JP3429751B2 - 弾性表面波フィルタ - Google Patents

弾性表面波フィルタ

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JP3429751B2 JP2001263527A JP2001263527A JP3429751B2 JP 3429751 B2 JP3429751 B2 JP 3429751B2 JP 2001263527 A JP2001263527 A JP 2001263527A JP 2001263527 A JP2001263527 A JP 2001263527A JP 3429751 B2 JP3429751 B2 JP 3429751B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は弾性表面波フィルタ
に係り、特に自動車電話及び携帯電話などの小型移動体
無線機器のRF(高周波部)のフィルタに適用しうる梯
子型の弾性表面波フィルタに関する。
【0002】現在の国内の自動車・携帯電話の仕様の1
例は、933.5MHzを中心として、±8.5MHz
の範囲が送信帯域である。比帯域幅にすると、約2%で
ある。
【0003】弾性表面波フィルタは上記の仕様を満たす
ような特性であることが必要であり、具体的には、通
過帯域幅が比帯域幅にして2%以上と広いこと、損失
が1.5〜2dB以下と低いこと、抑圧度が20dB
〜30dB以上と高いことが必要とされる。
【0004】この要求を満たすため、弾性表面波フィル
タは、従来のトランスバーサル型に代わって、弾性表面
波素子を共振器として用い、これを梯子型に構成した共
振器型が希望視されている。
【0005】
【従来の技術】図70は、特開昭52−19044号に
記載されている弾性表面波フィルタ1の等価回路を示
す。このフィルタ1は、直列腕2に弾性表面波共振器3
を配置し、並列腕4に弾性表面波共振器5を配置し、且
つ並列腕4の共振器5の等価並列容量COBを直列腕2の
共振器3の等価並列容量COAより大とした構成である。
このフィルタ1は、図71に線6で示す特性を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のフィルタ1にお
いて、後述するように等価並列容量COBを大とすると、
矢印7で示すように抑圧度を高めることができる。しか
し、この容量COBを増やすと、矢印8で示すように通過
帯域幅が狭くなり、且つ矢印9で示すように損失が増
え、特性は線10で示す如くになってしまう。
【0007】抑圧度を20dB以上としようとすると、
通過帯域幅は比帯域幅にして1%以下となってしまい、
上記の自動車携帯電話の仕様を満たすことができなくな
ってしまう。
【0008】そこで、本発明は、通過帯域幅の拡大と通
過帯域外の抑圧度の向上とを同時に達成することができ
る弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、弾性表面波共振器により構成される複数の並列腕と
直列腕とが梯子型に接続されて一つの圧電基板上に形成
され、バンドパス特性を有 該複数の並列腕の各々に
直列にインダクタンスを接続することを特徴とする弾性
表面波フィルタである。一つの圧電基板上に複数の並列
腕と直列腕を形成するので、弾性表面波共振器の共振周
波数等を正確に制御でき、通過帯域幅の拡大と通過帯域
外の抑圧度の向上とを同時に達成することができる。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
前記各弾性表面波共振器が、それぞれ重ならない伝搬路
を有することを特徴とする弾性表面波フィルタである。
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】まず、本発明の基本原理の一つに
ついて説明する。図1は本発明で用いることができる弾
性表面波フィルタ20の原理構成を示す。21は第1の
一端子弾性表面波共振器であり、所定の共振周波数frp
を有し、並列腕22に配してある。23は第2の一端子
弾性表面波共振器であり、第1の共振器21の反共振周
波数fapに略一致する共振周波数frpを有し、直列腕2
4に配してある。25はインダクタンスであり、第1の
共振器21に直列に付加してあり、並列腕22に配して
ある。
【0013】一端子対弾性表面波共振器を直列腕と並列
腕とにもつ回路がフィルタ特性を有する原理は次の通り
である。この原理については、本発明の原理説明にも必
要であるため、ここで詳しくのべる。
【0014】共振回路がフィルタ特性を示すか否かを評
価するには、イメージパラメータによる方法が理解し易
い。この方法は柳沢等による「フィルタの理論と設計」
(産報出版:エレクトロニクス選書,1974年発行)
に詳しく述べられている。
【0015】以下これを基にして原理を述べる。
【0016】フィルタ特性を示す基本的な梯子型回路を
図2に示す。同図において斜線のブラックボックスが弾
性表面波共振器30,31である。
【0017】今、説明の簡略化のため、弾性表面波共振
器を抵抗分のないリアクタンス回路であると仮定し、直
列腕の共振器30のインピーダンスをZ=jx、並列腕
の共振器31のアドミタンスをY=jbとする。
【0018】イメージパラメータ法によれば、入力側電
圧・電流をそれぞれV1,I1、出力側をV2,I2とする
と(図2参照)、
【0019】
【数1】 で定義されるイメージ伝送量γ(複素数)が、重要な意
味を持つ。即ち、
【0020】
【数2】 の式において、この式で表される値が虚数であれば図2
の二端子対回路全体は通過特性を示し、実数であれば減
衰特性を示す。ここに、A,B,C,Dの記号は図2の
回路全体をF行列で表した時の四端子定数であり、それ
ぞれを前述のx,bで表すと以下のようになる。
【0021】 A=1 B=jx C=jb D=1−bx …(3) 従って、(2)式は、次式になる。
【0022】
【数3】 (4)式より、0<bx<1、即ちbとxが同符号で小
さな値の時、図2の回路全体は通過特性を示し、bx<
0またはbx>1の時、即ちbとxが異符号またはbx
積が大きな値の時、減衰特性を示すことが分かる。
【0023】ここで、さらにbとxの周波数特性を定性
的に知るために、弾性表面波共振器のインピーダンス及
びアドミタンスの周波数特性を調べる。
【0024】一端子対弾性表面波共振器は図3(A)に
示されるような櫛形電極40で構成される(日経エレク
トロニクス誌1976年11月29日号のP.76〜
P.98に記載)。
【0025】41は電極対で、42は開口長(交差
幅)、43は櫛形電極周期である。この櫛形電極は抵抗
分を無視すると一般に図3(B)に示されるような等価
回路45で表される。ここにCOは櫛形電極の静電容
量、C1,L1は等価定数である。
【0026】この等価回路45を、以下、図3(C)に
示す記号46で表わす。
【0027】図4(A)(B)は夫々櫛形電極を図3
(b)のような等価回路で表した時のインピーダンス及
びアドミタンスの周波数依存性を定性的に示す。
【0028】同図の特性は水晶による共振器と同様に2
つの共振周波数fr,faをもつ2重共振特性となる。
ここでfrを共振周波数、faを反共振周波数と呼ぶ。
このような2重共振特性をもつ共振器をそれぞれ直列腕
及び並列腕に配置し、さらに並列腕の反共振周波数fa
pを直列腕の共振周波数frsに略一致させると、それ
を中心周波数とするバンドパス型のフィルタ特性を示す
回路を構成できる。その理由は、図5(A)のインミタ
ンスの周波数特性の図にも示したように、fap≒fr
sである中心周波数近傍では、0<bx<1が満たされ
前述の条件から通過域となり、中心周波数から少し離れ
た周波数領域ではbx>1、大きく離れた領域ではbx
<0となり共に減衰域となるからである。
【0029】従って、図1に示す構成の弾性表面波フィ
ルタ1は、図5(B)中線47で示すフィルタ特性を定
性的に有する。
【0030】〔通過帯域幅決定要因〕次に、このような
共振器型弾性表面波フィルタにおけるバンド幅決定要因
を考察する。
【0031】図5からも分かるようにバンド幅は主にそ
れぞれの共振器における共振周波数frと反共振周波数
faとの差で決定されている。この差が大きくとれれば
バンド幅は広く広帯域となり、小さければ狭帯域とな
る。ここでfr,faは図3(B)の等価回路定数を使
って次式から決定できる。
【0032】
【数4】 比帯域幅(Δf/f0は)は主にfr,faの差から決
まってしまうため、(6),(7)式を使い次式のよう
に表される。
【0033】 Δf/f0 =2(fa−fr)/(fa+fr) ≒2/(4γ+1) …(8) 上式から明らかなようにγ(容量比)が比帯域幅を決め
る重要な因子となる。しかし、この値は特開昭52−1
9044号公報にも記載されているように、櫛形電極を
形成する基板材料の種類によりほぼ決まってしまう。例
えば材料の電気機械結合係数が小さなSTカット水晶で
は、γは1300以上となるのに対し、電気機械結合係
数が大きな36°Ycut−x伝搬LiTaO3では、
γは15位の値になる。比帯域幅は(8)式より、ST
カット水晶では0.04%、36°Ycut−X伝搬L
iTaO3では3.3%となる。従って、基板材料が決
まれば帯域幅はほぼ決定してしまう。
【0034】そして、帯域外抑圧度を高めるため、特開
昭52−19044号に記載されているように、等価並
列容量COBを大とすると、帯域幅はどんどん狭くなって
しまう。
【0035】これを図6を使って詳しく説明する。前述
の原理説明からも明らかなように並列共振器のfrとf
aを固定したまま、アドミタンス値を大きくしていくと
(アドミタンス値を増加するにはγを一定にしたまま櫛
形電極の開口長または対数を増やして静電容量C0を大
きくしていく)、図6(A)に示すように帯域外ではb
x積が負で増加するため減衰量は増え特性は良くなる
が、中心周波数の近傍ではbx積が正で増加するためb
x>1の領域が拡がり、結果として0<bx<1なる通
過域が狭まって帯域が十分取れなくなる。この様子を図
6(B)中の矢印で表す。
【0036】〔通過帯域幅の改善〕以上の点を解決する
一つの手段として、直列腕の共振器か若しくは並列腕
の共振器かどちらかすくなくとも一方の共振器のfrと
faとの差を広げ、かつそのインピーダンス値若しく
はアドミタンス値を大きくするという2つの条件を満た
すことが必要である。インピーダンス値やアドミタンス
値を大きくする理由は、帯域外減衰量を大きくするため
である。これが実現できれば、通過帯域を広げつつ若し
くは狭くすることなく、帯域外減衰量を改善できること
になる。
【0037】まず、の条件である共振器のfr,fa
の差を広げる方法としては、一端子対弾性表面波共振器
に直列にインダクタンスLを付加する方法が有効であ
る。図7(A),(B)に一端子対弾性表面波共振器に
直列にLとして8nHを接続した時のインピーダンス及
びアドミタンスの周波数変化を示す。計算に用いた弾性
表面波共振器の等価回路の各定数は同図に示す。
【0038】図7(A)中、線50は、Lを付加する前
のインピーダンス特性を示す。線51は、Lを付加した
後のインピーダンス特性を示す。
【0039】図7(B)、線52はLを付加する前のア
ドミタンス特性を示す。線53は、Lを付加した後のア
ドミタンス特性を示す。
【0040】図7(A)より、Lを付加することによっ
てfrとfaの間隔は広がっていることが分かる。この
場合では約30MHz拡大した。この理由は、同図
(A)のインピーダンスの周波数特性から明らかなよう
に、直列にLが加わることにより元の共振器だけのイン
ピーダンスが+側へ、ωL分だけ引上げられる結果、f
rがfr’へと変化したためである。この時faはほと
んど動かない。インピーダンスの逆数であるアドミタン
スも同じ理由から同図(A)に示すように変化する。こ
の場合も、frがfr’へと変化していることが明確に
わかる。
【0041】次にの条件であるが、アドミタンス値は
図7(B)からも明らかのようにLを付加することで大
きくなっている。しかし、インピーダンス値は図7
(A)に示すように帯域外では逆に小さくなっている。
従って、直列腕の共振回路にこの方法を適用する場合に
はインピーダンス値を大きくする方法が更に必要とす
る。それには直列に複数個の同じ弾性表面波共振器を接
続することにより解決できる。
【0042】図8中、線55は、一つの共振器のインピ
ーダンス特性を示す。線56は、n個の共振器を直列に
接続した場合の共振部分のインピーダンス特性を示す。
【0043】図8に示すように、n個の共振器を接続す
ることにより共振器部のインピーダンス値はn倍にな
る。一方faとfrの差については、Lを繋いだ時の共
振周波数の拡がりはfr”と、1個の共振器の場合のf
r’よりやや狭くなるものの、Lを繋がない時よりもf
aとfrの差は大きくとれる。もし必要であればLの値
を増やすことによりfaとfrの差はさらに大きくな
る。
【0044】通過帯域幅を拡大する2つ目の手段とし
て、図44に示すように並列腕共振器の反共振周波数f
apと直列腕共振周波数frsを略一致させるのではな
く、frs>fapとする方法が考えられる。
【0045】但し、frs>fapとした場合、図44
にも示すように中心周波数近傍でbx<0となって、前
述の通過域条件を満たさなくなり、損失とリップルが増
加する危険がある。
【0046】しかし、frs−fap=ΔfとしてΔf
の大きさを制御することで、実質上、損失増加、並びに
リップル増加を防いで通過帯域の拡大を実現することが
可能である。また、Δfの拡大により、帯域外抑圧度の
改善も同時に実現することができる。詳細は実施例11
で後述する。
【0047】以下、本発明の内容を具体的な実施例によ
り説明する。実施例はほとんどシミュレーションにより
行った。そこで、まず本発明に用いたシミュレーション
について簡単に述べるとともに、シミュレーションの正
当性を証明するために、実験との比較を示す。
【0048】図3(B)に示した等価回路は一端子対弾
性表面波共振器の特性を簡略にシミュレーションできる
が、共振器を構成する櫛形電極の対数、開口長、電極膜
厚などの変化並びに反射器の効果等を正確にシミュレー
ションすることが難しい。そこで発明者等が既に開発し
たところのスミスの等価回路を基本にこれを転送行列で
表す方法を用い、共振器へ応用した(O.Ikata et al.:1
990 ULTRASONIC SYMPOSIUM Proceedings,vol.1, pp83-8
6, (1990).を参照、これを文献(1)とする。)。
【0049】図9(A)は並列腕に一端子対弾性表面波
共振器を配した場合の、シミュレーションの結果を示
す。
【0050】図9(B)は、並列腕に、材料がAl−2
%Cu、膜厚が1600Åの櫛形電極よりなる一端子対
弾性表面波共振器を配し、更にこの共振器に長さ3mm
のボンディングワイヤ(L=1.5nH)を接続した場
合の、実験の結果を示す。
【0051】図9(A),(B)を比較するに、開口長
変化による共振点(図中fr1,fr2,fr3で示し
た)の動きや共振点近傍での減衰量について、実験値と
計算値が良く一致していることが分かる。
【0052】図10(A)は、直列腕に共振器を配した
場合の、シミュレーションの結果を示す。後述する実験
で用いたボンディングパッドがやや大きかったため、シ
ミュレーションでは、その浮遊容量として、0.5pF
のコンデンサを考慮している。
【0053】図10(B)は、直列腕に共振器を接続し
た場合の実験の結果を示す。
【0054】図10(A),(B)を比較するに、反共
振周波数fa1,fa2,fa3が開口長に依存しない点
や、反共振周波数近傍での減衰量の変化などが実験と良
く一致していることがわかる。
【0055】従って、これらを組み合わせた時のフィル
タ特性も実験と良く一致することは明らかであり、以降
の実施例はシミュレーションで行った。
【0056】〔実施例1〕図11は、本発明の第1実施
例になる弾性表面波フィルタ60を示す。
【0057】現在、国内の自動車・携帯電話の仕様のな
かで1つの例をあげると、933.5MHzを中心周波
数として、±8.5MHzの範囲が移動機器の送信帯域
で、そこから−55MHz離れた878.5MHzを中
心周波数として、±8.5MHzの範囲が受信帯域とい
う仕様がある。
【0058】本実施例は、上記の移動機器の送信側フィ
ルタに適するように設計してある。後述する他の実施例
も同様である。
【0059】直列腕61に一端子対弾性表面波共振器R
2及びR4が配してある。
【0060】並列腕62,63,64に夫々一端子対弾
性表面波共振器R1,R3,R5が配してある。L1
2,L3はインダクタンスであり、夫々共振器R1
3,R5と接続して並列腕62,63,64に配してあ
る。共振器R1〜R5は、図3(A)に示す櫛形電極構造
を有する。対数は100、開口長は80μmである。材
料は、Al−2%Cuであり、膜厚は3,000オング
ストロームである。
【0061】また、櫛形電極の周期が適宜定めてあり、
並列腕62,63,64中の各共振器R1,R3,R5
共振周波数は、912MHz、反共振周波数は934M
Hzとしてある。直列腕61中の各共振器R2,R4の共
振周波数は934MHz、反共振周波数は962MHz
としてある。インダクタンスL1,L2,L3は共に4n
Hである。
【0062】上記構成の弾性表面波フィルタ60は、図
12中、線65で示す通過特性を有する。インダクタン
スLが2nH、6nHの場合、図11のフィルタ60の
通過特性は、夫々図12中、線66,67で示す如くに
なる。
【0063】図12に基づいて、通過帯域幅に対するL
依存性を表わすと、図13(A)の線70で示す如くに
なる。ここで、最小挿入損失から−3dB下がった減衰
量のレベルにおける周波数幅を、通過帯域幅とした。
【0064】同様に、図12に基づいて、通常帯域外抑
圧度に対するL依存性を表わすと、図13(B)の線7
1で示す如くになる。
【0065】図12より分かるように、Lをあまり大き
くすると、中心周波数から55MHz低周波数側の抑圧
領域が充分とれなくなってしまう。そこで、Lは上記の
ように4nHとしてある。なお、Lの値は、フィルタの
仕様に応じて適当に選択されるものである。
【0066】図70に示す従来構成のフィルタ1の通過
特性は、図12中線68で示す如くになる。
【0067】図12中、本実施例のフィルタ60の通過
特性(線65)を従来のフィルタの通過特性(線68)
と比較するに、本実施例のフィルタ60は、従来のフィ
