から引き出せるようにアドレ
スを生成する2進カウンタを有する状態機械である。と
ころが、レコードが引き出されると、新たな記録のため
に、メモリのその部分はクリアされる。レコードが引き
出されず、全てのメモリスペースが一杯である場合に
は、新たなデータを最も古いレコードの上に書込む。レ
コードは、ファスナ10を分解又は取り外しせずに、直列
データリンク80に結合するコンデンサを介してACU33か
ら引き出される。あるいは、電子回路18を取り出し、次
にレコードを引き出しても良い。
DASM装置40は、単位ボリューム当たりの記憶密度がよ
り高く、ゼロパワー記憶能力をもち、アナログ/デジタ
ル(A/D)変換器支援がなく、10年間にわたりデータを
保持するなど、従来のデジタルメモリ技術と比べていく
つかの重大な利点を示す。DASMアナログアレイ41は1メ
ガビットのデジタル記憶装置に相当する128,000個のセ
ルから構成されている。すなわち、従来のデジタルデー
タ記憶装置と比べて8:1の改善が見られる。デジタル技
術においては、各メモリセルに2つの電圧レベルの一方
(すなわち、ビット)を記憶させるが、DASM技術は現在
では230の電圧レベルの中の1つを記憶する。ファスナ1
0の自律動作においては、航空機用ファスナの形状係数
の制限があるために、電力消費は最小であり且つパッケ
ージサイズも制約されるので、DASMアナログアレイ41が
好ましい。DASM40は不揮発性EEPROM技術を特徴としてお
り、10年までの期間にわたり構造腐食データを記憶する
ためにパワーを必要としない。DASMの構造では、デジタ
ルデータ変換器、変調器及びバッテリバックアップ回路
は不要であり、ファスナ10の部品の数は二分の一に減
る。
図8は、ファスナ10のデータ記録フォーマット48を示
す。図示するように、DASMアナログアレイ48は20のデー
タレコード(DR)セグメント49として編成されており、
総データベース容量は合わせて1メガバイトとなる。マ
イクロセンサ素子データの各データレコード49は8つの
サブレコードセグメント50に分割されており、腐食マイ
クロ電極アレイ17の素子ごとにアナログ情報(すなわ
ち、腐食生成物)を含む。図8に示すようなサンプルホ
ールド回路68を有する8つのサブレコードセグメント50
は、それぞれ、800バイト(8ビット2進数の1語に相
当する)の腐食データを記憶し、データレコードごとの
総バイト数は6400である。素子68は、カリフォルニア州
サンホセ、2841Junction AvenueにあるInformation S
torage Devices Inc.が製造しているISD1016不揮発性
アナログメモリチップであるDASMアレイ41を構成する。
メモリ40は、Frank Goodenough著の論文「Nonvolatile
Analog Memory Chip」(1991年1月31日刊Electron
ic Designに掲載)の中で説明されている。ファスナ10
の電子回路36は、1日から1週間接続するプログラム可
能時間間隔をおいて行われるパワーアップシーケンスが
終了するたびに腐食情報の1つのDRを記憶する。ファス
ナ10システムの総メモリ記憶容量は、データデブリーフ
ィングの実行が必要になるまでに20週間、すなわち、5
ケ月に至る。ファスナ10システムを5ケ月より長い期間
にわたり航空機構造に放置すると、ファスナ10のメモリ
28はメモリの初め(アドレス0)にラップアラウンド
し、既存のデータレコードにオーバライトする。
アレイ17の電気化学マイクロセンサ71〜76は、センサ
(電極)表面で起こる反応を検出する。多くの場合、感
知面は金属であるが、ガラス、セラミック、金属を被覆
するポリマー膜又はポリマー層、あるいは金属を覆う他
の化学被覆膜であっても良いであろう。マイクロセンサ
71〜76は、通常、試験すべき環境、普通は水の中に浸さ
れるか、又はかなり高い湿度を有する環境の中に配置さ
れる。検出すべき化合物又はイオンはその水に溶解し
て、センサ17の表面と接触している。感知反応は、通
常、関心化合物への電子の追加又は関心化合物からの電
子の離脱を含むが、センサ表面(層)における(又はそ
の内部への)化合物の吸収も検出できる。多くの場合、
感知反応を誘起するために、又はより急速に進行させる
ために、電極(71〜76)に電位を印加する。電気化学反
応の結果、電極表面と溶液との境界(電気化学境界面と
も呼ばれる)を通って電荷が通過し、外部回路を使用し
てこの電流の流れを検出することができる。電極に印加
される電位と電流の流れとの関係を使用して、腐食生成
物と材料損失を検出できる。この解析方法を一般にはボ
ルタンメトリという。
ファスナ10の腐食マイクロセンサアレイ17のレイアウ
トを図9に示す。感知電極71〜76は内側の円の「スポー
ク」の端部に配列されている。アレイごとに6つのマイ
クロ電極(全て異なる材料であっても良い)、各々のマ
イクロ電極は直径50μmの円板である。センサへの電気
接点は上面の接点パッドを介して形成される。
マイクロセンサ素子71〜76は有害陰イオン、pH及び腐
食生成物に対して専用のものであるように選択されてい
る。素子は、電解物の中に存在するイオンのイオン選択
定量測定を行うために設計されている。たとえば、素子
73はpH係数を評価し;素子72は硫化物陰イオン (S-2)の有無を検出し;素子71は塩化物陰イオン(C
l-)を検出し;素子74は銅イオン、鉛イオン又はアルミ
ニウムイオンの有無を感知し;素子75及び76は腐食パラ
メータを確定する対象である関心構造材料(たとえば、
2024又は7075アルミニウム)から製造されている。感知
電極に加えて、基準電極77は腐食測定を実施する上で不
可欠である。基準電極77は個々の感知素子の周囲の同心
リングである。素子71〜77はセラミック基板25の上に配
置されている。たとえば、素子74、75及び76は犠牲金属
