JP3427224B2 - 人工毛髪の製造方法 - Google Patents

人工毛髪の製造方法

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JP3427224B2 JP30811393A JP30811393A JP3427224B2 JP 3427224 B2 JP3427224 B2 JP 3427224B2 JP 30811393 A JP30811393 A JP 30811393A JP 30811393 A JP30811393 A JP 30811393A JP 3427224 B2 JP3427224 B2 JP 3427224B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、かつら,増毛用毛髪,
代用毛髪等に用いられる人工毛髪の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】かつら,増毛用毛髪等に用いる人工毛髪
は、合成繊維材料により形成され得るが、その合成繊維
の表面は一般に、極めて平滑で、鏡面光沢を有してお
り、そのままでは、外観や触感などの点でかつら,増毛
用毛髪等として好適なものではない。このため従来より
合成繊維の表面を粗面化することにより鏡面光沢をおさ
えて、外観,触感等を天然毛髪のそれに近づけるように
している。その具体的な従来の方法として、繊維表面に
機械的に擦過傷を生じさせる方法(サンディング)や、
紡出の際に異形の口金に因って異形断面になるようにす
る方法等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、擦過傷
が形成された繊維の場合、その傷は筋状の傷となり、人
工毛髪として使用する際、ブラッシングなどにより該繊
維に外力がかかると、この外力はその傷に集まるので強
度低下により切損することにもなり、さらにその繊維に
当たる光の角度によって強い反射光が生じて不自然な光
沢が残るなどの問題がある。また、まゆ型や星型などの
異型断面を有する繊維の場合、その繊維軸に沿って筋状
の凹条が形成され、角度により著しい反射光を生じさ
せ、同様に不自然な光沢が生じてしまう。いずれにして
も従来の人工毛髪では、表面が平滑な又は凹凸形成が不
十分なものとなり、天然毛髪のキューティクル構造によ
って生じる自然な光沢や風合いとは著しく異なる様相を
呈している。
【0004】また、ポリアミド繊維表面を無機酸によっ
て溶解浸食させる方法(特公昭43−22349号)
や、微粒子を含有するポリエステル繊維をアルカリ処理
する方法(特開昭63−12716号,特開平5−14
0807号及び特開平5−140817号)なども知ら
れている。ところが、これらの方法では、用いる素材が
限定されざるを得ず、また制御方法に難点がある上、結
果的に得られた繊維において、内部まで脆化が進む場合
があり、物性が低下して切損し易くなる。
【0005】更に、特開昭61−245301号公報に
記載の人造毛の製造方法によれば、レーザ光線の照射処
理により繊維表面を粗面化するが、その場合、生産コス
トが高くなり、人工毛髪の製造には適当ではない。そし
てまた、繊維表面に球晶を生成することにより、凹凸構
造を形成する粗面化方法(特公昭45−4409号,特
開昭62−156308号及び特開昭62−15630
9号)も知られている。これらの方法によれば、紡糸条
件の制御を行うことで天然毛髪のキューティクル構造と
非常に良く似た凹凸形状が出現し、天然毛髪に酷似した
外観,触感が得られる。しかし、この方法では、適正な
紡糸条件を得るための制御が難しく、生産性を上げよう
とすると繊維表面の凹凸構造が天然毛髪のキューティク
ル構造に比して不十分なものとなり、外観,触感が天然
毛髪と異なってしまう。
【0006】本発明は、上記の点に鑑み、比較的簡単な
構成により優れた品質性能を有する人工毛髪を容易に得
ることができる人工毛髪の製造方法を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の人工毛髪の製造
方法は、繊維材に対してブラスト加工を施すことによ
り、繊維材表面に緻密な凹部を形成して繊維材表面を粗
面化するものであり、特に、請求項1に記載の発明によ
れば、上記繊維材又はこの繊維材から成る繊維束をその
繊維軸方向に関して回転させ、及び/又はブラスト材を
噴射するノズルを繊維材又は繊維束の周囲に沿って回転
