JP3431812B2 - 菌検出器具 - Google Patents

菌検出器具

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、病原性菌、特には
食中毒菌や耐性菌、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球
菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus; M
RSA)などを簡便且つ手軽に検出および/又は同定するこ
とが可能な選択的菌検出器具に関し、より具体的には、
長期の保存性も期待でき、何時でも必要なときに直ぐさ
ま使用することができ、その持ち運びが便利で容易な形
態となっており、さらに簡便な操作で安全に食中毒菌な
ど有害菌を検出・同定することが可能で、そしてその検
査の後も安全確実であって猶かつ簡単に廃棄処理を行う
ことのできる、特に個人的・家庭的な使用にも適した選
択的菌検出器具に関する。
【0002】
【従来の技術】生活環境に存在する病原性微生物は、近
年の医療の高度化、治療の進歩、特には抗菌剤や抗生物
質の発見及び開発などにより、さらには衛生の改善など
により、かなりの程度克服されてきてはいるが、一旦発
生すると大きな被害や、取返しのつかない問題を与える
場合もあり、依然大きな問題を提起している。こうした
普段我々の周りに存在した時に、問題となる病原性微生
物としては、食中毒起因菌や特に抗生物質に耐性を有す
る菌、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) な
どであり、一度に大量の感染者が発生するとか、病院な
どでの感染の問題とかがある。飲食物の摂取、すなわち
「食」動作は、ヒトを始めとする動物に欠かすことがで
きないものであるので、近年の科学の進歩・技術の高度
化にもかかわらず、飲食物の摂取に起因する中毒たる
「食中毒」は、現在でも完全に防ぐことが困難である。
他方、このような食中毒の防止は、最近の製造物責任法
(PL法)の施行により、更に一層その重要性を増して
いる。
【0003】食中毒は、その原因に基づいて自然毒(フ
グ毒、キノコ毒等)による食中毒、飲食物の腐敗(飲食
物の分解物等)による食中毒、および飲食物への細菌
(ブドウ球菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ等)の混入
ないし繁殖による食中毒の3種類に大別されるが、これ
らの食中毒のうち、自然毒による食中毒は原因となる毒
を含有する飲食物の摂取を避けることによって容易に回
避できる。また、該飲食物の外観、匂い等の変化に基づ
く飲食物の腐敗の検出は一般に容易であるため、飲食物
の腐敗による食中毒を回避することも、比較的容易であ
る場合が多い。これら2種類の食中毒とは対照的に、細
菌による食中毒(すなわち細菌性食中毒)においては、
該細菌の飲食物への混入ないし繁殖が通常は不可視的で
あり、しかも、該混入ないし繁殖の検出が専門家の関与
なしには極めて困難である。したがって、この細菌性食
中毒は、回避することが最も困難な食中毒である。食
堂、弁当の仕出し業、給食センター等の大量の飲食物を
供給する施設における食中毒の発生は、著しく多人数に
対して生じるし、その症状も猛烈な嘔吐、下痢、腹痛、
高熱等の激しいものであるため、特に重大な問題(該施
設の長期間の業務停止等)を生じ易い。またこうした食
中毒起因菌は、感染したヒトの体内でエンテロトキシン
などの毒素を産生することから、感染後の治療を図るこ
とは勿論ではあるが、しばしばその治療に困難を伴うこ
とがあるという問題もある。そこでそのような原因とな
る菌を早期に発見し、消毒などに的確な防止策をとり予
防することがおおいに必要である。
【0004】抗菌剤や抗生物質の使用により、病気、殊
には伝染病などの感染症は大幅に減少したが、一方では
二次的な現象として多くの耐性菌が出現してきて、大き
な問題となってきている。強力な抗生物質を開発しても
直ぐにそれに対する耐性が現れるというような問題もあ
り、更にはそうした菌による病院内感染が大きな問題と
なっている。抗生物質に耐性を有する菌は、重症患者を
含めた病院の患者や老齢者などでは、抵抗力が弱ってい
ることもあり、難治性感染症を引き起こし、一旦その感
染が判明した場合にも有効な治療法がないという点で大
きな問題となっている。こうした耐性菌による院内感染
の防止のためには、そのような原因となる菌をその感染
初期において特定すると共にその存在を早期に発見し、
消毒などにより有効且つ適切に予防することが必要であ
る。したがって、病院などでは定常的にこうした菌が医
療環境に現れたか否かを検査している必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来より、食中毒の予
防の手段は、一般的な予防対策(例えば、包丁、マナ板
等の調理器具を清潔に保つ、調理に関与する人の手指を
清潔に保つ等)による以外にはなかった。現状において
も、食中毒が発生した場合には、該発生場所を管轄する
保健所の調査(原因と見られる飲食物に付着した細菌の
培養等)によって原因菌を検出・確認する、すなわち事
後的な対策にならざるを得ない状況である。加えて、こ
うした保健所の調査に基づく原因菌の検出・確認では、
通常著しく長期間(例えば、1〜2週間前後)を要する
のが通例である。更には、保健所の調査には「所定の手
続」を取ることが必要とされるのみならず、名誉的ない
しは商権上の問題(例えば、「評判」による顧客の完全
な喪失)もあって、必ずしも充分に活用されているとは
言えない。そして日常的な対策という観点からも、必ず
しも簡単に検出確認をするという訳にはいかない。
【0006】こうした保健所や病院などの専門機関での
調査では、上記のような各種の検体、そして患者検体や
医療環境から採取した検体を選択培地を用いた寒天平板
上で培養し、培地に形成されたコロニーを目視観察した
り、そうして培養された菌をその他の検知確認手段を用
いて確認する方法が採用されていた。さらには最近で
は、ポリメラーゼ・チェイン・リアクション(以下、PC
R という) を用いた判定方法も採用されている。しかし
ながら、上記従来の方法は、いずれも操作が煩雑であ
り、寒天培地上に生育したコロニーを判定するため、検
知にあたり専門的な技術や熟練を必要としていた。また
その検体の採取から培養までの操作についても専門的な
技術や熟練、さらに装置などが必要とされ、全体的にそ
の検知のための費用が高くつくなどの欠点も有してい
た。さらにPCR を用いた方法では、これまた専門的な技
術や熟練、さらに装置などが必要とされ、また対象菌に
よっては非病原性菌との区別が非常に困難であるとの問
題もある。
【0007】こうした点を解決しうる装置として、例え
ば特開昭62- 171671号などには、液体培地をカプセルに
収容し、さらに菌採取用のタンポンと共に該カプセル容
器内に収容した装置が提案されている。しかしながら、
こうした装置では、菌の培養後には、それは病原性菌を
含むことから容易にそれを廃棄できず、一旦培養に使用
した容器を開栓して菌を含む培養液に消毒液をピペット
などで加えて消毒処理を施してから廃棄していた。病原
性菌を含む培養系を廃棄するためとはいえ開栓などして
一旦開放系にするのは、煩雑であるばかりでなく、危険
を伴うし、専門的な技術や熟練、さらに装置などが必要
とされることにもなる。さらに消毒液を該培養用の容器
とは別に何時も用意しておかなければならず、携帯性と
か、取り扱いの簡便性という点でも問題であった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、簡便な
操作で病原性菌、例えば食中毒菌とか、耐性菌などを検
出・同定することが可能であり、さらにその使用後安全
に且つ便利に廃棄処理できる菌検出器具を提供すること
にある。本発明の他の目的は、病院で日常的に使用する
ばかりでなく、個人的・家庭的な使用にも適しており、
それでいて廃棄するなどの処分を簡単に安心して誰にで
もできる菌検出器具を提供することにある。本発明の更
に他の目的は、その取り扱いが簡単で且つ何時でも使用
することができて、病原性菌に関連しそれに対し事前的
ないし自発的に対策を取ることを極めて容易とすると共
に、その使用後の器具を簡単に且つ安全に廃棄可能にで
きる菌検出器具を提供することにある。本発明者は鋭意
研究の結果、互いに接触した際に検出対象の病原性菌、
例えば特定の食中毒菌や特定の抗生物質に対する耐性菌
の培養に適した培養条件を与えるべき培地および菌採取
部を互いに非接触に配置し、且つ、菌検出のための培養
時には、これらの特定の培地および菌採取部を互いに接
触するように設けた比較的便利な菌検出器具の特徴をよ
り一層生かし、かつ安全で簡単にその使用済みの器具の
処分、特には消毒処理をできるように構成することが、
上記の目的達成に極めて効果的であることを見出した。
【0009】本発明の菌検出器具は上記の知見に基づく
ものであり、より詳しくは、本発明は〔1〕 (a)検
出すべき菌を培養するために使用される培地を菌培養の
間保持するための容器、(b)菌採取部、(c)検出す
べき菌を培養するために使用される培地を菌の培養時ま
で菌採取部と非接触的に収容することを可能にする手
段、及び(d)培養後の培地を消毒する手段を少なくと
も有することを特徴とする菌検出器具、〔2〕 培養後
の培地を消毒する手段(d)が、検出すべき菌の培養後
まで消毒剤を菌と非接触的に収容することを可能にする
手段を含むものであることを特徴とする上記〔1〕記載
の菌検出器具、〔3〕 菌培養後に菌培養に使用された
培地と消毒剤とが、外力の作用により互いに一体的に接
触しうるようにされたものであることを特徴とする上記
〔1〕又は〔2〕記載の菌検出器具、〔4〕 菌培養時
に菌採取部(b)と検出すべき菌を培養するために使用
される培地とが、外力の作用により互いに一体的に接触
しうるようにされたものであることを特徴とする上記
〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載の菌検出器具、
【0010】〔5〕 (a)一方の端に開口を有する中
空容器; (b)該中空容器内に配置された菌採取部; (c)菌の培養時に該菌採取部と接触するように配置さ
れてなり且つ菌の培養のための培地;及び (d)菌の培養後に菌培養培地と接触するように配置さ
れた消毒剤 を含有することを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいず
れか一記載の菌検出器具、〔6〕 抗生物質が、前記培
地に添加されてなる上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一記
載の菌検出器具、〔7〕 抗生物質を包含してなり、該
抗生物質及び培地は少なくともその一部が菌の培養時に
外力の作用により互いに一体的に接触するものであり、
且つ少なくとも前記抗生物質と培地とが非接触的に収容
容器に配置されていることを特徴とする上記〔1〕〜
〔6〕のいずれか一記載の菌検出器具、
【0011】〔8〕 菌を培地で培養して培地の変化を
観察することにより菌を検知するための器具であって、
(i)菌採取部、(ii)抗生物質、(iii)培地、
及び(iv)消毒剤を包含してなり、その(i)菌採取
部、(ii)抗生物質、及び(iii)培地は少なくと
もその一部が菌の培養時に外力の作用により互いに一体
的に接触するものであり、少なくとも前記(ii)抗生
物質と前記(iii)培地とが非接触的に収容容器に配
置されており、そして菌培養後は少なくとも培養された
菌と(iv)消毒剤とが外力の作用により互いに一体的
に接触するものであり、少なくとも前記(iv)消毒剤
と前記(iii)培地とは非接触的に収容容器に配置さ
れていることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれ
か一記載の菌検出器具、
〔9〕 前記抗生物質が、
(1)前記容器内に配置されてなるか、(2)前記菌採
取部に付与されてなるか、あるいは(3)前記容器の内
壁にコーティングされてなる上記〔1〕〜〔5〕及び
〔7〕〜〔8〕のいずれか一記載の菌検出器具、〔1
0〕 前記抗生物質が、前記中空容器内に配置された他
の部材に付与されてなる上記〔1〕〜〔5〕及び〔7〕
〔9〕のいずれか一記載の菌検出器具、〔11〕 前
記菌採取部が、少なくとも内側材と外側材とを含む多重
構造を有してなり、該内側材に前記抗生物質が配置され
てなる上記〔1〕〜〔5〕及び〔7〕〜
〔9〕のいずれ
か一記載の菌検出器具、
【0012】〔12〕 前記培地が、菌の増殖に起因す
る変化に基づいて色調を変化させる物質を含有してなる
上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一記載の菌検出器具、
〔13〕 該容器が密閉用蓋体を有するものであり、該
蓋体内に前記培地が袋状部材に内包されて配置されてい
る上記〔1〕〜〔12〕のいずれか一記載の菌検出器
具、〔14〕 前記袋状部材と中空容器との間に、穴あ
き部材が配置されている上記〔13〕記載の菌検出器
具、〔15〕 前記穴あき部材の下方に、前記菌採取部
を伝う培地の中空容器中への落下を促進するガイド部材
が配置されている上記〔14〕記載の菌検出器具、〔1
6〕 病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、
およびサルモネラ菌からなる群から選ばれる少なくとも
1種の菌に対する培養選択性を有する上記〔1〕〜〔1
5〕のいずれか一記載の菌検出器具、〔17〕 密閉下
に培養に使用した培地の消毒処理を行うことが可能な構
造であることを特徴とする上記〔1〕〜〔16〕のいず
れか一記載の菌検出器具、及び〔18〕 菌採取部によ
る菌採取処理後は、密閉下に (i)容器内への培地の添
加、 (ii) 培養処理、(iii) 菌体の目視検出及び (iv)
培養に使用した培地の消毒処理を少なくとも行うことが
可能な構造であることを特徴とする上記〔1〕〜〔1
7〕のいずれか一記載の菌検出器具を提供する。
【0013】本発明の態様としては、例えば、〔19〕
(i)培地を収容して菌の培養を行うための空間を有する
容器と、(ii)該容器の開口部と係合して該容器の開口部
を外界に対して密封する蓋体とからなり、該蓋体は
(A) 培地を収容するための第一の袋状部材と(B)
消毒剤を収容するための第二の袋状部材とを有する容
体であり、(a) 該容体には外力の作用で内部の袋状
部材を破り、該袋状部材内の内容物を出すための機能が
付与されているもので、(b) 該第二の袋状部材は該
第一の袋状部材とは独立して破られ、該第二の袋状部材
内の内容物を出すことができるもので、(c) 該容器
の開口部との該蓋体の係合部あるいはその近傍には、該
袋状部材を該蓋体内に保持するための、仕切り部が形成
されているか又は仕切り部材が配置され、(d) 該仕
切り部あるいは該仕切り部材には、培地を収容して菌の
培養を行うための該容器の空間の側に菌採取部が突き出
るように装着されており、(e) 該菌採取部の先端部
は、該容器が培地を収容した場合には、菌の培養を可能
とするに十分な程度該培地と接触できるものであり、
(f) 該仕切り部あるいは該仕切り部材には、該蓋体
と該容器との間で培地及び消毒剤の流通が可能なように
貫通孔が設けてあることを特徴とする菌検出器具、
【0014】〔20〕 第一の袋状部材及び第二の袋状
部材は、それぞれガラス製のアンプルであり、蓋体は可
撓性材料からなるもので、該蓋体に外力を作用させて該
第一の袋状部材を破ってその内容物たる培地を出した場
合にも、該第二の袋状部材を破損することなく、その内
容物たる消毒剤を収容したまま保持できるものであるこ
とを特徴とする上記〔19〕記載の菌検出器具、〔2
1〕 蓋体は、第一の袋状部材を収容する第一の区画
と、第二の袋状部材を収容する第二の区画とから構成さ
れ、該第一の区画には該第一の袋状部材を破るための第
一の押し下げ部材が設けられ、該第二の区画には該第二
の袋状部材を破るための第二の押し下げ部材が設けられ
ていることを特徴とする上記〔19〕記載の菌検出器
具、〔22〕 図6〜11で示される構造の器具あるい
は培養した菌の殺菌処理に関してそれと実質的に同等の
機能を有することを特徴とする菌検出器具、
【0015】〔23〕 蓋体は、(a)第一の袋状部材
を収容する第一の区画を構成する第一の蓋体構成部材
と、(b)第二の袋状部材を収容する第二の区画を構成
する第二の蓋体構成部材と、そして(c)該第二の蓋体
構成部材の一端であって、該第一の蓋体構成部材との嵌
合側と反対の側に摺動可能に嵌合したキャップ部材とか
ら構成され、第一の蓋体構成部材並びに第二の蓋体構成
部材の、培地を収容して菌の培養を行うための空間を有
する容器側のそれぞれの端部あるいはその近傍には、各
該袋状部材を保持するための、仕切り部が形成されてい
るか又は仕切り部材が配置され、該第一の蓋体構成部材
は該第二の蓋体構成部材の一端と摺動可能に嵌合し、該
第二の蓋体構成部材を外力により該第一の蓋体構成部材
側に摺動せしめて、該第一の袋状部材を破壊してその内
容物たる培地を出すことができ、該キャップ部材を外力
により該第二の蓋体構成部材側に摺動せしめて、該第二
の袋状部材を破壊してその内容物たる消毒剤を出すこと
ができ、該仕切り部あるいは該仕切り部材には、培地及
び消毒剤の流通が可能なように貫通孔が設けてあること
を特徴とする上記〔19〕記載の菌検出器具、
【0016】〔24〕 該第一の蓋体構成部材と該第二
の蓋体構成部材の一端との嵌合が、螺合式で、外力によ
り該第二の蓋体構成部材の本体を該第一の蓋体構成部材
に対して回転することで力を生ぜしめ、該第一の袋状部
材を破壊してその内容物たる培地を出すことができるも
のであることを特徴とする上記〔23〕記載の菌検出器
具、〔25〕 該第二の蓋体構成部材と該キャップ部材
との嵌合が、螺合式で、該キャップ部材を該第二の蓋体
構成部材に対して回転することで外力を生ぜしめ、該第
二の袋状部材を破壊してその内容物たる消毒剤を出すこ
とができるものであることを特徴とする上記〔23〕記
載の菌検出器具、〔26〕 第一の蓋体構成部材並びに
第二の蓋体構成部材は円筒状本体から構成されているも
のであることを特徴とする上記〔24〕記載の菌検出器
具、〔27〕 図12あるいは図13で示される構造の
器具あるいは培養した菌の殺菌処理に関してそれと実質
的に同等の機能を有することを特徴とする菌検出器具、
【0017】〔28〕 蓋体は、(a) 第一の袋状部
材を収容する第一の区画と、第二の袋状部材を収容する
第二の蓋体構成部材を収容する第二の区画とを有する第
一の蓋体構成部材と、(b) 該第二の蓋体構成部材
と、(c) 該培地を収容して菌の培養を行うための空
間を有する容器側と反対の側であって且つ該第二の蓋体
構成部材の一端に摺動可能に嵌合したキャップ部材とか
ら構成され、第一の蓋体構成部材並びに第二の蓋体構成
部材の、培地を収容して菌の培養を行うための空間を有
する容器側のそれぞれの端部あるいはその近傍には、各
該袋状部材を保持するための、仕切り部が形成されてい
るか又は仕切り部材が配置され、該第一の蓋体構成部材
は該第二の蓋体構成部材の一部と摺動可能に嵌合し、該
第二の蓋体構成部材を外力により該第一の蓋体構成部材
側に摺動せしめて、該第一の袋状部材を破壊してその内
容物たる培地を出すことができ、該キャップ部材を外力
により該第二の蓋体構成部材側に摺動せしめて、該第二
の袋状部材を破壊してその内容物たる消毒剤を出すこと
ができ、該仕切り部あるいは該仕切り部材には、培地及
び消毒剤の流通が可能なように貫通孔が設けてあること
を特徴とする上記〔19〕記載の菌検出器具、
【0018】〔29〕 該第一の蓋体構成部材と該第二
の蓋体構成部材の一部との嵌合が、螺合式で、該第二の
蓋体構成部材の本体を該第一の蓋体構成部材に対して回
転することで外力を生ぜしめ、該第一の袋状部材を破壊
してその内容物たる培地を出すことができるものである
ことを特徴とする上記〔28〕記載の菌検出器具、〔3
0〕 該第二の蓋体構成部材と該キャップ部材との嵌合
が、螺合式で、該キャップ部材を該第二の蓋体構成部材
に対して回転することで外力を生ぜしめ、該第二の袋状
部材を破壊してその内容物たる消毒剤を出すことができ
るものであることを特徴とする上記〔28〕記載の菌検
出器具、〔31〕 第一の蓋体構成部材並びに第二の蓋
体構成部材は円筒状本体から構成されているものである
ことを特徴とする上記〔28〕記載の菌検出器具、〔3
2〕 第二の蓋体構成部材の本体部分の大部分が、第一
の蓋体構成部材の内に収容されているものであることを
特徴とする上記〔28〕記載の菌検出器具、〔33〕
図14で示される構造の器具あるいは培養した菌の殺菌
処理に関してそれと実質的に同等の機能を有することを
特徴とする菌検出器具、
【0019】〔34〕 蓋体は、(a) 第一の袋状部
材と第二の袋状部材とを並置収容してなる容体と、
(b) 該培地を収容して菌の培養を行うための空間を
有する容器と反対側の該容体の頂部に摺動可能に嵌合さ
れた二つの破壊治具とから構成されてなり、該破壊治具
は、互いに独立して該容体中に外力により摺動して押し
込められて、先ず第一の破壊治具では該第一の袋状部材
を破壊してその内容物たる培地を出すことができ、次に
第二の破壊治具では該第二の袋状部材を破壊してその内
容物たる消毒剤を出すことができ、該仕切り部あるいは
該仕切り部材には、培地及び消毒剤の流通が可能なよう
に貫通孔が設けてあることを特徴とする上記〔19〕記
載の菌検出器具、〔35〕 該破壊治具は、該容体の頂
部に外力で押し込みできるように配設されていることを
特徴とする上記〔34〕記載の菌検出器具、〔36〕
該破壊治具は、該容体の頂部に回転ネジ式に押し込みで
きるように配設されていることを特徴とする上記〔3
4〕記載の菌検出器具、〔37〕 該容体の外形は、直
方体に近似した構造であることを特徴とする上記〔3
4〕記載の菌検出器具、〔38〕 図15で示される構
造の器具あるいは培養した菌の殺菌処理に関してそれと
実質的に同等の機能を有することを特徴とする菌検出器
具、
【0020】〔39〕 蓋体は、第一の袋状部材と第二
の袋状部材とを並置収容してなる容体からなり、該容体
は該袋状部材の位置を規制する保持区画を構成する保持
部材と、該保持区画に対して外力により回転可能である
可動区画を構成する可動部材とからなるものであり、該
容体の内側には該袋状部材を破壊するための破壊治具が
設けられており、該容体の可動部材を回動することによ
り、該第一の袋状部材と該第二の袋状部材とのいずれか
を該破壊治具により互いに独立して破壊できるものであ
り、該仕切り部あるいは該仕切り部材には、培地及び消
毒剤の流通が可能なように貫通孔が設けてあることを特
徴とする上記〔19〕記載の菌検出器具、〔40〕 該
容体の可動部材の内側に破壊治具が設けられていること
を特徴とする上記〔39〕記載の菌検出器具、〔41〕
該容体は円筒状であり、該容体の可動部材を回動する
ことにより、回転方向に応じて該第一の袋状部材と該第
二の袋状部材とのいずれかを互いに独立して破壊できる
ものであることを特徴とする上記〔39〕記載の菌検出
器具、及び〔42〕 図16で示される構造の器具ある
いは培養した菌の殺菌処理に関してそれと実質的に同等
の機能を有することを特徴とする菌検出器具が挙げられ
る。
【0021】本発明のより具体的な態様では、〔43〕
(a)検出すべき菌を培養するために使用される培地
を菌培養の間保持するための円筒状の中空容器、(b)
棒状部材と菌採取端とから構成される菌採取部、(c)
菌採取部が取り付けられている蓋体であって、該蓋体に
は少なくとも二つの袋状部材が収納されており、第一の
袋状部材は培地を収容するもので、第二の袋状部材は消
毒・殺菌剤を収容するものであり、そして(d)該中空
容器(a)の口を栓している蓋体を取り外すこと無く、
第一の袋状部材に内包されている培地を該菌採取端に接
触せしめることができ、且つ第二の袋状部材に内包され
ている消毒・殺菌剤を該中空容器内の菌に接触せしめて
消毒・殺菌処理ができることを特徴とする菌検出器具、
【0022】〔44〕 蓋体が外力により容易に変形す
ることのできる材料から構成され、第一の袋状部材及び
第二の袋状部材は外力により容易に破壊して液体内容物
を放出することのできるものであることを特徴とする上
記〔43〕記載の菌検出器具、〔45〕 蓋体はその中
空容器との係合部側に仕切り部材が配置されているもの
で、該仕切り部材は第一の袋状部材及び第二の袋状部材
を蓋体内に収容しとどめている働きをしていることを特
徴とする上記〔43〕記載の菌検出器具、〔46〕 仕
切り部材は蓋体の中空容器との係合部側において該蓋体
と係合することのできるものであることを特徴とする上
記〔43〕記載の菌検出器具、及び〔47〕 蓋体は第
一の袋状部材及び第二の袋状部材をそれぞれ独立に外力
により破壊して液体内容物を放出することのできるよう
に構成されたものであることを特徴とする上記〔43〕
記載の菌検出器具が提供される。
【0023】本発明のより具体的な態様では、〔48〕
蓋体は、(a)第一の袋状部材を収容する第一の区画
を構成する第一の蓋体構成部材と、(b)第二の袋状部
材を収容する第二の区画を構成する第二の蓋体構成部材
と、そして(c)該第二の蓋体構成部材の一端であっ
て、該第一の蓋体構成部材との嵌合側と反対の側にあり
且つ回転可能に螺合したキャップ部材とから構成され、
第一の蓋体構成部材並びに第二の蓋体構成部材の、培地
を収容して菌の培養を行うための空間を有する容器側の
それぞれの端部あるいはその近傍には、各該袋状部材を
保持するための、仕切り部が形成されているか又は仕切
り部材が配置され、該第一の蓋体構成部材は該第二の蓋
体構成部材の一端と摺動可能に嵌合し、該第二の蓋体構
成部材を外力により該第一の蓋体構成部材側に摺動せし
めて、該第一の袋状部材を破壊してその内容物たる培地
を出すことができ、該キャップ部材はそれを外力により
回転せしめて該第二の蓋体構成部材側に押し込み、該第
二の袋状部材を破壊してその内容物たる消毒剤を出すこ
とができ、該仕切り部あるいは該仕切り部材には、培地
及び消毒剤の流通が可能なように貫通孔が設けてあるこ
とを特徴とする上記〔19〕記載の菌検出器具、
【0024】〔49〕 該第一の蓋体構成部材と該第二
の蓋体構成部材の一端との嵌合を、各部材間の接触面に
設けられた凹凸を介して確保してあり、外力により該第
二の蓋体構成部材の本体を該第一の蓋体構成部材側に摺
動することで、該第一の袋状部材を破壊してその内容物
たる培地を出すことができるものであることを特徴とす
る上記〔48〕記載の菌検出器具、〔50〕 該第二の
蓋体構成部材と該キャップ部材との嵌合が、螺合式で、
該キャップ部材を該第二の蓋体構成部材に対して外力に
より回転することでキャップ部材を容器側に押し込み、
該第二の袋状部材を破壊してその内容物たる消毒剤を出
すことができるものであることを特徴とする上記〔4
8〕記載の菌検出器具、〔51〕 第一の蓋体構成部材
並びに第二の蓋体構成部材は円筒状本体から構成されて
いるものであることを特徴とする上記〔48〕記載の菌
検出器具、〔52〕 図17あるいは図18で示される
構造の器具あるいは培養した菌の殺菌処理に関してそれ
と実質的に同等の機能を有することを特徴とする菌検出
器具、〔53〕 図19あるいは図20で示される構造
のキャップ部材あるいはそれと実質的に同等の機能を有
するものを備えたことを特徴とする上記〔52〕記載の
菌検出器具、〔54〕 図22あるいは図23で示され
る構造の蓋体構成部材あるいはそれと実質的に同等の機
能を有するものを備えたことを特徴とする上記〔52〕
記載の菌検出器具、〔55〕 図26あるいは図27で
示される構造の蓋体構成部材あるいはそれと実質的に同
等の機能を有するものを備えたことを特徴とする上記
〔52〕記載の菌検出器具、〔56〕 該第一の蓋体構
成部材側の凸部として781,782といった設置領域
の異なる構造とし、該凸部と嵌合する凹部を該第二の蓋
体構成部材の各部材間の接触面に設け、使用前には該凸
部と該凹部を嵌合しないように該第一の蓋体構成部材と
該第二の蓋体構成部材とを係合して、該第二の蓋体構成
部材が該第一の蓋体構成部材内に摺動しないように固定
されることが可能で、使用時に該第二の蓋体構成部材を
回転させるなどして該凸部と該凹部を嵌合せしめ、該第
一の蓋体構成部材と該第二の蓋体構成部材の一端との嵌
合を、各部材間の接触面に設けられた凹凸を介して確保
し、外力により該第二の蓋体構成部材の本体を該第一の
蓋体構成部材側に摺動することで、該第一の袋状部材を
破壊してその内容物たる培地を出すことができるもので
あることを特徴とする上記〔48〕記載の菌検出器具、
〔57〕 図36ないし図40で示される構造の蓋体構
成部材あるいはそれと実質的に同等の機能を有するもの
を備えたことを特徴とする上記〔56〕記載の菌検出器
具、及び〔58〕 図41ないし図44で示される構造
の蓋体構成部材あるいはそれと実質的に同等の機能を有
するものを備えたことを特徴とする上記〔56〕記載の
菌検出器具が提供される。
【0025】本発明のより具体的な態様では、〔59〕
(a) サルモネラ菌用培地の組成として、培地1,00
0mlあたり、実質的にトリプトン,適量、例えば、3
〜7g;酵母エキス,適量、例えば、1〜6g;リジ
ン,適量、例えば、5〜15g;ブドウ糖,適量、例え
ば、0.5〜2g;塩化ナトリウム,適量、例えば、7
〜9g;リン酸二水素一カリウム,適量、例えば、1.
