JP3427865B2 - 水性被覆組成物 - Google Patents

水性被覆組成物

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JP3427865B2 JP10691195A JP10691195A JP3427865B2 JP 3427865 B2 JP3427865 B2 JP 3427865B2 JP 10691195 A JP10691195 A JP 10691195A JP 10691195 A JP10691195 A JP 10691195A JP 3427865 B2 JP3427865 B2 JP 3427865B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、水分散性アクリル共重
合体とポリウレタン樹脂との混合物からなる水性被覆用
組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車用及び自動車補修用塗料としては
ベースコート塗料およびトップコート塗料等があり、こ
れらは一般に有機溶剤系塗料である。 【0003】近年、地球環境保全のため、大気中への有
機溶剤放出の制限がつとに高まっており、塗料業界も例
外ではなく、有機溶剤系塗料から水系塗料への移行のた
めの研究が多く行われている。ベースコート用塗料にお
いても水系塗料の使用が検討されており、特に、水性ポ
リウレタン樹脂は優れた可撓性を有しているため多く用
いられている。 【0004】 【発明が解決しようとする問題点】上記水性ポリウレタ
ン樹脂を主成分とする水系のベースコート用塗料は、非
架橋硬化性の水分散体又は水性エマルジョンが使用され
ているが、形成される塗膜は耐水性上下の塗膜との付
着性及びトップコート用塗料、特に有機溶剤系塗料を塗
装した場合の仕上がり性などが十分でなく、実用性に問
題がある。 【0005】 【問題点を解決するための手段】本発明者らは、水性ポ
リウレタンを含む被覆組成物がもつ上記の如き欠点を解
消するべく鋭意研究を重ねた結果、今回、特定のアルコ
キシシラン基を含有させた水分散性アクリル共重合体と
ポリウレタン樹脂との混合物を主成分として含有する水
性被覆用組成物によって上記の如き問題点を解決するこ
とができることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0006】すなわち本発明は、(A) 一般式 【0007】 【化3】 【0008】[式中、Aは 【0009】 【化4】 【0010】を示し、R1は水素原子又はメチル基を示
し、R2は炭素数1〜15の2価の脂肪族飽和炭化水素
基を示し、R3及びR4は各々フェニル基、炭素数1〜6
のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示
し、R5は炭素数1〜10のアルキル基を示し、nは1
〜100の整数である]で表される化合物であるアルコ
キシシラン基含有ビニル単量体を全単量体の合計量に基
づいて1〜90重量%の割合で用い、これをカルボキシ
ル基含有不飽和単量体及び必要に応じて、これらと共重
合可能な他の重合性単量体と共重合させることにより得
られる酸価が20〜150の水分散性アクリル共重合
体、及び(B) 水性ポリウレタン樹脂を主成分として
含有することを特徴とする水性被覆用組成物を提供す
る。 【0011】以下、本発明の被覆用組成物についてさら
に詳細に説明する。 【0012】水分散性アクリル共重合体(A):アクリ
ル共重合体(A)の必須の構成単量体である前記一般式
(I)の化合物は、アクリル共重合体(A)に自己架橋
性を付与する単量体成分である。 【0013】一般式(I)において、R2によって示さ
れる「炭素数1〜15の2価の脂肪族飽和炭化水素基」
には、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基が包含され、
具体的には例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、
1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、テトラメチレン、
エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘ
プタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン基等を挙
げることができる。 【0014】R3及びR4によって示されうる「炭素数1
〜6のアルキル基」は直鎖状又は分枝鎖状のものである
ことができ、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチ
ル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、
ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル基等が挙げ
られ、また、R5で示される「炭素数1〜10のアルキ
ル基」もまた直鎖状又は分枝鎖状のものであることがで
き、その具体例としては、炭素数1〜6のアルキル基と
して上に例示したものの他に、更にn−ヘプチル、1−
メチルペンチル、2−メチルヘキシル、n−オクチル、
n−ノニル、n−デシル等を挙げることができる。 【0015】R3及びR4によって示されうる「炭素数1
〜10のアルコキシ基」は直鎖状又は分枝鎖状のもので
あることができ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プ
ロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキ
シ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペン
トキシ、イソペントキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘ
キシルオキシ、n−オクチルオキシ等が挙げられる。 【0016】また、一般式(I)において、nは1〜1
00、好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜10
の整数であり、nが2以上である場合、複数個のR3
びR4は同じものであってもよく又は互いに異なってい
てもよい。 【0017】しかして、前記一般式(I)においてAが 【0018】 【化5】 【0019】である化合物の具体例としては以下のもの
が挙げられる:γ−(メタ)アクリロキシエチルトリメ
トキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピル
トリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキ
シプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アク
リロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ
−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジエトキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジプロポ
キシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチ
ルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピル
ジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプ
ロピルフェニルメチルメトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロキシプロピルフェニルメチルエトキシシラン、 【0020】 【化6】【0021】また、前記一般式(I)においてAが 【0022】 【化7】 【0023】である化合物の具体例としては次のものが
挙げられる: 【0024】 【化8】【0025】これら一般式(I)の化合物のうち、特
に、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリ−n−ブトキシシラン、γ−アク
リロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルメチルジメトキシシアラン、γ−メタ
クリロキシプロピルメチルジ−n−ブトキシシラン等が
貯蔵安定性等の点から好適である。 【0026】一方、アクリル共重合体(A)の製造に用
いられるカルボキシル基含有不飽和単量体は、1分子中
にカルボキシル基(酸無水物の形態であってもよい)を
1個以上、好ましくは1又は2個と重合性不飽和結合を
1個以上、好ましくは1個有する化合物であり、該共重
合体(A)に水分散性を付与すると共に、被覆膜の架橋
硬化触媒として作用する単量体成分である。 【0027】該カルボキシル基含有不飽和単量体として
は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイ
ン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、
フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和
カルボン酸等を挙げることができる。これらのうち、
(メタ)アクリル酸が特に好ましい。 【0028】さらに、アクリル共重合体(A)の製造に
おいて必要に応じて使用されるその他の重合性単量体と
しては、ヒドロキシル基含有不飽和単量体及びラジカル
重合性不飽和単量体が好ましく、該ヒドロキシル基含有
不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等
の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアル
キルエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテ
ルポリオールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート等の水酸基含有不飽和モノマーとのモノエーテル;
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル1モルとラクト
ン類1〜5モルとの付加物[市販品としては、ダイセル
化学工業株式会社の製品であるプラクセルFA−1(ア
クリル酸2−ヒドロキシエチル1モルにε−カプロラク
トン1モルを付加した単量体)、プラクセルFM−1、
プラクセルFM−3、プラクセルFM−5(メタアクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル1モルにε−カプロラクトン
1モルをそれぞれ1モル、3モル、5モル付加した単量
体)、ユニオンカーバイド社(米国)の商品である T
ONE M−100(アクリル酸2−ヒドロキシエチル
1モルにε−カプロラクトン2モルを付加した単量体)
等がある];α,β−不飽和カルボン酸と、カージュラ
E10(シェル化学社製)やα−オレフィンエポキシド
のようなモノエポキシ化合物との付加物;グリシジル
(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、高級脂肪
酸のような一塩基酸との付加物;無水マレイン酸や無水
イタコン酸のごとき酸無水基含有不飽和化合物とエチレ
ングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチ
ルグリコール等のグリコール類とのモノエステル化物ま
たはジエステル化物;ヒドロキシエチルビニルエーテル
のごときヒドロキシアルキルビニルエーテル類;3−ク
ロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの
ような塩素を含んだ水酸基含有単量体;アリルアルコー
ル等が挙げられ、該ラジカル重合性不飽和単量体として
は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレー
ト、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー
ト、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等
の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエス
テル又はシクロアルキルエステルや、メトキシブチル
(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリ
レート、エトキシブチル(メタ)アクリレート等の(メ
タ)アクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキル
エステルのような(メタ)アクリル酸エステル;エチル
ビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプ
ロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ter
t−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、
ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル等の
鎖状アルキルビニルエーテル類、シクロペンチルビニル
エーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロア
ルキルビニルエーテル類、フェニルビニルエーテル、ト
リビニルフェニルエーテル等のアリールビニルエーテル
類、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテ
ル等のアラルキルビニルエーテル類、アリルグリシジル
エーテル、アリルエチルエーテル等のアリルエーテル類
のようなビニルエーテル及びアリルエーテル;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、イ
ソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、イソカプロン酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ベオバモノ
マー(シェル化学社製)等のビニルエステル、酢酸イソ
プロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のプロペニ
ルエステル等のビニルエステル及びプロペニルエステ
ル;エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル等の
オレフィン系化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロ
プレン等のジエン化合物;スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、α−クロルスチレン等のビニル芳
香化合物;テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオ
ロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニ
ル、フッ化ビニリデン等のフルオロオレフィン;パーフ
ルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフ
ルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフ
ルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート等を挙げる
ことができる。 【0029】本発明において使用されるアクリル共重合
体(A)は、以上に述べた前記一般式(I)で表される
アルコキシシラン基含有ビニル単量体の少なくとも一種
とカルボキシル基含有不飽和単量体の少なくとも一種と
を必須単量体成分とし、更に必要に応じて、これらと共
重合可能な他の重合性単量体を共重合せしめることによ
り得られる。 【0030】これら単量体の使用割合は、単量体の種類
や最終被覆用組成物の用途等に応じて広い範囲から選択
できるが、通常、次の範囲とするのが適当である。即
ち、一般式(I)の化合物は、使用単量体の合計量に基
づいて1〜90重量%、好ましくは2〜70重量%、よ
り好ましくは3〜50重量%の範囲内とすることがで
き、その使用割合が1重量%未満では塗膜の硬化性が低
下し、一方90重量%より多いと水性化前の共重合体の
貯蔵安定性が悪くなる傾向がある。 【0031】また、カルボキシル基含有不飽和単量体
は、そのカルボキシル基に基づくアクリル共重合体
(A)の酸価が20〜150、好ましくは30〜13
5、さらに好ましくは40〜120の範囲内となるよう
な割合で使用することができる。なお、形成されるアク
リル共重合体(A)の酸価が20未満では一般に共重合
体の水分散性が不十分となり、一方150より多いと形
成される被覆膜の耐水性が悪くなる傾向がみられる。 【0032】また、必要に応じて用いられる他の重合性
単量体の使用割合は、要求される被覆膜の性能に応じ
て、95〜0重量%、好ましくは90〜35重量%、さ
らに好ましくは88〜55重量%の範囲内で適宜選択す
ることができる。 【0033】アクリル共重合体(A)は、以上述べた単
量体を適宜組み合わせて、通常、ラジカル重合開始剤の
存在下で溶液重合することにより得られるものが好まし
い。この溶液重合において使用可能なラジカル重合開始
剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチ
ルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオ
キサイド、クミルパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイド、ジ−イソプロピルベンザンハイドロパーオ
キサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウリ
ルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化
物;α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス
ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカル
ボニトリル等のアゾ化合物等が挙げられ、これら重合開
始剤は一般に重合に供される全単量体100重量部当り
0.2〜20重量部程度、好ましくは1.5〜10重量部
の範囲内で使用することができる。 【0034】重合は、それ自体既知の方法で行うことが
でき、重合時の反応温度としては、通常、約60〜約1
60℃の範囲内の温度を用いるのが適当であり、反応は
通常1〜15時間程度で終わらせることができる。 【0035】本発明において使用されるアクリル共重合
体(A)は、通常、数平均分子量が約1000〜約60
000(重量平均分子量で約3000〜約20000
0)、特に約1000〜約30000の範囲内にあるも
のが好適であり、該共重合体の数平均分子量が約100
0未満であると、形成される塗膜の硬化性、耐久性が低
下する傾向があり、一方、約60000を越える場合に
は水性分散液の粘度が高くなり取扱が困難になることが
ある。 【0036】上記溶液重合に使用される有機液体は、水
分散化前の共重合体が溶解しうるものであり、例えば、
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、t−ブチルアルコール、イソブチルアル
コール、ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、
イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、ヘ
キサノール、ヘプタノール、オクタノール、アリルアル
コール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、
1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、
1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、グ
リセリン等のアルコール系溶剤;ジブチルエーテル、エ
チルビニルエーテル、メトキシトルエン、ジフェニルエ
ーテル、ジオキサン、プロピレンオキシド、アセター
リ、グリセリンエーテル、テトラヒドロフラン、1,2
−ジメトキシエタン、セルソルブ、メチルセルソルブ、
ブチルセルソルブ、メチルカルビトール、2−メトキシ
エタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエ
タノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、1−メトキシ−2−プロパノール、ジプロピレング
リコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤を挙げ
ることができる。これら有機液体は、それぞれ単独で使
用してもよく、又は2種以上混合して用いることもでき
る。 【0037】得られるアクリル共重合体(A)は水分散
化することができる。水分散化は、該共重合体のカルボ
キシル基を塩基性物質で中和した後、水性媒体、例えば
水を加えるか、又は中和した該共重合体を水性媒体、好
ましくは水中に加えることによって行うことができる。 【0038】中和物中に水を添加する前者の方法は、例
えば、溶液重合により得られる共重合体を撹拌しながら
中和剤をできるだけ短時間で添加して中和を行った後、
有機溶剤系から水系への相転換も短時間で行なうこと
が、ゲル化防止のために好ましい。相転換後、残りの水
を要求される固形分になるまで徐々に滴下することによ
り水分散化を達成することができる。 【0039】この中和−水系転換では、共重合体(A)
