JP3441526B2 - 品質管理における検査システム - Google Patents

品質管理における検査システム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば製造工程におけ
る品質管理のシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、製造工程等における品質管理とし
て、抜取検査が知られている。この抜取検査は、例えば
検査試料10個中3個をサンプルとして抜き取って検査
を実施するものである。この抜取検査は全検査試料に対
して検査を実施するものに比し、作業時間が短縮できる
点で優れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の抜
取検査では、検査試料より一定のサンプル率でサンプル
を抜き取って検査を実施するためのサンプル率を決定す
るための調査時間を必要とし、また、往々にして不良率
が高い検査試料では検査精度が不充分となり、不良率が
低い検査試料では、検査されるサンプル数が多過ぎ、検
査時間がかかりすぎるという問題があった。
【0004】また、上記のものでは、検査試料に複数の
検査項目がある場合、項目毎の不良率の大小に拘らず同
じサンプル率で検査を実施することとなり、ある検査項
目にとっては検査精度が不充分となり、別の検査項目に
とっては検査時間が無用に長くなるという不具合が生じ
た。
【0005】本発明は上記各課題に鑑みてなされたもの
であり、品質管理における検査精度および検査効率を改
善し、品質を落すことなく検査時間を短縮する検査シス
テムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る品質管理に
おける検査システムは、所定数の検査試料の全てに対し
て複数の検査工程の検査が順次、実施可能なよう構成さ
れた検査システムであって、所定数に対する、検査を実
施する試料数の割合であるサンプリング率を複数の検査
工程毎に記憶するサンプリング率記憶手段と、サンプリ
ング率に基づいて、複数の検査工程毎に検査を実施する
か否かを判定する検査実施判定手段と、検査実施判定手
段の判定に応じて検査を実施し、その検査結果を出力す
る検査実施部と、検査結果の合否を判定する合否判定手
段と、合否判定手段による合否に基づいて、複数の検査
工程毎にサンプリング率を変更するサンプリング率変更
手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
【実施例】以下、この発明の品質管理における検査シス
テムの実施例を説明する。本実施例の検査システムにお
いて、1つの検査試料には複数の検査項目があり、例え
ば検査試料がカメラの場合、検査項目には、そのカメラ
の電源のON/OFF動作、シャッタボタンの動作、絞
りの動作チェック等が含まれる。検査は、通常、1つの
検査試料の各項目について行われた後、次の検査試料の
各項目について行われる。各項目について検査が実際に
実施されるか否かは、次に述べるサンプリングテーブル
に基づいて判定される。
【0008】図1は後述するサンプリングテーブル記憶
部15に記憶されるサンプリングテーブルであり、図
中、○印が検査を実施する検査試料を表し、○印の無い
部分は検査を実施しない検査試料を表している。
【0009】試料番号sは、全検査試料を10個単位の
検査群に分割した際に、この検査群中の何番目の検査試
料であるかを示すものである。なお、検査群は仕様に応
じて所定数に適宜定められる。
【0010】グレードGkは検査を実施する割合、すな
わちサンプリング率を示すもので、各項目毎に独立した
値をもつ変数である。例えば、電源のON/OFF動作
チェックの項目のグレードが4、シャッタボタン動作チ
ェックの項目のグレードが5の場合、試料番号sが2の
検査試料では、電源のON/OFF動作チェックの検査
は実施され、シャッタボタン動作チェックの検査は実施
されずに間引かれる。また、試料番号sが4の検査試料
では2つの項目ともに検査が実施される。そしてグレー
ドGkは、後述するように検査が実施される毎に検証さ
れ、更新される。
【0011】図2は本実施例の品質管理における検査シ
ステムの構成を示すブロック図である。本実施例の検査
システムは、実際に検査を実施する検査実施部を備えた
検査装置11と、検査装置11から出力される検査結果
に基づいて検査を実施するか否かを判定し、検査装置1
1を制御する制御部12とにより構成され、制御部12
は、データ判定部13と、検査実施判定部14と、サン
プリングテーブル記憶部15とを有している。検査装置
11と制御部12はケーブル等により接続され、これら
の間において、検査開始信号J、検査許可信号Eおよび
検査データD等が通信される。
【0012】表示部21には検査実施判定部14、デー