0〜2.0g;チオ硫酸ナトリウム,適量、例えば、
0.1〜0.3g;クエン酸鉄アンモニウム,適量、例
えば、0.2〜0.4g;塩化マグネシウム,適量、例
えば、15〜25g;0.4%マラカイトグリーン液,適
量、例えば、27〜33ml及び;ブロムクレゾールパ
ープル,適量、例えば、0.01〜0.03g(培地の
pHおおよそ5.3〜5.7)を含有するもの (b) 腸炎ビブリオ用培地の組成として、培地1,000
mlあたり、実質的に食塩ポリミキシンブロス,適量、
例えば、25〜40g(食塩ポリミキシンブロスは、酵
母エキス,適量;ペプトン,適量;塩化ナトリウム,適
量;ポリミキシンB,適量を含有する);マンニット,
適量、例えば、15〜25g;クエン酸ナトリウム,適
量、例えば、5〜10g;チオ硫酸ナトリウム,適量、
例えば、0.1〜0.3g及び;ブロムクレゾールパー
プル,適量、例えば、0.01〜0.03g(培地のp
Hおおよそ7.0〜7.4)を含有するもの (c) 大腸菌群用培地の組成として、培地1,000ml
あたり、実質的にラウリル硫酸ブロス,適量、例えば、
26〜43g(ラウリル硫酸ブロスは、トリプトース,
適量;ラクトース,適量;リン酸二水素一カリウム,適
量;リン酸一水素二カリウム,適量;塩化ナトリウム,
適量;ラウリル硫酸ナトリウム,適量を含有する);ラ
クトース,適量、例えば、3〜8g及び;ブロムチモー
ルブルーあるいはブロムクレゾールパープル,適量、例
えば、0.03〜0.05g(培地のpHおおよそ6.
75〜7.25)を含有するもの、及び (d) ブドウ球菌用培地の組成として、培地1,000m
lあたり、実質的にトリプトン,適量、例えば、5〜1
5g;酵母エキス,適量、例えば、2〜8g;マンニッ
ト,適量、例えば、5〜15g;リン酸一水素二カリウ
ム,適量、例えば、2〜8g;塩化リチウム,適量、例
えば、5〜6g;グリシン,適量、例えば、12〜20
g;ピルビン酸ナトリウム,適量、例えば、10〜14
g;1%亜テルル酸カリウム水溶液,適量、例えば、12
〜18ml;フェノールレッド,適量、例えば、0.0
2〜0.03g(培地のpHおおよそ7.25〜7.7
5)を含有するものからなる群から選ばれた培地を使用
していることを特徴とする上記〔1〕〜〔58〕のいず
れか一記載の菌検出器具、〔60〕 実施例11に記載
された改良培地からなる群から選ばれた培地を使用して
いることを特徴とする上記〔48〕〜〔58〕のいずれ
か一記載の菌検出器具、及び〔61〕 菌採取部による
培養用試料採取後は、(a)容器内への培地の供給、
(b)容器内の培地での菌の培養、(c)菌の検出及び
/又は検知、(d)培養後の容器内培地の消毒及び/又
は殺菌をすべて実質的に密閉した系内で実施することが
可能で且つ携帯性があることを特徴とする上記〔1〕記
載の菌検出器具が提供される。
【0026】本発明の別の態様では、〔62〕 菌を培
地で培養して培地の変化を観察することにより菌を検知
するための器具であって、(i)菌採取部、(ii)培
地、及び(iii)消毒剤を包含してなり、その(i)
菌採取部、及び(ii)培地は少なくともその一部が菌
の培養時に外力の作用により互いに一体的に接触するも
のであり、少なくとも前記(i)菌採取部と前記(i
i)培地とが非接触的に収容容器に配置されており、そ
して菌培養後は少なくとも培養された菌と(iii)消
毒剤とが外力の作用により互いに一体的に接触するもの
であり、少なくとも前記(iii)消毒剤と前記(i
i)培地とは非接触的に収容容器に配置されていること
を特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一記載の菌
検出器具、〔63〕 該容器が封止用蓋体を有するもの
であり、該蓋体内に前記培地が袋状部材に内包されて配
置されていることを特徴とする上記〔1〕〜〔62〕の
いずれか一記載の菌検出器具、〔64〕 該容器が封止
用蓋体を有するものであり、該蓋体内に前記消毒剤が袋
状部材に内包されて配置されていることを特徴とする上
記〔1〕〜〔63〕のいずれか一記載の菌検出器具、
〔65〕 該蓋体が、少なくとも(a) 培地を内包する第
一の袋状部材と(b) 消毒剤を内包する第二の袋状部材と
を互いに独立して保持することを可能にする構造を有す
るものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔64〕の
いずれか一記載の菌検出器具、〔66〕 該蓋体が、少
なくとも(a) 第一の袋状部材を保持する第一の蓋体構成
部材と(b) 第二の袋状部材を保持する第二の蓋体構成部
材とを有するものであることを特徴とする上記〔1〕〜
〔65〕のいずれか一記載の菌検出器具、〔67〕 使
用前、第二の蓋体構成部材が移動して第一の袋状部材を
破壊することがないように、第一の蓋体構成部材と第二
の蓋体構成部材とが、保護係合手段を有することを特徴
とする上記〔1〕〜〔66〕のいずれか一記載の菌検出
器具、〔68〕 第二の蓋体構成部材に、キャップ部材
を備え、使用前、該キャップ部材が移動して第二の袋状
部材を破壊することがないように、該キャップ部材と第
二の蓋体構成部材とが、保護係合手段を有することを特
徴とする上記〔1〕〜〔67〕のいずれか一記載の菌検
出器具、〔69〕 保護係合手段が、ストッパー(10
05、1008)とガイド(1004、1007)から
なるものであることを特徴とする上記〔67〕〔68〕
の記載の菌検出器具、〔70〕 図70で示されている
ような、形状a、形状b、形状c及び形状dからなる群
から選ばれた形状のガイドであることを特徴とする上記
〔67〕〜〔69〕のいずれか一記載の菌検出器具、
〔71〕 図53ないし図64のいずれか一で示される
構造あるいはそれと培養された菌の殺菌処理に関して実
質的に同等の機能を有するものであることを特徴とする
菌検出器具、〔72〕 上記〔1〕〜〔58〕及び上記
〔60〕〜〔70〕のいずれか一記載の菌検出器具を用
いて、検体中の生菌数を定量測定する方法、〔73〕
該処理が、測定すべき菌を上記〔1〕〜〔58〕及び上
記〔60〕〜〔70〕のいずれか一記載の菌検出器具に
採取の後は封止された系中で行われるものであることを
特徴とする上記〔72〕記載の方法、及び〔74〕 目
的が培養前の生菌数であることを特徴とする上記〔7
2〕又は〔73〕記載の方法が提供される。本発明の上
記した目的及びその他の目的、特徴、そして利点は、添
付した図面と一緒に次の発明の実施の形態の項の詳しい
記載をみれば明らかである。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明は、特には携帯型であっ
て、容易に持ち運ぶことができ、更に菌を採取した場所
で直ぐさま採取した菌の培養を開始することが可能であ
り、及び/又は熟練を必要とすること無く採取した菌の
培養を開始することが可能である菌検出器具に関する。
本発明の菌検出器具は、比較的小型であり、携帯性があ
り、採取した菌の培養開始後はその使用した器具の廃棄
処理までをその培養菌に関して実質的に密閉した系で実
施することができる機能を有するものをすべて包含する
ものと理解できる。ここで実質的に密閉した系とは、菌
を培養したり、検知あるいは検出したり、さらには培養
した菌を廃棄可能なように消毒又は/及び殺菌したりす
ることはできるが、培養している病原性菌が外界あるい
は環境にその培養期間を通して拡散したりして出ること
がない、及び/又は培養した病原性菌がその消毒又は/
及び殺菌処理を完了するまでの間外界あるいは環境に拡
散したりして出ることがないことを意味するか、あるい
は外界又は環境を汚染することがないことを意味する
か、さらにはそうした機能を達成できることを意味す
る。上記した本発明の菌検出器具においては、非使用時
には、菌の培養に適した培養条件を与えるべき培地およ
び菌採取部が互いに非接触に設けられている一方、菌の
検出のための培養時には、これらの特定の培地および菌
採取部が互いに接触させられて、菌の繁殖に適した状態
を与えるし、器具の使用後は安全に消毒及び/又は殺菌
処理をすることができるようになっている。
【0028】本発明においては、該培地は更に、特定種
の菌(食中毒菌、例えば、黄色ブドウ球菌)の繁殖に適
した状態とされ、且つ、他の菌(黄色ブドウ球菌以外
の、例えば、サルモネラ菌、大腸菌、腸炎ビブリオ菌、
その他の腸内細菌など)は実質的に繁殖しない状態とさ
れているが、検出処理後は簡単な操作で器具廃棄のため
の処理ができ、何時でも安全に処分することを可能にし
ている。したがって、適当な菌培養手段(例えば、簡易
なインキュベータ)および菌繁殖検出手段(例えば、菌
繁殖に基づくpH変化を検出するpH指示薬)の利用に
より、特定種の菌(例えば、食中毒菌)の検出が容易と
なると共に、誰でも安心して簡単に使用済み器具の廃棄
ができる。特定種の菌(例えば、黄色ブドウ球菌などの
食中毒菌)に対して選択性を有する培養条件を与える態
様の検出器具を用いた場合には、その特定種の菌(例え
ば、食中毒菌)を選択的に検出・同定(食中毒菌の種類
の識別)することが容易となるし、安心して病原性の菌
を含む器具を消毒・殺菌処理できる。病原性菌として
は、例えば、黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureu
s)、腸炎ビブリオ (Vibrio parahaemolyticus)、および
サルモネラ菌 (Salmonella) 、例えばチフス菌 (Salmon
ella typhi) 、パラチフスA菌 (Salmonella paratyphi
A) 、パラチフスB菌 (Salmonella schottmuelleri)、
腸炎菌 (Salmonella enteritidis) 、トンプソン菌 (Sa
lmonella thompson)、ナラシノ菌 (Salmonella narashi
no) 、ポツダム菌 (Salmonella potsdam) 、オラニエン
ブルグ菌 (Salmonella oranienburg) 、セテンベルグ菌
(Salmonella senftenberg) など、ボツリヌス菌 (Clos
tridium botulinum)、赤痢菌 (Shigella) 、例えば志賀
赤痢菌 (Shigella dysenteriae) 、フレキシナー赤痢菌
(Shigella flexneri)など、コレラ菌(Vibrio cholera
e)、エルトール型コレラ菌 (Vibrio cholerae biotype
eltor)、大腸菌 (Escherichia coli) 、例えば病原性大
腸菌 (enteropathogenic Escherichia coli)、代表的に
は E. coli O-157などが挙げられる。
【0029】好ましくは食中毒検出器具として使用する
場合、本発明において菌培養時の「選択性」は、食中毒
の原因となる菌の殆ど全て(99%程度)を占める「黄
色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、およびサルモネラ菌」か
らなる群から選ばれる少なくとも1種以上の菌に対する
培養選択性を有するようにすることができるが、これら
3種類の菌相互間の識別は、必須としなくてもよい。す
なわち、3種類の菌の少なくとも1種類の存在が確認さ
れた場合には、後述するような所定の消毒手段を環境に
採用することにより、これら3種類の菌の全てを、それ
らが検出された問題の環境から実質的に除去することも
可能だからである。上述したように(例えば、自発的
に)食中毒菌の検出・同定ができた場合には、該食中毒
菌の除去に適した手段〔例えば、調理器具等を、商品名
「ヒビデン」(商品名: 住友製薬(株))(0.2〜
0.5%クロロヘキシジン溶液)あるいは逆性セッケン
により清拭した後、水洗する消毒方法〕を採用すること
によって、容易且つ効果的に食中毒を予防することが可
能となる。一方、対策の都合上食中毒の原因となる菌と
して、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ菌、
あるいは病原性大腸菌O−157などを相互に区別して
識別検出したい場合には、使用する菌検出器具に培養選
択性を付与したり、検出機能のうちに選択的な検出能を
付与しておくこともできる。本発明の菌検出器具は、必
要に応じて、「3大」食中毒菌(細菌性食中毒の約99
%が、これらのいずれかが原因とされる)である黄色ブ
ドウ球菌、腸炎ビブリオ、およびサルモネラ菌に対する
培養の選択性を与えるように構成される。更に最近とみ
に問題となってきている大腸菌O157:H7などの腸
管出血性大腸菌に対する培養の選択性を与えるようにし
て構成されることもできる。またMRSAなどの抗生物質耐
性菌に対する培養の選択性を与えるようにして構成され
ることもできる。
【0030】以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本
発明を詳細に説明する。図1及び図3〜16に本発明の
菌検出器具の好ましい一実施態様の外観図並びに側面断
面図などを示す。先ず図1を参照して説明するに、この
態様における検出器具は、上端部に開口を有する中空円
筒状の容器1と、該開口に着脱自在に嵌入することが可
能な蓋体2とから構成される。該蓋体2の上部(蓋体2
の容器開口の反対側)には、その内部に特定の菌(例え
ば、黄色ブドウ球菌)の培養に適した培地3を内包する
第一の袋状部材4が配置されている。その上方には、培
養された菌を消毒したり、及び/又は殺菌するに十分な
濃度あるいは量の消毒剤9を内包する第二の袋状部材8
が配置されている。該培地3には、更に、菌繁殖に基づ
くpH変化を検出するpH指示薬(例えば、フェノール
・レッド、ブロムクレゾールパープル、ブロムチモール
ブルーなど)を含有させておく。一方、該第一の袋状部
材4の下側(容器の開口側)には、1個以上(好ましく
は、複数)の穴を有する仕切り部材5が配置され、第一
の袋状部材4が容器の開口側へ落下するのを防止してい
る。また該第二の袋状部材4の下側(第一の袋状部材
側)には、1個以上(好ましくは、複数)の穴を有する
仕切り部材15が配置され、第二の袋状部材8が下側へ
落下するのを防止している。こうした第一の袋状部材4
や第二の袋状部材8の下方への移動を制限するために
は、仕切り部材5、15でなくとも代わりに同等の機能
を持つ構造であればよく、例えば、蓋体2を構成する部
材であって、貫通した仕切り部を構成しているものであ
ってもよい。
【0031】更に、蓋体2の底面側のほぼ中央部には、
前記容器の開口面に対してほぼ垂直に延びる菌採取部6
が設けられている。該菌採取部6は、蓋体2に近い側に
設けられる棒状部材6aと、該棒状部材の先端(蓋体2
から遠い側)に配置された菌採取端6bとからなる。該
菌採取端6bは一般的には培地とはその使用前に接触し
ない状態で収容されている。さらに該菌採取端6bは、
選択的な培養を達成するためのものであって、特定の菌
が繁殖するのを抑制する機能を有する抗生物質とは、一
般的にはその使用前には接触しない状態で収容されてい
るが、下記で詳しく説明するように必要に応じて、該抗
生物質とは若干の接触がある状態であることもできる
し、あるいは該菌採取端に該抗生物質が付与されている
こともできる。該抗生物質としては、特定の検知対象菌
(例えば、病原性大腸菌、サルモネラ菌などの食中毒
菌、MRSAなどの耐性菌など)以外の菌の繁殖を効果的に
抑制する特性を有する抗生物質が挙げられ、例えば、食
中毒の原因となる菌(黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、
およびサルモネラ菌)を検知対象菌とした場合、例え
ば、アズトレオナム(Aztreonam)、ポリミキ
シンB、フルコナゾールなど、あるいはそれらの組合せ
が挙げられる。また例えば、抗生物質耐性菌を検知対象
菌とした場合、耐性を持たないグラム陽性菌を抑制する
オキサシリン、グラム陰性菌を抑制するアズトレオナ
ム、ポリミキシンBなど、あるいはそれらの組合せが挙
げられる。
【0032】抗生物質は、下記で説明するように培地の
中に予め添加されていてもよいし、容器1の培養に使用
される部分(例えば、容器1の底の部分やその近傍の器
壁)にコーティングされていてもよいし、容易に溶解し
うるようにされた粉末などとして存在することも許され
るし、あるいは菌採取部の一部(例えば、菌採取端6b
の直ぐ上の部分)の所にコーティングなどされているこ
ともできる。該抗生物質は、上記した容器のうちの培養
に使用する部分、培地3、ないしは菌採取部6とは、別
個に配置することも可能である。このように別個に抗生
物質を配置する態様では、例えば、該抗生物質を付与し
たディスク状部材7(図5参照;好ましくは「多孔質
体」からなる)を、必要に応じて容器1の内部(例え
ば、菌採取端6bと容器の底との間の空間部)に配置し
てもよい。あるいは抗生物質は下記第一の袋状部材4に
内包された培地3を容器内部に落下させる時に供給され
る形態で配置されるものであることもできる。こうした
態様では、例えば仕切り部材5のところ、あるいはガイ
ド部材20(図4参照)の上側のところなどに抗生物質
は配置されることもできる。
【0033】図1で示されるような態様の菌検出器具を
用いる場合、先ず図2(a)に示すように、菌採取部6
を有する蓋体2を、容器から取り出す。次いで、図2
(b)に示すように、菌採取部6の先端の菌採取端6b
を検査対象(例えば、まな板など)10に擦り付けて、
該検査対象10に存在する菌を該菌採取端6bに採取す
る。次に菌採取部6を有する蓋体2を、再び容器に挿入
した後、図3に示すように、第一の袋状部材4を(例え
ば、図示しない圧迫器具などを用いて、蓋体2の外側か
ら強く圧迫することなどにより)破壊して、該第一の袋
状部材4に内包されて収容されていた培地3を仕切り部
材5の穴を通して容器内部に落下させる。これにより、
菌採取部6の菌採取端6bは該培地3中に浸漬される。
この際、第一の袋状部材4の破片等の培地以外の材料
は、仕切り部材5によりその落下を阻止されて、容器の
内部には落下しない。
【0034】例えば、上記したように、菌採取端6bに
は特定の選択性を有する抗生物質が付与されていると、
そのため菌採取部6の菌採取端6bがこのように培地3
中に浸漬された状態では、特定の菌(例えば、黄色ブド
ウ球菌、ボツリヌス菌などの食中毒菌)以外の菌の繁殖
は実質的に抑制される。したがって、このような状態の
菌検出器具を、適当な菌培養手段(例えば、簡易なイン
キュベータ)による培養に供した際には、特定の菌(例
えば、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などの食中毒菌)
が選択的に繁殖することとなる。この際の培養条件は特
に制限されないが、通常、37℃、16〜24時間程度
の条件で充分である。上記した培養操作後に、培地3中
に含有されたpH指示薬の変化の有無(更には、該変色
の程度)に基づき、容易に、特定の食中毒菌(例えば、
黄色ブドウ球菌)を検出・同定(食中毒菌の種類の識
別)することができる。例えば、pH指示薬としてフェ
ノール・レッドを含有する培地は、培養初期はpH7.
