JP3437677B2 - ボルタンメトリィー及びそれに使用する装置 - Google Patents

ボルタンメトリィー及びそれに使用する装置

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JP3437677B2 JP09716695A JP9716695A JP3437677B2 JP 3437677 B2 JP3437677 B2 JP 3437677B2 JP 09716695 A JP09716695 A JP 09716695A JP 9716695 A JP9716695 A JP 9716695A JP 3437677 B2 JP3437677 B2 JP 3437677B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電気化学反応を利用
し被電解物質の分析等を行うボルタンメトリィー、特に
直流ボルタモグラムの1次出力に含まれる被検物質に対
応した微弱な検出信号(電解電流)を高感度で検出する
直流ボルタンメトリィーの信号処理方法、及びその直流
ボルタンメトリィーに使用する装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から知られていた直流ボルタンメト
リィーは、その電極に印加する掃引電圧、すなわち電解
加電圧に交流分が含まれておらず、またその信号処理回
路にノイズフィルターを的確に挿入することが可能なの
で、信号/ノイズ比(SN比)を充分良くすることがで
きる。しかしながら、この上記直流ボルタンメトリィー
では、被検物質に対応した検出信号の充分な感度を得る
ことが出来なかった。
【0003】そこで、検出信号の感度を向上させる方法
として、既に例えば特開昭56−16866号公報等に
記載されたディファレンシャル・パルス・ボルタンメト
リィーの技術が提案されている。図15は、上述の特開
昭56−16866号公報に記載された従来のディファ
レンシャル・パルス・ボルタンメトリィー装置の回路構
成を示すブロック回路図である。図において、ディファ
レンシャル・パルス・ボルタンメトリィー装置は、作用
電極507と対極506との間に印加する掃引電圧を発
生するための掃引加電圧回路501、作用電極507及
び対極506を被検物質を収容するための電解槽505
内に有し、また回路としては、作用電極507から出力
される電解電流の信号を電圧信号に変換するための電流
−電圧変換回路510、電流−電圧変換回路510から
出力される電圧信号を所定の条件で標本化するためのサ
ンプリング回路511及びサンプリング回路511から
引き続いて出力された2つの標本値の差をとるための示
差微分回路512を備えている。尚、生体内の微量物質
の直接分析をボルタンメトリィーにて行なうインビボ・
ボルタンメトリィーにおいては、対極506、作用電極
507等の電極が生体内に挿入され、生体自体が電解槽
505として機能するよう構成される。
【0004】掃引加電圧回路501の一端は、対極50
6に接続され、対極506と作用電極507との間にパ
ルス電圧を適宜重畳した掃引電圧を印加する。また、掃
引加電圧回路501の他端は、例えば記録計513に接
続され、記録計513のX軸に掃引電圧値を供給する。
作用電極507は、電流−電圧変換回路510に接続さ
れ、掃引電圧が印加された場合に、対極506と作用電
極507との間を流れる電解電流を検出信号として電流
−電圧変換回路510に出力する。そして、この電解電
流の信号は、電流−電圧変換回路510において電圧信
号に変換され、電流−電圧変換回路510からサンプリ
ング回路511に出力される。サンプリング回路511
は、電圧信号に変換された電解電流の信号を標本化し、
その標本値を示差微分回路512に出力する。掃引電圧
にパルス電圧を適宜重畳する図示のような従来のパルス
・ボルタンメトリィーでは、周知のように、電解電流の
被検物質による容量性電流成分を減縮するために、容量
性電流成分が充分に衰微した時点、すなわち重畳するパ
ルス電圧の終了直前の各時点ごとに、上述の標本化をし
ている。それ故、サンプリング回路511から示差微分
回路512に出力される電解電流の標本値Snは、不連
続なものとなる。但し、Snはn番目(nは1からNま
での任意の整数)周期の標本値を示す。示差微分回路5
12は、上述の記録計513に接続され、記録計513
のY軸に標本値Snから標本値S(n-1)を減算した差分を
供給する。図15に示す特開公報の以前のディファレン
シャル・パルス・ボルタンメトリィーでは、引き続く2
つの電解電流の標本値の差をとって、検出信号の感度を
向上している。上記特開昭56−16866号公報に開
示された以前のディファレンシャル・パルス・ボルタン
メトリィーの説明では、対極と作用電極とを用いた2電
極方式のボルタンメトリィーが示されているが、これよ
り以前の、例えば特公昭56−11107号に記載され
た直流ボルタンメトリィー装置で作用電極の近傍に参照
電極を設けた3電極方式のボルタンメトリィーを用いて
も同様の作用が得られるであろう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の直
流ボルタンメトリィーあるいは以前のディファレンシャ
ル・パルス・ボルタンメトリィーでは、インビボ・ボル
タンメトリィー、例えばラットの脳内における微量の神
経伝達物質及びその代謝物質などの直接分析を行う場合
に、次に記述するように検出信号の感度が不充分なもの
であった。すなわち、インビボ・ボルタンメトリィでは
作用電極などの電極を生体内に設けて生体自体を電解槽
として用いているので、生体内で電極反応を生じさせる
べき部位を極限する必要がある。従って、作用電極の実
効的な寸法を小さくしなければならず、充分な感度の確
保が困難であった。尚、インビボ・ボルタンメトリィー
に適した作用電極の一例は、直径7μm、長さ100〜
500μm程度のカーボンファイバーである。また、脳
内のアスコルビン酸などの神経伝達物質は、もともと微
量かつ低濃度なものなので、特に上記のような微小電極
を用いて脳内の神経伝達物質の定性分析、定量分析を行
う場合、電極表面で反応に関与する物質の量は極めて僅
かなものとなり、従って、作用電極に検出される検出信
号の充分な感度は得られなかった。一方、生体内の反応
を対象とする場合は、特に短時間での測定が必要であ
り、従って掃引速度も出来るだけ速くすることが望まれ
る。それ故、ボルタンメトリィー装置、特に検出信号の
処理回路を複雑なものにする必要があった。また、従来
のディファレンシャル・パルス・ボルタンメトリィーで
は、上述のように検出信号検出の感度の向上を図りうる
が、生体内のノイズのうちで重畳するパルス電圧の周波
数に近い周波数を有するものは除去困難な場合があり、
その場合は正確な定性分析、定量分析を行うことが出来
なかった。さらに、従来のディファレンシャル・パルス
・ボルタンメトリィーでは、標本値に含まれる容量性電
流成分(注:電気二重層に起因する成分)が各標本値で
互いに異なる。従って、上述のように示差微分回路51
2で標本値SnとS(n-1)との減算処理をしても完全に容
量性電流成分を除去することが出来ず、ボルタモグラム
での正確な波高が得られない恐れがあった。また、固体
作用電極を使用する関係上、その表面に種々の生体内物
質による汚れを生じ、電極界面における容量性電流成分
の減衰時間を長くさせる原因となる。このため、ボルタ
モグラムでのベースラインの傾きを増大させるという欠
点があった。
【0006】ここで、従来の直流ボルタンメトリィー、
及び日本化学会誌、1973、No.10、p.1909〜1914及び米
国雑誌、アナリティカル、ケミストリ(Analytical Che
mistry)、1965、Vol.37、No.13、p.1634〜1637に示さ
れた以前のディファレンシャル・パルス・ボルタンメト
リィーにより、ラットの脳内アミンを検出したボルタモ
グラムの追試例を図14に示す。図において、太い実線
300は、従来の直流掃引で得られた電解電流の積分標
本化(周期200ms、50mV/s)による直流ボル
タモグラムである。また細い破線302は以前のディフ
ァレンシャル・パルス(パルス電圧25mV、50mV
/s)のボルタモグラムである。尚、作用電極には、い
ずれも直径7μmφ、長さ200μmのカーボンファイ
バーを用いた。また、参照電極には、Ag/AgCl電
極を使用した。従来の直流ボルタモグラムを示す太い実
線300において、P1で示される部分は、おそらく電
圧掃引初期に、印加電圧に応じて流れる容量性電流か残
余電流に起因するものであろう。また、P2、P3、およ
びP4は、脳内のアスコルビン酸、カテコールアミン系
化合物およびインドールアミン系化合物の酸化波をそれ
ぞれ示している。また、以前のディファレンシャル・パ
ルスのボルタモグラムを示す細い破線302において、
3”およびP4”は、脳内のカテコールアミン系化合物
およびインドールアミン系化合物の酸化波をそれぞれ示
している。図14において、実際の測定データとして活
用するのは、P3およびP3”で示されるカテコールアミ
ン系化合物の酸化波、およびP4およびP4”で示される
インドール系化合物の酸化波である。太い実線300か
ら明らかなように、従来の直流ボルタンメトリィー法で
は、正確な波高が読み取れない。また、細い破線302
から明らかなように、以前のディファレンシャル・パル
ス法では、正確な波高が読みとれず、特にP4”に至っ
てはベースラインの急傾斜のため、ほとんど読み取り不
能である。
【0007】この発明は、かかる問題点を解決するため
になされたもので、インビボ・ボルタンメトリィーを行
う場合にも、充分な検出信号の感度が得られるボルタン
メトリィー、及びそれに使用する装置を提供することを
目的とする。また、ボルタモグラム作成の際に、検出信
号での容量性電流成分の影響を除去し、正確な波高が得
られるボルタンメトリィー、およびそれに使用する装置
を提供することを目的とする。さらに、インビボ・ボル
タンメトリィーを行う場合に、生体内部の活動電位によ
るノイズを除去することができ、正確な定性分析、定量
分析を行えるボルタンメトリィー、及びそれに使用する
装置を提供することを目的とする。また、作用電極の汚
れを容易に取り除くことができ、ボルタモグラムのベー
スラインの傾きを増大させないで、被検物質の分析を容
易に行え得るボルタンメトリィー、及びそれに使用する
装置を提供することを目的とする。さらに、ボルタンメ
トリィーに使用する装置、特に検出信号の処理回路を複
雑なものにすることなく、信号/ノイズ比を改善して、
被検物質の分析を容易に行え得るボルタンメトリィー、
及びそれに使用する装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る線
形掃引ボルタンメトリィー装置は、線形掃引電圧を発生
する線形掃引電圧発生手段、被検物質内に設けられる対
極、作用電極及び参照電極を有し、前記線形掃引電圧が
前記対極と前記作用電極との間に印加された場合に、電
解電流を前記作用電極で検出する電解電流検出手段、及
び前記電解電流の信号を、前記線形掃引電圧の掃引期間
を整数で分割してなる均一な標本化周期に応じて、積分
・標本化して前記標本化周期ごとに標本値を出力する積
分・標本化手段、前記積分・標本化手段から時系列的に
出力される少なくとも3つの時点での各標本値を記憶す
る記憶手段、前記記憶手段に記憶された少なくとも3つ
の標本値のうち、2つの標本値の間の差分を減算処理に
より求め、その差分を当該手段の外部に設けられた記録
・表示装置に供給する減算処理手段、を具備したことを
特徴とする。
【0009】また、請求項2の発明に係るボルタンメト
リィーは、線形掃引ボルタモグラムの一次出力(電圧−
電流曲線)の線形掃引電圧の掃引期間をN個(但し、N
は正の整数)の均一な標本化周期に分割し、前記各標本
化周期ごとに電解電流を積分・標本化し、n番目(nは
1からNまでの任意の整数)の周期の標本値Snと[n
−a]番目(aは1以上でNより充分小さく選択した任
意の整数)の周期の標本値S(n-a)との間の差、すなわ
ちSn−S(n-a)を線形掃引電圧の値に対してプロットし
ボルタモグラムを求めること、を特徴とする。
【0010】また、請求項3の発明に係るボルタンメト
リィーは、請求項2に記載したものにおいてさらに、前
記一次出力から高周波成分を除去したうえ、前記積分・
標本化処理を施すこと、を特徴とする。
【0011】また、請求項4の発明に係るボルタンメト
リィーは、請求項2に記載したものにおいてさらに、前
記整数aの値を選択する操作により感度及び分離能の切
換えを行うこと、を特徴とする。
【0012】また、請求項5の発明に係るボルタンメト
リィーは、請求項2に記載したものにおいてさらに、参
照電極として自己起電力を有する電極を用い、ボルタン
メトリィー実施直前の短時間、作用電極と前記参照電極
とを外部で短絡しておくこと、を特徴とする。
【0013】また、請求項6の発明に係る線形掃引ボル
タンメトリィー装置は、被検物質内に作用電極、対極及
び参照電極を設けた3電極方式により、前記作用電極と
前記対極との間に線形掃引電圧を印加して前記作用電極
から電解電流を検出し、これを電圧に変換する線形掃引
ボルタンメトリィー装置において、 a) 前記線形掃引電圧を発する線形掃引電圧発生装
置、 b) 掃引期間をN個(但し、Nは正の整数)の均一な
標本化周期に分割し、かつ制御信号を発生する制御装
置、 c) 前記電解電流を変換して得た電圧を前記制御信号
にもとづき前記各標本化周期または各a個の周期ごとに
積分して電圧積分値を出力する1個またはa個(但し、
aは1以上でNより充分小さく選択した任意の整数)の
積分・標本化装置、 d) 前記制御信号にもとづき前記積分・標本化装置の
出力を個別に保持する[a+1]個(積分・標本化装置
1個が各周期ごとに積分する場合)またはa個(a個の
積分・標本化装置が各a個の周期ごとに積分する場合)
の電圧保持器、 e) 前記制御信号にもとづき前記電圧保持器から、N
個の前記標本化周期のうちn番目周期の標本値Sn及び
N個の前記標本化周期のうち[n−a]番目周期の標本
値S(n-a)をそれぞれ保持している2個の前記電圧保持
器を選択し、それらの保持値を出力させる選択手段、及
び f) 前記制御信号にもとづき前記2個の保持値間の差
分を減算処理により求め、その差分の出力を記録計また
は表示装置に供給する減算処理装置、を具備することを
特徴とする。
【0014】また、請求項7の発明に係る線形掃引ボル
タンメトリィー装置は、請求項6に記載したものにおい
てさらに、前記積分・標本化装置の前段に高周波成分除
去装置が備えられていることを特徴とする。
【0015】また、請求項8の発明に係る線形掃引ボル
タンメトリィー装置は、請求項6に記載したものにおい
てさらに、前記選択手段が、選択切換えスイッチである
ことを特徴とする。
【0016】また、請求項9の発明に係る線形掃引ボル
タンメトリィー装置は、請求項6、請求項7及び請求項
8のいずれかに記載したものにおいてさらに、前記積分
・標本化装置を逐次積分したのち各周期の終りごとに前
記制御信号によって、リセットされる単一の積分・標本
化装置であり、かつ前記[a+1]個の電圧保持器が一
括して前記積分・標本化装置に接続されていること、を
特徴とする。
【0017】また、請求項10の発明に係る線形掃引ボ
ルタンメトリィー装置は、請求項6、請求項7及び請求
項8に記載したものにおいてさらに、前記積分・標本化
装置が、それぞれ前記電圧を積分したのち各a個の周期
の終りごとに前記制御信号によって、リセットされ、か
つ1周期ずつ遅れて逐次動作するa個の積分・標本化装
置であって、それぞれ前記a個の電圧保持器と個別に接
続されていること、を特徴とする。
【0018】また、請求項11の発明に係る線形掃引ボ
ルタンメトリィー装置は、請求項6及び請求項7に記載
したものにおいてさらに、前記積分・標本化装置が、前
記電圧を逐次積分したのち各周期の終りごとに前記制御
信号によって、リセットされる単一の積分・標本化装置
であり、かつ前記[a+1]個の電圧保持器が、それぞ
れ、その保持値を各周期ごとに後続の保持器に転送し前
段の保持値を保持する機能を有し、かつこの機能を遂行
するため前記積分・標本化装置に対して直列に接続され
ており、また前記選択手段が、前記保持器のうち、第1
番目及び第[a+1]番目の保持器を常時選択するよう
に構成されたものであること、を特徴とする。
【0019】また、請求項12の発明に係る線形掃引ボ
ルタンメトリィー装置は、請求項6に記載したものにお
いてさらに、参照電極として自己起電力を有する電極を
用い、当該参照電極の端子を、インピーダンス変換器の
入力端子及び前記作用電極の端子のいずれかに切換える
切換えスイッチを設けたこと、を特徴とする。
【0020】また、請求項13の発明に係る線形掃引ボ
ルタンメトリィー装置は、請求項12に記載したものに
おいてさらに、前記参照電極がAg/AgCl電極であ
ること、を特徴とする。
【0021】また、請求項14の発明に係るボルタンメ
トリィーは、線形掃引ボルタモグラムの一次出力(電圧
−電流曲線)の線形掃引電圧の掃引期間をN個(但し、
Nは正の整数)の均一な標本化周期に分割して、前記各
標本化周期ごとに電解電流を積分・標本化し、n番目
(nは1からNまでの任意の整数)の周期の標本値Sn
と[n−a]番目(aは1以上でNより充分小さく選択
した任意の整数)の周期の標本値S(n-a)との間の差、
すなわちSn−S(n-a)を線形掃引電圧の値に対してプロ
ットしボルタモグラムを求めるボルタンメトリィーにお
いて、前記各標本化周期をさらにM個(但し、Mは正の
整数)の均一な細分化周期に分割し、上記電解電流をこ
の各細分化周期ごとに標本化し、これらをディジタル信
号に変換して得たM個の個別標本値の和を上記の各標本
値Snとしたこと、を特徴とする。
【0022】また、請求項15の発明に係るボルタンメ
トリィーは、請求項14に記載したものにおいてさら
に、前記個別標本値から高周波成分を除去したうえ、前
記M個の個別標本値の和をとる加算処理を施すこと、を
特徴とする。
【0023】また、請求項16の発明に係るボルタンメ
トリィーは、請求項14に記載したものにおいてさら
に、前記整数aの値を選択する操作により感度及び分離
能の切換えを行うこと、を特徴とする。
【0024】また、請求項17の発明に係るボルタンメ
トリィーは、請求項14に記載したものにおいてさら
に、参照電極として自己起電力を有する電極を用い、ボ
ルタンメトリィー実施直前の短時間、作用電極と前記参
照電極とを外部で短絡しておくこと、を特徴とする。
【0025】また、請求項18の発明に係る線形掃引ボ
ルタンメトリィー装置は、被検物質内に作用電極、対極
及び参照電極を設けた3電極方式により、前記作用電極
と前記対極との間に線形掃引電圧を印加して前記作用電
極から電解電流を検出し、これを電圧に変換する線形掃
引ボルタンメトリィー装置において、 a) 前記線形掃引電圧を発する線形掃引電圧発生器、 b) 掃引期間をM*N個(但し、M及びNは各々正の
整数)の均一な一次標本化周期に分割し、かつ制御信号
を発生する制御信号送出部、 c) 前記電圧に変換された電解電流を前記制御信号に
もとづきM*Nの前記一次標本化周期ごとに標本化する
サンプル・ホールド部、 d) 前記制御信号にもとづき前記サンプル・ホールド
部の出力を量子化するアナログ・ディジタル変換器、 e) 前記制御信号にもとづき前記アナログ・ディジタ
ル変換器出力をn番(nはlからNまでの任意の整数周
期ごとにM個ずつ加算して求めたN個の二次標本値(S
1 〜 SN)、前記二次標本値間の差分、Sn−S
(n-a)[但し、Snはn番目周期の二次標本値、S(n-a)
[n−a]番目(aは1以上でNより充分小さい整数)
周期の二次標本値を、それぞれ表わす]の演算結果、お
よび上記ボルタンメトリィーのための測定条件と装置の
作動状態を示す状態信号を格納する随時書き込みメモリ
ィ装置、 f) 前記制御信号にもとづきプログラムを実行するタ
イマー割込み機能を付加されたマイクロプロセッサ部、 g) 前記制御信号にもとづき前記測定条件を読みだ
し、前記マイクロプロセッサ部に入力するためのインタ
ーフェイス部、 h) 前記制御信号にもとづき上記Sn−S(n-a)の演算
結果を掃引電圧値とともに、線形掃引電圧値に応じて順
次出力する出力インターフェイス部、および i) 前記制御信号にもとづき上記a)〜h)の各要素
を逐次的に制御する前記プログラムを格納したメモリィ
装置、を具備したことを特徴とする。
【0026】また、請求項19の発明に係る線形掃引ボ
ルタンメトリィー装置は、請求項18に記載したものに
おいてさらに、前記メモリィ装置に、前記一次標本値か
ら高周波成分を除去する波形処理プログラムが格納され
ていること、を特徴とする。
【0027】また、請求項20の発明に係る線形掃引ボ
ルタンメトリィー装置は、請求項18に記載したものに
おいてさらに、前記メモリィ装置に、前記Sn−S(n-a)
の演算結果を用いてボルタモグラムより各ピーク電位及
び波高値を算出するプログラムが格納されていること、
を特徴とする。
【0028】また、請求項21の発明に係る線形掃引ボ
ルタンメトリィー装置は、請求項18に記載したものに
おいてさらに、さらに外部機器と接続可能な通信ライン
・インターフェイス部をそなえていること、を特徴とす
る。
【0029】また、請求項22の発明に係る線形掃引ボ
ルタンメトリィー装置は、請求項18に記載したものに
おいてさらに、参照電極として自己起電力を有する電極
を用い、該参照電極端子を、インピーダンス変換器入力
端子および作用電極端子のいずれかに切り替えるための
切換えスイッチを備えたこと、を特徴とする。
【0030】また、請求項23の発明に係る線形掃引ボ
ルタンメトリィー装置は、請求項22に記載したものに
おいてさらに、前記参照電極がAg/AgCl電極であ
ること、を特徴とする。
【0031】
【作用】上記のように構成された第1請求項の発明に係
る線形掃引ボルタンメトリィー装置においては、積分・
標本化手段が、電解電流の信号を、線形掃引電圧の掃引
期間を整数で分割してなる均一な標本化周期に応じて、
積分・標本化して標本化周期ごとに出力する。また、減
算処理手段が、記憶手段で記憶する積分・標本化手段か
らの時系列的に出力された少なくとも3つの時点での各
標本値のうち、2つの標本値間の差分を減算処理により
求めるので、容量性電流成分が完全に除去される。
【0032】第2請求項の発明に係るボルタンメトリィ
ーにおいては、最適な2つの標本値Sn及びS(n-a)を選
択して、これらの標本値間の差分すなわち、Sn−S
(n-a)を線形掃引電圧の値に対してプロットする。
【0033】第3請求項の発明に係るボルタンメトリィ
ーにおいては、検出信号に含まれる生体内部の活動電位
によるノイズを除去する。
【0034】第4請求項の発明に係るボルタンメトリィ
ーにおいては、標本値間の差分を行なう際に、aの値を
選択できる。
【0035】第5請求項の発明に係るボルタンメトリィ
ーにおいては、作用電極と参照電極とを短絡することに
より、作用電極に付着した汚れを取除く。
【0036】第6請求項の発明に係る線形掃引ボルタン
メトリィー装置においては、選択手段が最適な2つの標
本値Sn及びS(n-a)を選択して、これらの標本値間の差
分すなわち、Sn−S(n-a)を線形掃引電圧値に対してプ
ロットする。
【0037】第7請求項の発明に係る線形掃引ボルタン
メトリィー装置においては、高周波成分除去装置が検出
信号に含まれる生体内部の活動電位によるノイズを除去
する。
【0038】第8請求項の発明に係る線形掃引ボルタン
メトリィー装置においては、選択切換えスイッチがaの
値を選択する。
【0039】第9請求項の発明に係る線形掃引ボルタン
メトリィー装置においては、1個の積分・標本化装置に
並列に接続された[a+1]個の電圧保持器が、互いに
標本化周期の順番が異なる標本値を保持する。
【0040】第10請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、a個の積分・標本化装置
それぞれに直列に接続された電圧保持器が、互いに標本
化周期の順番が異なる標本値を保持する。
【0041】第11請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、1個の積分・標本化装置
に直列に接続された[a+1]個の電圧保持器が、それ
ぞれその保持している標本値を標本化周期毎に後続の電
圧保持器に転送し、かつ標本化周期の順番が異なる標本
値を保持する。
【0042】第12請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、切換えスイッチが作用電
極と参照電極とを短絡することにより、作用電極に付着
した汚れを取除く。
【0043】第13請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、参照電極が自己起電力を
有するAg/AgCl電極で構成されているので、参照
電極とか短絡された場合に、作用電極に付着した汚れが
取除く。
【0044】第14請求項の発明に係るボルタンメトリ
ィーにおいては、電解電流をM*N個の細分化周期ごと
に標本化し、これらをディジタル信号に変換して得たM
個の個別標本値の和を、N個の各標本値Snとしている
ので、検出信号の処理回路を複雑なものにすることな
く、信号/ノイズ比を改善する。
【0045】第15請求項の発明に係るボルタンメトリ
ィーにおいては、検出信号に含まれる生体内部の活動電
位によるノイズを除去する。
【0046】第16請求項の発明に係るボルタンメトリ
ィーにおいては、標本値間の差分を行なう際に、aの値
を選択できる。
【0047】第17請求項の発明に係るボルタンメトリ
ィーにおいては、作用電極と参照電極とを短絡すること
により、作用電極に付着した汚れを取除く。
【0048】第18請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、電解電流をM*N個の細
分化周期ごとに標本化し、これらをディジタル信号に変
換して得たM個の個別標本値の和を、N個の各標本値S
nとしているので、検出信号の処理回路を複雑なものに
することなく、信号/ノイズ比を改善する。
【0049】第19請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、メモリィ装置に高周波成
分を除去する波形処理プログラムが記憶する。
【0050】第20請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、メモリィ装置にボルタモ
グラムから各ピーク電位及び波高値を算出するプログラ
ムが格納されている。
【0051】第21請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、通信ライン・インターフ
ェイス部が設けられていて2つの標本値の差分を外部機
器に出力する。
【0052】第22請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、切換えスイッチが作用電
極と参照電極とを短絡することにより、作用電極に付着
した汚れを取除く。
【0053】第23請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、参照電極が自己起電力を
有するAg/AgCl電極で構成されているので、参照
電極とか短絡された場合に、作用電極に付着した汚れが
取除く。
【0054】
【実施例】
[実施例1]図1は本発明の線形掃引ボルタンメトリィ
ーに使用する装置の基本構成を示すブロック図である。
同図において、線形掃引電圧発生装置101は、線形掃
引電圧を発生し、切換え装置102を介して、被検物
質、例えば脳内などの生体内又は試験管中の電解液の中
に浸漬された少なくとも3個の電極をもつ電解電流検出
装置103に線形掃引電圧を出力する。また、線形掃引
電圧発生装置101は、その出力した線形掃引電圧値を
当該装置の外部に設けられた記録計111などの記録・
表示装置に供給する。切換え装置102は、線形掃引電
圧発生装置101と電解電流検出装置103との間の接
離を行い、線形掃引電圧発生装置101と電解電流検出
装置103とを切り離している場合に、電解電流検出装
置103の作用電極9(図2)と参照電極8(図2)と
を外部で短絡する。前記の電解電流検出装置103は、
被検物質内に対極7(図2)、作用電極9(図2)及び
参照電極8(図2)を設けた3電極方式であって、対極
7(図2)と作用電極9(図2)との間に線形掃引電圧
が印加された場合に、その作用電極9(図2)で検出し
た電解電流を被検物質に対応した検出信号として出力す
る。電流−電圧変換装置104は、電解電流検出装置1
03から出力された電解電流の信号を電圧信号に変換す
る。尚、線形掃引電圧発生装置101、電解電流検出装
置103及び電流−電圧変換装置104は、既知の3電
極方式の直流ボルタンメトリィー装置のものと全く同一
のものである。
【0055】高周波成分除去装置105は、電流−電圧
変換装置104から出力された電圧信号の高周波成分を
除去する。尚、この高周波成分除去装置105は、イン
ビボ適用の場合の生体内部の活動電位によるノイズの除
去を行うためのものであり、本発明の線形掃引ボルタン
メトリィーをインビトロ・ボルタンメトリィーに適用す
る場合には、この高周波成分除去装置105を設ける必
要はない。積分・標本化装置106は、制御装置110
で決定される、線形掃引電圧の期間を整数で分割してな
る均一な標本化周期に応じて、高周波成分除去装置10
5から出力された電圧信号を積分・標本化し、電圧信号
の積分値を標本値として標本化周期ごとに記憶装置10
7に順次出力する。記憶装置107は、積分・標本化装
置106から時系列的に出力される少なくとも3つの標
本値を記憶する。選択装置108は、記憶装置107で
記憶された少なくとも3つの標本値のうち、2つの標本
値を選択する。減算処理装置109は、選択装置108
により選択された2つの標本値間の差分を減算処理によ
り求め、その差分を当該装置の外部に設けられた記録計
111などの記録・表示装置に供給する。制御装置11
0は、標本化周期に応じて、積分・標本化装置106、
記憶装置107及び選択装置108を制御するための複
数の制御信号を、これらに与える。
【0056】上述の説明でも明らかなように、本発明の
ボルタンメトリィーを実施するには制御装置110によ
り、線形掃引ボルタモグラムの一次出力の掃引期間を一
定間隔で所定数、例えばN個(但し、Nは正の整数)に
分割する。そして、線形掃引電圧発生装置101からの
線形掃引電圧を電解電流検出装置103の作用電極9
(図2)と対極7(図2)との間に印加して、作用電極
9(図2)で電解電流を検出する。この電解電流の変化
は電流−電圧変換装置104により電圧の変化に変換さ
れた上、積分・標本化装置106により標本化周期ごと
に積分・標本化される。こうして得た標本化周期ごとの
標本値のうちn番目の値から第[n−a]番目の値を差
し引いた差の値[Sn−S(n-a)]を線形掃引電圧値に対
してプロットしたボルタモグラムを求めるわけである。
但し、Snはn番目(nは1からNまでの任意の整数)
周期の標本値を、またS(n-a)は第[n−a]番目(a
は1以上でNより充分小さく選択した任意の整数)周期
の標本値をそれぞれ表わす。また、もしa=1であれ
ば、この差の値は通常の微分に近似しているが、aの値
を大きくすることによって感度をほぼa倍近くまで増大
させることができる。しかし、aの値を余り大きくする
と分離能が低下するので、例えば掃引周期を200m
s、掃引速度を50mV/s(したがって各標本化周期
の電圧幅は10mVとなる)とした場合、実験的にa=
