JP3440432B2 - ディスクブレーキ - Google Patents

ディスクブレーキ

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JP3440432B2
JP3440432B2 JP35293893A JP35293893A JP3440432B2 JP 3440432 B2 JP3440432 B2 JP 3440432B2 JP 35293893 A JP35293893 A JP 35293893A JP 35293893 A JP35293893 A JP 35293893A JP 3440432 B2 JP3440432 B2 JP 3440432B2
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piston
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金蔵 小林
長典 輿水
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トキコ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等に用いられる
ディスクブレーキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のディスクブレーキの中には、キャ
リパに形成されたシリンダ孔、このシリンダ孔の内周に
周方向へ延びるよう形成された環状溝、この環状溝に嵌
合され弾性を有する断面形状が四角の角シール、この角
シール及びシリンダ孔に摺動自在に嵌合されたピストン
とで構成されたものがある。
【0003】そして、ピストンと角シールとの嵌合条件
が、角シールの内周面粗さが5〜20μ、ピストン外周
面粗さが1.5μ以下、角シールの半径方向内方への締
代が0.7mm以下、のように設定され、角シールによ
りブレーキ作動時におけるピストン外周部のシールを行
ない、併せて、ブレーキ解放時、シールのロールバック
作用により、ピストンを作動前位置に戻すようにしてい
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のディ
スクブレーキでは、ピストンとシール部材との嵌合条件
が、前述のようなものであるため、ピストンとシール部
材の嵌合部分における摺動抵抗が小さく、凹凸路を高速
で長時間走行するなどの過激な走行をすると、車両の振
動、あるいは、ディスク板の軸方向の振れでピストンが
シリンダ奥側に向けて戻される、いわゆる、ノックバッ
ク現象が発生し、この現象によりピストンが戻される
量、すなわち、ノックバック量が増大してブレーキペダ
ルのストロークが増え、ブレーキ作動が緩慢になるとい
う問題があった。
【0005】そこで、出願人は、ピストンとシール部材
との嵌合条件に関し、種々実験を行い、最適な条件を知
見により見い出し、ノックバック現象によるノックバッ
ク量の増大を抑えて、ブレーキ作動が迅速に行いうるデ
ィスクブレーキを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、請求項1の発明は、キャリパに形成されたシリンダ
孔、該シリンダ孔の内周にその周方向へ延びるよう形成
された環状溝、該環状溝に嵌合され弾性を有するシール
部材、該シール部材及び前記シリンダ孔に摺動自在に嵌
合されたピストンを含んでなるディスクブレーキにおい
て、前記ピストンと前記シール部材との嵌合条件を、シ
ール部材の内周面粗さが5〜20μ、ピストン外周面粗
さが3〜6μ、シール部材の半径方向内方への締代が
1.0〜1.5mm、に設定したことを特徴とする。ま
た、請求項2の発明は、キャリパに形成されたシリンダ
孔、該シリンダ孔の内周にその周方向へ延びるよう形成
された環状溝、該環状溝に嵌合され弾性を有するシール
部材、該シール部材及び前記シリンダ孔に摺動自在に嵌
合されたピストンを含んでなるディスクブレーキにおい
て、前記シール部材の内周面粗さ、前記ピストンの外周
面粗さ、前記シール部材の半径方向内方への締代の設定
により、前記ピストンと前記シール部材との間の摺動抵
抗を30〜40kgfしたことを特徴とする。
【0007】
