JP3439065B2 - ガス処理方法およびその装置 - Google Patents

ガス処理方法およびその装置

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JP3439065B2 JP09695397A JP9695397A JP3439065B2 JP 3439065 B2 JP3439065 B2 JP 3439065B2 JP 09695397 A JP09695397 A JP 09695397A JP 9695397 A JP9695397 A JP 9695397A JP 3439065 B2 JP3439065 B2 JP 3439065B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス中に含まれる
溶剤などを当該ガス中から除去するガス処理方法および
その装置に関し、特に、炭化水素化合物や燃料や溶剤な
どのような有機化合物を多量に使用する印刷工場や塗装
工場や石油化学工場などから排出される排ガスの処理に
適用すると有効である。
【0002】
【従来の技術】炭化水素化合物や燃料や溶剤などのよう
な有機化合物を含有したガスは、従来、ゼオライトや活
性アルミナなどの吸着材を充填した吸着塔内に送給され
て、上記吸着材で有機化合物が吸着除去された後に排出
されている。吸着材に吸着除去された有機化合物は、吸
着塔内に水蒸気等が送給されることにより、吸着材から
脱着して水蒸気と共に回収され、再利用されている。こ
のようにしてガスを処理するガス処理方法は、装置の構
成や取り扱いなどが簡単であるため、汎用的に利用され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たようにしてガスを処理するガス処理方法は、吸着塔内
にガスを流通させることによりガス中の有機化合物を吸
着材で徐々に吸着除去していくため、ガス中からの有機
化合物の吸着除去効率に問題を有していた。すなわち、
吸着塔のガス供給口近傍ではガス中の有機化合物の濃度
が高く、吸着塔のガス送出口に近づくにしたがって排ガ
ス中の有機化合物の濃度が低くなるため、吸着塔のガス
供給口付近では有機化合物の吸着能力に不足が発生しや
すく、吸着塔のガス送出口付近では有機化合物の吸着能
力に余剰を生じやすいのである。一方、吸着材に吸着し
ている有機化合物を水蒸気や熱風などの回収媒体で脱着
して回収する場合においては、吸着材に有機化合物が残
留しやすい等の問題を生じていた。
【0004】このようなことから、本発明は、ガス中の
有機化合物を効率よく吸着除去できると共に、吸着除去
した有機化合物を効率よく脱着して回収することができ
ガス処理方法およびその装置を提供することを目的と
した。
【0005】
【0006】
【課題を解決するための手段】 前述した課題を解決する
ための、本発明によるガス処理方法は、活性炭と無機シ
リケート系多孔質体とを混合してなる吸着材を充填した
吸着塔内に、有機化合物を含有するガスを流通させて当
該ガス中の当該有機化合物を上記吸着材で吸着除去する
ガス処理方法であって、前記吸着材の前記無機シリケー
ト系多孔質体の混合割合が前記ガスの流通方向の上流側
で大きく下流側で小さく、当該吸着材の前記活性炭の混
合割合が前記ガスの流通方向の上流側で小さく下流側で
大きいことを特徴とする。
【0007】上述のガス処理方法において、前記吸着塔
内に回収媒体を流通させて、前記吸着材に吸着除去され
た前記有機化合物を当該吸着材から脱着して回収するに
あたって、前記回収媒体の温度が前記吸着材の前記無機
シリケート系多孔質体の混合割合の大きい部分で高く、
当該吸着材の前記活性炭の混合割合の大きい部分で低い
ことを特徴とする。
【0008】上述のガス処理方法において、前記回収媒
体を前記吸着塔内の流通途中で加熱することを特徴とす
る。また、前述した課題を解決するための、本発明によ
るガス処理装置は、上述したガス処理方法を使用するガ
ス処理装置であって、前記吸着塔と、前記吸着塔の下方
の供給口に切替弁を介して連結されて、有機化合物を含
有するガスを送給する送給管と、前記吸着塔の上方の送
出口に切替弁を介して連結された排出管と、前記ガスの
流通方向上流側において無機シリケート系多孔質体の割
合を大きく活性炭の割合を小さく、前記ガスの流通方向
下流側において活性炭の割合を大きく無機シリケート系
多孔質体の割合を小さくするように前記吸着塔に充填さ
れた前記吸着材とを備えていることを特徴とする。 上述
のガス処理装置において、前記吸着塔の上方の供給口に
切替弁を介して連結されて、回収媒体を送給する送給管
