JP3442071B1 - 刈草堆肥およびその製造方法、並びに刈草混合堆肥および刈草堆肥抽出液 - Google Patents

刈草堆肥およびその製造方法、並びに刈草混合堆肥および刈草堆肥抽出液

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Abstract

【要約】 【課題】 一般廃棄物とされる刈草の有効利用に適した
形で、植物栽培圃場における雑草の成長抑制に適した刈
草堆肥およびその製造方法、並びに、刈草混合堆肥およ
び刈草堆肥抽出液を提供する。 【解決手段】 刈草を含む被発酵材料を、バチルス属に
属する1種以上の微生物を主体とする発酵微生物を用い
た生物分解にて、まず堆肥化させる。この工程を一次発
酵工程とし、次に、該一次発酵工程にて得られた堆肥
を、二次発酵工程にて、さらに発酵熟成させることで刈
草堆肥を得る。ここで、得られる刈草堆肥が、pHが
6.0以上9.5以下、かつEC濃度が0.5dSm
−1/cm以上4dSm−1/cm以下、かつC/N比
が10以上30以下、となるように二次発酵工程を行な
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、刈草堆肥およびそ
の製造方法、並びに、刈草混合堆肥および刈草堆肥抽出
液に関し、より詳しくは、一般廃棄物とされる刈草の有
効利用に適した形で、植物栽培圃場における雑草の成長
抑制に適した刈草堆肥およびその製造方法、並びに、刈
草混合堆肥および刈草堆肥抽出液に関する。
【0002】
【従来の技術】河川や道路の法面などにて発生する雑草
に対しての管理は、一般的に、雑草の繁茂に合わせて、
雑草の刈り倒し、そこで発生する刈草を乾燥、集草、搬
出、焼却する流れにて、その管理がなされている。しか
しながら、近年、ダイオキシン類対策法等によって、安
易な焼却処分ができず、ダイオキシンなどの有害物質に
対する排出基準を満たす焼却設備での焼却が必要とされ
る。そのため、経時的に発生する膨大な刈草をいかに処
分するかが問題とされてきている。また、このような膨
大に発生する刈草に対する焼却能力の観点からも、そも
そも焼却場への搬入自体が難しくなってきている。
【0003】上述のように、一般廃棄物とされる刈草を
焼却処分する手法のみでは、もはや刈草の処理は立ち行
かない状況となりつつある。そこで、このような現況を
回避するため、刈草を有効資源として活用することが種
々検討されている。その代表的なものの1つに刈草を堆
肥として再利用するものがある(例えば、特許文献
1)。
【0004】一方、堆肥が施用される側の植物栽培圃場
に関して言えば、雑草の発生は育成すべき農産物の収穫
量の減少に繋がるので、雑草の成長を抑制ないし防止す
るための除草作業を行うことが必須とされる。この除草
の手法としては、耕運する物理的な方法や、除草剤によ
る化学的な方法などが用いられている。このうち、化学
的な方法である化学農薬の使用は、食の安全性や環境負
荷の低減の観点より、でき得る限り控えることが求めら
れている。また、物理的な方法である、耕運について
は、過大な労力が必要とされるとともに、それのみでは
期待できる除草効果にも限界がある。そこで、除草作業
の作業負荷が低減されつつ、化学農薬の代替物とした除
草効果が十分に得られる除草資材が求められている。該
除草資材の代表的なものの1つに、微生物資材があり、
微生物農薬として注目されている。具体的には、除草対
象とされる特定の雑草に対して成長抑制作用を示す微生
物を利用するもの(例えば、特許文献2)や、微生物の
代謝産物を利用するもの(例えば、特許文献3)などが
開示されている。
【0005】
【特許文献1】 特開平11−240784号公報
【特許文献2】 特開2002−101874号公報
【特許文献3】 特開2000−110136号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】まず、刈草を堆肥とし
て再利用する場合、植物栽培、特に有機栽培にも適した
良好な堆肥となるように堆肥化させることが、刈草の再
利用化を促進させる上でも重要な点であると言える。そ
のためには、従来、検討課題に挙がっていなかった、刈
草を堆肥化させた堆肥(以下、単に刈草堆肥とも言う)
を製造する際の堆肥化処理の条件等を適正化させること
で、製造される刈草堆肥の品質を特定のパラメータを用
いて適正化させることが重要な課題となる。
【0007】一方、植物栽培圃場における除草を有為な
ものとする方法として、微生物資材を用いる方法を上述
した。しかしながら、微生物資材を除草剤として用いた
場合、特定の雑草のみにしか作用しないことや、雑草の
成長を抑制する以外に、育成すべき農産物の成長にも悪
影響を与えてしまうなどの不具合の発生が想定される。
そのため、植物栽培圃場における除草に関しては、幅広
い種類の雑草に対する成長抑制を可能とするとともに、
育成すべき農産物の成長を妨げない点も、安全性などに
加えて考慮する必要がある。そこで、これら安全性も含
めて除草剤に求められる要素を満たす資材の探索は重要
な課題であるが、さらに言えば、上述した刈草堆肥の品
質に対する適正化を、この除草剤に求められる要素を含
む形で行うことは、膨大に発生する刈草の再利用化をよ
り促進させる上でも、また、植物栽培圃場に対する施用
の有効性をより高める上でも非常に重要な課題になり得
ると言える。本発明は、まさに、この課題を鑑みてなさ
れたものであって、即ち、本発明は、一般廃棄物とされ
る刈草の有効利用に適した形で、植物栽培圃場における
雑草の成長抑制に適した刈草堆肥およびその製造方法、
並びに、刈草混合堆肥および刈草堆肥抽出液を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するための本発明の刈草堆肥の製造方法は、刈草
を含む被発酵材料を、食品不要物および木材不要物を用
いる形で、発酵微生物による生物分解にて堆肥化させる
一次発酵工程と、該一次発酵工程にて得られる堆肥をさ
らに発酵熟成させることで刈草堆肥を得る二次発酵工程
とを含み、前記発酵微生物としては、活性汚泥由来のも
のである、バチルス属に属するバチルス・ズブチルスの
1種もしくは、少なくともバチルス・ズブチルスを含む
バチルス属に属する2種以上の微生物を主体として用
い、さらに、前記刈草堆肥は、pHが6.0以上9.5
以下、かつEC濃度が0.5dSm−1/cm以上4d
Sm−1/cm以下、かつC/N比が10以上30以下
となるように調整されてなり、前記刈草と、該刈草を発
酵させるための前記バチルス属に属する微生物との組み
合わせにて除草効果が発現されることを特徴とする。
【0009】本発明の刈草堆肥の製造方法において、発
酵微生物を用いた生物分解にて堆肥化処理がなされる被
発酵材料は、刈草を含むものとされる。つまり、一般廃
棄物として扱われる刈草を、堆肥化処理を通じて刈草堆
肥として再利用化することが目的である。そこで、本明
細書における刈草とは、河川堤防、道路法面、公園等の
除草作業などにて排出される、所謂、雑草を指すもので
ある。この雑草の種類としては、特に限定されないが、
例えば、春から夏にかけて発生する、チガヤ、ネズミム
ギ、スズメノチャビキ、ナギナタガヤ、コウゾリナ、ブ
タナ、ヤハズエンドウ、ノアザミ、ハルジオン、セイウ
ヨウタンポポ、スギナなどや、夏から秋にかけて発生す
る、ススキ、セイタカアワダチソウ、シナダレスズメガ
ヤ、トダシバ、イタドリ、ワレモコウ、シバ、ネササ、
カナムグラ、クズエノコログサ、アキノノゲシ、ヨメ
ナ、アレチノギクなどを例示することができる。
【0010】上記のように被発酵材料は、刈草を含むも
のとされるが、この被発酵材料を、発酵微生物による生
物分解を用いて、一次発酵工程にて堆肥化させ、さら
に、二次発酵工程にて発酵熟成させることにより刈草堆
肥を得る。これら発酵工程において主体的に発酵を促進
させる発酵微生物は、バチルス属に属する1種以上の微
生物とされる。また、バチルス属に属する1種以上の微
生物としては、炭素菌のように動植物に有害となるもの
以外で、発酵を促進させることができるものであれば限
定されるものではない。バチルス属の微生物を用いる利
点は、特に、発酵をより促進できることである。また、
バチルス属の微生物は抵抗力が強いものとされるので、
二次発酵工程においても、十分、その発酵分解力を維持
させることが可能となる。このように、バチルス属に属
する微生物(以下、単にバチルス属微生物とも言う)を
用いることにより、刈草を含む被発酵材料を効率よく発
酵分解させることが可能となる。さらに、本発明の根幹
をなすことであるが、本発明者らの鋭意検討の結果、刈
草をバチルス属に属する微生物を用いて発酵分解させた
場合、その発酵生成物である刈草堆肥は、非常に優れた
除草効果を有したものとなることが分かった。つまり、
本発明に係わる刈草堆肥を植物栽培圃場に施用すること
で、多年生雑草、一年生雑草といった雑草種子の発芽を
効果的に抑制ないし防止することが可能となり、ひいて
は、雑草の発生を効果的に抑制ないし防止することが可
能となる。この刈草堆肥の除草効果は、刈草と、該刈草
を発酵させるためのバチルス属微生物との組み合わせに
て発現することから、刈草堆肥中に存在する、刈草を発
酵させる過程でバチルス属微生物にて生成される代謝産
物の作用に起因するものと推察される。
【0011】上記したバチルス属微生物としては、固体
培地や液体培地などにより培養されたものでもよいし、
食品不要物や畜糞等を基材として培養されたものでもよ
いし、さらには、汚泥や畜糞等に由来するものでもよ
い。そのため、例えば、バチルス属微生物を有する材料
を被発酵材料の構成原料の1つとしてもよいし、被発酵
材料には属さない形で、バチルス属微生物を有するもの
を被発酵材料に投入させて一次発酵工程を行ってもよ
い。また、被発酵材料としては、第一に少なくとも刈草
を含むでいる形態であればよく、例えば、被発酵材料を
刈草のみから構成させても構わないし、刈草に加えて、
食品不要物や木材不要物、畜糞、汚泥といった、公知の
堆肥化がなされる材料を構成材料としても構わない。
【0012】上記のように製造される刈草堆肥は、優れ
た除草効果を有したものとなるが、さらに、植物栽培圃
場にて育成される農産物の成長を促進させる、つまり、
植物栽培圃場に有為に適用させるために、pH、EC濃
度、C/N比が上記した数値範囲となるように製造され
る。これら数値範囲とするためには、被発酵材料の構成
材料などに応じて、適宜、二次発酵工程の発酵期間を調
整すればよい。それぞれに設けられる数値範囲の説明を
以下に記す。
【0013】pHは、発酵の進行状態を示す指標とな
り、発酵状態の進行に伴い、pHは低下する関係にあ
る。pHが9.5より大きい場合は、発酵不十分であ
り、アンモニア濃度が高いものとなる。つまり、アンモ
ニアイオンなど、未分解のイオンが多く存在しているこ
とになる。このような状態で、土壌に施用すると、塩障
害など、育成すべき農産物の成長が抑制される結果とな
る。一方、pHが6.0未満となると、硝酸系の亜硝酸
などが発生して酸性度が強いものとなる。このような状
態で、土壌に使用すると農産物の発育不良や土壌不良に
繋がる結果となる。よって、pHは、6.0以上9.5
以下とすることが望ましい。
【0014】次に、電気伝導度を示すEC濃度である
が、4dSm−1/cmより大きい場合は、発酵不十分
であり、アンモニウムイオンなど、未分解のイオンが多
く存在していることになる。この状態で土壌に施用する
と、塩障害など、農産物の育成を悪化させる不具合が生
じる。一方、EC濃度が0.5dSm−1/cm未満と
なると、無機質化が過度に進んで、窒素成分等、土壌に
有効な成分の絶対量が減少してしまう。よって、EC濃
度は、0.5dSm−1/cm以上4dSm−1/cm
以下とすることが望ましい。
【0015】次に、C/N比であるが、30より大きく
なると、発酵不十分であり、窒素成分が少ないために、
土壌に施用した場合、窒素飢餓が発生しやすくなる。一
方、C/N比が10未満となると、無機質化が過度に進
んで、窒素成分、炭素成分など、土壌に有効な成分の絶
対量が減少してしまう。よって、C/N比は10以上3
0以下とすることが望ましい。
【0016】上記のように、刈草堆肥におけるpH値、
EC濃度値およびC/N比を適正化することにより、製
造される刈草堆肥を、優れた除草効果を有した状態で、
植物栽培圃場における農産物の育成を促進させるものと
することができる。つまり、本発明の製造方法を用いれ
ば、一般廃棄物とされる刈草の有効利用に適した形で、
植物栽培圃場における雑草の成長抑制に適した刈草堆肥
を製造することが可能となる。また、刈草堆肥自体を、
除草剤として見なすことができるので、本発明の製造方
法にて製造される刈草堆肥は、有機栽培にも有為に適用
可能となる。なお、本明細書における植物栽培圃場と
は、一般的な田畑を含む、農産物育成のための圃場を指
すものであり、植物とは穀物も含めた公知の農産物を指
すものである。
【0017】
【0018】上記のように、本発明における一次発酵工
程は、発酵熟成させる二次発酵工程に繋がる形で、刈草
を含む被発酵材料を、バチルス属微生物を主体とした発
酵微生物による生物分解にて堆肥化させる工程である。
そこで、この一次発酵工程であるが、特には、食品不要
物および木材不要物の少なくともいずれかを用いる形で
行うのが望ましい。例えば、被発酵材料を刈草のみで構
成させた場合でも、勿論、得られる刈草堆肥は、上述の
通りの効果を有したものとなるが、得られる刈草堆肥に
おける窒素成分の絶対量を有為に確保する意味で、窒素
源を十分に確保した状態で一次発酵工程を行うのが望ま
しい。食品不要物および木材不要物、特には、食品不要
物は刈草に比べて窒素源を多く含有したものである。そ
こで、これら食品不要物および木材不要物の少なくとも
いずれかを用いて一次発酵工程を行うことで、最終的に
得られる刈草堆肥における窒素成分を十分に確保するこ
とが可能となり、刈草堆肥における植物栽培圃場への施
用性をより高めたものとすることができる。なお、刈草
に加えて、食品不要物および木材不要物の少なくともい
ずれかを含有したものを被発酵材料としてもよいし、食
品不要物および木材不要物の少なくともいずれかを堆肥
化させたものを、戻し堆肥として、被発酵材料に属さな
い形で被発酵材料に加えて一次発酵工程を行う形態とし
てもよい。また、木材不要物を用いた場合、刈草堆肥を
木材に由来するリグニンなどの分解生成物であるポリフ
ェノールの含有量が高いものとすることができる。その
結果、刈草堆肥を塩基置換量(CEC濃度)の高いもの
とすることができ、ひいては抗菌作用を高めることが可
能となる。この木材不要物を用いた場合の利点を加味す
ると、特には、一次発酵工程を、食品不要物および木材
不要物を用いて行うことで、刈草堆肥における植物栽培
圃場への施用性をさらに高めることができる。
【0019】上記した食品不要物とは、具体的に、残
飯、料理残渣、獣骨、食肉残渣、もみがら、野菜屑、魚
骨、魚のあら、おから、菓子屑、馬鈴薯屑、ビールかす
等の動植物性を問わない、公知の食品に付随する有機廃
棄物を指すものである。その意味で、食品不要物として