5〜10程度が適当である。もちろん、標本化周期及び
その電圧幅を細かくとればaの値がこれより大きくて
も、それほどの分離能の低下をまねかない。しかしなが
ら、信号処理のための回路は、それに応じて複雑化する
のであまり得策ではない。また、上記したことから自明
なように、このaの値は、感度および分離能切換えに利
用することができる。例えば、a=1からa=5に切換
えれば、感度の最大限5倍への切換え操作が簡単にでき
る。但し、得られるボルタモグラムのピーク電位は、こ
のaの値の増大とともに電圧掃引方向に移動する。しか
しながら被検物質の真の半波電位と電解電流値は一次出
力で得られる直流ボルタモグラムで知ることができる。
【0057】以下本発明の線形掃引ボルタンメトリィー
装置のさらに具体的な例を図2及び図3を用いて説明す
る。図2は本発明の第1の具体的実施例である線形掃引
ボルタンメトリィー装置のブロック回路図である。図3
は図2に示した線形掃引ボルタンメトリィー装置の各部
の電気信号波形を示すタイミングチャートである。尚、
以下の線形掃引ボルタンメトリィー装置の説明では、a
の値を5とした例について説明する。図3において、
A、B、C、D、E、F、G、H及びIの各波形はそれ
ぞれ図2に示される点A、B、C、D、E、F、G、H
及びIにおける電圧信号波形でありそれぞれ対応して、
Aの波形は線形掃引電圧波形を示し、B、C、D、E、
F、G、H及びIの波形は制御装置110から出力され
るクロック信号又は制御信号の波形を示している。また
図3において、(a)、(b)、(c)、(d)、
(e)、(f)、(g)、(h)及び(i)の波形は、
高周波成分除去装置105、積分・標本化装置106、
電圧保持器13、14、15、16、17及び18、及
び減算処理装置109の出力波形をそれぞれ示してい
る。各波形図において横軸は時間を、縦軸は電圧を示
す。線形掃引電圧発生装置101は、切換え装置102
を構成する連動の切換えスイッチ4及び5を介して、図
3の波形Aで示される線形掃引電圧を対極7と作用電極
9との間に印加する。また、電解電流検出装置103は
インピーダンス変換器2、加算器3、電解槽6、対極
7、参照電極8及び作用電極9から構成され、線形掃引
電圧発生装置101からの線形掃引電圧が対極7と作用
電極9との間に印加された場合に、作用電極9が対極7
と作用電極9との間に流れる電解電流を検出し検出信号
として電流−電圧変換装置104に出力する。電流−電
圧変換装置104は作用電極9からの電解電流の検出信
号を電圧信号に変換する。尚、インピーダンス変換器2
はエミッタフォロワ回路又はカソードフォロワ回路など
であり、加算器3は演算増幅器を用いた加算回路であ
る。また、インビボ・ボルタンメトリィーにおいては、
対極7、参照電極8及び作用電極9が生体内に挿入さ
れ、生体自体が電解槽6として機能するよう構成され
る。また参照電極8としては、自己起電力を有する電
極、例えばAg/AgCl電極が用いられている。連動
の切換えスイッチ4及び5は、連動切換え動作により、
線形掃引電圧の期間以外では作用電極9と参照電極8と
を外部で短絡し、電解槽6を含めて閉回路を形成する。
また、切換えスイッチ4及び5が、作用電極9と参照電
極8とを外部で短絡している場合には、対極7は開放状
態となる。尚、インビボ・ボルタンメトリィーを行う場
合では、ボルタンメトリィー実施直前の短時間に、切換
えスイッチ4及び5により上記閉回路を形成するのが望
ましい。高周波成分除去装置105は既知のローパスフ
ィルターであり、例えば遮断周波数、0.5Hz、−3
0db/octのものが用いられる。この高周波成分装
置105は、生体内部の活動電位によるノイズの除去を
主に行って、図3の波形(a)で示される電圧信号を積
分・標本化装置106に出力する。
【0058】積分・標本化装置106は、制御装置11
0からの図3の波形Bで示される各クロック信号により
波形(a)で示す電圧信号を標本化周期(クロック信号
の間隔)ごとに積分して、図3の波形(b)に示される
電圧信号を並列に接続された[a+1]個、すなわちこ
の実施例では6個の電圧保持器13、14、15、1
6、17及び18に出力する。また、上記図3の波形B
で示されるクロック信号は、掃引期間をN個に分割して
得られる均一な標本化周期に同期して、制御装置110
から出力されるものである。それゆえ、積分・標本化装
置106において、高周波成分除去装置105からの電
圧信号は、標本化周期毎に積分・標本化され、標本化周
期毎に電圧保持器13、14、15、16、17及び1
8に出力される。記憶装置107は電圧保持器13、1
4、15、16、17及び18から構成されて、それぞ
れ図3のC、D、E、F、G及びHで示される制御装置
110からのクロック信号又は制御信号により、積分・
標本化装置106からの出力信号を受け、それぞれ
(c)、(d)、(e)、(f)、(g)及び(h)で
示されるような標本化周期の異なる6つの電圧信号の標
本値をそれぞれ保持する。選択装置108は選択切換え
スイッチ19及び20から構成されるが、実施例では、
アナログマルチプレクサを用いる。選択切換えスイッチ
19及び20は、図3の波形Iで示される制御装置11
0からのクロック信号により、各選択位置(C1、C2
3、C4、C5及びC6)のいずれか1組を常に選択する
ように制御されるものとなっている。尚、図3の波形I
で示されるクロック信号は、上記電圧保持器13、1
4、15、16、17及び18のおのおのの保持動作に
同期したものである。その結果、選択切換えスイッチ1
9及び20は、各周期ごとに移動する選択位置に対応し
て、上記電圧保持器13、14、15、16、17及び
18から選択された2つの標本値である1組の出力信号
を順次、減算処理装置109に出力する。例えば、C1
が選択されたとき、減算処理装置109の両入力端子に
は、電圧保持器13及び14でそれぞれ保持する標本値
n及びS(n-5)が選択切換えスイッチ19及び20をそ
れぞれ介して供給される。但し、Snはn番(nは1か
らNまでの任意の整数)周期の標本値を示す。
【0059】減算処理装置109は既知の差動増幅器で
あり、上述のように、2つの順番が異なる周期の標本値
が選択切換スイッチ19及び20を介して供給される。
そして、減算処理装置109は、標本値間の差すなわ
ち、Sn−S(n-5)の減算を行い、図3の波形(i)で示
されるその差分の出力信号を記録計111のY軸に供給
する。また、減算処理装置109は、選択切換えスイッ
チ19及び20の各選択位置が各周期ごとに順次C1
2、C3、C4、C5及びC6まで移動するのにともなっ
て、(c)−(d)、(d)−(e)、(e)−
(f)、(f)−(g)、(g)−(h)および(h)
−(c)の演算を順次行うので、標本値間の差は、常に
n−S(n-5)の減算となる。尚、記録計111のX軸に
は線形掃引電圧発生装置101からの線形掃引電圧値が
直接供給されているので、記録計111は、標本値間の
差、Sn−S(n-5)を線形掃引電圧値に対してプロットし
たボルタモグラムを描く。制御装置110は図3の波形
Aで示される線形掃引電圧の掃引期間を一定間隔で、例
えばN個の均一な標本化周期に分割する。そして、各標
本化周期に応じて、上述のように、図3の波形B、C、
D、E、F、G、H及びIに示されるクロック信号又は
制御信号を積分・標本化装置106、電圧保持器13、
14、15、16、17及び18及び自動切換えスイッ
チ19及び20にそれぞれ出力して、それらを制御す
る。尚、この標本化周期は、通常100ミリ秒から数1
00ミリ秒程度が適当である。
【0060】選択切換えスイッチ19及び20の選択位
置をC1及びC2のみに限り、この間で繰返し移動するよ
うに構成すれば、減算処理装置109からの出力信号
は、常にa=1となりSn−S(n-1)となる。こうして簡
単に検出信号の感度および分離能を切換えるように構成
することができる。尚、上記の信号処理の説明は理解を
容易にするため、定常状態における動作に限ったが、掃
引操作開始時より標本番号nが、使用している電圧保持
器の個数すなわち6に達するまでの掃引期間中、図3の
波形(i)で示される出力信号は過渡状態にあり、上記
のSn−S(n-5)の関係が成立しない。たとえば、図3の
タイミングチャートではSwで示される時点で掃引が開
始されるが、図3の波形(i)で示される出力信号は、
図3に示すT1からT6の間、すなわち6番周期までは不
定である。この過渡状態では所望の出力信号が得られな
いことは勿論であるが、掃引開始電圧と被検物質の半波
電位との間隔を充分あければ操作上、何等の問題をも生
じない。
【0061】ここで、本発明の線形掃引ボルタンメトリ
ィーによるラットの脳内アミンを検出したボルタンメト
リィーを図14の太い破線のカーブ301で示す。図に
おいて、太い破線のカーブ301は本発明による線形掃
引ボルタンメトリィーでの上記のaを5としたa=5の
場合でのボルタモグラムである。尚、作用電極には、直
径7μmφ、長さ200μmのカーボンファイバーを用
いた。また、参照電極には、Ag/AgCl電極を使用
した。また、太い破線のカーブ301において、P3
およびP4’は、脳内のカテコールアミン系化合物およ
びインドールアミン系化合物の酸化波をそれぞれ示して
いる。図14において、実際の測定データとして活用す
るのは、P3、P3’およびP3”で示されるカテコール
アミン系化合物の酸化波、およびP4、P4’および
4”で示されるインドール系化合物の酸化波である。
太い実線300から明らかなように、従来の直流ボルタ
ンメトリィー法では、正確な波高が読み取れない。ま
た、細い破線302から明らかなように、以前のディフ
ァレンシャル・パルス法では、正確な波高が読み取れ
ず、特にP4”の場合はベースラインの急傾斜のため、
ほとんど読み取り不能である。これに対して、太い破線
301から明らかなように、本発明の差分方式は、接線
法による波高の読み取りが非常に容易である。また、細
い破線302で示された以前のディファレンシャル・パ
ルスのボルタモグラムに比べても、検出信号の感度及び
ベースラインが著しく改善されている。
【0062】上記のように構成された線形掃引ボルタン
メトリィー装置は、[a+1]個の電圧保持器13〜1
8に保持された[a+1]個の標本値のうち最適な2つ
の標本値の差をとることにより、検出信号の感度を充分
なものにすることができる。また、積分・標本化装置1
06が線形掃引電圧の掃引期間を整数で分割してなる均
一な標本化周期に応じて、電圧信号を積分・標本化し、
当該電圧信号の積分値を標本値として標本化周期ごとに
出力するので、掃引初期の過渡期を除いては各標本値で
の容量性電流成分は全く同じ大きさとなる。そして、最