と、前記吸着塔の下方の送出口に切替弁を介して連結さ
れたセパレータとを備えていることを特徴とする。 上述
のガス処理装置において、前記吸着塔の内部のガス流通
方向中央付近に再加熱器を設けたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明によるガス処理方法および
その装置の実施の形態を図1を用いて説明する。なお、
図1は、ガス処理装置の概略構造図である。
【0010】図1に示すように、炭化水素化合物や燃料
や溶剤などのような有機化合物1aを含有するガス1を
送給するガス送給管11は、フィルタ12、ブロア1
3、切替弁14を介して吸着塔10の下方のガス供給口
10aに連結されている。吸着塔10の上方のガス送出
口10bには、切替弁15を介してガス排出管16が連
結されている。また、回収媒体である水蒸気2を送給す
る水蒸気送給管17は、ドレントラップ18、切替弁1
9を介して吸着塔10の上方の水蒸気供給口10cに連
結されている。吸着塔10の下方の水蒸気送出口10d
には、切替弁20、コンデンサ21を介してセパレータ
22が連結されている。
【0011】前記吸着塔10の内部のガス流通方向中央
付近には、水蒸気再加熱器23が設けられている。吸着
塔10の内部のガス供給口10aおよび水蒸気送出口1
0d寄りには、第一吸着材層110が設けられている。
吸着塔10の内部のガス送出口10bおよび水蒸気供給
口10c寄りには、第三吸着材層130が設けられてい
る。吸着塔10の内部の上記第一吸着材層110と上記
第三吸着材層130との間には、第二吸着材層120が
設けられている。つまり、吸着塔10内のガス1の流通
方向上流側から下流側へ向けて第一吸着材層110、第
二吸着材層120、第三吸着材層130の順に積層(言
い換えれば、吸着塔10内の水蒸気2の流通方向上流側
から下流側へ向けて第三吸着材層130、第二吸着材層
120、第一吸着材層110の順に積層)されているの
である。
【0012】上記第一,二,三吸着材層110,12
0,130は、ミクロ孔に富む活性炭と無機シリケート
系多孔質体とを混合成形した吸着材からなっている。こ
れら吸着材層110,120,130の活性炭と無機シ
リケート系多孔質体との混合割合は、第一吸着材層11
0において活性炭よりも無機シリケート系多孔質体の方
が大きく(言い換えれば、無機シリケート系多孔質体よ
りも活性炭の方が小さく)、第二吸着材層120におい
て略等しく、第三吸着材層130において無機シリケー
ト系多孔質体よりも活性炭の方が大きく(言い換えれ
ば、活性炭よりも無機シリケート系多孔質体の方が小さ
く)なっている。
【0013】つまり、吸着塔10の内部は、ガス1の流
通方向上流側(水蒸気2の流通方向下流側)において無
機シリケート系多孔質体の割合を大きく活性炭の割合を
小さく、ガス1の流通方向下流側(水蒸気2の流通方向
上流側)において活性炭の割合を大きく無機シリケート
系多孔質体の割合を小さくするように、吸着材が充填さ
れているのである。
【0014】このようなガス処理装置を使用したガス処
理方法を次に説明する。有機化合物1aを含有するガス
1をガス送給管11からフィルタ12、ブロア13、切
替弁14を介して吸着塔10のガス供給口10aに送給
して当該吸着塔10の内部に供給すると、当該ガス1
は、第一吸着材層110、第二吸着材層120、第三吸
着材層130の順にこれら層110,120,130を
通過し、当該層110,120,130の吸着材により
有機化合物1aが吸着除去されて、吸着塔10のガス送
出口10bから切替弁15を介してガス排出管16に送
出され、処理ガス1bとして外部に排出される。
【0015】このようにしてガス1中の有機化合物1a
を吸着除去したら、前記切替弁14,15,19,20
を切り換えると共に、前記水蒸気再加熱器23を作動
し、水蒸気送給管17からドレントラップ18、切替弁
19を介して水蒸気2を吸着塔10の水蒸気供給口10
cに送給して当該吸着塔10の内部に供給すると、当該
水蒸気2は、第三吸着材層130を通過して当該層13
0の吸着材に吸着している有機化合物1aを当該吸着材
から脱着して回収し、第二吸着材層120を通過して当
該層120の吸着材に吸着している有機化合物1aを当
該吸着材から脱着して回収しながら前記水蒸気再加熱器
23で再加熱されて昇温された後、前記第三吸着材層1
30よりも高い温度で第一吸着材層110を通過して当
該層110の吸着材に吸着している有機化合物1aを当
該吸着材から脱着して回収し、切替弁20を介してコン
デンサ21に送給されて冷却、液化され、セパレータ2
2に送給されて水2aと有機化合物1aとに分離され
る。
【0016】つまり、ミクロ孔に富む活性炭および無機
シリケート系多孔質体は、いずれも有機化合物1aを吸
着する特性を有しているが、活性炭は、無機シリケート
系吸着材よりも疎水性を有して炭化水素等に対して強い
吸着力を示すものの、可燃性を有しており、一方、無機
シリケート系吸着材は、難燃性であるものの、炭化水素
等に対する吸着力が活性炭よりも弱いために低濃度のガ
ス処理に不向きであることから、燃焼性を抑える(不燃
化)ことに無機シリケート系吸着材の機能を利用し、吸
着力を高める(高性能化)ことに活性炭の機能を利用す
るようにしたのである。
【0017】すなわち、吸着塔10のガス1の流通方向
上流側(水蒸気2の流通方向下流側)では、ガス1中の
有機化合物1aの大部分を吸着除去できるようにすると
共に、吸着濃度の高い有機化合物1aを効率よく脱着回
収できるように水蒸気2の温度を高くしても燃焼等の発
生を防止できるようにするため、高濃度域の吸着に適し
且つ不燃性を有する無機シリケート系多孔質体の量を多
くし、一方、ガス1の流通方向下流側(水蒸気2の流通
方向上流側)では、大部分の有機化合物1aを除去され
たガス1の仕上げ処理を行えるようにすると共に、有機
化合物1aの吸着除去量が少なくて水蒸気2の温度が比
較的低くても有機化合物1aを十分に脱着回収できる
(可燃性を有していても使用できる環境である)ため、
ミクロ孔に富む活性炭の量を多くしたのである。
【0018】したがって、ガス1中の有機化合物1aを
効率よく吸着除去できると共に、吸着材に定常的に残留
してしまう有機化合物1aの量を低減させて、吸着材の
有効吸着容量を増加させることができるので、吸着サイ
クルにおける有機化合物1aの捕捉性能を向上させるこ
とができ、吸着除去した有機化合物1aを効率よく回収
することができる。
【0019】なお、本実施の形態では、水蒸気2を回収
媒体として用いたが、水蒸気2に代えて、例えば、熱風
等を用いることも可能である。
【0020】また、本実施の形態では、混合割合を変え
た吸着材の層を三層設けるようにしたが、二層や四層以
上でもよく、また、連続的に変化する単一層でもよい。
【0021】
【実施例】本発明によるガス処理方法およびその装置
効果を確認するため、前述した実施の形態に基づいた確
認試験を以下のような条件で行った。
【0022】 [試験条件] ・吸着材層−組成:第一吸着材層 活性炭30% 無機シリケート系多孔質体70% 第二吸着材層 活性炭50% 無機シリケート系多孔質体50% 第三吸着材層 活性炭70% 無機シリケート系多孔質体30% ・吸着塔−塔径:250mm ・有機化合物−組成:トルエン 含有量:5000ppm(約20.6mg/1N) ・ガス−温度:30℃ 湿度:Dry 流速:0.3m/sec(約880L/min) ・回収媒体−組成:水蒸気 供給時温度:106℃ 再加熱温度:135℃ 供給量:吸着塔内を流通した有機化合物の重量の5.3倍量 ・サイクルタイム−吸着除去処理時間:90分 脱着回収処理時間:30分
【0023】なお、吸着材を構成する各素材および各吸
着材層のトルエン吸着容量(吸着率)を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】また、比較のため、従来法による試験を上
記条件に準拠して行った。
【0026】[試験結果]試験結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】表2からわかるように、本発明法では、吸
着効率が高く、ガス中の有機化合物を高速度で処理、浄
化することができると共に、吸着材中の残留量が少な
く、長期間の運転において、従来法と比較して、より大
きな性能差を生じると思われる。また、第一吸着材層の
特性により、脱着速度が従来法に比較して大きい値とな
っており、脱着に要する水蒸気の節約が期待できると共
に、ガス処理速度の上昇も期待できる。
【0029】
【0030】
【発明の効果】 本発明によるガス処理方法およびその装
置では、活性炭と無機シリケート系多孔質体とを混合し
てなる 吸着材を充填した吸着塔内に、有機化合物を含有
するガスを流通させて当該ガス中の当該有機化合物を上
記吸着材で吸着除去するにあたって、前記吸着材の前記
無機シリケート系多孔質体の混合割合が前記ガスの流通
方向の上流側で大きく下流側で小さく、当該吸着材の前
記活性炭の混合割合が前記ガスの流通方向の上流側で小
さく下流側で大きいことから、吸着塔のガスの流通方向
上流側で、ガス中の有機化合物の大部分を吸着除去でき
ると共に、ガスの流通方向下流側で、大部分の有機化合
物を除去されたガスの仕上げ処理を行えるので、ガス中