ルタに比べて、矢印75で示すように通過帯域幅が広
く、矢印76で示すように通過帯域外の抑圧度が高く、
しかも矢印77で示すように損失が低いことが分かる。
【0068】図14及び図15は、図11の弾性表面波
フィルタ60を実現した弾性表面波フィルタ装置80を
示す。
【0069】81はセラミックパッケージ、82はフィ
ルタチップ、83はアースとして機能する蓋である。セ
ラミックパッケージ81はアルミナセラミック製であ
り、サイズは5.5×4mm2 の高さが1.5mmと小
さい。このセラミックパッケージ81にはAu製の電極
端子84-1〜84-6が形成してある。フィルタチップ8
2は、LiTaO3製であり、サイズは2×1.5mm
2 の厚さが0.5mmである。
【0070】このフィルタチップ82の表面に、対数が
100、開口長が80μm、材料がAl−2%Cu、膜
厚が3,000Åの櫛形電極構造を有する共振器R1
5が、互いに弾性表面波の伝播路を共有しないよう
に、ずらして配置してある。
【0071】またフィルタチップ82の表面には、ボン
ディング用端子としての、二つの信号線用端子85-1
85-2及び三つのアース用端子85-3,85-4,85-5
が形成してある。86-1〜86-5はボンディングワイヤ
であり、Al又はAu製であり、径が25μmφであ
り、夫々端子84-1〜84-5と端子85-1〜85-5とに
ボンディングされて接続してある。このうち、ワイヤ8
-1,86-2は夫々図11中の直列腕61の一部61a
及び61bを構成する。ワイヤ86-3はアース用電極端
子84-3と85-3との間に接続してあり、ワイヤ86-4
は別のアース用電極端子84-4と85-4との間に接続し
てあり、ワイヤ86-5は別のアース用電極端子84-5
85-5との間に接続してある。このワイヤ86-3〜86
-5は長さが共に2.0mmと長い。
【0072】このように、細くて長いワイヤは高周波の
理論によれば、インダクタンス分を持つ。
【0073】空中リボンインダクタの理論式(倉石:理
工学講座、「例題円周マイクロ波回路」東京電機大学出
版局のP199に記載)によれば、上記のワイヤ8
-3,86-4,86-5のインダクタンスは約1nHとな
る。
【0074】4nHのインダクタンスを得るためにはこ
れでは不充分であり、後述する図40及び図41に図示
するようなセラミックパッケージとフィルタチップ上の
Lを利用した。
【0075】このようにして、図11中のインダクタン
スL1,L2,L3を構成する。
【0076】〔実施例2〕図16は本発明の第2実施例
になる弾性表面波フィルタ90を示す。
【0077】図中、図11に示す構成部分と対応する部
分に同一符号を付す。
【0078】直列腕61内の共振器R2の開口長ASは、
80μmである。
【0079】並列腕62には、共振器R1Aとインダクタ
ンスL1とが直列に接続されて配してある。
【0080】共振器R1Aは開口長APが120μmであ
る。開口長APは、開口長ASより長く、開口長AS
1.5倍である。なお、共振器R2及びR1Aの対数NP
Sは共に100であり、等しい。
【0081】このフィルタ90は、図17中、線91で
示す通過特性を有する。
【0082】この通過特性を線65で示す図11のフィ
ルタ60の通過特性と比較すると、通過帯域幅を変えず
に、矢印92で示すように、通過帯域外抑圧度が改善さ
れていることが分かる。
【0083】図18は、図16の構成のフィルタの通過
特性の開口長依存性を示す。
【0084】同図(A)は、図16に示すようにLが付
加されている場合、図42に示すようにLが付加されて
いない場合において、夫々の直列腕共振器の開口長(A
S)に対する並列腕共振器の開口長(AP)の比AP/AS
と、帯域外抑圧度の関係を示す。帯域外抑圧度は、4n
HのインダクタンスLが付加されている場合には、線9
2で示す如くになり、インダクタンスLが付加されてい
ない場合には、線93で示す如くになる。
【0085】また、図18(B)は、AP/ASと通過帯
域幅との関係を示す。通過帯域幅は、4nHのインダク
タンスLが付加されている場合には、線95で示す如く
になり、インダクタンスLが付加されていない場合に
は、線96で示す如くになる。
【0086】図18(A),(B)より、以下のことが
分かる。
【0087】並列腕62内の共振器R1Aの開口長AP
を直列腕61内の共振器R2の開口長ASより長くするこ
とにより、帯域外抑圧度が増える。
【0088】並列腕62にインダクタンスL1を付加
することにより、インダクタンスを有しない場合に比べ
て、共振器R1Aの開口長APの増大の効果が大きくな
り、しかも帯域幅の劣化も殆ど無い。
【0089】以上のことからも、上記実施例のフィルタ
90は、図11のフィルタ60に比べて、通過帯域幅は
何ら狭くせずに、通過帯域外抑圧度が増えた通過特性を
有することが分かる。
【0090】〔実施例3〕図19は本発明の第3実施例
による弾性表面波フィルタ100を示す。
【0091】図中、図11及び図16に示す構成部分と
対応する部分には同一符号を付す。
【0092】直列腕61の共振器R2の対数NSは100
である。並列腕62には、共振器R1Bとインダクタンス
1とが直列に接続されて配してある。共振器R1Bは、
対数NPが150であり、上記の共振器R2の対数NS
りも多く、その1.5倍である。なお、共振器R2及び
R1Aの開口長AS,APは共に80μmであり、等しい。
【0093】このフィルタ100は、図20中、線10
1で示す通過特性を有する。この通過特性を、線65で
示す図11のフィルタ60の通過特性と比較すると、通
過帯域幅を狭めることなく、矢印102で示すように、
通過帯域外抑圧度が改善されていることが分かる。
【0094】また、図17中線91で示す図16のフィ
ルタ90の通過特性と比較すると、損失劣化が少ないこ
とが分かる。
【0095】従って、本実施例のフィルタ100は、図
11のフィルタ11に比べて、通過帯域幅を狭くせず
に、通過帯域外抑圧度が増し、且つ図16のフィルタ9
0に比べて、損失劣化が少ない通過特性を有する。
【0096】〔実施例4〕図21は本発明の第4実施例
になる弾性表面波フィルタ110を示す。本実施例は、
直列腕の共振回路の反共振周波数faと共振周波数fr
の差を拡大することによって通過特性を改善したもので
ある。
【0097】図中、図11に示す構成部分と対応する部
分には同一符号を付す。直列腕61のうち、並列腕6
2,63の間の部分に同じ共振器R2が二つ直列に接続
され、更にこれに直列に3nHのインダクタンスLS
付加してある。同じく、直列腕61のうち、並列腕6
3,64の間の部分に、同じ共振器R4が二つ直列に接
続され、更に、これに直列に3nHのインダクタンスL
Sが付加してある。並列腕62には、一つの共振器R位
置だけが配してある。同じく、並列腕63には、一の共
振器R3だけが配してある。同様に、並列腕64には、
一の共振器R4だけが配してある。
【0098】このフィルタ110は、図22中、線11
1で示す通過特性を有する。
【0099】ここで、インダクタンスLS及び一の共振
器R2,R4の付加の効果について説明する。
【0100】図21のフィルタ110より、インダクタ
ンスLSと一の共振器R2,R4とを削除した場合の通過
特性は、線68(図12参照)で示す如くである。上記
インダクタンスLSを追加すると、矢印112で示すよ
うに通過帯域幅が拡大すると共に、矢印113で示すよ
うに帯域外抑圧度が増えた。特に通過帯域幅についてみ
ると、特に高周波数側への拡大が大きく、高周波数側に
約15MHz帯域幅が拡大した。通過特性は、線114
で示すごとくになった。この状態では、帯域外抑圧度は
十分でない。そこで一の共振器R2,R4を追加した。
【0101】この一の共振器R2,R4を追加すると、通
過帯域幅を狭めることなく、矢印115で示すように、
帯域外抑圧度が約5dB改善され、線111で示す通過
特性となった。線111を線68と比較するに、矢印1
16で示すように損失も線68に比べて改善されてい
る。
【0102】なお、直列腕61の共振器R2,R4は夫々
三個以上でもよい。
【0103】また、図21中二点鎖線で示すように、並
列腕62〜64に、インダクタンスを挿入してもよい。
【0104】〔実施例5〕図21は本発明の第5実施例
になる弾性表面波フィルタ120を示す。
【0105】図中、図11に示す構成部分と同一部分に
は同一符号を付し、その説明は省略する。
【0106】並列腕62のインダクタンスL1のインダ
クタンス値は4nHである。別の並列腕63のインダク
タンスL2のインダクタンス値は5.5nHである。更
に別の並列腕64のインダクタンスL3のインダクタン
ス値は7nHである。
【0107】このように、各並列腕62〜64のインダ
クタンスL1〜L3のインダクタンス値を異ならしめるこ
とによって、フィルタ120は、図24中、線121で
示す通過特性となる。
【0108】ここで、インダンタクスL1〜L3のインダ
クタンス値が全て4nHと等しい図11のフィルタ60
の通過特性と比較してみる。
【0109】このフィルタ60は、図24中、線65で
示す通過特性(図12参照)を有する。
【0110】本実施例のフィルタ120の通過特性は、
上記フィルタ60の通過特性に比べて、通過帯域幅を何
ら狭めることなく、矢印122で示すように通過帯域外
