JP3440463B2 - 保温釜 - Google Patents

保温釜

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JP3440463B2
JP3440463B2 JP10923697A JP10923697A JP3440463B2 JP 3440463 B2 JP3440463 B2 JP 3440463B2 JP 10923697 A JP10923697 A JP 10923697A JP 10923697 A JP10923697 A JP 10923697A JP 3440463 B2 JP3440463 B2 JP 3440463B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内蓋を無くしたい
わゆる内蓋レスの保温釜に関し、特に、長時間の保温時
における臭いの発生を防止することを目的とした保温釜
に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、この種の内蓋を
無くしたジャー兼用炊飯器などの保温釜は、内蓋を着脱
する手間がなく、内蓋を清掃する必要がないため、使い
勝手がよいという利点がある。これは、例えば実登第25
00383 号公報などに開示されるように、鍋である内釜の
上部開口部に対向する放熱板を、蓋体の外殻をなす外蓋
の内側周縁部にユニット化して嵌合固定しており、蓋体
の下面を構成する放熱板により、鍋である内釜の上部開
口部を直接塞ぐ構造となっている。
【0003】一方、保温釜における保温時の保温温度
は、日本工業規格(JIS)により、67℃以上78℃以下
(67〜78℃:以下、このように表記する。)に設定され
ているが、近年は保温性能を向上する目的で、鍋内のご
飯の保温温度を一時的に60℃前後に低くし、また、この
低温保温と73℃前後の高温保温とを組み合わせて、脂肪
酸の酸化による臭いや、糖とアミノ酸の反応による黄ば
みを抑制した保温方法が実用化されている。これらの方
法は、例えば鍋内の保温温度を通常保温時には65〜72
℃、低温保温時には54〜61℃にそれぞれ調整する特開平
7-313354号などに具体的に開示され、周知の技術となっ
ている。さらに、脂肪酸の酸化や、糖とアミノ酸の熱的
反応は、低温である程その進行が遅れることから、従来
12時間程度に制限していた保温可能時間を、24時間程度
まで延長して、保温の実用性を高めたものがある。な
お、ご飯を腐敗させる原因となる枯草菌などの腐敗菌の
殆どは、55℃以上では胞子化して成育しないこと、ま
た、55℃未満でも腐敗に至るには10時間以上かかるこ
と、及び50℃未満では早期に腐敗することなどから、腐
敗菌による腐敗を防止するために、低温保温は55〜65℃
に、また、この低温保温を行なう時間は、5〜10時間程
度に設定されていることが多い。
【0004】しかし、内蓋が無く、保温温度が70℃を下
回る保温釜では、次のような問題点があることが判明し
た。その内容は、次の点である。
【0005】炊飯時に蒸気を外部に放出させたり、ある
いは、保温時において鍋内が減圧して、蓋体が鍋に密着
して開かなくなる欠点を取り除くために、蓋体には外気
と鍋内とを連通する蒸気口が設けてあるが、蓋体が鍋の
上部開口部を直接塞ぐ構造となっていることから、蒸気
口の下部に位置する蓋体の下面に形成した孔は、鍋内に
収容されるご飯の上面に直接露出した状態に設けられ
る。これは、前述の実登第2500383 号公報にも、同様の
構造が開示されている。この孔の大きさは任意であり、
殆ど隙間状に小さい場合もあるし、本体の垂直方向では
なく水平方向に設けてある場合もある。また、保温時に
おける蒸気口の内部は、蓋体の下面に設けた蓋ヒータな
どで加熱しにくい構造となっており、かつ、外気と連通
しているため冷えやすく、腐敗菌が増殖しやすい50℃未
満乃至55℃未満になっている場合が多い。一方、蒸気口
の内部は、炊飯時に澱粉が溶解した水であるオネバが溜
まりやすく、炊飯時に蒸気孔より鍋内に回収される構造
にはなっているものの、完全に回収されるとは限らず、
オネバの一部が蒸気口の内部に付着した状態になってい
る。したがって、蒸気口の内部は腐敗菌の栄養素となる
澱粉が存在し、オネバには澱粉と結合しない自由水が多
量にあることから、細菌が容易に増殖する水分活性値を
有し、かつ腐敗菌が増殖しやすい環境が整っていること
になる。
【0006】次の表1は、各種条件における蒸気口から
の臭いの有無を実験した結果を示したものである。
【0007】
【表1】
【0008】上記表1において、内蓋の無い保温釜にお
いて、鍋内のご飯の温度を65〜70℃未満,室温を5〜15
℃,蒸気口の内部温度を40〜45℃とし、蒸気口の内部に
強制的に澱粉を溶解した例えばお粥を炊いたときの重湯
を入れ、重湯は乾燥したら追加し、この状態で長時間の
保温を行なったところ、30時間程度で蒸気口から酸味臭
が発生し、さらに続けて40時間程度になると、鍋内のご
飯からも酸味臭が発生することが判明した。一方、同じ
条件で、蓋体の下側に鍋内のご飯と蓋体の下面に露出す
る蒸気孔とを仕切る内蓋を設けたものでは、蒸気口は同
様に30時間程度で臭いが発生したものの、その後40時間