適な2つの標本値間の差分すなわち、Sn−S(n-a)を減
算処理装置109で演算することで容量性電流成分を除
去し、記録計111で当該差分Sn−S(n-a)を線形掃引
電圧値に対してプロットするので、作成されるボルタモ
グラムは正確な波高で描くことができる。また、高周波
成分除去装置105を積分・標本化装置106の前に挿
入することで、インビボ・ボルタンメトリィーを行う場
合に、生体内部の活動電位によるノイズを除去すること
ができ、正確な定性分析、定量分析をすることができ
る。さらに、掃引期間以外は、切換えスイッチ4及び5
により自己起電力を有する参照電極8と作用電極9とが
閉回路を形成するので、作用電極9に付着したアスコル
ビン酸などの汚れを取除くことができ、被検物質の分析
を容易に行なえるベースラインを得ることができる。
【0063】[実施例2]図4は本発明の第2の具体的
実施例である線形掃引ボルタンメトリィー装置のブロッ
ク回路図である。図5は図4に示した線形掃引ボルタン
メトリィー装置の各部の電気信号波形を示すタイミング
チャートである。実施例1と対応する部分には同一符号
を付して説明を省略する。また、図5においては、図3
のものと同様の部分は省略してある。尚、実施例1との
違いは、電圧保持器13、14、15、16、17及び
18としておのおのに、保持値の次段への転送機能を有
するものを用い、かつ積分・標本化装置106に対して
直列に接続したことである。ここで、図3の波形(b)
で示される積分・標本化装置106の出力信号は、先ず
図5の波形Cで示される制御装置110からのクロック
信号により電圧保持器13に保持され、1周期後、図5
の波形Dで示される制御装置110からのクロック信号
により電圧保持器14に転送され、同様の操作によって
最終的に電圧保持器18まで転送される。このように図
5のこれらの波形C、D、E、F、G、及びHに従っ
て、電圧保持器13、14、15、16、17及び18
は、それぞれが保持する保持電圧をそれぞれ次段の電圧
保持器に順次転送する。これらのクロック信号C、---
Hの送出タイミングは、積分・標本化装置106のため
の図3の波形Bで示されるクロック信号のタイミングと
ほぼ同様であるが、但し上述の順次転送を可能とするた
め、送出タイミングを図5の波形C、D、E、F、G、
及びHの拡大図によって明らかなように順次ずらしてあ
る。
【0064】本実施例においては、このようにして電圧
保持器13、14、15、16、17及び18が図5の
(c)、(d)、(e)、(f)、(g)及び(h)に
示される電圧を保持し、かつ、順次転送する。それゆ
え、電圧保持器13と18とが常に選択されていても、
前述のような積分標本値間の減算Sn−S(n-5)が行われ
る。このように、本実施例2に示すものは、最適なaの
値(例えば、上記のようにa=5)が予測出来得る測定
の場合に有効なものであり、実施例1に示すものに比べ
て、選択切換えスイッチ19及び20を省略することが
でき、かつ制御装置110による積分・標本化装置10
6、及び電圧保持器13、14、15、16、17及び
18の制御を簡単なものにすることができる。尚、もし
電圧保持器13と14が常に選択されるように構成すれ
ば、Sn−S(n-1)の減算が行われることは自明であり、
aの値と5と1との間での選択手段も容易に付設可能で
ある。
【0065】[実施例3]図6は本発明の第3の具体的
実施例である線形掃引ボルタンメトリィー装置のブロッ
ク回路図である。図7は図6に示した線形掃引ボルタン
メトリィー装置の各部の電気信号波形を示すタイミング
チャートである。実施例1と対応する部分には同一符号
を付して説明を省略する。また、図7においては、図3
のものと同様の部分は省略してある。尚、実施例1との
違いは、6個の積分・標本化装置106−1、106−
2、106−3、106−4、106−5及び106−
6にそれぞれ直列に接続した同数の電圧保持器13、1
4、15、16、17及び18を設けたことである。こ
こでは、図7のタイミングチャートに示した制御装置1
10からのクロック信号のB−1、B−2、B−3、B
−4、B−5及びB−6により、各積分・標本化装置1
06−1、106−2、106−3、106−4、10
6−5及び106−6においてそれぞれ図7の(b)−
1、(b)−2、(b)−3、(b)−4、(b)−5
及び(b)−6で示される出力信号が得られる。これら
の積分出力は図7の波形C、D、E、F、G及びHで示
される制御装置110からのクロック信号で各電圧保持
器に保持され、図7の(c)、(d)、(e)、(f)
(g)及び(h)に示される出力信号がそれぞれ得られ
る。これらの出力は第1の実施例と同様に選択切換えス
イッチ19及び20を介して減算処理装置109に導か
れ、それぞれ(d)−(c)、(e)−(d)、(f)
−(e)、(g)−(f)、(h)−(g)及び(c)
−(h)の差分値が順次各周期ごとに図7の波形(i)
で示される出力として現われる。ここで、前記の各積分
出力は、a個の周期ごとの積分期間を設けて得られたも
のであり、また積分開始時を1周期ずつずらしている。
このため、隣接する電圧保持器出力間の差分値を求めれ
ば、第1、第2の実施例と同様にSn−S(n-a)を出力信
号の波形(i)として求め得ることは自明のことであ
る。
【0066】本実施例3に示すものは、実施例1に示す
ものに比べて、互いに並列に接続されたa個の積分・標
本化装置を用いているので、a個の積分・標本化装置の
うち、例えば1個の積分・標本化装置に故障が生じて
も、標本化周期、掃引速度等の測定条件などを変更する
ことで測定を続行することができる。また、故障を生じ
た積分・標本化装置の取り替え作業等のボルタンメトリ
ィー装置のメンテナンス作業も容易なものとなる。
【0067】[実施例4]図8は本発明の第4の具体的
実施例である線形掃引ボルタンメトリィー装置をマイク
ロコンピュータなどのコンピュータシステム30により
実現した場合の各機構実現手段の間の関係を示した機能
ブロック図である。尚、実施例1との違いは、コンピュ
ータシステム30で印加電圧の制御から検出信号の後処
理、さらに算出値のプリント・アウトまでを行なう構成
にしたことである。図8において、線形掃引電圧発生手
段101’は、線形掃引電圧を発生し、切換え手段10
2’を介して、少なくとも3個の電極をもつ電解電流検
出手段103’に線形掃引電圧を出力する。また、線形
掃引電圧発生手段101’は、その出力した線形掃引電
圧値を当該装置の外部に設けられた記録計111’など
の記録・表示装置に供給する。切換え手段102’は、
線形掃引電圧発生手段101’と電解電流検出手段10
3’との間の接離を行い、線形掃引電圧発生手段10
1’と電解電流検出手段103’とを切り離している場
合に、電解電流検出手段103’内の作用電極9(図1
0)と参照電極8(図10)とを外部で短絡する。前記
の電解電流検出手段103’は、被検物質内に対極7
(図10)、作用電極9(図10)及び参照電極8(図
10)を設けた3電極方式をとるものであって、対極7
(図10)と作用電極9(図10)との間に線形掃引電
圧が印加された場合に、その作用電極9(図10)で検
出した電解電流を被検物質に対応した検出信号として出
力する。電流−電圧変換手段104’は、電解電流検出
手段103’から出力された電解電流の信号を電圧信号
に変換する。尚、線形掃引電圧発生手段101’、電解
電流検出手段103’及び電流−電圧変換手段104’
は、既知の3電極方式の直流ボルタンメトリィー装置の
ものと全く同一のものである。
【0068】高周波成分除去手段105’は、電流−電
圧変換手段104’から出力された電圧信号の高周波成
分を除去する。尚、この高周波成分除去手段105’
は、インビボ適用の場合の生体内部の活動電位によるノ
イズの除去を行うためのものであり、本発明の線形掃引
ボルタンメトリィーをインビトロ・ボルタンメトリィー
に適用する場合には、この高周波成分除去手段105’
を設ける必要はない。積分・標本化手段106’は、制
御手段110’で決定される、線形掃引電圧の期間を整
数で分割してなる均一な標本化周期に応じて、高周波成
分除去手段105’から出力された電圧信号を積分・標
本化し、電圧信号の積分値を標本値として標本化周期ご
とに記憶手段107’に順次出力する。記憶手段10
7’は、積分・標本化手段106’から出力される時系
列的に少なくとも3つの標本値を記憶する。選択手段1
08’は、記憶手段107’で記憶された少なくとも3
つの標本値のうち、2つの標本値を選択する。減算処理
手段109’は、選択手段108’により選択された2
つの標本値間の差分を減算処理により求め、その差分を
当該装置の外部に設けられた記録計111’などの記録
・表示装置に供給する。制御手段110’は、当該装置
の掃引期間を複数の均一な標本化周期に分割し、標本化
周期に応じて、積分・標本化手段106’、記憶手段1
07’及び選択手段108’を制御するための複数の制
御信号を、これらに与える。
【0069】また、本実施例では、上述のように、コン
ピュータシステム30を用いて、検出信号をディジタル
処理している。それゆえ実施例1から3の標本化周期を
さらに複数に細分化し、電解電流を、この細分化した周
期ごとに標本化・量子化したうえ、加算して実質上の積
分標本値にできうる。この原理について、図9を用いて
説明する。図9は本発明のボルタンメトリィーをコンピ
ュータシステムで実施した場合の基本原理の説明図であ
る。図において、曲線60は、線形掃引ボルタンメトリ
ィーの一次出力を示している。本実施例では、その掃引
期間をM*N個(Mは正の整数)の均一な一次標本化周
期に細分化し、各周期後との電解電流を標本化・量子化
してSを求める。これをn番目周期毎M個づつ加算して
N個の二次標本値(量子化電流値)としたのち、[n−
a]番目周期の均一な二次標本値S(n-a)とn番目周期
の二次標本値Snとの差分△Snを下記の数式1により求
める。
【0070】
【数1】
【0071】なお、SMn及びSM(n-a)はM*N番目及び
M*(N−a)番目の各周期の標本値を示している。
【0072】以下本実施例のさらに具体的な例を図10
を用いて説明する。図10は本発明の第4の具体的実施
例である線形掃引ボルタンメトリィー装置のブロック図
である。実施例1と対応する部分には同一符号を付して
説明を省略する。尚、図10において破線内に示す部分
が本実施例の特徴的部分である。図において、コンピュ
ータシステム30は上述の線形掃引電圧発生手段10
1’高周波成分除去手段105’、積分・標本化手段1
06’、記憶手段107’、選択手段108’、減算処