抑圧度が高められる。通過帯域より低周波数側について
みると、フィルタ60にあっては902MHz付近に一
の減衰極123しかなかったものに対して、875MH
zと892MHzの二個所に減衰極124,125が発
生している。これにより、二つの減衰極124,125
との間の周波数帯域126が阻止域127となる。
【0111】〔実施例6〕図25は本発明の第6実施例
になる弾性表面波フィルタ130を示す。本実施例は、
損失の低下を図ったものである。
【0112】図中、図11に示す構成部分と対応する部
分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0113】並列腕62の第1の弾性表面波共振器R1
Bは、図26に示すように励振電極131と、この両側
に反射器132,133を配した構成である。反射器1
32,133は励振電極131と反射器132,133
との中心間距離dを次式 d=(n+β)・λ … (ここで、nは適当な整数、βは1以下の実数、λは共
振周波数に対応した櫛形電極の周期である)で表わすと
き、β=0.4としたときの位置に配してある。
【0114】上記反射器132,133の対数は、50
である。反射器を備えた共振器R1Bは、図25に示すよ
うに「*」を追加した記号で表わす。他の並列腕63,
64の共振器R3B,R5Bも、上記の共振器R1Bと同様
に、反射器を備えた構成である。
【0115】上記構成のフィルタ130は、図27中線
134で示す通過特性を有する。この通過特性は、図1
1のフィルタ60の通過特性(線65で示す)に比べ
て、矢印135で示すように、通常帯域の挿入損失が低
減されている。
【0116】ここで、リップルrPは、図26に示すよ
うに並列腕の励振電極131の両側に反射器132,1
33を配置したことによって発生したものである。
【0117】ここで、反射器132,133の配設位置
を上記のように定めた理由について説明する。
【0118】上記式において、βを0から0.5まで
変化させてリップルrPの幅への影響は、図28中線1
40で示す如くになる。同図中、点141がリップル幅
が最小の点であり、このときのβが0.4である。この
ことから、βを0.4に定めてある。
【0119】図29は、図25のフィルタ130を実現
した弾性表面波フィルタ装置150を示す。図中、図1
4に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付し、
その説明は省略する。132,133,151,15
2,153,154は夫々反射器である。
【0120】次に、第1の一端子対弾性表面波共振器の
変形例について説明する。
【0121】図30は一の変形例を示す。この共振器R
1Baは、励振電極131の両側に、反射器として、電
気的負荷が短絡型の櫛形電極160,161を配した構
成である。
【0122】図31は、別の変形例を示す。この共振器
1bは、励振電極131の両側に反射器として、スト
リップアレイ型電極165,166を配した構成であ
る。
【0123】〔実施例7〕図32は本発明の第7実施例
になる弾性表面波フィルタ170を示す。本実施例は、
実施例6と同様に損失の低下を図ったもので、図中、図
21に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付
し、その説明は省略する。
【0124】フィルタ170は、図21のフィタル11
0のうち、各並列腕62,63,64の第1の弾性表面
波共振器R1B,R3B,R5Bを夫々図26に示すように励
振電極131の両側のβが0.4で定まる位置に反射器
132,133を配した構成である。このフィルタ17
0によれば、図22中線111で示す特性よりも、通過
帯域の損失が少なく、且つリップルも抑えられた通過特
性が得られる。
【0125】〔実施例8〕本実施例は、図27中のリッ
プルrPを取り除くことを目的としたものである。
【0126】まず、前記反射器付加時に現れるリップル
を効果的に取り除く手段について述べる。
【0127】発明者等は、リップルの現れ周波数位置と
電極膜厚との関係をシミュレーションにより調べた。シ
ミュレーションでは膜厚増加の効果を電極下の音響イン
ピーダンス(Zm)と自由表面の音響インピーダンス
(Zo)との比を大きくしていくことで置き換えた。そ
れは文献(1)でも述べているように、電極膜厚の増加
は質量が増加することであり、これはそのまま音響イン
ピーダンスの不連続量の増加に比例すると考えられるた
めである従って、 Q=Zo/Zm=Vo/Vm=1+k2 /2+α(t)…(9) (Vo,Vm:自由表面及び電極下での音速、k2 :電
気機械結合係数)とし、α(t)を膜厚tに比例するパ
ラメータとしてこれを変化させた。
【0128】こう置くとフィルタの中心周波数foは、 fo=2fo’/(1+Q) …(10) となり、膜厚を増加するにつれ、音響インピーダンスの
不連続がない時の中心周波数fo’から低周波数側へ移
動していくという良く知られた実験事実とも一致する。
シミュレーションの結果、α(t)を大きくすると、即
ち電極膜厚を厚くしていくと、リップルrPの現れる周
波数位置が図33中、矢印180で示すように、通過帯
域の高周波側へ移動してゆき、ついには高周波側の減衰
極の中に落ちてしまうことが分かった。これを模式的に
図33に示す。
【0129】なお、図33中、別のリップルrSは、直
列腕共振器の反射器が原因で発生するものである。
【0130】図34はα(t)=0.08の時で、並列
腕の共振器の反射器から生じるリップルが、丁度高周波
側の減衰極の中に落ちている場合の通過特性を示す。従
って、同図では通過帯域からリップルが消え、しかも挿
入損失がかなり低減している。なお、この図では、通過
帯域の中心が(10)式に従って低周波側へ移動したた
め、これを補正すべく、中心周波数を932MHzにな
るように、直列腕及び並列腕の共振器の共振周波数を1
5MHzだけ高周波側へシフトしている。
【0131】これを実際の膜厚との対応でみるため、チ
ップを試作し、その通過特性を調べた。
【0132】図35(A),(B),(C)の線18
5,186,187は、夫々膜厚が2000Å,300
0Å,4000Åの時の通過特性を対応させて示す。
【0133】尚、膜厚を変えることにより中心周波数が
変わるが、同図のデータはこれを補正するべく、櫛形電
極の周期を変え、中心周波数があまり変動しないように
調整している。
【0134】図35から明らかなように、2000Åの
時に帯域内に現れていた並列腕の共振器のリップル
P、及び帯域外の直列腕のリップルrSが、3000Å
の時には高周波側へ移動してrP’,rS’となり、
P’は高周波側の減衰極に埋もれてしまった結果、帯
域内にリップルのない良好な特性となった。この結果は
シミュレーションの結果と定性的に良く一致している。
【0135】しかし、膜厚を増加させた時にはシミュレ
ーションでは計算できないバルク波による損失劣化(江
畑他:「LiTaO3基板上の弾性表面波共振子とその
VTR用発振器への応用」,電子通信学会論文誌,vol.
J66-C,No.1, pp23-30,1988)と抵抗損による損失改善が
あり、その兼ね合いも重要な因子となる。
【0136】そこで図36(A)に膜厚を変えた時の最
小挿入損の変化をプロットした。
【0137】同図中、線190はバルク波による損失、
線191は抵抗損による損失を示す。線192が実験値
である。同図より分かるように、挿入損は2500Å位
で両者の効果が均衡し、約3500Åくらいからバルク
波による損失増加が支配的になり劣化し始める。
【0138】図36(B)の線193は、図26中の励
振電極131と反射器132,133の膜厚を変えた場
合の、リップルrPの周波数位置の、通過帯域中心周波
数f0に対する変化を示す。
【0139】図36(A),(B)を総合的に判断する
と、膜厚としては、2600Å〜4000Åが帯域内に
もリップルを作らず、かつ損失劣化も少ないことから適
当である。これを、フィルタの中心周波数からほぼ決ま
る並列腕共振器の電極周期λ P(932MHzで4.4
μmであり、図26参照)で規格化すると、0.06〜
0.09となる。
【0140】本実施例は、上記の検討結果に基づくもの
である。
【0141】図37は本発明の弾性表面波フィルタの第
1の一端子対弾性表面波共振器200を示す。
【0142】同図中、201励振電極202,203は
反射器であり、夫々Al製又は重量比で数%異種金属を
混ぜたAl混合製であり、膜厚t1は、電極周期λpの
0.06〜0.09倍の厚さである。
【0143】この共振器200を図25及び図32中の
共振器R1B,R3B,R5Bに適用した弾性表面波フィルタ
の通過特性は、図38中、線205で示す如くになり、
通過帯域内にリップルは現われていない。
【0144】なお、上記のAl合金製とした場合には、
Al製とした場合に比べて耐電力特性が向上する。混合
させる異種金属はCu,Tiなどである。
【0145】図39は、上記共振器の変形例である共振
器210を示す。211は励振電極、212,213は
反射器である。これらは、Au製である。
【0146】質量付加効果の影響でこの現象が生じてい
ることから、最適な膜厚値の範囲Alの密度との比だけ
上記値より小さくなる。Alの密度/Auの密度=2.