させて、ブラスト加工を行うものである。
【0008】好ましくは、上記繊維材又は複数本の繊維
材から成る繊維束の周囲に対し、少なくとも二方向にブ
ラスト材を噴射するノズルを配置すると共に、該ノズル
を繊維軸方向に沿って移動させつつブラスト加工するも
のである。さらに好ましくは、上記繊維材又はこの繊維
材から成る繊維束をその繊維軸方向に関して回転させ、
及び/又はブラスト材を噴射するノズルを繊維材又は繊
維束の周囲に沿って回転させると共に、さらに、ノズル
を繊維軸方向に移動させつつブラスト加工を行うもので
ある。
【0009】さらに本発明の好ましい態様としては、繊
維材に対してブラスト加工を行うことにより、その表面
を粗面化する人工毛髪の製造方法において、所定長さに
裁断した多数の繊維材が回転可能な芯部材のまわりに配
置されるように、その繊維材から成る繊維束の両端部を
結束して上記芯部材を回転させる工程と、上記芯部材及
びブラスト材を噴射するノズルの少なくとも一方を移動
させつつ、回転する上記繊維束に対して少なくとも一方
向からブラスト加工を行う工程とを備えていることを特
徴としている。
【0010】
【作用】先ず、本発明方法では、ブラスト加工が行われ
る。ここにブラスト加工とは、ブラスト機を用いて素地
表面に対してブラスト材を衝突させることにより、その
表面処理を行う方法である。ブラスト機としては、吸引
式ブラスト装置や加圧式ブラスト装置などが好適に用い
られ得る。
【0011】ブラスト材としては、アルミナ系,シリコ
ン系,鉄系,ガラス系,合成樹脂系或いは植物系などが
あり、研削力を考慮すると、中でもアルミナ質研削材又
は炭化珪素質研削材(JIS,R6111;人造研削
材)が好適である。その粒度は、好適には#200〜#
2000(平均径80〜6.3μm)、より好ましくは
#400〜#1000(平均径40〜13μm)の範囲
である。その他の粒度のものも使用可能ではあるが、そ
の場合、一般には研削力を得るためのノズル距離や空気
圧などの条件設定が難しい。
【0012】繊維材としては、ポリアミド,ポリエステ
ル,モダアクリル及び塩化ビニルなど、材質やそれらの
断面形状を問わず何れも適用され得る。また、糸径は、
通常20〜150μm、好ましくは天然毛髪の径と近似
する30〜100μmのモノフィラメント繊維が用いら
れ得る。このような繊維材を単一で或いは例えば100
0本程度の束とした繊維束を、長さ数m〜数百m以上の
長尺のままで、或いは数cm〜数mの比較的短尺に裁断
したうえで、本発明によりブラスト加工して粗面化す
る。このような繊維材又は繊維束と、ブラスト機の噴射
ノズルとの少なくとも一方を回転させてブラスト加工す
るか、該繊維材又は繊維束を張架して、少なくとも2方
向からブラスト加工を行う。この場合、用いる繊維材の
表面硬度等に応じて、加工時間,噴射空気圧力,噴射ノ
ズル位置及びブラスト材の種類,粒度等が適宜選定され
るが、繊維材に対して好適には3方向からブラスト加工
を行うことにより、繊維材の全表面を万遍なく、しかも
最適な状態で均一に粗面化することができる。さらに、
単一又は複数の噴射ノズルを回転及び/又は繊維軸沿い
へ移動させつつブラスト加工することで、簡単に且つ均
一な粗面化を行うことができる。
【0013】粗面化すべき繊維材は、1本の場合、又は
多数本の繊維材から成る繊維束の場合のいずれでもブラ
スト加工を行うことができ、繊維表面の傷は点状とな
る。特に繊維束の場合、ブラスト材の衝突力、とくに吸
引式または加圧式のブラスト装置を用いたときはブラス
ト材の衝突力に加えて、ブラスト材と共に噴出するブラ
スト材を運ぶキャリヤ流体(例えば圧縮空気など)によ
り、その繊維束を個々の繊維材にバラけさせ、各繊維材
の間隙にブラスト材が入り込んで各繊維材表面に衝突
し、繊維束を構成する多数の繊維材を均一且つ適正に粗
面化することができる。
【0014】本発明はまた、合成繊維の紡糸工程中に組
み込むことができ、紡出された表面が平滑な繊維の最終
巻取り段の上流において、本発明によるブラスト加工工
程を組み込むことができる。或いは、前述した従来の各
種方法で人工毛髪用に凹凸を形成した繊維に対してもさ
らに本発明を適用することができ、この場合、凹凸形状
が不完全なものであっても、或いは筋状の凹条であって
も本発明を適用すれば天然毛髪の発する表面光沢と風合
いに一層酷似したものとすることができる。なお、長尺
な繊維材又は繊維束をブラスト装置へ連続供給すること