理手段109’、及び制御手段110’の機能を果た
す。コンピュータシステム30の中のCPU34は、R
OM36に格納されたプログラムにしたがって、以下の
動作を実行する。作用電極9からの電解電流の信号は電
流−電圧変換装置104で電圧に変換され、タイマー割
込み部37より発生する割込み要求に基づいて、例えば
16.7msec毎にサンプル・ホールド部31で標本
化される。この標本化出力は、A/D変換部32で量子
化され、ディジタル信号として、順次RAM35に収録
される。一方、入力スイッチ42で電圧掃引速度、掃引
方向、掃引初期値及び測定スタート等の測定条件を設定
し、これらの情報を入力インターフェイス33を介して
RAM35に収録する。次に、16.7msec毎にR
AM35に収録された前記の標本化出力は前記プログラ
ムによる演算処理の後、差分出力として、出力インター
フェイス40を介してグラフィック・プリンタ112に
出力されるか、あるいは通信ライン・インターフェイス
41を介して外部機器、例えば外部コンピュータ113
に導かれる。なお、制御信号送出部38は各部へクロッ
ク信号を送り出し、D/A変換器で構成される線形掃引
電圧発生部39は、線形掃引電圧を発生して、加算器3
を介し、対極7と作用電極9との間に、これを印加す
る。次に、上記装置のCPU34に指令を与えるためR
OM36に格納されている主なプログラムを図11及び
図12を用いて説明する。図11はメイン・ルーチンの
フローチャート、図12は割込み処理ルーチンのフロー
チャートが示されている。メイン・ルーチン(ステップ
1000)を実行中に16.7msec毎の割込み要求
が発生し、その都度実行中のプログラムを一次中断し、
この間に割込み処理ルーチン(ステップ1030)のプ
ログラムが実行されるが、その後、再び割込み発生前の
メイン・ルーチン(ステップ1000)のプログラム・
ステップに復帰するものとなっている。
【0073】1)メイン・ルーチン(ステップ100
0) 初期条件設定においてはRAM35におけるスタック・
ポインタ、レジスタ、データ収録領域等のセットが行な
われる(ステップ1001)。次に、割込み要求のイン
ターバルを16.7msecにセットする(ステップ1
002)。そして、RAM35内の掃引カウンタを0に
セットし(ステップ1003)、このカウンタの内容を
線形掃引電圧発生部39(D/A変換)へ送り込む(ス
テップ1004)。ここで、入力スイッチ42により設
定された各測定条件を状態レジスタに読み込み(ステッ
プ1005)、CPU34で測定スイッチがONかどう
かの判別を行う(ステップ1006)。そして、測定ス
イッチが“OFF”の状態にあれば再びステップ100
5に戻り、この間で測定開始を待つ。また、測定スイッ
チが“ON”になればRAM35におけるデータ収録領
域の先頭番地を指定し(ステップ1007)、データ収
録レジスタを”1”にセットする(ステップ100
8)。(この時点から測定が開始され、割込み処理ルー
チン側でデータの収集と電圧掃引が開始される。) 続いて、CPU34で測定スイッチがOFFかどうかの
判別を行い(ステップ1009)、測定スイッチが“O
FF”になれば、データ収集レジスタを“0”にセット
する(ステップ1010)。(これ以降、割込み処理ル
ーチン側はデータ収集および電圧掃引を停止して、1回
の測定を終了する)。次に、掃引カウンタを0にセット
し(ステップ1011)、カウンタの内容をD/A変換
器に送り込んで線形掃引電圧発生部39の出力を初期値
に戻す(ステップ1012)。続いて、RAM35には
1回の測定で収集した16.7msec毎の一次標本値
である測定データが収録済みであるが、一旦収録された
標本値は、一回の測定ごとに、波形処理によってノイズ
が除去される(ステップ1013)。例示のプログラム
では、公知のFIR方式によるディジタル・フィルタ
(0.5Hz.−30db/oct)で一次標本値の高
周波成分を除き、再びRAM35にノイズを除去した標
本値として収録する(ステップ1014)。本実施例で
は、この標本値をSとして、n番周期ごとの12ケの標
本値(S)をCPU34に読み出す(ステップ101
5)。そして、下記の数式2に基づいて、ノイズ除去後
の前標本値についてn番目の周期毎に12個(1例とし
て)単位で加算し、二次標本値Snを求める。
【0074】
【数2】
【0075】このSn値は、掃引期間の200msec
間で収録した12個の標本値を加算したものであり、R
AM35に収録する(ステップ1017)。次に、Sn
間の標本値の間隔数2を5とした場合の差分出力△Sn
=Sn−S(n-5)を求める。すなわち、S(n-5)値をRA
M35からCPU34に読み出し(ステップ101
8)、CPU34で差分処理;△S=Sn−S(n-5)を行
う(ステップ1019)。そして、その差分出力△Sn
をRAM35に収録する(ステップ1020)。続い
て、CPU34で全一次標本値の読み出しが終了してい
るかどうかの判別を行う(ステップ1021)。そし
て、全一次標本値の読み出しが終了していない場合は、
ステップ1015に戻り、終了している場合は、ステッ
プ1022へ移行する。ステップ1022においては、
1回の測定で収集し、演算した△Snよりピーク電位及
び波高値を読み取る演算を行ない、ステップ1023に
おいてグラフィック・プリンタは上記の各Sn値をY軸
に、Sn値に対応する線形掃引電圧値をX軸に順次描記
するとともに、ピーク電位及び波高値も同時にプリント
・アウトする。ステップ1023を実行後は再びステッ
プ1005に戻り、次回の測定開始を待つ。
【0076】2)割込み処理ルーチン(ステップ103
0) まず、CPU34でデータ収集レジスタが”1”かどう
かの判別を行う(ステップ1031)。そして、データ
収集レジスタが”0”の場合は、本ルーチンのプログラ
ムは全く実行されることなく割込み発生前のメイン・ル
ーチンのプログラム・ステップへ復帰する。また、デー
タ収集レジスタが”1”であれば、電解電流信号を1
6.7msec毎にサンプル・ホールド、すなわち標本
化する(ステップ1032)。次に、この標本化出力を
A/D変換器で量子化し(ステップ1033)、ディジ
タル信号としてRAM35に収録する(ステップ103
4)。そして、ステップ1035で掃引カウンタを更新
し、カウンタの内容をD/A変換器に送り込み(ステッ
プ1036)、線形掃引電圧発生部39の出力を1ステ
ップだけ上げた後、割込み発生前のメイン・ルーチンの
プログラム・ステップへ復帰する。
【0077】次にメイン・ルーチンのプログラム・ステ
ップ1022で述べたピーク電位及び波高値読みとり法
の一例を、ピーク電位および波高値読みとりルーチン
(1040)を示す図13のフローチャート(a)及び
波形図(b)によって以下に説明する。この方法は得ら
れたディジタル数値列(以下、原波形とよぶ)にそって
順次その傾きを調べることで、△Snの極大値Pをとる
位置bp(以下、ピーク位置bp)、立ち上がり位置b1
及び立ち下がり位置b2をさがし、ピーク位置bpの電位
をピーク電位Epとする。また、立ち上がり位置b1及び
立ち下がり位置b2にそれぞれ対応する原波形上での点
1及び点B2を通る直線B(以下、ベースB)を求め
て、ベースBにおけるピーク電位Epでの△Snの値Bp
(以下、ベース値Bp)を算出し、極大値Pからベース
値Bpを差し引いた値Hをピーク波高値とする。 3)ピーク電位および波高値読みとりルーチン(104
0) まず、対象とする原波形(差分ボルタモグラム)につい
て差分演算により微分波形を求める(ステップ104
1)。次に、この微分波形の符号が正から負に変化する
点をピーク位置bpと仮定し、このピーク位置bpがノイ
ズによるものではないことを検定して、ピーク位置bp
に基づいて原波形からピーク電位Epを検出する(ステ
ップ1042)。尚、本方法の場合、被検物質が既知で
ありピーク位置bpは予め想定されることから、ピーク
位置bpが予めプログラムされた許容幅内に検出されれ
ば、これを実際のピーク位置bpと認定し、原波形から
ピーク電位Epを検出する。これ以外はノイズとして排
除する。次に、微分波形及びその符号より立ち上がり位
置b1を検出し、立ち上がり位置b1に基づいて原波形か
ら立ち上がり電位E1を検出する(ステップ104
3)。また、微分波形及びその符号より立ち下がり位置
2を検出し、立ち下がり位置b2に基づいて原波形から
立ち下がり電位E2を検出する(ステップ1044)。
続いて、原波形からピーク電位Epでの極大値Pを検出
する(ステップ1045)。そして、立ち上がり位置b
1に対応する原波形上での点B1及び立ち下がり位置b2
に対応する原波形上での点B2を立ち上がり電位E1及び
立ち下がり電位E2によりそれぞれ検出し、点B1及び点
2を通るベースBを求める。そして、このべースBか
らピーク電位Epでのベース値Bpを検出する(ステップ
1046)。次いで、極大値Pからベース値Bpを差し
引いてピーク波高値Hを算出する(ステップ104
7)。その後、ピーク電位Ep及びピーク波高値Hをプ
リンタに出力する。
【0078】本実施例では、線形掃引ボルタンメトリィ
ーの感度向上を適当に隔てた周期の標本値間の差分処理
によって達成するとともに、コンピュータシステムの使
用で印加電圧の制御から信号の後処理、さらには算出値
のプリント・アウトまでを容易にすることができ、大き
な工業的効果が期待できる。
【0079】
【発明の効果】第1請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、積分・標本化手段が線形
掃引電圧の掃引期間を整数で分割してなる均一な標本化
周期に応じて、電解電流の信号を積分・標本化して標本
化周期ごとに時系列的に出力するので、各標本値での容
量性電流成分が全く同じ大きさとなる。そして、記憶手
段で記憶する少なくとも3つの時点での各標本値のう
ち、最適な2つの標本値間の差分、すなわちSn−S
(n-a)を減算処理手段で演算することにより、容量性電
流成分が除去される。その結果、ボルタモグラム作成の
際、正確な波高が得られる。
【0080】第2請求項の発明に係るボルタンメトリィ
ーにおいては、最適な2つの標本値Sn及びS(n-a)を選
択して、これらの標本値間の差分すなわち、Sn−S
(n-a)を線形掃引電圧の値に対してプロットするので、
検出信号の感度を向上する。
【0081】第3請求項の発明に係るボルタンメトリィ
ーにおいては、検出信号に含まれる生体内部の活動電位
によるノイズを除去するので、正確な定性分析、定量分
析が行える。
【0082】第4請求項の発明に係るボルタンメトリィ
ーにおいては、標本値間の差分を行なう際に、aの値を
