JP3427862B2 - 薄形電池 - Google Patents

薄形電池

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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Secondary Cells (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リチウム電池の改良に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクス分野の発展に伴
い電子機器が小型化されており、電池においても機器同
様に小型化が望まれている。特にリチウムを負極活物質
として用いた電池は高エネルギー密度が期待できること
から、小型・薄形化に際しては非常に適した電池であ
る。
【0003】薄形化という点においては、近年のIC・
IDカードのめざましい開発上、電池の薄形化が強く望
まれており、使用用途に関しても様々な環境下におかれ
ることが考えられることからも電池特性に関しても高特
性を発現可能な電池が必要とされている。電池の使用温
度環境において、一般的にリチウム電池の電解液に関し
ては、炭酸エステル類が主電解液溶媒として用いられる
ため、溶媒沸点が高く、蒸発速度が遅いことからも比較
的高温においても使用が可能である。ところが、電池の
低温における特性については、同電解液溶媒単独で使用
した場合、低温での溶媒自身の粘度が高く、イオン伝導
度が低下するため電池特性の低下が生じる場合がある。
この様な問題を解決するためジメトキシエタン、ジエチ
ルカーボネートといった低粘度溶媒が用いられるように
なった。
【0004】一方、ICカードの製造上でカードのラミ
ネート加工あるいはモールディング工程といった工程で
は、カード内部に設置された電池が高温下におかれるこ
とがある。このような条件下で従来の電池に関しては、
ジメトキシエタン、ジエチルカーボネートといった低粘
度溶媒を用いている場合、低沸点溶媒でもあることから
も外部からの加熱によって電池が膨張したり、破裂に至
る場合もある。
【0005】しかしながら、ICカードに要求される電
池温度特性に関しては、様々な使用環境下におかれるこ
とからこれまでの電池に要求されてきた電池駆動温度レ
ンジと同程度必要とされている。しかしながら製造上、
あるいはICカード自体の耐温度特性上のスペックから
も、これまでの低粘度溶媒を用いた場合、高温側での耐
温度特性に関しては不十分である。従来と同様な低沸点
溶媒を用いた電池においては、カードの成形時に低粘度
溶媒の気化に伴い電池が膨張したり、破裂に至る場合も
あり、安全性および製品価値を外観上損ねるということ
からも適していない。
【0006】しかしながら、これら低粘度溶媒を用いな
い場合には、低温側での電池特性が十分に得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の問題点に鑑みなされたものであり、従来の低温におけ
る電池特性を保持しながら且つ、電池の耐高温性、即ち
高温下での電池の安全性向上および高温下での電池形状
変化の少ない優れたリチウム電池を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成すべく、正極と、負極としてリチウム金属あるいは、
リチウム合金またはリチウムをドープできる化合物と、
セパレーターと電解質を用いる薄形電池において、該電
解質に一種以上の環状エステル又は/及び環状炭酸エス
テルを第一成分として含み、且つ第二成分として、化学
組成式がCn 2n2 で、n=6〜8である物質を一種
以上を含むことを特徴とすることにより、低温における
電池特性を保持しながら且つ、電池の耐高温性を有す
る、即ち高温下での電池の安全性向上および高温下での
電池形状変化の少ない優れたリチウム電池を提供するこ
とが可能となる。尚、本発明における高温とは従来の低
沸点溶媒を含有する電池が形状維持または特性維持の保
証範囲をこえる温度領域であり80〜110℃とする。
【0009】また、正極と、負極としてリチウム金属あ
るいは、リチウム合金またはリチウムをドープできる化
合物と、電解質層として固体電解質を用いる薄形電池に
おいて、該固体電解質層の可塑剤として一種以上の環状
エステルおよび環状炭酸エステルを第一成分として含
み、且つ可塑剤の第二成分として、化学組成式が一般式