タ判定部13より出力される検査結果が表示される。検
査結果には、例えば後述する検査試料総数N、検査項目
および製造番号、また検査項目毎にNGとなった試料の
個数およびそれらの製造番号等が含まれている。
【0013】検査装置11は、検査許可信号Eの制御に
応じて検査を実施し、検査結果である検査データDをデ
ータ判定部13に出力する。また検査装置11は、次に
検査をする検査項目の検査開始信号Jを検査実施判定部
14に出力する。
【0014】検査実施判定部14は、検査開始信号Jが
入力されると、試料番号sをインクリメントして更新
し、この更新した試料番号sとデータ判定部13のメモ
リに記憶されているグレードGkを参照し、これらに基
づいてサンプリングテーブルを参照して検査を実施する
か否かを判定する。そして検査実施判定部14は、検査
の実施を許可する場合は“Y”信号の、許可しない場合
は“N”信号の検査許可信号Eを検査装置11に対して
出力する。
【0015】データ判定部13は、検査装置11より入
力される検査データDの合否、すなわちこの検査項目が
NGかGOODかを判定する。例えば検査項目が絞りの
動作チェックの場合では、検査装置11で検査された絞
り時間の測定値が基準値データに基づいて検証され、合
否が判定される。
【0016】また、データ判定部13は、各項目毎のサ
ンプリング率を示すグレードGkの初期値を内蔵するメ
モリに記憶しており、検査が実施される毎に検査データ
Dの合否に基づいてグレードGkの値を検証し、更新す
る。グレードGkの値が更新されると、データ判定部1
3は、その値を上記メモリに記憶する。なお、グレード
Gkが更新された場合、その新たなグレードGkが適用さ
れるのは、次にその検査項目の検査を実施しようとする
時である。
【0017】図5は、検査装置11で実行される処理を
示すフローチャートである。検査装置11では、新たな
検査試料が所定位置にセットされていることが確認され
ると(ステップ301)、その検査対象の製造番号等が
読み取られ(ステップ302)、検査試料中の検査順位
を示す検査項目番号Qが1にセットされる(ステップ3
03)。次いで検査開始信号Jが検査実施判定部14に
出力される(ステップ304)。この検査開始信号Jに
は、例えば、上記製造番号の他に、検査試料がカメラで
検査項目が電源のON/OFF動作チェックであること
を示す項目名(番号)等も含まれる。
【0018】ステップ305では、検査実施判定部14
より出力される検査許可信号Eを判定し、検査許可信号
Eが“Y”信号の場合、検査を実施し(ステップ30
6)、その検査データDをデータ判定部13に出力する
(ステップ307)。一方、“N”信号の場合、その検
査項目番号Qの検査が実施されずに間引かれる。
【0019】検査項目番号Qが検査項目数Vに満たない
と判定されると(ステップ308)、ステップ310に
おいて検査項目番号Qが1つインクリメントされ、ステ
ップ304に戻って次の検査項目の検査開始信号Jが検
査実施判定部14に出力される。このようにして検査試
料の最後の検査項目まで実行されると、この検査試料の
検査は終了し、次の検査試料がセットされ、検査され
る。
【0020】図3は本実施例の検査システムの制御ルー
チンを示すフローチャートである。この制御ルーチンは
検査実施判定部14により実行される。
【0021】検査開始信号Jを検査装置11から入力し
(ステップ102)、ステップ104において検査項目
番号Qが1、すなわち新たな検査試料が検査装置11に
セットされたと判定されると、ステップ106において
検査試料総数Nが1つインクリメントされるとともに、
ステップ108〜112において試料番号sが算出され
る。この試料番号sは検査試料総数Nと同様にインクリ
メントされ、検査群10を越えると初期化されて再び1
からカウントされる。
【0022】ステップ114では、試料番号sとデータ
判定部13内に記憶されているグレードGkとに基づい
てサンプリングテーブル(図1)を参照し、検査を実施
するか否かが判定される。ステップ116では、この判
定結果に応じた“Y”または“N”信号の検査許可信号
Eが検査装置11に出力される。検査装置11は検査許
可信号Eの制御に応じて検査を実施、あるいは間引いた
後、次の検査項目の検査開始信号Jを検査実施判定部1
4に出力することとなる。
【0023】ステップ118では、出力した検査許可信
号Eが“N”信号であればこのルーチンは直ちに終了
し、検査許可信号Eが“Y”信号であれば、図4のサン
プリンググレード判定ルーチンが割込み処理され、その
検査項目のグレードGkが評価された後にこの制御ルー
チンは終了する。この制御ルーチンが終了すると、検査
実施判定部14は次の検査開始信号Jが入力可能な状態
となる。
【0024】図4は、データ判定部13で実行されるグ
レード判定ルーチンを示している。このグレード判定ル
ーチンでは、グレード判定の基準となる合格基準数Aと
不合格基準数Bとが定数として与えられている。例え
ば、合格基準数Aが97、不合格基準数Bが3の場合、
ある項目で、検査が100個実施された段階で、NGが
3個以内であればグレードGkはひとつ下げられ、検査
が100個実施されるまでにNGが3個を越えれば、そ
の時点でグレードGkはひとつ上げられる。すなわち、
合格基準数A,不合格基準数Bは正の整数で、合格基準
数A>不合格基準数Bの関係にあり、仕様に応じて適宜
定められる。
【0025】各検査項目のグレードGkには、それぞれ
初期値が与えられており、例えば合格率が高いと予想さ
れる項目では低く、一方、不良個数が多いと予想される
項目では高く設定されてデータ判定部13内のメモリに
格納されている。実施された検査数は各項目毎にグレー
ド検査数tkとしてカウントされ、各項目毎のNG数は
不良個数ukとしてカウントされる。グレード検査数t
k、不良個数ukの初期値はともに0である。
【0026】ステップ202では、検査が実施された検
査項目の検査データDが入力される。ステップ204で
は、その検査項目のグレード検査数tkに1が加算され
る。ステップ206では、所定の基準に基づいて、入力
された検査データDの合否、すなわちその検査項目がN
GまたはGOODに判定される。
【0027】ステップ206でNGと判定されると、不
良個数ukに1が加算される(ステップ220)。ステ
ップ222では、この更新された不良個数ukが不合格
基準数Bを越えているか否かが判定され、越えていれな
ければグレードGkは更新されずにこのルーチンは終了
し、図3に示される制御に戻る。一方、不良個数ukが
不合格基準数Bを越えていればグレードGkが1つ上げ
られる(ステップ224)。もし更新されたグレードG
kが10より大きければ、グレードGkが最大値である1
0に再設定される。このように、グレードGkが更新さ
れると、新たなグレード値はメモリに記憶されるととも
に、グレード検査数tk、不良個数ukが0に初期化され
(ステップ216、218)、このルーチンは終了す
る。
【0028】一方、ステップ206でGOODと判定さ
れると、現在のグレード検査数tkから不良個数ukを差
し引いた値、すなわち合格個数が合格基準数Aを越えて
いるか否かが判定され(ステップ208)、越えていな
ければグレードGkは更新されず、このルーチンは終了
する。これに対し、合格個数が合格基準数Aを越えてい
ればグレードGkが1つ下げられる(ステップ21
0)。更新されたグレードGkが1より小さければグレ
ードGkの最小値である1が再設定され、上記の場合と
同様、新たなグレード値はメモリに記憶されるととも
に、ステップ216、218においてグレード検査数t
k、不良個数ukが0に初期化されて、このルーチンは終
了する。
【0029】以上のように本実施例によれば、検査が実
施されると、その検査結果の合否に基づいてサンプリン
グ率が所定の値に更新されるため、品質を落すことなく
検査時間の短縮ができ、品質管理における検査精度およ
び検査効率が著しく向上する。例えば、全ての検査を実
施する場合と比較して、最大約90%の検査時間の短縮
となり、品質は十分に管理される。
【0030】また検査試料に複数の検査項目が含まれる
場合、各検査項目毎にサンプリング率を評価するため、
各検査項目の合格率に応じて適切な検査を行なうことが
でき、検査精度および検査効率が更に向上する。
【0031】なお上記実施例ではグレードGkを1ずつ
上下させたが、これに限らず2以上変化させてもよい。
例えば不合格の発生状況によりグレードGkの下げ幅を
大きくすることにより、検査効率を向上させることがで
きる。
【0032】また、各検査項目毎に異なるサンプリング
テーブルを参照する構成にしてもよい。この場合、上記
サンプリングテーブル記憶部15には、各項目毎のサン
プリングテーブルが記憶され、検査実施判定部14は各
項目毎のサンプリングテーブルを参照することとなる。
【0033】更に、検査開始信号Jおよび検査許可信号
Eおよび検査データD等の入出力は、これらを通信でき
るものであれば如何なるものを用いてもよい。
【0034】また本実施例では、制御部12をデータ判
定部13、検査実施判定部14およびサンプリングテー
ブル記憶部15により構成したが、本発明はこれに限ら
ず、例えば検査データDを判定する機能を有する検査装
置を用いた場合等では、データ判定部13を省略し、デ
ータ判定部13に備えられたサンプリング率変更手段を
検査実施判定部14に組込んだ構成にしてもよい。
【0035】図6は、この発明の他の実施例にかかる品
質管理における検査システムの構成を示すブロック図で
ある。この実施例では、検査装置11が実際に検査を実
施する検査実施部22を備えるとともに、検査装置11
内に、検査実施部を制御する制御部12が組込まれてい
る。このような構成であっても、上記実施例と同様の効
果が得られることは明らかである。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、品質管理における検査精度および検査効率を改善
し、品質を落すことなく検査時間を短縮する検査システ
ムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】サンプリングテーブルを示す図である。
【図2】この発明の実施例にかかる品質管理における検
査システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図2の検査システムの制御ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図4】図2の検査システムのグレート判定サブルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図5】図2の検査装置で実行される処理を示すフロー
チャートである。
【図6】この発明の他の実施例にかかる品質管理におけ
る検査システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 検査装置 13 データ判定部 14 検査実施判定部 15 サンプリングテーブル記憶部 A 合格基準数 B 不合格基準数 D 検査データ E 検査許可信号 Gk グレード J 検査開始信号

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定数の検査試料の全てに対して複数の
    検査工程の検査が順次、実施可能なよう構成された検査
    システムであって、 前記所定数に対する、検査を実施する試料数の割合であ
    サンプリング率を前記複数の検査工程毎に記憶するサ
    ンプリング率記憶手段と、 前記サンプリング率に基づいて、前記複数の検査工程毎
    検査を実施するか否かを判定する検査実施判定手段
    と、 前記検査実施判定手段の判定に応じて検査を実施し、そ
    の検査結果を出力する検査実施部と、 前記検査結果の合否を判定する合否判定手段と、 前記合否判定手段による合否に基づいて、前記複数の検
    査工程毎に前記サンプリング率を変更するサンプリング
    率変更手段とを備えたことを特徴とする品質管理におけ
    る検査システム。
  2. 【請求項2】 前記検査実施判定手段が、検査を実施す
    るか否かを示すサンプリングテーブルを記憶する手段を
    有し、このサンプリングテーブルを参照することにより
    検査の実施を判定することを特徴とする請求項1に記載
    の品質管理における検査システム。
  3. 【請求項3】 前記検査実施判定手段が、所定数の検査
    群中の試料番号および前記サンプリング率に基づいてサ
    ンプリングテーブルを参照することにより検査の実施を
    判定することを特徴とする請求項2に記載の品質管理に
    おける検査システム。
  4. 【請求項4】 前記サンプリング率記憶手段と、前記検
    査実施判定手段と、前記合否判定手段と、前記サンプリ
    ング率変更手段とが、前記検査装置を制御する制御部を
    構成することを特徴とする請求項1に記載の品質管理に
    おける検査システム。
  5. 【請求項5】 前記サンプリング率記憶手段と、前記検
    査実施判定手段と、前記合否判定手段と、前記サンプリ
    ング率変更手段とが、前記検査装置内に組込まれている
    ことを特徴とする請求項1に記載の品質管理における検
    査システム。
  6. 【請求項6】 前記サンプリング率変更手段が、一定数
    の検査が実施されたときに不良数が所定数を超えたか否
    かを判定する手段を有することを特徴とする請求項1に
    記載の品質管理における検査システム。
  7. 【請求項7】 所定数の検査試料の全てに対して複数の
    検査項目の検査が順次、実施可能なよう構成された検査
    システムであって、 前記所定数に対する、検査を実施する検査試料数の割合
    であるサンプリング率を前記検査試料の各検査項目毎に
    記憶する サンプリング率記憶手段と、 前記サンプリング率に基づいて前記各検査項目毎に検査
    を実施するか否かを判定する検査実施判定手段と、 前記判定手段の結果に応じて前記検査項目の検査を実施
    し、その検査結果を出力する検査実施部と、 前記検査結果の合否を判定する合否判定手段と、 前記合否判定手段による合否に基づいて前記検査項目毎
    前記サンプリング率を変更するサンプリング率変更手
    段とを備えたことを特徴とする品質管理における検査シ
    ステム。
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