JP3435085B2 - 集電コイルを利用した磁気ダンピング発生装置 - Google Patents

集電コイルを利用した磁気ダンピング発生装置

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  • Control Of Vehicles With Linear Motors And Vehicles That Are Magnetically Levitated (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、超電導磁気浮上鉄
道における集電コイルを利用した磁気ダンピング発生装
置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、このような分野の技術に関する参
考文献としては、以下に挙げるようなものがあった。 (1)藤原、山口:「誘導反発形磁気浮上方式における
磁気ダンピング」、電気学会交通・電気鉄道リニアドラ
イブ合同研究会資料、LD−92−55,pp.47−
64(1992.7) (2)橋本、大橋、平根:「超電導磁気浮上鉄道におけ
るアクティブダンパーコイル設置効果についての基礎検
討」、平成10年電気学会産業応用部門全国大会、p
p.321−322(1998.8) (3)村井、長谷川、藤原:「側壁浮上方式における誘
導集電の特性改善」、電気学会学論文誌、Vol.11
7−D,No.1,pp.81−90(1997.1) (4)藤原:「誘導集電方式を利用したダンピング特
性」、鉄道総研報告、第2巻第6号,pp.10−16
(1988.6) 従来、超電導磁気浮上式鉄道の車両支持方式である誘導
式磁気浮上方式において、超電導コイルと浮上コイルの
みでは、磁気ダンピングが負になることが指摘されてお
り、それを改善するための種々の方策が検討されてき
た。 【0003】図9にその一つであるパッシブ磁気ダンパ
ーの構成図を示す。 【0004】この図において、111は浮上コイル、1
21は金属板、122は超電導コイル、a0 は超電導コ
イル122の長さ、a1 は浮上コイル111の長さ、τ
は超電導コイル122のピッチ、τ1 は浮上コイル11
のピッチを示している。なお、浮上コイル111は地
上側に配置され、金属板121と超電導コイル122は
車両側に配置される。 【0005】このパッシブ磁気ダンパーは、車両の振動
に伴い発生する浮上コイル111の磁界変動を利用し
て、車両側の金属板121に渦電流を誘導し、振動エネ
ルギーを吸収するものである。構造が単純であるととも
に、超電導磁石外槽がその機能を兼用することもできる
が、十分なエネルギーを吸収するだけの電流を流すこと
が難しい。 【0006】図10に他の従来例である専用コイルを利
用したアクティブ磁気ダンパー(専用コイル方式と呼
ぶ)の構成図を示す。 【0007】この図において、112は浮上コイル、1
23は専用ダンパーコイル、124は超電導コイルであ
る。なお、浮上コイル112は地上側に配置され、専用
ダンパーコイル123と超電導コイル124は車両側に
配置される。 【0008】このアクティブ磁気ダンパーは、車両側に
専用ダンパーコイル123を超電導コイル124の極ピ
ッチに対応して配置して、振動を抑制する力を発生する
ように電流を制御電源(図示なし)から流すものであ
る。制御によって、任意にまた大きなダンピング力を発
生することができるが、制御電源と専用ダンパーコイル
123等が必要であるため、コストの上昇が著しい。ま
た、超電導磁気浮上式鉄道において、制約の大きい実空
隙に新たな専用ダンパーコイル123を置くことはあま
り現実的でない。 【0009】図11に他の従来例である集電コイルを利
用したアクティブ磁気ダンパー(力率制御方式と呼ぶ)
の構成図を示す。 【0010】この図において、113は浮上コイル、1
25は集電コイル、126は超電導コイルである。 2
は集電コイル125の長さ、τ 2 は集電コイル125の
ピッチを示している。なお、浮上コイル113は地上側
に配置され、集電コイル125と超電導コイル126は
車両側に配置される。 【0011】このアクティブ磁気ダンパーは、浮上コイ
ル113の高調波磁界を利用して高速時に非接触で車上
に電力を供給する誘導集電装置を磁気ダンパーとして兼
用するものである。従来、この装置における集電コイル
125は、速度起電力として利用する空間高調波磁界に
対応した均一なピッチで磁石端部から規則的に配置され
ている。本装置にて集電電力となる集電コイル125
有効電流が作る高調波磁界が磁気抗力を発生する一方、
その無効電流が作る高調波磁界は上下力を発生するの
で、この集電コイル125に、速度起電力に対する有効
電流を通電して、車上に電力を得る一方、車両振動に比
例した無効電流を通電することによって、車両振動を低
減するようにしていた。なお、無効電流を流すために
は、力率改善及び電力制御用コンバータにて集電回路の
力率を車両振動に合わせて変化させていた。そのため、
ダンピングのための専用コイル及び電源が不要である。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た誘導集電装置を利用した磁気ダンパーでは、発生する