【作用】請求項1の発明のように、ピストンとシール部
材との嵌合条件を、ピストンの外周面粗さを3〜6μと
することにより、ピストンの外周面とシール部材の内周
面との間に存在するグリスが排除されやすくなって、摺
動抵抗が高まり、また、シール部材の半径方向内方への
締代、すなわち、ピストン外周面に対するシール部材の
締代を1.0〜1.5mmにすることにより、更に、摺動
抵抗が高まり、ノックバック現象によるノックバック量
の増大を抑える。また、請求項2の発明のように、シー
ル部材の内周面粗さ、ピストンの外周面粗さ、シール部
材の半径方向内方への締代の設定により、ピストンとシ
ール部材との間の摺動抵抗を30〜40kgfしたこ
とにより、摺動抵抗を高めて、ノックバック現象による
ノックバック量の増大を抑える。
【0008】
【実施例】以下、図示の実施例について説明する。図1
は、ディスクブレーキの断面図を示している。キャリパ
1には、円筒状のシリンダ孔2が形成され、このシリン
ダ孔2の開口部寄りの内周壁には、周方向に延びるよう
環状溝3が設けられている。この環状溝3には、ゴム、
あるいは、樹脂等の弾性材よりなり、断面形状が四角の
シール部材4(以下、角シール4と称す)が弾性的に嵌
合されており、ピストン5は、この角シール4の内周面
に摺動自在に嵌合すると共に、シリンダ2の孔内にも摺
動自在に嵌合されている。そして、この角シール4によ
りブレーキ作動時における、ピストン5外周部のシール
及びロールバック(ピストンの戻し)を行わせるもので
ある。この実施例においては、ブレーキ作動時におけ
る、ロールバック(ピストンの戻し)を行わせるため、
断面形状が四角の角シールを使用したが、ロールバック
(ピストンの戻し)を行いうるものであれば、他の形状
のものも使用しても良い。
【0009】また、デイスク6の両側には、一対のパッ
ド7が設けられている。シリンダ孔2の環状溝3よりさ
らに開口部寄りには、一端がシリンダ孔2に嵌合保持さ
れ、他端がピストン5の外周面に嵌合保持された蛇腹状
のダストブーツ8が取り付けられている。
【0010】そして、ピストン5と角シール4との嵌合
条件は、角シール4の内周面粗さが5〜20μ望ましく
は5〜15μ、ピストン5の外周面粗さが3〜6μ望ま
しくは3.5〜6μ、角シール4の半径方向締代が1.0
〜1.5mm、に設定されている。ここで、ピストン5
の外周面粗さ及び角シール4の半径方向締代がその下限
値より低い場合には、後述するように摺動抵抗が低くな
りすぎて望ましくなく、逆に、その上限値より高い場合
には、角シール4の耐久性が損なわれるおそれがあり望
ましくないため、上記のような値に設定される。
【0011】図2は、キヤリパ2の環状溝3、角シール
4、およびピストン5の部分拡大図、図3は角シール4
の拡大図である。環状溝3の溝底は、開口部(図中左
側)側が最も深くなっており、最も深い溝底内径が
1、溝底の平均内径がD2、最も浅い溝底内径がD
3で、溝幅がTになっている。また、ピストン5の外径
は、D4に、そして、角シール4は、内径がd1、外径が
2、幅がtになっている。
【0012】角シール4は、自由状態で、その内径d1
がピストン5の外径D4よりも大径であり、しかも、角
シール4の外径d2が溝底の平均内径D2よりも大径であ
り、しかも、角シール4を環状溝3に嵌合し、ピストン
5をこの角シール4及びシリンダ孔2に摺動自在に嵌合
した状態で、角シール4に、ピストン5に対する半径方
向内方への締代1.0〜1.5mmが与えられように寸法
設定されている。
【0013】この寸法設定にあたり、角シール4は、環
状溝3の底壁、環状溝3の両側壁及びピストン5の外周
面で確定される環状空間(Vc)に対して、角シール4
の体積(Vs)の割合(体積率)を91〜102%望ま
しくは95〜102%に設定すれば、角シール4の位置
決めが確実となり、所望のロールバック量を確保するこ
とができる。
【0014】上述の体積率は、Vs÷Vcにより求めら
れるが、Vs及びVcの計算式を式(1)(2)で示
す。 Vs=(π/4)(d2 2−d1 2)・t (1) Vc=(π/4)(D2 2−D4 2)・T (2) なお、環状溝底の両側角部分には、環状斜面により環状
突出部分3a(図2において点線で示す断面三角形状部