7/18.9=0.143であるため、最適膜厚t
2は、0.143倍して、電極周期λPの0.0086〜
0.013倍の厚さとしてある。
【0147】この共振器210を図25及び図32中の
共振器R1B,R3B,R5Bに適用した弾性表面波フィルタ
の通過特性も、図38に示す如くになり、通過帯域にリ
ップルは現われない。
【0148】〔実施例9〕本実施例は、図11中のイン
ダクタンスL1,L2,L3を実現する別の例である。
【0149】図40中、図14に示す構成部分と対応す
る部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0150】220,221はジグザグ状のマイクロス
トリップラインであり、夫々端子84-3及び84-5より
延出してセラミックパッケージ81上に形成してある。
各マイクロストリップライン220,221の先端がア
ースと接続してある。各マイクロストリップライン22
0,221のパターン幅は100μm、マイクロストリ
ップラインとアース間の長さは0.5mmである。セラ
ミックパッケージ81の比誘電率を9とすると、リボン
インダクタの理論式から、上記のマイクロストリップラ
イン220,221のインダクタンス値は2nHとな
る。
【0151】〔実施例10〕本実施例は、図11中のイ
ンダクタンスL1,L2,L3を実現する更に別の例であ
る。
【0152】図41中、図14に示す構成部分と対応す
る部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0153】230,231はジグザグ状のマイクロス
トリップラインであり、夫々共振器R1,R2より延出し
て、フィルタチップ82上に形成してある。各マイクロ
ストリップライン230,231の先端に、端子8
-3,85-5が形成してある。各マイクロストリップラ
イン230,231は、厚さが3000Å、幅が60μ
m、全長が約2mmである。フィルタチップ(LiTa
3)82の比誘電率を44とすると、マイクロストリ
ップライン230,231のインダクタンス値は、理論
式より、2.2nHとなる。
【0154】なお、インダクタンスを、ボンディングワ
イヤ86-3、セラミックパッケージ81上のマイクロス
トリップライン220,フィルタチップ82上のマイク
ロストリップライン230を適宜組合わせることによっ
て形成することもできる。
【0155】〔実施例11〕図42は本発明の第11実
施例による弾性表面波フィルタ240を示す。図43は
これを具体化した構成を示す。
【0156】説明の便宜上、まず本実施例の概要及び本
実施例の基本構成についての説明する。
【0157】本実施例の概要 本実施例は、直列腕の共振器の共振周波数frsを並列
腕の共振器の反共振周波数fapより適宜高く定めて、
通過帯域幅を拡大するものであり、また、Δf≡frs
−fapを、通過帯域内の損失を著しく劣化させない範
囲に定めた構成である。
【0158】本実施例の基本構成 前記各実施例においては、fap=frsはフィルタの
通過帯域を形成するためには必須な条件とされている。
しかし、この条件を守る限り、通過帯域には上限が生じ
てしまう。そこで通過帯域幅を拡大するために、図44
に示すようにfap<frsとすることを考えた。
【0159】こうすると、同図から明らかなように、f
ap<f<frsの範囲ではbx<0となり、前述の理
論から減衰域となる恐れがある。しかし、現実には以下
に述べるようにΔf(=frs−fap)の大きさを制
限してやれば、bx積の値は非常に小さい値に留まるた
め、減衰は起こらず、実質上通過帯域として何ら問題が
ないことがわかった。
【0160】図45は、Δf=frs−fapを零から
増加していった時の梯子型フィルタの通過特性を示す。
【0161】実験条件としては、圧電基板は電気機械結
合係数が0.05のLiTaO3を、櫛形電極用のAl
電極は膜厚3000Åの条件を用いた。
【0162】電極構成は、図42に示すような並列共振
器と直列共振器を梯子型に接続したものを基本構成とし
てこれを2段に縦続接続し、それに入力側及び出力側を
対称とするための並列共振器を最後段に接続したもので
ある。梯子型回路を多段化するのは、帯域外抑圧度を実
用的な値にまで高めるためである。
【0163】しかし、多段化により通過帯域内の損失も
増加するため、多段化の段数は具体的なフィルタの仕様
により調整する。本例は損失2dB以下、帯域外抑圧度
20dB以上を実現する1つの構成例として挙げたもの
である。櫛形電極の設計条件としては、直並列腕の共振
器共に開口長が180μmで対数が50対である。直並
列共振器の対数、開口長条件が等しいのでそれぞれの静
電容量の比P=Cp/Csは1である。
【0164】図45において、(A)はΔf=0の場
合、即ち前記の実施例の場合である。
【0165】同図(B)はΔf=10MHzの場合であ
る。同図(A)と比べると、通過帯域の最小挿入損はほ
とんど劣化せずに、通過帯域幅(損失2.5dB以下を
保証する帯域幅とする)が22MHzから40MHzへ
改善されている。Δfの増加以上に帯域幅が改善されて
いるのは、通過帯域の低周波側の損失回復が見られるた
めである。
【0166】また、帯域外抑圧度も改善される。図45
(A),(B)において高周波側の帯域外抑圧度(図中
に示した)が19dBから20dBに改善されている。
このように、Δfの拡大は、単に帯域幅拡大に効果があ
るのみでなく、同時に帯域外抑圧の改善も図れる技術で
ある。
【0167】このようにΔfを増加させると特性の改善
がみられるがその増加量には制限がある。
【0168】図45(C)はΔf=19MHzとした時
の通過特性図である。通過帯域内のやや高周波側に損失
劣化が見られ始める。この場合で約2.5dBである。
これは帯域内リップルを増加させる原因ともなり、この
例ではリップル仕様限度の約1.0dBとなった。これ
以上のΔfの増加は損失劣化と帯域内リップルの増加と
なった。従って、Δf=19MHzが、Δfを増加させ
る場合の限度となる。また、この時の帯域外抑圧度は図
45(C)で示すように約21dBとなり、前述の図4
5(A)に比べ2dBの改善が得られる。
【0169】この時に前述のbx積はどのような値にな
っているのかを図45(C)のΔf=19MHzの場合
を例に調べた。
【0170】まず、図42の並列腕を構成する弾性表面
波共振器と直列腕を構成する弾性表面波共振器を個別に
作製し、図46(A),(B)で示すような回路構成
で、並列腕の共振器はアドミタンスを、直列腕の共振器
はインピーダンスをそれぞれ測定した。測定はネットワ
ークアナライザを使用して行ない、各々のS21を測定し
た。そして、その値を図46(A),(B)に示す式に
代入し、インピーダンスZp及びアドミタンスYpを求め
た。
【0171】その結果、図47に示すような周波数特性
を得た。この特性はアドミタンス、インピーダンスの虚
数部のみの値、即ちbまたはxの値である。
【0172】これらよりbx積の値を計算するとその周
波数特性は図48のようになる。
【0173】同図からfap<f<frsの範囲ではb
x積が負で小さな値をとっていることがわかる。
【0174】bx積の絶対値の最大値|bxmax|は後
述するように
【0175】
【数5】 の時に与えられ、本実施例では0.06であった。即ち
|bxmax|値がこの値以下であれば、前述した挿入損
の劣化及び帯域内リップルが共に1dB以下と小さく抑
ええられることがわかる。
【0176】Δf>19MHzとすると、|bxmax
値も増加し、損失劣化、帯域内リップルが共に1dB以
上となり実用的ではない。
【0177】従って、|bxmax|値が特性劣化の上限
の指標となり、Δfの許容値を定める。
【0178】以下に更に一般化して詳述する。
【0179】図49に図3と同じように弾性表面波共振
器をLCの2重共振回路で近似して図2のように梯子型
フィルタに組んだ時の等価回路図を示す。
【0180】直列腕の弾性表面波共振器のインピーダン
スをZs、並列腕の弾性表面波共振器のアドミタンスを
Ypとすると、
【0181】
【数6】 となる。ここで、
【0182】
【数7】 である。
【0183】(11),(12)式よりbx積を求める
【0184】
【数8】 となる。
【0185】(13)式のbxに極値を与える角周波数
ωは∂(bx)/∂ω=0から求まり、それは、
【0186】
【数9】 となる。
【0187】これを(13)式に代入した値が通過帯域
内のbx積の絶対値の最大値となる。これを求めると
【0188】
【数10】 となる。
【0189】ここで、 Δω=ωrs−ωap=2π・Δf …(16) である。
【0190】(15)式をbxmaxとΔf/frsの
関係としてP=Cop/Cosをパラメータとしてプロット
すると図50のようになる。
【0191】同図において、先に実験的に求めたbxの
積の許容値0.06以下という条件を図示すると斜線の
ような領域になる。
【0192】従って、P=Cop/Cosによって異なるΔ
f/frsの許容値αが決定でき、それは(15)式の
|bxmax|=0.06として、次式となる。
【0193】
【数11】 容量比γは基板材料できまり、実験によれば、36°Y
カット伝搬LiTaO 3で約15であった。
【0194】このため、(17)式は、
【0195】
【数12】 となる。
【0196】P=1の時、α=0.02となり、frs
=948MHzの図45の実施例の場合でΔf=19M
Hzとなり、(18)式が成り立っていることが確認で
きる。
【0197】Δfを増大させる効果は、容量比γが小さ
い圧電基板材料、即ち電気機械結合係数の大きな基板材
料に有効であり、そのような圧電基板材料に対して(1
7)式を求めた。
【0198】γ値は電気機械結合係数k2 の逆数に比例
するため、36°YカットX伝搬のLiTaO3のγ値
と、k2 =0.05の値とを用いて、他の高い電気機械
結合係数をもつ材料64°YカットX伝搬LiNbO3
(k2 =0.11)と、41°YカットX伝搬LiNb
3(k2 =0.17)のγ値を求めると、前者が6.