で生産性が向上する。ブラスト材は回収して再利用する
ことが可能である。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明による人工毛
髪の製造方法の第一実施例を説明する。ここで先ず、図
1は、本発明の方法に使用するブラスト機の概略構成を
示している。ブラスト機は、この実施例では一連の紡糸
工程の中で最終段に設置されており、通常の溶融紡糸方
法によって紡出された繊維材が、ブラスト機Bの一端側
のガイドローラ1を介して供給されると共に、他端側の
ガイドローラ2を介して送出されるようになっている。
なお本実施例では、繊維材としてナイロン6(糸径70
μm、丸型断面形状)を用い、この繊維材が50本同時
に紡糸されて繊維束3としてブラスト機Bに供給される
ものとする。
【0016】図1に示されるように、繊維束3は、ブラ
スト機B内において一定張力で張架され、集束ガイド
4,5を介して直線状に給送される。その給送方向(矢
印A)における離隔した位置にて、この実施例では3つ
の噴射ノズル6,7及び8が設けられている。噴射ノズ
ル6,7及び8は、好適には図2に示したように繊維束
3(図面では1本の繊維材3aによって示されている)
に対して、そのまわりをほぼ3分割する位置に配置され
る。このように好適には、3つの噴射ノズル6,7及び
8が三方向に設けられるが、例えば2つの噴射ノズル6
及び7を用い、繊維束3を挟んで180°対向するよう
に配置してもよい。本実施例では、噴射ノズル6,7,
8は上流側から下流側へ1本毎にずらした位置に配置さ
れている。これにより噴射ノズルにてブラスト材を吹き
付けたとき干渉が生ぜず、吹き付け速度に変化が生じな
い。
【0017】上記第一実施例により、繊維束3を給送し
ながら、各噴射ノズル6,7及び8によってブラスト加
工を行うが、本実施例における具体的加工条件は次の通
りである。 加工条件: a)ブラスト機形式:吸引式のエア加速式ブラスト機 b)ブラスト材の種類:人造エメリー研削材 c)ブラスト材の粒度:#600 d)噴射ノズルの径:7mm e)噴射ノズルの個数:3 f)噴射空気圧力:3kg/cm2 g)噴射ノズル及び繊維材間の距離:10cm h)繊維材給送速度:200m/min
【0018】本発明によれば、各噴射ノズル6,7及び
8から、図3に示されるように繊維束3に対してそれぞ
れブラスト材6a,7a及び8aが噴射される。そして
集束ガイド4,5によって区切られた各区間において、
各噴射ノズル6,7及び8の噴射空気圧力によって、そ
の繊維束3を個々の繊維材3aにバラけさせる。なお図
において、1はブラスト機の入口側に設けた集束ガイド
である。
【0019】図4に示されるように、繊維材3a相互の
隙間に入り込んだブラスト材(小黒点により示されてい
る)は、各繊維材3aに衝突する。しかも繊維束3を一
定方向に給送しながら、3つの噴射ノズル6,7及び8
により3方向からブラスト材を噴射することにより、全
ての繊維材3aの全表面を万遍なくブラスト加工し、こ
れにより最適な状態で均一に粗面化することができる。
【0020】なお上記実施例においては、50本の繊維
材3aにより構成される繊維束3に対して、ブラスト材
を適用する例を説明したが、1本の繊維材3aを給送し
ながら、各噴射ノズル6,7及び8によってブラスト加
工を施す場合にも、上記実施例と同様な作用効果を得る
ことができるのは勿論である。また、ブラスト機は、こ
の実施例では一連の紡糸工程の中で最終段に設置されて
いるが、紡糸工程とは無関係に独立して設置することも
勿論可能である。
【0021】上記第一実施例の変形例として、単一の噴
射ノズルを用い、繊維束3を回転させながら給送しても
よい。その際、噴射ノズルを複数個使用することも勿論
可能である。
【0022】次に、本発明による人工毛髪の製造方法の
第二実施例を説明する。この実施例では、繊維材として
ポリエステル繊維(糸径70μm、丸型断面形状)を用
い、上記第一実施例と基本的に同様に、図1のブラスト
機を用いて行った。
【0023】第二実施例における具体的加工条件は次の
通りである。 加工条件: a)ブラスト機形式:吸引式のエア加速式ブラスト機 b)ブラスト材の種類:褐色アルミナ研削材 c)ブラスト材の粒度:#1000 d)噴射ノズルの径:7mm e)噴射ノズルの個数:3 f)噴射空気圧力:5kg/cm2 g)噴射ノズル及び繊維材間の距離:8cm h)繊維材給送速度:200m/min