を有し、選択される各々の金属は腐食を測定する対象と
同じ金属である。各金属はそれぞれ対応するセンサ素子
の先端に配置されている。センサ内部の腐食は測定すべ
き継ぎ目又は構造の実際の腐食と並行している。その類
似性は、双方の腐食が同じ電解物を有することである。
ファスナ10の環境の中に存在する水分又は気体(構造20
の環境の中の空気又は大気の60パーセント以上の単なる
湿度など)は、非常に狭い部分で、毛管27を経て環境チ
ャンバ26内の素子74〜76の犠牲金属にしみ込み、図3a及
び図3bに示すように腐食は開始し、そこで、陰極56から
陽極54へとイオン78は運ばれて行く。これによって発生
する電気化学的効果の結果、電位は基準素子77に対して
各々のセンサ素子にごく小さな電流(すなわち、ナノア
ンペア範囲)を発生させる。素子71〜76は基準素子77に
ごく近接しているが、物理的には基準素子77から離間し
ている。センサアレイ17の出力は、各出力が増幅器35及
び42によりDASM41に記憶するための認識可能及び数量化
可能な信号に増幅されるように、装置34でマルチプレク
シングされる。センサ素子における所定の金属について
ファスナ10により測定されるチャンバ26内の腐食の量
は、図2の構造20にあるその金属の腐食の量を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 欧州特許出願公開100814(EP,A 1) 米国特許380763(US,A) J.Gerard;G.Hickma n,Health Monitorin g System for Aircr aft,Conf.Proc Acti ve Materials and A daptive Structure s.Proc ADPA/AIAA/A SME/SPIE,1992年,403−406 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/26 351 G01N 17/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1及び第2の端部を有し且つ第1の端部
    に開口を有するボルトと; 前記ボルトの中に、開口に続いて配置された内部空洞
    と; 前記内部空洞の中に配置されて、構造の腐食を化学的に
    感知する少なくとも1つの腐食センサと; 前記内部空洞の中に配置され、前記腐食感知素子に接続
    する電子回路モジュールと; 前記ボルトの第1の端部にある開口に配置されて、前記
    腐食センサを前記内部空洞の中に封入するプラグと; 前記ボルトの第2の端部にあるナットとを具備する、 構造に装着される腐食感知装置であって、 前記ボルトは、前記腐食センサに近接する第1の端部
    と、前記ボルトの外部の環境に近接する第2の端部とを
    有する少なくとも1本の毛管を有することを特徴とする
    腐食感知装置。
  2. 【請求項2】前記腐食センサは環境から毛管を経て液体
    又は気体を受け取り、その気体を有する環境の中の所定
    の材料について腐食の速度を指示する請求項1記載の腐
    食感知装置。
  3. 【請求項3】前記電子回路モジュールは、 腐食の速度を指示する信号を記憶する記憶装置と; 前記記憶装置に接続する電源とを具備する請求項2記載
    の腐食感知装置。
  4. 【請求項4】前記記憶装置は直接アナログ記憶装置であ
    る請求項3記載の腐食感知装置。
  5. 【請求項5】前記記憶装置は現場測定の腐食の速度を示
    す感知・記憶信号の日付を指示する請求項4記載の腐食
    感知装置。
  6. 【請求項6】前記腐食センサは、 前記少なくとも1つの腐食センサの少なくとも1つの感
    知電極にあり、監視すべき腐食感知装置の周囲の装着材
    料と同じである犠牲材料をさらに具備し、電極は、その
    犠牲材料の腐食を指示する信号を前記電子回路モジュー
    ルに供給し、 前記少なくとも1本の毛管は複数の感知電極の各々の感
    知電極に通じ、前記腐食感知装置の周囲の周囲大気を各
    感知電極へ運ぶ請求項5記載の腐食感知装置。
  7. 【請求項7】第1の端部に頭部を有し、第2の端部に着
    脱自在のナットを有するファスナ本体と; 前記ファスナ本体の中に配置された環境チャンバとを具
    備する組合わせファスナ本体/腐食センサであって、 前記チャンバは、前記ファスナ本体を貫通して、前記フ
    ァスナ本体の周囲及びその外部の電解物を前記チャンバ
    へ運ぶ少なくとも1本の毛管を有し、 前記環境チャンバの中には腐食感知アレイがあり、前記
    腐食感知アレイは、 基準電極と; 前記基準ダイオードに近接し且つ少量の第1の材料が形
    成されており、第1の材料は毛管からの電解液にさらさ
    れ、第1の材料は電解液のために腐食を受け、腐食が起
    こった場合、腐食を指示する腐食信号が発生される少な
    くとも1つの感知電極とを具備し、; 前記ファスナ本体の中には、前記腐食感知アレイに接続
    する電子回路が配置され、前記電子回路は、 前記腐食感知アレイに接続して、第1の材料の腐食を指
    示し、ひいては前記ファスナにより装着される第2の材
    料の並行する腐食を指示する、前記感知アレイからの腐
    食信号を記憶するアナログ記憶アレイと; 前記アナログ記憶アレイに接続し、腐食信号の時間を指
    示するクロックと; 前記アナログ記憶アレイに接続し、前記ファスナの外部
    から、前記アナログ記憶アレイに記憶されている腐食信
    号及びそれぞれの信号へのアクセスを実行するインタフ
    ェースと を具備することを特徴とする組合わせファスナ本体/腐
    食センサ。
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