8、後者が4.4である。尚これらのk2 の値は文献
(“Applications for Piezoelectric Leaky Surface W
ave":K.Yamanouchi and M.Takeuchi,1990 ULTRASONICS
SYMPOSIUM Proceedings, pp11-18, 1990) を参照した。
【0199】なお、図51は容量比γと電気機械結合係
数k2 との関係を示す。
【0200】同図の関係は36°Yカット伝搬LiTa
3のk2 とγ値との値を使い、
【0201】
【数13】 として求めたものである。
【0202】図51の関係から、64Y°カットと41
°YカットのX伝搬LiTaO3のγ値を求めることが
でき、前記と同じくそれぞれγ=6.8、と4.4とな
る。
【0203】実施例11の構成 こゝで、図42及び図43に示す実施例の構成について
説明する。
【0204】241は36°Y−LiTaO3の圧電基
板であり、1.5×2×0.5mmの大きさである。
【0205】入力側から順番に並列腕共振器(R
1)、直列腕共振器(Rs1)、並列腕共振器(R
2)、直列腕共振器(Rs2)、並列腕共振器(R
3)の順で並んでいる。個々の共振器は両サイドに反
射器242(短絡型)をもった構造である。個々の共振
器はいづれも開口長が180μm、電極指の対数が50
対、反射器も50対である。
【0206】櫛形電極指の周期のみ並列腕共振器と直列
腕共振器とで変えてある。並列腕共振器の周期はλp=
4.39μm(パターン幅とギャップは1:1であるた
め、パターン幅はλp/4≒1.1μm)、直列共振器
の周期はλs=4.16μm(同様にパターン幅はλs
/4=1.04μm)である。
【0207】それぞれの周期はそれぞれの共振器の共振
周波数(frp,frs)が所定の値(frp=893
MHz、frs=942MHz)となるように λs=Vm/frs、及び λp=Vm/frp より決定したものである。ここで、Vmは電極膜厚30
00Åの時の36°YカットX伝搬LiTaO3結晶の
表面波の音速であり、実験的にVm=3920m/sと
求められた。
【0208】上記構成の弾性表面波フィルタ240は、
図45(C)に示す広帯域で且つ低損失の通過特性を有
する。なお、Δf=19MHzである。
【0209】図43中、λpだけを変えて4.35μm
とすると、Δfが10MHzとなり、図45(B)の特
性が得られる。尚、電極材料はAl−Cu合金であり、
膜厚は3000Åで、表面波が圧電基板241のX軸方
向に伝搬するように配置してある。
【0210】次に、他の圧電基板を用いた場合の例につ
いて説明する。
【0211】64°YカットX伝搬LiNbO3の場合
には、γ=6.8であり(17)式は、
【0212】
【数14】 となる。
【0213】41°YカットX伝搬LiNbO3の場合
には、γ=4.4であり、
【0214】
【数15】 となる。
【0215】γ値が小さくなる程、即ち電気機械結合係
数が大きな基板になる程、αは大きくなり、Δfを大き
く広げても特性劣化は起りにくい。
【0216】〔実施例12〕図52は本発明の第12実
施例になる表面波フィルタ250の回路構成図を示す。
【0217】図53は、図52の回路構成の弾性表面波
フィルタを具体化した構造を示す。
【0218】図54及び図55は、図52,53の弾性
表面波フィルタの特性を示す。
【0219】実施例の概要 説明の便宜上、まず本実施例の概要について説明する。
【0220】本実施例の弾性表面波フィルタは、直並列
に弾性表面波共振器を接続し、これを複数個多段化した
梯子型の弾性表面波フィルタにおいて、直並列共振器1
つずつからなる単位区間の間のイメージインピーダンス
の整合を図り、各接続点での損失を減らす構成としたも
のである。
【0221】これにより、通過帯域における挿入損失を
低減することが可能となる。
【0222】発明の完成までの思考過程 次に、本発明の完成までの思考過程について説明する。
【0223】図56(A),(B)に示すように少なく
とも1個づつの直列腕共振器と並列腕共振器の梯子型接
続により、バンドパス特性を得ることができる。なお、
この一個づつの直列腕共振器と並列腕共振器の梯子型接
続が、フィルタの単位区間となる。
【0224】この際、直列腕共振器の共振周波数と並列
共振器の反共振周波数は一致若しくは、通過帯域幅拡大
の上から前者が後者より高い周波数を持つことが望まし
い。図56(A),(B)の単位区間は互いに入出力端
が直列腕であるかで、二つのタイプがあり、これらを多
段に接続したものは、図57(A),(B),(C)に
示すように3つのタイプに分類される。
【0225】図57(A)は入出力側の一方が直列腕で
他方が並列腕である場合、(非対称型)、(B)は入出
力端共に並列腕である場合(対称型)、同図(C)は入
出力端共に直列腕である場合(対称型)である。
【0226】このように多段化した場合、挿入損失、帯
域外抑圧度ともに単位区間のn倍となり、一般に挿入損
失は悪くなるものの、帯域外抑圧度は改善する。とくに
単位区間の損失が0に近い場合はこの多段化は有効であ
る。
【0227】しかしながら、単位区間同士の通過帯域に
おけるインピーダンス整合が適切でないと、挿入損失が
理論的なn倍よりもさらに悪化する。
【0228】インピーダンス整合が適切でないと、単位
区間の境界(図57中の線1−1’からn−n’までの
各境界)で電力の反射が起こり、損失増加となるからで
ある。
【0229】単位区間同士の電力反射をГとすると損失
もn10log(Г)となる。従って単位区間同士のイ
ンピーダンス整合をはかり、境界での電力反射を押さえ
ることにより、挿入損失の増加を極力押さえることが重
要である。
【0230】次に、単位区間同士のインピーダンス整合
を図る方法について説明する。
【0231】図58に示すように、一般に2つの異なる
4端子定数(F行列の4つの定数A,B,C,D)をも
つ回路同士を、インピーダンス整合を図って接続する場
合、境界b−b’からそれぞれの回路側を見たイメージ
インピーダンスが互いに等しいと置けば良い。
【0232】図58に示すように回路1側をみたイメー
ジインピーダンスZi1は、回路1の4端子定数A1
1,C1,D1を使って次式のように表される。
【0233】
【数16】 同様に回路2側をみたイメージインピーダンスZi2は、
次式のように表される。
【0234】
【数17】 これらのイメージインピーダンスは負荷抵抗(純抵抗)
0とは無関係に決まる。
【0235】(21)式と(22)式を等しいと置く
と、次式のようなインピーダンス整合条件が求まる。
【0236】 D11/C11=A22/C22 …(23) 図59は、前述のインピーダンス整合条件を梯子型回路
の単位区間に適用した場合を示す。
【0237】図59(A)は、インピーダンス整合が悪
い接続方法で、(23)式の条件を満たさない。
【0238】境界b−b’から右側をみた反射係数Г
は、
【0239】
【数18】 となる。Zspは実際の素子では通過帯域でも完全に0
とはならないためГも0にはならない。
【0240】これに比べ、図59(B)、または図59
(C)は境界b−b’で(23)式の条件を満たすため
反射は0となり、損失は生じない。
【0241】例えば、図59(B)の場合、境界b−
b’から左側みたイメージインピーダンスは、(21)
式から、
【0242】
【数19】 となる。境界b−b’から右側をみたイメージインピー
ダンスZi2も(22)式から求めると、Zi1と等しくな
ることが分かる。
【0243】従ってインピーダンス整合がとれ、境界で
の反射係数は0となる。
【0244】図ぶ59(C)も同様にインピーダンス整
合がとれていることが証明される。
【0245】次に図59(B),(C)のような接続法
を利用して単位区間を多段接続する方法を考察する。
【0246】図60(A)は、図59(B),(C)の
接続法を交互に繰り返して単位区間をn(>2)段接続
した回路を示す。このような接続方法をつかえば、前述
の理由から何段接続しても各単位区間の電力反射は起こ
らない。
【0247】図60(A)の構成で、互いに隣接しあう
並列腕の共振器同士、または直列腕の共振器同士を加え
てひとまとめにすると図60(B)と等価になる。
【0248】この結果、最も入出力端に近い腕のみがそ
れより内側の腕に対して半分の大きさのインピーダンス
あるいはアドミタンス値をもつようになることがわか
る。
【0249】図57で示した3種類の多段化の仕方に対
してこの原理を適用すると、インピーダンス整合を図っ
た接続法として、それぞれ図61(A),(B),
(C)の方法が得られる。
【0250】図61(A)は図57(A)に対応する整
合化接続法で、入出力端のどちらか一方が直列腕で、他
方が並列腕の場合である。この場合は、端部の直列腕共
振器のインピーダンス値は、内側直列腕共振器のインピ
ーダンス値の半分であり、また、他方の端部の並列腕共
振器のアドミタンス値も、内側の並列腕共振器のアドミ
タンス値の半分である。
【0251】同様に図61(B)は図57(B)の、ま
た図61(C)は図57(C)の整合化接続法である。
【0252】図61(B)の場合は両端部が並列腕の場
合で、両端部の並列腕共振器のアドミタンス値は、それ
より内側の並列腕共振器のアドミタンス値の半分となっ
ている。
【0253】図61(C)の場合は両端部が直列腕の場
合で、両端部の直列腕共振器のインピーダンス値は、そ
れより内側の直列腕共振器のインピーダンス値の半分と
なっている。
【0254】実施例12の構成 次に、上記の考え方に基づく、本発明の第12実施例に
ついて説明する。
【0255】図52は本発明の第12実施例になる弾性
表面波フィルタ250の基本的構成を示す。
【0256】この弾性表面波フィルタを具体化すると、
図53に示す如くになる。
【0257】3つの直列腕共振器(Rs1,Rs2,Rs
3)と3つの並列腕共振器(Rp1,Rp2,Rp3)とか
