JP2015119451A - 弾性表面波フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は梯子型の弾性表面波フィルタに関し、通過帯域幅の拡大及び通過帯域外の抑圧度の向上とを同時に達成することができる弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。
【解決手段】 圧電膜/低音速膜/高音速膜/支持基板の積層構造からなる積層基板と、積層基板上に形成されたIDT電極と、を備え、一つの積層基板上に、前記IDT電極を用いて形成された弾性表面波共振器により構成される複数の並列腕と直列腕とが梯子型に接続されて形成され、バンドパス特性を有することを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【選択図】図1
【解決手段】 圧電膜/低音速膜/高音速膜/支持基板の積層構造からなる積層基板と、積層基板上に形成されたIDT電極と、を備え、一つの積層基板上に、前記IDT電極を用いて形成された弾性表面波共振器により構成される複数の並列腕と直列腕とが梯子型に接続されて形成され、バンドパス特性を有することを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【選択図】図1
Description
本発明は弾性表面波フィルタに係り、特に自動車電話及び携帯電話などの小型移動体無線機器のRF(高周波部)のフィルタに適用しうる梯子型の弾性表面波フィルタに関する。
現在の国内の自動車・携帯電話の仕様の1例は、933.5MHzを中心として、±8.5MHzの範囲が送信帯域である。比帯域幅にすると、約2%である。
弾性表面波フィルタは上記の仕様を満たすような特性であることが必要であり、具体的には、1)通過帯域幅が比帯域幅にして2%以上と広いこと、2)損失が1.5〜2dB以下と低いこと、3)抑圧度が20dB〜30dB以上と高いことが必要とされる。
この要求を満たすため、弾性表面波フィルタは、従来のトランスバーサル型に代わって、弾性表面波素子を共振器として用い、これを梯子型に構成した共振器型が希望視されている。
図70は、特許文献1(特開昭52−19044号公報)に記載されている弾性表面波フィルタ1の等価回路を示す。このフィルタ1は、直列腕2に弾性表面波共振器3を配置し、並列腕4に弾性表面波共振器5を配置し、且つ並列腕4の共振器5の等価並列容量COBを直列腕2の共振器3の等価並列容量COAより大とした構成である。このフィルタ1は、図71に線6で示す特性を有する。
上記のフィルタ1において、後述するように等価並列容量COBを大とすると、矢印7で示すように抑圧度を高めることができる。しかし、この容量COBを増やすと、矢印8で示すように通過帯域幅が狭くなり、且つ矢印9で示すように損失が増え、特性は線10で示す如くになってしまう。
抑圧度を20dB以上としようとすると、通過帯域幅は比帯域幅にして1%以下となってしまい、上記の自動車携帯電話の仕様を満たすことができなくなってしまう。
そこで、本発明は、通過帯域幅の拡大と通過帯域外の抑圧度の向上とを同時に達成することができる弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、圧電膜/低音速膜/高音速膜/支持基板の積層構造からなる積層基板と、積層基板上に形成されたIDT電極と、を備え、一つの積層基板上に、IDT電極を用いて形成された弾性表面波共振器により構成される複数の並列腕と直列腕とが梯子型に接続されて形成され、バンドパス特性を有することを特徴とする弾性表面波フィルタである。一つの積層基板上に複数の並列腕と直列腕を形成するので、弾性表面波共振器の共振周波数等を正確に制御でき、通過帯域幅の拡大と通過帯域外の抑圧度の向上とを同時に達成することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の前記各弾性表面波共振器が、それぞれ重ならない伝搬路を有することを特徴とする弾性表面波フィルタである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の弾性表面波フィルタにおいて、所定の共振周波数(frp)を有する第1の一端子対弾性表面波共振器を前記各並列腕に、該第1の共振器の反共振周波数(fap)に略一致するか若しくはより大きな共振周波数(frs)をもつ第2の一端子対弾性表面波共振器を前記各直列腕に接続し、該第2の一端子対弾性表面波共振器を形成する櫛形電極の電気抵抗分(rs)が、該第1の一端子対弾性表面波共振器を形成する櫛型電極の電気抵抗分(rp)よりも小さい構成としたことを特徴とする弾性表面波フィルタである。この構成により、多段化した場合の通過帯域での挿入損失を低減することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の該第2の一端子対弾性表面波共振器を形成する櫛形電極の電気抵抗分(rs)を該第1の一端子対弾性表面波共振器を構成する櫛型電極の電気抵抗分(rp)よりも小さくする手段は、該第2の一端子弾性表面波共振器を構成する櫛形電極の開口長(ls)が該第1の一端子対弾性表面波共振器を構成する櫛形電極の開口長(lp)よりも短くなるようにし、かつ該第2の一端子対弾性表面波共振器を構成する櫛形電極の対数(Ns)が該第1の一端子対弾性表面波共振器を構成する櫛形電極の対数(Np)よりも多くした構成とすることを特徴とする。この構成により、多段化した場合の通過帯域での挿入損失を低減することができる。
請求項5に記載の発明では、請求項3に記載の第2の一端子対弾性表面波共振器を形成する櫛形電極の電気抵抗分(rs)を該第1の一端子対弾性表面波共振器を構成する櫛型電極の電気抵抗分の(rp)よりも小さくする手段を、該第1の一端子対弾性表面波共振器を構成する金属薄膜製の櫛形電極の膜厚を、該第2の一端子対弾性表面波共振器同じ金属の膜厚よりも薄くした構成とすることを特徴とする。この構成により、多段化した場合の通過帯域での挿入損失を低減することができる。
本発明によれば、一つの圧電膜/低音速膜/高音速膜/支持基板の積層構造からなる積層基板上に複数の並列腕と直列腕を形成するので、弾性表面波共振器の共振周波数を正確に制御でき、広帯域化のためのフィルタの周波数制御が可能となる。
まず、本発明の基本原理の一つについて説明する。図1は本発明で用いることができる弾性表面波フィルタ20の原理構成を示す。21は第1の一端子弾性表面波共振器であり、所定の共振周波数frpを有し、並列腕22に配してある。23は第2の一端子弾性表面波共振器であり、第1の共振器21の反共振周波数fapに略一致する共振周波数frpを有し、直列腕24に配してある。25はインダクタンスであり、第1の共振器21に直列に付加してあり、並列腕22に配してある。
一端子対弾性表面波共振器を直列腕と並列腕とにもつ回路がフィルタ特性を有する原理は次の通りである。この原理については、本発明の原理説明にも必要であるため、ここで詳しくのべる。
共振回路がフィルタ特性を示すか否かを評価するには、イメージパラメータによる方法が理解し易い。この方法は柳沢等による「フィルタの理論と設計」(産報出版:エレクトロニクス選書,1974年発行)に詳しく述べられている。
以下これを基にして原理を述べる。
フィルタ特性を示す基本的な梯子型回路を図2に示す。同図において斜線のブラックボックスが弾性表面波共振器30,31である。
今、説明の簡略化のため、弾性表面波共振器を抵抗分のないリアクタンス回路であると仮定し、直列腕の共振器30のインピーダンスをZ=jx、並列腕の共振器31のアドミタンスをY=jbとする。
イメージパラメータ法によれば、入力側電圧・電流をそれぞれV1,I1、出力側をV2,I2とすると(図2参照)、
で定義されるイメージ伝送量γ(複素数)が、重要な意味を持つ。即ち、
の式において、この式で表される値が虚数であれば図2の二端子対回路全体は通過特性を示し、実数であれば減衰特性を示す。ここに、A,B,C,Dの記号は図2の回路全体をF行列で表した時の四端子定数であり、それぞれを前述のx,bで表すと以下のようになる。
A=1
B=jx
C=jb
D=1−bx …(3)
従って、(2)式は、次式になる。
A=1
B=jx
C=jb
D=1−bx …(3)
従って、(2)式は、次式になる。
(4)式より、0<bx<1、即ちbとxが同符号で小さな値の時、図2の回路全体は通過特性を示し、bx<0またはbx>1の時、即ちbとxが異符号またはbx積が大きな値の時、減衰特性を示すことが分かる。
ここで、さらにbとxの周波数特性を定性的に知るために、弾性表面波共振器のインピーダンス及びアドミタンスの周波数特性を調べる。
一端子対弾性表面波共振器は図3(A)に示されるような櫛形電極40で構成される(日経エレクトロニクス誌1976年11月29日号のP.76〜P.98に記載)。
41は電極対で、42は開口長(交差幅)、43は櫛形電極周期である。この櫛形電極は抵抗分を無視すると一般に図3(B)に示されるような等価回路45で表される。ここにCOは櫛形電極の静電容量、C1,L1は等価定数である。
この等価回路45を、以下、図3(C)に示す記号46で表わす。
図4(A)(B)は夫々櫛形電極を図3(b)のような等価回路で表した時のインピーダンス及びアドミタンスの周波数依存性を定性的に示す。
同図の特性は水晶による共振器と同様に2つの共振周波数fr,faをもつ2重共振特性となる。ここでfrを共振周波数、faを反共振周波数と呼ぶ。このような2重共振特性をもつ共振器をそれぞれ直列腕及び並列腕に配置し、さらに並列腕の反共振周波数fapを直列腕の共振周波数frsに略一致させると、それを中心周波数とするバンドパス型のフィルタ特性を示す回路を構成できる。その理由は、図5(A)のインミタンスの周波数特性の図にも示したように、fap≒frsである中心周波数近傍では、0<bx<1が満たされ前述の条件から通過域となり、中心周波数から少し離れた周波数領域ではbx>1、大きく離れた領域ではbx<0となり共に減衰域となるからである。
従って、図1に示す構成の弾性表面波フィルタ1は、図5(B)中線47で示すフィルタ特性を定性的に有する。
〔通過帯域幅決定要因〕