4でピンク色を呈していたが、黄色ブドウ球菌が存在す
ると、黄色を呈して検出ができる。また培地の濁り、コ
ロニーの成長、増殖した菌によって産生されたり分解さ
れて得られた物質に基づいて顕れる物理科学的な性状変
化を培地の変化として観察して菌の存在を判定すること
であってもよい。こうした目視観察の観点からは、容器
1は少なくとも培養状況を観察する部位が透明などの透
光性のあるものであることが好ましい。また結果の判定
までは培地や抗生物質その他が光の影響を受けてその性
状に変化を来す恐れがある場合は、当該透明部分は遮光
用被覆を設けておき、それを容易に観察時に剥がすこと
ができるように構成することもできる。最後に菌を培養
して検知を行った器具は、廃棄処理をすることになる
が、そのためには培養した菌体、菌培養物、容器内側な
どを完全に消毒・殺菌処理しなければならない。図には
示してないが、第二の袋状部材8を(例えば、図示しな
い圧迫器具、あるいは破砕機構などを用いて、蓋体2の
外側から強く圧迫、あるいは破砕に十分な力を加えるこ
とにより)破壊して、該第二の袋状部材8に内包されて
収容されていた消毒剤9を仕切り部材5、15の穴を通
して容器内部に落下させる。これにより、菌採取部6の
菌採取端6b、そして培養した菌を含有する培地3は該
消毒剤9中に浸漬及び/又は混合される。この際、完全
に消毒・殺菌処理するために容器1内部に消毒剤9が行
き渡るように振り混ぜる等することが好ましいが、本発
明では実質的に密閉した系で処理されていることから、
安全且つ確実な消毒・殺菌処理を遂行できる。
【0035】次に、本発明の菌検出器具の各部の構成に
ついて説明する。 (容器)容器は、透明ないしは半透明な材料から構成さ
れることが好ましい。より具体的には、容器は、ガラス
等の無機材料又はプラスチック(例えばポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、
ポリオレフィン樹脂)等の有機材料を用いて形成するこ
とができるが、重量の点および遠心処理等の際の破損の
可能性を考慮すれば、容器はプラスチックからなること
が好ましい。容器の形状は、上端部に開口を有し、且つ
該開口に蓋体2の着脱自在な装着が可能である限り、特
に限定されることはない。より具体的には、例えば、図
示した試験管状の他に、フラスコ状、びん状等の容器形
状のいずれであってもよい。
【0036】(蓋体)蓋体2を構成する材料は特に限定
されないが、容器を構成する材料と同じものから構成す
ることができる。別の態様では、容器の破損の可能性を
低くして、しかも該容器との密着性を高める点から、蓋
体2は容器より軟らかい材料で構成されていることも好
ましい場合がある。より具体的には、容器・蓋体共にポ
リプロピレン(PP)で構成できるし、容器がポリスチ
レン、PET等の硬質プラスチックないし硬質樹脂から
構成されている場合、蓋体2はポリオレフィン等の軟質
プラスチックないしは軟質樹脂(弾性体ないしエラスト
マーを包含する趣旨で用いる)から構成されていること
ができるし、好ましい場合もある。蓋体は容器の口部、
又は壁部と係合するように配置された部分をもつ部材で
ある。蓋体は容器にネジ式で留めるものであってもよい
し、バヨネット式で留めるものであってもよい。さらに
係合部の変形により所定の位置に固定されるものであっ
てよい。また蓋体と容器との係合部にはパッキンなどを
置くことも可能である。蓋体を構成する部材は、その一
部あるいは全部が識別のため着色されていてもよいし、
文字、符号、絵などが印刷されていてもよい。好ましい
具体例では、検出対象菌の種類などが容易に判別できる
ように、蓋体の頂部のキャップ部を検出対象菌毎に異な
る色彩にしてあるものが挙げられるが、適宜任意に着色
したり、文字、符号、絵などを書いて修飾しておくこと
が可能である。材質自体、色彩のあるものを使用するこ
ともできる。本発明の器具において、好ましくは蓋体2
は図1及び図4〜7、10〜16で示されているように
少なくとも二つの袋状部材を収納しうるものであって、
その第一の袋状部材には培地を収容し、その第二の袋状
部材には消毒・殺菌剤を収容したものであることができ
る。
【0037】(袋状部材) A.培地 本発明においては、菌検出器具の保存・運搬時には第一
の袋状部材4が培地3を安定・確実に内包可能で、且
つ、菌培養時には培地3の所定量を確実に放出可能であ
る限り、該第一の袋状部材4の材質、形状等は特に制限
されない。より具体的には、第一の袋状部材4の材質は
ガラス、硬質プラスチック等の硬質材料であってもよ
く、また、ポリエチレン、ポリプロピレン等の軟質プラ
スチック、紙等のフレキシブル材料等の軟質材料であっ
てもよいが、内包する培地の存在、その色調等の確認が
容易な点からは、透明ないし半透明の材料からなること
が好ましい。本発明においては、菌の培養時に、培地3
が該培養に適した位置に配置されることができる限り、
第一の袋状部材4から培地3を放出させる手段は特に制
限されない。より具体的には例えば、第一の袋状部材4
から培地3を放出させる際に、第一の袋状部材4の穴あ
け、切込み、破壊等のいずれの手段をとることも可能で
ある。第一の袋状部材4の穴あけ、切込み等を行う場
合、針状部材、刃状部材(いずれも図示せず)等の穴あ
け、切込み等を容易とする部材を、必要に応じて蓋体2
の内壁に配置してもよい。他方、第一の袋状部材4の破
壊により培地3を放出させる態様においては、該破壊を
容易とする点からは、第一の袋状部材4は硬質材料(ガ
ラス、硬質プラスチック等)からなることが好ましい。
実質的に密閉した系を保ちつつ外力により十分な破壊力
が該袋状部材にかかるような構造では、そうした硬質材
料に容易に強いテンションをかけそして破砕することが
でき、その内容物を出すことができる。例えば、硬質材
料からできた袋状部材の特定の部分(複数の部分でもよ
いが、好ましくはかなり狭い部分)に、強いテンション
が集中するようにされた構造が好ましい。図6〜図16
を示して下記で詳しく説明するように、様々な構造によ
り達成できることは理解されねばならないし、公知の構
造、慣用されている構造を菌検出器具に応用して本発明
の菌検出器具において備えることが求められる構成とす
ることも可能である。
【0038】B.消毒・殺菌剤 本発明においては、その使用までの菌検出器具の保存・
運搬をなす間並びに菌の培養時に、第二の袋状部材8に
よって消毒・殺菌剤9を安定・確実に内包して収容する
ことができ、さらにその使用後の器具の廃棄処理時には
その消毒・殺菌剤9の所定量を確実に放出することがで
きるものである限り、該第二の袋状部材8の材質、形状
等は特に制限されない。より具体的には、該袋状部材の
材質は前記第一の袋状部材で使用されるような材質のも
ののうちから選択することができるが、収容している消
毒・殺菌剤9を安定・確実に内包することができ、且
つ、培養された菌を殺菌・消毒処理する時には確実にそ
の消毒・殺菌剤の所定量が存在することを確認したりす
るためや、あるいは殺菌・消毒処理が確実になされたこ
とを確認する観点からその色調等の確認を容易にできる
ようにするためには、透明ないし半透明の材料からなる
ことが好ましい。本発明においては、菌検出器具の廃棄
処理時に、消毒・殺菌剤が該消毒・殺菌処理に適した位
置に配置されうるものである限り、第二の袋状部材8か
ら消毒・殺菌剤9を放出させる手段は特に制限されな
い。より具体的には例えば、第二の袋状部材8から消毒
・殺菌剤9を放出させる際に、第二の袋状部材8の穴あ
け、切込み、破壊等のいずれの手段をとることも可能で
ある。第二の袋状部材8の穴あけ、切込み等を行う場
合、針状部材、刃状部材(いずれも図示せず)等の穴あ
け、切込み等を容易とする部材を、必要に応じて蓋体2
の内壁に配置してもよい。他方、第二の袋状部材8の破
壊により消毒・殺菌剤9を放出させる態様においては、
該破壊を容易とする点からは、第二の袋状部材8は硬質
材料(ガラス、硬質プラスチック等)からなることが好
ましい。実質的に密閉した系を保ちつつ外力により十分
な破壊力が該袋状部材にかかるような構造では、そうし
た硬質材料に容易に強いテンションをかけそして破砕す
ることができ、その内容物を出すことができる。例え
ば、硬質材料からできた袋状部材の特定の部分、好まし
くは複数の部分でもよいがかなり狭い部分に、強いテン
ションが集中するようにされた構造が好ましい。図6〜
図16を示して下記で詳しく説明するように、様々な構
造により達成できることは理解されねばならないし、公
知の構造、慣用されている構造を菌検出器具に応用して
本発明の菌検出器具において備えることが求められる構
成とすることも可能である。外力は回転運動、押し込み
運動、ひねりなどを利用したものであることができる。
【0039】(棒状部材)本発明において、菌採取部を
構成する棒状部材6aは、直接に検出対象菌を採取する
機能を有する菌採取端6bを、コンタミネーションを避
けつつ安定に保持し、且つ、菌培養時には該菌採取端6
bを培地3と接触させるのに好適な位置に保持する、い
わば補助的な機能を有する部材である。このような安定
保持および接触位置確保の機能が実質的に達成される限
り、棒状部材6aの材質、長さ、形状等は特に制限され
ない。コンタミネーション防止および菌採取時の柔軟性
の点からは、該棒状部材6aはフレキシブルなプラスチ
ックからなることが好ましい。
【0040】(菌採取端)本発明において、菌採取部を
構成する菌採取端6bは、直接に菌を採取し、採取した
後は収容容器内に他の汚染を受けること無く収容可能で
あり、且つ菌培養時には培地3と実質的に十分接触して
該採取した菌の培養に好適な条件を提供する機能を有す
る部材である。このような採取機能および接触機能が実
質的に達成される限り、その構造は限定されず如何なる
構造である事もできるし、その菌採取端6bの材質、長
さ、形状等は特に制限されない。より具体的には、例え
ば、該菌採取端6bは単なる棒状部材6aの先端部であ
ることも可能であるが、上記した採取機能/接触機能を
効果的に達成容易な点からは、該菌採取端6bは表面積
が増大された面を有することが好ましい。このような
「表面積が増大された面」としては、例えば、1個以上
の凹部(切込み、凹凸面等)が付与された表面(例え
ば、「耳かき」ないしスパチュラに類似した先端)、多
孔質の表面等が挙げられる。菌採取端6b(少なくと
も、その表面部分)を多孔質材料で構成する態様におい
ては、キセロゲル状の多孔質体、あるいは繊維状体が好
ましく用いられる。該繊維状体としては、例えば、濾紙
(ロ紙)、綿(脱脂綿等)、パンチフェルト、織物、編
物、不織布等が特に制限なく使用可能である。更に採取
対象が液状のものを採取し易いように、部分的にゴムや
プラスチック製にしたり、あるいはエラスティック性や
可撓性を有する材料を使用して中空構造のものやスポイ
ト構造のものとしたり、さらには菌採取部を構成する棒
状部材6aと一体となって吸引可能な構造としたもので
あってよい。特に好適なものとしては、綿棒のような形
態のものが挙げられる。菌を採取する対象(対象検体)
としては、一般的には調理場の設備、調理器具などの調
理環境、台所、トイレ、風呂、飲食品販売場所などが挙
げられ、そうした対象検体を、例えば、上記したような
綿棒(菌採取端6b)の先で拭ったり、そういった検体
に浸すなどする。もちろん、こうした場合該綿棒は不必
要な部分や場所に触れないように注意して該検体採取が
一般的には行なわれるよう図られる。また、菌を採取す
る対象としては、食品や食材などを挙げることもでき
る。
【0041】(培地)本発明においては、所望の検出対
象菌(例えば、食中毒菌や耐性菌など)の培養が可能で
ある限り、上記培地3の種類、組成等は特に制限され
ず、それらの菌に対する公知の培地あるいはその改良培
地を使用できるし、さらにそれを適宜改変して使用しや
すいようにしたものも使用できる。好ましくは食中毒菌
の場合、後述する抗生物質、pH指示薬等との組合せの
適合性(反応性、相溶性等)を考慮して、適宜選択する
ことが可能である。本発明においては、黄色ブドウ球菌
用培地として、例えば、マンニット食塩(変法)培地、
Baird-Parker培地、Tellurite-Glycine 培地、Phenylet
hanol-Azide 培地、チョコレート寒天培地、血液寒天培
地、ハートインフュージョン寒天培地等が使用可能であ
るが、後述する黄色ブドウ球菌選択用の抗生物質との適
合性の点からは、マンニット食塩(変法)培地を用いる
ことが好ましい。MRSAのような抗生物質耐性菌用培地と
しては上記培地にオキサシリン、アズトレオナム、ポリ
ミキシンBを加えたものを好ましく用いることができ
る。他方、腸炎ビブリオ用培地としては、例えば、食塩
ポリミキシン(変法)培地、Cellobiose-Polymixin-Col
istin 培地、Thiosulfate-Citrate-Bile Salts-Sucrose
培地、TCBS寒天培地、マッコンキー寒天培地、血液
寒天培地等が使用可能であるが、後述する腸炎ビブリオ
選択用の抗生物質との適合性の点からは、食塩ポリミキ
シン(変法)培地を用いることが好ましい。更に、サル
モネラ用培地としては、例えば、キシロース/リジン
(変法)培地、Mannitol-Lysine-Crystal Violet-Brill
iant培地、Salmonella-Shigella 培地、Deoxycholate-C
itrate-Lactose-Sucrose培地、DHL寒天培地、マッコ
ンキー寒天培地等が使用可能であるが、後述するサルモ
ネラ選択用の抗生物質との適合性の点からは、キシロー
ス/リジン(変法)培地を用いることが好ましい。大腸
菌用培地としては、BTB-ラクトース寒天培地、血液寒天
培地、デオキシコレート培地、LB培地等が使用可能であ
る。こうした培地としては、公知の文献に記載のものあ
るいはそれを参考にして修飾・改変して得られたものの
中から選ぶことも可能である。公知の文献としては、例
えば、腸炎ビブリオ用培地としては特公平7−7350
9号公報、特開平1−296998号公報など、黄色ブ
ドウ球菌用培地としては特開昭52−134082号公
報、特開平6−217760号公報など、サルモネラ用
培地としては特開平2−65798号公報、特開平5−
130859号公報、特開平6−22791号公報など
が挙げられる他、それらで引用されている文献が挙げら
れる。本発明では特に液体培地に適合するように必要に
応じて修飾・改変して得られたものが好ましい。
【0042】培地は一般的には液体状態のものを好まし
く使用できるし、アンプルあるいはカプセルなどの密封
性のある容器内に充填したりして収容したものが好適に
使用できるが、これに限定されず、例えば容易に外力に
より破壊することのできる仕切りなどを隔てて容器の培
養空間に供給することが可能なようにされたものである
こともできる。また培地は寒天培地であってもよく、例
えば容易に外力により破壊することのできる仕切りなど
を隔てて抗生物質と接触しないように収容された形態と
し、培養時その仕切りを硬い材質で構成された菌採取棒
の先端部で突き破るとか、その仕切りの上に置かれたガ
ラスあるいはプラスチックなどでコーティングされた鉄
片などを外部マグネットを介してその仕切りに当てて破
壊するとか、さらにはそれに加えて抗生物質液あるいは
緩衝液などのカプセルを破壊して液を培地上に流し込む
などして採取端の菌と抗生物質と寒天培地とが接触する
ようにされていてもよい。また寒天培地に代えて乾燥培
地や粉末培地を収容しておいて、菌検出器具の容器内に
様々な形態で収容された緩衝液などの水性液体で常用の
寒天培地に復帰するような形態のものであることもでき
る。食中毒菌の場合、(ゲル状培地等により)コロニー
状に培養して菌を検出・識別することも可能ではある
が、一般の食堂ないし家庭等において食中毒菌の検出・
識別を容易とする観点からは、pH指示薬や、菌により
分解あるいは代謝されて生ずるその分解物や代謝物が菌
の増殖を示す指標となるところの化学物質などを添加し
て、pH変化等による色変化とか、視覚により容易に判
別が可能なように、均一性のある培養系を与える液状培
地を用いることは好ましい。色変化等に基づく食中毒菌
の検出・識別を実質的に妨げない限り、培地3は、好ま
しくはある程度の粘度を有していてもよい。
【0043】(添加剤)上記した培地3中には、必要に
応じて、種々の添加剤を加えることができる。検出対象
菌の検出を、該菌の繁殖に基づくpHによって確認する
本発明の態様においては、該培地中に予めpH指示薬を
加えておくことが好ましい。このようなpH指示薬を用
いた場合、細菌の繁殖により酸性物質(乳酸等)が産生
されて培地のpHが変化し、これに基づいてpH指示薬
の色調が変化するため、該繁殖の確認が容易となる。本
発明で利用可能なpH指示薬は特に制限されない。pH
変化域、色調等の点からは、例えば、フェノール・レッ
ド、クレゾール・レッド、ブロムチモール・ブルー、ブ
ロムクレゾール・パープル、トリフェニル・テトラゾリ
ウム、ブルー・テトラゾリウム等が好適に使用可能であ
る。これらのpH指示薬は単独で、あるいは必要に応じ
て2種以上組合せて、用いることができる。更には、異
なる菌種を検出するための培地に、(未変化時に)異な
る色調を有するpH指示薬をそれぞれ用いておけば、こ
れらの色調により一目で検出すべき菌種を認識すること
が容易となるため、好ましい。
【0044】(抗生物質)本発明においては、上記した
培地自体にある程度の菌選択性を付与することも可能で
あるが、一般的にはこの選択性を確実なものとする点か
らは、必要に応じて、それぞれ検出・確認すべき特定の
検知対象菌以外の菌の繁殖を効果的に抑制する抗生物質
を組合せて用いることが好ましい。抗生物質は、検知対
象である菌の選択的な培養を達成するためのものであっ
て、特定の検知対象の菌以外の菌が繁殖するのを抑制す
る機能を有する。使用する抗生物質の種類は、検知対象
である菌との関係から選定することができるが、本発明
の器具の使用時の状況に合わせ、如何なる菌選択性を付
与するかを考慮して決定することもできる。菌培養時の
「選択性」は、目的に応じて調節したり、選択すること
が可能で、例えば食中毒菌を対象とした場合、食中毒の
原因となる菌の殆ど全て(99%程度)を占める「黄色
ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、およびサルモネラ菌」から
なる群から選ばれる1種以上の菌に対する培養選択性を
有することが好ましいが、これら3種類の菌相互間の識
別は必須ではない。しかしながら、これらの食中毒菌そ
れぞれの特性に応じたキメ細かい対策を可能とする点か
らは、「黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、およびサルモ
ネラ菌」相互間の識別が可能な「培養の選択性」を有す
ることが好ましい場合もある。またO157のような病
原性大腸菌を識別して検知できるような「培養の選択
性」を有することが好ましい場合もある。
【0045】本発明においては、目的とする特定(1種
またはそれ以上)の検出対象菌(例えば、食中毒菌な
ど)以外の菌の繁殖を効果的に抑制できる抗生物質であ
る限り、特に制限なく使用することが可能である。抗生
物質は、一種類を単独で使用することもある場合には可
能であるが、好ましくは複数を目的に応じて組み合わせ
て使用でき、さらにその使用量は特には使用する培地の
量との関係から目的に応じて適量が決定されうる。例え
ば、食中毒菌を検知する場合、以下に示すような抗生物
質が好ましく用いられる。下記において、各抗生物質と
ともに示した濃度は、食中毒菌培養時(培地と一体化し
た際)における好適な濃度である。
【0046】 〈黄色ブドウ球菌選択性の抗生物質〉 アズトレオナム(Aztreonam ) 1〜15μg/ml ポリミキシンB 1〜15μg/ml フルコナゾール 1〜10μg/ml 上記3種類の抗生物質の組合せが好適に使用可能であ
る。
【0047】〈腸炎ビブリオ選択性の抗生物質〉 ポリミキシンB 1〜15μg/ml フルコナゾール 1〜10μg/ml ポタシウム・テルライト 1〜20μg/ml (potassium tellurite ) 上記3種類の抗生物質の組合せが好適に使用可能であ
る。 〈サルモネラ選択性の抗生物質〉 フルコナゾール 1〜10μg/ml
【0048】(抗生物質の付与位置)本発明において
は、上記抗生物質が菌培養時に培地3と一体となって機
能する限り、該抗生物質の付与位置は特に制限されな
い。好ましくは下記で詳しく説明するディスク部材7に
保持させることができる(図5参照)が、それ以外の方
法も可能である。すなわち、より具体的には、例えば抗
生物質は培地3内に予め添加されていてもよく、また、
容器の内壁にコーティングされていてもよく、あるいは
菌採取部6の所定の位置(培養時に培地3と接触可能な
菌採取部6の位置)に付与されていてもよい。これらの
付与位置は、必要に応じて2以上組合せてもよい。これ
らの態様においては、前記したディスク状部材7が省略
可能であることは、言うまでもない。抗生物質を培地3
内に予め添加する場合には、該培地内における抗生物質
の失活を考慮して、該失活(例えば、常温、1年保存で
約30〜35%程度の抗生物質の活性低下)をカバーで
きる程度の多めの抗生物質を加えておくことが好まし
い。
【0049】容器内の培養に使用する空間に収容する場