ら成り、それぞれ図52に示す等価回路のように接続さ
れている。これらの6つの共振器は共に開口長(90μ
m)が同じであり、且つ電極指対数(100対)も同じ
である。また、各共振器は同図に示すような短絡型の反
射器を両側に有し、Qを高めている。反射器の対数は1
00対程度である。
【0258】直列腕共振器(Rs1〜Rs3)はすべて同
じ長さの電極指周期(λs)であり、λs=4.19μ
mである。又、並列腕共振器(Rp1〜Rp3)の周期
は、これと異なる周期λp=4.38μmとしてある。
【0259】比較の対象として、この構成に対する比較
例を図62に示す。
【0260】図52及び図62の両方について、インピ
ーダンスZsで示される直列腕の一端子弾性表面波共振
器の設計条件は、開口長90μm、対数100対であ
る。アドミタンスYpで示される並列腕の一端子対弾性
表面波共振器も同じ条件である。
【0261】圧電基板結晶は、36°YカットX伝搬L
iTaO3を用い、その上に弾性表面波共振器として3
000ÅのAl合金膜の櫛形パターンが形成してある。
【0262】図54中、実線251は図53のフィルタ
250の特性を示す。破線252は図62の比較例のフ
ィルタの特性を示す。両者より本実施例のフィルタ25
0の方が、低損失化されていることがわかる。特に通過
帯域の両端での改善が大きい。
【0263】次に図62の比較例のフィルタにおいて、
単位区間(3)のアドミタンスYpで表される並列共振
器のみ、対数を100対から80対に減らしてアドミタ
ンスYpの値を小さくした時の通過特性を図55中、線
253で示す。同様に挿入損失が改善されていることが
分かる。従って、端部のアドミタンス値は1/2としな
くとも、内側のアドミタンス値より減らすだけでも、十
分ではないが効果があると言える。インピーダンス値に
対しても同様である。
【0264】以上、図61(A)の基本形に対する実施
例を示したが、これは中央部に多数の単位区間が増えて
も同様な効果を有する。
【0265】〔実施例13〕図63は、本発明の第13
実施例になる弾性表面波フィルタ260である。
【0266】この弾性表面波フィルタは、図61(B)
に示す構成方法に基づいたものである。この弾性表面波
フィルタ260は、図54の線251で示したものと同
様な損失低減効果をもたらす。
【0267】〔実施例14〕図64は、本発明の第14
実施例になる弾性表面波フィルタ270である。
【0268】この弾性表面波フィルタは、図61(C)
に示す構成方法に基づいたものである。 この弾性表面
波フィルタ270も、図54の線251で示したものと
同様な損失低減効果をもたらす。
【0269】〔実施例15〕次に本発明の第15実施例
になる弾性表面波フィルタについて図65及び図66等
を参照して説明する。
【0270】実施例の概要 説明の便宜上、まず本実施例の概要について説明する。
【0271】本実施例は、通過帯域における挿入損失を
決定している原因として、櫛形電極の抵抗分とコンダク
タンス分に着目し、直列配列の共振器に対しては抵抗分
を減少させ、並列腕の共振器に対しては、コンダクタン
ス分を減少させることによりこれらを梯子型に組んだ時
のフィルタ特性の挿入損失を低減させるものである。
【0272】次に、本発明の背景等について説明する。
【0273】本発明の背景 図65に直列腕と並列腕にそれぞれ共振周波数(fr
s,frp)の異なる2つの弾性表面波共振器を配置し
た梯子型フィルタ回路の基本構成を示す。
【0274】ここで、並列腕共振器のアドミタンスを、 Yp= g + j・b …(26) g:コンダクタンス分 b:サセプタンス分 とする。
【0275】また直列腕共振器のインピーダンスを、 Zs= r + j・x …(27) r:抵抗分 x:リアクタンス分 とする。
【0276】このように仮定すると、g,b,r,xの
周波数特性は図69のようになる。
【0277】並列腕共振器のアドミタンスYpのサセプ
タンス分b(図69中の点線)は、共振周波数frpで
最大値をとり、そこで符号を+から−へ変え、反共振周
波数fapで0(零)となり、fap以上で符号が再び
+になり、少しづつ増大してゆく。
【0278】一方、Ypのコンダクタンス分g(図69
中の一点鎖線)は、同様にfapで最大値をとり、fa
pを越えると急激に減少し、除々に0に近づいていく。
【0279】尚コンダクタンス分gは+の値しかとらな
い。
【0280】直列腕共振器のインピーダンス分Zsのリ
アクタンス分x(図69中の実線)は、アドミタンスと
は逆で共振周波数frsで0となり、反共振周波数fa
sで最大値をとり、さらに+から−へ符号を変え、fa
s以上では一側から0へ近づいていく。
【0281】また、抵抗分rは0から徐々に増加してゆ
き、反共振周波数fasで最大値をとり、それ以上で徐
々に減少していく。rもgと同様に+の値しかとらな
い。
【0282】ここで、フィルタ特性を作るためには、前
記並列共振器の反共振周波数fapと直列共振器の共振
周波数frsとは略一致もしくは後者がやや大きいこと
が条件である。
【0283】図69の下部に上のインピーダンス、アド
ミタンスの周波数特性に合わせて、フィルタ回路として
の通過特性を示す。fap≒frs近傍で通過帯域をと
り、それ以外では減衰領域となる。同図からも明らかな
ように、通過帯域の特に中心周波数近傍ではb及びxは
0になる。
【0284】従って、フィルタとしての通過特性はS21
は、rとgのみで決まり、
【0285】
【数20】 となる。
【0286】こゝで、r>0,g>0であるので、(2
8)式はr,g共に増加するほどS21は1より小さくな
り、20log|S21|で表される挿入損失も増大して
いく。
【0287】従って、r,gは共に0に近い程、挿入損
失は小さいことになる。
【0288】次に、r,gは弾性表面波共振器を形成す
る櫛形電極のどのような部分から生じているのかを説明
する。
【0289】こゝでは、図3(B)中、r1をも考慮に
入れて考える。
【0290】r1は櫛形電極の電気抵抗分及び櫛形電極
指の各端部から基板内部へバルク波となっと漏れていく
エネルギー損失分を音響抵抗分として表したものを合計
したものである。
【0291】今、バルク波放射による抵抗分は櫛形電極
の形状に殆ど依存しないため、櫛形電極の電気抵抗r1
に比例する。特にx=0の中心周波数近傍ではr=r1
となる。また、並列腕共振器のアドミタンスのコンダク
タンス分gは、櫛形電極の電気抵抗のコンダクタンス1
/r1に比例する。
【0292】今、櫛形電極の電極指の抵抗率をρo、電
極指の幅をW、膜厚をtとし、直列腕共振器の開口長を
s、対数をNsとすると、 r=ls・ρo/(Ns・W・t) …(29) となる。
【0293】また、並列腕共振器の開口長をlp、対数
をNpとすると、同一基板、同一金属膜を使う場合はρo
,W,tはほぼ等しいから、 g=Np・W・t/(lp・ρo) …(30) となる。
【0294】従って、(28)式における挿入損失にお
ける増加分は、 r+50r・g+2500g =ls・ρo/(Ns・W・t)+50・(ls/lp)・(Np/Ns) +2500・Np・W・t/(lp・ρo)…(31) となる。
【0295】(31)式より、直列腕共振器は開口長l
sが短く、対数Nsが多い程、また、並列共振器は開口長
pが長く、対数Npが少ない程、損失低減に効果がある
ことが分かる。特に、ls/lp<1,Np/Ns<1であ
る程、言い換えれば開口長は、直列腕共振器の方が並列
腕共振器より短い方が、対数は、直列腕共振器の方が並
列腕共振器より多い方が一層効果がある。
【0296】ここで、この理由について述べる。
【0297】上記(31)式において、r=rs(rs
直列腕共振器の電気抵抗)及びg=1/rp(rp:並列
腕の電気抵抗)であるから r+50r・g+2500g=rs+50(rs/rp
+2500(1/rp) となる。従って、(rs/rp)<1、即ちrs<rpであ
れば挿入損失の増大は抑制できる。
【0298】なお、この場合lsをあまり狭め過ぎると
表面波の回折による損失が現れ、逆にlpを長くしすぎ
ると抵抗増大による並列共振器のQ低下を招き、低周波
側の帯域外抑圧度が悪くなるため、その大きさには限度
がある。
【0299】さらに櫛形電極を形成している金属膜の膜
厚を直列腕の方をts、並列腕の方をtpとすると(3
1)式は次のようになる。
【0300】 r+50r・g+2500g =ls・ρo/(Ns・W・t)+50・(ls/lp)・(Np/Ns) ( tp/ts)+2500・Np・W・tp/(lp・ρo)…(32) 従って、tp/tsとすることで同様に損失を低減でき
る。
【0301】この他にも抵抗率の異なる(ρos,ρop)
2種類の金属膜からなる共振器を、直列腕と並列腕に配
置してフィルタを作り、ρos/ρop<1とすることも可
能であるが、実際に素子をつくる場合、量産性等を考慮
すると実際的ではない。
【0302】実施例15の構成 次に、上記考え方を採用した実施例について説明する。
【0303】図65は本発明の第15実施例の弾性表面
波フィルタ280の回路構成を示す。
【0304】図66は図65の回路構成を具体化した構
造を示す。用いた圧電基板241は36°YカットXL
iTaO3であり、電極材料は3000ÅのAl膜であ
る。
【0305】比較例は、直列腕、並列腕共に、櫛形電極
の開口長ls=lp=90μm、対数Np=Ns=100対
であるのに対し、本実施例では、直列腕を、ls=45
μm、Ns=200対、並列腕をlp=180μm、Np
=50対とした。lp>lsであり、Ns>Npである。ま
た、ls/lp=0.25及びNp/Ns=0.25であ
る。
【0306】この時、対数と開口長の積で形状的に決ま
る櫛形電極の静電容量COは変わらないようにした。
【0307】図66の実線281が本実施例の特性、破
線282が比較例の特性である。従来では損失が2.5
dBであったものが本実施例により2.0dBとなり、