次に、このような共振器型弾性表面波フィルタにおけるバンド幅決定要因を考察する。
次に、このような共振器型弾性表面波フィルタにおけるバンド幅決定要因を考察する。
図5からも分かるようにバンド幅は主にそれぞれの共振器における共振周波数frと反共振周波数faとの差で決定されている。この差が大きくとれればバンド幅は広く広帯域となり、小さければ狭帯域となる。ここでfr,faは図3(B)の等価回路定数を使って次式から決定できる。
比帯域幅(Δf/f0は)は主にfr,faの差から決まってしまうため、(6),(7)式を使い次式のように表される。
Δf/f0 =2(fa−fr)/(fa+fr)
≒2/(4γ+1) …(8)
Δf/f0 =2(fa−fr)/(fa+fr)
≒2/(4γ+1) …(8)
上式から明らかなようにγ(容量比)が比帯域幅を決める重要な因子となる。しかし、この値は特開昭52−19044号公報にも記載されているように、櫛形電極を形成する基板材料の種類によりほぼ決まってしまう。例えば材料の電気機械結合係数が小さなSTカット水晶では、γは1300以上となるのに対し、電気機械結合係数が大きな36°Ycut−x伝搬LiTaO3では、γは15位の値になる。比帯域幅は(8)式より、STカット水晶では0.04%、36°Ycut−X伝搬LiTaO3では3.3%となる。従って、基板材料が決まれば帯域幅はほぼ決定してしまう。
そして、帯域外抑圧度を高めるため、特開昭52−19044号に記載されているように、等価並列容量COBを大とすると、帯域幅はどんどん狭くなってしまう。
これを図6を使って詳しく説明する。前述の原理説明からも明らかなように並列共振器のfrとfaを固定したまま、アドミタンス値を大きくしていくと(アドミタンス値を増加するにはγを一定にしたまま櫛形電極の開口長または対数を増やして静電容量C0を大きくしていく)、図6(A)に示すように帯域外ではbx積が負で増加するため減衰量は増え特性は良くなるが、中心周波数の近傍ではbx積が正で増加するためbx>1の領域が拡がり、結果として0<bx<1なる通過域が狭まって帯域が十分取れなくなる。この様子を図6(B)中の矢印で表す。
〔通過帯域幅の改善〕
以上の点を解決する一つの手段として、1)直列腕の共振器か若しくは並列腕の共振器かどちらかすくなくとも一方の共振器のfrとfaとの差を広げ、かつ2)そのインピーダンス値若しくはアドミタンス値を大きくするという2つの条件を満たすことが必要である。インピーダンス値やアドミタンス値を大きくする理由は、帯域外減衰量を大きくするためである。これが実現できれば、通過帯域を広げつつ若しくは狭くすることなく、帯域外減衰量を改善できることになる。
以上の点を解決する一つの手段として、1)直列腕の共振器か若しくは並列腕の共振器かどちらかすくなくとも一方の共振器のfrとfaとの差を広げ、かつ2)そのインピーダンス値若しくはアドミタンス値を大きくするという2つの条件を満たすことが必要である。インピーダンス値やアドミタンス値を大きくする理由は、帯域外減衰量を大きくするためである。これが実現できれば、通過帯域を広げつつ若しくは狭くすることなく、帯域外減衰量を改善できることになる。
まず、1)の条件である共振器のfr,faの差を広げる方法としては、一端子対弾性表面波共振器に直列にインダクタンスLを付加する方法が有効である。図7(A),(B)に一端子対弾性表面波共振器に直列にLとして8nHを接続した時のインピーダンス及びアドミタンスの周波数変化を示す。計算に用いた弾性表面波共振器の等価回路の各定数は同図に示す。
図7(A)中、線50は、Lを付加する前のインピーダンス特性を示す。線51は、Lを付加した後のインピーダンス特性を示す。
図7(B)、線52はLを付加する前のアドミタンス特性を示す。線53は、Lを付加した後のアドミタンス特性を示す。
図7(A)より、Lを付加することによってfrとfaの間隔は広がっていることが分かる。この場合では約30MHz拡大した。この理由は、同図(A)のインピーダンスの周波数特性から明らかなように、直列にLが加わることにより元の共振器だけのインピーダンスが+側へ、ωL分だけ引上げられる結果、frがfr’へと変化したためである。この時faはほとんど動かない。インピーダンスの逆数であるアドミタンスも同じ理由から同図(A)に示すように変化する。この場合も、frがfr’へと変化していることが明確にわかる。
次に2)の条件であるが、アドミタンス値は図7(B)からも明らかのようにLを付加することで大きくなっている。しかし、インピーダンス値は図7(A)に示すように帯域外では逆に小さくなっている。従って、直列腕の共振回路にこの方法を適用する場合にはインピーダンス値を大きくする方法が更に必要とする。それには直列に複数個の同じ弾性表面波共振器を接続することにより解決できる。
図8中、線55は、一つの共振器のインピーダンス特性を示す。線56は、n個の共振器を直列に接続した場合の共振部分のインピーダンス特性を示す。
図8に示すように、n個の共振器を接続することにより共振器部のインピーダンス値はn倍になる。一方faとfrの差については、Lを繋いだ時の共振周波数の拡がりはfr”と、1個の共振器の場合のfr’よりやや狭くなるものの、Lを繋がない時よりもfaとfrの差は大きくとれる。もし必要であればLの値を増やすことによりfaとfrの差はさらに大きくなる。
通過帯域幅を拡大する2つ目の手段として、図44に示すように並列腕共振器の反共振周波数fapと直列腕共振周波数frsを略一致させるのではなく、frs>fapとする方法が考えられる。
但し、frs>fapとした場合、図44にも示すように中心周波数近傍でbx<0となって、前述の通過域条件を満たさなくなり、損失とリップルが増加する危険がある。
しかし、frs−fap=ΔfとしてΔfの大きさを制御することで、実質上、損失増加、並びにリップル増加を防いで通過帯域の拡大を実現することが可能である。また、Δfの拡大により、帯域外抑圧度の改善も同時に実現することができる。詳細は実施例11で後述する。
以下、本発明の内容を具体的な実施例により説明する。実施例はほとんどシミュレーションにより行った。そこで、まず本発明に用いたシミュレーションについて簡単に述べるとともに、シミュレーションの正当性を証明するために、実験との比較を示す。
図3(B)に示した等価回路は一端子対弾性表面波共振器の特性を簡略にシミュレーションできるが、共振器を構成する櫛形電極の対数、開口長、電極膜厚などの変化並びに反射器の効果等を正確にシミュレーションすることが難しい。そこで発明者等が既に開発したところのスミスの等価回路を基本にこれを転送行列で表す方法を用い、共振器へ応用した(O.Ikata et al.:1990 ULTRASONIC SYMPOSIUM Proceedings,vol.1, pp83-86, (1990).を参照、これを文献(1)とする。)。
図9(A)は並列腕に一端子対弾性表面波共振器を配した場合の、シミュレーションの結果を示す。
図9(B)は、並列腕に、材料がAl−2%Cu、膜厚が1600Åの櫛形電極よりなる一端子対弾性表面波共振器を配し、更にこの共振器に長さ3mmのボンディングワイヤ(L=1.5nH)を接続した場合の、実験の結果を示す。
図9(A),(B)を比較するに、開口長変化による共振点(図中fr1,fr2,fr3で示した)の動きや共振点近傍での減衰量について、実験値と計算値が良く一致していることが分かる。
図10(A)は、直列腕に共振器を配した場合の、シミュレーションの結果を示す。後述する実験で用いたボンディングパッドがやや大きかったため、シミュレーションでは、その浮遊容量として、0.5pFのコンデンサを考慮している。
図10(B)は、直列腕に共振器を接続した場合の実験の結果を示す。
図10(A),(B)を比較するに、反共振周波数fa1,fa2,fa3が開口長に依存しない点や、反共振周波数近傍での減衰量の変化などが実験と良く一致していることがわかる。
従って、これらを組み合わせた時のフィルタ特性も実験と良く一致することは明らかであり、以降の実施例はシミュレーションで行った。
〔実施例1〕
図11は、本発明の第1実施例になる弾性表面波フィルタ60を示す。
図11は、本発明の第1実施例になる弾性表面波フィルタ60を示す。
現在、国内の自動車・携帯電話の仕様のなかで1つの例をあげると、933.5MHzを中心周波数として、±8.5MHzの範囲が移動機器の送信帯域で、そこから−55MHz離れた878.5MHzを中心周波数として、±8.5MHzの範囲が受信帯域という仕様がある。
本実施例は、上記の移動機器の送信側フィルタに適するように設計してある。後述する他の実施例も同様である。
直列腕61に一端子対弾性表面波共振器R2及びR4が配してある。
並列腕62,63,64に夫々一端子対弾性表面波共振器R1,R3,R5が配してある。L1,L2,L3はインダクタンスであり、夫々共振器R1,R3,R5と接続して並列腕62,63,64に配してある。共振器R1〜R5は、図3(A)に示す櫛形電極構造を有する。対数は100、開口長は80μmである。材料は、Al−2%Cuであり、膜厚は3,000オングストロームである。
また、櫛形電極の周期が適宜定めてあり、並列腕62,63,64中の各共振器R1,R3,R5の共振周波数は、912MHz、反共振周波数は934MHzとしてある。直列腕61中の各共振器R2,R4の共振周波数は934MHz、反共振周波数は962MHzとしてある。インダクタンスL1,L2,L3は共に4nHである。
上記構成の弾性表面波フィルタ60は、図12中、線65で示す通過特性を有する。インダクタンスLが2nH、6nHの場合、図11のフィルタ60の通過特性は、夫々図12中、線66,67で示す如くになる。
図12に基づいて、通過帯域幅に対するL依存性を表わすと、図13(A)の線70で示す如くになる。ここで、最小挿入損失から−3dB下がった減衰量のレベルにおける周波数幅を、通過帯域幅とした。
同様に、図12に基づいて、通常帯域外抑圧度に対するL依存性を表わすと、図13(B)の線71で示す如くになる。
図12より分かるように、Lをあまり大きくすると、中心周波数から55MHz低周波数側の抑圧領域が充分とれなくなってしまう。そこで、Lは上記のように4nHとしてある。なお、Lの値は、フィルタの仕様に応じて適当に選択されるものである。
