JP3430532B2 - 歯車の表面改質法 - Google Patents
歯車の表面改質法Info
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- JP3430532B2 JP3430532B2 JP00511893A JP511893A JP3430532B2 JP 3430532 B2 JP3430532 B2 JP 3430532B2 JP 00511893 A JP00511893 A JP 00511893A JP 511893 A JP511893 A JP 511893A JP 3430532 B2 JP3430532 B2 JP 3430532B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、歯車の表面改質法に
関し、とくに歯元部の疲労強度特性の有利な向上を図ろ
うとするものである。
関し、とくに歯元部の疲労強度特性の有利な向上を図ろ
うとするものである。
【０００２】
【従来の技術】自動車や建設機械用の歯車としては、高
強度だけでなく、とくに耐ピッティング性が必要とされ
ることから、機械加工後、高周波焼入れや浸炭処理を施
して歯面硬度を向上させている。しかしながら、上記の
ような高周波焼入れ処理や浸炭処理を施した場合には、
むしろ歯元部の疲労強度が低下することから、かような
処理後さらに、ショットピーニングを施したり、歯底部
に圧接転造加工を施して、歯元部の疲労強度の向上を図
っている。
強度だけでなく、とくに耐ピッティング性が必要とされ
ることから、機械加工後、高周波焼入れや浸炭処理を施
して歯面硬度を向上させている。しかしながら、上記の
ような高周波焼入れ処理や浸炭処理を施した場合には、
むしろ歯元部の疲労強度が低下することから、かような
処理後さらに、ショットピーニングを施したり、歯底部
に圧接転造加工を施して、歯元部の疲労強度の向上を図
っている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ショッ
トピーニングを施した場合には、歯面が荒れる不利があ
る。また圧接転造加工では、必ずしも満足いくほど歯元
部の疲労強度が改善されるわけではないところに問題を
残していた。この発明は、上記の問題を有利に解決する
もので、耐ピッティング性はいうまでもなく、歯元部の
疲労強度を効果的に向上させ得る、新規な歯車の表面改
質法を提案することを目的とする。
トピーニングを施した場合には、歯面が荒れる不利があ
る。また圧接転造加工では、必ずしも満足いくほど歯元
部の疲労強度が改善されるわけではないところに問題を
残していた。この発明は、上記の問題を有利に解決する
もので、耐ピッティング性はいうまでもなく、歯元部の
疲労強度を効果的に向上させ得る、新規な歯車の表面改
質法を提案することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】さて発明者らは、上記の
問題を解決すべく、鋭意研究を重ねたところ、歯元部に
引張応力を付与した状態で焼入れ処理や圧接転造加工処
理を施すことが、所期した目的の達成に関し、極めて有
効であることの知見を得た。この発明は、上記の知見に
立脚するものである。
問題を解決すべく、鋭意研究を重ねたところ、歯元部に
引張応力を付与した状態で焼入れ処理や圧接転造加工処
理を施すことが、所期した目的の達成に関し、極めて有
効であることの知見を得た。この発明は、上記の知見に
立脚するものである。
【０００５】すなわち、この発明の要旨構成は次のとお
りである。 (1) 機械加工後の歯車に、高周波加熱処理又は浸炭処理
を施すに当たり、所定の温度まで加熱後、歯車を内径側
から押圧し、歯元部に引張応力が付与された状態で焼入
れすることを特徴とする歯車の表面改質法（第１発
明）。 (2) 機械加工後の歯車に、高周波加熱処理又は浸炭処理
を施すに当たり、所定の温度まで加熱後の焼入れ途中、
歯車を内径側から押圧し、歯元部に引張応力が付与され
た状態で、歯底ロール加工を施すことを特徴とする歯車
の表面改質法（第２発明）。
りである。 (1) 機械加工後の歯車に、高周波加熱処理又は浸炭処理
を施すに当たり、所定の温度まで加熱後、歯車を内径側
から押圧し、歯元部に引張応力が付与された状態で焼入
れすることを特徴とする歯車の表面改質法（第１発
明）。 (2) 機械加工後の歯車に、高周波加熱処理又は浸炭処理
を施すに当たり、所定の温度まで加熱後の焼入れ途中、
歯車を内径側から押圧し、歯元部に引張応力が付与され
た状態で、歯底ロール加工を施すことを特徴とする歯車
の表面改質法（第２発明）。
【０００６】