は、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどか
ら廃棄される食品も含まれる。そこで、このような食品
不要物としては、例えば、包装用のビニールなどの発酵
を抑制する成分が付随していなければ、特に限定される
ものではなく、種々の動植物性の食品不要物が本発明に
適用可能である。つまり、食品不要物としては、特に、
食品由来の動植物性残渣であれば、本発明に好適に用い
ることができる。そして、このような食品由来の動植物
性残渣とされる食品不要物を用いることにより、一次発
酵工程および二次発酵工程における発酵を効果的に促進
させることが可能となる。
【0020】上記した木材不要物とは、製材所や林業作
業などにて廃棄される有機廃棄物に該当する公知の木材
を指すものである。そこで、木材不要物として用いる木
材としては、特に限定されないが、望ましくは、木材不
要物は、竹、笹、木材チップ、バークおよび樹木剪定屑
の一種以上とするのがよい。これら、竹、笹、木材チッ
プ、バークおよび樹木剪定屑は、発酵されやすい適度な
大きさや、厚さになっていることから、望ましいものと
言える。さらに言えば、木材不要物は、より細断しやす
い、木材チップ、バークおよび樹木剪定屑の一種以上と
するのが好適であると言える。また、特には、発酵分解
されてポリフェノールとなる、リグニンやタンニン等の
含有量の多い針葉樹に由来する木材チップ、バーク、樹
木剪定屑などが好適である。
【0021】上述のように、本発明のそれぞれ一次発酵
工程および二次発酵工程にて、主体的に発酵を促進させ
る発酵微生物は、バチルス属に属する1種以上の微生物
とされる。該バチルス属に属する微生物としては、発酵
分解力の点などから、特に、バチルス・ズブチルス、バ
チルス・チューリンゲンシス、バチルス・アシドカルダ
リウスのうち1種以上を用いることが本発明には好適で
ある。この中においても、バチルス・ズブチルスは、特
に、発酵を促進させる発酵分解力の高いものとされる。
そこで、発酵微生物としては、バチルス・ズブチルスの
1種もしくは、少なくともバチルス・ズブチルスを含む
バチルス属に属する2種以上のものを主体として用いる
ことが特に望ましい。このように、発酵微生物として、
バチルス属に属するバチルス・ズブチルスを主体として
用いることにより、刈草堆肥を製造する際の製造効率を
より高めることが可能となるとともに、発酵微生物によ
る代謝産物も増えることから、得られる刈草堆肥の除草
効果をより高めることが可能となる。また、発酵微生物
として、バチルス・ズブチルスおよびバチルス・チュー
リンゲンシスの2種を主体として用いた場合、バチルス
・チューリンゲンシスは、害虫忌避効果をもつことが一
般的に知られており、得られる刈草堆肥の植物栽培圃場
に対する施用性をもより高めることが可能となる。
【0022】次に、バチルス属に属する微生物を主体と
する発酵微生物としては、活性汚泥に由来するものが特
によい。活性汚泥とは、下水、し尿などを曝気により発
酵処理したものである。このような、活性汚泥に由来す
るバチルス属に属する微生物は、特に発酵分解力に優れ
たものとされるとともに、病原菌に対しても強い拮抗力
を有するものとされる。そこで、発酵微生物として、活
性汚泥に由来するバチルス属に属する微生物を主体とし
て用いることが望ましい。このような活性汚泥に由来す
るバチルス属に属する微生物を用いることで、刈草堆肥
を製造する際の製造効率をより高めることが可能となる
とともに、発酵微生物による代謝産物も増えることか
ら、得られる刈草堆肥の除草効果をより高めることが可
能となる。また、病原菌に対する強い拮抗力をもつこと
から、刈草堆肥の植物栽培圃場に対する施用性をもより
高めることが可能となる。
【0023】ここまでに述べてきた発酵微生物の刈草堆
肥における微生物濃度は、10個/g以上となるよう
に、刈草堆肥を製造する際の二次発酵工程における発酵
期間などを調整することが望ましい。該微生物濃度が1
個/g未満となると、刈草堆肥を植物栽培圃場に施
用した際、土壌に定着微生物として定着する個数を十分
に確保できず、植物栽培圃場に施用した後の除草効果の
持続力を効果的に高められない場合が想定される。また
同様にして、病原菌に対する拮抗力も十分に働かない場
合が想定される。ここで、微生物濃度の上限値は、特に
限定されないが、通常、微生物の数が多くなりすぎる
と、微生物同士が拮抗しあうために許容される微生物濃
度の上限値が存在する。バチルス属に属する微生物のよ
うな芽胞形成菌においては、一般的に、その上限値は、
1011個/gとされる。そこで、刈草堆肥における発
酵微生物濃度は、10個/g以上1011個/g以下
となるように調整されることが望ましい。さらに、有害
とされる病原菌の発生が多くなる春から夏にかけては、
発酵微生物濃度を10個/g以上1011個/g以下
の範囲においてもより多くなるように調整することが望
ましいと言える。また、植物栽培圃場に施用後も、より
効果的に除草効果の維持力を高める観点から、発酵微生
物濃度を10個/g以上1011個/g以下の範囲に
おいても、特には、10個/g以上に調整するのが望
ましく、さらに言えば、この発酵微生物濃度内における
胞子化菌数が10個/g以上とするのがよい。
【0024】次に、本発明の製造方法における被発酵材
料の全容量に対する刈草の容量比は、30%以上となる
ように調整されてなることを特徴とする。被発酵材料の
全容量に対する刈草の容量比が30%未満となると、刈
草堆肥における除草効果が十分に機能しない場合があ
る。よって、被発酵材料の全容量に対する刈草の容量比
は、30%以上となるように調整することが望ましい。
また、被発酵材料の全容量に対する刈草の容量比の上限
値は、特に限定されず、例えば、被発酵材料を刈草のみ
で構成させれば、上限値は100%となるといった具合
である。
【0025】本発明の刈草堆肥は、最終的に、二次発酵
工程において発酵熟成させることにより製造される。そ
こで、二次発酵工程における発酵期間は、一次発酵工程
における発酵期間などを加味した形で、刈草堆肥を、上
記したpH等の所定のパラメータの数値範囲内に適正化
させるように、適宜調整される。このように、二次発酵
工程の発酵期間を最終的な発酵調整期間とすればよく、
一次発酵工程、二次発酵工程におけるそれぞれの発酵期
間や発酵方法は、特に限定されるものではない。しかし
ながら、特には、発酵方法としては、一次発酵工程およ
び二次発酵工程の少なくともいずれかを、より望ましく
は両工程ともに、好気性発酵にて行うことで、それぞれ
の発酵工程を効率よく行うことができる。そこで、ま
ず、好気性発酵にて一次発酵工程を行った場合の具体的
な発酵期間であるが、一日以上行えば十分であり、その
間、必要に応じて通風または切り返しを行う。一日未満
であると、発酵未精製となる場合があり、二次発酵工程
における発酵熟成が効果的に進行しない不具合に繋が
る。また、この際の発酵期間の上限値は限定されない
が、10日としておけば、一次発酵工程の目的は十分に
果たされる。このように好気性発酵にて一次発酵工程を
行った場合の発酵期間は、特に一日以上とすることが望
ましい。そして、この好気性発酵にて一次発酵を行った
場合の発酵期間に応じる形で、好気性発酵にて二次発酵
工程を行った場合の発酵期間は、10日以上とするのが
望ましい。二次発酵工程は、一次発酵工程にて得られる
堆肥を、熟成させるための場所に堆積させるとともに加
水して、その発酵工程が行われる。そこで、この二次発
酵工程の発酵期間が、10日未満であると、十分に発酵
熟成されず、刈草堆肥を上記したpH等の所定のパラメ