以上経過しても、鍋内のご飯からの異臭は殆ど無かっ
た。このことより、蒸気口の内部は、鍋の内部よりも腐
敗の進行が早く、蒸気口内で腐敗した露などから、その
下方にあるご飯に感染して、腐敗することが考えられ、
内蓋を有するものは、腐敗した露がご飯の上面に感染す
ることを防御する作用があることが判明した。また、内
蓋の温度は、通常の鍋内のご飯の温度よりもわずかに高
く設定されており、当然腐敗が促進する55℃未満より高
温になっているので、腐敗した露などが内蓋上に落ちて
も、増殖を防止する作用を有しているものと考えられ
る。
【0009】通常の保温釜は、保温時間を12〜24時間に
制限しており、また、冷や飯の保温や、冷や飯のつぎ足
しなどの保温温度を低下させるような使用を取扱説明書
などで禁止していることから、表1における実験の諸条
件は、正規の使用方法とは異なるものである。したがっ
て、正規の使い方をしている範囲では、ご飯が腐敗に至
ることはまず無い。しかし、実際の使われ方では、例え
ば24時間を越えて保温が行なわれたり、食べ残した冷や
飯を継ぎ足したり、その他、冷や飯の温め直しや、保温
を途中で止めて冷や飯にし、再度保温する動作が行なわ
れたり、保温を止めて鍋内でそのまま冷や飯にしたり、
汚れたしゃもじを入れたまま保温を行なうなど、取扱説
明書にて禁止している使い方が行なわれる場合が想定さ
れ、前記表1の実験結果のように、蒸気口やご飯から臭
いが発生する場合がある。
【0010】また、アルカリイオン水などのアルカリ度
の高い水を鍋に投入して炊飯を行なった場合は、ご飯の
アルカリ度が高くなることから、シュードモナス(バク
テリア)などの細菌が増殖しやすい環境になる。特に、
シュードモナスは糖類を分解し、その分解産物として水
素イオンが発生してpHが低下するので、乳酸菌が増殖
しやすい環境になる。よって、その後、酵母が増殖して
酸味臭が発生しやすくなり、また、夏場にタイマー炊飯
などを行なった場合に、鍋内の水温が高い状態で長時間
米が浸されると、保温の前に既に酸味臭が発生し、保温
を行なうと早期に臭いが強くなるといった問題があるな
ど、取扱説明書で禁止されていない内容の使われ方で
も、臭いが発生しやすくなることが考えられる。
【0011】そこで、本発明は上記問題点に鑑み、内蓋
レスの利点を生かしつつも、鍋内のご飯が腐敗すること
により起こる酸味臭の発生を防止できる保温釜を提供す
ることをその目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
保温釜は、前記目的を達成するために、ご飯を収容する
鍋と、前記鍋内のご飯を所定温度に保持する保温手段
と、前記鍋の上部開口部を直接塞ぐ蓋体と、前記蓋体に
設けられ前記鍋内のご飯に直接露出した開口部を有する
蒸気口とを備え、保温時に前記蒸気口内部の温度が50℃
未満の場合に、前記保温手段により前記鍋内のご飯を70
℃以上に保持するように構成したものである。
【0013】この請求項1の構成によれば、蓋体の下面
により鍋の上部開口を直接塞ぐ構造としたことにより、
蓋体の下面の清掃性がよく、使用時に内蓋を着脱する手
間がなく、しかも、蓋体の下面の外観性を高めることが
できる。また、こうした内蓋レスの構造では、蒸気口の
開口部が、鍋内のご飯に直接露出した状態になって、蒸
気口内の腐敗した露などが、ご飯に感染しやすい状況に
あるが、保温手段は蒸気口内部の温度が50℃未満の場合
に、鍋内のご飯の温度を70℃以上に保持するので、鍋内
のご飯の腐敗を防止して、異臭の発生を抑制することが
可能になる。さらに、腐敗菌で汚染された器本体を使用
することがあっても、鍋内のご飯の温度は70℃以上に保
持されているので、この鍋内のご飯から早期に腐敗臭が
発生する不具合が防止され、腐敗の心配を一掃できる。
【0014】また、本発明の請求項2記載の保温釜は、
同じく前記目的を達成するために、ご飯を収容する鍋
と、前記鍋内のご飯を所定温度に保持する保温手段と、
前記鍋の上部開口部を直接塞ぐ蓋体とを備え、保温時に
前記鍋と蓋体との接触部およびこの接触部の周囲の温度
が50℃未満の場合に、前記保温手段により前記鍋内のご
飯を70℃以上に保持するように構成したものである。
【0015】この請求項2の構成によれば、蓋体の下面
により鍋の上部開口を直接塞ぐ構造としたことにより、
蓋体の下面の清掃性がよく、使用時に内蓋を着脱する手
間がなく、しかも、蓋体の下面の外観性を高めることが
できる。また、鍋と蓋体の接触部およびこの接触部の周
辺は温度が上昇しにくく、内蓋レスの構造では、これら
の個所にある腐敗した露などが、ご飯に感染しやすい状
況にあるが、保温手段は鍋と蓋体の接触部およびこの接
触部の周辺の温度が50℃未満の場合に、鍋内のご飯の温
度を70℃以上に保持するので、鍋内のご飯の腐敗を防止
して、異臭の発生を抑制することが可能になる。さら
に、腐敗菌で汚染された器本体を使用することがあって
も、鍋内のご飯の温度は70℃以上に保持されているの
で、この鍋内のご飯から早期に腐敗臭が発生する不具合
が防止され、腐敗の心配を一掃できる。
【0016】また、本発明の請求項3記載の保温釜は、
前記請求項1又は2の構成において、前記保温手段は、