n 2n2 で、n=6〜8である物質を一種以上を含
むことを特徴とすることによっても、低温における電池
特性を保持しながら且つ、電池の耐高温性、即ち高温下
での電池の安全性向上および高温下での電池形状変化の
少ない優れたリチウム電池を提供することが可能とな
る。本発明における一種以上の環状エステルおよび環状
炭酸エステルとは、g-ブチロラクトン、g-バレロラクト
ン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、
ブチレンカーボネートなどが挙げられるがこれらの環状
エステルおよび環状炭酸エステルに限定されるものでは
ない。また、本発明における一種以上の化学組成式がC
n 2n2 で、n=6〜8である物質とは、ブチルアセ
テート、アミルアセテート、ヘキシルアセテート、プロ
ピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、プロピル
ブチレート、ブチルブチレートメチルヴァレレート、エ
チルヴァレレート、メチルカプレート、エチルカプレー
トなどが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0010】第1内至2の発明において、該電解質ある
いは固体電解質の可塑剤である第一成分とする一種以上
の環状エステルおよび環状炭酸エステルおよび環状炭酸
エステルと第二成分である化学組成式がCn 2n
2 で、n=6〜8で表わされる物質の比率が5:95〜
95:5の範囲であることを特徴とすることにより、低
温における電池特性を保持しながら且つ、電池の耐高温
性、即ち高温下での電池の安全性向上および高温下での
電池形状変化の少ない優れたリチウム電池を提供するこ
とが可能となる。
【0011】第3の発明において、化学組成式がCn
2n2 で、n=6〜8で表わされる物質のR1およびR
2は炭素数1 〜6 の直鎖あるいは枝別れのアルキル基で
表されるが、中でも特にR1がメチル基であって、R2
が炭素数4 〜6 のアルキル基からなるアセテート化合物
が該第二成分であることが発明の効果が十分に発現さ
れ、低温における電池特性を保持しながら且つ、電池の
耐高温性、即ち高温下での電池の安全性向上および高温
下での電池形状変化の少ない優れたリチウム電池を提供
することが可能となる。。
【0012】
【作用】本発明に従って、正極と、負極としてリチウム
金属あるいは、リチウム合金またはリチウムをドープで
きる化合物と、セパレーターと電解質を用いる薄形電池
において、該電解質に一種以上の環状エステルおよび環
状炭酸エステル又は/及び環状炭酸エステルを第一成分
として含み、且つ第二成分として、化学組成式がCn
2n2 で、n=6〜8である物質を一種以上を含む、あ
るいは該電解質層として固体電解質を用いる薄形電池に
おいて、該固体電解質層の可塑剤として一種以上の環状
エステルおよび環状炭酸エステルおよび環状炭酸エステ
ルを第一成分として含み、且つ可塑剤の第二成分とし
て、化学組成がCn 2n2 で、n=6〜8である物質
を一種以上を含むことによって低温特性が向上する。こ
のような原因としては、第二成分である化学組成式がC
n 2n2 で、n=6〜8である物質の凝固点が非常に
低く、第一成分である環状エステルおよび環状炭酸エス
テルとの相溶性も優れており、且つリチウム塩に対する
溶解度も大きいことからも低温での塩の析出・偏析を防
止し、且つ溶液の凝固を低下させる効果があるため、低
温での電解質としての作用を十分に保持することが可能
であることが考えられる。炭素数の限定の理由として
は、アルキル鎖長が長くなりすぎると疎水性が強くなり
第一成分の電解液溶媒との相溶性が悪くなり、また、同
時に凝固点も高くなる。逆に短すぎると、溶媒沸点が低
くなるため本発明の目的を達成することには不向きとな
る。
【0013】また、第二成分である化学組成式がCn
2n2 で、n=6〜8である物質の添加に伴う効果は5
%以上で発現可能であるが、第一成分である一種以上の
環状エステルおよび環状炭酸エステルおよび環状炭酸エ
ステルの種類によっては、その発現の効果の程度がこと
なる。例えば第一成分である環状エステルおよび環状炭
酸エステルがエチレンカーボネートである場合と、プロ
ピレンカーボネートである場合においては第一成分の溶
媒固有の凝固点が大きくことなることから、第二成分で
ある化学組成式がCn 2n2 で、n=6〜8である物
質の配合量を第一成分の溶媒に合わせて変える必要があ