選択できるので、検出信号の感度及び分離能が切換えら
れ、被検物質の分析が容易なものとなる。
【0083】第5請求項の発明に係るボルタンメトリィ
ーにおいては、作用電極と参照電極とを短絡することに
より、作用電極に付着した汚れを取除くことができ、ベ
ースラインの傾きを増大させないで被検物質の分析を容
易に行える。
【0084】第6請求項の発明に係る線形掃引ボルタン
メトリィー装置においては、選択手段が最適な2つの標
本値Sn及びS(n-a)を選択して、これらの標本値間の差
分すなわち、Sn−S(n-a)を線形掃引電圧値に対してプ
ロットするので、検出信号の感度を向上する。
【0085】第7請求項の発明に係る線形掃引ボルタン
メトリィー装置においては、高周波成分除去装置が検出
信号に含まれる生体内部の活動電位によるノイズを除去
するので、正確な定性分析、定量分析が行える。
【0086】第8請求項の発明に係る線形掃引ボルタン
メトリィー装置においては、選択切換えスイッチがaの
値を選択することにより、検出信号の感度及び分離能が
切換えられ、被検物質の分析が容易なものとなる。
【0087】第9請求項の発明に係る線形掃引ボルタン
メトリィー装置においては、1個の積分・標本化装置に
並列に接続された[a+1]個の電圧保持器が、互いに
標本化周期の順番が異なる標本値を保持するので、保持
された[a+1]個の標本値のうち2つの最適な標本値
を選択してその差分をとることができ、検出信号の感度
を向上する。
【0088】第10請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、a個の積分器それぞれに
直列に接続された電圧保持器が、互いに標本化周期の順
番が異なる標本値を保持するので、保持されたa個の標
本値のうち2つの最適な標本値を選択してその差分をと
ることができ、検出信号の感度を向上する。
【0089】第11請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、1個の積分・標本化装置
に直列に接続された[a+1]個の電圧保持器が、それ
ぞれその保持している標本値を標本化周期毎に後続の電
圧保持器に転送し、かつ標本化周期の順番が異なる標本
値を保持するので、保持された[a+1]個の標本値の
うち2つの最適な標本値を選択してその差分をとること
ができ、検出信号の感度を向上する。
【0090】第12請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、切換えスイッチが作用電
極と参照電極とを短絡することにより、作用電極に付着
した汚れを取除くことができ、ベースラインの傾きを増
大させないで被検物質の分析を容易に行える。
【0091】第13請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、参照電極が自己起電力を
有するAg/AgCl電極で構成されているので、参照
電極とか短絡された場合に、作用電極に付着した汚れが
取り除かれる。
【0092】第14請求項の発明に係るボルタンメトリ
ィーにおいては、電解電流をM*N個の細分化周期ごと
に標本化し、これらをディジタル信号に変換して得たM
個の個別標本値の和を、N個の各標本値Snとしている
ので、検出信号の処理回路を複雑なものにすることな
く、信号/ノイズ比を改善して、被検物質の分析が容易
なものとなる。
【0093】第15請求項の発明に係るボルタンメトリ
ィーにおいては、検出信号に含まれる生体内部の活動電
位によるノイズを除去するので、正確な定性分析、定量
分析が行える。
【0094】第16請求項の発明に係るボルタンメトリ
ィーにおいては、標本値間の差分を行なう際に、aの値
を選択できるので、検出信号の感度及び分離能が切換え
られ、被検物質の分析が容易なものとなる。
【0095】第17請求項の発明に係るボルタンメトリ
ィーにおいては、作用電極と参照電極とを短絡すること
により、作用電極に付着した汚れを取除くことができ、
ベースラインの傾きを増大させないで被検物質の分析を
容易に行える。
【0096】第18請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、電解電流をM*N個の細
分化周期ごとに標本化し、これらをディジタル信号に変
換して得たM個の個別標本値の和を、N個の各標本値S
nとしているので、検出信号の処理回路を複雑なものに
することなく、信号/ノイズ比を改善して、被検物質の
分析が容易なものとなる。
【0097】第19請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、メモリィ装置に高周波成
分を除去する波形処理プログラムが記憶されているの
で、検出信号に含まれる生体内部の活動電位によるノイ
ズを除去することができ、正確な定性分析、定量分析が
行える。
【0098】第20請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、メモリィ装置にボルタモ
グラムから各ピーク電位及び波高値を算出するプログラ
ムが格納されているので検出信号の処理回路を複雑なも
のにすることなく、ボルタモグラムからピーク電位及び
波高値を算出する。
【0099】第21請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、通信ライン・インターフ
ェイス部が設けられていて2つの標本値の差分を外部機
器に出力する。
【0100】第22請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、切換えスイッチが作用電
極と参照電極とを短絡することにより、作用電極に付着
した汚れを取除くことができ、ベースラインの傾きを増
大させないで被検物質の分析を容易に行える。
【0101】第23請求項の発明に係る線形掃引ボルタ
ンメトリィー装置においては、参照電極が自己起電力を
有するAg/AgCl電極で構成されているので、参照
電極とか短絡された場合に、作用電極に付着した汚れが
取除かれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の線形掃引ボルタンメトリィーに使用
する装置の基本構成を示す説明図。
【図2】この発明の第1の具体的実施例である線形掃引
ボルタンメトリィー装置のブロック回路図。
【図3】この発明の第1の具体的実施例である線形掃引
ボルタンメトリィー装置のタイミングチャート。
【図4】この発明の第2の具体的実施例である線形掃引
ボルタンメトリィー装置のブロック回路図。
【図5】この発明の第2の具体的実施例である線形掃引
ボルタンメトリィー装置のタイミングチャート。
【図6】この発明の第3の具体的実施例である線形掃引
ボルタンメトリィー装置のブロック回路図。
【図7】この発明の第3の具体的実施例である線形掃引
ボルタンメトリィー装置のタイミングチャート。
【図8】この発明の第4の具体的実施例である線形掃引
ボルタンメトリィー装置の機能ブロック図。
【図9】この発明の第4の具体的実施例である線形掃引
ボルタンメトリィー装置の基本原理を示す説明図。
【図10】この発明の第4の具体的実施例である線形掃
引ボルタンメトリィー装置のブロック図。
【図11】この発明の第4の具体的実施例である線形掃
引ボルタンメトリィー装置に使用するプログラムのメイ
ン・ルーチンを示すフローチャート。
【図12】この発明の第4の具体的実施例である線形掃
引ボルタンメトリィー装置に使用するプログラムの割り
込み処理ルーチンを示すフローチャート。
【図13】この発明の第4の具体的実施例である線形掃
引ボルタンメトリィー装置によるピーク電位及び波高値
の読み取り法の1例を示す説明図。
【図14】ラットの脳内アミンを検出したボルタモグラ
ム。
【図15】従来のディファレンシャル・パルス・ボルタ
ンメトリィー装置の回路構成を示すブロック回路図。
【符号の説明】
4、5 切換えスイッチ、7 対極、8 参照電極、9
作用電極、13〜18 電圧保持器、19、20 選
択切換えスイッチ、31 サンプルホールド部、32
A/D変換部、33 入力インターフェイス、34 C
PU、35 RAM、36 ROM、37 タイマー入
力部、38 制御信号送出部、39 線形掃引電圧発生
部、40 出力インターフェイス、41 通信インター
フェイス、101 線形掃引電圧発生装置、102 切
換え装置、103 電解電流検出装置、104 電流−
電圧変換装置、105 高周波成分除去装置、106
積分・標本化装置、107 記憶装置、108 選択装
置、109 減算処理装置、110 制御装置、10
1’ 線形掃引電圧発生手段、102’ 切換え手段、
103’ 電解電流検出手段、104’ 電流−電圧変
換手段、105’ 高周波成分除去手段、106’ 積
分・標本化手段、107’ 記憶手段、108’ 選択
手段、109’ 減算処理手段、110’ 制御手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−69394(JP,A) 特開 昭56−16866(JP,A) 特開 昭60−178347(JP,A) 特開 昭60−71946(JP,A) 特公 昭56−11107(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/26 - 27/49 A61B 5/05 A61B 5/145

Claims (23)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線形掃引電圧を発生する線形掃引電圧発
    生手段、 被検物質内に設けられる対極、作用電極及び参照電極を
    有し、前記線形掃引電圧が前記対極と前記作用電極との
    間に印加された場合に、電解電流を前記作用電極で検出
    する電解電流検出手段、 前記電解電流の信号を、前記線形掃引電圧の掃引期間を
    整数で分割してなる均一な標本化周期に応じて、積分・
    標本化して前記標本化周期ごとに標本値を出力する積分
    ・標本化手段、 前記積分・標本化手段から時系列的に出力される少なく
    とも3つの時点での各標本値を記憶する記憶手段、及び
    前記記憶手段に記憶された少なくとも3つの標本値のう
    ち、2つの標本値の間の差分を減算処理により求め、そ
    の差分を当該手段の外部に設けられた記録・表示装置に
    供給する減算処理手段、 を具備したことを特徴とする線形掃引ボルタンメトリィ
    ー装置。
  2. 【請求項2】 線形掃引ボルタモグラムの一次出力(電
    圧−電流曲線)の線形掃引電圧の掃引期間をN個(但