ダンピング力があまり大きくないという欠点があった。 【0013】本発明は、上記問題点を除去し、コストの
上昇を抑えながら、発生するダンピング力を向上させ得
る集電コイルを利用した磁気ダンピング発生装置を提供
することを目的とする。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 〔1〕超電導磁気浮上鉄道における集電コイルを利用し
た磁気ダンピング発生装置において、車両に搭載される
超電導コイルの極ピッチに対応して、車両に搭載される
集電コイルが逆相となるように配置して、この集電コイ
ルに車両振動に比例した零相電流を通電することによ
り、車両の振動を低減するようにしたものである。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。 【0016】図1は本発明に係る誘導集電装置の基本構
成図であり、図1(a)はその横断模式図、図1(b)
は図1(a)のA部拡大図である。 【0017】図1において、1は車両、2は台車、3は
その台車に設けられる超電導磁石低温容器外槽、4は
その超電導磁石低温容器外槽内に配置される超電導コ
イル、5はその超電導磁石低温容器外槽表面に設けら
れる集電コイル、6は力率改善及び電力制御用コンバー
タ、7は蓄電池、8は車内負荷、10は軌道、11はそ
の軌道10に配置される浮上コイルである。 【0018】ここで、図1(b)に示すように、超電導
コイル4によって生じる移動磁界は浮上コイル11に作
用して、車両1は浮上される。また、浮上コイル11に
よって生じる高調波磁界は、集電コイル5に速度起電力
を発生し、この速度起電力は、集電コイル5に電流を発
生させるが、コンバータ6によって、その集電コイル電
流の力率及び振幅を制御して、車内負荷8及び蓄電池7
に電力を供給する。 【0019】図2は本発明に係る誘導集電装置の改良さ
れたコイル配置を示す図である。 【0020】このコイル配置では、集電コイル5を、従
来配置と同様に、利用したい空間高調波磁界に対して3
相電圧を発生するように接続し、かつ、超電導コイル4
の極ピッチに対応して、集電コイル5を逆相に接続して
いる。そのため、従来配置と同様に、3相電流が流れ
て、集電電力を得ることができる。なお、車両1の振動
は超電導コイル4の振動となるので、その超電導コイル
4の移動磁界にその振動成分も含まれ、その振動成分が
含まれた移動磁界が浮上コイル11で受けられる。その
浮上コイル11によって発生する高周波磁界にもその振
動成分が含まれ、その振動成分を含む高周波磁界を集電
コイル5で受けることになる。したがって、集電コイル
5では、車両振動に比例した零相電流を得ることができ
る。 【0021】またこの3相電流に、車両振動を低減させ
るための零相(0相)電流を重畳すれば、専用ダンパー
コイルを持つアクティブ磁気ダンパーと同様な極ピッチ
に対応した磁界を発生させることができ、大きなダンピ
ング力を得ることができる(零相制御方式と呼ぶ)。 【0022】なお、集電コイル5に零相電流を通電する
ためには、従来、力率改善または電力制御用として使用
していたコンバータ6に、その機能を追加すれば良い。 【0023】また、図2において、τ2uは集電コイルU
相のピッチであり、その他のコイルの寸法は、図9に示
したものと同様である。 【0024】以下、本発明の集電コイルを利用した磁気
ダンピング発生装置について詳細に説明する。 【0025】表1はその1実施例である各コイルの諸元
を示す。 【0026】 【表1】【0027】ここで、集電コイルの巻数は、各相の誘導
電圧がほぼ同じになるように調整している。以下の特性
計算は、特に断らない限り、本諸元を使用する。 【0028】なお、超電導磁石低温容器外槽3は、外槽
に発生する渦電流が集電コイルに影響を与えて集電電
力が低減しないように、例えば、図3に示すように、超
電導コイル4内部に超電導コイル1個当たり3つの貫通
穴3A,3B,3Cが形成されている。 【0029】この超電導磁石低温容器外槽3の各部の寸
法は、因みに、超電導磁石低温容器外槽3の縦L1 は7
00mm、超電導磁石低温容器外槽3の横L2 は極ピッ
チである1350mm、貫通穴3A〜3Cの縦L3 は3
00mm、左側の貫通穴3A及び右側の貫通穴3Cの横
4 は220mm、中央の貫通穴3Bの横L5 は200
mm、貫通穴3Aと貫通穴3Bの間隔及び貫通穴3Bと
貫通穴3Cの間隔L6は50mmである。 【0030】図4は浮上コイルに流れる電流によって超
電導磁石低温容器外槽に発生する渦電流を考慮した集電
コイル各相の速度起電力の速度特性を示す図であり、横
軸に車両の速度(km/h)、縦軸に誘導電圧(V/台
車)を示している。 【0031】図5は集電コイルに流れる電流によって超
電導磁石低温容器外槽に発生する渦電流を考慮した集電
コイル各相の等価抵抗の速度特性を示す図であり、横軸
に車両の速度(km/h)、縦軸に抵抗(Ω/台車)を
示している。 【0032】図6は集電コイルに流れる電流によって超
電導磁石低温容器外槽に発生する渦電流を考慮した集電
コイル各相の等価インダクタンスの速度特性を示す図で
あり、横軸に車両の速度(km/h)、縦軸にインダク
タンス(mH/台車)を示している。 【0033】図7は本発明の集電コイルの配置における
集電電力の速度特性を示すであり、横軸に車両の速度
(km/h)、縦軸に集電電力(kW/台車)を示して
いる。。なお、同図にVW相と同一形状で360mmの
均一ピッチで配置された従来配置における集電電力も示
す。 【0034】U相コイルの数量及び形状は、VW相と異
なるため、等価インダクタンスが異なるが、巻数を調整
することによって、ほぼ同一な誘導電圧及び抵抗を得る
ことができる。ここで、力率1制御時の集電コイル電流
及び集電電力は、集電コイルのインダクタンスに関係な
いので、集電コイル各相の電流及び電力もほぼ同一とな
る。そのため、最終的に得られる集電電力は、従来配置
と同等な集電電力が得られる。 【0035】図8は本発明に係る集電コイルに100A
rmsの零相電流を通電した時に発生するダンピング力
の速度特性を示す図であり、横軸に車両の速度(km/
h)、縦軸に上下力(kN)を示している。 【0036】なお、同図にVW相と同一形状で360m
mの均一ピッチで配置された集電コイル配置に100A
rmsの無効電流を通電した時に発生するダンピング力
(従来の力率制御方式)、専用ダンパーコイルに100
Armsの制御電流を通電した時に発生するダンピング
力(従来の専用コイル方式)を示す。 【0037】本発明に係る零相制御方式によるダンピン
グ力は、従来の専用コイル方式の70%、集電コイルを
利用した従来の力率制御方式の約4倍となっている。 【0038】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、これらを本発明の範囲から排除するものではな
い。 【0039】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、超電導磁気浮上式鉄道における集電コイルを利
用したダンピング発生装置において、集電コイル配置を
改良した、零相電流を通電する方法を採用したので、 (1)従来の専用コイル方式のようなコストの上昇及び
非現実的な方式を採用することなく、集電コイル配置を
利用してダンピング力を得ることにより、略従来の専用
コイル方式に匹敵する誘導集電電力を確保することがで
きる。 (2)従来の力率制御方式の約4倍のダンピング力を発
生することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る誘導集電装置の基本構成図であ
る。 【図2】本発明に係る誘導集電装置の改良されたコイル
配置を示す図である。 【図3】本発明に係る誘導集電装置の超電導磁石外槽の
1形状を示す図である。 【図4】本発明に係る浮上コイルに流れる電流によって
超電導磁石外槽に発生する渦電流を考慮した集電コイル
各相の速度起電力の速度特性図である。 【図5】本発明に係る集電コイルに流れる電流によって
超電導磁石外槽に発生する渦電流を考慮した集電コイル
各相の等価抵抗の速度特性図である。 【図6】本発明に係る集電コイルに流れる電流によって
超電導磁石外槽に発生する渦電流を考慮した集電コイル
各相の等価インダクタンスの速度特性図である。 【図7】本発明における集電電力の速度特性図である。 【図8】本発明に係る100Armsの零相電流を通電
した時に発生するダンピング力の速度特性図である。 【図9】従来の磁気ダンピング発生装置の一つであるパ
ッシブ磁気ダンパーの構成図である。 【図10】従来の磁気ダンピング発生装置の一つである
専用コイルを利用したアクティブ磁気ダンパーの構成図
である。 【図11】従来の集電コイルを利用したアクティブ磁気
ダンパーの構成図である。 【符号の説明】 1 車両 2 台車 3 超電導磁石低温容器外槽 3A,3B,3C 貫通穴 4 超電導コイル 5 集電コイル 6 力率改善及び電力制御用コンバータ 7 蓄電池 8 車内負荷 10 軌道 11 浮上コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 俊輔 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財 団法人 鉄道総合技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−190503(JP,A) 特開 平3−150005(JP,A) 特開 平4−67701(JP,A) 特開 平6−284507(JP,A) 特開 平9−191502(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60L 13/02 - 13/10 B61B 13/06 B61B 13/08 B61B 13/12

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 超電導磁気浮上鉄道における集電コイル
    を利用した磁気ダンピング発生装置において、 車両に搭載される超電導コイルの極ピッチに対応して、
    車両に搭載される集電コイルが逆相となるように配置し
    て、該集電コイルに車両振動に比例した零相電流を通電
    することを特徴とする集電コイルを利用した磁気ダンピ
    ング発生装置。
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