合、抗生物質は粉末状で収容することも可能であるが、
培地などの液体と接触して容易に溶解などするようなカ
プセル剤、錠剤などとして収容したり、あるいは上記し
たように容器内の培養に使用する空間となるべき部位に
抗生物質の溶液を添加した後、減圧乾燥等の方法で容器
の内壁にコーティングして収容してあるものであってよ
い。また抗生物質はそれを粉末などの容易に溶解する形
態のものあるいは溶液として、破壊可能なアンプルやカ
プセルなどに充填しておき、容器内の培養に使用する空
間に容易に添加可能になるようにして収容されているこ
ともできる。容器内のいずれの部位に収容されてあって
もよく、培養前に容器を振るとか、液体培地で洗い流す
とか、あるいは外力を加えてアンプルなどを破壊するこ
となどにより、培地と接触可能になるようにして収容さ
れていることができる。培養前には培地と非接触状態を
保つような収容方法が好ましいものとして挙げられ、例
えば、仕切り部材5のところ、あるいはガイド部材20
の上側のところなどに抗生物質は配置される等できる。
一方、菌採取部6の所定の位置に抗生物質を付与する態
様においては、該菌採取部6の棒状部6a(培養時に培
地3と接触可能な位置)、および/又は菌採取部6先端
の菌採取端6bに付与されていることが好ましい。抗生
物質を菌採取端6bに付与する場合、該菌採取端6b自
体に含浸されていてもよく、または、菌採取端6bを内
層(棒状部材6a側)と、外層(菌採取用)との2以上
の層からなる多層構成として、該内層部分に抗生物質と
付与してもよい。また菌採取端6bの上側半分のところ
に抗生物質を含浸させたり、あるいはコーティングして
おくようなこともできる。
【0050】(ディスク部材)本発明において必要に応
じて配置されるディスク部材7は、抗生物質を保持し、
且つ、菌培養時には培地3と接触して特定種類の菌の培
養に好適な条件を提供する機能を有する部材である(図
5参照)。このような保持機能および接触機能が実質的
に達成される限り、ディスク部材の材質、長さ、形状等
は特に制限されない。より具体的には例えば、該ディス
ク部材は単なる板ないし平面状部材であることも可能で
あるが、上記した保持機能/接触機能を効果的に達成容
易な点からは、該ディスク部材は表面積が増大された面
を有することが好ましい。このような「表面積が増大さ
れた面」としては、例えば、1個以上の凹部(切込み、
凹凸面等)が付与された表面、多孔質の表面等が挙げら
れる。ディスク部材(少なくとも、その表面部分)を多
孔質材料で構成する態様においては、キセロゲル状の多
孔質体、あるいは繊維状体が好ましく用いられる。該繊
維状体としては、例えば、濾紙(ロ紙)、綿(脱脂綿
等)、パンチフェルト、織物、編物、不織布等が特に制
限なく使用可能である。
【0051】抗生物質を保持せしめるディスク部材7を
用いないで済むようにされ、且つ菌検出器具の操作性の
向上が図られた培地であり、さらに液体培地に適したも
のとしては、例えば、 (a) サルモネラ菌用培地の組成(培地1,000mlあ
たり):トリプトン,適量、好ましくは3〜7g、例え
ば、5g;酵母エキス,適量、好ましくは1〜6g、例
えば、3g;リジン,適量、好ましくは5〜15g、例
えば、10g;ブドウ糖,適量、好ましくは0.5〜2
g、例えば、1g;塩化ナトリウム,適量、好ましくは
7〜9g、例えば、8g;リン酸二水素一カリウム,適
量、好ましくは1.0〜2.0g、例えば、1.6g;
チオ硫酸ナトリウム,適量、好ましくは0.1〜0.3
g、例えば、0.2g;クエン酸鉄アンモニウム,適
量、好ましくは0.2〜0.4g、例えば、0.3g;
塩化マグネシウム,適量、好ましくは15〜25g、例
えば、20.3g;0.4%マラカイトグリーン液,適量、
好ましくは27〜33ml、例えば、30ml及び;ブ
ロムクレゾールパープル,適量、好ましくは0.01〜
0.03g、例えば、0.02g(培地のpHおおよそ
5.3〜5.7) (b) 腸炎ビブリオ用培地の組成(培地1,000mlあ
たり):食塩ポリミキシンブロス,適量、例えば、25
〜40g(食塩ポリミキシンブロスは、酵母エキス,適
量;ペプトン,適量;塩化ナトリウム,適量;及びポリ
ミキシンB,適量を含有する);マンニット,適量、好
ましくは15〜25g、例えば、20g;クエン酸ナト
リウム,適量、好ましくは5〜10g、例えば、8g;
チオ硫酸ナトリウム,適量、好ましくは0.1〜0.3
g、例えば、0.2g及び;ブロムクレゾールパープ
ル,適量、好ましくは0.01〜0.03g、例えば、
0.02g(培地のpHおおよそ7.0〜7.4)
【0052】(c) 大腸菌群用培地の組成(培地1,00
0mlあたり):ラウリル硫酸ブロス,適量、好ましく
は26〜43g、例えば、35.6g(ラウリル硫酸ブ
ロスは、トリプトース,適量;ラクトース,適量;リン
酸二水素一カリウム,適量;リン酸一水素二カリウム,
適量;塩化ナトリウム,適量;ラウリル硫酸ナトリウ
ム,適量を含有する);ラクトース,適量、好ましくは
3〜8g、例えば、5g及び;ブロムチモールブルーあ
るいはブロムクレゾールパープル,適量、好ましくは
0.03〜0.05g、例えば、0.04g(培地のp
Hおおよそ6.75〜7.25) (d) ブドウ球菌用培地の組成(培地1,000mlあた
り):トリプトン,適量、好ましくは5〜15g、例え
ば、10g;酵母エキス,適量、好ましくは2〜8g、
例えば、5g;マンニット,適量、好ましくは5〜15
g、例えば、10g;リン酸一水素二カリウム,適量、
好ましくは2〜8g、例えば、5g;塩化リチウム,適
量、好ましくは5〜6g、例えば、5.5g;グリシ
ン,適量、好ましくは12〜20g、例えば、16.5
g;ピルビン酸ナトリウム,適量、好ましくは10〜1
4g、例えば、12g;1%亜テルル酸カリウム水溶液,
適量、好ましくは12〜18ml、例えば、15ml;
フェノールレッド,適量、好ましくは0.02〜0.0
3g、例えば、0.025g(培地のpHおおよそ7.
25〜7.75)が挙げられる。これらの培地成分のう
ち、栄養源として加えられている成分、例えば、トリプ
トン、酵母エキス、リジン、ブドウ糖、ペプトン、マン
ニット、トリプトース、ラクトース等は、当該分野の当
業者が適宜目的・必要に応じて広い範囲でその量を増減
でき、こうした培地も本発明の培地の範囲内のものと理
解すべきである。また、検出すべき菌の選択性に関係す
る成分としては、塩化ナトリウム、マラカイトグリー
ン、ブロムクレゾールパープル、チオ硫酸ナトリウム、
クエン酸鉄アンモニウム、ポリミキシンB、ラウリル硫
酸ナトリウム、ブロムチモールブルー、塩化リチウム、
ピルビン酸ナトリウム、亜テルル酸カリウム、フェノー
ルレッド等が挙げられ、こうした成分は菌の検出感度に
少なからぬ影響を有する成分であることから比較的その
添加の量を正確に選択することが求められるが、当該分
野で知られた菌を培養しての通常の検定などを行い、実
験によりその量を選択並びに決定して、上記以外の範囲
から選択することは許されるものであり、こうした改変
・改良をされた培地も本発明の培地の範囲内のものと理
解すべきである。これらの培地は流動性がある液体培地
で、本発明の菌検出器具での利用に特に適した形態の培
地である。これらの培地は優れた菌検出感度、さらには
菌に対する特異性を示し、同時にpH指示薬の色の変化
による菌の検出性能も優れている。上記組成を構成する
成分の量は、適宜当業者であれば増減することができる
し、さらに適当な成分を付加することも、その基本的な
性状を変えないかぎり可能である。培地への配合成分
は、市販のものを使用することができ、例えば、食塩ポ
リミキシンブロスは日水製薬(株)などから市販されて
いるもの、ラウリル硫酸ブロスはDifco 社などから市販
されているものを使用することができ、その他の成分は
Difco 社、和光純薬工業(株)などから入手できる。本
発明の菌検出器具は、調理場の設備、調理器具などの調
理環境、台所、トイレ、風呂、飲食品販売場所などを含
めたヒトの生活環境における、特定種の菌(食中毒菌、
例えば、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、大腸菌、腸炎
ビブリオ菌、その他の腸内細菌など)を検出するのに有
用であるが、さらに本発明の菌検出器具を使用して、さ
まざまな成分を高濃度で含んでいる食品、食材における
当該菌、例えば、食中毒菌などによる汚染を検出する目
的で利用することも可能である。食品、食材などには、
種々の成分、例えば、糖類、蛋白、脂質、有機酸(例え
ば、酢酸、クエン酸など)、アミノ酸、化学調味料、ビ
タミン、ミネラル、化学物質などが含まれており、それ
により培地のpH、イオン強度などが変化し、検出の原
理に菌の増殖による培地pHの変化をpH指示薬の色の
変化を利用して検出を行なっている場合、使用している
pH指示薬に影響を及ぼす可能性がある。こうした場
合、検出対象食品・食材などの種類に応じて、検体を前
処理(例えば、pH調整)したり、適切なpH指示薬を
選択したり、さらには培地の成分を適宜変更したり、あ
るいはその配合量を変えるなどして、適切なものにする
ことができる。例えば、検査対象食品が、乳製品の一種
であるような飲料などで大腸菌などの検出を目的として
いる場合、例えば、pH指示薬であるブロムチモールブ
ルーをブロムクレゾールパープルに置き代えて使用する
などが挙げられる。
【0053】(無菌状態)上述したような本発明の菌検
出器具は、検査の正確性の点からは、使用直前までは
(少なくともその内部は)実質的に無菌状態であること
が好ましい。本発明の器具を製造後に、無菌状態にする
際には、公知の物理的手段(例えば、紫外線、γ線等の
電磁波照射による滅菌)、および/又は化学的手段(例
えば、エチレンキサイド等のガスによる滅菌)が特に制
限なく使用可能である。例えば、器具に1〜30℃で、
γ線を1分間照射することにより滅菌することができ
る。また、エチレンオキサイドを用いた滅菌装置を使用
して滅菌する場合、該滅菌は、例えば、0℃〜70℃の
温度、好ましくは30℃〜50℃の温度で、約10〜4
0%のエチレンオキサイドと約60〜90%の炭酸ガス
からなる気体中、好ましくは約20%のエチレンオキサ
イドと約80%の炭酸ガスからなる気体中で、加圧下、
好ましくは約0.1〜1kgw/m2 の圧力、より好ま
しくは約0.3kgw/m2 の圧力の下で、約1〜48
時間、好ましくは約3〜10時間行なうことにより達成
できる。上記滅菌後、本発明の菌検出器具は、フィルム
等からなる袋(図示せず)内に保存しておくことが好ま
しい。この際、菌検出器具(図1)を一体的に袋内に保
存しておいてもよく、また、必要に応じて、容器と、蓋
体2(+菌採取部6)とを、それぞれ別個の袋に保存し
ておいてもよい。上述の菌採取端、及び抗生物質に関連
した種々の収容形態、並びに培地に関連した種々の収容
形態などの選定、組み合わせについては、本発明の目的
や趣旨を逸脱しないかぎり様々な数多くのバリエーショ
ン及び組み合わせが許容される。特に抗生物質及び培地
(好ましくは特に液体培地)の双方ともが、あるいはそ
の少なくとも一方を合成樹脂やガラス製の袋、アンプ
ル、又はカプセルなどに収容し、これらを使用時に破壊
してその抗生物質及び培地を一体化させる形態のものの
場合、その袋、アンプル、又はカプセルなどを収容して
いる容器の部分は、割り具を使用したり、あるいはその
ようなものを使用しないで、外力によりそうした袋、ア
ンプル、又はカプセルなどを容易に破ったり、破壊でき
るような材質・形態のものが好ましく、例えばフレキシ
ブルなものとか、エラスティック性や可撓性を有するも
のが挙げられる。
【0054】(消毒・殺菌剤)本発明の使用済みの菌検
出器具の培地等にある培養された病原菌を消毒及び/又
は殺菌して、該使用済みの菌検出器具を安全に廃棄でき
るようにするため使用される消毒・殺菌剤は、検体であ
る菌の培養を開始してからは実質的に外界あるいは環境
と隔離された形態で、培養微生物を含んでいる部分を消
毒及び/又は殺菌できるように添加されるものであり、
そうした構造であればいかなる形態で本発明の菌検出器
具に配置されていてもよいが、代表的には蓋体2のうち
に培地3を収容する第一の袋状部材とは別の第二の袋状
部材8に収容された形態で存在するものが挙げられる。
消毒・殺菌剤としては、当該分野で知られた消毒及び/
又は殺菌剤の中から適宜選択して用いることができる
が、例えば塩素酸塩系消毒・殺菌剤、逆性石ケン類消毒
・殺菌剤、ビグアナイド系消毒・殺菌剤、アルデヒド系
消毒・殺菌剤、フェノールあるいはクレゾール系消毒・
殺菌剤などが挙げられる。代表的な消毒・殺菌剤として
は、例えば次亜塩素酸ナトリウム、さらし粉、クロラミ
ンT、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ク
ロルヘキシジン塩、ポリアルキレンビグアニジン塩、ホ
ルマリン、グルタルアルデヒド、ポンピドンヨードなど
が挙げられる。消毒剤(殺菌剤)としては、例えば、ま
な板、調理台など、食中毒菌などの病原性菌が検出され
た所を消毒したり、殺菌したり、あるいは洗浄したりす
るために一般的に使用されているもの、あるいはそうし
た目的に好ましいことが見いだされたものの中から選ん
で用いることもできる。こうした洗浄剤(消毒剤)とし
ては、例えば、上記した次亜塩素酸ナトリウム(和光純
薬工業(株))、テゴー51(10%:商品名;日本商
事(株))、キッチンカビキラー(商品名;ジョンソン
(株))、キッチンハイター(商品名;花王(株))な
どが挙げられる。またこうした洗浄剤(消毒剤)は、例
えば、黄色ブドウ球菌 (Staphylococcusaureus) ATCC 2
5923 、大腸菌 (Escherichia coli) ATCC 25922、 Ente
robacter faecalis ATCC 29212 、Pseudomonas aerugin
osa ATCC 27853 などの標準菌株を使用して、次のよう
な検定法を用いてその消毒効果が十分にあることが認め
られたものであってよい。 消毒(殺菌)効果検定法 (1)菌液の調製 24時間培養した標準菌株: Staphylococcus aureus ATCC 25923 Escherichia coli ATCC 25922 Enterobacter faecalis ATCC 29212 Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853 を使用し、滅菌生理食塩水にてマクファーランド標準濁
度 No. 1 ( 3.0×108CFU/ml) に調製する。 (2)殺菌方法 各洗浄液を原液として、最終濃度10%で5分間上記
(1)で調製した菌液と接触させる。 (3)培養方法 上記(2)のように洗浄液と5分間接触させた菌液を原
液として、滅菌生理食塩水にて10倍(×10)、10
0倍(×100)に希釈後、それぞれを血液寒天培地に
0.1mlずつ接種し、培養する。また、コントロール
として、洗浄剤を使用しない系を作り、同様に培養す
る。37℃で48時間培養し、発育してきたコロニー数
をコントロールと比較してその消毒効果を評価する。例
えば、洗浄剤として、次亜塩素酸ナトリウム(和光純薬
工業(株))、テゴー51(10%:商品名;日本商事
(株))、キッチンカビキラー(商品名;ジョンソン
(株))、キッチンハイター(商品名;花王(株))な
どでは、5分以内で使用した標準菌株をすべて殺菌する
ことが確かめられた。
【0055】図4には、本発明の菌検出器具の他の態様
の例を示す。この図4の態様においては、培地3が容器
1中に落下する際に、棒状部材6aを伝う該培地3の落
下を促進させるようにガイドする機能を有する「ガイド
部材」20が、仕切り部材5の下方に設けられている。
図4の構成は、上記ガイド部材20が設けられている以
外は、図1の構成と同様である。ガイド部材20が、棒
状部材6aを伝う培地3の落下を促進させるガイド機能
を果たす限り、該ガイド部材20の材質、形状、大きさ
等は特に制限されない。棒状部材6aを伝う培地3の落
下の促進が容易な点からは、ガイド部材20は、少なく
ともその一部が、容器1の内径より小さい内径を有する
ことが好ましい。より具体的には例えば、該ガイド部材
20は図4に示すように、その下端が容器1の中心方向
に若干傾いている(すなわち、その下端が容器1の内径
より小さい内径を有する)「羽根」状部材からなること
が好ましいが、このような「傾き」は省略することも可
能である。図5には、ディスク部材7を容器1に配置せ
しめた場合の態様の本発明の菌検出器具が示されてい
る。
【0056】図6〜図11は、本発明の菌検出器具の別
の代表的な具体例において、それが基本的に備える構
成、特には培養後の培地等を消毒及び/又は殺菌する手
段として基本的に備える構成を説明するものである。図
6は該菌検出器具の主に断面形態を示し、図7は該菌検
出器具の主に外観形態を示し、図8は該菌検出器具の容
器21の外観形態を示し、図9aは該菌検出器具の容器
21の上方から見た形態を示し、図9bは該菌検出器具
の容器21の側面から見た断面形態を示し、図10aは
該菌検出器具の蓋体22の形態であって、容器21との
係合部側から見た形態を示し、図10bは該菌検出器具
の蓋体22の側面からの主に外観形態を示し、図10c
は該菌検出器具の蓋体22の形態であって、上方(キャ
ップ部261側)から見た形態を示し、そして図11は
該菌検出器具の容器21の側面から見た断面形態を示し
ている(図10及び図11では菌採取部は省略されてい
る)。図6において蓋体22は、培地を入れたアンプル
24を収容することのできる蓋体構成部材23と消毒剤
をいれたアンプル28を収容することのできる蓋体構成
部材27とキャップ部材261とから主に構成されてい
る。蓋体構成部材23の底部側、即ち円筒形の容器21
との係合部側には突起32が設けられている。突起32
は蓋体構成部材23の円周方向全体に設けられて、結局
蓋体構成部材23の容器21との係合部側が肉厚となっ
ているものでもよいし、あるいは突起32は部分的にそ
の突起部が蓋体構成部材23の内面側に所々とび出るよ
うに設けられたもの、例えば、桟などの突起などである
こともできる。蓋体構成部材23の頂部側、即ちキャッ
プ部材261側の端部34には、好ましい態様では蓋体
構成部材27に設けられたネジ山と螺合しうるようにネ
ジ切りがされて、蓋体構成部材27の本体を回転させる
ことにより、蓋体構成部材27のアンプル28を収容す
る部分の底部35を容器21側に押し込むことができる
ようになっている。あるいは蓋体構成部材23の頂部
側、即ちキャップ部材261側の端部34は、蓋体構成
部材27の容器21側の端部としっかり係合し、蓋体構
成部材27を容器21側にスライドさせて押し込むこと
により、蓋体構成部材27のアンプル28の収容部の底
部35を容器21側に容易に押し込むことができ、アン
プル24を容器21側に押し込むことができるようにな
っている。
【0057】蓋体構成部材27は、そのアンプル28の
収容部の底部部分35にはアンプル28を破壊した場合
に下記するようにその中の消毒剤が容器21に流れ込め
るように貫通孔が設けられている。蓋体構成部材27の
底部側、即ちアンプル24側には、蓋体構成部材23と
同様に突起33が設けられている。この突起33は上記
突起32と同様に蓋体構成部材27の円周方向全体に設
けられて、結局蓋体構成部材27のアンプル24側のア
ンプル28の収容部の底部35側が肉厚となっているも
のでもよいし、あるいは突起33は部分的に突起部が蓋
体構成部材27の内面側に所々とび出るように設けられ
たものであることもできる。蓋体構成部材27の頂部
側、即ちキャップ部材261側の端部37には、好まし
い態様ではキャップ部材261に設けられたネジ山と螺
合しうるようにネジ切りがされて、キャップ部材261
のヘッド部を回転させることにより、キャップ部材26
1の底部36をアンプル28側に押し込むことができる
ようになっている。あるいは蓋体構成部材27の頂部
側、即ちキャップ部材261側の端部37は、キャップ
部材261としっかりと係合し、そのキャップ部材26
1を上から容器21側にスライドさせて押し込むことに
より、キャップ部材261のアンプル28側の底部36
を容器21側に容易に押し込むことができ、アンプル2
8を容器21側に押し込むことができるようになってい
る。
【0058】先ず蓋体構成部材27の本体部を回転させ
て(あるいは容器側に押し込んで)、蓋体構成部材27
のアンプル28の収容部の底部35を容器21側に押し
込むと、該底部35がアンプル24を押し下げる。押し
下げられたアンプル24は、蓋体構成部材23に設けら
れた突起32の傾斜面で支えられることとなる。こうし
てアンプル24と突起32の傾斜面との接点Aにおい
て、蓋体構成部材27を容器21側に押し込むにつれて
テンションがかかることとなり、アンプル24の下部を
破壊し、内容物を放出することを許す。アンプル24か
らでた内容物は、重力にしたがい、容器21に流れ込み
菌採取部26bと接触することになる(なお、図6では
容器21と蓋体22との係合部に設けられている貫通
孔、菌採取部取付部、蓋体と容器の係合部の細部構造な
どは省略されている)。菌培養後消毒処理時には、キャ
ップ部材261の頂部を回転させて(あるいは容器側に
押し込んで)、キャップ部材261の底部36をアンプ
ル28側に押し込むと、キャップ部材261の底部36
がアンプル28を押し下げる。押し下げられたアンプル
28は、蓋体構成部材27に設けられた突起33の傾斜
面で支えられることとなる。こうしてアンプル28と突
起33の傾斜面との接点Bにおいて、キャップ部材26
1を容器21側に押し込むにつれてテンションがかかる
こととなり、アンプル28の下部を破壊し、内容物を放
出することを許す。アンプル28からでた内容物は、重
力にしたがい、蓋体構成部材27のアンプル28の収容
部の底部35に設けられた貫通孔を通して、容器21に
流れ込み菌培養物と接触することになる。アンプルはガ
ラス製、硬質プラスチック製などのもので、機械的な力
がかかると(特に部分的に機械的な力がかかると)破砕
し易いものが、使い勝手からみて好ましい。
【0059】培養された病原菌などを含有する培地や菌
の付着している可能性の高い容器内空間は、消毒剤によ
って消毒及び/又は殺菌せしめられる。こうして安全に
器具を廃棄処理可能な状態にすることができる。本発明
の菌検出器具の培養系は外界あるいは環境に対して実質
的に密閉した状態に保たれたまま、その培地を容器1内
に供給しての培養の開始から、培養された培地を観察す
ることによる所定の菌の検出・検知、そして最後に廃棄
可能なように容器を消毒・殺菌することが可能である。
測定対象菌が病原菌には限られず、普通の菌であっても
環境を汚染すること(あるいはその可能性)を避けると
いう意味からも、本発明の菌検出器具は有用である。ま
た本発明の菌検出器具は携帯性に優れているから、それ
を安全且つ確実に廃棄可能なように消毒・殺菌すること
が可能であることは有用である。また本発明の菌検出器
具はその構造からも熟練者でなくとも確実な操作が簡単
に遂行できることがわかる。
【0060】図12および図13は、本発明の菌検出器
具の別の代表的な具体例において、それが基本的に備え
る構成、特には培養後の培地等を消毒及び/又は殺菌す
る手段として基本的に備える構成を説明するものであ
る。図13において蓋体42は、培地を入れたアンプル
44を収容することのできる蓋体構成部材43と消毒剤
をいれたアンプル48を収容することのできる蓋体構成
部材47とキャップ部材49とから主に構成されてい
る。蓋体構成部材43の底部側、即ち円筒形の容器41
との係合部59側には突起52が設けられている。突起
52は蓋体構成部材43の円周方向全体に設けられて、
結局蓋体構成部材43の容器41との係合部59側が肉
厚となっているものでもよいし、あるいは突起52は部
分的に突起部が蓋体構成部材43の内面側に所々とび出
るように設けられたもの、例えば、桟などの突起などで
あることもできる。蓋体構成部材43の頂部側、即ちキ
ャップ部材49側の端部54には、好ましい態様では蓋
体構成部材47に設けられたネジ山と螺合しうるように
ネジ切りがされて、蓋体構成部材47のヘッド部45を
回転させることにより、蓋体構成部材47の底部55を
容器41側に押し込むことができるようになっている。
蓋体構成部材47は、その底部55の部分にはアンプル
48を破壊した場合に下記するようにその中の消毒剤が
容器41に流れ込めるように貫通孔が設けられている
(なお、図13では貫通孔は図示されていない)。蓋体
構成部材47の底部側、即ちアンプル44側には、蓋体
構成部材43と同様に突起53が設けられている。この
突起53は上記突起52と同様に蓋体構成部材47の円
周方向全体に設けられて、結局蓋体構成部材47のアン
プル44側の底部55側が肉厚となっているものでもよ
いし、あるいは突起53は部分的に突起部が蓋体構成部
材47の内面側に所々とび出るように設けられたもので
あることもできる。蓋体構成部材47の頂部側、即ちキ
ャップ部材49側の端部57には、好ましい態様ではキ
ャップ部材49に設けられたネジ山と螺合しうるように
ネジ切りがされて、キャップ部材49のヘッド部を回転
させることにより、キャップ部材49の底部56をアン
プル48側に押し込むことができるようになっている。
【0061】先ず蓋体構成部材47のヘッド部45を回
転させて、蓋体構成部材47を容器41側に押し込む
と、蓋体構成部材47の底部55がアンプル44を押し
下げる。押し下げられたアンプル44は、蓋体構成部材
43に設けられた突起52の傾斜面で支えられることと
なる。こうしてアンプル44と突起52の傾斜面との接
点Aにおいて、蓋体構成部材47を容器41側に押し込
むにつれてテンションがかかることとなり、アンプル4
4の下部を破壊し、内容物を放出することを許す。アン
プル44からでた内容物は、重力にしたがい、容器41
に流れ込み菌採取部46bと接触することになる(な
お、図13では59の部分に設けられている貫通孔、菌
採取部取付部、蓋体と容器の係合部の細部構造などは省
略されている)。菌培養後消毒処理時には、キャップ部
材49の頂部461を回転させて、キャップ部材49の
底部56をアンプル48側に押し込むと、キャップ部材
49の底部56がアンプル48を押し下げる。押し下げ
られたアンプル48は、蓋体構成部材47に設けられた
突起53の傾斜面で支えられることとなる。こうしてア
ンプル48と突起53の傾斜面との接点Bにおいて、キ
ャップ部材49を容器41側に押し込むにつれてテンシ
ョンがかかることとなり、アンプル48の下部を破壊
し、内容物を放出することを許す。アンプル48からで
た内容物は、重力にしたがい、蓋体構成部材47の底部
55に設けられた貫通孔(図示されていない)を通し
て、容器41に流れ込み菌培養物と接触することにな
る。アンプルはガラス製、硬質プラスチック製などのも
ので、機械的な力がかかると(特に部分的に機械的な力
がかかると)破砕し易いものが、使い勝手からみて好ま
しい。培養された病原菌などを含有する培地や菌の付着
している可能性の高い容器内空間は、消毒剤によって消
毒及び/又は殺菌せしめられる。こうして安全に器具を
廃棄処理可能な状態にすることができる。本発明の菌検
出器具の培養系は外界あるいは環境に対して実質的に密
閉した状態に保たれたまま、その培地を容器1内に供給
しての培養の開始から、培養された培地を観察すること
による所定の菌の検出・検知、そして最後に廃棄可能な
ように容器を消毒・殺菌することが可能である。測定対
象菌が病原菌には限られず、普通の菌であっても環境を
汚染すること(あるいはその可能性)を避けるという意
味からも、本発明の菌検出器具は有用である。また本発
明の菌検出器具は携帯性に優れているから、それを安全
且つ確実に廃棄可能なように消毒・殺菌することが可能
であることは有用である。また本発明の菌検出器具はそ
の構造からも熟練者でなくとも確実な操作が簡単に遂行
できることがわかる。
【0062】図14は、本発明の菌検出器具の代表的な
具体例において、図12や図13と同様にそれが基本的
に備える構成、特には培養後の培地等を消毒及び/又は
殺菌する手段として基本的に備える構成を説明するもの
である。図14において蓋体は、消毒剤をいれたアンプ
ル64および培地を入れたアンプル68を収容すること
のできる蓋体構成部材62から主に構成されている。蓋
体構成部材62の内側でアンプル64、68の表面と接
する側には、突起73および74が溝状(あるいは畝
状)に設けられている(例えば、図14(c)参照)。
アンプルを収納している蓋体62の直径(あるいは外
径)よりやや小さな径をもつリング77(図14(a)
参照)を用意し、蓋体62の頂部71から容器61側に
通すと、蓋体62のうち72の部分では突起がないた
め、該リング77はスムーズに通るが、72の部分を過
ぎると突起73および74によるテンションがアンプル
に掛かるようになり、アンプルを側面から破壊する。突
起73および74は容器61側に近づくにしたがい、よ
りアンプル側にとび出るようにするとリング77を蓋体
62の頂部71から容器61側に通していくにしたが
い、より大きなテンションがアンプルに掛かるようにな
る(なお、図14では、アンプル64、68より出た培
地及び消毒剤が容器61に入っていくための貫通孔、菌
採取部取付部、蓋体と容器の係合部の細部構造などは省
略されている)。
【0063】別の態様では、蓋体は、上記と同様 (i)培
地を入れたアンプル64および(ii)消毒剤をいれたアン
プル68を収容することのできる蓋体構成部材62から
主に構成されている。リング77を蓋体62の容器61
側の部分76の所に予め組み込んで置き、そのリング7
7を蓋体62の頂部71側に上昇させることにより、上
記と同様にして下部のアンプル64から破砕していくこ
ともできる。さらに別の態様では、蓋体は、(i) 消毒剤
をいれたアンプル64および(ii)培地を入れたアンプル
68を収容することのできる蓋体構成部材62から主に
構成されており、用意されたリング77は蓋体62の頂
部71から容器61側に通し、アンプル68を側面から
破壊する。こうしてアンプル68を破壊するように動か
されたリング77は蓋体62の中程の部分の所まで動か
したのち、そこに留めるか、あるいは上方に動かして頂
部71から抜き去る。一方アンプル64を破壊するため
には予めリング77(以下リング77’という)(図示
されていない)を蓋体62の容器61側の部分76の所
に予め組み込んで置き、そのリング77’を蓋体62の
頂部71側に上昇させることにより、下部からアンプル
64を破砕する。また、蓋体は、培地を入れたアンプル
64および消毒剤をいれたアンプル68を収容すること
のできる蓋体構成部材62から主に構成して、リング7
7およびリング77’を上記とは逆の順序で移動させ
て、先ず培地を容器61内に供給し、培養後消毒剤を容
器61内に供給できるようにすることもできる。
【0064】図15は、本発明の菌検出器具の代表的な
具体例において、それが基本的に備える構成、特には培
養後の培地等を消毒及び/又は殺菌する手段として基本
的に備える構成を説明するものである。図15において
蓋体82は、(i) 培地を入れたアンプル84および(ii)
消毒剤をいれたアンプル88を収容することのできる蓋
体構成部材から主に構成されている。蓋体構成部材82
には容器81と反対側の頂部99にプッシュ式押し下げ
部材91、93を備えている。該押し下げ部材91には
アンプル84の頂部に対して安定して力が作用するよう
な形状の部分92が設けてある。同様に該押し下げ部材
93にはアンプル88の頂部に対して安定して力が作用
するような形状の部分94(図では符号は省略されてい
る)が設けてある。先ずプッシュ式押し下げ部材91を
押し込むと、部分92を介してアンプル84を押し下げ
る。すると蓋体82の内側(アンプル収納側)の容器8
1に近い側に設けられた傾斜面(あるいは桟状突起)
(図示されてはいない)とアンプル84との接点95で
テンションがかかり、アンプルの下部を破砕することと
なり、培地をアンプルから出すこととなり、重力により
係合部89の貫通孔(図示されていない)を通して、培
地は容器81の中に入る。菌培養後は、もう一つのプッ
シュ式押し下げ部材93を押し込むと、部分94を介し
てアンプル88を押し下げる。すると蓋体82の内側
(アンプル収納側)の容器81に近い側に設けられた傾
斜面(あるいは桟状突起)(図示されてはいない)とア
ンプル88との接点96でテンションがかかり、アンプ
ルの下部を破砕することとなり、消毒剤をアンプルから
出すこととなり、重力により係合部89の貫通孔(図示
されていない)を通して、消毒剤は容器81の中に入
る。プッシュ式押し下げ部材91、93は、蓋体82の
頂部99に、ある一定以上の外力により押し込み可能な
ように取り付けられているものであることができる。ま
たプッシュ式押し下げ部材91、93は、蓋体82の頂
部99にネジ式で係合されていることができ、この場合
は押し下げ部材91、93は、それを回転して容器81
の側に押し込むことができる構成となっている。いずれ
にせよ、本発明の菌検出器具を使用して培地や消毒剤を
出す必要が生ずるまでは、アンプルなどの袋状部材を破
損してその内容物を出すことがないが、一旦必要となっ
たときにはそれぞれ任意に出すことができる構造となっ
ていればよい。
【0065】図16は、本発明の菌検出器具の代表的な
具体例において、それが基本的に備える構成、特には培
養後の培地等を消毒及び/又は殺菌する手段として基本
的に備える構成を説明するものである。図16において
円筒状の蓋体102は、蓋体102の下側おおよそ半分
を構成する蓋体構成部材112と蓋体102の上側おお
よそ半分を構成する蓋体構成部材111とから主に構成
されている。そして蓋体構成部材112と蓋体構成部材
111とは少なくともそのうちの片方は他方に対して蓋
体102の円周に沿って回転できるようにされている。
また蓋体102の中には培地を入れたアンプル104お
よび消毒剤をいれたアンプル108が収容されている。
蓋体構成部材112の内側にはアンプル104、108
に接するように突起部113が設けられている。蓋体構
成部材111にはアンプル104、108をそれぞれ収
容できるようにホール124、128(図では符号は省
略されている)が設けられている。蓋体構成部材112
の上に(容器101と反対側に)蓋体構成部材111が
来るように配置して蓋体102を構成し、蓋体構成部材
111に設けられたホール124にアンプル104をい
れ、同じくホール128にアンプル108をいれる。そ
してその入れられたアンプル104、108は蓋体構成
部材112部分では、図16の(a)の如く突起部11
3に対するように配置される。
【0066】例えば、上部の蓋体構成部材111を反時
計回りの方向に90度回転させると、アンプル104の
突起部113との接触部115の部分でテンションがか
かることになり、アンプル104が破砕され、内容物の
培地が流出する。外に出た培地は重力により、蓋体10
2と容器101との係合部にある貫通孔(図示されてい
ない)を通って容器101に入り、菌採取部106bと
接触することとなる。上部の蓋体構成部材111をさら
に反時計回りの方向に回転させる(180度回転させ
る)と、アンプル108の突起部113との接触部分
(図示されていない)でテンションがかかることにな
り、アンプル108が破砕され、内容物の消毒剤が流出
する。外に出た消毒剤は重力により、蓋体102と容器
101との係合部にある貫通孔(図示されていない)を
通って容器101に入り、菌培養物をはじめとして器具
を消毒・殺菌することとなる。あるいは、アンプル10
8を破壊する場合上記のように反時計回りの方向へ18
0度回転させる代わりに、上部の蓋体構成部材111を
時計回りの方向へ回転させると、アンプル108の突起
部113との接触部部分116でテンションがかかるこ
とになり、アンプル108が破砕され、内容物の消毒剤
が流出する。本発明の菌検出器具では、培地や消毒剤を
出す必要が生ずるまでは、アンプルなどの袋状部材を破
損してその内容物を出すことがないように、ツメなどを
備えてそのアンプルなどの袋状部材を破壊する機構が働
かないようにしたり、あるいはある程度の外力でないと
回転しないとか、押し込むことができないなどの構造と
して、そのアンプルなどの袋状部材を破壊する機構が働
かないようにすることができる。また本発明の菌検出器
具では、培地や消毒剤を出す必要が生ずるまでは、アン
プルなどの袋状部材を破損してその内容物を出すことが
ないように、袋状部材を破壊する機構にキャップなどの
保護を施して置くこともできる。
【0067】図17〜図33は、本発明の菌検出器具の
別の代表的な具体例において、それが基本的に備える構
成、特には培養後の培地等を消毒及び/又は殺菌するた
めの手段として基本的に備える構成を説明するものであ
る。図17は該菌検出器具の主に外観形態を示し、図1
7の該菌検出器具の主に断面形態を図18に示す。図1
9〜図33には、該菌検出器具を構成する各部材のより
詳細な形状が示してある(なお、これらの図において
は、菌採取部などは分かりやすいように省略されている
場合がある)。キャップ部材(561)の主に外観形態
は図19に示され、該キャップ部材(561)の主に断
面形態は図20に示され、図21は該キャップ部材(5
61)の I−I'切断面から下方を見た切断形態を主に透
視図的に示してある。該菌検出器具を構成する蓋体構成
部材(247)の外観形態は図22に主に示されてお
り、該蓋体構成部材(247)の断面形態は図23に主
に示され、図24は該蓋体構成部材(247)をII方向
からみた外観形態を主に示し、図25は該蓋体構成部材
(247)をIII 方向からみた外観形態を主に示してい
る。図26は該菌検出器具を構成する蓋体構成部材(2
43)の外観形態を主に示し、図27は該蓋体構成部材
(243)の断面形態を主に示し、図28は該蓋体構成
部材(243)をIV方向からみた外観形態を主に示し、
図29は該蓋体構成部材(243)をV 方向からみた外
観形態を主に示してある。該菌検出器具を構成する容器
(241)の外観形態は図30に主に示してあり、該容
器(241)の断面形態は図31に主に示してあり、図
32は該容器(241)をVI方向からみた外観形態を主
に示し、図33は菌採取部(246b)の取り付けられ
た該菌検出器具の該容器(241)の G−G'切断面での
切断形態を主に示している。
【0068】図17及び18において蓋体242は、
(a)培地を入れたアンプル244を収容することので
きる蓋体構成部材243と(b)消毒剤をいれたアンプ
ル248を収容することのできる蓋体構成部材247と
(c)キャップ部材(249,561)とから主に構成
されている。蓋体構成部材243の底部側、即ち円筒形
の容器241との係合部259側には突起252が設け
られている。突起252は蓋体構成部材243の円周方
向全体に設けられて、結局蓋体構成部材243の容器2
41との係合部259側が肉厚となっているものでもよ
いし、あるいは突起252は部分的に突起部が蓋体構成
部材243の内面側に所々とび出るように設けられたも
の、例えば、桟などの突起などであることもできる。本
図面に示される例では、図28に示されているように該
突起252は4箇所にくさび形断面を持つようにして設
けられているのがわかる。こうした該突起252の形状
はアンプル244との接触点Aにおいて大きな破壊力を
生ぜしめるに有効である。こうした作用効果を期待でき
る形状は、この他に機械器具の分野、特には容器の分野
で広く知られたもののうちから当業者が適宜選択して採
用できる。蓋体構成部材243の頂部側、即ちキャップ
部材249側の端部領域は、好ましい態様では蓋体構成
部材247に設けられた係合リセス部299と嵌合しう
るように突起部297が設けられており、蓋体構成部材
247のヘッド部245を容器241方向に押動させる
ことにより、蓋体構成部材247の底部235を容器2
41側に押し込むことができるようになっている。
【0069】本図面に示される例では、該突起部297
は、図28に示された突起部252と同様に円筒形状の
部材243の内壁の4箇所に設けられ、それと対応して
該係合リセス部299は部材247の容器241側の外
壁に4箇所設けられている。こうした突起部297と係
合リセス部299は、互いが係合して蓋体構成部材24
3の内側に蓋体構成部材247を嵌着でき、好ましくは
アンプル244の破壊時には蓋体構成部材247を容器
241側に摺動し得るものであれば、その構造は特に限
定されない。こうした作用効果を期待できる形状であれ
ば、この他に機械器具の分野、特には容器の分野で広く
知られたもののうちから当業者が適宜選択して採用でき
る。蓋体構成部材247は、その底部235の部分には
アンプル248を破壊した場合に下記するようにその中
の消毒剤が容器241に流れ込めるように貫通孔が設け
られている(図25参照)。蓋体構成部材247の底部
側、即ちアンプル244側の内側には、蓋体構成部材2
43と同様に突起253が設けられている。この突起2
53は上記突起252と同様に蓋体構成部材247の円
周方向全体に設けられて、結局蓋体構成部材247のア
ンプル244側の底部側が肉厚となっているものでもよ
いし、あるいは突起253は部分的に突起部が蓋体構成
部材247の内面側に所々とび出るように設けられたも
の(例えば、桟などの突起のようになっているもの)で
あることもできる。本図面に示される例では、図24に
示されているように該突起253は4箇所にくさび形断
面を持つようにして設けられているのがわかる。蓋体構
成部材247の頂部側、即ちキャップ部材249側の端
部245には、好ましい態様ではキャップ部材249に
設けられたネジ山257と螺合しうるようにネジ切りが
されて、キャップ部材249のヘッド部を回転させるこ
とにより、キャップ部材249の底部256をアンプル
248側に押し込むことができるようになっている。
【0070】例えば、図18を参照するとよくわかるよ
うに、先ず蓋体構成部材247のヘッド部245を容器
241方向に押し下げ、蓋体構成部材247を蓋体構成
部材243の中へと押し込むと、蓋体構成部材247の
底部235がアンプル244を押し下げる。押し下げら
れたアンプル244は、蓋体構成部材243に設けられ
た突起252の傾斜面で支えられることとなる。こうし
てアンプル244と突起252の傾斜面との接点Aにお
いて、蓋体構成部材247を容器241側に押し込むに
つれてテンションがかかることとなり、アンプル244