図70に示す従来構成のフィルタ1の通過特性は、図12中線68で示す如くになる。
図12中、本実施例のフィルタ60の通過特性(線65)を従来のフィルタの通過特性(線68)と比較するに、本実施例のフィルタ60は、従来のフィルタに比べて、矢印75で示すように通過帯域幅が広く、矢印76で示すように通過帯域外の抑圧度が高く、しかも矢印77で示すように損失が低いことが分かる。
図14及び図15は、図11の弾性表面波フィルタ60を実現した弾性表面波フィルタ装置80を示す。
81はセラミックパッケージ、82はフィルタチップ、83はアースとして機能する蓋である。セラミックパッケージ81はアルミナセラミック製であり、サイズは5.5×4mm2 の高さが1.5mmと小さい。このセラミックパッケージ81にはAu製の電極端子84-1〜84-6が形成してある。フィルタチップ82は、LiTaO3製であり、サイズは2×1.5mm2 の厚さが0.5mmである。
このフィルタチップ82の表面に、対数が100、開口長が80μm、材料がAl−2%Cu、膜厚が3,000Åの櫛形電極構造を有する共振器R1〜R5が、互いに弾性表面波の伝播路を共有しないように、ずらして配置してある。
またフィルタチップ82の表面には、ボンディング用端子としての、二つの信号線用端子85-1,85-2及び三つのアース用端子85-3,85-4,85-5が形成してある。86-1〜86-5はボンディングワイヤであり、Al又はAu製であり、径が25μmφであり、夫々端子84-1〜84-5と端子85-1〜85-5とにボンディングされて接続してある。このうち、ワイヤ86-1,86-2は夫々図11中の直列腕61の一部61a及び61bを構成する。ワイヤ86-3はアース用電極端子84-3と85-3との間に接続してあり、ワイヤ86-4は別のアース用電極端子84-4と85-4との間に接続してあり、ワイヤ86-5は別のアース用電極端子84-5と85-5との間に接続してある。このワイヤ86-3〜86-5は長さが共に2.0mmと長い。
このように、細くて長いワイヤは高周波の理論によれば、インダクタンス分を持つ。
空中リボンインダクタの理論式(倉石:理工学講座、「例題円周マイクロ波回路」東京電機大学出版局のP199に記載)によれば、上記のワイヤ86-3,86-4,86-5のインダクタンスは約1nHとなる。
4nHのインダクタンスを得るためにはこれでは不充分であり、後述する図40及び図41に図示するようなセラミックパッケージとフィルタチップ上のLを利用した。
このようにして、図11中のインダクタンスL1,L2,L3を構成する。
ここで、本発明の弾性表面波フィルタ(弾性表面波フィルタを構成する弾性表面波共振器)は、圧電膜/低音速膜/高音速膜/支持基板の積層構造からなる積層基板を備え、その基板上にIDT電極(櫛歯電極)が形成された構造からなる。
図72(A)に、当該構造を示す。
積層基板301は、支持基板302を有する。支持基板302上に、音速が相対的に高い高音速膜303が積層されている。高音速膜303上に、音速が相対的に低い低音速膜304が積層されている。また、低音速膜304上に圧電膜305が積層されている。この圧電膜305の上面にIDT電極306が積層されている。なお、圧電膜305の下面にIDT電極306が積層されていてもよい。
上記積層基板301は、高音速膜303、低音速膜304、圧電膜305及びIDT電極306を有する積層構造を支持し得る限り、適宜の材料により構成することができる。このような材料としては、サファイア、リチウムタンタレート、リチュウムニオベイト、水晶等の圧電体、アルミナ、マグネシア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト等の各種セラミック、ガラス等の誘電体またはシリコン、窒化ガリウム等の半導体及び樹脂基板等を用いることができる。本実施例では、支持基板302は、ガラスからなる。
上記高音速膜303は、弾性表面波を圧電膜305及び低音速膜304が積層されている部分に閉じ込め、高音速膜303より下の構造に漏れないように機能する。本実施例では、高音速膜303は、窒化アルミニウムからなる。もっとも、上記弾性波を閉じ込め得る限り、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、DLC膜またはダイヤモンド、前記材料を主成分とする媒質、前記材料の混合物を主成分とする媒質等のさまざまな高音速材料を用いることができる。弾性表面波を圧電膜305及び低音速膜304が積層されている部分に閉じ込めるには、高音速膜303の膜厚は厚いほど望ましく、弾性表面波の波長のλの0.5倍以上、さらには1.5倍以上であることが望ましい。
なお、本明細書において、高音速膜とは、圧電膜305を伝搬する表面波や境界波の弾性波よりも、該高音速膜中のバルク波の音速が高速となる膜を言うものとする。また、低音速膜とは、圧電膜305を伝搬するバルク波よりも、該低音速膜中のバルク波の音速が低速となる膜を言うものとする。また、ある構造上のIDT電極からは様々な音速の異なるモードの弾性波が励振されることになるが、圧電膜305を伝搬する弾性波とは、フィルタや共振子の特性を得るために利用する特定のモードの弾性波を示す。上記バルク波の音速を決定するバルク波のモードは、圧電膜305を伝搬する弾性波の使用モードに応じて定義される。高音速膜303及び低音速膜304がバルク波の伝搬方向に関し等方性の場合には、下記の表1に示すようになる。すなわち、下記の表1の左軸の弾性波の主モードに対し下記の表1の右軸のバルク波のモードにより、上記高音速及び低音速を決定する。P波は縦波であり、S波は横波である。
なお、下記の表1において、U1はP波を主成分とし、U2はSH波を主成分とし、U3はSV波を主成分とする弾性波を意味する。
上記低音速膜304を構成する材料としては圧電膜305を伝搬するバルク波よりも低音速のバルク波音速を有する適宜の材料を用いることができる。このような材料としては、酸化ケイ素、ガラス、酸窒化ケイ素、酸化タンタル、また、酸化ケイ素にフッ素や炭素やホウ素を加えた化合物など、前記材料を主成分とした媒質を用いることができる。
上記低音速膜及び高音速膜は、上記のように決定される高音速及び低音速を実現し得る適宜の誘電体材料からなる。
圧電膜305は、本実施例では、38.5°YカットのLiTaO3すなわちオイラー角で(0°,128.5°、0°)のLiTaO3からなり、膜厚は、IDT電極13の電極周期で定まる弾性表面波の波長をλとすると、0.25λである。もっとも、圧電膜305は、他のカット角のLiTaO3、例えば50°YカットのLiTaO3などにより形成してもよく、あるいはLiTaO3以外の圧電単結晶により形成してもよい。
これに対して、本願発明では、上記高音速膜303と、圧電膜305との間に上記低音速膜304が配置されているため、弾性波の音速が低下する。弾性波は本質的に低音速な媒質にエネルギーが集中する。従って、圧電膜305内及び弾性波が励振されているIDT内への弾性波エネルギーの閉じ込め効果を高めることができる。そのため、低音速膜304が設けられていない場合に比べて、本実施例によれば、損失を低減し、Q値を高めることができる。また、高音速膜303は、弾性波を圧電膜305及び低音速膜304が積層されている部分に閉じ込め、高音速膜303より下の構造に漏れないように機能している。即ち、本願の構造では、フィルタや共振子の特性を得るために利用する特定のモードの弾性波のエネルギーは圧電膜305及び低音速膜304の全体に分布し、高音速膜303の低音速膜側の一部にも分布し、積層基板2には分布しないことになる。高音速膜により弾性波を閉じ込めるメカニズムは非漏洩なSH波であるラブ波型の表面波の場合と同様のメカニズムである。
図72(A)では、圧電膜305/低音速膜304/高音速膜303/支持基板302、の積層構造で構成された積層基板を示したが、媒質層322が、図72(B)に示すように、支持基板302と高音速膜303との間に積層されていてもよい。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。従って、第1の実施形態の説明を援用することとする。従って、上から順に、IDT電極13、圧電膜305、低音速膜304、高音速膜303、媒質層322及び支持基板302がこの順序で積層されている。
媒質層322としては、誘電体、圧電体、半導体または金属などのいずれの材料を用いてもよい。その場合であっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。もっとも、媒質層322が金属からなる場合には、比帯域を小さくすることができる。従って、比帯域が小さい用途では、媒質層322が金属からなることが好ましい。
また、図72(C)に示すように、支持基板302と高音速膜303との間に、媒質層322及び媒質層324が積層されていてもよい。すなわち、上から順に、IDT電極13、圧電膜305、低音速膜304、高音速膜303、媒質層322、媒質層324及び支持基板302がこの順序で積層されている。媒質層322及び媒質層324以外は、第1の実施形態と同様に構成されている。
媒質層322,324は、誘電体、圧電体、半導体または金属などのいずれの材料を用いてもよい。その場合であっても、第1の実施形態の弾性表面波装置と同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、圧電膜305、低音速膜304、高音速膜303及び媒質層322からなる積層構造と、媒質層324及び支持基板302からなる積層構造を別々に作製した後、両積層構造を接合する。しかる後、IDT電極13を圧電膜305上に形成する。それによって、各積層構造を作製する際の製造上の制約条件に依存せずに、本実施形態の弾性表面波装置を得ることができる。従って、各層を構成する材料の選択の自由度を高めることができる。
なお、上記2つの積層構造の接合に際しては、任意の接合方法を用いることができる。このような接合構造としては、親水化接合、活性化接合、原子拡散接合、金属拡散接合、陽極接合、樹脂やSOGによる接合などの様々な方法を用いることができる。
〔実施例2〕
図16は本発明の第2実施例になる弾性表面波フィルタ90を示す。
図16は本発明の第2実施例になる弾性表面波フィルタ90を示す。
図中、図11に示す構成部分と対応する部分に同一符号を付す。
直列腕61内の共振器R2の開口長ASは、80μmである。
並列腕62には、共振器R1AとインダクタンスL1とが直列に接続されて配してある。
共振器R1Aは開口長APが120μmである。開口長APは、開口長ASより長く、開口長ASの1.5倍である。なお、共振器R2及びR1Aの対数NP,NSは共に100であり、等しい。
このフィルタ90は、図17中、線91で示す通過特性を有する。
この通過特性を線65で示す図11のフィルタ60の通過特性と比較すると、通過帯域幅を変えずに、矢印92で示すように、通過帯域外抑圧度が改善されていることが分かる。
図18は、図16の構成のフィルタの通過特性の開口長依存性を示す。
同図(A)は、図16に示すようにLが付加されている場合、図42に示すようにLが付加されていない場合において、夫々の直列腕共振器の開口長(AS)に対する並列腕共振器の開口長(AP)の比AP/ASと、帯域外抑圧度の関係を示す。帯域外抑圧度は、4nHのインダクタンスLが付加されている場合には、線92で示す如くになり、インダクタンスLが付加されていない場合には、線93で示す如くになる。
また、図18(B)は、AP/ASと通過帯域幅との関係を示す。通過帯域幅は、4nHのインダクタンスLが付加されている場合には、線95で示す如くになり、インダクタンスLが付加されていない場合には、線96で示す如くになる。
図18(A),(B)より、以下のことが分かる。
1)並列腕62内の共振器R1Aの開口長APを直列腕61内の共振器R2の開口長ASより長くすることにより、帯域外抑圧度が増える。
2)並列腕62にインダクタンスL1を付加することにより、インダクタンスを有しない場合に比べて、共振器R1Aの開口長APの増大の効果が大きくなり、しかも帯域幅の劣化も殆ど無い。
以上のことからも、上記実施例のフィルタ90は、図11のフィルタ60に比べて、通過帯域幅は何ら狭くせずに、通過帯域外抑圧度が増えた通過特性を有することが分かる。
〔実施例3〕
図19は本発明の第3実施例による弾性表面波フィルタ100を示す。
図19は本発明の第3実施例による弾性表面波フィルタ100を示す。
図中、図11及び図16に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付す。
直列腕61の共振器R2の対数NSは100である。並列腕62には、共振器R1BとインダクタンスL1とが直列に接続されて配してある。共振器R1Bは、対数NPが150であり、上記の共振器R2の対数NSよりも多く、その1.5倍である。なお、共振器R2及びR1Aの開口長AS,APは共に80μmであり、等しい。
このフィルタ100は、図20中、線101で示す通過特性を有する。この通過特性を、線65で示す図11のフィルタ60の通過特性と比較すると、通過帯域幅を狭めることなく、矢印102で示すように、通過帯域外抑圧度が改善されていることが分かる。
また、図17中線91で示す図16のフィルタ90の通過特性と比較すると、損失劣化が少ないことが分かる。
従って、本実施例のフィルタ100は、図11のフィルタ11に比べて、通過帯域幅を狭くせずに、通過帯域外抑圧度が増し、且つ図16のフィルタ90に比べて、損失劣化が少ない通過特性を有する。
〔実施例4〕
図21は本発明の第4実施例になる弾性表面波フィルタ110を示す。本実施例は、直列腕の共振回路の反共振周波数faと共振周波数frとの差を拡大することによって通過特性を改善したものである。
図21は本発明の第4実施例になる弾性表面波フィルタ110を示す。本実施例は、直列腕の共振回路の反共振周波数faと共振周波数frとの差を拡大することによって通過特性を改善したものである。
図中、図11に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付す。直列腕61のうち、並列腕62,63の間の部分に同じ共振器R2が二つ直列に接続され、更にこれに直列に3nHのインダクタンスLSが付加してある。同じく、直列腕61のうち、並列腕63,64の間の部分に、同じ共振器R4が二つ直列に接続され、更に、これに直列に3nHのインダクタンスLSが付加してある。並列腕62には、一つの共振器R位置だけが配してある。同じく、並列腕63には、一の共振器R3だけが配してある。同様に、並列腕64には、一の共振器R4だけが配してある。
このフィルタ110は、図22中、線111で示す通過特性を有する。
ここで、インダクタンスLS及び一の共振器R2,R4の付加の効果について説明する。
図21のフィルタ110より、インダクタンスLSと一の共振器R2,R4とを削除した場合の通過特性は、線68(図12参照)で示す如くである。上記インダクタンスLSを追加すると、矢印112で示すように通過帯域幅が拡大すると共に、矢印113で示すように帯域外抑圧度が増えた。特に通過帯域幅についてみると、特に高周波数側への拡大が大きく、高周波数側に約15MHz帯域幅が拡大した。通過特性は、線114で示すごとくになった。この状態では、帯域外抑圧度は十分でない。そこで一の共振器R2,R4を追加した。
この一の共振器R2,R4を追加すると、通過帯域幅を狭めることなく、矢印115で示すように、帯域外抑圧度が約5dB改善され、線111で示す通過特性となった。線111を線68と比較するに、矢印116で示すように損失も線68に比べて改善されている。
なお、直列腕61の共振器R2,R4は夫々三個以上でもよい。
また、図21中二点鎖線で示すように、並列腕62〜64に、インダクタンスを挿入してもよい。
〔実施例5〕
図21は本発明の第5実施例になる弾性表面波フィルタ120を示す。
図21は本発明の第5実施例になる弾性表面波フィルタ120を示す。
図中、図11に示す構成部分と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
並列腕62のインダクタンスL1のインダクタンス値は4nHである。別の並列腕63のインダクタンスL2のインダクタンス値は5.5nHである。更に別の並列腕64のインダクタンスL3のインダクタンス値は7nHである。
このように、各並列腕62〜64のインダクタンスL1〜L3のインダクタンス値を異ならしめることによって、フィルタ120は、図24中、線121で示す通過特性となる。
ここで、インダンタクスL1〜L3のインダクタンス値が全て4nHと等しい図11のフィルタ60の通過特性と比較してみる。
このフィルタ60は、図24中、線65で示す通過特性(図12参照)を有する。
本実施例のフィルタ120の通過特性は、上記フィルタ60の通過特性に比べて、通過帯域幅を何ら狭めることなく、矢印122で示すように通過帯域外抑圧度が高められる。通過帯域より低周波数側についてみると、フィルタ60にあっては902MHz付近に一の減衰極123しかなかったものに対して、875MHzと892MHzの二個所に減衰極124,125が発生している。これにより、二つの減衰極124,125との間の周波数帯域126が阻止域127となる。
〔実施例6〕
図25は本発明の第6実施例になる弾性表面波フィルタ130を示す。本実施例は、損失の低下を図ったものである。
図25は本発明の第6実施例になる弾性表面波フィルタ130を示す。本実施例は、損失の低下を図ったものである。
図中、図11に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
並列腕62の第1の弾性表面波共振器R1Bは、図26に示すように励振電極131と、この両側に反射器132,133を配した構成である。反射器132,133は励振電極131と反射器132,133との中心間距離dを次式
d=(n+β)・λ …(A)
(ここで、nは適当な整数、βは1以下の実数、λは共振周波数に対応した櫛形電極の周期である)で表わすとき、β=0.4としたときの位置に配してある。
d=(n+β)・λ …(A)
(ここで、nは適当な整数、βは1以下の実数、λは共振周波数に対応した櫛形電極の周期である)で表わすとき、β=0.4としたときの位置に配してある。
上記反射器132,133の対数は、50である。反射器を備えた共振器R1Bは、図25に示すように「*」を追加した記号で表わす。他の並列腕63,64の共振器R3B,R5Bも、上記の共振器R1Bと同様に、反射器を備えた構成である。
上記構成のフィルタ130は、図27中線134で示す通過特性を有する。この通過特性は、図11のフィルタ60の通過特性(線65で示す)に比べて、矢印135で示すように、通常帯域の挿入損失が低減されている。
ここで、リップルrPは、図26に示すように並列腕の励振電極131の両側に反射器132,133を配置したことによって発生したものである。
ここで、反射器132,133の配設位置を上記のように定めた理由について説明する。
上記式(A)において、βを0から0.5まで変化させてリップルrPの幅への影響は、図28中線140で示す如くになる。同図中、点141がリップル幅が最小の点であり、このときのβが0.4である。このことから、βを0.4に定めてある。
図29は、図25のフィルタ130を実現した弾性表面波フィルタ装置150を示す。図中、図14に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。132,133,151,152,153,154は夫々反射器である。
次に、第1の一端子対弾性表面波共振器の変形例について説明する。
図30は一の変形例を示す。この共振器R1Baは、励振電極131の両側に、反射器として、電気的負荷が短絡型の櫛形電極160,161を配した構成である。
図31は、別の変形例を示す。この共振器R1Bbは、励振電極131の両側に反射器として、ストリップアレイ型電極165,166を配した構成である。
〔実施例7〕
図32は本発明の第7実施例になる弾性表面波フィルタ170を示す。本実施例は、実施例6と同様に損失の低下を図ったもので、図中、図21に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図32は本発明の第7実施例になる弾性表面波フィルタ170を示す。本実施例は、実施例6と同様に損失の低下を図ったもので、図中、図21に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
フィルタ170は、図21のフィタル110のうち、各並列腕62,63,64の第1の弾性表面波共振器R1B,R3B,R5Bを夫々図26に示すように励振電極131の両側のβが0.4で定まる位置に反射器132,133を配した構成である。このフィルタ170によれば、図22中線111で示す特性よりも、通過帯域の損失が少なく、且つリップルも抑えられた通過特性が得られる。
〔実施例8〕
本実施例は、図27中のリップルrPを取り除くことを目的としたものである。
本実施例は、図27中のリップルrPを取り除くことを目的としたものである。
まず、前記反射器付加時に現れるリップルを効果的に取り除く手段について述べる。
発明者等は、リップルの現れ周波数位置と電極膜厚との関係をシミュレーションにより調べた。シミュレーションでは膜厚増加の効果を電極下の音響インピーダンス(Zm)と自由表面の音響インピーダンス(Zo)との比を大きくしていくことで置き換えた。それは文献(1)でも述べているように、電極膜厚の増加は質量が増加することであり、これはそのまま音響インピーダンスの不連続量の増加に比例すると考えられるためである従って、
Q=Zo/Zm=Vo/Vm=1+k2 /2+α(t)…(9)
(Vo,Vm:自由表面及び電極下での音速、k2 :電気機械結合係数)とし、α(t)を膜厚tに比例するパラメータとしてこれを変化させた。
Q=Zo/Zm=Vo/Vm=1+k2 /2+α(t)…(9)
(Vo,Vm:自由表面及び電極下での音速、k2 :電気機械結合係数)とし、α(t)を膜厚tに比例するパラメータとしてこれを変化させた。
こう置くとフィルタの中心周波数foは、
fo=2fo’/(1+Q) …(10)
となり、膜厚を増加するにつれ、音響インピーダンスの不連続がない時の中心周波数fo’から低周波数側へ移動していくという良く知られた実験事実とも一致する。シミュレーションの結果、α(t)を大きくすると、即ち電極膜厚を厚くしていくと、リップルrPの現れる周波数位置が図33中、矢印180で示すように、通過帯域の高周波側へ移動してゆき、ついには高周波側の減衰極の中に落ちてしまうことが分かった。これを模式的に図33に示す。
fo=2fo’/(1+Q) …(10)
となり、膜厚を増加するにつれ、音響インピーダンスの不連続がない時の中心周波数fo’から低周波数側へ移動していくという良く知られた実験事実とも一致する。シミュレーションの結果、α(t)を大きくすると、即ち電極膜厚を厚くしていくと、リップルrPの現れる周波数位置が図33中、矢印180で示すように、通過帯域の高周波側へ移動してゆき、ついには高周波側の減衰極の中に落ちてしまうことが分かった。これを模式的に図33に示す。
なお、図33中、別のリップルrSは、直列腕共振器の反射器が原因で発生するものである。
図34はα(t)=0.08の時で、並列腕の共振器の反射器から生じるリップルが、丁度高周波側の減衰極の中に落ちている場合の通過特性を示す。従って、同図では通過帯域からリップルが消え、しかも挿入損失がかなり低減している。なお、この図では、通過帯域の中心が(10)式に従って低周波側へ移動したため、これを補正すべく、中心周波数を932MHzになるように、直列腕及び並列腕の共振器の共振周波数を15MHzだけ高周波側へシフトしている。
これを実際の膜厚との対応でみるため、チップを試作し、その通過特性を調べた。
図35(A),(B),(C)の線185,186,187は、夫々膜厚が2000Å,3000Å,4000Åの時の通過特性を対応させて示す。
尚、膜厚を変えることにより中心周波数が変わるが、同図のデータはこれを補正するべく、櫛形電極の周期を変え、中心周波数があまり変動しないように調整している。
図35から明らかなように、2000Åの時に帯域内に現れていた並列腕の共振器のリップルrP、及び帯域外の直列腕のリップルrSが、3000Åの時には高周波側へ移動してrP’,rS’となり、rP’は高周波側の減衰極に埋もれてしまった結果、帯域内にリップルのない良好な特性となった。この結果はシミュレーションの結果と定性的に良く一致している。
しかし、膜厚を増加させた時にはシミュレーションでは計算できないバルク波による損失劣化(江畑他:「LiTaO3基板上の弾性表面波共振子とそのVTR用発振器への応用」,電子通信学会論文誌,vol.J66-C,No.1, pp23-30,1988)と抵抗損による損失改善があり、その兼ね合いも重要な因子となる。
そこで図36(A)に膜厚を変えた時の最小挿入損の変化をプロットした。
同図中、線190はバルク波による損失、線191は抵抗損による損失を示す。線192が実験値である。同図より分かるように、挿入損は2500Å位で両者の効果が均衡し、約3500Åくらいからバルク波による損失増加が支配的になり劣化し始める。
図36(B)の線193は、図26中の励振電極131と反射器132,133の膜厚を変えた場合の、リップルrPの周波数位置の、通過帯域中心周波数f0に対する変化を示す。
図36(A),(B)を総合的に判断すると、膜厚としては、2600Å〜4000Åが帯域内にもリップルを作らず、かつ損失劣化も少ないことから適当である。これを、フィルタの中心周波数からほぼ決まる並列腕共振器の電極周期λP(932MHzで4.4μmであり、図26参照)で規格化すると、0.06〜0.09となる。
本実施例は、上記の検討結果に基づくものである。
図37は本発明の弾性表面波フィルタの第1の一端子対弾性表面波共振器200を示す。
同図中、201励振電極202,203は反射器であり、夫々Al製又は重量比で数%異種金属を混ぜたAl混合製であり、膜厚t1は、電極周期λpの0.06〜0.09倍の厚さである。
この共振器200を図25及び図32中の共振器R1B,R3B,R5Bに適用した弾性表面波フィルタの通過特性は、図38中、線205で示す如くになり、通過帯域内にリップルは現われていない。
なお、上記のAl合金製とした場合には、Al製とした場合に比べて耐電力特性が向上する。混合させる異種金属はCu,Tiなどである。
図39は、上記共振器の変形例である共振器210を示す。211は励振電極、212,213は反射器である。これらは、Au製である。
質量付加効果の影響でこの現象が生じていることから、最適な膜厚値の範囲Alの密度との比だけ上記値より小さくなる。Alの密度/Auの密度=2.7/18.9=0.143であるため、最適膜厚t2は、0.143倍して、電極周期λPの0.0086〜0.013倍の厚さとしてある。
この共振器210を図25及び図32中の共振器R1B,R3B,R5Bに適用した弾性表面波フィルタの通過特性も、図38に示す如くになり、通過帯域にリップルは現われない。
〔実施例9〕
本実施例は、図11中のインダクタンスL1,L2,L3を実現する別の例である。
本実施例は、図11中のインダクタンスL1,L2,L3を実現する別の例である。
図40中、図14に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
220,221はジグザグ状のマイクロストリップラインであり、夫々端子84-3及び84-5より延出してセラミックパッケージ81上に形成してある。各マイクロストリップライン220,221の先端がアースと接続してある。各マイクロストリップライン220,221のパターン幅は100μm、マイクロストリップラインとアース間の長さは0.5mmである。セラミックパッケージ81の比誘電率を9とすると、リボンインダクタの理論式から、上記のマイクロストリップライン220,221のインダクタンス値は2nHとなる。
〔実施例10〕
本実施例は、図11中のインダクタンスL1,L2,L3を実現する更に別の例である。
本実施例は、図11中のインダクタンスL1,L2,L3を実現する更に別の例である。
図41中、図14に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
230,231はジグザグ状のマイクロストリップラインであり、夫々共振器R1,R2より延出して、フィルタチップ82上に形成してある。各マイクロストリップライン230,231の先端に、端子85-3,85-5が形成してある。各マイクロストリップライン230,231は、厚さが3000Å、幅が60μm、全長が約2mmである。フィルタチップ(LiTaO3)82の比誘電率を44とすると、マイクロストリップライン230,231のインダクタンス値は、理論式より、2.2nHとなる。
なお、インダクタンスを、ボンディングワイヤ86-3、セラミックパッケージ81上のマイクロストリップライン220,フィルタチップ82上のマイクロストリップライン230を適宜組合わせることによって形成することもできる。
〔実施例11〕
図42は本発明の第11実施例による弾性表面波フィルタ240を示す。図43はこれを具体化した構成を示す。
図42は本発明の第11実施例による弾性表面波フィルタ240を示す。図43はこれを具体化した構成を示す。
説明の便宜上、まず本実施例の概要及び本実施例の基本構成についての説明をする。
1)本実施例の概要
本実施例は、直列腕の共振器の共振周波数frsを並列腕の共振器の反共振周波数fapより適宜高く定めて、通過帯域幅を拡大するものであり、また、Δf≡frs−fapを、通過帯域内の損失を著しく劣化させない範囲に定めた構成である。
本実施例は、直列腕の共振器の共振周波数frsを並列腕の共振器の反共振周波数fapより適宜高く定めて、通過帯域幅を拡大するものであり、また、Δf≡frs−fapを、通過帯域内の損失を著しく劣化させない範囲に定めた構成である。
2)本実施例の基本構成
前記各実施例においては、fap=frsはフィルタの通過帯域を形成するためには必須な条件とされている。しかし、この条件を守る限り、通過帯域には上限が生じてしまう。そこで通過帯域幅を拡大するために、図44に示すようにfap<frsとすることを考えた。
前記各実施例においては、fap=frsはフィルタの通過帯域を形成するためには必須な条件とされている。しかし、この条件を守る限り、通過帯域には上限が生じてしまう。そこで通過帯域幅を拡大するために、図44に示すようにfap<frsとすることを考えた。