る。ただし第二成分である化学組成式がCn 2n
2 で、n=6〜8である物質を単独で使用する場合より
も環状エステルおよび環状炭酸エステルとの混合溶媒と
して使用する方が結果的に好ましいことから、該電解質
あるいは固体電解質の可塑剤である第一成分とする一種
以上の環状エステルおよび環状炭酸エステルと第二成分
である化学組成式がCn 2n2 で、n=6〜8である
物質の比率が5:95〜95:5の範囲であることによ
り、発明の効果が発現可能となる。
【0014】また、化学組成式がCn 2n2 で、n=
6〜8である物質のR1がメチル基であって、R2が炭
素数4 〜6 のアルキル基からなるアセテート化合物は特
に発明の効果が大きい。
【0015】以上のことからも凝固点の低い化合物を第
二成分として電解質に用いることによって、溶媒の凝固
を低下させることが可能となり至っては低温特性を向上
することが可能であり、且つ、第二成分物質が高沸点溶
媒であることにより、高温下での電解液揮発に伴う電池
の膨張至っては破裂についても防止することが可能とな
る。
【0016】
【実施例】以下、本発明の詳細について、実施例により
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】(実施例)下記の手順にしたがって、本発
明の実施例1のシート状電池を作製した。正極活物質層
を形成すべく、正極活物質に二酸化マンガンを用い、導
電材としてケッチェンブラック、バインダーとしてポリ
エチレンオキサイド3官能アクリル酸エステルを混合し
たものを複合正極として使用した。作製方法は以下の通
りである。二酸化マンガンとケッチェンブラックを1
0:1の重量比率で混合したもの15g に、上記有機化
合物とプロピレンカーボネートとブチルアセテートの体
積比で3:2の混合溶媒を有機化合物が体積百分率で4
0%となるよう相溶させ、トリフルオロメタンスルホン
酸リチウムを0. 75mol/l になるよう溶解させたもの
を4g を加えて混合した。正極集電体であるステンレス
箔上に上述の正極合剤をキャストしたのち電子線を照射
して厚さ165micronの正極とした。
【0018】電池の負極活物質としてはリチウム金属を
用い、これを30micronのステンレス箔の負極集電板に
圧着した。圧着後リチウムの厚みは55micronであっ
た。電解質層は上述のリチウム金属上にポリエチレンオ
キサイド3官能アクリル酸エステルを体積百分率で40
%となるようプロピレンカーボネートとブチルアセテー
トの体積比で3:2の混合溶媒と相溶させ、トリフルオ
ロメタンスルホン酸リチウムを0. 75mol/l になるよ
う溶解させたものをキャスト成膜したのち電子線を照射
することによってゲル電解質を形成させた。
【0019】上述の作製した正極電解質層を形成させ
たものと、リチウム金属を負極集電体に圧着したものと
張り合わせて封口部には変性ポリエチレンの枠体を配
置したのちヒートシーラーで熱融着させ本発明であるシ
ート状電池を作製した。
【0020】図1は、本発明の実施例1の薄形電池の断
面図である。図中1は、外装も兼ねたステンレス鋼から
なる正極集電体および負極集電体で、2は二酸化マンガ
ンを活物質とした正極合材からなる正極活物質層であ
る。3は電解質である。4はリチウム金属からなる負
極活物質である。5は変性ポリエチレンからなる封口材
である。
【0021】(比較例)上記の手順にしたがって、比較
例のシート状電池を作製した。正極活物質層を形成すべ
く、正極活物質に二酸化マンガンを用い、導電材として
ケッチェンブラック、バインダーとしてポリエチレンオ
キサイド3官能アクリル酸エステル(分子量:900
0)を混合したものを複合正極として使用した。作製方
法は以下の通りである。二酸化マンガンとケッチェンブ
ラックを10:1の重量比率で混合したもの15g に、
上記有機化合物とプロピレンカーボネートとジメトキシ
エタンの体積比で3:2の混合溶媒を有機化合物が体積
百分率で40%となるよう相溶させ、トリフルオロメタ
ンスルホン酸リチウムを0. 75mol/l になるよう溶解
させたものを4g を加えて混合した。正極集電体である
ステンレス箔上に上述の正極合剤をキャストしたのち電
子線を照射して厚さ165micronの正極とした。
【0022】電池の負極活物質としてはリチウム金属を
用い、これを30micronのステンレス箔の負極集電板に
圧着した。圧着後リチウムの厚みは55micronであっ