前記鍋内のご飯の温度が安定する保温安定時に、該鍋内
のご飯を70℃以上78℃以下になるように設定するもので
あることを特徴とする。
【0017】この請求項3の構成によれば、保温安定時
における上限温度を78℃以下に設定すると、保温時に鍋
内のご飯が黄ばんだり、保温臭が発生することを防止で
る。
【0018】
【発明の実施形態】以下、本発明の保温釜の一実施例に
ついて、添付図面を参照しながら説明する。なお、本実
施例における保温釜は、保温機能を備えたジャー兼用炊
飯器である。全体の断面図を示す図1において、1は器
本体、2はこの器本体1の外殻を成す外枠で、外枠2の
開口した底部下端には、底板3が嵌合し固定されてい
る。また、外枠2の内部には、鍋4を着脱可能に収容す
る有底筒状の内枠5が配設される。内枠5は、外枠2と
一体の内枠上部6と、外枠2とは別部品の内枠下部7と
を結合して構成される。そして、炊飯時において米や水
などの被炊飯物を収容し、保温時においてご飯などの被
保温物を収容する有底筒状の前記鍋4が、内枠5の内部
に挿脱自在に収容される。
【0019】鍋4は、アルミニウムなどの熱伝導性の良
好な材料を主体として設けられた鍋主体11と、この鍋主
体11の外側の底面および側面下部に接合され、フェライ
ト系ステンレスなどの磁性金属材料からなる発熱層12と
により構成される。また、鍋4の外側面には、複数の微
細な閉塞空間(図示せず)からなる鍋断熱層13が塗布形
成される。この鍋断熱層13は発熱層12の外側面に形成さ
れており、発熱層12を断熱して鍋4への加熱効率を高め
る作用を有する。また、鍋4の少なくとも被炊飯物や被
保温物が接触する部分の内側面には、鍋主体11よりも硬
質の材料から選択した例えばSUS304などのオーステナイ
ト系ステンレスからなる鍋内面層14が接合される。
【0020】鍋4を内枠5に収容すると、鍋4はその上
端部において内枠5に支持され、鍋4の上端部以外の部
分で、鍋4の外面と内枠5の内面との間に隙間15が形成
される。この隙間15はできるだけ少ない程、鍋4の熱移
動が抑制され好ましい。また、内枠下部6の底部中央に
設けられた鍋温度検出手段たる鍋温度センサ16が、鍋断
熱層13を形成していない鍋4の外側底面に接触する構造
になっており、これにより、鍋4ひいては鍋4内の被炊
飯物または被保温物の温度を常時検出するようになって
いる。
【0021】21は、鍋4の外側面の発熱層12に対応し
て、内枠5の外面に設けられた加熱手段としての加熱コ
イルである。この加熱コイル21は、ポリウレタンで絶縁
された導線が集合し捩れたリッツ線(図示せず)を螺旋
状に巻いて形成され、コイルベース22に保持された状態
で、内枠下部6の下面に取付け固定される。また、外枠
2内でコイルベース22の下方の位置には、電源回路を構
成する電源基板23と、加熱コイル21の制御回路を構成す
る加熱制御基板24が配設される。加熱制御基板24はイン
バータ回路などを備え、加熱コイル21に24〜30kHzの
高周波電流を供給するものである。そして、この高周波
電流の供給により、加熱コイル21に磁界が発生すること
で、鍋4の発熱層12を電磁誘導加熱にて発熱させて、鍋
4を加熱する構成は、従来周知の電磁誘導加熱式の保温
釜と同一である。
【0022】加熱制御基板24には、前記高周波電流を発
生させる発熱部品としてのスイッチング素子25が、放熱
器26を備えて搭載される。また、加熱制御基板24には基
板温度センサ27が設けられている。外枠2の側面上部に
は、操作基板28を保持した操作パネル29が設けられてお
り、ここには後述する操作手段たる複数の操作スイッチ
30や、表示手段たるLCDやLEDなどの表示装置31が
設けられている。
【0023】41は鍋4の上面開口部を直接塞ぐ蓋体で、
これは、蓋体41の上部をなすポリプロピレン製の外蓋42
と、同じくポリプロピレン製で、外蓋42の下側周辺部に
固定された枠状の外蓋カバー43と、この外蓋カバー43の
内側の開口を覆うアルミニウムやステンレスなどの材料
からなる内蓋44とにより構成される。この内蓋44は、従
来の蓋体の下面に着脱可能な鍋を覆うようにして設けた
内蓋ではなく、近年内蓋レスや内蓋無しと呼ばれるよう
な、内蓋44が蓋体41の下部に固定され、蓋体41の下面を
形成する構造のものである。よって、ここに示される蓋
体41は、いわゆる着脱する内蓋の無い、清掃性に優れた
使い勝手のよい構造を有している。
【0024】蓋体41の下面を形成する内蓋44は、その上
方に位置して外蓋カバー43上に固定された蓋補強板45
と、外蓋カバー43の内周面に突出形成された内蓋保持部
46との間に周辺部が挿入されて保持され、外蓋カバー43
に対して所定範囲上下動可能になっている。また、蓋補
強板45の周辺部と内蓋44の周辺部との間には、環状の弾
性体からなるパッキン47が挾持されるとともに、外蓋42
の中央凹部48と内蓋44の中央部との間にも、別の環状の
パッキン49が挾持される。これらのパッキン47,49は、
共に内蓋44と蓋体41を構成する他の部材とをシールする
ものであるが、パッキン47,49はシリコーンゴムなどの
弾性部材からなり、内蓋44が蓋体41に対し上下に弾性的
に変位するようになっている。なお、ここには図示して