こうすると、同図から明らかなように、fap<f<frsの範囲ではbx<0となり、前述の理論から減衰域となる恐れがある。しかし、現実には以下に述べるようにΔf(=frs−fap)の大きさを制限してやれば、bx積の値は非常に小さい値に留まるため、減衰は起こらず、実質上通過帯域として何ら問題がないことがわかった。
図45は、Δf=frs−fapを零から増加していった時の梯子型フィルタの通過特性を示す。
実験条件としては、積層基板の圧電膜は電気機械結合係数が0.05のLiTaO3を、櫛形電極用のAl電極は膜厚3000Åの条件を用いた。
電極構成は、図42に示すような並列共振器と直列共振器を梯子型に接続したものを基本構成としてこれを2段に縦続接続し、それに入力側及び出力側を対称とするための並列共振器を最後段に接続したものである。梯子型回路を多段化するのは、帯域外抑圧度を実用的な値にまで高めるためである。
しかし、多段化により通過帯域内の損失も増加するため、多段化の段数は具体的なフィルタの仕様により調整する。本例は損失2dB以下、帯域外抑圧度20dB以上を実現する1つの構成例として挙げたものである。櫛形電極の設計条件としては、直並列腕の共振器共に開口長が180μmで対数が50対である。直並列共振器の対数、開口長条件が等しいのでそれぞれの静電容量の比P=Cp/Csは1である。
図45において、(A)はΔf=0の場合、即ち前記の実施例の場合である。
同図(B)はΔf=10MHzの場合である。同図(A)と比べると、通過帯域の最小挿入損はほとんど劣化せずに、通過帯域幅(損失2.5dB以下を保証する帯域幅とする)が22MHzから40MHzへ改善されている。Δfの増加以上に帯域幅が改善されているのは、通過帯域の低周波側の損失回復が見られるためである。
また、帯域外抑圧度も改善される。図45(A),(B)において高周波側の帯域外抑圧度(図中に示した)が19dBから20dBに改善されている。このように、Δfの拡大は、単に帯域幅拡大に効果があるのみでなく、同時に帯域外抑圧の改善も図れる技術である。
このようにΔfを増加させると特性の改善がみられるがその増加量には制限がある。
図45(C)はΔf=19MHzとした時の通過特性図である。通過帯域内のやや高周波側に損失劣化が見られ始める。この場合で約2.5dBである。これは帯域内リップルを増加させる原因ともなり、この例ではリップル仕様限度の約1.0dBとなった。これ以上のΔfの増加は損失劣化と帯域内リップルの増加となった。従って、Δf=19MHzが、Δfを増加させる場合の限度となる。また、この時の帯域外抑圧度は図45(C)で示すように約21dBとなり、前述の図45(A)に比べ2dBの改善が得られる。
この時に前述のbx積はどのような値になっているのかを図45(C)のΔf=19MHzの場合を例に調べた。
まず、図42の並列腕を構成する弾性表面波共振器と直列腕を構成する弾性表面波共振器を個別に作製し、図46(A),(B)で示すような回路構成で、並列腕の共振器はアドミタンスを、直列腕の共振器はインピーダンスをそれぞれ測定した。測定はネットワークアナライザを使用して行ない、各々のS21を測定した。そして、その値を図46(A),(B)に示す式に代入し、インピーダンスZP及びアドミタンスYPを求めた。
その結果、図47に示すような周波数特性を得た。この特性はアドミタンス、インピーダンスの虚数部のみの値、即ちbまたはxの値である。
これらよりbx積の値を計算するとその周波数特性は図48のようになる。
同図からfap<f<frsの範囲ではbx積が負で小さな値をとっていることがわかる。
bx積の絶対値の最大値|bxmax|は後述するように
の時に与えられ、本実施例では0.06であった。即ち|bxmax|値がこの値以下であれば、前述した挿入損の劣化及び帯域内リップルが共に1dB以下と小さく抑ええられることがわかる。
Δf>19MHzとすると、|bxmax|値も増加し、損失劣化、帯域内リップルが共に1dB以上となり実用的ではない。
従って、|bxmax|値が特性劣化の上限の指標となり、Δfの許容値を定める。
以下に更に一般化して詳述する。
図49に図3と同じように弾性表面波共振器をLCの2重共振回路で近似して図2のように梯子型フィルタに組んだ時の等価回路図を示す。
直列腕の弾性表面波共振器のインピーダンスをZs、並列腕の弾性表面波共振器のアドミタンスをYpとすると、
となる。ここで、
である。
(11),(12)式よりbx積を求めると
となる。
(13)式のbxに極値を与える角周波数ωは∂(bx)/∂ω=0から求まり、それは、
となる。
これを(13)式に代入した値が通過帯域内のbx積の絶対値の最大値となる。これを求めると
となる。
ここで、
Δω=ωrs−ωap=2π・Δf …(16)
である。
Δω=ωrs−ωap=2π・Δf …(16)
である。
(15)式をbxmaxとΔf/frsの関係としてP=Cop/Cosをパラメータとしてプロットすると図50のようになる。
同図において、先に実験的に求めたbxの積の許容値0.06以下という条件を図示すると斜線のような領域になる。
従って、P=Cop/Cosによって異なるΔf/frsの許容値αが決定でき、それは(15)式の|bxmax|=0.06として、次式となる。
容量比γは基板材料できまり、実験によれば、36°Yカット伝搬LiTaO3で約15であった。
このため、(17)式は、
となる。
P=1の時、α=0.02となり、frs=948MHzの図45の実施例の場合でΔf=19MHzとなり、(18)式が成り立っていることが確認できる。
Δfを増大させる効果は、容量比γが小さい圧電膜材料、即ち電気機械結合係数の大きな圧電膜材料に有効であり、そのような圧電膜材料に対して(17)式を求めた。
なお、図51は容量比γと電気機械結合係数k2 との関係を示す。
同図の関係は36°Yカット伝搬LiTaO3のk2 とγ値との値を使い、
として求めたものである。
図51の関係から、64Y°カットと41°YカットのX伝搬LiTaO3のγ値を求めることができ、前記と同じくそれぞれγ=6.8、と4.4となる。
3)実施例11の構成
こゝで、図42及び図43に示す実施例の構成について説明する。
3)実施例11の構成
こゝで、図42及び図43に示す実施例の構成について説明する。
241は36°Y−LiTaO3の圧電膜であり、1.5×2×0.5mmの大きさである。
入力側から順番に並列腕共振器(Rp1)、直列腕共振器(Rs1)、並列腕共振器(Rp2)、直列腕共振器(Rs2)、並列腕共振器(Rp3)の順で並んでいる。個々の共振器は両サイドに反射器242(短絡型)をもった構造である。個々の共振器はいづれも開口長が180μm、電極指の対数が50対、反射器も50対である。
櫛形電極指の周期のみ並列腕共振器と直列腕共振器とで変えてある。並列腕共振器の周期はλp=4.39μm(パターン幅とギャップは1:1であるため、パターン幅はλp/4≒1.1μm)、直列共振器の周期はλs=4.16μm(同様にパターン幅はλs/4=1.04μm)である。
それぞれの周期はそれぞれの共振器の共振周波数(frp,frs)が所定の値(frp=893MHz、frs=942MHz)となるように
λs=Vm/frs、及びλp=Vm/frp
より決定したものである。ここで、Vmは電極膜厚3000Åの時の36°YカットX伝搬LiTaO3結晶の表面波の音速であり、実験的にVm=3920m/sと求められた。
λs=Vm/frs、及びλp=Vm/frp
より決定したものである。ここで、Vmは電極膜厚3000Åの時の36°YカットX伝搬LiTaO3結晶の表面波の音速であり、実験的にVm=3920m/sと求められた。
上記構成の弾性表面波フィルタ240は、図45(C)に示す広帯域で且つ低損失の通過特性を有する。なお、Δf=19MHzである。
図43中、λpだけを変えて4.35μmとすると、Δfが10MHzとなり、図45(B)の特性が得られる。尚、電極材料はAl−Cu合金であり、膜厚は3000Åで、表面波が圧電膜241のX軸方向に伝搬するように配置してある。
〔実施例12〕
図52は本発明の第12実施例になる表面波フィルタ250の回路構成図を示す。
図52は本発明の第12実施例になる表面波フィルタ250の回路構成図を示す。
図53は、図52の回路構成の弾性表面波フィルタを具体化した構造を示す。
図54及び図55は、図52,53の弾性表面波フィルタの特性を示す。
1)実施例の概要
説明の便宜上、まず本実施例の概要について説明する。
説明の便宜上、まず本実施例の概要について説明する。
本実施例の弾性表面波フィルタは、直並列に弾性表面波共振器を接続し、これを複数個多段化した梯子型の弾性表面波フィルタにおいて、直並列共振器1つずつからなる単位区間の間のイメージインピーダンスの整合を図り、各接続点での損失を減らす構成としたものである。
これにより、通過帯域における挿入損失を低減することが可能となる。
2)発明の完成までの思考過程
次に、本発明の完成までの思考過程について説明する。
次に、本発明の完成までの思考過程について説明する。
図56(A),(B)に示すように少なくとも1個づつの直列腕共振器と並列腕共振器の梯子型接続により、バンドパス特性を得ることができる。なお、この一個づつの直列腕共振器と並列腕共振器の梯子型接続が、フィルタの単位区間となる。
この際、直列腕共振器の共振周波数と並列共振器の反共振周波数は一致若しくは、通過帯域幅拡大の上から前者が後者より高い周波数を持つことが望ましい。図56(A),(B)の単位区間は互いに入出力端が直列腕であるかで、二つのタイプがあり、これらを多段に接続したものは、図57(A),(B),(C)に示すように3つのタイプに分類される。
図57(A)は入出力側の一方が直列腕で他方が並列腕である場合、(非対称型)、(B)は入出力端共に並列腕である場合(対称型)、同図(C)は入出力端共に直列腕である場合(対称型)である。
このように多段化した場合、挿入損失、帯域外抑圧度ともに単位区間のn倍となり、一般に挿入損失は悪くなるものの、帯域外抑圧度は改善する。とくに単位区間の損失が0に近い場合はこの多段化は有効である。
しかしながら、単位区間同士の通過帯域におけるインピーダンス整合が適切でないと、挿入損失が理論的なn倍よりもさらに悪化する。
インピーダンス整合が適切でないと、単位区間の境界(図57中の線1−1’からn−n’までの各境界)で電力の反射が起こり、損失増加となるからである。
単位区間同士の電力反射をГとすると損失もn10log(Г)となる。従って単位区間同士のインピーダンス整合をはかり、境界での電力反射を押さえることにより、挿入損失の増加を極力押さえることが重要である。
次に、単位区間同士のインピーダンス整合を図る方法について説明する。
図58に示すように、一般に2つの異なる4端子定数(F行列の4つの定数A,B,C,D)をもつ回路同士を、インピーダンス整合を図って接続する場合、境界b−b’からそれぞれの回路側を見たイメージインピーダンスが互いに等しいと置けば良い。
図58に示すように回路1側をみたイメージインピーダンスZi1は、回路1の4端子定数A1,B1,C1,D1を使って次式のように表される。
同様に回路2側をみたイメージインピーダンスZi2は、次式のように表される。
これらのイメージインピーダンスは負荷抵抗(純抵抗)R0とは無関係に決まる。
(21)式と(22)式を等しいと置くと、次式のようなインピーダンス整合条件が求まる。
D1B1/C1A1=A2B2/C2D2 …(23)
D1B1/C1A1=A2B2/C2D2 …(23)
図59は、前述のインピーダンス整合条件を梯子型回路の単位区間に適用した場合を示す。
図59(A)は、インピーダンス整合が悪い接続方法で、(23)式の条件を満たさない。
境界b−b’から右側をみた反射係数Гは、
となる。ZsYpは実際の素子では通過帯域でも完全に0とはならないためГも0にはならない。
これに比べ、図59(B)、または図59(C)は境界b−b’で(23)式の条件を満たすため反射は0となり、損失は生じない。
例えば、図59(B)の場合、境界b−b’から左側みたイメージインピーダンスは、(21)式から、
となる。境界b−b’から右側をみたイメージインピーダンスZi2も(22)式から求めると、Zi1と等しくなることが分かる。
従ってインピーダンス整合がとれ、境界での反射係数は0となる。
図59(C)も同様にインピーダンス整合がとれていることが証明される。
次に図59(B),(C)のような接続法を利用して単位区間を多段接続する方法を考察する。
図60(A)は、図59(B),(C)の接続法を交互に繰り返して単位区間をn(>2)段接続した回路を示す。このような接続方法をつかえば、前述の理由から何段接続しても各単位区間の電力反射は起こらない。
図60(A)の構成で、互いに隣接しあう並列腕の共振器同士、または直列腕の共振器同士を加えてひとまとめにすると図60(B)と等価になる。
この結果、最も入出力端に近い腕のみがそれより内側の腕に対して半分の大きさのインピーダンスあるいはアドミタンス値をもつようになることがわかる。
図57で示した3種類の多段化の仕方に対してこの原理を適用すると、インピーダンス整合を図った接続法として、それぞれ図61(A),(B),(C)の方法が得られる。
図61(A)は図57(A)に対応する整合化接続法で、入出力端のどちらか一方が直列腕で、他方が並列腕の場合である。この場合は、端部の直列腕共振器のインピーダンス値は、内側直列腕共振器のインピーダンス値の半分であり、また、他方の端部の並列腕共振器のアドミタンス値も、内側の並列腕共振器のアドミタンス値の半分である。
同様に図61(B)は図57(B)の、また図61(C)は図57(C)の整合化接続法である。
図61(B)の場合は両端部が並列腕の場合で、両端部の並列腕共振器のアドミタンス値は、それより内側の並列腕共振器のアドミタンス値の半分となっている。
図61(C)の場合は両端部が直列腕の場合で、両端部の直列腕共振器のインピーダンス値は、それより内側の直列腕共振器のインピーダンス値の半分となっている。
3)実施例12の構成
次に、上記の考え方に基づく、本発明の第12実施例について説明する。
次に、上記の考え方に基づく、本発明の第12実施例について説明する。
図52は本発明の第12実施例になる弾性表面波フィルタ250の基本的構成を示す。
この弾性表面波フィルタを具体化すると、図53に示す如くになる。
3つの直列腕共振器(Rs1,Rs2,Rs3)と3つの並列腕共振器(Rp1,Rp2,Rp3)とから成り、それぞれ図52に示す等価回路のように接続されている。これらの6つの共振器は共に開口長(90μm)が同じであり、且つ電極指対数(100対)も同じである。また、各共振器は同図に示すような短絡型の反射器を両側に有し、Qを高めている。反射器の対数は100対程度である。
直列腕共振器(Rs1〜Rs3)はすべて同じ長さの電極指周期(λs)であり、λs=4.19μmである。又、並列腕共振器(Rp1〜Rp3)の周期は、これと異なる周期λp=4.38μmとしてある。
比較の対象として、この構成に対する比較例を図62に示す。
図52及び図62の両方について、インピーダンスZsで示される直列腕の一端子弾性表面波共振器の設計条件は、開口長90μm、対数100対である。アドミタンスYpで示される並列腕の一端子対弾性表面波共振器も同じ条件である。
圧電基板結晶は、36°YカットX伝搬LiTaO3を用い、その上に弾性表面波共振器として3000ÅのAl合金膜の櫛形パターンが形成してある。
図54中、実線251は図53のフィルタ250の特性を示す。破線252は図62の比較例のフィルタの特性を示す。両者より本実施例のフィルタ250の方が、低損失化されていることがわかる。特に通過帯域の両端での改善が大きい。
次に図62の比較例のフィルタにおいて、単位区間(3)のアドミタンスYpで表される並列共振器のみ、対数を100対から80対に減らしてアドミタンスYpの値を小さくした時の通過特性を図55中、線253で示す。同様に挿入損失が改善されていることが分かる。従って、端部のアドミタンス値は1/2としなくとも、内側のアドミタンス値より減らすだけでも、十分ではないが効果があると言える。インピーダンス値に対しても同様である。
以上、図61(A)の基本形に対する実施例を示したが、これは中央部に多数の単位区間が増えても同様な効果を有する。
〔実施例13〕
図63は、本発明の第13実施例になる弾性表面波フィルタ260である。
図63は、本発明の第13実施例になる弾性表面波フィルタ260である。
この弾性表面波フィルタは、図61(B)に示す構成方法に基づいたものである。この弾性表面波フィルタ260は、図54の線251で示したものと同様な損失低減効果をもたらす。
〔実施例14〕
図64は、本発明の第14実施例になる弾性表面波フィルタ270である。
図64は、本発明の第14実施例になる弾性表面波フィルタ270である。
この弾性表面波フィルタは、図61(C)に示す構成方法に基づいたものである。この弾性表面波フィルタ270も、図54の線251で示したものと同様な損失低減効果をもたらす。
〔実施例15〕
次に本発明の第15実施例になる弾性表面波フィルタについて図65及び図66等を参照して説明する。
次に本発明の第15実施例になる弾性表面波フィルタについて図65及び図66等を参照して説明する。
1)実施例の概要
説明の便宜上、まず本実施例の概要について説明する。
説明の便宜上、まず本実施例の概要について説明する。
本実施例は、通過帯域における挿入損失を決定している原因として、櫛形電極の抵抗分とコンダクタンス分に着目し、直列配列の共振器に対しては抵抗分を減少させ、並列腕の共振器に対しては、コンダクタンス分を減少させることによりこれらを梯子型に組んだ時のフィルタ特性の挿入損失を低減させるものである。
次に、本発明の背景等について説明する。
2)本発明の背景
図65に直列腕と並列腕にそれぞれ共振周波数(frs,frp)の異なる2つの弾性表面波共振器を配置した梯子型フィルタ回路の基本構成を示す。
図65に直列腕と並列腕にそれぞれ共振周波数(frs,frp)の異なる2つの弾性表面波共振器を配置した梯子型フィルタ回路の基本構成を示す。
ここで、並列腕共振器のアドミタンスを、
Yp= g + j・b …(26)
g:コンダクタンス分
b:サセプタンス分
とする。
Yp= g + j・b …(26)
g:コンダクタンス分
b:サセプタンス分
とする。
また直列腕共振器のインピーダンスを、
Zs= r + j・x …(27)
r:抵抗分
x:リアクタンス分
とする。
Zs= r + j・x …(27)
r:抵抗分
x:リアクタンス分
とする。
このように仮定すると、g,b,r,xの周波数特性は図69のようになる。
並列腕共振器のアドミタンスYpのサセプタンス分b(図69中の点線)は、共振周波数frpで最大値をとり、そこで符号を+から−へ変え、反共振周波数fapで0(零)となり、fap以上で符号が再び+になり、少しづつ増大してゆく。
一方、Ypのコンダクタンス分g(図69中の一点鎖線)は、同様にfapで最大値をとり、fapを越えると急激に減少し、除々に0に近づいていく。
尚コンダクタンス分gは+の値しかとらない。
直列腕共振器のインピーダンス分Zsのリアクタンス分x(図69中の実線)は、アドミタンスとは逆で共振周波数frsで0となり、反共振周波数fasで最大値をとり、さらに+から−へ符号を変え、fas以上では一側から0へ近づいていく。
また、抵抗分rは0から徐々に増加してゆき、反共振周波数fasで最大値をとり、それ以上で徐々に減少していく。rもgと同様に+の値しかとらない。
ここで、フィルタ特性を作るためには、前記並列共振器の反共振周波数fapと直列共振器の共振周波数frsとは略一致もしくは後者がやや大きいことが条件である。
図69の下部に上のインピーダンス、アドミタンスの周波数特性に合わせて、フィルタ回路としての通過特性を示す。fap≒frs近傍で通過帯域をとり、それ以外では減衰領域となる。同図からも明らかなように、通過帯域の特に中心周波数近傍ではb及びxは0になる。
従って、フィルタとしての通過特性はS21は、rとgのみで決まり、
となる。
こゝで、r>0,g>0であるので、(28)式はr,g共に増加するほどS21は1より小さくなり、20log|S21|で表される挿入損失も増大していく。
従って、r,gは共に0に近い程、挿入損失は小さいことになる。
次に、r,gは弾性表面波共振器を形成する櫛形電極のどのような部分から生じているのかを説明する。