【作用】この発明では、高周波加熱処理又は浸炭処理に
際し、歯元部を引張応力状態に保持しつつ、焼入れ処理
や圧接転造加工（圧接ロール加工）処理を施す。図１及
び図２にそれぞれ、代表的な高周波加熱処理又は浸炭処
理における熱履歴を示す。図１において、（ａ）はオー
ステナイト域の所定温度まで高周波加熱後、水冷する従
来法に従う場合、（ｂ）は（ａ）同様、所定温度まで加
熱後、水冷するわけであるが、この水冷を押圧力付与下
に行う場合、（ｃ）は所定温度まで加熱後、50〜400 ℃
程度の温度に油冷し、かかる焼入れ途中で圧接ロール加
工を施す場合について示したものである。また図２は、
浸炭焼入れ、焼戻し処理における熱履歴で、押圧焼入れ
処理や焼入れ途中における圧接ロール加工処理は、拡散
処理後の油冷の際に行う。
際し、歯元部を引張応力状態に保持しつつ、焼入れ処理
や圧接転造加工（圧接ロール加工）処理を施す。図１及
び図２にそれぞれ、代表的な高周波加熱処理又は浸炭処
理における熱履歴を示す。図１において、（ａ）はオー
ステナイト域の所定温度まで高周波加熱後、水冷する従
来法に従う場合、（ｂ）は（ａ）同様、所定温度まで加
熱後、水冷するわけであるが、この水冷を押圧力付与下
に行う場合、（ｃ）は所定温度まで加熱後、50〜400 ℃
程度の温度に油冷し、かかる焼入れ途中で圧接ロール加
工を施す場合について示したものである。また図２は、
浸炭焼入れ、焼戻し処理における熱履歴で、押圧焼入れ
処理や焼入れ途中における圧接ロール加工処理は、拡散
処理後の油冷の際に行う。
【０００７】次に、図３に、歯車を、その内径側から押
圧し、歯元部に引張応力を付与するのに好適な押圧装置
を示す。図中、番号１はコレット、２は上マンドレル、
３は下マンドレル、そして４が供試歯車である。円筒状
コレット１には、中央部を除いて、軸線に平行に多数の
スリット５が切ってある。従って、コレット１の内部に
上、下方からマンドレル２，３を押し込むと、該コレッ
ト１の外径が拡がり、それに伴って供試歯車４はその内
側から押圧力が付与されるので、該歯車４の歯元部には
引張応力が付与された状態となる。第１発明では、かよ
うな引張応力付与状態で焼入れ処理を行うのである。す
ると、歯元部には、従来に較べて大きな残留圧縮応力が
残り、その結果疲労強度が向上するのである。
圧し、歯元部に引張応力を付与するのに好適な押圧装置
を示す。図中、番号１はコレット、２は上マンドレル、
３は下マンドレル、そして４が供試歯車である。円筒状
コレット１には、中央部を除いて、軸線に平行に多数の
スリット５が切ってある。従って、コレット１の内部に
上、下方からマンドレル２，３を押し込むと、該コレッ
ト１の外径が拡がり、それに伴って供試歯車４はその内
側から押圧力が付与されるので、該歯車４の歯元部には
引張応力が付与された状態となる。第１発明では、かよ
うな引張応力付与状態で焼入れ処理を行うのである。す
ると、歯元部には、従来に較べて大きな残留圧縮応力が
残り、その結果疲労強度が向上するのである。
【０００８】また第２発明では、焼入れの途中に、歯元
部に引張応力が付与された状態で圧接ロール加工を施
す。このように歯元部が引張応力付与状態下で圧接ロー
ル加工を施すと、歯元部に一層大きな残留圧縮応力が残
る結果、疲労強度のより一層の向上が実現されるのであ
る。
部に引張応力が付与された状態で圧接ロール加工を施
す。このように歯元部が引張応力付与状態下で圧接ロー
ル加工を施すと、歯元部に一層大きな残留圧縮応力が残
る結果、疲労強度のより一層の向上が実現されるのであ
る。
【０００９】図４に、圧接ロール加工装置の好適例を示
し、図中、番号６，６′が歯底ロール工具である。この
装置において、図４に示したように歯車４に押圧力を付
与しつつ、しかもロール工具６，６′を歯車の軸方向に
荷重をかけながら回転させると、図４（ｂ）に示すよう
に、歯元部のすみＲ部のみに圧接加工が施されるのであ
る。
し、図中、番号６，６′が歯底ロール工具である。この
装置において、図４に示したように歯車４に押圧力を付
与しつつ、しかもロール工具６，６′を歯車の軸方向に
荷重をかけながら回転させると、図４（ｂ）に示すよう
に、歯元部のすみＲ部のみに圧接加工が施されるのであ
る。
【００１０】この発明における歯車用鋼素材としては、
機械構造用鋼であればいずれもが適合するが、とくに好
適な鋼種は次のとおりである。 ・Cr鋼：SCr 415, SCr 420など。 ・Cr−Mo鋼：SCM 415, SCM 420, SCM 421 など。 ・Ni−Cr鋼：SNC 415, SNC 815など。 ・Ni−Cr−Mo鋼：SNCM 220, SNCM 415, SNCM 420など。