の下部を破壊し、内容物を放出することを許す。アンプ
ル244からでた内容物は、重力にしたがい、第一の仕
切り部材296に設けられた貫通孔(図29参照)を通
り、容器241に流れ込み菌採取部246bと接触する
ことになる(なお、図28ではアンプル244は省略さ
れて示されており、さらに図29では、その中央部に設
置されるべき菌採取部は省略されて示されている)。本
図面に示された例では、図28及び図29を参照してわ
かるように貫通孔は扇形のものが4個設けられている。
菌培養後消毒処理時には、キャップ部材249の頂部5
61を回転させて、キャップ部材249の底部256を
アンプル248側に押し込むと、キャップ部材249の
底部256がアンプル248を押し下げる。押し下げら
れたアンプル248は、蓋体構成部材247の内側部に
設けられた突起253の傾斜面で支えられることとな
る。こうしてアンプル248と突起253の傾斜面との
接点Bにおいて、キャップ部材249を容器241側に
回転して押し込むにつれてテンションがかかることとな
り、アンプル248の下部を破壊し、内容物を放出する
ことを許す。アンプル248からでた内容物は、重力に
したがい、蓋体構成部材247の底部235に設けられ
た貫通孔(図25参照)を通して、容器241に流れ込
み菌培養物と接触することになる(なお、図24では、
アンプル248は省略されて示されている)。本図面に
示された例では、図24及び図25を参照してわかるよ
うに貫通孔は扇形のものが4個設けられている。アンプ
ルはガラス製、硬質プラスチック製などのもので、機械
的な力がかかると(特に部分的に機械的な力がかかる
と)破砕し易いものが、使い勝手からみて好ましい。
【0071】該図面に示された菌検出器具では、蓋体構
成部材及びキャップ部材(両者は螺合し一体的に可動で
ある)をスライドして押し込むだけで培地アンプルを破
壊して培養のための容器内に培地を供給できるのに対し
て、消毒・殺菌剤アンプルはそれを収容する蓋体構成部
材と螺合しているキャップ部材を回転せしめて押し込む
ことにより、はじめて破壊されてその内包された消毒・
殺菌剤を培養のための容器内に導くことができることか
ら、その菌検出器具の使い勝手において優れている。本
発明の菌検出器具においては、該スライド動作の開始を
一定の力が働かなければ生起し得ないようにロック機構
を設けておくことも可能である。またキャップ部材の回
転運動の開始を一定の力が働かなければ生起し得ないよ
うにロック機構を設けておくことも可能である。こうし
たロック機構を与える構造としては、容器の分野で知ら
れたもののうちから選んで使用することができる。該菌
検出器具の大きさは特に制限はないが、携帯性の観点か
ら、その全体の大きさは、例えば、長さで約5cm〜約
40cm、好ましくは約10cm〜約30cm、より好
ましくは約15cm〜約25cm、そして直径で約3m
m〜約50mm、好ましくは約6mm〜約30mm、よ
り好ましくは約8mm〜約25mmのものが挙げられ
る。該菌検出器具の大きさは上記以外の大きさとするこ
ともその目的及び操作性、そして器具を構成する材料の
材質などを勘案して当業者であれば自由に選択設計でき
る。
【0072】図34〜図51は、本発明の菌検出器具の
別の代表的な具体例において、それが基本的に備える構
成、特には培養後の培地等を消毒及び/又は殺菌するた
めの手段として基本的に備える構成を説明するものであ
る。図34は本発明の菌検出器具を構成する各部品の組
み立てを説明する図である。図34において、キャップ
部材761、消毒剤をいれたアンプル748、アンプル
748を収容することのできる蓋体構成部材747、培
地を入れたアンプル744、アンプル744を収容する
ことのできる蓋体構成部材743、菌採取部746(棒
状部材746a、菌採取端746b)、そして容器74
1が示されている。図34で示された組立概念は図17
〜図33に示された本発明の菌検出器具においても適用
できるものである。図35は該菌検出器具の主に断面形
態を示す。図36には、図22で示されたと同様の該菌
検出器具を構成する蓋体構成部材(747)の外観形態
が主に示されており、該蓋体構成部材(747)のM−
M’線の断面形態は図37に主に示され、図38は該蓋
体構成部材(747)を VII方向からみた外観形態を主
に示し、図39は該蓋体構成部材(747)を VIII 方
向からみた外観形態を主に示している(図38及び図3
9では、該蓋体構成部材(747)の容器側端部に突起
部753に連なる橋渡し部がみえるが、その橋渡し部に
斜めに交差するように描かれているものは、プラスチッ
ク樹脂を成形加工する際に偶発的に生じた「バリ」であ
り、好ましくは製品ではそうした「バリ」は取り除かれ
ている)。図40には、図23で示されたと同様の該菌
検出器具を構成する蓋体構成部材(747)の断面形態
が主に示されており、778は蓋体構成部材(747)
の内壁に設けられた凸状の小さな畝で、753はアンプ
ル748を破壊するための突起部である。本菌検出器具
では、図23(さらに図24)に示された253と異な
り、753はそこに1か所設けられているのみであるし
(図38参照)、その形状も異なっている(図40参
照)。本発明の菌検出器具では、こうしたアンプル破壊
機構やそれを可能にする構造も、本発明の特徴の一つで
あり、こうした機能を有する器具や、部材は本発明の一
部を構成する。図37からもわかるように、該蓋体構成
部材(747)には凹状の浅い溝777が設けられてい
る。該溝777は、以下で説明するように図44によっ
てその断面形態を主に示されている該菌検出器具を構成
する蓋体構成部材(743)の内壁に設けられた凸状の
小さな畝(781、782、783等)と嵌合し得るよ
うに形成されている。図の例では、溝777の長さは4
本すべて同じになっているが、該溝の本数・長さは必要
に応じて適宜変更可能である。また、図40ではアンプ
ル748を破壊した場合重力にしたがいそのアンプル7
48内にあった消毒剤(液体)が流れ落ちる貫通孔は見
えないが、図38及び図39を参照すれば該貫通孔は容
易に理解されよう。なお、図35及び図40では、蓋体
構成部材(747)の容器(741)側の1/3程のそ
の内径は、広くなっていたり、あるいはそのキャップ部
材(761)側の内径と同じ程度であるように図示され
ているが、収容するアンプル748の動きを制限するよ
うに、その内径がそのキャップ部材(761)側の内径
より狭くなっているものも好ましい。
【0073】図41には図26で示されたと同様の該菌
検出器具を構成する蓋体構成部材(743)の外観形態
が主に示されており、図42は該蓋体構成部材(74
3)をIX 方向からみた外観形態を主に示し、図43は
該蓋体構成部材(743)を X方向からみた外観形態を
主に示している。図35、図42、そして図43を参照
すれば、アンプル744を破壊した場合重力にしたがい
そのアンプル744内にあった培地(液体)が流れ落ち
る貫通孔の存在が容易に理解されよう。本例では該貫通
孔は扇状の形状のものが三つ設けられていることがわか
る。アンプル748を破壊した場合重力にしたがいその
アンプル748内にあった消毒剤(液体)も、該貫通孔
を通って流れ落ちて、容器741に入る。蓋体構成部材
(743)の内壁には凸状の小さな畝(781、78
2、783、784)が設けられている。図44をみる
と、凸状の小さな畝は、N−N’線では781及び78
3の二本であるが(N−N’線の断面図である図45参
照)、P−P’線では781、782、783,及び7
84の四本となっている(P−P’線の断面図である図
46参照)。図47にはQ−Q’線の断面図が示してあ
る。凸状の小さな畝781は、785に連続して連なっ
ており、さらに752に連なっているが、他の782な
どでは786に連続して連なるが、752のような突起
部はない。本菌検出器具では、図27に示された252
と異なり、752はそこに1か所設けられているのみで
あるし、その形状も異なっている。本発明の菌検出器具
では、こうしたアンプル破壊機構やそれを可能にする構
造も、本発明の特徴の一つであり、こうした機能を有す
る器具や、部材は本発明の一部を構成する。図48に
は、透明な(あるいは半透明な)材質で形成された蓋体
構成部材(743)の斜視外観図が一部透過的に示さ
れ、そこでは蓋体構成部材(743)の内壁に設けられ
た凸状の小さな畝(781、782、さらにそれに連な
る785、752)の配置の様子が理解できるが、78
1は782より長く蓋体構成部材(747)の受容側に
延びている。該凸状の小さな畝は、それに連なる785
の所からより凸の山を大きくして(より突き出して)収
容するアンプル744を緩く固定できるようにすること
ができる。蓋体構成部材(743)の外壁の790の領
域は、磨硝子のようにその表面に微細な凹凸を設けて滑
り難くしてある。該磨硝子のような微細な凹凸は蓋体構
成部材(743)の外壁の一部に設けたものであっても
よいし、全体的に設けたものであってもよい。
【0074】図34〜図51に示された器具は、基本的
な形態は図17〜図33に示された本発明の菌検出器具
と同様であるが、培養開始まではロック機構によって、
該蓋体構成部材(747)が該蓋体構成部材(743)
の中に押し込まれてそれにより該蓋体構成部材(74
3)の中に収容されているアンプル744を破壊するこ
とが無いようにされ、一方培養開始時には該蓋体構成部
材(747)を該蓋体構成部材(743)に対して回転
するだけで、簡単にロック機構が解除され、該蓋体構成
部材(747)を該蓋体構成部材(743)の中に押し
込むことができて、アンプル744を破壊して培地を容
器741に供給できる構造となっている点で特徴を有す
るものである。図49〜図51には、該ロック機構とそ
の解除の概念が説明されている。該菌検出器具の使用前
の状態では、蓋体構成部材(743)の内側に設けられ
た長い方の凸状の小さな畝781と、蓋体構成部材(7
47)の外側に設けられた凹状の浅い溝777とは、互
いに嵌合することがないようにして、蓋体構成部材(7
43)の中に蓋体構成部材(747)を挿入すると、凸
状の小さな畝781と蓋体構成部材(747)の外側表
面との間での大きな摩擦係合力により該部材は固定さ
れ、おおよそ図49に示されたような位置で互いの部材
は留まる。つまり、該停止位置を超えて該部材747を
該部材743の中へ(容器側へ)押し込むことができな
いように固定されている。アンプル744を破壊する時
には、例えば、図49で示された矢印の方向に蓋体構成
部材(747)を回転させると、図50で示されるよう
に凹状の浅い溝777と凸状の小さな畝781とが互い
に嵌合し、凸状の小さな畝781と蓋体構成部材(74
7)の外側表面との間で生じていた摩擦係合力がなくな
り、図50で示された矢印の方向に蓋体構成部材(74
7)を押し込むことが可能になる。そして、図51に示
されるように蓋体構成部材(747)を挿入することに
より、蓋体構成部材(747)の底部でアンプル744
の頭部を押し込むこととなり、それによりアンプル74
4を突起752に押しつけて破壊する。本例では最終的
に蓋体構成部材(743)の内側に設けられた凸状の畝
(4本)と蓋体構成部材(747)の外側に設けられた
凹状の浅い溝(リセス部)(4本)とが互いに嵌合して
いることとなる。同時に、両蓋体構成部材743、74
7の係合面のうちキャップ部材761側では、互いが緊
密に係合する。即ち、蓋体構成部材(743)の内壁と
蓋体構成部材(747)の外壁とは緊密に接触して、あ
る程度の密封性を達成することができる。本発明の菌検
出器具では、こうしたロック機構やそれを可能にする構
造も、本発明の特徴の一つであり、こうした機能を有す
る器具や、部材は本発明の一部を構成する。図34〜図
51に示された本発明の菌検出器具は、基本的な形態・
大きさ等はは図17〜図33に示されたものと同様であ
るので、それに準じて他の部材の詳細についても理解さ
れるし、理解されるべきである。
【0075】図52は、蓋体構成部材(743)の容器
(741)の係合部(776a)を部分的に一部断面と
して表わしたものである。菌採取部(746)の一端を
菌採取部挿入部(789)に挿入固定することができる
ようになっており、菌採取部挿入部(789)の基部に
は培地・消毒剤の流通を図るように、貫通孔が存在して
いることがわかる。図52を参照するとわかるように、
菌採取部挿入部789を取り囲むように突起部789a
が設けられている。該突起部789aは、蓋体構成部材
(743)の係合部(776a)に容器(741)の一
端をネジ込んで取付けた場合(螺合した場合)、該蓋体
構成部材(743)と容器(741)とが緊密に係合す
るのを助けている。言い換えれば、該蓋体構成部材(7
43)と容器(741)の両者の係合部間を、例えば、
ポリプロピレンなどのプラスチック樹脂を部材の構成材
料として用いた場合、部材の材質が有する弾力性を生か
して密封することができる。本発明の菌検出器具では、
こうした蓋体構成部材(743)の容器(741)との
係合部(776a)の構造も、本発明の特徴の一つであ
り、こうした機能を有する器具や、部材は本発明の一部
を構成する。
【0076】図53〜図69は、本発明の菌検出器具の
別の代表的な具体例において、それが基本的に備える構
成、特には培養後の培地等を消毒及び/又は殺菌するた
めの手段として基本的に備える構成を説明するものであ
る。これらの図では、培地を入れたアンプルや消毒剤を
入れたアンプルの破損を起こさないように、それらをよ
り確実に保持する機構を備えた菌検出器具が示されてい
る。図53、図55、図57、図59、図61及び図6
3は本発明の菌検出器具の外観斜視図である。図54は
図53で示された本発明の菌検出器具を構成する部品1
245(及び1561)、1243の組み立てを説明す
る図である。図56は図55で示された本発明の菌検出
器具を構成する部品1245(及び1561)、124
3の組み立てを説明する図である。図58は図57で示
された本発明の菌検出器具を構成する部品1561、1
245の組み立てを説明する図である。図60は図59
で示された本発明の菌検出器具を構成する部品156
1、1245の組み立てを説明する図である。図62は
図61で示された本発明の菌検出器具を構成する部品1
561、1245、1243の組み立てを説明する図で
ある。図64は図63で示された本発明の菌検出器具を
構成する部品1561、1245、1243の組み立て
を説明する図である。
【0077】図53及び図57では、ガイド溝部分10
04、1007は2か所に設けられている。一方図55
及び図59では、ガイド溝部分1004、1007は1
か所に設けられている。図61では、部材1243は2
か所のガイド溝部分1004を持ち、部材1245は2
か所のストッパー部1005と2か所のガイド溝部分1
007を持ち、そしてキャップ部材1561は2か所の
ストッパー部1008を有している。図63では、部材
1243は1か所のガイド溝部分1004を持ち、部材
1245は1か所のストッパー部1005と1か所のガ
イド溝部分1007を持ち、そしてキャップ部材156
1は1か所のストッパー部1008を有している。ガイ
ド溝は、1か所あるいは任意に複数か所設けることがで
きる。図では、ガイド溝1004は部材1243の側壁
を貫通して設けられているが、部材1243の側壁の内
側を部分的に肉薄にして溝をつけて(溝を削って)貫通
することなく設けてあってもよい。また図ではガイド溝
1004は部材1243の側壁に設けられ、ストッパー
部1005は部材1245の側壁で、部材1243との
係合側に設けられているが、ガイド溝1004を部材1
245の側壁に設け、ストッパー部1005を部材12
43に設けることも可能である。同様に、ガイド溝10
07、ストッパー部1008も設けることができる。ガ
イド溝の形状は、L字だけでなく、例えば、図70に示
されたような形状とすることができる。
【0078】図65は本発明の菌検出器具の別の代表的
な具体例において、それを構成する部材1561、12
45を示す。図66も、本発明の菌検出器具の別の代表
的な具体例において、それを構成する部品1561、1
245を示す。図67は、図65に示された部材156
1、1245と係合できる部材1243を示す。図68
は、ガイド部分1004及びストッパー1005との関
係を説明するための概念図である。図69はガイド部分
1004及びストッパー1005との係合関係の拡大部
分図である。該菌検出器具の使用前では、部材1245
と部材1243とは係合せしめられ(図54)、ストッ
パー1005はガイド溝1004の上部に位置している
(図53)。図68を参照すると、ストッパー1005
は図68−1ではBの位置にある。アンプルを破壊する
時(使用時)には、部材1245を回転させ、ストッパ
ー1005をつめ部分Aを越えて移動させる(図68−
2及び図69)と、部材1245を部材1243側に押
し込むことが可能になる。こうしてストッパー1005
を位置Dまで移動することができる(図53では、スト
ッパー1005’の位置に対応している)。必要に応じ
て、つめ部分Cを設けて、ストッパー1005を固定で
きるようにすることができる(図68−3)。図55〜
図64においても、同様の機構及び動きである。図65
では、部材1245の外壁には部分1351の面で部材
1243との密着性を確保する工夫が設けられている例
である。該密着性は、すり合わせ、ゴム皮膜など、当該
分野、例えば、容器の分野で当業者に知られた手法から
選んで達成することができる。図65には、部材124
5の外壁の部分1350の面に部材1243との密着性
を確保する工夫が設けられることも可能であることが示
されているが、ストッパー1005・ガイド溝1004
を設けた場合は、通常部分1351の面に設ける。
【0079】図67では、部材1245に形成されてい
る部分1351の面と対応し、部材1243の内壁に密
着性を確保する工夫(濃く影の付けられた領域)が設け
られている例である。図67でも、図65と同様に、斜
線で示された領域に密着性を確保する工夫が設けられる
ことも可能であることが示されている。図67では、ガ
イド部分1004にストッパー1005を嵌め込むのが
容易なように、浅い溝1360が形成されている。図6
6では、部材1245を部材1243へ挿入する際、ス
トッパー1352は、部材1245の外壁側にフレキシ
ブルに押し込まれうる構造(ストッパー1352は、力
に応じて中の方あるいは外の方へ自由に可動である構
造)となっている。その他、培地を入れたアンプルや消
毒剤を入れたアンプルの破損を起こさないようにして保
持する機構としては、(i) 部材1245と部材1243
及び(ii)部材1561と部材1245において、一方に
設けた凸部に、他方に設けた凹を係合させることによる
ものでもよいし、それに、該菌検出器具から取り除くこ
とのできるストッパーを組み合わせたものであってもよ
い。該機構には、互いを固定した場合の位置を示す目印
を付けておくことも含まれる。
【0080】本発明に従えば、培養開始前に存在する生
菌数を、本発明の菌検出器具のような実質的閉鎖系中
で、測定することが可能であることがわかった。本発明
の菌検出器具を使用すると、食品、料理用の器具・道具
等に存在している生菌数を容易に、確実安全に、そして
携帯性を有しながら評価することが可能である。したが
って、本発明の菌検出器具を用いることにより、包丁や
まな板などの料理用の器具・道具、飲物、環境などの様
々なものの汚染の程度を素早く予測することができる。
本発明の菌検出器具を用いることにより、どのような菌
種であるかとか、菌量を容易に、簡便に、そして確実安
全に判定することができる。生菌数の測定は、本発明の
菌検出器具に含まれている液体培地中で菌を培養し該菌
検出器具から該培地を取り出すこと無く、培地の吸光
度、濁度などを測定することにより行うことができる。
測定は、測定機器を用いた方法、目視により、指標と比
較して行うなどの方法、両者を組合わせた方法により実
施できる。目視法としては、文字、線、絵、点などの標
示物の認識の度合いを用いて判定するものであることが
できる。認識のための指標は、綿棒(菌採取部)、菌培
養のための培地を受容する容器の内壁あるいはその外壁
に、付けられたり、記されたものであってよい。該認識
のための指標は、その形、色、濃淡を適宜選択されるこ
とができよう。定量的な測定のためには、菌培養のため
の培地に色素を入れるのを避けることが好ましい。本発
明の測定で、初発菌数を予測することが可能である。
【0081】なお、図1および図3〜70では本発明の
菌検出器具の特徴点にしぼって図示されており、その細
部のうちには省略されている部分があることは理解され
ねばならない。したがって、本明細書並びに特許請求の
範囲に示された本発明の器具の備える特徴を有するもの
は、その各種の改変された器具・より詳細に各構成部材
を互いに係合させるなどの手段を備えたもの等も、本発
明の範囲に含められると理解すべきである。
【0082】
【実施例】以下、実施例をあげて、本発明を更に具体的
に説明するが、本発明は実施例に限定されることなく、
様々な態様が含まれることは理解されるべきである。実施例1 (黄色ブドウ球菌検出器具の作製)図5を参照して、下
記の材料を用いて、下記の寸法を有する菌検出器具を作
製した。 容器1:ポリエチレン(厚さ0.6mm)製、内径8.