た。電解質層は上述のリチウム金属上にポリエチレンオ
キサイド3官能アクリル酸エステルを体積百分率で40
%となるようプロピレンカーボネートとジメトキシエタ
ンの体積比で3:2の混合溶媒と相溶させ、トリフルオ
ロメタンスルホン酸リチウムを0.75mol/l になるよ
う溶解させたものをキャスト成膜したのち電子線を照射
することによってゲル電解質を形成させた。上述の作製
した正極電解質層を形成させたものと、リチウム金属
を負極集電体に圧着したものとを張り合わせて封口部に
は変性ポリエチレンの枠体を配置したのちヒートシーラ
ーで熱融着させ本発明であるシート状電池を作製した。
上述の本発明および比較例の電池を用いて-20 ℃下にて
30kohmの抵抗を接続して定抵抗放電を行った。その結果
を図2に示す。図2より、本発明の電池は従来のジメト
キシエタンを電解質に含む比較例の電池以上の特性を発
現した。また、高温下での熱安定性を調べるために本発
明である実施例の電池と従来の比較例の電池を100 ℃の
恒温層に入れて1 時間放置ののち、電池形状を観察し
た。その結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】表1より、従来の電池であるジメトキシエ
タンを用いた電池は集電体が内部の電解液の気化したガ
スによって厚み方向に持ち上げられており、原形の維持
は全くできなかった。しかし、本発明である実施例の電
池の形状は全く変化が認められなかった。これは本発明
の電池に含まれる電解液が低沸点であるジメトキシエタ
ンを含まないためであると考えられる。通常ジメトキシ
エタンを含まない、あるいは低粘度溶媒を含まない場合
には低温下での特性は期待できないが、上述の様に低温
特性が優れており、かつ高温下での形状が保てるのは本
発明の効果を奏するものである。
【0025】
【発明の効果】以上の説明から明かなように、低沸点で
ある電解質溶媒を含まないことから本発明における電池
は高温下においても電解質溶媒の気化が顕著に起こらな
いことから高温下における電池形状が維持可能となる。
また、低温電池特性においても本発明に含まれる化学組
成式がCn 2n2 で、n=6〜8である分子内にエス
テル結合を有する物質を電解質内に一種以上含むことに
よって性能向上が可能となる。これらのことから、電池
の性能を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄形電池の断面図である。
【図2】本発明、比較例の薄形電池の-20 ℃での放電曲
線を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 10/40 H01M 6/16 H01M 6/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極と、リチウム金属、リチウム合金又
    はリチウムをドープできる化合物からなる負極と、電解
    質層として固体電解質を用いる薄形電池において、該固
    体電解質の可塑剤として一種以上の環状エステル又は/
    及び環状炭酸エステルを第一成分として含み、且つ可塑
    剤の第二成分として化学組成式がCn2n2で、n=6
    〜8であるアセテート化合物を一種以上を含むことを特
    徴とする薄形電池。
  2. 【請求項2】 上記第一成分とする一種以上の環状エス
    テル又は/及び環状炭酸エステルと第二成分である化学
    組成式がCn2n2で、n=6〜8であるアセテート化
    合物の一種以上の比率が、5:95〜95:5の範囲で
    ある請求項記載の薄形電池。
  3. 【請求項3】 正極と、リチウム金属、リチウム合金又
    はリチウムをドープできる化合物からなる負極と、セパ
    レーターと電解質を用いる薄形電池において、該電解質
    に一種以上の環状エステル又は/及び環状炭酸エステル
    を第一成分として含み、且つ第二成分として化学組成式
    がCn2n2で、n=6〜8であるアセテート化合物
    一種以上を含み、上記第一成分とする一種以上の環状エ
    ステル又は/及び環状炭酸エステルと第二成分である化
    学組成式がCn2n2で、n=6〜8であるアセテート
    化合物の一種以上の比率が、5:95〜95:5の範囲
    であることを特徴とする薄形電池。
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