に中和剤を添加した段階で、該共重合体中のアルコキシ
シラン基の加水分解及び縮合反応が急速に進行し増粘、
ゲル化するおそれがあるので、それを防止するために、
中和及び水添加を短時間で行うことが好ましい。具体的
には、中和及び相転換における水の添加時間は、反応容
器、撹拌条件、雰囲気温度によって異なるが、一般には
24時間以内、好ましくは10時間以内が適当である。 【0040】一方、水に中和物を添加する後者の方法
は、共重合体を撹拌しながら中和剤を短時間で添加し中
和物を得た後、このものを撹拌下に徐々に水中に添加し
て水分散化することにより行なうことができる。この場
合中和物が水中に添加されるまでに増粘、ゲル化するお
それがあるので、できるだけ短時間で水分散化すること
が望ましい。一般に中和してから水中に添加するまでの
時間は、24時間以内、好ましくは10時間以内とする
のが好都合である。 【0041】該共重合体を、増粘やゲル化させずに水分
散化せしめる方法は、共重合体を中和する前に水を加え
て共重合体の水系への相転換を行なった後、塩基性物質
で中和し水分散化することである。例えば、溶液重合で
得られる共重合体を撹拌しながら水系に相転換するまで
水を添加した後、中和剤を添加して水分散化を行なう。
この方法では、加水分解触媒としても作用し架橋を促進
する塩基性物質(中和剤)が水分散化後に配合されるの
で、シラノール基などが安定に存在し、共重合体の増
粘、ゲル化が防止でき、特に高濃度の水分散液を製造す
るのに有利である。さらにこの方法で得られる水分散液
は、表面にシラノール基を多く有しているので、架橋性
に優れている点からも好ましいものである。 【0042】上記の方法により共重合体を水分散化する
際の温度は、通常、約1〜約90℃程度、好ましくは約
5〜約50℃程度とするのが適当である。該温度が約1
℃未満では系の粘度が高くなり分散粒子径が大きくなり
やすく、一方、該温度が約90℃より高いとアルコキシ
シラン基が急速に加水分解されてシラノール基を生じ該
シラノール基同志による反応が行われて増粘、ゲル化す
ることがある。 【0043】上記の水分散化の際に使用される塩基性物
質(中和剤)としては、例えば、アンモニア;エチルア
ミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミ
ン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、
2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール等の
第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミ
ン、ジ−n−またはジ−iso−プロパノールアミン、
N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールア
ミン等の第2級モノアミン;ジメチルエタノールアミ
ン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプ
ロピルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルア
ミノエタノール等の第3級モノアミン等が挙げられる。
これらのうち、特にアンモニア、トリエチルアミンは、
毒性が少なく、得られる水分散物を常温で乾燥させて被
覆膜形成させたときに、被覆膜中に残存し難く被覆膜性
能に優れた塗膜を与えるので好適である。 【0044】上記塩基性物質は、共重合体中に含まれる
遊離のカルボキシル基に対して0.1〜1.5当量程度、
好ましくは約0.2〜約1当量の範囲内の量で使用する
ことができる。該塩基性物質の使用量が約0.1当量未
満では一般に共重合体を水分散化させることが困難であ
り、またたとえ水分散化が可能であっても貯蔵安定性が
劣るものとなりやすく、一方、約1.5当量より多いと
分散物中に遊離の塩基性物質が多くなり貯蔵安定性が劣
る傾向がある。 【0045】かくして得られるアクリル共重合体(A)
の水性分散液は、更に必要に応じて、該水性分散液中に
含まれる有機液体を常温下又は減圧下に留去して、有機
液体の含有量を水性分散液中の水の量に対して約10重
量%未満とすることができ、それによって水性分散液の
貯蔵安定性、公害対策等に有利なものとすることができ
る。 【0046】アクリル共重合体(A)の水性分散液は、
樹脂固形分濃度で一般に約1〜約70重量%、好ましく
は約5〜約50重量%の範囲内に調整するのが望まし
い。該固形分濃度が約1重量%未満であると厚膜を形成
する場合に経済的に不利となり、一方、該固形分濃度が
約70重量%より高いと共重合体粒子が凝集して沈降し
たり水性分散液が増粘、ゲル化したりするおそれがあ
る。水性分散液中の分散共重合体の平均粒子径は約0.
01〜約1.0μmの範囲内にあるのが好ましい。 【0047】水性ポリウレタン樹脂(B):本発明にお
いて使用される水性ポリウレタン樹脂は、例えば、イソ
シアネート基含有化合物と水酸基含有化合物とを反応さ
せることにより得られるウレタン結合を含むポリウレタ
ン樹脂の水性分散体、水性エマルジョン又は水溶液であ
る。該水性ポリウレタン樹脂の製造に用いられるイソシ
アネート基含有化合物は、1分子中に2個以上、好まし
くは2〜4個のイソシアネート基を有する脂肪族系、脂
環式系又は芳香族系等の化合物であり、例えば、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン
ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;キシ
リレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート
等の環含有ジイソシアネート類等;これらのポリイソシ
アネート化合物の過剰量に水、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサ
ントリオール、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物
を反応させて得られる末端イソシアネート含有化合物;
これらのポリイソシアネート化合物のビューレットタイ
プ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物等を挙げること
ができ、上記ポリイソシアネート化合物は、それぞれ単
独で使用してもよく、又は2種以上混合して用いること
もできる。 【0048】また、イソシアネート基含有化合物と反応
させる水酸基含有化合物は、1分子中に水酸基を2個以
上、好ましくは2〜4個有する化合物であり、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタン
ジオール、1,2−ペンタンジオール、3−メチル−4,
3−ペンタンジオール、1,6ヘキサンジオール、ネオ
ペンチルグリコール等のグリコール類;これらグリコー
ル類にε−カプロラクトン等のラクトン類を付加したポ
リラクトンジオールや、ビス(ヒドロキシエチル)テレ
フタレート等のポリエステルジオール類;ビスフェノー
ルAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルジ
オール類;α−オレフィンエポキシド等のモノエポキシ
化合物などの2価アルコール;グリセリン、トリメチロ
ールプロパン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール
等;これら3価以上のアルコールにε−カプロラクトン
等のラクトン類を付加したポリラクトンポリオール類等
の3価以上のアルコール;1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、水添ビスフェノール等の脂環族多価アルコー
ル;パラオキシ安息香酸、ジメチロールプロピオン酸等
のオキシ酸等を含有する化合物を挙げることができ、上
記水酸基含有化合物は、それぞれ単独で使用してもよ
く、又は2種以上混合して用いることもできる。 【0049】以上に述べたイソシアネート基含有化合物
と水酸基含有化合物からのポリウレタン樹脂の製造は、
通常のポリウレタン樹脂の製造の場合と同様にして行な
うことができ、得られる樹脂の水分散化、水性エマルジ
ョン化又は水溶液化は、製造されるポリウレタン樹脂の
特性に応じて、例えば、水分散化および水性エマルジョ
ン化は、得られるポリウレタン樹脂をそのまま水中に混
入し分散せしめることによって行なうことができ、水溶
化は該ポリウレタン樹脂中に有せしめたカルボキシル基
を中和し、それを水に溶解することによって行なうこと
ができる。 【0050】られる水性分散体、水性エマルジョン又
は水溶液中におけるポリウレタン樹脂の固形分濃度は、
通常、10〜50重量%程度、好ましくは20〜40重
量%程度とすることができる。 【0051】得られるポリウレタン樹脂は、一般に、数
平均分子量が約1,000以上、特に約10,000以上
であるのが好適であり、また、その分子中には遊離のイ
ソシアネート基が実質的に残存していないことが望まし
い。 【0052】水性被覆用組成物:本発明の水性被覆用組
成物は、例えば、以上に述べたアクリル共重合体(A)
の水性分散液と、水性ポリウレタン樹脂(B)の水性分
散体を混合することによって調製することができる。そ
の際の水分散性アクリル共重合体(A)と水性ポリウレ
タン樹脂(B)との混合割合は、特に制限されるもので
はなく、最終の水性被覆用組成物に望まれる物性や用途
等に応じて広い範囲にわたって変えることができるが、
一般には、水分散性アクリル共重合体(A)/水性ポリ
ウレタン樹脂(B)の固形分重量比で10/90〜80
/20、特に20/80〜70/30、さらに特に30
/70〜70/30の範囲内にあるのが好ましい。 【0053】本発明の水性被覆用組成物は、例えば、塗
料、接着剤、インキ、表面処理剤等に好適に使用するこ
とができる。 【0054】本発明の水性被覆用組成物は、そのままで
も使用することができるが、必要に応じて、体質顔料、
着色顔料、メタリック顔料、染料、増粘剤、硬化触媒、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、防藻剤、防黴剤、殺菌剤、
消泡剤等を添加することができる。 【0055】本発明の水性被覆用組成物を塗料として用
いる場合には、例えば、吹付け塗り、ローラー塗り、刷
毛塗り、浸漬等の手段で各種基材に塗布することができ
る。塗布量は、特に制限はないが、一般には乾燥膜厚と
して約1〜約1000μmの範囲内の膜厚が適当であ
る。塗膜の乾燥は、常温で行うことができるが、必要に
応じて、約200℃迄の温度で加熱乾燥を行ってもよ
い。 【0056】 【発明の効果】本発明の水性被覆用組成物によれば、耐
水性、耐溶剤性に優れ、付着性、塗膜の仕上がり等が良
好な被覆膜を形成することができる。 【0057】本発明の水性被覆用組成物により形成され
る被覆物は、水、塩基性物質、酸性物質等に対して化学
的に安定なシロキサン結合を有し自己架橋しており、し
かも、本発明の水性被覆用組成物は、シラノール基が存
在し架橋性に優れている水分散性アクリル共重合体を使
用することにより、ポリウレタン樹脂のみの被覆膜より
も、耐水性、耐溶剤性に優れ、付着性、塗膜の仕上がり
が大幅に改善された被覆膜を形成することができる。 【0058】 【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例の
みに限定されるものではない。各例中、部及び%は、原
則として重量基準によるものである。 【0059】水分散性アクリル共重合体の製造例−1 温度計、撹拌機、冷却器及び滴下ロートを備えた4つ口
フラスコ中にイソプロピルアルコール100部を入れ、
還流させながら以下のモノマー及び重合開始剤を3時間
要して滴下し、滴下終了後2時間熟成を行なった。 【0060】 γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 13部 2−ヒドロキシエチルアクリレート 15部 アクリル酸 8部 n−ブチルメタクリレート 40部 メチルメタクリレート 4部 スチレン 20部 α,α′−アゾビスイソブチロニトリル 4部 得られた液は透明であり、不揮発分50%で、ガードナ
ー粘度(25℃)はJであった。この重合体の酸価は5
8.4であった。得られた液を30℃以下まで冷却し、
水233部加えた後、撹拌しながら10分かけて、トリ
エチルアミンで0.8当量中和して水性化した。その後
イソプロピルアルコールを減圧除去することにより有機
液体を含まない水分散液が得られた。また、不揮発分は
31%、ガードナー粘度(25℃)はBであった。 【0061】水分散性アクリル共重合体の製造例−2〜
下記表−1に示すモノマー配合及び重合開始剤に基づ
き、上記製造例−1と同様にして水分散性アクリル共重
合体を製造した。 【0062】 【表1】【0063】実施例−1 製造例−1の水分散性アクリル共重合体と Bayhydrol
TPLS−2017(住友バイエルウレタン(株)製:
ポリエステル−ポリウレタン樹脂ディスパージョン)と
を固形分比で5/5で混合し、撹拌機で撹拌して混合水
性被覆用組成物を製造し、それを試験に供した。 【0064】実施例−2 製造例−2の水分散性アクリル共重合体を用いる以外は
実施例−1と同様の配合で水性被覆用組成物を製造し、
それを試験に供した。 【0065】実施例−3 製造例−3の水分散性アクリル共重合体とサンプレン
UX−8000(三洋化成(株)製:ポリエーテル−ポ
リウレタン樹脂ディスパージョン)とを固形分比で3/
7で混合し、撹拌機で撹拌して水性被覆用組成物を製造
し、それを試験に供した。 【0066】実施例−4 製造例−4の水分散性アクリル共重合体を用いる以外は
実施例−3と同様の配合で水性被覆用組成物を製造し、
それを試験に供した。 【0067】実施例−5 製造例−5の水分散性アクリル共重合体とサンプレン
UX−8000(三洋化成(株)製:ポリエーテル−ポ
リウレタン樹脂ディスパージョン)とを固形分比で4/
6で混合し、撹拌機で撹拌して水性被覆用組成物を製造
し、それを試験に供した。 【0068】比較例−1 製造例−の水分散性アクリル共重合体とサンプレン
UX−8000(三洋化成(株)製:ポリエーテル−ポ
リウレタン樹脂ディスパージョン)とを固形分比で5/
5で混合し、撹拌機で撹拌して水性被覆用組成物を製造
し、それを試験に供した。 【0069】比較例−2 製造例−1の水分散性アクリル共重合体をそのまま試験
に供した。 【0070】各試験は、下記の要領で行なった。 【0071】ゲル分率:ガラス板に塗布し、30℃で1
日間及び7日間乾燥後、塗膜を次のようにして調べた。
すなわち、還流温度に保持したアセトンに単離塗膜を入
れ、5時間抽出した後の不溶塗膜残存率(%)を調べ
た。 【0072】耐水試験:200μmアプリケーターでブ
リキ板に塗布し、30℃で7日間乾燥後、30℃の水に
2日間浸漬した後、引上げ塗膜の状態を観察する。 【0073】塗面状態:目視により塗膜外観等の異常の
有無を観察した。 【0074】試験結果を表−2に示す。 【0075】 【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 5/00,143/04,175/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A) 一般式 【化1】 [式中、Aは 【化2】 を示し、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素
    数1〜15の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R3
    及びR4は各々フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基
    又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、R5は炭素
    数1〜10のアルキル基を示し、nは1〜100の整数
    である]で表されるアルコキシシラン基含有ビニル単量
    体を全単量体の合計量に基づいて1〜90重量%の割合
    で用い、これをカルボキシル基含有不飽和単量体及び必
    要に応じて、これらと共重合可能な他の重合性単量体と
    共に溶液重合させることにより得られる酸価が20〜1
    50で且つ重量平均分子量が3000〜200000の
    範囲内にある共重合体を水分散化してなるアクリル共重
    合体の水分散液、及び (B) 水性ポリウレタン樹脂を含有することを特徴と
    する水性被覆用組成物。
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