【0024】第二実施例においても、第一実施例と同様
全ての繊維材3aの全表面を万遍なくブラスト加工する
ことができ、しかも最適な状態で均一に粗面化ができ、
良好な結果が得られた。
【0025】次に、本発明による人工毛髪の製造方法の
第三実施例を説明する。この実施例は、表面に球晶を生
成することにより凹凸構造を形成する粗面化方法(例え
ば、特開平3−1911号)を利用するものである。と
ころで、この球晶形成による粗面化方法では、天然毛髪
と酷似した表面構造を形成し得るが、球晶生成の度合い
に比例してデニールむらなどが発生し易くなって生産性
が悪くなる傾向があり、適正な球晶生成と生産性とを維
持する条件設定が難しかった。そこで、効率よく天然毛
髪の外観・触感に似た人工毛髪を得るため、球晶形成に
よる粗面化において、生産性を高めるべく球晶生成を不
十分にしたナイロン繊維に対して、ブラスト加工を行っ
てみた。すなわち、球晶生成を不十分とした条件下で紡
出された顔料,染料を含むナイロン6(糸径75μm、
丸型断面形状)を30本の繊維束3として、繊維紡糸工
程の最終巻取り前に集束させて、ブラスト加工を適用す
る。
【0026】第三実施例における具体的加工条件は次の
通りである。 加工条件: a)ブラスト機形式:吸引式のエア加速式ブラスト機 b)ブラスト材の種類:人工エメリー研削材 c)ブラスト材の粒度:#600 d)噴射ノズルの径:7mm e)噴射ノズルの個数:3 f)噴射空気圧力:2kg/cm2 g)噴射ノズル及び繊維材間の距離:12cm h)繊維材給送速度:300m/min
【0027】第三実施例においても良好な結果が得られ
るが、特に、生産性を上げ球晶生成が不十分な繊維に対
して本発明法によるブラスト加工を行うことで、適正な
球晶生成を行った繊維に匹敵するような、天然毛髪と外
観,触感の酷似した人工毛髪を効率よく製造することが
できた。
【0028】以上のように、サンディング,異形断面,
酸やアルカリによる化学的表面処理或いは球晶生成など
の従来の粗面化技術により得られる人工毛髪に対して
も、本発明によりブラスト加工を施せば、より自然な表
面光沢を容易に付与することができる。
【0029】さらに、本発明による人工毛髪の製造方法
の第四実施例について説明する。この実施例では、所定
長さに裁断した多数の繊維材が、芯部材(治具)のまわ
りに配置され、この芯部材を回転させながら、2方向か
らブラスト材を吹き付けるものである。
【0030】図5は、第四実施例に係るブラスト装置の
概略構成例を示している。図において、10はターンテ
ーブル11上に立設された芯部材としての専用治具、1
2はターンテーブル11を回転駆動するモータである。
専用治具10は、モータ12によって矢印のように回転
制御される。13は多数の繊維材13aにより構成され
る適当な長さに裁断された繊維束である。
【0031】本実施例では、繊維材13aとしてナイロ
ン66(糸径60μm、丸型断面形状)を用い、繊維材
13aを束ねて繊維束13を構成する。各繊維材13a
は、かつらの植毛に適した例えば長さ60cm程度に裁
断されており、繊維束13の重量としては150g程度
で繊維束の直径は2cm程度となる。繊維束13は、そ
の上端部にて集束されて緊締され、またその下端部にお
いて外周の直径が30〜40mm程度の専用治具10に
固定されている。
【0032】さらに14,15は専用治具10に対向す
るようにセットされた噴射ノズル、16は噴射ノズル1
4,15を昇降させるための上下スライドユニット、1
7及び18は噴射ノズル14,15の上下端を規制する
それぞれリミットスイッチである。なお、繊維束13の
直径と芯材の外周の直径は上記数値に限定されるもので
はなく、噴射ノズル径,噴射圧力,ブラスト材の粒径,
繊維材の表面硬度等により適宜選択される。
【0033】この第四実施例において、専用治具10を
回転させ、且つ噴射ノズル14,15を昇降させなが
ら、これら2つの噴射ノズル14,15によって繊維束
13に対して2方向からブラスト材を吹き付ける。
【0034】第四実施例における具体的加工条件は次の
通りである。 加工条件: a)ブラスト機形式:吸引式のエア加速式ブラスト機 b)ブラスト材の種類:人工エメリー研削材 c)ブラスト材の粒度:#600 d)噴射ノズルの径:9mm e)噴射ノズルの個数:2 f)噴射空気圧力:5kg/cm2 g)噴射ノズル及び繊維材間の距離:8cm h)加工時間:3min