いないが、内蓋44を蓋体41の下面に固定し、内蓋44の周
辺部にシリコーンゴムなどの弾性部材からなる蓋パッキ
ンを備え、この蓋パッキンを鍋4の上面に当接させて、
鍋4と蓋体41との間をシールさせてもよい。内蓋44は、
この内蓋44と蓋補強板45との間に装着されたスプリング
50により常時下方に弾性力が作用しており、蓋体41を閉
塞したときに、蓋体41の下面部材である内蓋44の外周部
下面を、鍋4の上部周縁の上面に弾性的に押しつけて当
接させる構成となっている。これは、鍋4に対する内蓋
44の密着性を高めるためのものである。
【0025】内蓋44の上面つまり裏面には、保温中に蓋
体41を構成する内蓋44を加熱する加熱手段としての蓋ヒ
ータ51と、内蓋44すなわち蓋体41の下面温度を検出する
蓋温度検出手段たる蓋温度センサ52が各々設けられる。
また、前記外蓋42の中央凹部48には、内蓋44に複数の開
口部たる蒸気孔53を形成した蒸気口54が設けられる。こ
の蒸気口54は、炊飯時に鍋4内の蒸気を蓋体41の外方に
放出する構成を有しており、具体的には、下面に蒸気口
係止部55を突出形成した有底筒状の蒸気口本体56と、こ
の蒸気口本体56の上部開口を塞ぐ蒸気口キャップ57とに
より構成される。また、蓋体41の上面に露出する蒸気口
キャップ57には、複数の蒸気放出口58が形成される。蒸
気口本体56は、蒸気口係止部55が前記パッキン49の内周
部に形成した受け部59に係合した状態で、外枠42に固定
されており、パッキン49は、気密性の保持のために蒸気
孔53を囲んで内蓋44の上面に密着している。蒸気口本体
56は、その他に、この蒸気口本体56に溜まったオネバを
鍋4側に回収する戻し孔60が設けられる。また、蓋体41
内部の蒸気口54の外側には、蒸気口54の温度を検出する
蒸気口温度検出手段たる蒸気口温度センサ61が配設され
る。
【0026】なお、蓋体41は器本体1の一部に軸支さ
れ、軸支部たるヒンジ部62には、常時蓋体41を開く方向
に作用するばね(図示せず)が備えてあり、ヒンジ部62
の反対側に備えた蓋体41の係止用のクランプフック(図
示せず)を解除すると、自動的に蓋体41が開く構成とな
っている。また、保温中は、内蓋44と鍋4が完全に密閉
状態に保持されると、蓋体41が鍋4に密着するため、ク
ランプフックを解除しても、蓋体41が自動的に開きにく
くなる実用上の問題がある。そこで、保温中において
も、蒸気孔53は蒸気口54の内部を介して外気と連通する
構成になっている。そして、鍋4にご飯を収容した状態
では、蒸気口54の下部開口をなす蒸気孔53が、ご飯の上
面に露出した状態になっている。
【0027】図2は、本実施例における電気的な構成の
概略を示している。同図において、マイクロコンピュー
タ65が、前記操作パネル29に設けた操作スイッチ30およ
び各温度センサ16,27,52,61からの信号を入力し、そ
れに基づいて、前記加熱制御基板24上のIH駆動回路66
および高調波電流発生手段67を介して、加熱コイル21の
出力および通断電を制御し、ヒータ駆動回路68および通
断電手段69を介して、蓋ヒータ51の通断電を制御すると
共に、表示手段駆動回路70を介して、操作パネル29に設
けた表示装置31の表示動作を制御する。
【0028】次に、マイクロコンピュータ65が保有する
プログラムの機能構成を説明すると、81はひたし炊きか
らむらしに至る一連の炊飯動作を実行する炊飯制御手段
である。この炊飯制御手段81は、具体的には、鍋4内の
水温を60℃以下の高温にして米の吸水を促進するひたし
炊き行程と、鍋4を強加熱して鍋4内の水を沸騰させる
沸騰加熱行程と、鍋4内の水を沸騰した後に、鍋4への
加熱量を低減して沸騰を所定時間継続させる沸騰継続行
程と、沸騰継続行程中に鍋温度センサ16の検知温度が所
定温度に上昇したら、鍋4への加熱を停止させる炊き上
げ行程と、炊き上がったご飯を高温に保持するむらし行
程を順に行なうものである。また、82は保温手段に相当
する保温制御手段であって、これは、炊飯制御手段81に
よる炊飯が終了した場合、あるいは、操作スイッチ30を
構成する保温スイッチ(図示せず)を操作した場合に、
鍋4内のご飯を所定温度に保持するものである。この保
温制御手段82による保温の加熱は、加熱コイル21による
鍋4への誘導加熱を、400W程度の出力に低減して行な
う。そして、加熱コイル21を1秒間通電して鍋4を加熱
した後、10秒間断電して鍋4への加熱を停止させる通断
電サイクルを繰り返し、鍋温度センサ16が検出する鍋4
の温度が所定の保温設定温度以上の場合には、前記1秒
間の加熱通電を省略して10秒間の加熱停止を行ない、鍋
4への加熱量を低減するようにし、この10秒間の加熱停
止後に所定の保温設定温度より鍋4の温度が低い場合
に、1秒間の加熱通電を行なう構成になっている。
【0029】また、保温制御手段82は、保温を開始して
から、鍋4内のご飯の温度変化が1時間で1℃以内に安
定したときに、ご飯の温度が少なくとも70℃以上になる
ように設定する機能を有する。すなわち、室温が例えば
0〜5℃程度に低い場合や、入力電圧が例えば90V程度
で通常よりも低い場合、あるいは、鍋センサ16による鍋