の有機化合物を効率よく吸着除去することができる。
【0031】また、前記吸着塔内に回収媒体を流通させ
て、前記吸着材に吸着除去された前記有機化合物を当該
吸着材から脱着して回収するにあたって、前記回収媒体
の温度が前記吸着材の前記無機シリケート系多孔質体の
混合割合の大きい部分で高く、当該吸着材の前記活性炭
の混合割合の大きい部分で低いことから、吸着塔の回収
媒体の流通方向上流側において、吸着濃度の高い有機化
合物を効率よく脱着回収できるように回収媒体の温度を
高くしても燃焼等の発生を防止することができると共
に、回収媒体の流通方向上流側において、有機化合物の
吸着除去量が少なくて回収媒体の温度が比較的低くても
有機化合物を十分に脱着回収できるので、吸着除去した
有機化合物を効率よく回収することができる。
【0032】また、前記回収媒体を前記吸着塔内の流通
途中で加熱することから、上述した効果を効率よく得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガス処理装置の実施の形態の概略
構成図である。
【符号の説明】
1 ガス 1a 有機化合物 1b 処理ガス 2 水蒸気 2a 水 10 吸着塔 10a ガス供給口 10b ガス送出口 10c 水蒸気供給口 10d 水蒸気送出口 23 水蒸気再加熱器 110 第一吸着材層 120 第二吸着材層 130 第三吸着材層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平尾 雅士 兵庫県神戸市兵庫区和田宮通5−4−1 三菱重工環境エンジニアリング株式会 社内 (56)参考文献 特開 平5−115774(JP,A) 特開 平9−47635(JP,A) 特開 昭61−204018(JP,A) 特開 平1−266847(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/04 B01D 53/44 B01D 53/81 B01J 20/20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性炭と無機シリケート系多孔質体とを
    混合してなる吸着材を充填した吸着塔内に、有機化合物
    を含有するガスを流通させて当該ガス中の当該有機化合
    物を上記吸着材で吸着除去するガス処理方法であって、
    前記吸着材の前記無機シリケート系多孔質体の混合割合
    が前記ガスの流通方向の上流側で大きく下流側で小さ
    く、当該吸着材の前記活性炭の混合割合が前記ガスの流
    通方向の上流側で小さく下流側で大きいことを特徴とす
    るガス処理方法。
  2. 【請求項2】 前記吸着塔内に回収媒体を流通させて、
    前記吸着材に吸着除去された前記有機化合物を当該吸着
    材から脱着して回収するにあたって、前記回収媒体の温
    度が前記吸着材の前記無機シリケート系多孔質体の混合
    割合の大きい部分で高く、当該吸着材の前記活性炭の混
    合割合の大きい部分で低いことを特徴とする請求項1に
    記載のガス処理方法。
  3. 【請求項3】 前記回収媒体を前記吸着塔内の流通途中
    で加熱することを特徴とする請求項2に記載のガス処理
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のガス処理方法を使用す
    るガス処理装置であって、 前記吸着塔と、 前記吸着塔の下方の供給口に切替弁を介して連結され
    て、有機化合物を含有するガスを送給する送給管と、 前記吸着塔の上方の送出口に切替弁を介して連結された
    排出管と、 前記ガスの流通方向上流側において無機シリケート系多
    孔質体の割合を大きく活性炭の割合を小さく、前記ガス
    の流通方向下流側において活性炭の割合を大きく無機シ
    リケート系多孔質体の割合を小さくするように前記吸着
    塔に充填された前記吸着材と を備えていることを特徴と
    するガス処理装置。
  5. 【請求項5】 前記吸着塔の上方の供給口に切替弁を介
    して連結されて、回収媒体を送給する送給管と、 前記吸着塔の下方の送出口に切替弁を介して連結された
    セパレータと を備えていることを特徴とする請求項4に
    記載のガス処理装置。
  6. 【請求項6】 前記吸着塔の内部のガス流通方向中央付
    近に再加熱器を設けたことを特徴とする請求項5に記載
    のガス処理装置。
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