【0035】第四実施例によれば、繊維束13を専用治
具10にセットして回転させながら、噴射ノズル14,
15を昇降させてブラスト加工することにより、全ての
繊維材13aの全表面を万遍なく、最適な状態で均一に
粗面化することができ、上記各実施例と同様に、良好な
結果を得ることができた。なお、本実施例では噴射ノズ
ルを2個使用しているが、1個のみ又は3個以上設ける
ようにしてもよい。また、専用治具10は横などに取り
付けるようにしてもよく、この場合は噴射ノズル14,
15は左右等に移動することになる。
【0036】第四実施例の変形例として、繊維束13を
回転させることなく、噴射ノズル14,15を上下動さ
せつつ繊維束13の回りで回動するように構成してもよ
い。それに代えて、繊維束13を上下動させつつ回転す
るように構成することも勿論可能であり、何れも本発明
の範囲に包含される。また、繊維束13或いは噴射ノズ
ルの回転速度を適宜調整することにより、該噴射ノズル
を1個のみ又は3個以上設けるようにしてもよい。
【0037】さらに、本発明法を実施可能な第五実施例
について図6及び図7を用いて説明する。この例では、
比較的短尺な繊維束20が給送コンベア21上に載置さ
れて順次搬送され、その途上で給送コンベア21の上下
に配置した噴射ノズル22,23によってブラスト材が
吹き出されてブラスト加工されるようになっている。繊
維束20は給送コンベア21の幅方向に載置され、押さ
えバネ24を介してコンベア両端に配置したコ字状の繊
維束押圧板25によって繊維束20の両端が挟持される
ことにより、給送コンベア21上で横方向に保持されて
いる。
【0038】この実施例によれば、給送コンベア21が
図7の矢印方向に回動すると、その上に保持された繊維
束20は図面上右側へ搬送され、その途上、コンベアの
上下に配置した噴射ノズル22,23が図5において矢
印Xで示すように左右に繊維束20の長さ方向に往復動
しつつ、ブラスト材を噴射する。これによって、繊維束
20はほぼその全長にわたって万遍なく粗面化されるこ
とになる。この例では噴射ノズルを往復運動させること
により万遍なく粗面化する場合を述べたが、噴射ノズル
を往復運動させることなく必要なだけ複数個設けること
により粗面化するようにしてもよい。
【0039】なお上記各実施例において、具体的数値を
示して本発明方法を説明したが、これらの数値例等は、
本発明の範囲内で適宜変更可能であり、上述した数値の
みに限定されるものではない。さらに、ブラスト加工の
後処理工程として、ブラスト材の除去工程を組み込ん
で、風圧や水により該繊維又は繊維束に付着している余
分なブラスト材を除去するようにしてもよい。この際、
水による洗浄の場合にはその後に乾燥工程を組み込め
ば、直ぐに人工毛髪として使用可能となる。また、この
工程で回収したブラスト材と、ブラスト加工時に回収し
循環させて再利用しているブラスト材とを併せて使用す
ることも可能である。このように、ブラスト加工におい
ては、ブラスト材を簡単に回収再利用することができる
ので、レーザ光線による加工などと比較して製造コスト
の点でも有利である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、比
較的簡単な構成により、この種の繊維材の表面を適度に
且つ均一に粗面化することができ、優れた品質性能を有
する人工毛髪を容易に得ることができる。とくに、本発
明によって得られる繊維表面の傷は点状になり、従来の
サンディングによる筋状の傷と異なり、外力がかかって
も分散されるので、十分な強度を保持している。また、
点状の傷であるため、光の角度によっても不自然な光沢
を生じることがない。さらに、無機酸やアルカリを用い
て行う化学的処理のように繊維内部まで侵されることが
ないので、物性低下の虞れも少なく、繊維の材質,形状
なども限定されず、何れの繊維も適用可能である。ま
た、本発明によれば、使用済みのブラスト材を再利用す
ることもでき、レーザ光線による粗面化と比べ製造コス
トも廉価である。
【0041】さらに、球晶生成が不十分な繊維に対して
本発明法を適用すれば、外観,触感ともに天然毛髪に酷
似した人工毛髪が得られる。
【0042】また本発明によれば、繊維を固定保持して
ブラスト加工を施すので、ブラスト材の打力などにより
繊維同士が絡まることなく、且つ、繊維又は噴射ノズル
或いは両方を同時に回転・上下動させるので、繊維表面
をむらなく粗面化できる。そして、粗面化し得る繊維の