4の温度検出にバラツキがあっても、保温安定時におけ
る鍋4内のご飯の温度が70℃未満にならないように考慮
し、好ましくは余裕度を持たせて71℃以上になるように
設定する。また、保温制御手段82は、保温安定時におけ
る鍋4内のご飯の上限温度を、78℃以下に設定するが、
飯温が高いと黄ばみや保温臭が早期に発生することか
ら、これを防止するために好ましくは77℃以下に設定す
る。
【0030】なお、これらの温度設定は、日本工業規格
(JIS)に規定された温度範囲である67〜78℃の下限
温度よりも高い。また、保温制御手段82が設定する上記
70〜78℃の範囲でも、設定温度の低いほうが、保温時に
おけるご飯の劣化が少なくなることから、70〜73℃の範
囲と、73℃を越え76℃以下の範囲に保温温度の設定を選
択できるように構成してもよい。この場合、使用者が好
みに応じて、例えば短時間の保温の場合には、できるだ
け温かいご飯が食べられるように高目の温度設定を選択
し、6時間以上の長時間保温を行なう場合は、保温劣化
を抑制するために低めの温度設定を選択できるという利
点があり、保温時における実用性が向上する。したがっ
て、保温制御手段82は、保温安定時における鍋4内のご
飯の温度を70〜73℃の範囲に設定する低温保温温度設定
手段83と、保温安定時における鍋4内のご飯の温度を73
℃を越え76℃以下の範囲に設定する高温保温温度設定手
段84とを備え、操作スイッチ30により前記低温保温温度
設定手段83または高温保温温度設定手段84のいずれか一
方を選択できるように構成すれば好ましい。
【0031】なお、前述の蒸気口本体56は、図1に示す
ように蓋体41に着脱可能にしても、また図示しないが蓋
体41に固定した構成でもよい。また、保温制御手段82
は、前記保温温度の設定を選択しない構成であってもよ
い。さらに、蒸気孔53は、図1に示すように内蓋44に垂
直方向でも、また図示しないが内蓋44に水平方向に設け
てもよい。
【0032】保温制御手段82は、保温時に蒸気口54の内
部の温度が50℃未満の場合に、鍋4内のご飯の温度を70
℃以上に保持するように、加熱コイル21を通断電制御し
て保温を行なう。なお、蒸気口54の内部が50℃未満であ
るか否かについては、本実施例では、前記蒸気口温度セ
ンサ61により蒸気口54の温度を検出することにより判断
する。この場合、保温制御手段82は、蓋体41の内部に設
けた蒸気口温度センサ61が、保温中に蒸気口54内との温
度差を加味して設定した60℃未満になったら、保温温度
の設定を高くして、鍋4内のご飯の温度が70℃以上にな
るように制御する。また、蒸気口温度センサ61を備えて
いない保温釜では、炊飯開始時における鍋温度センサ16
や蓋温度センサ52の検出温度に基づいて使用環境を推定
し、室温が低い場合には、鍋4内のご飯を70℃以上に加
熱し保温するようにする。すなわち、鍋温度センサ16や
蓋温度センサ52の検出温度が15℃以下の場合は、使用環
境が冬場で室温が低く、蒸気口54の内部が50℃未満であ
ることが想定されるので、予め炊飯後における保温制御
手段82の保温温度の設定は高めにする。なお、炊飯開始
時ではなく、保温開始時における鍋温度センサ16や蓋温
度センサ52の検出温度に基づいて使用環境を推定しても
よい。
【0033】また、図示しないが、器本体1の内部に室
温を専用に検出する室温検出手段たる室温センサを設
け、この室温センサの検出温度が低温、例えば15℃以下
のときに、鍋4内のご飯を70℃以上の温度で保持するよ
うにしてもよい。さらに、上記の温度検出に依存せず、
予め器本体1を5〜35℃の温度環境で試験を行ない、蒸
気口54内の温度が50℃未満となる場合には、予め鍋4内
が70℃未満にならないように、保温制御手段82による保
温を行なってもよい。こうした蒸気口センサ61や室温セ
ンサを設けない構成では、検出手段の数を減らすことが
できるという利点を有する。このように、蒸気口54内の
温度は、任意の手法にて検出あるいは推定することが可
能である。
【0034】ここでは、蒸気口54内部の温度が50℃未満
の低い場合に、鍋4内のご飯を70℃以上にする構成で説
明したが、保温制御手段82でご飯を保温しているとき
に、常に蒸気口54の内部温度を、加熱手段である蓋ヒー
タ51にて50℃以上好ましくは55℃に加熱する構成として
もよい。すなわち、保温温度を70〜73℃あるいは73〜76
℃に変えたり、または、70℃以下の低温での保温であっ
て、例えば60〜70℃の範囲の任意の温度時に、蒸気口54
内部が常時50℃以上になるように蓋ヒータ51で加熱す
る。また、周囲温度が低い場合、例えば室温が5℃の状
況でも、蒸気口54の内部温度が50℃以上になるように、
蓋ヒータ51で加熱する構成としてもよい。このようにす
れば、保温温度を低めに選択した場合や、冬場などで周
囲温度が低くなった場合でも、安定して蒸気口54内部で
腐敗を防止することができる。また、蒸気口54の内部温
度に応じて、蓋ヒータ51による蒸気口54の加熱を可変す
るなどの必要がなくなり、蓋ヒータ51による蒸気口54の
加熱制御が簡素化できる。
【0035】次に、炊飯時および保温時の加熱制御につ
いて図3のグラフを参照しながら説明する。なお、同図
の上段の実線のグラフは鍋温度センサ16の検出温度を示
しており、同図の上段の点線のグラフは蓋温度センサ52
の検出温度を示している。また、同図の中段のグラフは
加熱コイル21の通電のタイミングおよび出力を示してお
り、同図の下段のグラフは蓋ヒータ51の通電のタイミン
グおよび出力を示している。そして、同図の中段および
下段のグラフにおいて、ハッチングを付してある部分が
通電時期を示している。炊飯制御手段81による炊飯時に
は、前述のように、ひたし炊き行程と沸騰加熱行程と沸
騰継続行程と炊き上げ行程とむらし行程とが順次行なわ
れる。以下、これらの行程の制御について説明するが、
具体的に例示している数値や時間は、炊飯コースや製品
などに応じて変わる。
【0036】ひたし炊き行程は、鍋4の誘導加熱の出力
を比較的低くして、鍋4内の水温を60℃以下の高温に加
熱して米の吸水を促進するものであり、15分程度行われ
る。このひたし炊き行程の終了後、沸騰加熱行程に移行
する。沸騰加熱行程は、鍋4内の水を沸騰させる行程で
あり、加熱コイル21の最大加熱量による連続加熱が行わ
れる。そして、沸騰加熱行程中に、蓋温度センサ52が90
℃以上になり、かつ、その温度変化が所定の温度勾配に
安定すると、沸騰継続行程に移行する。この沸騰継続行
程では、鍋4の誘導加熱出力を若干低減するとともに、
所定の断続通電を行なうことにより、鍋4内の水の沸騰
状態が1〜7分程度継続する加熱量とする。また、これ
以降、蓋ヒータ51(出力50W)が通断電される。そし
て、所定の行程時間が経過するか、あるいは、鍋温度セ
ンサ16の温度が2〜5℃上昇すると、沸騰継続行程は終
了し、炊き上げ行程に移行する。この炊き上げ行程で
は、鍋4の誘導加熱の出力を最大にするとともに、断続
通電を行なう。そして、鍋温度センサ16の温度が10〜15
℃上昇すると、炊き上げ行程が終了し、むらし行程に移
行する。このむらし行程では、鍋4の誘導加熱の出力を
比較的低くして、鍋温度センサ16の温度に応じて加熱を
行ない、鍋4内の炊き上がったご飯が焦げないように、
鍋4内を高温に保持してむらし効果を確保する。そし
て、例えば所定の行程時間が経過すると、むらし行程が
終了し、保温制御手段82による保温行程に移行する。こ
の保温行程では、鍋温度センサ16の検出温度に応じて低
い加熱量で加熱が行なわれ、鍋4内のご飯を所定温度に
保持する。また、蓋体41の下面を構成する内蓋44の結露
を防止するために、蓋温度センサ52の検出温度に基づい
て、蓋ヒータ51を通断電する。
【0037】前記蒸気口54の内部は、例えば電熱ヒータ
などで加熱するか、あるいは、断熱して蒸気口54の周囲
の保温性を向上させ、腐敗菌が増殖しにくい50℃以上好
ましくは55℃以上にすることが望ましい。しかし、現実
には、蒸気口54が外気と連通しているため、内蓋44を蓋
ヒータ51で加熱しても、蒸気口54内の温度が上昇しにく
く、特に冬場などで室温が低い場合には、50℃未満にな
る場合もある。そこで、室温が5〜15℃の冬場を想定し
て、蒸気口54の内部が腐敗菌の増殖しやすい6℃以上50
℃未満の、40〜50℃になるようにして、実験を行なっ
た。この実験は、鍋4内のご飯の保温温度を65〜70℃に
保持したものと、70〜75℃に保持したものについて比較
して行なった。また、器本体1は、予め蒸気口54の内部
にオネバを入れて、40時間程度の長時間鍋4のご飯を55
℃未満の低温で保温し、腐敗菌により臭いの付着した状
態のものを使用した。この条件で炊飯を行ない、蒸気口
54の内部に澱粉の溶解した露を長時間付着させ、炊飯の
後に蓋体41を開けてご飯をほぐした後、過去に使用した
しゃもじを入れた状態にて蓋体41を閉じて保温を行な
い、6時間毎に蓋体41の開閉を行なうとともに、ご飯が
よそわれたことを想定してご飯をほぐし、食事の際に別
の場所へ保温釜を移動して使用することを想定して、30
分間停電させて保温を中止した。
【0038】その結果、保温後10時間程度で蒸気口54か
ら酸味臭を感じられたが、さらに保温を続けると、特に
保温温度を65〜70℃にしたものでは、保温後15時間程度
で鍋4内のご飯からも強烈な酸味臭が発生した。これに
対して、保温温度を70〜75℃にしたものは、保温後15時
間が経過しても、鍋4内のご飯からの異臭の発生は確認
できず、保温後24時間および36時間が経過しても、強い
酸味臭の発生は確認できなかった。
【0039】以上のような結果から、蒸気口54内で腐敗
した露などが、その下方に直接対向する鍋4内のご飯に
感染しても、保温制御手段82によりご飯の温度が70℃以
上に保持されていれば、ご飯の腐敗の進行は抑制され
る。したがって、仮に取扱説明書の禁止事項を守らず
に、腐敗菌により汚染した器本体1を使用しても、次に
使用するときに、鍋4内のご飯からの早期の臭い発生が
防止できることが確認された。この点は特に重要であ
り、一旦汚染した器本体1は容易に腐敗菌を除去でき
ず、次に使用した場合は、保温後6時間程度の短時間で
鍋4内のご飯から腐敗臭が発生する場合がある。この場
合、実際はそれまでの使用方法に問題があり、器本体1
に腐敗菌が付着していて今回の早期腐敗になっているに
も拘わらず、使用者はそれまでは問題がなかったのに今