本実施例により0.5dB以上改善した。即ち、フィル
タの挿入損失がdB換算で25%も改善された。
【0308】また、本実施例の場合、直列腕共振器の対
数を増加したことにより、耐電力性も向上し、印加可能
な最大電力が20%向上した。
【0309】以上の実施例の場合、ls=30μm以下
で回折損が現れ始め、lp=300μm以上で低周波側
の帯域外劣化が起こり始めたことから、これらの値が限
度であった。
【0310】以上、直列腕の電気抵抗を下げ、並列腕の
電気抵抗を上げる(コンダクトタンスを下げる)ことに
より、通過帯域の挿入損が改善されることは明らかであ
る。
【0311】また、並列腕共振器の膜厚を直列腕共振器
の膜厚より薄くした構成とすることもできる。この構成
によっても、上記実施例の場合と同様に、通過帯域の損
失を少なくできる。
【0312】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
一つの圧電基板上に複数の並列腕と直列腕を形成するの
で、弾性表面波共振器の共振周波数を正確に制御でき、
広帯域化のためのフィルタの周波数制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弾性表面波フィルタの原理図である。
【図2】共振器を用いたフィルタ回路の基本構成を示す
図である。
【図3】一端子対弾性表面波共振器の構造とその等価回
路及びその記号を示す図である。
【図4】一端子対弾性表面波共振器のインピーダンス及
びアドミタンスの周波数特性を示す図である。
【図5】共振周波数近傍における弾性表面波共振器のイ
ンミタンス特性及びそれらを接続してなる図1のフィル
タのフィルタ特性を示す図である。
【図6】従来の弾性表面波フィルタを説明する図であ
る。
【図7】共振器にインダクタンスを直列に付加した場合
の効果を示す図である。
【図8】一端子対弾性表面波共振器を直列にn個接続し
た場合の効果を示す図である。
【図9】並列腕共振器の通過特性の開口長依存性を示す
図である。
【図10】直列腕共振器の通過特性の開口長依存性を示
す図である。
【図11】本発明の弾性表面波フィルタの第1実施例の
回路図である。
【図12】図11のフィルタの通過特性を示す図であ
る。
【図13】並列腕共振器へのインダクタンス付加の効果
を示す図である。
【図14】図11の弾性表面波フィルタの構造をその蓋
を取り外した状態で示す平面図である。
【図15】図41中、XV−XV線に沿う断面図である。
【図16】本発明の弾性表面波フィルタの第2実施例を
示す図である。
【図17】図16のフィルタの通過特性を示す図であ
る。
【図18】並列腕共振器の開口長(AP)と直列腕共振
器の開口長(AS)の比(AP/AS)の増大効果を示す
図である。
【図19】本発明の弾性表面波フィルタの第3実施例を
示す図である。
【図20】図19のフィルタの通過特性を示す図であ
る。
【図21】本発明の弾性表面波フィルタの第4実施例を
示す図である。
【図22】図21のフィルタの通過特性を示す図であ
る。
【図23】本発明の弾性表面波フィルタの第5実施例を
示す図である。
【図24】図23のフィルタの通過特性を示す図であ
る。
【図25】本発明の弾性表面波フィルタの第6実施例の
回路図である。
【図26】図25中、第1の一端子対弾性表面共振器を
示す図である。
【図27】図25のフィルタの通過特性を示す図であ
る。
【図28】反射器設置位置d=(n+β)・λのβによ
るリップル幅への影響を示す図である。
【図29】図25の弾性表面波フィルタの構造をその蓋
を取り外した状態で示す平面図である。
【図30】図25中の第1の一端子対弾性表面波共振器
の一の変形例を示す図である。
【図31】図25中の第1の一端子対弾性表面波共振器
の別の変形例を示す図である。
【図32】本発明の弾性表面波フィルタの第7実施例を
示す図である。
【図33】電極膜厚(t)のリップル発生位置への効果
を示す図である。
【図34】並列腕共振器の反射器によるリップル
(rP)が高周波減衰極へ落ちたときの状態を示す図で
ある。
【図35】共振器型フィルタの通過特性の膜厚依存性を
示す図である。
【図36】挿入損失及びリップル発生位置の膜厚依存性
の実験の結果を示す図である。
【図37】本発明の弾性表面波フィルタの第8実施例の
第1の一端子対弾性表面波共振器を示す図である。
【図38】図37の共振器を適用した弾性表面波フィル
タの通過特性を示す図である。
【図39】本発明の弾性表面波フィルタの第8実施例の
第1の一端子対弾性表面波共振器の変形例を示す図であ
る。
【図40】図11の弾性表面波フィルタのインダクタン
スを実現する別の例を示す図である。
【図41】図11の弾性表面波フィルタのインダクタン
スを実現する更に別の例を示す図である。
【図42】本発明の弾性表面波フィルタの第11実施例
の回路図である。
【図43】図42の回路を具体化した構成を示す図であ
る。
【図44】fap<frpとしたときの弾性表面波共振
器のインミタンス特性を示す図である。
【図45】Δf≡frs−fapを零から増加させたと
きの梯子型フィルタの通過特性の変化を説明する図であ
る。
【図46】弾性表面波共振器の特性測定法を説明する図
である。
【図47】並列腕及び直列腕の各弾性表面波共振器のア
ドミタンス及びインピーダンスの特性を示す図である。
【図48】bx積の周波数依存性を示す図である。
【図49】図42の回路の一部をLとCの等価回路で表
した図である。
【図50】|bxmax|とΔf/frsとの関係を示す
図である。
【図51】k2 とγとの関係を示す図である。
【図52】本発明の弾性表面波フィルタの第12実施例
の回路図である。
【図53】図52の回路を具体化した構成を示す図であ
る。
【図54】図53の弾性表面波フィルタの特性を示す図
である。
【図55】図63のフィルタ中、出力側Ypを減少させ
た場合の特性を示す図である。
【図56】1個づつの弾性表面波共振器を梯子型にした
単位区間の回路図である。
【図57】図56の単位区間を多段(n段)に接続して
なる回路の回路図である。
【図58】二つの4端子回路の接続とその境界を示す図
である。
【図59】単位区間同士の接合を示す図である。
【図60】n(>2)段に単位区間を接続する方法を説
明する図である。
【図61】本実施例の梯子型回路の構成方法を説明する
図である。
【図62】従来の弾性表面波フィルタの回路図である。
【図63】本発明の弾性表面波フィルタの第13実施例
の回路図である。
【図64】本発明の弾性表面波フィルタの第14実施例
の回路図である。
【図65】本発明の弾性表面波フィルタの第15実施例
の回路図である。
【図66】図65の回路を具体化した構成を示す図であ
る。
【図67】図66のフィルタの特性を示す図である。
【図68】並列腕と直列腕に共振周波数の異なる弾性表
面波共振器を配置した梯子型フィルタ回路を示す図であ
る。
【図69】並列腕共振器のアドミタンス(Yp)の周波
数特性及び直列腕共振器のインピーダンス(Zs)の周
波数特性を対応させて示す図である。
【図70】従来の弾性表面波フィルタの1例を示す図で
ある。
【図71】図70のフィルタの通過特性を示す図であ
る。
【符号の説明】
60,90,100,110,120,130,24
0,250,260,270,280 弾性表面波フィ
ルタ 80,150 弾性表面波フィルタ装置 81 セラミックパッケージ 82 フィルタチップ 83 蓋 84-1〜85-6 電極端子 85-1〜85-5 端子 86-1〜86-5 ボンディングワイヤ 124,125 減衰極 127 阻止域 131,201,211 励振電極 132,133,160,161,166,167,2
02,203,212,213,242 反射器 220,221,230,231 マイクロストリップ
ライン 241 36°YカットX伝搬LiTaO3基板(チッ
プ) Rs1,Rs2 直列腕共振器 Rp1〜Rp3 並列腕共振器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 隆志 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 高松 光夫 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−205908(JP,A) 特開 昭57−2105(JP,A) 特開 昭63−132515(JP,A) 特開 昭58−171120(JP,A) 特開 昭51−36091(JP,A) 特開 昭52−19044(JP,A) 特開 昭53−123051(JP,A) 特開 昭59−178812(JP,A) 実開 昭55−133617(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 9/64 H03H 9/25

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性表面波共振器により構成される複数
    の並列腕と直列腕とが梯子型に接続されて一つの圧電基
    板上に形成され、バンドパス特性を有し、該複数の並列
    腕の各々に直列にインダクタンスを接続することを特徴
    とする弾性表面波フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記各弾性表面波共振器は、それぞれ重
    ならない伝搬路を有することを特徴とする請求項1記載
    の弾性表面波フィルタ。
  3. 【請求項3】 前記複数の並列腕は 前記インダクタン
    スを有する接続手段により前記圧電基板外のアース端子
    にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1記載の
    弾性表面波フィルタ。
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