JP3428296B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

熱延鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面性状および延
性に優れた引張り強さが40kgf/mm2 以下の熱延
鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭59-143021 号公報では、延性鋼板
の経済的な製造方法の一つとして、所定成分の鋼を溶製
後、連続鋳造によりスラブとした後、直ちに熱間圧延を
施すことにより、スラブ再加熱のエネルギーコストを低
減し、且つ延性を改善する延性鋼板の製造方法が提案さ
れている。この方法はエネルギー原単位低減には非常に
有効なプロセスであるが、熱延後の鋼板表面に欠陥が多
発するため、表面品質の厳格な用途に対しては適用が困
難であり、良好な表面性状と鋼板の延性を両立させるこ
とが極めて困難であった。このような表面欠陥の発生
は、スラブ凝固後から熱延段階においての鋼中Sの挙動
に密接な関係がある。
【0003】鋼中のSは高温のγ領域においては固溶S
として存在するが、冷却に伴いFeあるいはMnと反応
して硫化物を形成する。特に、SがFeSとして鋼中に
存在すると、FeSの融点は約1000℃とγの低温域
まで液相として存在するため、熱延段階において液相F
eSに応力が集中してしまい、FeSの優先発生サイト
であるγ粒界から割れが発生し、最終製品での鋼板表面
性状を著しく劣化させることはよく知られている。一般
に、このようなFeSに起因した熱間脆性を防止するた
めに、鋼にMnを添加することによりFeSより安定で
γ域では固相状態で存在するMnSあるいは(Fe,M
n)SといったMnを含む硫化物(以下Mn系硫化物と
呼ぶ)として固溶Sを固定することが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スラブ
に連続鋳造後、直接熱間圧延を施すようなプロセスにお
いては、凝固後、連続冷却段階において圧延されるた
め、Mn系硫化物により固溶Sを完全に固定することが
できず、残存固溶Sと地鉄との反応による溶融FeSに
よる表面割れが発生しやすい。このような熱間脆性は熱
延の粗圧延および引き続く仕上げ圧延のいずれにおいて
も発生するが、粗圧延で発生した表面割れは、粗圧延終
了から仕上げ圧延開始までに生成するスケールにより消
費されるため問題とならないが、より低温でおこなわれ
る仕上げ圧延においては表面スケール生成量が少ないた
め表面割れが顕在化する。また、このようなFeSはγ
粒界にフィルム状に存在するため、熱延終了後の最終製
品においても、特に局部伸び領域での破断の起点となる
ため鋼板の延性を劣化させてしまう。また、Mn添加に
よりMn系硫化物として固溶Sを析出させる場合も、鋳
造後のスラブ冷却段階で熱間圧延を施す時には、Mn系
硫化物が微細に析出するため、γ粒界に析出した微細な
Mn系硫化物による粒界延性破壊が顕著となり、γ域の
低温であるほど微細Mn系硫化物が増加するため圧延時
の表面割れが顕著となり、鋼板の表面性状を劣化させ
る。
【0005】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたもので、優れた表面性状と延性を有する熱延鋼板
を歩留りの低下を伴うことなしに、しかも経済的に製造
することのできる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、C含有量が
0.01%〜0.07%の低炭素鋼を素材とし、熱延鋼
板としての最終製品の表面性状と延性を良好とするた
め、連続鋳造後の熱延工程で鋼中のSを硫化物として適
正な形態に制御することにより、比較的低いコストで鋼
中Sの硫化物析出に起因した表面欠陥発生を防止すると
ともに、粗大な硫化物に起因した最終製品での延性の低
下を防止することにより、熱延鋼板の表面性状および延
性を改善しようとするものである。
【0007】すなわち、第一の発明は、重量%で、C:
0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.3%、M
n:0.05〜1.0%、P:0.03%以下、sol.A
l:0.001〜0.1%、S:0.001〜0.02
5%、N:0.005%以下、残部Fe及び不可避的不
純物からなる熱延鋼板の製造方法において、連続鋳造直
後のスラブをAr3 点以下に冷却することなく直ちに粗
圧延により粗バーとした後、粗バーの温度を900℃以
上から下式(1)に規定される温度T(℃)までの温度
範囲内まで冷却し、上記温度範囲内に粗バー温度が達し
た後、粗バー全体を加熱速度2℃/秒以上で温度上昇量
40℃以上まで加熱し、次いで熱間仕上げ圧延を施しA
r3 点以上で終了し、550℃以上で巻取ることを特徴
とする熱延鋼板の製造方法である。
【0008】第二の発明は、連続鋳造により長さ12m
〜40mのスラブとする方法で、第三の発明は、Ar3
点以上の温度で粗圧延を施してシートバーとした後、一
旦シートバーを巻取り、次いで巻き戻しながら再びシー
トバーを加熱速度2℃/秒以上で温度上昇量40℃以上
まで加熱し、次いで熱間仕上げ圧延を施しAr3 点以上
で終了し、550℃以上で巻取ること熱延鋼板の製造方
法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の表面性状及び熱
延に優れた深絞り用熱延鋼板の製造方法について詳細に
説明する。 (1) まず、鋼の化学組成の添加理由及び限定理由につい
て述べる。 C:0.01〜0.07% Cは鋼の強度を上昇させる元素である。C量が0.01
%未満では所定の強度が得られず、また、粒成長性が大
きくなり、熱延後のフェライト粒径の増大に伴う鋼板の
成形加工後の2次加工脆性が生じやすくなる。一方、C
量が0.07%を越えると引張り強度を40kgf/m
2 以下にすることができない。
【0010】Si:0.01〜0.3%以下 Si量が0.01%未満では所定の強度が得られない。
また、Siは鋼板の表面性状に悪影響をおよぼすだけで
なく、鋼の強度を上昇させる効果があり、引張り強度を
40kgf/mm2 以下にすることができないため、強
度鋼板の延性を維持する観点から、その含有量の上限を
0.3%に限定する。
【0011】Mn:0.05〜1.0% Mnは、鋼を強化する作用があり、強度に応じて必要量
含有させるものである。しかし、Mn量が1.0%を越
えると鋼板の延性が低下し深絞り性に悪影響をおよぼす
ため上限を1.0%とする。また、Mn含有量を0.0
5%未満になると、熱延段階の固溶SをMnSとして固
定できず、固溶Sの存在に起因した鋼板の表面疵が発生
しやすくなるため下限は0.05%程度とする。
【0012】P:0.03%以下PはMnと同様に、鋼
を強化する作用があり、強度に応じて必要量含有させる
ものである。P含有量が0.03%を越えると熱延後の
フェライト粒界にPが偏析し、粒界強度が低下し、鋼板
のプレス成形後に2次加工脆性が生じやすくなるため
に、上限を0.03%とする。
【0013】sol.Al:0.01〜0.1% sol.Alは、鋼の脱酸のために有効な元素である。しか
しながら、sol.Alの含有量が0.01%未満ではその
効果が不十分であり、一方、sol.Alが0.1%を越え
ると脱酸生成物である介在物の量が増加して、加工性が
劣化する。したがって、sol.Alの含有量は、0.01
〜0.10%の範囲内に限定する。
【0014】S:0.001〜0.025% Sは熱延段階においてMnS等の硫化物系介在物を形成
するが、S量が0.025%を越えると、硫化物の析出
量が高くなり、鋼板の成形加工時の亀裂発生点になるた
め、鋼板の局部伸びが著しく劣化する。またS量が0.