機械構造用鋼であればいずれもが適合するが、とくに好
適な鋼種は次のとおりである。 ・Cr鋼：SCr 415, SCr 420など。 ・Cr−Mo鋼：SCM 415, SCM 420, SCM 421 など。 ・Ni−Cr鋼：SNC 415, SNC 815など。 ・Ni−Cr−Mo鋼：SNCM 220, SNCM 415, SNCM 420など。
【００１１】
【実施例】高周波焼入れ用としてS50Cを、また浸炭焼入
れ用としてSCr420を用意し、これらをそれぞれ、表１に
示す歯車諸元に従って機械加工した後、表２に示す処理
を施した。
れ用としてSCr420を用意し、これらをそれぞれ、表１に
示す歯車諸元に従って機械加工した後、表２に示す処理
を施した。
【００１２】
【表１】
【００１３】
【表２】
【００１４】得られた歯車の残留応力及び歯元応力につ
いて調べた結果を、図５及び図６にそれぞれ示す。図
５，６から明らかなように、この発明に従って処理した
ものはいずれも、従来のものに較べて残留応力が大き
く、ひいては歯元応力も従来に較べて格段に向上してい
る。
いて調べた結果を、図５及び図６にそれぞれ示す。図
５，６から明らかなように、この発明に従って処理した
ものはいずれも、従来のものに較べて残留応力が大き
く、ひいては歯元応力も従来に較べて格段に向上してい
る。
【００１５】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、耐ピッティ
ング性はいうまでもなく、歯元疲労強度を従来に較べて
格段に向上させることができる。
ング性はいうまでもなく、歯元疲労強度を従来に較べて
格段に向上させることができる。
【図１】高周波加熱処理条件を示す模式図である。
【図２】浸炭処理条件を示す模式図である。
【図３】好適押圧装置の模式図である。
【図４】好適圧接ロール加工装置の模式図である。
【図５】歯車の表面深さと残留応力との関係を示したグ
ラフである。
ラフである。
【図６】歯元応力と繰り返し数との関係を示したグラフ
である。
である。
Claims (2)
- 【請求項１】 機械加工後の歯車に、高周波加熱処理又
は浸炭処理を施すに当たり、所定の温度まで加熱後、歯
車を内径側から押圧し、歯元部に引張応力が付与された
状態で焼入れすることを特徴とする歯車の表面改質法。 - 【請求項２】 機械加工後の歯車に、高周波加熱処理又
は浸炭処理を施すに当たり、所定の温度まで加熱後の焼
入れ途中、歯車を内径側から押圧し、歯元部に引張応力
が付与された状態で、歯底ロール加工を施すことを特徴
とする歯車の表面改質法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP00511893A JP3430532B2 (ja) | 1993-01-14 | 1993-01-14 | 歯車の表面改質法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP00511893A JP3430532B2 (ja) | 1993-01-14 | 1993-01-14 | 歯車の表面改質法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06212273A JPH06212273A (ja) | 1994-08-02 |
| JP3430532B2 true JP3430532B2 (ja) | 2003-07-28 |
Family
ID=11602415
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP00511893A Expired - Fee Related JP3430532B2 (ja) | 1993-01-14 | 1993-01-14 | 歯車の表面改質法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3430532B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR19990000582A (ko) * | 1997-06-09 | 1999-01-15 | 박병재 | 변속기 기어용 소재의 제조방법 |
-
1993
- 1993-01-14 JP JP00511893A patent/JP3430532B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH06212273A (ja) | 1994-08-02 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |