JP3433138B2 - ポリテトラフルオロエチレン薄膜及びその作製方法 - Google Patents
ポリテトラフルオロエチレン薄膜及びその作製方法Info
- Publication number
- JP3433138B2 JP3433138B2 JP18563999A JP18563999A JP3433138B2 JP 3433138 B2 JP3433138 B2 JP 3433138B2 JP 18563999 A JP18563999 A JP 18563999A JP 18563999 A JP18563999 A JP 18563999A JP 3433138 B2 JP3433138 B2 JP 3433138B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- substrate
- chamber
- thin film
- ptfe
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
Description
ロエチレン薄膜の作製方法に関し、特に、分子鎖の長軸
方向が下地表面に対してほぼ垂直であるポリテトラフル
オロエチレン薄膜の作製方法に関する。
等の研究が盛んに行われている。有機薄膜を構成する各
分子の機能を有効に利用するために、各分子を一定方向
に規則的に配列させることが好ましい。このため、分子
配向性を制御できる薄膜作製技術の確立が望まれてい
る。
となる結晶の種類、成長時の基板温度、蒸着速度等に依
存することが知られている。一般に、イオン性結晶の基
板の上に有機薄膜を蒸着する場合には、基板の結晶構造
の対称性を反映して、2回回転対称や4回回転対称構造
を持つ配向膜が得られることが多い。有機薄膜を用いた
光素子や記録素子を実現するためには、対称構造配向膜
よりもむしろ一軸配向膜の方が適している。このため、
一軸配向膜の作製技術の確立が重要となる。
面に対して平行に配向したポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)膜の作製方法は、従来から知られている。
ところが、分子鎖の長軸が基板面に対してほぼ垂直に立
っているPTFE膜を作製する技術は知られていない。
垂直配向したPTFE膜上に有機薄膜を形成すると、そ
の有機薄膜は一軸配向し、薄膜の光電気特性や非線形光
学特性が向上すると思われる。
表面に対して立っているPTFE膜及びその製造方法を
提供することである。
と、下地部材と、前記下地部材の表面上に形成され、分
子鎖の長軸方向が下地表面に対してほぼ垂直であるポリ
テトラフルオロエチレン膜とを有する部材が提供され
る。
垂直であるポリテトラフルオロエチレン膜は、一軸配向
と考えることができる。その上に有機薄膜を形成する
と、一軸配向の有機薄膜を得ることができる。
に、下地部材とポリテトラフルオロエチレン母材を配置
し、該真空容器内を排気する工程と、前記下地部材を、
250〜330℃の範囲内の温度まで加熱する工程と、
前記ポリテトラフルオロエチレン母材をヒータで加熱し
てその一部を蒸発させ、前記下地部材の表面上にポリテ
トラフルオロエチレンからなる薄膜を形成する工程とを
有するポリテトラフルオロエチレン薄膜の作製方法が提
供される。
真空蒸着すると、分子鎖の長軸方向が基板面に対してほ
ぼ垂直になったPTFE膜が得られる。
るPTFE膜作製装置の概略図を示す。成膜チャンバ1
0内に、ターゲット保持台11が配置されている。ター
ゲット保持台11に対向する位置に基板保持台14が配
置されている。両者の間隔は約3cmである。ターゲッ
ト保持台11にPTFEの母材(ターゲット)12が保
持される。ターゲット保持台11内に配置されたヒータ
13により母材12が加熱される。基板保持台14に下
地基板15が保持される。基板保持台14内に配置され
たヒータ16により、下地基板15が加熱される。
動子型の膜厚計17が配置されている。膜厚計17は、
堆積するPTFE膜の厚さを常時観測することができ
る。排気管18を介して成膜チャンバ10内が真空排気
される。
について説明する。基板保持台14で下地基板15を保
持し、ターゲット保持台11でPTFE母材12を保持
する。実施例で用いた下地基板15は、厚さ400μm
のシリコン基板である。成膜チャンバ10内を、圧力1
×10-6Torrまで真空排気し、下地基板15を加熱
する。下地基板15の温度は、70℃〜265℃の範囲
とした。PTFE母材12を550℃まで加熱する。P
TFE母材12の一部が蒸発し、下地基板15の表面上
にPTFE膜が堆積する。
膜を、赤外吸光分光により分析した。以下、分析結果に
ついて説明する。
FE膜の赤外線吸収スペクトルを示す。図中の曲線a
は、赤外線の入射角を基板に対して80°とした場合の
吸収スペクトルを示し、曲線bは、赤外線を垂直入射し
た場合(入射角が0°の場合)の吸収スペクトルを示
す。
ピーク(A2(2)バンドのピーク)及び波数約529
cm-1に現れているピーク(A2(3)バンドのピー
ク)は、分子鎖の長軸方向に平行な振動に起因する吸収
に対応する。曲線bに現れているA2(2)及びA2
(3)バンドのピークは、非常に小さい。曲線a及びb
から、分子鎖の長軸方向が基板面に対してほぼ垂直に立
っていることがわかる。
きり鎖結晶構造を持つPTFE膜のA2(3)バンドの
ピーク(波数529cm-1)に比べて、短波長側にシフ
ト(ブルーシフト)している。これは、得られたPTF
E膜が、折りたたみ鎖結晶構造を持っていることを意味
する。
(E1(3)バンドのピーク)は、分子鎖の長軸に垂直
な方向の振動に起因する吸収である。赤外線を垂直入射
した場合のA2(2)バンドのピークの高さに対するE
1(3)バンドのピークの高さの比(E1(3)/A2
(2))により、分子鎖の垂直配向度を評価することが