5mm、高さ150mmの有底中空円筒体 蓋体2:ポリエチレン(厚さ0.6mm)製、内径10
mm、長さ53mmの有底中空円筒体 第一の袋状部材4:ガラス(厚さ0.5mm)製、内径
7.5mm、長さ40mmの有底中空円筒体 仕切り部材5:ポリエチレン(厚さ1mm)製、直径6
mmの円盤状体 棒状体6a:ポリエチレン製、直径2mm、長さ135
mm 菌採取端6b:脱脂綿製、直径5mm、長さ15mmの
「綿棒」先端状 ディスク部材7:厚さ1mm、直径6mmの濾紙 (下記(表1)に示す抗生物質を、培地と一体化した際
に、アズトレオナム(Aztreonam )10μg/ml、ポ
リミキシンB 8μg/ml、フルコナゾール5μg/
mlの濃度となる量で、容器1の底と菌採取端6bとの
間に配置した、ディスク部材7に含浸させた。) 培地3:下記(表1)に示す組成(抗生物質を除く)を
有する培地
【0083】
【表1】
【0084】上記構成を有する黄色ブドウ球菌用の検出
器具を製造した後、1〜30℃で、γ線を1分間照射す
ることにより滅菌した。該滅菌後の器具は、遮光のため
のアルミニウムを蒸着したポリエチレンフィルム(厚さ
100μm)からなる袋内に、使用の直前まで保存して
おいた。
【0085】実施例2 (腸炎ビブリオ検出器具の作製)図5を参照して、培地
3の組成、および抗生物質を下記(表2)に示すように
変更した以外は、実施例1と同様にして腸炎ビブリオ用
の菌検出器具を作製、滅菌、および保存した。この際、
(表2)に示す抗生物質を、培地と一体化した際に、ポ
リミキシンB 10μg/ml、フルコナゾール5μg
/ml、およびポタシウム・テルライト5μg/mlの
濃度となる量で、ディスク部材7に含浸させた。
【0086】
【表2】
【0087】実施例3 (サルモネラ検出器具の作製)図5を参照して、培地3
の組成、および抗生物質を下記(表3)に示すように変
更した以外は、実施例1と同様にしてサルモネラ用の検
出器具を作製、滅菌、および保存した。この際、(表
3)に示す抗生物質を、培地と一体化した際に、フルコ
ナゾール5μg/mlの濃度となる量で、ディスク部材
7に含浸させた。
【0088】
【表3】
【0089】実施例4 (黄色ブドウ球菌検出用培地の選択性の確認)実施例1
で用いた黄色ブドウ球菌検出用培地の選択性を、下記の
ようにして確認した。実施例1で用いた黄色ブドウ球菌
検出用培地3の1.5mlに対して、下記表4に示す2
2種類の細菌を、培養の当初に約106 個/mlの濃度
となるように分散させ、大気中37℃で、それぞれ24
時間、48時間および72時間培養した後の(上記培地
に含有される)pH指示薬フェノール・レッドの変色の
有無により、各種の細菌の繁殖の有無を判断した。上記
培養後の培地の色調が「黄色」の場合を「陽性+」(細
菌の繁殖あり)とし、該培地の色調が「赤色」の場合を
「陰性−」(細菌の繁殖なし)とした。
【0090】
【表4】
【0091】得られた結果を表4に示す。表4の結果か
ら明らかなように、本例の黄色ブドウ球菌検出用培地を
用いた場合には、グラム陰性菌および真菌の繁殖は、該
培地3およびディスク7に吸着された抗生物質および抗
カビ剤により効果的に抑制されることが確認された。上
記で試験した各細菌のうち、S.epidermidis は、培地3
中に含まれるマンニトールを分解しないため、培地の色
調は変化しなかった。本発明者の実験によれば、この培
地で陽性を示す菌種としては、黄色ブドウ球菌以外に、
Coagulase negative Staphylococcus (CNS)、E.fa
ecalis、E.faecium 等があることが判明したが、これら
の細菌は、フォスファターゼまたはコアグラーゼ試験
(文献名:衛生検査指針、ブドウ球菌検査指針)によ
り、黄色ブドウ球菌と区別することが可能であった。フ
ォスファターゼ試験は、フォスファターゼ検出用ディス
ク(濾紙に、4−メチルウンベリフェリルリン酸を吸着
させたもの)を用いて上記培地により培養し、その後4
−メチルウンベリフェロンの蛍光を紫外線(366n
m)照射することにより、その存在の確認が可能であっ
た。
【0092】実施例5 (腸炎ビブリオ検出用培地の選択性の確認)実施例2で
用いた腸炎ビブリオ検出用培地の選択性を、下記のよう
にして確認した。実施例2で用いた腸炎ビブリオ検出用
培地3の1.5mlに対して、下記表5に示す22種類
の細菌を、培養の当初に約106 個/mlの濃度となる
ように分散させ、大気中37℃で、それぞれ24時間、
48時間および72時間培養した後の(上記培地に含有
される)pH指示薬ブロムチモール・ブルーおよびクレ
ゾール・レッドの変色の有無により、各種の細菌の繁殖
の有無を判断した。上記培養後の培地の色調が「黄色」
の場合を「陽性+」(細菌の繁殖あり)とし、該培地の
色調が「緑色」の場合を「陰性−」(細菌の繁殖なし)
とした。
【0093】
【表5】
【0094】得られた結果を表5に示す。表5の結果か
ら明らかなように、本例の腸炎ビブリオ検出用培地を用
いた場合には、グラム陽性菌の繁殖は抗生物質により抑
制され、また、グラム陰性菌および真菌の大部分の繁殖
は、ディスク7に吸着された抗生物質(ポリミキシン
B、フルコナゾール、およびポタシウム・テルライト)
により効果的に抑制されることが確認された。本発明者
の実験によれば、この培地で陽性を示す菌種としては、
腸炎ビブリオ以外に、V.cholerae、V.vulnificus、Prot
eus spp 等があることが判明したが、これらの細菌は、
オキシダーゼ試験(チトクローム・オキシダーゼ反応、
文献名:Kovacs、Nature(London)、178、703、1
956年)により、腸炎ビブリオと区別することが可能
であった。
【0095】実施例6 (サルモネラ検出用培地の選択性の確認)実施例3で用
いたサルモネラ検出用培地の選択性を、下記のようにし
て確認した。実施例3で用いたサルモネラ検出用培地3
の1.5mlに対して、下記表6に示す22種類の細菌
を、培養の当初に約106 個/mlの濃度となるように
分散させ、大気中37℃で、それぞれ24時間、48時
間および72時間培養した後の(上記培地に含有され
る)pH指示薬ブロモクレゾール・パープルの変色の有
無により、各種の細菌の繁殖の有無を判断した。上記培
養後の培地の色調が「黒色」の場合を「陽性+」(細菌
の繁殖あり)とし、該培地の色調が「紫色または黄色」
の場合を「陰性−」(細菌の繁殖なし)とした。サルモ
ネラを始めとする硫化水素産生菌は、培地中に含まれる
チオ硫酸塩をクエン酸鉄アンモニウムとにより、該培地
を黒色に変化させた。
【0096】
【表6】
【0097】得られた結果を表6に示す。表6の結果か
ら明らかなように、本例のサルモネラ検出用培地を用い
た場合には、グラム陽性菌の繁殖は抗生物質により抑制
され、また、真菌の繁殖は、ディスク7に吸着された抗
生物質(フルコナゾール)により効果的に抑制されるこ
とが確認された。本発明者の実験によれば、いくつかの
グラム陰性菌が、この培地の色調を紫色から黄色に変化
させることが判明した。このような色調の変化の例を以
下に示す。 *黒色に変化させるもの:サルモネラ *黄色に変化させるもの:Escherichia coli、Citrobac
ter spp 、Klebsiella spp、Enterobacter spp、Proteu
s spp *紫色に変化させるもの:Shigalla spp、Serratia sp
p、Pseudomonas spp
【0098】実施例7 (黄色ブドウ球菌検出器具の使用)実施例1で得た黄色
ブドウ球菌用検出器具の袋を破って該器具を取り出した
後、蓋体2(および菌採取部6)を容器から取り出し
(図2(a))、菌採取端6bを調理器具(まな板等)
の表面に数回擦り付けた(図2(b))。次いで、上記
の蓋体2を、再び容器に挿入し菌採取端6bを容器内部
の所定の位置に保持した後、図示しない圧迫器具(幅広
クリップ状の「割り具」)を用いて、第一の袋状部材4
を蓋体2の外側から強く圧迫して破壊し、該第一の袋状
部材4に内包されていた培地3を容器内部に落下させ
た。これにより、菌採取部6の菌採取端6bは該培地3
中に浸漬される(この際、第一の袋状部材4の破片等の
培地以外の材料は、仕切り部材5により容器内への落下
を阻止された)。
【0099】このように菌採取部6の菌採取端6bが培
地3中に浸漬された状態で、37℃で16〜24時間イ
ンキュベートしたところ、ある調理器具(まな板)で
は、培地3の色調が赤色から黄色に変化した。すなわ
ち、黄色ブドウ球菌の存在が確認された。このように黄
色ブドウ球菌の存在が確認された調理器具を、0.2〜
0.5%クロロヘキシジン(商品名「ヒビデン」、住友
製薬社製)水溶液を浸したガーゼにより数回漬拭した
後、水道水で10分間水洗した。このように、逆性セッ
ケン清拭、水洗後の調理器具(まな板)について、上記
と同様に黄色ブドウ球菌検出試験を行ったが、培地3の
色調は黄色のままで変化せず、黄色ブドウ球菌は検出さ
れなかった。すなわち、上記の消毒処理により、黄色ブ
ドウ球菌が効果的に除去されることが確認された。 (使用済み黄色ブドウ球菌検出器具の消毒・殺菌処理)
図示しない圧迫器具(幅広クリップ状の「割り具」)を
用いて、第二の袋状部材8を蓋体2の外側から強く圧迫
して破壊し、該第二の袋状部材8に内包されていた消毒
・殺菌剤9〔5〜10%クロロヘキシジン(商品名「ヒ
ビデン」、住友製薬社製)水溶液〕を容器内部に落下さ
せた。これにより、培地を含めて容器1の中は消毒・殺
菌処理が蓋体2を容器1から取り外すことなく実施でき
る。
【0100】実施例8 (腸炎ビブリオおよびサルモネラ検出器具の使用)実施
例2および3でそれぞれ得られた腸炎ビブリオ検出器具
およびサルモネラ検出器具を用いた以外は、実施例7と
同様にして調理器具における食中毒菌の存在の確認を行
ったところ、ある調理器具について腸炎ビブリオないし
サルモネラの存在が確認された。これらの調理器具を、
実施例7と同様にして逆性セッケン清拭、水洗を行った
ところ、該消毒処理後には、腸炎ビブリオないしサルモ
ネラの存在は確認されなかった。すなわち、上記の消毒
処理により、腸炎ビブリオないしサルモネラが効果的に
除去されることが確認された。 (使用済み腸炎ビブリオおよびサルモネラ検出器具の消
毒・殺菌処理)図示しない圧迫器具(幅広クリップ状の
「割り具」)を用いて、第二の袋状部材8を蓋体2の外
側から強く圧迫して破壊し、該第二の袋状部材8に内包
されていた消毒・殺菌剤9〔5〜10%クロロヘキシジ
ン(商品名「ヒビデン」、住友製薬社製)水溶液〕を容
器内部に落下させた。これにより、培地を含めて容器1
の中は消毒・殺菌処理が蓋体2を容器1から取り外すこ
となく実施できる。
【0101】実施例9 図12〜図16に示されたような基本構造を有する検出
器具をそれぞれ用い、実施例1〜3でそれぞれ記載の黄
色ブドウ球菌検出用スクリーニング培地、腸炎ビブリオ
検出用スクリーニング培地、及びサルモネラ検出用スク
リーニング培地、並びに抗生物質をそれぞれ組み合わせ
て用いた以外は、実施例7と同様にして調理器具におけ
る食中毒菌の存在の確認を行ったところ、ある調理器具
についてそれぞれ黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオないし
サルモネラの存在が確認された。これらの調理器具を、
実施例7と同様にして逆性セッケン清拭、水洗を行った
ところ、該消毒処理後には、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブ
リオないしサルモネラの存在は確認されなかった。すな
わち、上記の消毒処理により、黄色ブドウ球菌、腸炎ビ
ブリオないしサルモネラが効果的に除去されることが確
認された。 (使用済み検出器具の消毒・殺菌処理)図12〜図16
に示されたような装置の破砕機構(例えば、49、46
1、56、53;73、74、77;93;113)を
用いて、第二の袋状部材48、64(又は68)、8
8、108を蓋体42、62、82、102の外側から
強く圧迫して破壊し、該第二の袋状部材48、64(又
は68)、88、108に内包されていた消毒・殺菌剤
9〔5〜10%クロロヘキシジン(商品名「ヒビデ
ン」、住友製薬社製)水溶液〕を容器内部に落下させ
た。これにより、培地を含めて容器41、61、81、
101の中はその消毒・殺菌処理が蓋体42、62、8
2、102を容器41、61、81、101から取り外
すことなく実施できる。
【0102】実施例10 図17〜図33を参照して、下記の材料を用いて、下記
の寸法を有する菌検出器具を作製した。図17及び図1
8で示される菌検出器具の容器241の底部端からキャ
ップ部材249の頂部端まで(菌検出器具の長さ)は、
おおよそ201mmのサイズである。 容器241:ポリプロピレン(厚さ:おおよそ1.0m
m)製、内径:おおよそ9.0mm、高さ:おおよそ7
3mmの有底中空円筒体(開口部近くの外側には係合用
にネジ山が設けられている)。 棒状体部246:ポリプロピレン製、直径:おおよそ
2.5mm、長さ:おおよそ77mm。 菌採取端246b:脱脂綿製、最大直径:おおよそ5m
m、長さ:おおよそ15mmの「綿棒」先端状。 蓋体243:ポリプロピレン(厚さ:おおよそ1.0m
m)製、内径:おおよそ13.0mm、長さ:おおよそ
96mm、そして係合部259の長さ:おおよそ10m
mの中空円筒体で、係合部259の内側は螺刻されてい
る。 仕切り部材296:ポリプロピレン(厚さ:おおよそ1
mm)製、直径:おおよそ13mmの円盤状体で、その
中央には菌採取部の棒状部材取り付け口が設けられてい
る。また扇形の貫通孔が4個設けられている。仕切り部
材296は、蓋体243の係合部259の部分に嵌合せ
しめられる。 蓋体247:ポリプロピレン(厚さ:おおよそ1mm)
製、内径:おおよそ10mm、長さ:おおよそ57m
m、そしてヘッド部(キャップ部材249との係合部)
245の長さ:おおよそ13mmで、その内側は螺刻さ
れている。蓋体243の内側に設けられ突起状の桟(あ
るいは畝)297(該突起部は突起252に連なってい
る)と蓋体247の外側に設けられた溝299とは互い
に嵌合しうるようにされており、蓋体247が蓋体24
3の中に挿入された時ピッタリ合うようにされている。 仕切り部材235:ポリプロピレン(厚さ:おおよそ1
mm)製、直径:おおよそ9mmで、仕切り部材235
は、蓋体247の容器241側端部に嵌合せしめられ
る。また扇形の貫通孔が4個設けられている。
【0103】キャップ部材249:ポリプロピレン(厚
さ:おおよそ1mm)製、容器241と反対側の頂部側
561の直径:おおよそ15mm、そこにはキャップ部
材用蓋体562が嵌合せしめられ、そしてねじ山部25
7の直径:おおよそ11〜13mm、また容器241側
の底部256の直径:おおよそ9mmである。該ねじ山
部257は蓋体247の該係合部245の内側に設けら
れたネジ切りと螺合する。該係合部245の内側に設け
られたネジ切り部は、キャップ部材249を回転して押
し込むことが可能なように十分な幅(蓋体247の軸方
向の長さ)を有している。 第一の袋状部材244:内径:おおよそ9mm、長さ:
おおよそ43mmのガラス(厚さ:おおよそ0.5m
m)製アンプルで、例えば、下記実施例11に示された
改良培地をそれぞれ収容し、それに対応してブドウ球菌
検出器具、腸炎ビブリオ検出器具、サルモネラ検出器
具、大腸菌検出器具とした。 第二の袋状部材248:ガラス(厚さ:おおよそ0.5
mm)製、内径:おおよそ9mm、長さ:おおよそ36
mmのアンプルで、実施例7に示されているような消毒
・殺菌剤を収容している
【0104】上記構成を有する菌検出器具を製造した
後、エチレンオキサイドを用いた滅菌装置を使用して滅
菌した。滅菌は、例えば、30℃〜50℃の温度で、約
20%のエチレンオキサイドと約80%の炭酸ガスから
なる気体中、約0.3kg/m2 の圧力の下で、約5時
間行った。該滅菌後の器具は、遮光のためのアルミニウ
ムを蒸着したポリエチレンフィルム(厚さ100μm)
からなる袋内に、使用の直前まで保存しておいた。な
お、培地としては下記実施例11を上記のアンプル(第
一の袋状部材244)に封入して用いた。同様にして図
34〜図51を参照して、菌検出器具を作製した。
【0105】実施例11 (改良培地を用いた菌検出用器具の作製) (i)アンプルから取り出すには液体培地が適している
ので、こうした観点からの培地改良を目指した。また菌
検出感度の改善、さらには菌に対する特異性の改善、そ
して菌検出器具の操作性改善のため抗生物質を保持せし
めるディスク部材7を用いないで済むように培地組成の
検討を行い、培地に選択性を付与するように改良を行っ
た。同時にpH指示薬についてもこうした改善を目指し
検討を行った。その結果、次なる組成の培地が優れてい
ることが判明した。
【0106】 (a)サルモネラ菌用改良培地 (1) 組成 基礎培地 トリプトン(Difco 社) 5g イーストエキストラクト(Difco 社) 3g L(+)−リジン一塩酸塩(和光純薬・特級) 10g ブドウ糖(無水)(和光純薬・特級) 1g 塩化ナトリウム(和光純薬・特級) 8g リン酸二水素一カリウム(和光純薬・特級) 1.6g チオ硫酸ナトリウム五水和物(和光純薬・特級) 0.2g クエン酸鉄(III)アンモニウム 褐色(和光純薬・一級)0.3g 塩化マグネシウム六水和物(和光純薬・特級) 20.3g ブロムクレゾールパープル(和光純薬・特級) 0.02g 0.4%マラカイトグリーン溶液 30ml マラカイトグリーンしゅう酸塩(和光純薬・特級) 0.4g (少量の純アルコールに0.4gのマラカイトグリーンを加え、乳鉢で よく研磨した後、精製水を加えて全量を100mlにする。) 上記トリプトン及びイーストエキストラクトは、Merck
社より入手のものに置き換えることができる。 (2) 調製法 上記基礎培地の各成分を秤量し、精製水1000mlを
加え、よく振り混ぜて均等な浮遊液とした後、0.4%
マラカイトグリーン溶液30mlを加え、加温溶解する
(100℃、20分)。培地のpHは5.3〜5.7に
調整する。冷却後、0.2μのフィルターで濾過滅菌す
る。
【0107】 (b)腸炎ビブリオ用改良培地 (1) 組成 基礎培地 食塩ポリミキシンブロス(日水製薬) 33g D(−)−マンニトール(和光純薬・特級) 20g クエン酸ナトリウム二水和物(和光純薬・特級) 8g チオ硫酸ナトリウム五水和物(和光純薬・特級) 0.2g ブロムクレゾールパープル(和光純薬・特級) 0.02g (2) 調製法 上記基礎培地の各成分を秤量し、精製水1000mlを
加え、よく振り混ぜて均等な浮遊液とし、培地のpHを
7.0〜7.4に調整した後、121℃、15分滅菌す
る。滅菌後は直ちに急冷する。
【0108】 (c)大腸菌群用改良培地 (1) 組成 基礎培地 ラウリルトリプトースブロス(Difco 社) 35.6g ラクトース一水和物(和光純薬・特級) 5g ブロムチモールブルー(和光純薬・特級) 0.04g (2) 調製法 上記基礎培地の各成分を秤量し、精製水1000mlを
加え、よく振り混ぜて均等な浮遊液とし、培地のpHを
6.75〜7.25に調整した後、121℃、15分滅
菌する。滅菌後は直ちに急冷する。
【0109】 (d)ブドウ球菌用改良培地 (1) 組成 基礎培地 トリプトン(Difco 社) 10g イーストエキストラクト(Difco 社) 5g D(−)−マンニトール(和光純薬・特級) 10g リン酸一水素二カリウム(和光純薬・特級) 5g 塩化リチウム一水和物(和光純薬) 5.5g グリシン(和光純薬・特級) 16.5g ピルビン酸ナトリウム(和光純薬・特級) 12g フェノールレッド(和光純薬・特級) 0.025g 1%亜テルル酸カリウム水溶液 15ml 亜テルル酸カリウム(和光純薬) 1g (1gの亜テルル酸カリウムに精製水100mlを加え、溶解する。) 上記トリプトン、イーストエキストラクト及び亜テルル
酸カリウムは、Merck社より入手のものに置き換えるこ
とができる。 (2) 調製法 上記基礎培地の各成分を秤量し、精製水1000mlを
加え、よく振り混ぜて均等な浮遊液とし、培地のpHを
7.25〜7.75に調整した後、121℃、15分滅
菌する。50℃以下に冷めたら、1%亜テルル酸カリウ
ム水溶液を15ml加え、よく混和した後0.2μのフ
ィルターで濾過滅菌する。
【0110】(ii)各培地の菌検出感度及び菌に対す
る特異性の測定 各培地1.5mlに対して、コントロール菌株、すなわ
ちサルモネラ菌(菌量:109 );腸炎ビブリオ菌(菌
量:109 );大腸菌群(菌量:109 )及びブドウ球
菌(菌量:108 )の細菌を、培養の当初に表8〜11
に示す菌量となるように分散させ、大気中37℃でそれ
ぞれ24時間培養した。培養後の培地の色調の変化で、
各種の細菌の繁殖の有無を判断した。なお、上記コント
ロール菌株は、すべて臨床分離株であり、適当な同定キ
ットを用いて同定された菌株で、大腸菌、サルモネラ菌
並びにビブリオ菌についてはアピ 20 (API 20 E)(日本
ビオメリュー・バイテック(株))を用いて、そしてブ
ドウ球菌についてはアピスタフ (API STAPH)(日本ビオ
メリュー・バイテック(株))を用いて同定されたもの
である。アピ 20 (API 20 E)(日本ビオメリュー・バイ
テック(株))では、大腸菌としてEscherichia coli
1, Escherichia coli 2が、サルモネラ菌としてSalmone
lla arizonae, Salmonella choleraesuis, Salmonella
paratyphi A,Salmonella spp, Salmonella typhiが、ビ
ブリオ菌としてVibrio alginolyticus, Vibrio cholera
e, Vibrio hollisae, Vibrio metschnikovii, Vibrio m
imicus, Vibrio parahaemolyticus, Vibrio vulnificus
が、35〜37℃、24時間または48時間培養条件下
での陽性率表に例示されている。アピスタフ (API STAP
H)(日本ビオメリュー・バイテック(株))では、ブド
ウ球菌としてStaphylococcus aureus, Staphylococcus
auriculans, Staphylococcus capitis, Staphylococcus
caprae, Staphylococcus camosus, Staphylococcus ch
romogenes, Staphylococcus cohnii, Staphylococcus e
pidermidis, Staphylococcus haemolyticus, Staphyloc
occus hominis, Staphylococcus hyicus, Staphylococc
us lentus,Staphylococcus lugdunensis, Staphylococc
us saprophyticus, Staphylococcus schleiferi, Staph
ylococcus sciuri, Staphylococcus simulans, Staphyl
ococcus warneri, Staphylococcus xylosusが、35〜
37℃、18〜24時間培養条件下での陽性率表に例示
されている。
【0111】
【表7】
【0112】表7から改良培地ではすべての菌で感度の
改善が達成できていることがわかる。特に腸炎ビブリオ
では大幅な改善が達成できている。下記表8〜11には
各対象培地の判定結果を改良前培地と対比して、上記で
示した組成の改良培地につきそれぞれ示してある。該表
中、「フードスタンプ」とは、微生物検出用の器具の慣
用名で、例えば、「ぺたんチェック」(商品名)〔栄研
器材株式会社より入手可能〕、「DDチェッカー「生
研」」(商品名)〔デンカ生研株式会社より入手可
能〕、「食材チェック「ニッスイ」」(商品名)〔日水
製薬株式会社より入手可能〕などが挙げられる。「サン
コリ」は、サン化学株式会社より入手可能なColi forms
Detection Paper の商品名である。
【0113】
【表8】
【0114】
【表9】
【0115】
【表10】
【0116】
【表11】
【0117】Staphylococcus aureus (MRSA), Staphylo
coccus aureus (MSSA), Staphylococcus epidermidis,
Staphylococcus saprophyticus, Staphylococcus haemo
lyticus, Enterococcus sp., Bacillus sp., Salmonell
a typhimurium, Salmonellatyphi, Proteus vulgaris,
Proteus mirabilis, Citrobacter freundii, Citrobact
er diversus, Klebsiella pneumoniae, Klebsiella oxy
toca, Enterobacteraerogenes, Enterobacter closcae,
Serratia marcescens, Hafnia alvei, Morganella mor
ganii, Vibrio parahaemolyticus, Vibrio fluvialis,
Vibrio vulnificus, Aeromonas sp., Plesiomonas shig
elloides, Escherichia coli (O-157EHRC), Escherichi
a coli (O-55 EPEC), Escherichia coli (O-124 EIE
C), E.coli (O-25 ETRC), Pseudomonas sp., Acinetoba
cter sp., Flavobacterium sp.などを用いてそれら菌の
検出を行ってみたところ、良好な結果が得られた。陽性
を示す菌種と培地の色の変化との関係を表12に示す。
呈色性は良好で、その色は識別性に優れていることが認
められた。
【0118】
【表12】
【0119】上記実施例11(i)(c)大腸菌群用改
良培地において、ブロムチモールブルーに代えて、ブロ
ムクレゾールパープルを用いたものは、食品や食材にお
ける菌の検出で、良好な結果が得られた。例えば、実施
例10に従って(特には、図34〜図51を参照して)
構成された菌検出器具(該大腸菌群用改良培地を含有)
を使用して、乳製品飲料における菌の検出で、良好な結
果が得られ、その呈色性は良好で、その色は識別性に優
れていることが認められた。
【0120】実施例 12 図35に示された菌検出器具において、生菌数測定用培
地を用いて、培養を行い、一定の時間培養後の培地の濁
度を測定し、それにより培養前の生菌数を推測すること
が可能であるか否かを確認する。 (1) 生菌数測定用培地に既知濃度の菌液(108 〜10
1 個)を加え、一定時間(それぞれ、3,5,6時間)
37℃で培養した。 (生菌数測定用培地の組成) 培地1リットル中の組成 ・肉エキス 3.0 g ・カゼインペプトン 15.0 g ・酵母エキス 5.0 g ・ブドウ糖 1.0 g (2) 一定時間培養した培地溶液を生理食塩水で2倍に希
釈した。該2倍に希釈された培養液の濁度を McFarland
濁度計(日本ビオメリュー・バイテック株式会社製
ATB1550 )を用いて測定した。その結果を図71及び図