回はすぐに臭いが発生したと判断して、器本体1ひいて
は保温釜の異常をクレームすることが多い。しかし、本
実施例では、保温時に蒸気口54内部の温度が50℃未満好
ましくは55℃未満になったら、保温制御手段82が鍋4内
のご飯の温度を70℃以上に保持するので、一旦汚染した
器本体1を使用しても、鍋4内のご飯からの臭いの発生
を抑制でき、使用者からの上記クレームを減少させるこ
とが可能となる。
【0040】なお、枯草菌など多くの菌は55℃以上であ
れば増殖しない(なかには、65℃位でも繁殖する特殊な
菌もある)が、保温釜の場合は、蓋体41を開閉したり、
使用時に一時的な保温の中止を行なったり、あるいは鍋
4内のご飯をよそうときに、ほぐしにより外気が侵入す
るなどの要因で、ご飯の温度が低下し、特にこれが70℃
未満になると、ご飯の腐敗が進行するものと考えられ
る。したがって、鍋4内のご飯の温度を70℃以上に保持
すれば、こうしたご飯の腐敗の心配はほとんどなくなる
ものと推定される。また、長時間の浸しや、アルカリ度
の高い水を使用して、臭いの発生しやすい状態にあって
も、ある程度の防御が可能になると考えられる。
【0041】以上のように、本実施例では、内蓋44を蓋
体41の下面に固定し、鍋4の上部開口部を直接塞ぐ構造
としたことにより、蓋体41の下面の清掃性がよく、使用
時に従来の内蓋の着脱が不要で使い勝手がよく、しか
も、蓋体41の下面がスッキリとして外観性を向上させる
ことが可能になる。また、こうしたいわゆる内蓋レスの
構造では、蒸気口54の蒸気孔53が、鍋4内のご飯に直接
露出した状態になって、蒸気口54内の腐敗した露など
が、その下方にあるご飯に感染しやすい状況にあるが、
本実施例では、取扱説明書に禁止された、例えば12時間
や24時間の保温保証時間を越えた使用が行われても、保
温制御手段82は蒸気口54内部の温度が50℃未満の場合
に、鍋4内のご飯の温度を70℃以上に保持するので、鍋
4内のご飯の腐敗を防止して、異臭の発生を抑制するこ
とが可能になる。さらに、取扱説明書で禁止された使用
が行われ、万一腐敗菌で汚染された器本体1を使用する
ことがあっても、上記実験の結果から明らかなように、
保温時に鍋4内のご飯の温度を70℃以上に保持しておけ
ば、この鍋4内のご飯から早期に腐敗臭が発生する不具
合が防止され、腐敗の心配のない保温性能のよい保温釜
が提供できる。
【0042】つまり、ご飯を収容する鍋4と、鍋4内の
ご飯を所定温度に保持する保温手段たる保温制御手段82
と、鍋4の上部開口部を直接塞ぐ蓋体41と、蓋体41に設
けられ鍋4内のご飯に直接露出した開口部すなわち蒸気
孔53を有する蒸気口54とを備え、保温時に蒸気口54内部
が50℃未満の場合に、保温制御手段82により鍋4内のご
飯を70℃以上に保持するように構成すれば、内蓋レスの
利点を生かしつつも、鍋4内のご飯が腐敗することによ
り起こる酸味臭の発生を防止することが可能になる。
【0043】なお、ここでいう蒸気口54内部の温度は、
上述のように任意の方法で検出あるいは推定することが
可能であり、その具体的手段については、ここでは限定
しない。また、蒸気孔53の位置や形状などについても、
ここでは限定しない。本実施例では、蒸気口54内部の温
度について言及したが、鍋4の上部と蓋体41の下面すな
わち内蓋44との接触部も、内蓋44を蓋ヒータ51で加熱し
ても温度が上昇しにくい個所である。したがって、この
接触部およびその周辺が55℃未満になると、腐敗菌が増
殖しやすい状況となって、内蓋レスの構造を有する保温
釜にあっては、その下方にある鍋4内のご飯に感染しや
すくなる。
【0044】そこで、このような点を考慮して、保温時
に鍋4と蓋体41との接触部およびこの接触部の周囲の温
度が50℃未満乃至55℃未満の場合に、鍋4内のご飯の温
度を70℃以上に保持するように保温制御手段82を構成す
れば、取扱説明書に禁止された、例えば12時間や24時間
の保温保証時間を越えた使用が行われても、鍋4内のご
飯の腐敗を防止して、異臭の発生を抑制することが可能
になる。さらに、取扱説明書で禁止された使用が行わ
れ、万一腐敗菌で汚染された器本体1を使用することが
あっても、保温時に鍋4内のご飯の温度を70℃以上に保
持しておけば、この鍋4内のご飯から早期に腐敗臭が発
生する不具合が防止され、腐敗の心配のない保温性能の
よい保温釜が提供できる。
【0045】つまり、ご飯を収容する鍋4と、鍋4内の
ご飯の温度を所定温度に保持する保温手段たる保温制御
手段82と、鍋4の上部開口部を直接塞ぐ蓋体41とを備
え、保温時に鍋4と蓋体41との接触部およびこの接触部
の周囲の温度が50℃未満の場合に、保温制御手段82によ
り鍋4内のご飯の温度を70℃以上に保持するように構成
すれば、内蓋レスの利点を生かしつつも、鍋4内のご飯
が腐敗することにより起こる酸味臭の発生を防止するこ
とが可能になる。
【0046】なお、ここでも、蒸気口54内部の温度は、
上述のように任意の方法で検出あるいは推定することが
可能であり、その具体的手段については、ここでは限定
しない。また、蒸気孔53の位置や形状などについても、
ここでは限定しない。
【0047】さらに、本実施例における保温制御手段82
は、鍋4内のご飯の温度が安定する保温安定時に、この
鍋4内のご飯の温度を70〜78℃になるように設定してい
る。このように保温安定時における上限温度を設定する
と、保温時に鍋4内のご飯が黄ばんだり、保温臭が発生
することを防止できる。
【0048】また、ご飯を収容する鍋4と、鍋4内のご
飯を所定温度に保持する保温手段たる保温制御手段82
と、鍋4の上部開口部を直接塞ぐ蓋体41と、蓋体41に設
けられ鍋4内のご飯に直接露出した開口部すなわち蒸気
孔53を有する蒸気口54と、蓋体41を加熱する加熱手段た
る蓋ヒータ51とを備えたものにあって、保温制御手段82
でご飯を保温しているときに、常に蒸気口54内部を蓋ヒ
ータ51にて50℃以上好ましくは55℃に加熱する構成とし
てもよい。このようにすれば、前述の内蓋レスの利点に
加えて、保温中は常時蒸気口54の内部温度が50℃以上に
なるように、蓋ヒータ51による加熱が行なわれるので、
蒸気口54内部の腐敗を防止するとともに、ひいては、鍋
4内のご飯からの腐敗臭の発生を防止することができ、
腐敗の心配のない保温性能のよい保温釜が提供できる。
また、この場合は、蒸気口54の内部温度に応じて、蓋ヒ
ータ51による蒸気口54の加熱を可変するなどの必要がな
くなり、蓋ヒータ51の加熱制御が簡素化できるという利
点もある。
【0049】また特に、このような構成において、保温
中の保温温度を例えば低温または高温に選択可能な保温
温度選択手段を備えたものにあっては、この保温温度選
択手段により設定可能な全ての保温温度で、保温制御手
段82による保温を行なっているときに、蒸気口54内部を
蓋ヒータ51にて50℃以上に加熱することが好ましい。こ
のように構成すれば、保温温度選択手段で保温温度を低
めに選択した場合でも、安定して蒸気口54内部の腐敗を
防止できる。
【0050】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実
施が可能である。
【0051】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の保温釜は、ご飯
を収容する鍋と、前記鍋内のご飯を所定温度に保持する
保温手段と、前記鍋の上部開口部を直接塞ぐ蓋体と、前
記蓋体に設けられ前記鍋内のご飯に直接露出した開口部
を有する蒸気口とを備え、保温時に前記蒸気口内部の温
度が50℃未満の場合に、前記保温手段により前記鍋内の
ご飯を70℃以上に保持するように構成したものであり、
内蓋レスの利点を生かしつつも、鍋内のご飯が腐敗する
ことにより起こる酸味臭の発生を防止できる。
【0052】また、本発明の請求項2記載の保温釜は、
ご飯を収容する鍋と、前記鍋内のご飯を所定温度に保持
する保温手段と、前記鍋の上部開口部を直接塞ぐ蓋体と
を備え、保温時に前記鍋と蓋体との接触部およびこの接
触部の周囲の温度が50℃未満の場合に、前記保温手段に
より前記鍋内のご飯を70℃以上に保持するように構成し
たものであり、内蓋レスの利点を生かしつつも、鍋内の
ご飯が腐敗することにより起こる酸味臭の発生を防止で
きる。
【0053】また、本発明の請求項3記載の保温釜は、
前記請求項1又は2の構成において、前記保温手段は、
前記鍋内のご飯の温度が安定する保温安定時に、該鍋内
のご飯を70℃以上78℃以下になるように設定するもので
あることを特徴とし、この場合は、請求項1又は2の作
用,効果のみならず、保温時における鍋内のご飯の黄ば
みや、保温臭を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す保温釜の全体断面図で
ある。
【図2】同上電気的構成を示すブロック図である。
【図3】同上加熱のタイミングと温度の計時変化を示す
グラフである。
【符号の説明】
4 鍋 41 蓋体 51 蓋ヒータ(加熱手段) 53 蒸気孔(開口部) 54 蒸気口 82 保温制御手段(保温手段)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ご飯を収容する鍋と、前記鍋内のご飯を
    所定温度に保持する保温手段と、前記鍋の上部開口部を
    直接塞ぐ蓋体と、前記蓋体に設けられ前記鍋内のご飯に
    直接露出した開口部を有する蒸気口とを備え、保温時に
    前記蒸気口内部の温度が50℃未満の場合に、前記保温手
    段により前記鍋内のご飯を70℃以上に保持するように構
    成したことを特徴とする保温釜。
  2. 【請求項2】 ご飯を収容する鍋と、前記鍋内のご飯を
    所定温度に保持する保温手段と、前記鍋の上部開口部を
    直接塞ぐ蓋体とを備え、保温時に前記鍋と蓋体との接触
    部およびこの接触部の周囲の温度が50℃未満の場合に、
    前記保温手段により前記鍋内のご飯を70℃以上に保持す
    るように構成したことを特徴とする保温釜。
  3. 【請求項3】 前記保温手段は、前記鍋内のご飯の温度
    が安定する保温安定時に、該鍋内のご飯を70℃以上78℃
    以下になるように設定するものであることを特徴とする
    請求項1又は2記載の保温釜。
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