ータの数値範囲内に適正化させることができない場合が
ある。一方、上限値としては、勿論、長いほど発酵熟成
を進行させることができるが、過度に長期化すると、堆
肥の無機質化が過度に進み、上記したpH等の所定のパ
ラメータの数値範囲外に逸脱する場合が想定されるの
で、例えば、作業効率も考慮して、120日を上限値と
しておけば問題ない。このように好気性発酵にて二次発
酵工程も行う場合の発酵期間は、特に10日以上120
日以下とすることが望ましい。また、このように、一次
発酵工程および二次発酵工程ともに、好気性発酵にて行
うことで、効率よく発酵工程を行うことが可能となり、
ひいては、刈草堆肥の製造効率をより高めることが可能
となる。
【0026】なお、一次発酵工程においては、まず、通
常用いられている堆肥化装置において通気・攪拌させな
がら発酵させたものを、堆積させるもしくは別の堆肥化
装置にて、必要に応じて通風又は切り返しを行い発酵さ
せるという2段階にて行ってもよい。この場合は、2段
階を含めた期間を一次発酵工程の発酵期間とする。ま
た、2次発酵工程も同様で、堆肥化装置にて攪拌させな
がら発酵させたものを、堆積させるとともに、必要に応
じて切り返しを行うという2段階にておこなってもよ
い。この場合も、2段階を含めた期間を二次発酵工程の
発酵期間とする。
【0027】ここまでに本発明の刈草堆肥の製造方法に
おける、刈草堆肥を優れた除草効果を有した形で、植物
栽培圃場における農産物の育成にも有為なものとするた
めの構成要件を述べてきた。このように本発明の製造方
法にて製造された刈草堆肥は、一般廃棄物とされる刈草
の有効利用に適した形で、植物栽培圃場における雑草の
成長抑制に適したものとなる。
【0028】そこで、本発明の製造方法にて製造される
刈草堆肥を土壌に施用することで、植物栽培圃場におけ
る雑草の成長を効果的に抑制させることが可能となると
ともに、育成すべき農産物の成長を阻害することなく、
該農産物の育成を促進させることが可能となる。
【0029】また、本発明の製造方法にて製造される刈
草堆肥そのものを、土壌に施用する堆肥として扱うこと
もできるが、この刈草堆肥に、公知とされる、木材不要
物を堆肥化させた木材堆肥および食品不要物を堆肥化さ
せた一般堆肥の少なくともいずれかを混在させたもの
を、刈草混合堆肥として施用することも可能である。こ
のように刈草混合堆肥とした場合、刈草に比べて窒素分
が豊富な木材不要物や食品不要物に由来する、木材堆肥
や一般堆肥を混在させているので、特に窒素分が要求さ
れる土壌に有為に適用させることが可能となる。
【0030】上記した刈草堆肥および刈草混合堆肥は、
基本的に、本発明の製造方法にて製造された刈草堆肥そ
のものを用いたものであるが、刈草堆肥から抽出した抽
出液を土壌に施用しても、同様にして、植物栽培圃場に
おける雑草の成長を効果的に抑制させることが可能とな
るとともに、育成すべき農産物の成長を阻害することな
く、該農産物の育成を促進させることが可能となる。つ
まり、本発明の製造方法にて製造される刈草堆肥および
刈草堆肥に対して加水させたものの少なくとも一方から
抽出した刈草堆肥抽出液もまた、除草効果を有したもの
として、効果的に土壌に施用させることができる。ま
た、刈草堆肥抽出液そのものを、土壌に散布する、もし
くは、潅水として土壌に施用するなどの施用形態でもよ
いが、刈草堆肥抽出液を希釈したものを施用する施用形
態でも勿論構わない。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を製造方法に
促して以下に示すが、以下に示す製造方法や実施例は、
一例であって、それらに限定されるものではない。図1
に本発明の刈草堆肥の製造方法の製造過程の概略構成図
を示す。まず、刈草を含む被発酵材料を用意する。ここ
で、用いる刈草は、河川や道路の法面などにて繁茂した
雑草を刈り倒した後、集草しやすいように乾燥放置し、
集草して搬出させたものとされる。そして、搬出した刈
草を細断し、混ぜ合わせることにより被発酵材料とす
る。また、刈草に加えて、例えば、食品不要物、木材不
要物や畜糞といった有機廃棄物を被発酵材料とする場合
は、該有機廃棄物を刈草とともに混ぜ合わせることによ
り被発酵材料とする。このような被発酵材料を堆積させ
る又は通常用いられている堆肥化装置に投入し水分を加
えるとともに、必要に応じて通風又は切り返しを行いな
がら堆肥化させる一次発酵を行う。これが一次発酵工程
にあたる。また、大量に被発酵材料を一次発酵させる必
要がある場合、刈草を含む被発酵材料を混合機にて混ぜ
合わせる必要がある。その場合は、刈草を含む被発酵材
料の構成原料を、通常用いられている堆肥化装置に投入
するとともに、通気・攪拌させながら発酵させるように
してもよい。このように、堆肥化装置のみを用いたもの
を一次発酵工程としてもよいし、堆肥化装置における発
酵を1段階とし、その後、取り出したものを堆積させる
又は別の堆肥化装置にて発酵させるという2段階を一次
発酵工程としてもよい。また、一次発酵工程において
は、発酵を障害なく進行させるために、逐一加水しなが
ら水分の調整がなされる。この水分調整の目安は、被発
酵材料の容量に対して水分容量が30〜70%の範囲内
となるように行うのがよい。
【0032】また、上記した被発酵材料となる刈草とし
ては、特に、一度、水分含有率を70%以下となるよう
に乾燥させたものを用いるのが望ましい。このように水
分含有率を一度、70%以下となるように乾燥させるこ
とで、通気性に富んだ刈草とすることができ、ひいて
は、発酵微生物による生物分解をより促進させることが
できる。また、より望ましくは、一度、水分含有率を4
5%以下となるように乾燥させたものがよい。ここで、
乾燥させる際の水分含有率の下限値としては特に限定さ
れないが、乾燥期間を含めた乾燥にかかわる作業効率な
どを考慮して、例えば10%を下限値とすればよい。ま
た、一度、水分含有率を70%以下となるように乾燥さ
せる作業は、河川や道路の法面などにて繁茂した雑草を
刈り倒した後に、集草しやすいように乾燥させる際に行
ってもよいし、集草し搬出した後に、再度、乾燥させる
ことで行ってもよい。また、コスト高とはなるが、乾燥
期間の短縮化の観点より、自然乾燥ではなく、人工的に
乾燥させてもよい。なお、ここで、被発酵材料となる刈
草は、一度、水分含有率を70%以下となるように少な
くとも乾燥させたものであればよく、例えば、降雨によ
って、再度、水分含有率が70%を超えたものでもよ
い。勿論、よりよくは、被発酵材料として用いる段階に
おいて、水分含有率が70%以下とされる刈草が好適で
あると言える。
【0033】また、一次発酵工程における堆肥化の過程
においては、堆積させた被発酵材料を含む堆肥化材料、
または堆肥化装置中における被発酵材料を含む堆肥化材
料の中心部が60℃以上に達するように、発酵工程を行
うのが望ましい。ここで言う中心部について、図2の模
式図を例示的に用いて説明する。図2(a)は、被発酵
材料を含む堆肥化材料5を、例えば、地表面がコンクリ
ートにて被覆された支持体20の表面上に、略台形台と
なるように堆積させた場合の要部概略断面図である。他
方、図2(b)は、被発酵材料を含む堆肥化材料5を堆
肥化装置10中に投入した場合の要部概略断面図であ
る。図2(a)に示すように堆肥化材料5を堆積させた
場合、その中心部Sは、略台形とされる断面の図示する
個所に該当し、図2(b)に示すように堆肥化材料5を
堆肥化装置10中に投入した場合、その中心部Sは、略
長方形とされる断面の図示する個所に該当する。そこ