72に示す。図71は、黄色ブドウ球菌(S. aureus )
について、図72は大腸菌(E. coli )について示して
いる。本試験では、5〜6時間培養することにより、生
菌数は103 〜108 個の範囲で、菌数と濁度との間に
比例関係があることが確認でき、本発明の装置を用いて
培養前の生菌数を推測することが可能であることがわか
る。更に、適切な培養時間や濁度を選択することによ
り、培養前の生菌数を推定することが可能になる。また
生菌数測定用培地の濃度も、適切な濁度の値を与えるよ
うに選択することが可能である。
【0121】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、簡便且
つ手軽に所定の菌(特には病原菌、とりわけ食中毒原因
菌)の検出および/又は同定をすることが可能な選択的
菌検出器具が提供される。長期の保存性も期待でき、何
時でも必要なときに直ぐさま使用することができ、その
持ち運びが便利で容易な形態となっており、さらに簡便
な操作で安全に食中毒菌など有害菌を検出・同定するこ
とが可能で、そしてその検査の後も、安全・確実であっ
て猶かつ簡単に廃棄処理を行うことのできる、特に個人
的・家庭的な使用にも適した選択的菌検出器具が提供さ
れる。本発明の菌検出器具は個人的・家庭的な使用も極
めて容易であるため、保健所等の専門家の関与によらな
い自主的な菌検出、およびこれに基づく食中毒の予防対
策が可能となる。本発明の菌検出器具は、菌の培養後に
は、開栓などして一旦開放系にすることがないので、病
原性菌を含んでいても容易にそれを廃棄する事が可能と
なった。また、一旦培養に使用した容器を開栓して菌を
含む培養液に消毒液をピペットなどで加えて消毒処理を
施すなどということは必要ないことから、煩雑な操作を
省くことができ、危険を伴うことがなく、専門的な技術
や熟練、さらに装置などが必要とされることがない。さ
らに本発明の菌検出器具では、消毒液を該培養用の容器
とは別に何時も用意しておかなければならないというこ
ともないので、極めて携帯性に優れるとか、取り扱いの
簡便性に優れている。発明の実施の形態の項に詳細に記
載されているが、本発明に関連した技術に精通した者で
あれば本件の請求の範囲の項に記載された発明を実施す
るためのいろいろな別のデザインや具体的な例を認識し
うるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の菌検出器具の一態様を示す模式側面断
面図である。
【図2】図1の菌検出器具の使用方法の一例を示す模式
図である。
【図3】図1の菌検出器具の使用方法の一例を示す模式
図である。
【図4】本発明の菌検出器具の他の態様を示す模式側面
断面図である。
【図5】本発明の菌検出器具の他の態様を示す模式側面
断面図である。
【図6】本発明の菌検出器具の他の態様を示す図であ
る。主に器具の断面形状を説明する。
【図7】図6で示された器具の主としてその外観形状を
示す図である。
【図8】図6で示された器具の菌培養のための空間を提
供する容器部分の外観形状を示す図である。
【図9】図6で示された器具の菌培養のための空間を提
供する容器部分の断面構造を示す図である。(a)は上
方より見た形状を表し、(b)は側面より見た形状を表
す。
【図10】図6で示された器具の蓋体部分の外観形状を
示す図である。(a)は下方より見た形状を表し、
(b)は側面より見た形状を表し、(c)は上方より見
た形状を表す。
【図11】図6で示された器具の蓋体部分の断面構造を
示す図である。
【図12】本発明の菌検出器具の他の態様を示す図であ
る。外観形状を説明する。
【図13】本発明の菌検出器具の他の態様を示す図であ
る。図12の器具の断面形状を説明する。
【図14】本発明の菌検出器具の他の態様を示す図であ
る。(a)はリング77を表し、(b)は容器と蓋体か
らなる菌検出器具の側面より見た形状を表し、(c)は
73、74のある蓋体部分の断面形状を表すものであ
る。
【図15】本発明の菌検出器具の他の態様を示す図であ
る。(a)は上方より見た形状を表し、(b)は側面よ
り見た形状を表すものである。
【図16】本発明の菌検出器具の他の態様を示す図であ
る。(a)は蓋体構成部材112に対応する部分の断面
形状を表し、(b)は蓋体構成部材102に対応する部
分の断面形状を表し、(c)は菌検出器具の側面より見
た形状を表すものである。
【図17】本発明の菌検出器具の他の態様を示す図であ
る。外観形状を表す図である。
【図18】図17で示された器具の断面形状を表す図で
ある。
【図19】図17で示された器具を構成するキャップ部
材(561)の外観形状を表す図である。
【図20】図19で示されたキャップ部材(561)の
断面形状を表す図である。
【図21】図20で示された断面図のI-I'切断面の形状
を示す図である。
【図22】図17で示された器具を構成する蓋体構成部
材(247)の外観形状を表す図である。
【図23】図22で示された蓋体構成部材(247)の
断面形状を表す図である。
【図24】図22で示された蓋体構成部材(247)を
II方向から見た外観を表す図である。
【図25】図22で示された蓋体構成部材(247)を
III 方向から見た外観を表す図である。
【図26】図17で示された器具を構成する蓋体構成部
材(243)の外観形状を表す図である。
【図27】図26で示された蓋体構成部材(243)の
断面形状を表す図である。
【図28】図26で示された蓋体構成部材(243)を
IV方向から見た外観を表す図である。
【図29】図26で示された蓋体構成部材(243)を
V 方向から見た外観を表す図である。
【図30】図17で示された器具を構成する容器(24
1)の外観形状を表す図である。
【図31】図30で示された容器(241)の断面形状
を表す図である。
【図32】図30で示された容器(241)をVI方向か
ら見た外観を表す図である。
【図33】図31で示された断面図のG-G'切断面の形状
を示す図で、その中心部には菌採取部(246b)の断
面が示されている。
【図34】本発明の菌検出器具を構成する部材の組立を
模式的に示す図である。
【図35】本発明の菌検出器具の一つの態様を示す図で
ある。断面形状を表す図である。
【図36】図35で示された蓋体構成部材(747)の
外観形状を表す図である。
【図37】図36で示された蓋体構成部材(747)の
M−M’線の断面形態を表す図である。
【図38】図36で示された蓋体構成部材(747)の
VII方向からみた外観形態を表す図である。
【図39】図36で示された蓋体構成部材(747)の
VIII 方向からみた外観形態を表す図である。
【図40】図36で示された蓋体構成部材(747)の
断面形状を表す図である。
【図41】図35で示された蓋体構成部材(743)の
外観形状を表す図である。
【図42】図41で示された蓋体構成部材(743)の
IX 方向からみた外観形態を表す図である。
【図43】図41で示された蓋体構成部材(743)の
X方向からみた外観形態を表す図である。
【図44】図41で示された蓋体構成部材(743)の
断面形状を表す図である。
【図45】図44で示された蓋体構成部材(743)の
N−N’線の断面形態を表す図である。
【図46】図44で示された蓋体構成部材(743)の
P−P’線の断面形態を表す図である。
【図47】図44で示された蓋体構成部材(743)の
Q−Q’線の断面形態を表す図である。
【図48】図41で示された蓋体構成部材(743)で
あって、透明な(あるいは半透明な)材質で形成された
蓋体構成部材(743)の斜視外観図である。
【図49】図35で示された蓋体構成部材(743)と
蓋体構成部材(747)との関係を、そこに設けられた
凸状の小さな畝781と凹状の浅い溝777とを示して
示した概念図である。培養開始前の状態を示す。
【図50】図35で示された蓋体構成部材(743)と
蓋体構成部材(747)との関係を、そこに設けられた
凸状の小さな畝781と凹状の浅い溝777とを示して
示した概念図である。培養開始する時の動作を説明して
示す。
【図51】図35で示された蓋体構成部材(743)と
蓋体構成部材(747)との関係を、そこに設けられた
凸状の小さな畝781と凹状の浅い溝777とを示して
示した概念図である。アンプル744を破壊する位置ま
で蓋体構成部材(747)を押し込んだ状態を示す。
【図52】蓋体構成部材(例えば、743)のうちの容
器との係合部の構造を、一部断面として表した図であ
る。
【図53】本発明の菌検出器具の一つの具体例の斜視図
である。
【図54】図53の菌検出器具の部材1245(及び1
561)と部材1243の組立てを斜視図として示して
ある。
【図55】本発明の菌検出器具の一つの具体例の斜視図
である。
【図56】図55の菌検出器具の部材1245(及び1
561)と部材1243の組立てを斜視図として示して
ある。
【図57】本発明の菌検出器具の一つの具体例の斜視図
である。
【図58】図57の菌検出器具の部材1561と部材1
245の組立てを斜視図として示してある。
【図59】本発明の菌検出器具の一つの具体例の斜視図
である。
【図60】図59の菌検出器具の部材1561と部材1
245の組立てを斜視図として示してある。
【図61】本発明の菌検出器具の一つの具体例の斜視図
である。
【図62】図61の菌検出器具の部材1561、部材1
245、そして部材1243との組立てを斜視図として
示してある。
【図63】本発明の菌検出器具の一つの具体例の斜視図
である。
【図64】図63の菌検出器具の部材1561、部材1
245、そして部材1243との組立てを斜視図として
示してある。
【図65】本発明の菌検出器具の一つの具体例における
部材1561、1245の側面図である(A:前面図、
B:横からの図)。
【図66】本発明の菌検出器具の一つの具体例における
部材1561、1245の側面図である。
【図67】図65で描かれたような部材1245と係合
することのできる部材1243の概略図である。
【図68】本発明の菌検出器具の一つの具体例における
ガイド部1004とストッパー1005との関係を説明
するための概略図である。
【図69】本発明の菌検出器具の一つの具体例における
ガイド部1004とストッパー1005とのサイトBの
所での係合状態を拡大して概略的に示す。
【図70】本発明の菌検出器具の一つの具体例における
保護係合手段のためのガイド部1004、1007の各
種の形状を示す。
【図71】本発明の菌検出器具の一つの具体例を用いて
菌の培養を行った場合の黄色ブドウ球菌の生菌数と測定
濁度との関係を示すグラフである。
【図72】本発明の菌検出器具の一つの具体例を用いて
菌の培養を行った場合の大腸菌の生菌数と測定濁度との
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1,21,41,61,81,101,241,741
…容器本体、2,22,42,62,82,102,2
42…蓋体、3…培地、4,24,44,64(又は6
8),84,104,244,744…第一の袋状部
材、6,26,46,66,86,106,246,7
46…菌採取部、6a,26a,46a,66a,86
a,106a,246a,746a…棒状部材、5,2
96…第一の仕切り部材、15,235…第二の仕切り
部材、6b,26b,46b,66b,86b,106
b,246b,746b…菌採取端、7…抗生物質含浸
ディスク部材、9…消毒・殺菌剤、20…ガイド部材1
1,59,79,89,109,259,776…容器
と蓋体の係合部、8,28,48,68(又は64),
88,108,248,748…第二の袋状部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12Q 1/04 C12Q 1/04 (C12N 1/20 C12N 1/20 C12R 1:445) C12R 1:445 (C12N 1/20 1:63 C12R 1:63) C12R 1:42 (C12N 1/20 1:185 C12R 1:42) (C12N 1/20 C12R 1:185) (72)発明者 高松 厚志 東京都立川市曙町2丁目41番19号 株式 会社エスアールエル内 (72)発明者 保知戸 和憲 東京都八王子市小宮町51 株式会社エス アールエル八王子ラボラトリー内 (72)発明者 阿部 良彦 東京都八王子市小宮町51 株式会社エス アールエル八王子ラボラトリー内 (72)発明者 佐竹 順一 東京都八王子市小宮町51 株式会社エス アールエル八王子ラボラトリー内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12M 1/00 - 3/10

Claims (32)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開口を有する中空容器と蓋体とからな
    り、該蓋体が該中空容器の開口部と係合する携帯用菌検
    出器具であって、該菌検出器具は、 (a)検出すべき菌を培養するために使用される培地を
    菌培養の間保持するための容器、 (b)菌採取部、 (c)検出すべき菌を培養するために使用される培地を
    菌の培養時まで菌採取部と非接触的に収容することを可
    能にする手段、及び (d)培養後の培地を消毒する手段を少なくとも有し、
    且つ 蓋体内部に培地と消毒剤をそれぞれ収容している少
    なくとも2つの部材を有しており、 培養時には容器内に菌採取部が配置されるもので、 菌培養開始時には培地を収容する部材への外力の作用に
    より、菌採取部と検出すべき菌を培養するために使用さ
    れる培地とが一体的に接触可能であり、 菌培養後には消毒剤を収容する部材への外力の作用によ
    り、菌培養に使用された培地と消毒剤とが一体的に接触
    可能である ことを特徴とする携帯用菌検出器具。
  2. 【請求項2】 培養後の培地を消毒する手段(d)が、
    検出すべき菌の培養後まで消毒剤を菌と非接触的に収容
    することを可能にする手段を含むものであることを特徴
    とする請求項1記載の菌検出器具。
  3. 【請求項3】 中空容器が、開口を有し且つ筒状である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の菌検出器具。
  4. 【請求項4】 中空容器が、円筒状のものであることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか一記載の菌検出器
    具。
  5. 【請求項5】 (a)一方の端に開口を有する中空容
    器; (b)該中空容器内に配置された菌採取部; (c)菌の培養時に該菌採取部と接触するように配置さ
    れてなり且つ菌の培養のための培地;及び (d)菌の培養後に菌培養培地と接触するように配置さ
    れた消毒剤を含有することを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか一記載の菌検出器具。
  6. 【請求項6】 抗生物質が、前記培地に添加されてなる
    請求項1〜5のいずれか一記載の菌検出器具。
  7. 【請求項7】 抗生物質を包含してなり、該抗生物質及
    び培地は少なくともその一部が菌の培養時に外力の作用
    により互いに一体的に接触するものであり、且つ少なく
    とも前記抗生物質と培地とが非接触的に収容容器に配置
    されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一
    記載の菌検出器具。
  8. 【請求項8】 菌を培地で培養して培地の変化を観察す
    ることにより菌を検知するための器具であって、(i)
    菌採取部、(ii)抗生物質、(iii)培地、及び
    (iv)消毒剤を包含してなり、その(i)菌採取部、
    (ii)抗生物質、及び(iii)培地は少なくともそ
    の一部が菌の培養時に外力の作用により互いに一体的に
    接触するものであり、少なくとも前記(ii)抗生物質
    と前記(iii)培地とが非接触的に収容容器に配置さ
    れており、そして菌培養後は少なくとも培養された菌と
    (iv)消毒剤とが外力の作用により互いに一体的に接
    触するものであり、少なくとも前記(iv)消毒剤と前
    記(iii)培地とは非接触的に収容容器に配置されて
    いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一記載の
    菌検出器具。
  9. 【請求項9】 前記抗生物質が、(1)前記容器内に配
    置されてなるか、(2)前記菌採取部に付与されてなる
    か、あるいは(3)前記容器の内壁にコーティングされ
    てなる請求項1〜5及び7〜8のいずれか一記載の菌検
    出器具。
  10. 【請求項10】 前記抗生物質が、前記中空容器内に配
    置された他の部材に付与されてなる請求項1〜5及び7
    〜9のいずれか一記載の菌検出器具。
  11. 【請求項11】 前記菌採取部が、少なくとも内側材と
    外側材とを含む多重構造を有してなり、該内側材に前記
    抗生物質が配置されてなる請求項1〜5及び7〜9のい
    ずれか一記載の菌検出器具。
  12. 【請求項12】 前記培地が、菌の増殖に起因する変化
    に基づいて色調を変化させる物質を含有してなる請求項
    1〜11のいずれか一記載の菌検出器具。
  13. 【請求項13】 該容器が密閉用蓋体を有するものであ
    り、該蓋体内に前記培地が袋状部材に内包されて配置さ
    れている請求項1〜12のいずれか一記載の菌検出器
    具。
  14. 【請求項14】 前記袋状部材と中空容器との間に、穴
    あき部材が配置されている請求項13記載の菌検出器
    具。
  15. 【請求項15】 前記穴あき部材の下方に、前記菌採取
    部を伝う培地の中空容器中への落下を促進するガイド部
    材が配置されている請求項14記載の菌検出器具。
  16. 【請求項16】 病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌、腸炎
    ビブリオ、およびサルモネラ菌からなる群から選ばれる
    少なくとも1種の菌に対する培養選択性を有する請求項
    1〜15のいずれか一記載の菌検出器具。
  17. 【請求項17】 密閉下に培養に使用した培地の消毒処
    理を行うことが可能な構造であることを特徴とする請求
    項1〜16のいずれか一記載の菌検出器具。
  18. 【請求項18】 菌採取部による菌採取処理後は、密閉
    下に(1)容器内への培地の添加、(2)培養処理、
    (3)菌体の目視検出及び(4)培養に使用した培地の
    消毒処理を少なくとも行うことが可能な構造であること
    を特徴とする請求項1〜17のいずれか一記載の菌検出
    器具。
  19. 【請求項19】 蓋体は、 (a)第一の袋状部材を収容する第一の区画を構成する
    第一の蓋体構成部材と、 (b)第二の袋状部材を収容する第二の区画を構成する
    第二の蓋体構成部材と、そして (c)該第二の蓋体構成部材の一端であって、該第一の
    蓋体構成部材との嵌合側と反対の側にあり且つ回転可能
    に螺合したキャップ部材とから構成され、 第一の蓋体構成部材並びに第二の蓋体構成部材の、培地
    を収容して菌の培養を行うための空間を有する容器側の
    それぞれの端部あるいはその近傍には、各該袋状部材を
    保持するための、仕切り部が形成されているか又は仕切
    り部材が配置され、 該第一の蓋体構成部材は該第二の蓋体構成部材の一端と
    摺動可能に嵌合し、該第二の蓋体構成部材を外力により
    該第一の蓋体構成部材側に摺動せしめて、該第一の袋状
    部材を破壊してその内容物たる培地を出すことができ、 該キャップ部材はそれを外力により回転せしめて該第二
    の蓋体構成部材側に押し込み、該第二の袋状部材を破壊
    してその内容物たる消毒剤を出すことができ、 該仕切り部あるいは該仕切り部材には、培地及び消毒剤
    の流通が可能なように貫通孔が設けてあることを特徴と
    する請求項1〜18のいずれか一記載の菌検出器具。
  20. 【請求項20】 (a) サルモネラ菌用培地の組成とし
    て、培地1,000mlあたり、実質的にトリプトン,
    適量、例えば、3〜7g;酵母エキス,適量、例えば、
    1〜6g;リジン,適量、例えば、5〜15g;ブドウ
    糖,適量、例えば、0.5〜2g;塩化ナトリウム,適
    量、例えば、7〜9g;リン酸二水素一カリウム,適
    量、例えば、1.0〜2.0g;チオ硫酸ナトリウム,
    適量、例えば、0.1〜0.3g;クエン酸鉄アンモニ
    ウム,適量、例えば、0.2〜0.4g;塩化マグネシ
    ウム,適量、例えば、15〜25g;0.4%マラカイトグ
    リーン液,適量、例えば、27〜33ml及び;ブロム
    クレゾールパープル,適量、例えば、0.01〜0.0
    3g(培地のpHおおよそ5.3〜5.7)を含有する
    もの (b) 腸炎ビブリオ用培地の組成として、培地1,000
    mlあたり、実質的に食塩ポリミキシンブロス,適量、
    例えば、25〜40g(食塩ポリミキシンブロスは、酵
    母エキス,適量;ペプトン,適量;塩化ナトリウム,適
    量;及びポリミキシンB,適量を含有する);マンニッ
    ト,適量、例えば、15〜25g;クエン酸ナトリウ
    ム,適量、例えば、5〜10g;チオ硫酸ナトリウム,
    適量、例えば、0.1〜0.3g及び;ブロムクレゾー
    ルパープル,適量、例えば、0.01〜0.03g(培
    地のpHおおよそ7.0〜7.4)を含有するもの (c) 大腸菌群用培地の組成として、培地1,000ml
    あたり、実質的にラウリル硫酸ブロス,適量、例えば、
    26〜43g(ラウリル硫酸ブロスは、トリプトース,
    適量;ラクトース,適量;リン酸二水素一カリウム,適
    量;リン酸一水素二カリウム,適量;塩化ナトリウム,
    適量;ラウリル硫酸ナトリウム,適量を含有する);ラ
    クトース,適量、例えば、3〜8g及び;ブロムチモー
    ルブルーあるいはブロムクレゾールパープル,適量、例
    えば、0.03〜0.05g(培地のpHおおよそ6.
    75〜7.25)を含有するもの、及び (d) ブドウ球菌用培地の組成として、培地1,000m
    lあたり、実質的にトリプトン,適量、例えば、5〜1
    5g;酵母エキス,適量、例えば、2〜8g;マンニッ
    ト,適量、例えば、5〜15g;リン酸一水素二カリウ
    ム,適量、例えば、2〜8g;塩化リチウム,適量、例
    えば、5〜6g;グリシン,適量、例えば、12〜20
    g;ピルビン酸ナトリウム,適量、例えば、10〜14
    g;1%亜テルル酸カリウム水溶液,適量、例えば、12
    〜18ml;フェノールレッド,適量、例えば、0.0
    2〜0.03g(培地のpHおおよそ7.25〜7.7
    5)を含有するものからなる群から選ばれた培地を使用
    していることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一
    記載の菌検出器具。
  21. 【請求項21】 菌を培地で培養して培地の変化を観察
    することにより菌を検知するための器具であって、 (i)菌採取部、 (ii)培地、及び (iii)消毒剤を包含してなり、その(i)菌採取
    部、及び(ii)培地は少なくともその一部が菌の培養
    時に外力の作用により互いに一体的に接触するものであ
    り、少なくとも前記(i)菌採取部と前記(ii)培地
    とが非接触的に収容容器に配置されており、そして菌培
    養後は少なくとも培養された菌と(iii)消毒剤とが
    外力の作用により互いに一体的に接触するものであり、
    少なくとも前記(iii)消毒剤と前記(ii)培地と
    は非接触的に収容容器に配置されていることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれか一記載の菌検出器具。
  22. 【請求項22】 該容器が封止用蓋体を有するものであ
    り、該蓋体内に前記培地が袋状部材に内包されて配置さ
    れていることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一
    記載の菌検出器具。
  23. 【請求項23】 該容器が封止用蓋体を有するものであ
    り、該蓋体内に前記消毒剤が袋状部材に内包されて配置
    されていることを特徴とする請求項1〜22のいずれか
    一記載の菌検出器具。
  24. 【請求項24】 該蓋体が、少なくとも (a) 培地を内包する第一の袋状部材と (b) 消毒剤を内包する第二の袋状部材とを互いに独立し
    て保持することを可能にする構造を有するものであるこ
    とを特徴とする請求項1〜23のいずれか一記載の菌検
    出器具。
  25. 【請求項25】 該蓋体が、少なくとも (a) 第一の袋状部材を保持する第一の蓋体構成部材と (b) 第二の袋状部材を保持する第二の蓋体構成部材とを
    有するものであることを特徴とする請求項1〜24のい
    ずれか一記載の菌検出器具。
  26. 【請求項26】 使用前、第二の蓋体構成部材が移動し
    て第一の袋状部材を破壊することがないように、第一の
    蓋体構成部材と第二の蓋体構成部材とが、保護係合手段
    を有することを特徴とする請求項1〜25のいずれか一
    記載の菌検出器具。
  27. 【請求項27】 第二の蓋体構成部材に、キャップ部材
    を備え、使用前、該キャップ部材が移動して第二の袋状
    部材を破壊することがないように、該キャップ部材と第
    二の蓋体構成部材とが、保護係合手段を有することを特
    徴とする請求項1〜26のいずれか一記載の菌検出器
    具。
  28. 【請求項28】 保護係合手段が、ストッパーとガイド
    からなるものであることを特徴とする請求項26又は2
    7の記載の菌検出器具。
  29. 【請求項29】 請求項1〜19及び21〜28のいず
    れか一記載の菌検出器具を用いて、検体中の生菌数を定
    量測定する方法。
  30. 【請求項30】 請求項1〜28のいずれか一記載の菌
    検出器具の使用方法であって、該菌検出器具に備えられ
    た培養後の培地を消毒する手段(d)を使用して、培養
    後の培地を消毒することを特徴とする菌検出器具の使用
    方法。
  31. 【請求項31】 培養開始後は培養に使用した培地の消
    毒処理をその培養菌に関して実質的に密閉した系で実施
    することを特徴とする請求項30記載の菌検出器具の使
    用方法。
  32. 【請求項32】 菌培養後に、菌培養に使用された培地
    と、検出すべき菌の培養後まで菌と非接触的に収容され
    ていた消毒剤とを、外力の作用により互いに一体的に接
    触せしめることを特徴とする請求項30又は31記載の
    菌検出器具の使用方法。
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