長さも特に制限されることはなく、数百m以上の比較的
長尺な繊維に対しても或いは所定長さにカットした比較
的短尺な繊維の何れに対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による人工毛髪の製造方法の第一実施例
に係るブラスト機の概略構成を示す図である。
【図2】本発明方法に使用する上記ブラスト機の噴射ノ
ズルによるブラスト加工の作用を説明する図である。
【図3】本発明による人工毛髪の製造方法の第一実施例
におけるブラスト加工の適用例を示す図である。
【図4】本発明方法におけるブラスト材の作用を説明す
る図である。
【図5】本発明による人工毛髪の製造方法の第四実施例
に係るブラスト機の概略構成を示す図である。
【図6】本発明法に適用可能なブラスト機の第五実施例
を示す概略正断面図である。
【図7】図6に示すブラスト機の概略側断面図である。
【符号の説明】
1,2 ガイドローラ 3 繊維束 3a 繊維材 4,5 集束ガイド 6,7,8 噴射ノズル 10 専用治具 11 ターンテーブル 12 モータ 13 繊維束 14,15 噴射ノズル 16 上下スライドユニット 17,18 リミットスイッチ 20 繊維束 21 給送コンベア 22,23 噴射ノズル 24 押さえバネ 25 繊維束押圧板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A41G 3/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維材に対してブラスト加工を行うこと
    により、その表面を粗面化する人工毛髪の製造方法にお
    いて、 上記繊維材又はこの繊維材から成る繊維束を該繊維軸に
    関して回転させ、及び/又は、ブラスト材を噴射するノ
    ズルを該繊維材又は繊維束の周囲に沿って回転させつつ
    ブラスト加工を行うことを特徴とする人工毛髪の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 繊維材に対してブラスト加工を行うこと
    により、その表面を粗面化する人工毛髪の製造方法にお
    いて、 上記繊維材又は複数本の繊維材から成る繊維束の周囲に
    対し、少なくとも二方向にブラスト材を噴射するノズル
    を配置すると共に、該ノズルを繊維軸方向に沿って移動
    させつつブラスト材を吹き付けることによってブラスト
    加工を行うことを特徴とする、人工毛髪の製造方法。
  3. 【請求項3】 繊維材に対してブラスト加工を行うこと
    により、その表面を粗面化する人工毛髪の製造方法にお
    いて、 上記繊維材又はこの繊維材から成る繊維束を該繊維軸に
    関して回転させ、及び/又は、ブラスト材を噴射するノ
    ズルを該繊維材又は繊維束の周囲に沿って回転させると
    共に、上記ノズルを繊維軸方向に沿って移動させつつブ
    ラスト加工を行うことを特徴とする、人工毛髪の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記ノズルが複数個前記繊維軸に関して
    等角度に配置されていることを特徴とする、請求項1〜
    の何れかに記載の人工毛髪の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ノズルが複数個前記繊維軸方向に沿
    って適宜間隔をおいてずらして配置されていることを特
    徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の人工毛髪の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 繊維材に対してブラスト加工を行うこと
    により、その表面を粗面化する人工毛髪の製造方法にお
    いて、 所定長さに裁断した多数の繊維材が回転可能な芯部材の
    まわりに配置されるように、その繊維材から成る繊維束
    の両端部を結束し、上記芯部材を回転させる工程と、 該芯部材及びブラスト材を噴射するノズルの少なくとも
    一方を移動させつつ、回転する繊維束に対して少なくと
    も一方向からブラスト加工を行う工程と、 を備えていることを特徴とする人工毛髪の製造方法。
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