分)が形成され角シール4はこの部分でも圧縮変形され
るが、環状溝3の開口部周縁には、面取り面により環状
円錐空間3bが形成されており、角シールは環状円錐空
間に張出し可能であり、両部分におけるシールの変形量
は相殺できるため、上述体積率の計算上は除外しても支
障は来さない。
【0015】このように、ピストン5と角シール4との
嵌合条件を、ピストン4の外周面粗さを3〜6μとする
ことにより、ピストン5の外周面と角シール4の内周面
との間に存在するグリスが排除されやすくなって、摺動
抵抗が高まる。また、角シール4の半径方向内方への締
代、すなわち、ピストン5の外周面に対するシール締代
を1.0〜1.5mmにすることにより、更に、摺動抵抗
が高まる。なお、ピストン外径約54mmのデイスクブ
レーキにおいて、上記嵌合条件の下に実験したところ、
角シール4による摺動抵抗を30〜40kgfに増大す
ることができ、ノックバック量の増加を抑えることがで
きる。ちなみに、従来品では、角シールの内周面粗さが
5〜20μ、ピストン外周面粗さが1.5μ以下、シー
ル締代(径方向のピストンに対する締代)が0.7mm
以下、の設定であり、摺動抵抗が8〜16kgfであっ
た。
【0016】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、ピストンとシ
ール部材との嵌合条件を、シール部材の内周面粗さが5
〜20μ、ピストンの外周面粗さが3〜6μ、シール締
代が1.0〜1.5mm、に設定したので、ピストンの外
周面とシール部材の内周面自体の摺動抵抗を高めること
ができる。このことにより、凹凸路を高速で長時間走行
するなど過激な走行をした際、車両の振動あるいはディ
スク板の振れで発生するノックバック現象によるノック
バック量の増大を抑え、迅速なブレーキ作動が確保でき
る。また、請求項2の発明によれば、シール部材の内周
面粗さ、ピストンの外周面粗さ、シール部材の半径方向
内方への締代の設定により、ピストンとシール部材との
間の摺動抵抗を30〜40kgfしたので、請求項1
の発明と同様、摺動抵抗を高めることで、凹凸路を高速
で長時間走行するなど過激な走行をした際、車両の振動
あるいはディスク板の振れで発生するノックバック現象
によるノックバック量の増大を抑え、迅速なブレーキ作
動が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の図1の部分拡大断面図である。
【図3】本発明の角シールの部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 キャリパ 2 シリンダ孔 3 環状溝 4 角シール 5 ピストン 6 ディスク 7 パッド
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 65/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャリパに形成されたシリンダ孔、該シリ
    ンダ孔の内周にその周方向へ延びるよう形成された環状
    溝、該環状溝に嵌合され弾性を有するシール部材、該シ
    ール部材及び前記シリンダ孔に摺動自在に嵌合されたピ
    ストンを含んでなるディスクブレーキにおいて、前記ピ
    ストンと前記シール部材との嵌合条件を、シール部材の
    内周面粗さが5〜20μ、ピストン外周面粗さが3〜6
    μ、シール部材の半径方向内方への締代が1.0〜1.5
    mm、に設定したことを特徴とするディスクブレーキ。
  2. 【請求項2】キャリパに形成されたシリンダ孔、該シリ
    ンダ孔の内周にその周方向へ延びるよう形成された環状
    溝、該環状溝に嵌合され弾性を有するシール部材、該シ
    ール部材及び前記シリンダ孔に摺動自在に嵌合されたピ
    ストンを含んでなるディスクブレーキにおいて、前記シ
    ール部材の内周面粗さ、前記ピストンの外周面粗さ、前
    記シール部材の半径方向内方への締代の設定により、前
    記ピストンと前記シール部材との間の摺動抵抗を30〜
    40kgfとしたことを特徴とするディスクブレーキ。
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