できる。
直配向度の基板温度依存性を示す。横軸は、成膜時の基
板温度を単位℃で表す。図中の白丸記号は、A2(2)
バンドのピークの高さに対するE1(3)バンドのピー
クの高さの比(E1(3)/A2(2))を示し、その
値を右縦軸に表す。図中の三角記号は、A2(3)バン
ドのピークが現れる波数を示し、その値を左縦軸に単位
cm-1で表す。
が高くなるに従ってピーク高の比(E1(3)/A2
(2))が大きくなる。これは、基板温度が高くなるに
従って、分子鎖の垂直配向の傾向が強くなっていること
を意味する。基板温度を250℃以上にして成膜する
と、垂直配向の十分な効果が得られるであろう。また、
基板温度を330℃よりも高くすると、一旦付着したP
TFE分子が再蒸発してしまうため、薄膜の形成が困難
である。
(2))が12以上である場合には、分子鎖の長軸方向
が基板面に対してほぼ垂直であるといえるであろう。
板温度が高くなるに従ってA2(3)バンドのピークが
ブルーシフトしている。これは、分子鎖が折りたたみ構
造を有することを意味し、分子鎖が垂直配向している明
瞭な証拠となる。
FE膜を形成する場合を説明した。その他、シンクロト
ロン放射(SR)光によるアブレーションを用いてPT
FE膜を形成することもできる。
用した薄膜作製装置の概略図を示す。薄膜作成装置の主
な構成は、成膜チャンバ10、ゲートバルブチャンバ2
0、スリットチャンバ30及びSR光源チャンバ40を
含む。
20、及びスリットチャンバ30が、SR光源チャンバ
40に連続空間を構成するように接続されている。SR
光源チャンバ内の電子軌道41を周回する電子から発す
るSR光42が、スリットチャンバ30及びゲートバル
ブチャンバ20を通って成膜チャンバ10内に導入され
る。
r以下の高真空に保たれている。SR光源チャンバ40
には、電子軌道41を周回する電子の蓄積電流値を制御
する手段が設けられており、発生するSR光の光量を制
御することができる。さらに、SR光源チャンバ40に
は、電子軌道41の電流値を制御する手段が設けられて
おり、目的とするターゲットのアブレーションを起こす
のに最適な波長を選択することができる。たとえば、磁
場を変えることにより、電子エネルギを変えることがで
きる。
し、発生するSR光は平板状形状である。SR光の一
部、たとえば幅数cm分がスリットチャンバ30及びゲ
ートバルブチャンバ20を介して成膜チャンバ10に導
入される。図においては、SR光は紙面に平行な平板状
形状を有する。
を遮蔽するためのスリットが配置されている。例えば、
直径3mmの円形の貫通孔が設けられたスリットが配置
される。従って、スリットチャンバ30を通過したSR
光の断面は、直径3mmの円形形状になる。なお、SR
光の断面は進行するに従って徐々に大きくなるが、スリ
ットチャンバ30を光源から遠ざけ成膜チャンバ10に
十分近い位置に配置しているため、成膜チャンバ10に
導入されるSR光の断面は直径約3mmの円形形状と考
えることができる。
真空蒸着装置の構成と同様であるため、ここでは説明を
省略する。PTFE母材12とSR光源との距離は3m
である。
との間にゲートバルブチャンバ20が配置されている。
ゲートバルブチャンバ20内のゲートバルブを閉じるこ
とにより、成膜チャンバ10内の空間とSR光源チャン
バ40内の空間とを分離することができる。ゲートバル
ブを閉じ、成膜チャンバ10内をリークすることによ
り、PTFE母材12及び下地基板15を交換すること
ができる。
と、照射部分がアブレーションされる。PTFE母材1
2の表面でアブレーションが生じるとPTFEが飛散
し、下地基板15の表面に堆積する。より詳細な成膜条
件については、特開平9−59765号公報の段落20
及び21に記載されている。SR光によるアブレーショ
ンを利用して作製する場合には、下地基板を加熱しなく
ても、分子鎖の長軸方向が基板面に対してほぼ垂直に立
った配向膜が得られた。
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
分子鎖の長軸方向が基板面に対してほぼ垂直に立ったP
TFE膜を形成することができる。
蒸着装置の概略図である。
示すグラフである。
するE1(3)バンドのピーク高の比及びA2(3)の
ピークの波数を、基板温度の関数として示すグラフであ
る。
置の概略図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 下地部材と、前記下地部材の表面上に形
成され、分子鎖の長軸方向が下地表面に対してほぼ垂直
であるポリテトラフルオロエチレン膜とを有する部材。 - 【請求項2】 真空容器内に、下地部材とポリテトラフ
ルオロエチレン母材を配置し、該真空容器内を排気する
工程と、 前記下地部材を、250〜330℃の範囲内の温度まで
加熱する工程と、 前記ポリテトラフルオロエチレン母材をヒータで加熱し
てその一部を蒸発させ、前記下地部材の表面上にポリテ
トラフルオロエチレンからなる薄膜を形成する工程とを
有するポリテトラフルオロエチレン薄膜の作製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18563999A JP3433138B2 (ja) | 1999-06-30 | 1999-06-30 | ポリテトラフルオロエチレン薄膜及びその作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18563999A JP3433138B2 (ja) | 1999-06-30 | 1999-06-30 | ポリテトラフルオロエチレン薄膜及びその作製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001011217A JP2001011217A (ja) | 2001-01-16 |