こゝでは、図3(B)中、r1をも考慮に入れて考える。
r1は櫛形電極の電気抵抗分及び櫛形電極指の各端部から基板内部へバルク波となっと漏れていくエネルギー損失分を音響抵抗分として表したものを合計したものである。
今、バルク波放射による抵抗分は櫛形電極の形状に殆ど依存しないため、櫛形電極の電気抵抗r1に比例する。特にx=0の中心周波数近傍ではr=r1となる。また、並列腕共振器のアドミタンスのコンダクタンス分gは、櫛形電極の電気抵抗のコンダクタンス1/r1に比例する。
今、櫛形電極の電極指の抵抗率をρo、電極指の幅をW、膜厚をtとし、直列腕共振器の開口長をls、対数をNsとすると、
r=ls・ρo/(Ns・W・t) …(29)
となる。
r=ls・ρo/(Ns・W・t) …(29)
となる。
また、並列腕共振器の開口長をlp、対数をNpとすると、同一基板、同一金属膜を使う場合はρo ,W,tはほぼ等しいから、
g=Np・W・t/(lp・ρo)…(30)
となる。
g=Np・W・t/(lp・ρo)…(30)
となる。
従って、(28)式における挿入損失における増加分は、
r+50r・g+2500g
=ls・ρo/(Ns・W・t)+50・(ls/lp)・(Np/Ns)
+2500・Np・W・t/(lp・ρo)…(31)
となる。
r+50r・g+2500g
=ls・ρo/(Ns・W・t)+50・(ls/lp)・(Np/Ns)
+2500・Np・W・t/(lp・ρo)…(31)
となる。
(31)式より、直列腕共振器は開口長lsが短く、対数Nsが多い程、また、並列共振器は開口長lpが長く、対数Npが少ない程、損失低減に効果があることが分かる。特に、ls/lp<1,Np/Ns<1である程、言い換えれば開口長は、直列腕共振器の方が並列腕共振器より短い方が、対数は、直列腕共振器の方が並列腕共振器より多い方が一層効果がある。
ここで、この理由について述べる。
上記(31)式において、r=rs(rs:直列腕共振器の電気抵抗)及びg=1/rp(rp:並列腕の電気抵抗)であるから
r+50r・g+2500g=rs+50(rs/rp)+2500(1/rp)
となる。従って、(rs/rp)<1、即ちrs<rpであれば挿入損失の増大は抑制できる。
r+50r・g+2500g=rs+50(rs/rp)+2500(1/rp)
となる。従って、(rs/rp)<1、即ちrs<rpであれば挿入損失の増大は抑制できる。
なお、この場合lsをあまり狭め過ぎると表面波の回折による損失が現れ、逆にlpを長くしすぎると抵抗増大による並列共振器のQ低下を招き、低周波側の帯域外抑圧度が悪くなるため、その大きさには限度がある。
さらに櫛形電極を形成している金属膜の膜厚を直列腕の方をts、並列腕の方をtpとすると(31)式は次のようになる。
r+50r・g+2500g
=ls・ρo/(Ns・W・t)+50・(ls/lp)・(Np/Ns) (tp/ts)+2500・Np・W・tp/(lp・ρo)…(32)
従って、tp/tsとすることで同様に損失を低減できる。
r+50r・g+2500g
=ls・ρo/(Ns・W・t)+50・(ls/lp)・(Np/Ns) (tp/ts)+2500・Np・W・tp/(lp・ρo)…(32)
従って、tp/tsとすることで同様に損失を低減できる。
この他にも抵抗率の異なる(ρos,ρop)2種類の金属膜からなる共振器を、直列腕と並列腕に配置してフィルタを作り、ρos/ρop<1とすることも可能であるが、実際に素子をつくる場合、量産性等を考慮すると実際的ではない。
3)実施例15の構成
次に、上記考え方を採用した実施例について説明する。
次に、上記考え方を採用した実施例について説明する。
図65は本発明の第15実施例の弾性表面波フィルタ280の回路構成を示す。
図66は図65の回路構成を具体化した構造を示す。用いた圧電膜241は36°YカットXLiTaO3であり、電極材料は3000ÅのAl膜である。
比較例は、直列腕、並列腕共に、櫛形電極の開口長ls=lp=90μm、対数Np=Ns=100対であるのに対し、本実施例では、直列腕を、ls=45μm、Ns=200対、並列腕をlp=180μm、Np=50対とした。lp>lsであり、Ns>Npである。また、ls/lp=0.25及びNp/Ns=0.25である。
この時、対数と開口長の積で形状的に決まる櫛形電極の静電容量COは変わらないようにした。
図66の実線281が本実施例の特性、破線282が比較例の特性である。従来では損失が2.5dBであったものが本実施例により2.0dBとなり、本実施例により0.5dB以上改善した。即ち、フィルタの挿入損失がdB換算で25%も改善された。
また、本実施例の場合、直列腕共振器の対数を増加したことにより、耐電力性も向上し、印加可能な最大電力が20%向上した。
以上の実施例の場合、ls=30μm以下で回折損が現れ始め、lp=300μm以上で低周波側の帯域外劣化が起こり始めたことから、これらの値が限度であった。
以上、直列腕の電気抵抗を下げ、並列腕の電気抵抗を上げる(コンダクトタンスを下げる)ことにより、通過帯域の挿入損が改善されることは明らかである。
また、並列腕共振器の膜厚を直列腕共振器の膜厚より薄くした構成とすることもできる。この構成によっても、上記実施例の場合と同様に、通過帯域の損失を少なくできる。
60,90,100,110,120,130,240,250,260,270,280:弾性表面波フィルタ
80,150 :弾性表面波フィルタ装置
81 :セラミックパッケージ
82 :フィルタチップ
83 :蓋
84-1〜85-6 :電極端子
85-1〜85-5 :端子
86-1〜86-5 :ボンディングワイヤ
124,125 :減衰極
127 :阻止域
131,201,211 :励振電極
132,133,160,161,166,167,202,203,212,213,242:反射器
220,221,230,231 :マイクロストリップライン
241 :36°YカットX伝搬LiTaO3基板(チップ)
301 :積層基板
302 :支持基板
303 :高音速膜
304 :低音速膜
305 :圧電膜
306 :IDT電極
322、324:媒質層
Rs1,Rs2 :直列腕共振器
Rp1〜Rp3 :並列腕共振器
80,150 :弾性表面波フィルタ装置
81 :セラミックパッケージ
82 :フィルタチップ
83 :蓋
84-1〜85-6 :電極端子
85-1〜85-5 :端子
86-1〜86-5 :ボンディングワイヤ
124,125 :減衰極
127 :阻止域
131,201,211 :励振電極
132,133,160,161,166,167,202,203,212,213,242:反射器
220,221,230,231 :マイクロストリップライン
241 :36°YカットX伝搬LiTaO3基板(チップ)
301 :積層基板
302 :支持基板
303 :高音速膜
304 :低音速膜
305 :圧電膜
306 :IDT電極
322、324:媒質層
Rs1,Rs2 :直列腕共振器
Rp1〜Rp3 :並列腕共振器
Claims (5)
- 圧電膜/低音速膜/高音速膜/支持基板の積層構造からなる積層基板と、
前記積層基板上に形成されたIDT電極と、を備え、
一つの前記積層基板上に、前記前記IDT電極を用いて形成された弾性表面波共振器により構成される複数の並列腕と直列腕とが梯子型に接続されて形成され、バンドパス特性を有することを特徴とする弾性表面波フィルタ。 - 前記各弾性表面波共振器は、それぞれ重ならない伝搬路を有することを特徴とする請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
- 所定の共振周波数(frp)を有する第1の一端子対弾性表面波共振器を前記各並列腕に、該第1の共振器の反共振周波数(fap)に略一致するか若しくはより大きな共振周波数(frs)をもつ第2の一端子対弾性表面波共振器を前記各直列腕に接続し、
該第2の一端子対弾性表面波共振器を形成する櫛形電極の電気抵抗分(rs)が、該第1の一端子対弾性表面波共振器を形成する櫛型電極の電気抵抗分(rp)よりも小さい構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性表面波フィルタ。 - 該第2の一端子対弾性表面波共振器を形成する櫛形電極の電気抵抗分(rs)を、該第1の一端子対弾性表面波共振器を構成する櫛型電極の電気抵抗分(rp)よりも小さくする手段は、該第2の一端子弾性表面波共振器を構成する櫛形電極の開口長(ls)が、該第1の一端子対弾性表面波共振器を構成する櫛形電極の開口長(lp)よりも短く、かつ、該第2の一端子対弾性表面波共振器を構成する櫛形電極の対数(Ns)が、該第1の一端子対弾性表面波共振器を構成する櫛形電極の対数(Np)よりも多くした構成であることを特徴とする請求項3に記載の表面波フィルタ。
- 第2の一端子対弾性表面波共振器を形成する櫛形電極の電気抵抗分(rs)を、該第1の一端子対弾性表面波共振器を構成する櫛型電極の電気抵抗分の(rp)よりも小さくする手段は、該第1の一端子対弾性表面波共振器を構成する金属薄膜製の櫛形電極の膜厚を、該第2の一端子対弾性表面波共振器同じ金属の膜厚よりも薄くした構成であることを特徴とする請求項3に記載の弾性表面波フィルタ。
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CN112106297A (zh) * | 2018-05-14 | 2020-12-18 | 株式会社村田制作所 | 多工器、高频前端电路以及通信装置 |
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JP2000174586A (ja) * | 1991-10-28 | 2000-06-23 | Fujitsu Ltd | 弾性表面波フィルタ |
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2013
- 2013-12-20 JP JP2013263582A patent/JP2015119451A/ja active Pending
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