で、一次発酵工程における堆肥化の過程において、堆肥
化材料の中心部が、特に60℃以上となるようにするこ
とで、被発酵材料の構成原料である刈草などに雑草種子
が付着している場合でも、その雑草種子の発芽を効果的
に停止させることが可能となり、また、被発酵材料に動
植物病原菌が混入していたとしても、効果的に殺菌する
ことが可能となる。その結果、一次発酵工程において生
成される堆肥を、より植物栽培に適したものとでき、ひ
いては、最終的に製造される刈草堆肥を、より植物栽培
圃場の施用に適したものとできる。ここで、堆肥化材料
の中心部を60℃以上とする方法としては、別段、人工
的に加熱することを必須としない。例えば、微生物にて
被発酵材料を発酵させる際に、被発酵材料が発する自己
発酵熱により90℃以上となる場合もあるからである。
勿論、被発酵材料の構成材料や、天候による環境温度な
ど、一次発酵工程における堆肥化の条件に応じて、適
宜、自己発酵熱に加えて、人工的に加熱させることで、
堆肥化材料の中心部を60℃以上としてもよい。また、
堆肥化材料の中心部における、温度の上限値としては、
特に限定されないが、過度に高温にしなくとも、雑草種
子の発芽を停止するなどの効果自体は十分得ることがで
きるので、例えば、90℃を上限値としておけば十分で
ある。なお、「課題を解決するための手段および作用・
効果」の段にて前述したように、一次発酵工程における
被発酵材料の堆肥化は、バチルス属微生物を主体として
用いて行うので、該バチルス属微生物にて刈草を発酵す
る際に生成される代謝産物が、雑草種子の発芽を効果的
に停止することも期待できる。そのため、雑草種子を単
に湿熱加熱してその発芽を停止させるための加熱温度に
比べて、堆肥化材料の中心温度を低く設定しても、雑草
種子の発芽を効果的に停止することが可能であると言え
る。
【0034】また、さらに、一次発酵工程においては、
堆肥化材料の中心部が60℃以上になった後、堆肥化材
料を切り返し、再度、中心部を60℃以上にする作業を
繰り返し行うことで、雑草種子の発芽停止や動植物病原
菌に対する殺菌を、より効果的にすることも可能であ
る。
【0035】また、一次発酵工程にて発酵精製される堆
肥の原料となる堆肥化材料については、刈草を含む被発
酵材料のみとして、バチルス属微生物を加えて一次発酵
工程を行う形態としてもよいし、堆肥化材料を、刈草を
含む被発酵材料のみとするとともに、バチルス属微生物
を有する有機廃棄物を被発酵材料の1構成材料として一
次発酵工程を行う形態としてもよい。さらには、堆肥化
材料を、刈草を含む被発酵材料と、別途、バチルス属微
生物を有する活性汚泥などとからなるものとする、また
は、刈草を含む被発酵材料と、木材不要物を堆肥化させ
た木材堆肥や食品不要物を堆肥化させた一般堆肥とから
なるものしてもよい。つまり、少なくとも、刈草を含む
被発酵材料を堆肥化材料が有した形で、該被発酵材料を
バチルス属微生物を主体的に用いて堆肥化させること
が、一次発酵工程の第一の主旨である。
【0036】次に、一次発酵工程による堆肥化にて発酵
精製された堆肥を、その後、発酵熟成させるための堆積
場所に堆積させて加水するとともに、必要に応じて切り
返しを行いながら発酵熟成させる二次発酵を行う。これ
が二次発酵工程にあたる。この二次発酵工程において
も、一次発酵工程と同様に、発酵熟成を障害なく進行さ
せるために、逐一加水しながら水分の調整がなされる。
また、この水分調整の目安は、堆肥における水分率が、
重量%にて40〜65%の範囲内となるように行うのが
よい。そして、この二次発酵工程にて、一次発酵工程で
得られた堆肥をさらに発酵熟成させることにより、刈草
堆肥を得る。そこで、二次発酵工程における発酵期間
は、発酵熟成される刈草堆肥が、優れた除草効果を有し
た形で、植物栽培圃場にて農産物の育成を阻害すること
なく、該農産物の育成を促進させるものとなるように、
適宜調整される。また、この二次発酵工程における発酵
期間にも係わる、刈草堆肥の品質を管理するためのパラ
メータとして、pH、EC濃度、C/N比を挙げること
ができる。これらの値を測定して、所定の許容範囲内で
あれば、その時点で二次発酵工程を終了させればよい。
また、これらの値はある程度、互いに相関をもつもので
あるから、例えば、そのうちの1つを測定し、許容範囲
内であれば、その時点で二次発酵工程を終了させる方法
でもよい。このようにして、二次発酵工程にて発酵熟成
される刈草堆肥を、優れた除草効果を有した形で、植物
栽培圃場に有為に適用できるものとできる。
【0037】上述した、それぞれ一次発酵工程および二
次発酵工程における発酵方法は、特に限定されないが、
望ましくは、好気性発酵にて、一次発酵工程および二次
発酵工程の少なくともいずれかを、より望ましくは両工
程を行うのがよい。好気性発酵とすることで、嫌気性発
酵に比べて発酵工程の作業効率を高めることができる。
また、それぞれ一次発酵工程および二次発酵工程の発酵
期間も、特に限定されないが、例えば、両工程とも好気
性発酵とした場合、一次発酵工程は一日以上行えば十分
であり、例えば10日を上限値としておけばよい。そし
て、この一次発酵工程の発酵期間に応じる形で、二次発
酵工程を10日以上行えば、問題なく発酵熟成させるこ
とができるとともに、得られる刈草堆肥における上記し
たそれぞれpH、EC濃度およびC/N比を所定の数値
範囲内に収めることができる。ただし、二次発酵工程の
発酵期間を過度に長期化すると、得られる刈草堆肥の無
機質化が過度に進み、所望の刈草堆肥とすることができ
ない場合が想定されるので、作業効率も加味して、例え
ば、120日を二次発酵工程の発酵期間の上限値とする
のが望ましい。
【0038】上記した一次発酵工程および二次発酵工程
を経て製造される刈草堆肥は、優れた除草効果を有した
ものとなるとともに、植物栽培圃場における農産物の育
成を阻害することなく、該農産物の育成を促進させるも
のとなる。そこで、このような工程にて製造される刈草
堆肥を、土壌に施用することで、植物栽培圃場における
雑草の成長を効果的に抑制ないし防止することが可能と
なるとともに、育成すべき農産物の成長を阻害すること
なく、該農産物の育成を効果的に促進させることが可能
となる。また、刈草堆肥そのものを、土壌に施用する堆
肥として扱うこともできるが、この刈草堆肥に、公知と
される、木材不要物を堆肥化させた木材堆肥や食品不要
物を堆肥化させた一般堆肥を混在させたものを、刈草混
合堆肥として施用することも可能である。また、刈草堆
肥自体ではなく、刈草堆肥および刈草堆肥に対して加水
させたものの少なくとも一方から得られる抽出液を、刈
草堆肥抽出液として土壌に施用しても、刈草堆肥や刈草
混合堆肥と同様の効果を得ることが可能である。この刈
草堆肥抽出液の施用方法としては、刈草堆肥抽出液その
ものを、土壌に散布する、もしくは、潅水として土壌に
施用するなどの施用形態でもよいが、刈草堆肥抽出液を
希釈したものを施用する施用形態でも勿論構わない。ま
た、刈草堆肥抽出液を得る方法としては、刈草堆肥およ
び刈草堆肥に対して加水したものの少なくとも一方を搾
取機にて搾取することにより得る方法や、刈草堆肥およ
び刈草堆肥に対し加水したものの少なくとも一方をろ過
することにより得る方法などを用いればよい。
【0039】以下、本発明の効果を確認するために行っ
た実施例を示す。
【0040】(実施例1) 上記した製造方法に従って
刈草堆肥の製造を行った。まず、河川堤防に繁茂する雑
草を刈り倒し、それらの水分含有率が30%となるまで
天日乾燥(自然乾燥)し、その後、集草し搬出したもの
を、被発酵材料となる刈草とした。ここで、水分含有率
が30%となるとは、刈り倒した雑草全てに対して測定
した訳ではなく、約100本を代表させて測定した結果
である。また、ここでは、降雨の影響は発生せず、被発
酵材料としての刈草は、搬出する過程における乾燥を考
慮すると、その水分含有率は30%未満となっている。
また、ここで用いる刈草は、6月に繁茂している雑草に
由来するもので、種別としては、チガヤ、ネズミムギ、
スズメノチャビキ、ナギナタガヤ、コウゾリナ、ブタ
ナ、ヤハズエンドウ、ノアザミ、ハルジオン、セイヨウ
タンポポ、スギナなどである。そして、実施例1では、
刈草に加えて、食品工場および食品流通施設より排出さ
れる食品不要物を被発酵材料の構成材料とした。ここ
で、被発酵材料における刈草の容量比を80%とし、食
品不要物の容量比を20%とした。このような被発酵材
料に対して、製材施設より排出される木材チップを堆肥
化させた公知の木材堆肥を、戻し堆肥として加えるとと
もに、被発酵材料を生物分解にて堆肥化させる発酵微生
物を活性汚泥に由来するものとして、活性汚泥を加え
た。ここで、被発酵材料に対する容量比で、木材堆肥は
10%とし、活性汚泥は5%とした。このような構成条
件とされる堆肥化材料に、水分を被発酵材料に対する容
量比で60%となるように加水するとともに、図2
(a)の模式図に示すように堆積させた。そして、通風
および切り返しを行い発酵させた。このような一次発酵
工程における発酵期間を1日とした。この一次発酵工程
では、堆積させた堆肥化材料の中心部の温度を温度計に
て測定して60℃と判定した段階で、その都度切り返し
を行った。
【0041】上記のように一次発酵工程を行い、次に、
一次発酵工程にて得られた堆肥を、別の場所に堆積さ
せ、水分を加水するとともに、切り返しを行って発酵熟
成させた。ここで、二次発酵工程における発酵熟成の発
酵期間と、該発酵期間での刈草堆肥の発酵状況の関係
を、刈草堆肥の各々pH、EC濃度(dSm−1/c
m)、C/N比の値を測定することにより調べた。pH
は、pH計にて、EC濃度は、EC濃度計にて、C/N
比は、肥料分析法にて測定を行った。これら測定を、そ
れぞれの発酵熟成の発酵期間における刈草堆肥に対して
行うとともに、該刈草堆肥を植物栽培圃場の土壌に施用
し、除草効果および農産物の生育状況の観察を行った。
これら結果を表1に示す。なお、刈草堆肥を植物栽培圃
場の土壌に施用する際の条件は、土壌に対して600g
/m施用し、耕運した後、2週間経た段階で農産物の
種を播種するものとした。また、播種した種類としは、
人参と大根とされる。
【0042】
【表1】
【0043】表1における、除草効果の評価基準として
は、目視にて雑草の発生が確認されなかったものを◎と
し、目視にて1mあたり1本以上30本以下の雑草が
確認されたものを○とし、目視にて1mあたり30本
を超えた雑草が確認されたものを×とするものである。
この判定基準における○は、通常であれば、雑草の発生
として問題とされない範囲である。また、農産物の生育
状況に対する評価基準としては、播種後3週間経過した
後、目視にて生育が特に良好のものを◎として、目視に
て生育が良好なものを○として、目視にて生育が不良と
なったものを×とした。例えば、人参で言えば、図4に
示す上側の人参は、特に良好な◎のものであり、下側の
人参は、一般的な大きさであり良好な○のものである。
また、生育が不良な×のものは、図4の下側の人参より
も根の長さや太さが小さい(例えば半分程度)ものを指
す。そこで、表1の結果であるが、二次発酵工程の発酵
期間が、10日以上の刈草堆肥は、pHが6.0以上
9.5以下、かつ、EC濃度が0.5dSm−1/cm
以上4dSm−1/cm以下、かつC/N比が10以上
30以下の範囲内に収まるものとなった。このように、
本発明にて定めた所定のパラメータの数値範囲内に収ま
るように、二次発酵工程の発酵期間を調整することで、
得られる刈草堆肥は、雑草の発生を効果的に抑制すると
ともに、農産物の生育を効果的に促進させるものとなっ
た。しかしながら、発酵期間が0日のものは、pH、E
C濃度およびC/N比が、5日のものは、pHが、本発
明で定めた数値範囲を逸脱したものとなり、結果とし
て、雑草の発生は抑制するものの、農産物の育成は不良
なものとなった。なお、図4に示す人参は、本実施例の
刈草堆肥を施用して得られたもの(播種後3週間)であ
る。また、除草効果が○および◎のものは、播種後、6
週間、さらには、一般的な収穫期の上限値とされる4ヶ
月程度経ても同様の効果を維持するものであった。な
お、本実施例における刈草堆肥を施用した土壌におい
て、該刈草堆肥も含めて堆肥を施用せずに耕運のみとし
た土壌領域には、目視にて1mあたり200本程度の
雑草が発生するものとなった。
【0044】また、表1から分かるように、二次発酵工
程における発酵期間が、20日以上120日以下の刈草
堆肥が、特に、優れた除草効果を有し且つ農産物の生育
を効果的に促進させるものとなる。つまり、特には、刈
草堆肥を、pHが6.0以上8.5以下、かつ、EC濃
度が0.5dSm−1/cm以上2.3dSm−1/c
m以下、かつ、C/N比が10以上20以下となるよう
に調整するのが望ましい。
【0045】また、二次発酵工程の発酵期間を150日
とした刈草堆肥のpHを測定したところ、そのpH値
は、120日のものと同じ6.0であった。このこと
は、発酵期間が120日を越えると、刈草堆肥の無機質
化が進んでいくことを示しており、窒素成分やポリフェ
ノール等の農産物の育成に有効となる成分が減少してい
くことを意味する。そこで、EC濃度を測定したとこ
ろ、EC濃度の値が、0.3となっており、確かに無機
質化が進んでいることを確認した。この結果からも、二
次発酵工程にて得られる刈草堆肥を、pHが6.0以上
9.5以下、かつ、EC濃度が0.5dSm−1/cm
以上4dSm−1/cm以下、かつC/N比が10以上
30以下の範囲内に収まるようにすれば、除草効果に優
れた状態で、農産物の育成をも促進させる堆肥となるこ
とが分かる。また、一次発酵工程および二次発酵工程と
もに好気性発酵にて行ったが、一次発酵工程の発酵期間
を1日以上としておけば、二次発酵工程における発酵熟
成は問題なく進行することが確認された。そして、二次
発酵工程の発酵期間としては、10日以上、望ましくは
20日以上としておけば、得られる刈草堆肥を所望のも
のとできることが確認され、その上限値としては少なく
とも120日としておけば問題ないことも確認された。
【0046】さらに、二次発酵工程の発酵期間と、該発
酵期間での刈草堆肥における微生物濃度(個/g)の関
係を調べた。微生物濃度の測定は、SPC(標準寒天培
地)法にて行った。結果は、すべての発酵期間におい
て、微生物濃度は、10個/g以上1011個/gの
範囲に収まっていた。さらに、これら発酵期間別の刈草
堆肥すべてにおける主となる微生物を、分離培養及び顕
微鏡観察を用いて特定した。その結果、すべての刈草堆
肥において、主となる微生物は、バチルス・ズブチルス
及びバチルス・チューリンゲンシスであった。また、該
バチルス・チューリンゲンシスは、バチルス・ズブチル
スと同様に、プロテアーゼ活性が強いものであることが
確認され、発酵分解力に優れたものであることが分かっ
た。また、堆肥化材料として用いた活性汚泥における主
となる微生物もまた、バチルス・ズブチルス及びバチル
ス・チューリンゲンシスであることを確認した。
【0047】(実施例2) 用いる刈草の条件は実施例
1と同様にして、被発酵材料を刈草のみから構成し、該
被発酵材料に対する容量比で10%となるように実施例
1と同様の活性汚泥を加えたものを堆肥化材料とすると
ともに、実施例1と同条件にて一次発酵工程を行った。
そして、一次発酵工程にて得られた堆肥を、好気性発酵
にて発酵熟成させる二次発酵工程を行った。二次発酵工
程における発酵期間は20日とした。このようにして得
られた刈草堆肥のpH値、EC濃度値、C/N比を測定
したところ、pH値が9.4、EC濃度が2.9dSm
−1/cm、C/N比が25となった。この結果は、表
1の発酵期間10日のものと略同値であり、表1の発酵
期間20日のものより発酵熟成の進行が遅いことを示し
ているが、実施例1のように被発酵材料の構成材料とし
ての食品不要物や、堆肥化材料としての木材堆肥を用い
なかったためと示唆される。この実施例2の刈草堆肥
を、実施例1と同条件にて植物栽培圃場の土壌に施用し
た。その結果は、上記判定基準に基づき、除草効果◎、
農産物の生育状況は○となるものであった。つまり、除
草効果、農産物の生育状況ともに良好な結果となった。
ここで、農産物の生育状況が◎とならなかったのは、表
1の発酵期間20日のものより発酵熟成が進んでいない
ものである点以外にも、実施例1のように被発酵材料と
しての食品不要物や、堆肥化材料としての木材堆肥を用
いなかったことによる、窒素成分の絶対量の低減化の点
も寄与していると考えられる。この窒素成分の絶対量の
低減化に係わる推察を示唆する結果としては、実施例2
の結果に係わる農産物と、表1における発酵期間が10
日の刈草堆肥を用いた農産物とを比較すると、両者とも
○とされるが、確かに後者の農産物の成育状況がより良
好であることを確認している。なお、実施例2における
除草効果についても、実施例1と同じく、播種後6週間
以上経ても、同様の効果が維持されるものであった。
【0048】(実施例3) 被発酵材料は実施例2と同
条件にして、市販されてなるバチルス・ズブチルスの乾
燥菌体を、被発酵材料を生物分解にて堆肥化させる発酵
微生物として用いた。つまり、実施例3における堆肥化
材料は、被発酵材料のみからなる。そして、この堆肥化
材料を、3日間、一次発酵させた。発酵期間以外は、実
施例2の一次発酵工程と同条件である。このような一次
発酵工程にて得られた堆肥を、好気性発酵にて発酵熟成
させる二次発酵工程を行った。ここでは、二次発酵工程
における発酵期間が60日となった時点で、実施例2の
刈草堆肥と同等のpH値、EC濃度値およびC/N比と
なった。この発酵期間が60日の刈草堆肥を、実施例1
と同条件にて植物栽培圃場の土壌に施用した。その結果
は、上記判定基準に基づき、除草効果が○、農産物の生
育状況は○となるものであった。この実施例3および、
実施例2の結果から、バチルス属に属する微生物におい
ても、特に活性汚泥に由来するものを、被発酵材料を生
物分解にて堆肥化させる発酵微生物として用いること
で、得られる刈草堆肥に対してより優れた除草効果を付
与できるとともに、発酵期間の短縮化が可能であること
が確認された。なお、この実施例3の二次発酵工程での
発酵期間が60日とされる刈草堆肥における除草効果に
ついても、実施例1と同じく、播種後6週間以上経て
も、同様の効果が維持されるものであった。
【0049】(比較例1) 実施例2と同条件の刈草の
みを堆肥化材料とし、さらに、発酵微生物を加えること
なく、自然発酵の形で5日間、一次発酵させた。発酵期
間以外は、実施例2の一次発酵工程と同条件である。こ
のような一次発酵工程にて得られる堆肥を、好気性発酵
にて発酵熟成させる二次発酵工程を行った。ここでは、
二次発酵工程における発酵期間が90日となった時点
で、実施例2の堆肥と同等のpH値、EC濃度およびC
/N比となった。この発酵期間が90日の刈草堆肥を、
実施例1と同条件にて植物栽培圃場の土壌に施用した。
その結果は、上記判定基準に基づき、除草効果が×、農
産物の生育状況は○となるものであった。この結果か
ら、刈草自体の成分のみから自然発酵にて生成される代
謝産物では、得られる刈草堆肥に対して優れた除草効果
を付与できないことが分かる。つまり、本発明に示すよ
うに、刈草を、バチルス属に属する微生物を用いて発酵
させることが重要である。なお、この比較例1にて得ら
れた刈草堆肥の除草効果が×の具体的な数値としては、
目視にて1mあたり約100本の雑草が発生するもの
であった。
【0050】(比較例2) 刈草を用いずに、木材チッ
プおよび実施例1と同様の活性汚泥にて堆肥化材料を構
成させた。容量比で木材チップは70%とし、活性汚泥
は30%とした。この堆肥化材料を、実施例1と同条件
にて一次発酵させた。そして、この一次発酵工程にて得
られた堆肥を、好気性発酵にて発酵熟成させる二次発酵
工程を行った。ここでは、二次発酵工程における発酵期
間が90日となった時点で、得られる木材堆肥が、実施
例2の刈草堆肥と同等のpH値、EC濃度およびC/N
比となった。ここでの発酵期間が90日とされるのは、
木材成分であるリグニンやタンニン等の分解速度が遅い
ことにより、特にC/N比が所望の値にまで低減するの
に発酵期間を要することに起因する。この発酵期間が9
0日の木材堆肥を、実施例1と同条件にて植物栽培圃場
の土壌に施用した。その結果は、上記判定基準に基づ
き、除草効果が×、農産物の生育状況が○となるもので
あった。つまり、木材堆肥においても、本発明に示すよ
うに、pH値、EC濃度およびC/N比を所定の数値範
囲内に収めることで、実施例2の刈草堆肥と同等に、農
産物の生育を促進できるものとなる。ただし、優れた除
草効果は見られず、具体的には、目視にて1mあたり
40本の雑草が発生したものとなった。より詳細には、
ハコベや一年草カヤツリクサ、スベリツユなどに対して
は除草効果が認められず、これら雑草が発生するものと
なった。比較例1にて上述したのと同じく、この比較例
2の内容からも、上記実施例に示すように、優れた除草
効果を有し、かつ、農産物の生育を促進できる堆肥とな
すには、刈草をバチルス属に属する微生物を用いて発酵
させることが重要である。なお、比較例1よりも比較例
2のものが、除草効果について良好であったのは、木材
チップをバチルス属微生物を用いて発酵させることで生
成される代謝産物が特定の雑草種に対しては除草効果を
示すためと考えられる。その意味でも、特には、木材不
要物を用いる形で本発明に係わる一次発酵工程を行うこ
とにより、得られる刈草堆肥の除草効果をも高めること
ができると言える。また、比較例2においては、木材不
要物そのものを用いて一次発酵工程を行ったが、例えば
実施例1のように、戻し堆肥とされる木材堆肥を用いて
一次発酵工程を行えば、発酵期間の短縮化を図ることも
可能である。つまり、食品不要物や木材不要物に由来す
る戻し堆肥は、既に堆肥化がなされているとともに、発
酵微生物による発酵分解を促進させるための窒素源が刈
草よりも多いので、発酵期間の短縮化が可能となる。ま
た、実施例1および実施例2の結果より、食品不要物そ
のものも、発酵期間の短縮化を可能とするものである。
これら内容より、発酵期間の短縮化を図る側面において
は、特に、食品不要物や、食品不要物や木材不要物に由
来する戻し堆肥を用いて一次発酵工程を行うことが好適
であると言える。勿論、比較例2においては、被発酵材
料が木材チップのみで構成されている。そこで、発酵期
間が過度に長期化しない程度に、木材不要物の被発酵材
料における容量比を、例えば10〜20%程度に調整す
るといった具合に適宜調整させて一次発酵工程を行うこ
とで、得られる刈草堆肥における植物栽培圃場への施用
性をより高めた形で、発酵期間の長期化を抑制すること
も可能である。
【0051】(実施例4) 実施例2にて得られた刈草