    し、Nは正の整数)の均一な標本化周期に分割して、前
    記各標本化周期ごとに電解電流を積分・標本化し、n番
    目(nは1からNまでの任意の整数)の周期の標本値S
    nと[n−a]番目(aは1以上でNより充分小さく選
    択した任意の整数)の周期の標本値S(n-a)との間の
    差、すなわちSn−S(n-a)を線形掃引電圧の値に対して
    プロットしボルタモグラムを求めること、を特徴とする
    ボルタンメトリィー。
  3. 【請求項3】 前記一次出力から高周波成分を除去した
    うえ、前記積分・標本化処理を施すこと、を特徴とする
    請求項2に記載のボルタンメトリィー。
  4. 【請求項4】 前記整数aの値を選択する操作により感
    度及び分離能の切換えを行うこと、を特徴とする請求項
    2に記載のボルタンメトリィー。
  5. 【請求項5】 参照電極として自己起電力を有する電極
    を用い、ボルタンメトリィー実施直前の短時間、作用電
    極と前記参照電極とを外部で短絡しておくこと、を特徴
    とする請求項2に記載のボルタンメトリィー。
  6. 【請求項6】 被検物質内に作用電極、対極及び参照電
    極を設けた3電極方式により、前記作用電極と前記対極
    との間に線形掃引電圧を印加して前記作用電極から電解
    電流を検出し、これを電圧に変換する線形掃引ボルタン
    メトリィー装置において、 a) 前記線形掃引電圧を発する線形掃引電圧発生装
    置、 b) 掃引期間をN個(但し、Nは正の整数)の均一な
    標本化周期に分割し、かつ制御信号を発生する制御装
    置、 c) 前記電解電流を変換して得た電圧を前記制御信号
    にもとづき前記各標本化周期または各a個の周期ごとに
    積分して電圧積分値を出力する1個またはa個(但しa
    は1以上でNより充分小さく選択した任意の整数)の積
    分・標本化装置、 d) 前記制御信号にもとづき前記積分・標本化装置の
    出力を個別に保持する[a+1]個(積分・標本化装置
    1個が各周期ごとに積分する場合)またはa個(a個の
    積分・標本化装置が各a個の周期ごとに積分する場合)
    の電圧保持器、 e) 前記制御信号にもとづき前記電圧保持器から、N
    個の前記標本化周期のうちn番目周期の標本値Sn及び
    N個の前記標本化周期のうち[n−a]番目周期の標本
    値S(n-a)をそれぞれ保持している2個の前記電圧保持
    器を選択し、それらの保持値を出力させる選択手段、及
    び f) 前記制御信号にもとづき前記2個の保持値間の差
    分を減算処理により求め、その差分の出力を記録計また
    は表示装置に供給する減算処理装置、 を具備したことを特徴とする線形掃引ボルタンメトリィ
    ー装置。
  7. 【請求項7】 前記積分・標本化装置の前段に高周波成
    分除去装置が備えられていることを特徴とする請求項6
    に記載の線形掃引ボルタンメトリィー装置。
  8. 【請求項8】 前記選択手段が、選択切換えスイッチで
    あることを特徴とする請求項6に記載の線形掃引ボルタ
    ンメトリィー装置。
  9. 【請求項9】 前記積分・標本化装置が、前記電圧を逐
    次積分したのち各周期の終りごとに前記制御信号によっ
    て、リセットされる単一の積分・標本化装置であり、か
    つ前記[a+1]個の電圧保持器が一括して前記積分・
    標本化装置に接続されていること、を特徴とする請求項
    6、請求項7及び請求項8のいずれかに記載の線形掃引
    ボルタンメトリィー装置。
  10. 【請求項10】 前記積分・標本化装置が、それぞれ前
    記電圧を積分したのち各a個の周期の終りごとに前記制
    御信号によって、リセットされ、かつ1周期ずつ遅れて
    逐次動作するa個の積分・標本化装置であって、それぞ
    れ前記a個の電圧保持器と個別に接続されていること、
    を特徴とする請求項6、請求項7及び請求項8のいずれ
    かに記載の線形掃引ボルタンメトリィー装置。
  11. 【請求項11】 前記積分・標本化装置が、前記電圧を
    逐次積分したのち各周期の終りごとに前記制御信号によ
    ってリセットされる単一の積分・標本化装置であり、か
    つ前記[a+1]個の電圧保持器が、それぞれ、その保
    持値を各周期ごとに後続の保持器に転送し前段の保持値
    を保持する機能を有し、かつこの機能を遂行するため前
    記積分・標本化装置に対して直列に接続されており、ま
    た前記選択手段が、前記保持器のうち、第1番目及び第
    [a+1]番目の保持器を常時選択するように構成され
    たものであること、を特徴とする請求項6及び請求項7
    のいずれかに記載の線形掃引ボルタンメトリィー装置。
  12. 【請求項12】 参照電極として自己起電力を有する電
    極を用い、当該参照電極の端子を、インピーダンス変換
    器の入力端子及び前記作用電極の端子のいずれかに切換
    える切換えスイッチを設けたこと、を特徴とする請求項
    6に記載の線形掃引ボルタンメトリィー装置。
  13. 【請求項13】 前記参照電極がAg/AgCl電極で
    あること、を特徴とする請求項12に記載の線形掃引ボ
    ルタンメトリィー装置。
  14. 【請求項14】 線形掃引ボルタモグラムの一次出力
    (電圧−電流曲線)の線形掃引電圧の掃引期間をN個
    (但し、Nは正の整数)の均一な標本化周期に分割し
    て、前記各標本化周期ごとに電解電流を積分・標本化
    し、n番目(nは1からNまでの任意の整数)の周期の
    標本値Snと[n−a]番目(aは1以上でNより充分
    小さく選択した任意の整数)の周期の標本値S(n-a)
    の間の差、すなわちSn−S(n-a)を線形掃引電圧の値に
    対してプロットしボルタモグラムを求めるボルタンメト
    リィーにおいて、 前記各標本化周期をさらにM個(但し、Mは正の整数)
    の均一な細分化周期に分割し、上記電解電流をこの各細
    分化周期ごとに標本化し、これらをディジタル信号に変
    換して得たM個の個別標本値の和を上記の各標本値Sn
    としたこと、を特徴とするボルタンメトリィー。
  15. 【請求項15】 前記個別標本値から高周波成分を除去
    したうえ、前記M個の個別標本値の和をとる加算処理を
    施すこと、を特徴とする請求項14に記載のボルタンメ
    トリィー。
  16. 【請求項16】 前記整数aの値を選択する操作により
    感度及び分離能の切換えを行うこと、を特徴とする請求
    項14に記載のボルタンメトリィー。
  17. 【請求項17】 参照電極として自己起電力を有する電
    極を用い、ボルタンメトリィー実施直前の短時間、作用
    電極と前記参照電極とを外部で短絡しておくこと、を特
    徴とする請求項14に記載のボルタンメトリィー。
  18. 【請求項18】 被検物質内に作用電極、対極及び参照
    電極を設けた3電極方式により、前記作用電極と前記対
    極との間に線形掃引電圧を印加して前記作用電極から電
    解電流を検出し、これを電圧に変換する線形掃引ボルタ
    ンメトリィー装置において、 a) 前記線形掃引電圧を発する線形掃引電圧発生器、 b) 掃引期間をM*N個(但し、M及びNは各々正の
    整数)の均一な一次標本化周期に分割し、かつ制御信号
    を発する制御信号送出部、 c) 前記電圧に変換された電解電流を前記制御信号に
    もとづきM*Nの前記一次標本化周期ごとに標本化する
    サンプル・ホールド部、 d) 前記制御信号にもとづき前記サンプル・ホールド
    部の出力を量子化するアナログ・ディジタル変換器、 e) 前記制御信号にもとづき前記アナログ・ディジタ
    ル変換器出力をn番(nはlからNまでの任意の整数周
    期ごとにM個ずつ加算して求めたN個の二次標本値(S
    1 〜 SN)、前記二次標本値間の差分、Sn−S
    (n-a)[但し、Snはn番目周期の二次標本値、S(n-a)
    [n−a]番目(aは1以上でNより充分小さい整数)
    周期の二次標本値を、それぞれ表わす]の演算結果、お
    よび上記ボルタンメトリィーのための測定条件と装置の
    作動状態を示す状態信号を格納する随時書き込みメモリ
    ィ装置、 f)前記制御信号にもとづきプログラムを実行するタイ
    マー割込み機能を付加されたマイクロプロセッサ部、 g) 前記制御信号にもとづき前記測定条件を読みだ
    し、前記マイクロプロセッサ部に入力するためのインタ
    ーフェイス部、 h) 前記制御信号にもとづき上記Sn−S(n-a)の演算
    結果を掃引電圧値とともに、線形掃引電圧値に応じて順
    次出力する出力インターフェイス部、および i) 前記制御信号にもとづき上記a)〜h)の各要素
    を逐次的に制御する前記プログラムを格納したメモリィ
    装置、 を具備したことを特徴とする線形掃引ボルタンメトリィ
    ー装置。
  19. 【請求項19】 前記メモリィ装置に、前記一次標本値
    から高周波成分を除去する波形処理プログラムが格納さ
    れていること、を特徴とする請求項18に記載の線形掃
    引ボルタンメトリィー装置。
  20. 【請求項20】 前記メモリィ装置に、前記Sn−S
    (n-a)の演算結果を用いてボルタモグラムより各ピーク
    電位及び波高値を算出するプログラムが格納されている
    こと、を特徴とする請求項18に記載の線形掃引ボルタ
    ンメトリィー装置。
  21. 【請求項21】 さらに外部機器と接続可能な通信ライ
    ン・インターフェイス部をそなえていること、を特徴と
    する請求項18に記載の線形掃引ボルタンメトリィー装
    置。
  22. 【請求項22】 参照電極として自己起電力を有する電
    極を用い、該参照電極端子を、インピーダンス変換器入
    力端子および作用電極端子のいずれかに切り替えるため
    の切換えスイッチを備えたこと、を特徴とする請求項1
    8に記載の線形掃引ボルタンメトリィー装置。
  23. 【請求項23】 前記参照電極がAg/AgCl電極で
    あること、を特徴とする請求項22に記載の線形掃引ボ
    ルタンメトリィー装置。
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