025%を越えると硫化物系介在物量が増加するだけで
なく、低融点(約980℃)のFeSが熱延中に液相状
態で存在することにより鋼板表面に欠陥が発生してしま
うため、鋼板の表面性状が損なわれる。一方、S量が
0.001%未満となると、熱延段階でのスケール剥離
性が低下してしまい、鋼板表面に部分的にスケールが残
存したまま仕上げ圧延において押し込まれてしまい、最
終製品において押し込み疵と呼ばれる欠陥が発生してし
まうため、鋼板の表面性状を良好に保つ上で望ましくな
い。
【0015】N:0.005%以下 Nは、加工性を高めるために少ない方が好ましく0.0
05%以下に限定する。
【0016】(2) 次に製造条件の限定理由を述べる。ま
ず、本発明においては鋼を溶製し連続鋳造によりスラブ
とした後、Ar3 点以下に冷却することなく直ちに粗圧
延を行う。直ちに粗圧延を行う理由は、スラブ温度冷却
に伴うスラブ再加熱によるエネルギーコストを低減する
のに効果的であるためである。但し、スラブ表面あるい
はコーナー部での温度低下を補償するために、オンライ
ンでの軽加熱処理あるいは、短時間の再加熱炉での軽加
熱処理はスラブ全体の温度を均一にするために有効な手
段であり、本発明において採用することができる。
【0017】次いで、粗バーの温度を900℃以上で鋼
中Mn含有量、Mn%と鋼中S含有量、S%から下式
(1)に規定される温度T(℃)以下の温度範囲内の温
度まで冷却する。そして、この温度に達してから加熱を
行う。T=9020/{2.929−log(Mn%)・(S%)}−27
3 …(1) この温度に達してから加熱を行うのは、9
00℃未満ではγ−α変態によりFeSがγ粒界にフィ
ルム状に生成され熱間延性が低下し、また、T(℃)以
上ではMnSが析出していないため粗バーを再度加熱し
てもMnSの無害化を図れないためである。ここでの加
熱条件は、粗バー全体を加熱速度2℃/秒以上で温度上
昇量40℃以上まで加熱する。粗バーの加熱においては
粗バーの温度上昇量を40℃としなければならない理由
は、スラブ直送圧延にともなうMnSの微細析出を緩和
し、熱間延性を良好にすることにより熱延鋼板の表面性
状を良好にするとともに、MnS粒子によるγ粒の細粒
化を防止し、軟質高延性にするためであり、40℃未満
ではその効果が不十分である。
【0018】また、粗バー加熱時の加熱速度を2℃/秒
以上とした理由は、2℃/秒未満では粗バー表面が過酸
化状態となり、仕上げ圧延時の脱スケール性が低下し鋼
板にスケール性欠陥が発生するためである。
【0019】次いで、熱間仕上げ圧延を施しAr3 点以
上で終了して最終目標板厚とし、550℃以上で巻取
る。Ar3 点以上以上で終了する理由は、Ar3 温度未
満で圧延が終了すると、粗大な結晶粒が鋼板表面から発
達し、最終熱延板の延性を著しく低下させるためであ
る。巻取り温度を550℃以上とする理由は、巻取り温
度が550℃未満になると鋼中のCが十分にセメンタイ
トとして析出しなくなり、同様に鋼板の延性が低下して
しまうためである。
【0020】従来の仕上げ圧延では、スラブが長いと、
圧延機入側において粗バー後端部が待機している間に粗
バー温度が低下してしまい、仕上げ終了温度がAr3
以下となり、鋼板の延性を劣化させる粗大組織が発達し
てしまう。このため、従来のスラブ長さには制約があっ
た。しかし、本発明法によれば仕上げ圧延機入側で、粗
バー全体を加熱し昇温できるため、従来のスラブ長さよ
り長い12m以上のスラブ長さで良好な表面性状および
延性を確保することができる。ただし、40m以下が好
ましい。
【0021】また、本発明では、粗圧延を施してシート
バーとした後、このシートバーを一旦コイルボックスに
巻取り、このことによりシートバーの先端および後端の
温度差を低減し、引続いて巻き戻しながら再びシートバ
ーを加熱速度2℃/秒以上で温度上昇量40℃以上まで
加熱し、次いで熱間仕上げ圧延を施すことにより、さら
に表面性状および延性の均一化を促進することができ
る。
【0022】(3) 本発明における仕上げ圧延前での粗バ
ーのインライン熱処理(粗バーの冷却、再加熱)及びそ
の加熱条件は、本発明者の実験に基づき得られたもので
ある。以下に、その実験例について説明する。
【0023】(実験1) 実験室真空溶解炉において表1に示すような低炭素Al
キルド鋼を溶製し鋳造によりインゴットとした後、この
鋼塊より平行部直径6mmの丸棒引張り試験片を採取し
た。このサンプルを高周波で加熱処理しながら真空中に
て歪み速度22/秒で引張り試験を行い、破断時の破断
部の絞り率(RA)を測定した。この試験における熱サ
イクルを図1に示すように、一旦1350℃まで加熱
し、10分均熱することにより鋳造直後のMnSなどの
硫化物や、AlN、セメンタイトなどの析出物を完全に
溶解させて、鋳造直後の組織を再現した。引き続き、熱
サイクル(A)においては、冷却速度−20℃/秒でγ
域の所定の温度に到達した後、その温度で高温引張りに
より試験片を破断させた。一方、熱サイクル(C)にお
いては、1350℃に10分試験片を保持後冷却速度−
20℃/秒でγ域の所定温度まで冷却したのち、加熱速
度7℃/秒で試験片を20℃から60℃の温度上昇量、
ΔT(℃)加熱した後、引張り試験を行った。ここで、
表1に示した鋼のAr3 温度は850℃で、T=902
0/{2.929−log(Mn%)・(%S)}−2
73=1259℃である。各熱サイクルにおける高温引
張り試験破断時の絞り率、RAの試験温度に伴う変化を
図2に示す。いずれの試験温度においても、熱サイクル
(A)による絞り率は、熱サイクル(C)に比べて低
い。また、サイクル(C)においても試験前の加熱温度
上昇量が大きいほど、同一試験温度での絞り率は高くな
る。ここで、このような高温引張り試験における破断時
の絞り率は、鋼の熱間延性を示しており、絞り率が低い
と熱延時の微小な表面割れが発生しやすくなり、熱延鋼
板の表面欠陥となる。図2に示すような温度低下に伴う
熱間延性の低下は、鋼中SがMn,Feと反応して硫化
物がγ粒界および粒内に微細に析出し、特に加工中にγ
粒界の微細な硫化物に起因した粒界延性破壊が顕著とな
るためである。サイクル(C)において絞り率が改善さ
れるのは、引張り加工前の加熱処理によりγ粒界上の微
細硫化物の凝集粗大化反応が促進され、粒界延性破壊の
起点としての硫化物数が減少することによるものであ
る。一方、このような硫化物の凝集粗大化反応を促進す
るために、試験温度での等温保持も考えられるため、図
1のサイクル(B)に示すように、各試験温度において
5分および10分等温保持後、高温引張り試験を行っ
た。サイクル(A)に比較しサイクル(B)での等温保
持による絞り率の改善効果は高温ほどみられるものの、
サイクル(C)の加熱処理ほど顕著ではない。これは、
硫化物の凝集粗大化反応において、Mnの拡散速度が律
速となるが、等温保持による凝集粗大化促進より、温度
上昇によるMnの拡散速度を速くすることが効果的であ
ることを示している。また、絞り率が80%を越えると
熱延段階での熱間延性低下に伴う表面欠陥の発生は皆無
となるため、本実験結果より仕上げ圧延の温度領域であ
る1150℃以下での絞り率改善のためにはサイクル
(C)が最も効果的に表面欠陥を低減できる方法である
ことが明らかとなった。
【0024】即ち、実験1から、γ域の所定温度まで冷
却した後試験片を40℃以上まで加熱する熱サイクルを
行うことにより、仕上圧延での鋼板の絞り率を改善する
ことがわかる。
【0025】
【表1】
【0026】(実験2) 実験室真空溶解炉において表2に示すような低炭素Al
キルド鋼を溶製し3種類の熱サイクルにより熱間圧延を
施し、引張り試験による機械的特性に及ぼす熱延時の熱
サイクルの影響について検討した。熱サイクル(1)で
は、従来のスラブ再加熱熱延法を再現するため、この溶
鋼を鋳造後一旦室温まで冷却した後、再度1200℃ま
で再加熱し、1h均熱後熱間圧延を行い900℃で3.
2mmまで仕上げ圧延を終了し、620℃×1hの巻取
り処理をした。サイクル(3)では、鋳造後スラブを直
接熱間圧延に供するため、鋳造後インゴットを直ちに抽
出してAr3 点以下に温度低下をすることなく熱間圧延
を施し、900℃で3.2mmまで仕上げ圧延を終了
し、620℃×1hの巻取り処理をした。熱サイクル
(2)ではサイクル(3)と同様に鋳造後インゴットを
直ちに抽出した後、1050℃まで冷却したところで高
周波誘導加熱装置にて材料全体を加熱速度2℃/秒で6
0℃加熱昇温した後熱間圧延を施し3.2mmまで仕上
げ圧延を終了し、620℃×1hの巻取り処理をした。
これら3種類の熱サイクルにより熱間圧延した熱延板の
圧延方向および圧延直角方向の引張り特性を調査するた
め、JIS5号試験を採取し引張り速度10mm/分で
引張り試験を行った。
【0027】
【表2】
【0028】その結果を図3に示すように、スラブを直
接熱間圧延に供するサイクル(2)および(3)の引張
り試験における伸びは、スラブを一旦冷却後再加熱した
後熱間圧延を施すサイクル(1)に比較して圧延方向と
圧延直角方向の伸びの差が小さいのが特徴である。サイ
クル(1)においては、3種類の熱サイクルの中で最も
引張り強度が低く軟質化されており、圧延方向の伸びは
最も高いが、圧延直角方向の伸びに関しては、素材が軟
質化されても低い値を示している。これは、鋳造後のス
ラブ冷却段階において、凝集粗大化したMnSがスラブ
再加熱段階において再溶解せずに残り、引き続く熱延段
階においてこの粗大なMnSが圧延方向に展伸されたた
め、このMnSの展伸方向に直角な方向すなわち圧延直
角方向に引張り試験をすると、ネッキング発生後の局部
伸び領域においてこの粗大なMnS粒子廻りでのマイク
ロボイドが発生しやすくなり、破断しやすくなるためで
ある。これに対して、サイクル(2)および(3)では
鋳造後スラブの冷却段階におて熱間圧延を行うため、M
nSが粗大に凝集粗大化する時間がなく、熱延板におい
てサイクル(1)のような展伸したMnSは存在しない
ため、圧延直角方向の伸びの低下はなく、圧延方向と同
等の値を示している。しかし、サイクル(3)の強度−
延性バランスはサイクル(2)に比較し高強度−低延性
である。これは、熱延前段階においてMnS粒子が母材
に析出していることによりγ粒が細粒化されたことによ
るものである。一方、サイクル(2)においては、熱延
前の加熱昇温によりMnS粒子の凝集粗大化が図れるた
め、熱延段階でのγ粒細粒化効果は消失しておりサイク
ル(1)と同様の軟質化が図れ、また、サイクル(1)
において顕著であったスラブ再加熱段階での粗大な未固
溶MnS粒子による圧延直角方向の伸びの低下もなく優
れた延性を示す。即ち、実験2から、鋳造後スラブを直
接熱間圧延し、加熱昇温後仕上げ圧延を行う方法が、優
れた延性を示すことがわかる。
【0029】
【実施例】表3に示す化学組成からなる鋼を実験室にて
溶製し、Ar3点を下回ることなく直ちに鋳片を抽出し
た後、Ar3 温度以下に冷却することなく直ちに粗圧延
を施し粗バーとした後、一旦表4中に示す温度に粗バー
を保持し、さらに粗バー全体加熱装置により加熱速度5
〜10℃/秒で表4中に示す温度に再加熱し、仕上げ圧
延を施し板厚2.8mmとした後巻取った。また、比較
法として、スラブ再加熱法においては、鋳造した後一旦
スラブを冷却し、1220℃に再加熱した後同様に熱延
を施し板厚2.8mmとした。これらの熱延鋼板を酸洗
により表面スケールを除去した後、0.5%の伸長率で
調圧した後、熱延板の機械的特性値を引張り試験により
評価した。
【0030】機械的特性値の評価においては、熱延鋼板
からJIS5号試験片を採取し、引張り試験により鋼板
の圧延方向および圧延直角方向の機械的特性値を評価し
た。測定した機械的特性値を表4に示すように、本発明
法により製造した熱延鋼板は比較例に比べ優れた表面性
状および延性を有していることがわかる。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【発明の効果】この発明によれば、仕上げ圧延前での粗
バーのインライン熱処理(粗バーの冷却、再加熱)によ
り鋼中の固溶SをMn系硫化物として完全固定し、この
ことによる仕上げ圧延段階での表面欠陥の発生防止およ
び最終熱延鋼板の局部伸びに無害な硫化物の形態制御を
図ることができ、その結果、従来の連続鋳造後の直接熱
延において課題となっていた表面性状の劣化を防止する
ことができるだけでなく、従来のスラブ再加熱法におい
て課題であった圧延直角方向での伸びを改善でき、優れ
た強度−延性バランスを有する鋼板を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験1で行った試験の熱サイクルを模式的に示
した図。
【図2】熱間延性に及ぼすスラブの熱履歴と加工温度の
影響を示した図。
【図3】強度−延性バランスに及ぼす熱履歴の影響を示
した図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−277506(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46 - 9/48 C21D 8/00 - 8/10 C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.01〜0.07%、
    Si:0.01〜0.3%、Mn:0.05〜1.0
    %、P:0.03%以下、sol.Al:0.001〜0.
    1%、S:0.001〜0.025%、N:0.005
    %以下、残部Fe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板
    の製造方法において、連続鋳造直後のスラブをAr3
    以下に冷却することなく直ちに粗圧延を施して粗バーと
    した後、この粗バーを、900℃以上で下式(1)に規
    定される温度T(℃)以下の温度範囲内の温度に冷却
    し、この温度に冷却された粗バーを加熱速度2℃/秒以
    上で温度上昇量40℃以上まで加熱し、次いで熱間仕上
    げ圧延を施しAr3 点以上で終了し、しかる後、550
    ℃以上で巻取ることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。 T=9020/{2.929−log(Mn%)・(S%)}−273 …(1)
  2. 【請求項2】重量%で、C:0.01〜0.07%、S
    i:0.01〜0.3%、Mn:0.05〜1.0%、
    P:0.03%以下、sol.Al:0.001〜0.1
    %、S:0.001〜0.025%、N:0.005%
    以下、残部Fe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板の
    製造方法において、連続鋳造直後のスラブをAr3 点以
    下に冷却することなく直ちに粗圧延を施してシートバー
    とした後、このシートバーを一旦コイルボックスに巻取
    り、900℃以上で下式(1)に規定される温度T
    (℃)以下の温度範囲内の温度に冷却し、次いで巻き戻
    しながら再びシートバーを加熱速度2℃/秒以上で温度
    上昇量40℃以上まで加熱し、次いで熱間仕上げ圧延を
    施しAr3 点以上で終了し、550℃以上で巻取ること
    を特徴とする熱延鋼板の製造方法。 T=9020/{2.929−log(Mn%)・(S%)}−273 …(1)
  3. 【請求項3】 連続鋳造により得られるスラブは長さ1
    2m〜40mであることを特徴とする請求項1または2
    に記載の熱延鋼板の製造方法。
JP16307296A 1996-06-24 1996-06-24 熱延鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3428296B2 (ja)

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