堆肥に対して60g/lとなるように加水し、攪拌した
後、6時間経過後にろ過することで、刈草堆肥抽出液を
得た。この刈草堆肥抽出液を土壌に施用した。施用条件
は、土壌に対して5l/m施用した以外は、実施例1
と同条件である。その結果は、上記判定基準に基づき、
除草効果が◎、農産物の生育状況が○となるものであっ
た。この結果より、刈草堆肥抽出液が、刈草堆肥同様
に、優れた除草効果を有し、かつ、農産物の生育を促進
させるものであることが確認された。また、この結果
は、上記実施例の刈草堆肥も含め、刈草堆肥抽出液が有
する優れた除草効果が、刈草をバチルス属微生物にて発
酵させる際に代謝される代謝産物に起因することを示唆
していると言える。なお、この実施例4の刈草堆肥抽出
液における除草効果についても、実施例2と同じく、播
種後6週間以上経ても、同様の効果が維持されるもので
あった。
【0052】上記実施例の結果より、本発明に係わる刈
草堆肥および該刈草堆肥から抽出される刈草堆肥抽出液
が、優れた除草効果を有し、かつ、農産物の生育を促進
させるものであることが示された。なお、本発明は、上
記実施形態や実施例に限定されるものではない。例え
ば、本実施例では、春から夏にかけて繁茂する雑草の代
表として6月に繁茂しているものを刈草として用いた
が、夏から秋にかけて繁茂する雑草の代表として10月
に繁茂しているものを刈草として用いた場合も、本実施
例同様に、除草効果および農産物の育成状況ともに良好
な結果であることを確認している。また、育成する農産
物についても、例えば、ほうれん草とした場合も良好な
結果であり、特に限定されるものではない。最後に、ほ
うれん草とした場合の除草効果を表す観察図を図3に示
す。図3における領域Aは、ほうれん草が育成される植
物栽培圃場の図面上の領域であり、そのうちの領域A1
は刈草堆肥を施用した領域に対応し、領域A2は刈草堆
肥を含めた堆肥自体を施用しなかった領域に対応する。
図3に示すように、領域A2においては、ほうれん草以
外にハコベなどの雑草の発生が視認されるが、領域A1
においては、ほうれん草以外の植物は視認されない。こ
のように、本発明に係わる刈草堆肥や刈草堆肥抽出液を
土壌に施用することで、雑草の発生を効果的に抑制でき
るとともに、農産物の育成を促進させることができる。
なお、図3においては、領域A1、A2ともに、雑草の
発生を見やすくする目的で、一部のほうれん草を収穫し
てある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の刈草堆肥の製造方法における製造過程
を示す概略構成図。
【図2】本発明の製造方法に係わる一次発酵工程を説明
するための説明図。
【図3】実施例に係わる実施結果の効果を示すための土
壌観察図。
【図4】実施例に係わる実施結果の効果を示すための農
産物観察図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片野 功之輔 三重県久居市戸木町5012 有限会社三功 内 (56)参考文献 特開 平5−301791(JP,A) 特開 平10−251087(JP,A) 特開 平11−343188(JP,A) 特開2002−316184(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C05B 1/00 - C05G 5/00 A01N 63/00 - 65/02

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 刈草を含む被発酵材料を、食品不要物お
    よび木材不要物を用いる形で、発酵微生物による生物分
    解にて堆肥化させる一次発酵工程と、 該一次発酵工程にて得られる堆肥をさらに発酵熟成させ
    ることで刈草堆肥を得る二次発酵工程とを含み、 前記発酵微生物としては、活性汚泥由来のものである、
    バチルス属に属するバチルス・ズブチルスの1種もしく
    は、少なくともバチルス・ズブチルスを含むバチルス属
    に属する2種以上の微生物を主体として用い、さらに、 前記刈草堆肥は、pHが6.0以上9.5以下、かつE
    C濃度が0.5dSm−1/cm以上4dSm−1/c
    m以下、かつC/N比が10以上30以下となるように
    調整されてなり、前記刈草と、該刈草を発酵させるため
    の前記バチルス属に属する微生物との組み合わせにて除
    草効果が発現されることを特徴とする刈草堆肥の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記発酵微生物としては、バチルス属に
    属するバチルス・ズブチルスおよびバチルス・チューリ
    ンゲンシスを主体として用いることを特徴とする請求項
    1に記載の刈草堆肥の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記刈草堆肥における前記バチルス属に
    属する微生物の微生物濃度は、10個/g以上となる
    ように調整されてなることを特徴とする請求項1または
    2に記載の刈草堆肥の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記被発酵材料の全容量に対する前記刈
    草の容量比は、30%以上となるように調整されてなる
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に
    載の刈草堆肥の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記一次発酵工程および前記二次発酵工
    程の少なくともいずれかは、好気性発酵にて行うことを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の刈
    草堆肥の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記食品不要物は、食品由来の動植物性
    残渣であることを特徴とする請求項1に記載の刈草堆肥
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記木材不要物は、竹、笹、木材チッ
    プ、バークおよび樹木剪定屑の1種以上からなることを
    特徴とする請求項1または6に記載の刈草堆肥の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項に記載
    の刈草堆肥の製造方法にて製造される刈草堆肥であっ
    て、 除草効果を有した堆肥として土壌に施用されるものであ
    ることを特徴とする刈草堆肥。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の刈草堆肥に、木材不要
    物を堆肥化させた木材堆肥および食品不要物を堆肥化さ
    せた一般堆肥の少なくともいずれかを混在させてなるこ
    とを特徴とする刈草混合堆肥。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれか1項に記
    載の刈草堆肥の製造方法にて製造される刈草堆肥および
    該刈草堆肥に対して加水させたものの少なくとも一方か
    ら抽出した刈草堆肥抽出液であって、除草効果を有した
    ものとして土壌に施用されることを特徴とする刈草堆肥
    抽出液。
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