JP3433138B2 true JP3433138B2 (ja) | 2003-08-04 |
Family
ID=16174300
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18563999A Expired - Fee Related JP3433138B2 (ja) | 1999-06-30 | 1999-06-30 | ポリテトラフルオロエチレン薄膜及びその作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3433138B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112297475B (zh) * | 2020-11-05 | 2021-08-03 | 中国长江三峡集团有限公司 | 一种增强基于ptfe膜强度的高温高线压力微共晶方法 |
-
1999
- 1999-06-30 JP JP18563999A patent/JP3433138B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001011217A (ja) | 2001-01-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20060153986A1 (en) | Evaporation method and apparatus using infrared guiding heater | |
US20110027928A1 (en) | PULSED LASER DEPOSITION OF HIGH QUALITY PHOTOLUMINESCENT GaN FILMS | |
EP0140240A1 (en) | Process for forming an organic thin film | |
US8367191B2 (en) | Optical thin-films and optical elements comprising same | |
JP3433138B2 (ja) | ポリテトラフルオロエチレン薄膜及びその作製方法 | |
JP4775801B2 (ja) | 分子性物質の成膜方法及びその装置 | |
US3939798A (en) | Optical thin film coater | |
JPH03174307A (ja) | 酸化物超電導体の製造方法 | |
JP2945968B2 (ja) | 透明導電性薄膜の形成方法 | |
JP2013503969A (ja) | 気相から基板を被覆するための方法及び装置 | |
JP2982050B2 (ja) | ダイヤモンド状炭素薄膜及び異種原子置換ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法 | |
JP3376181B2 (ja) | Tfe系ポリマーの薄膜作製方法 | |
JPH06228743A (ja) | 真空蒸着装置 | |
JP2005307302A (ja) | 成膜方法 | |
JP2832115B2 (ja) | 薄膜製造装置 | |
WO2002004695A2 (en) | Thin film processing system | |
KR100466825B1 (ko) | 펄스 레이저를 이용한 박막 증착 장치 | |
JP2548387B2 (ja) | 液晶の配向膜の製造装置 | |
JPH01259162A (ja) | 薄膜製造装置 | |
JP2922058B2 (ja) | 薄膜作成方法と薄膜作成装置 | |
JPH1087395A (ja) | 高品質ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法 | |
JP3802246B2 (ja) | 成膜装置 | |
JPS62247074A (ja) | 薄膜形成方法 | |
JP3783807B2 (ja) | 有機薄膜材料の製造方法 | |
TW202319561A (zh) | 基板前側表面塗佈塗層區域之方法及用於熱蒸鍍系統之設備 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20030513 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080523 Year of fee payment: 5 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080523 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090523 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100523 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110523 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120523 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120523 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130523 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130523 Year of fee payment: 10 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |