JP3427182B6 - 首振り運動光てこによる光線追尾式レーザ干渉測長器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、XYZ三次元座標空間内で移動する光学反射鏡の空間内移動量を光線により追尾しつつ三辺測量又は四辺測量する光線追尾式レーザ干渉測長器に関する。
【0002】
【従来の技術】光の干渉を用いた測量器は公知である。その測量器は三角測量用の目的で開発された測量器の望遠鏡の鏡筒中に干渉光学系を組込み、反射鏡の移動量を計測しようとするものである。
【0003】この技術については三角測量法が用いられる産業分野、例えば、土木建築分野等で使用されるもので、従来巻尺を使用して測定した方法を、レーザ干渉により測定しようとするものである。干渉計測であるから、従来の巻尺測定より高精度で測定できる。
【0004】また、従来、移動体にレーザビームを向けるための追尾式レーザ干渉測長器として、例えば図8に示すものがある。この追尾式レーザ干渉測長器は、最終段の反射ミラー610が回転体614,616を介してX軸及びY軸の周りにそれぞれ回動できるように構成され、これにより移動体に設けられている逆反射体(図示せず)にレーザビームを照射できるようになっている。即ち、反射ミラー610を支持する回転体614は、回転体616に対して軸受け612,612を介してX軸の周りに回動自在に支持され、回転体616は固定台618に対して軸受け620,620を介してY軸の周りに回動自在に支持されている。
【0005】そして、図示しないレーザ光源から発振されたレーザビームは、固定台618に固定された偏光ビームスプリッタ622によって分割され、分割された一方のレーザビームはコーナー・キューブ624に入射し、その反射光は参照光として偏光ビームスプリッタ622を介して検出部626に入射する。一方、分割された他方のレーザビームは、プリズム628によってY軸と同軸上に折り曲げられ、その後、回転体616に支持されたプリズム630,632を介してX軸と同軸上に折り曲げられ、最終段の反射ミラー610に入射される。
【0006】従って、反射ミラー610から出射されるレーザビームは、回転体616がY軸の周りに回動すると旋回し、回転体614がX軸の周りに回動すると上下方向に移動するため、回転体614及び616の回動をそれぞれ制御することにより移動体に設けられている逆反射体に向けてレーザビームを出射することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が目指す計測では計測原点の回転による偏心を1μm以下にする必要があるが、従来の計測器の構成ではこの回転偏心量を1μm以下にすることは困難であった。その理由を、図8を模式化した図9を参照して説明すると次のとおりである。
(1)反射ミラー610から出射されるレーザビームのレーザ光軸601がある断面積を持った円筒の仮想的軸線であるので機械的接触が不可能であること。
(2)X−Y2軸のジンバル回転中心線602を、共にレーザ光軸601に合致させる3軸合致が困難であること。等による。
【0008】前記3軸交点の合致に誤差があると、望遠鏡の姿勢を変えた場合、干渉測定原点として不動であって欲しい、近似的3軸交点の位置が、偏心運動し、測長の一次誤差となる。高精度測定を目標とするならば、この誤差を極力小さくする必要がある。本発明は、光軸の姿勢が変化しても、干渉計測原点すなわち首振り運動光てこの反射面の中心の移動量を微少にすることのできる追尾式レーザ干渉測長器を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するために、干渉光学系の光路中に首振り運動光てこを設け、該首振り運動光てこの反射面の中心にレーザ光線を入射し、首振り運動光てこを制御することによりその反射光線を任意の方向に変化可能とし、反射光線を計測対象であるレトロリフレクタに照射して追尾するようにしたことを特徴とする。また、本発明は、上面を光学的反射面とした半球と球状接触子とを連結軸で結合した首振り運動光てこの前記半球の球面部を三球球面座に加圧的に設座させるとともに前記球状接触子を移動テーブルの上面に固定したV板のV形面に加圧的に接触させるようにしてなることを特徴とする。
【0010】また、本発明は、干渉光学系の戻り光路中に干渉計測用とは別のビームスプリッタを設け、戻り光のほぼ1/2を四分割受光素子に導き、該受光素子により得られる電気的出力を制御装置への入力として、該受光素子のX方向及びY方向出力の中立点が最大光量点となるごとく、移動テーブルの位置制御を行うことによりV形面を移動させて首振り運動光てこの姿勢を制御することを特徴とする。 また、本発明は、光線追尾式レーザ干渉測長器を4セット使用して、計測対象であるレトロリフレクタの位置を所定回数追尾計測することにより、光線追尾式レーザ干渉測長器の互いの位置関係及び光線追尾式レーザ干渉測長器とレトロリフレクタとの距離が測定できない場合においてもレトロリフレクタの位置を決定可能とすることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】図1,2において、1は本発明の基本的構成に係る首振り運動光てこであり、その詳細は図3,4,5に示してある。図3,4,5において、2は半球であり、軸受用鋼球を仕上代を残すべく半分より若干大きく切断し、切断面をラッピング加工して、半径Rに等しい厚さHに仕上げている。この半球2はガラス半球を前記鋼球と同様に仕上げても良い。軸受用鋼球の場合は選別して真球度0.05〜0.1μmのものが容易に入手できる。また、R−Hの値を0.1〜0.15μm程度にラッピング仕上げすることも容易にできる。両数値を総合して、0.15〜0.25μmの偏心量となるが、この数値は本発明が目標としている1μmよりはるかに小さい。この半球2を後記する三球球面座中に設座した場合、首振り運動による偏心が微少な、測定の基準となる原点が得られる。
【0012】4は球状接触子である。球状接触子4は連結軸3で、半球2と一体に結合されている。9は三球球面座基板で、その内面には3個の穴42が120°間隔で設けられており、その穴の中に1個ずつ合計3個の鋼球41が圧入されており、三球球面座基板9と鋼球41とで三球球面座を構成している。三球球面座基板9は、ベース板12にスタンド17、17を介して結合した上板18に固定されており、熱膨張変位並びに振動振幅以外に動く要因はない。また、鋼球41も穴42の中に固定されており、微動及び微少回転することはない。
【0013】首振り運動光てこ1の半球2は、その球面部で三球球面座に設座しており、また、球状接触子4はX移動テーブル10の上面に固定されたV板5のV形面51に接触している。すなわち、垂直方向から傾斜した左右2本の引張ばね7が連結軸3とV板5にそれぞれピン6,8を介して取付けられており、この引張ばね7の張力で半球2が三球球面座の3個の鋼球41と、また、球状接触子4がV形面51と同時に加圧接触するようになっている。なお、引張ばね7のかわりに電気磁気力を使用しても同様な効果が得られる。
【0014】図1,2において、X移動テーブル10は、モータ15によりカップリング16と送りねじ14を介してX方向に移動できる。Y移動テーブル11は、モータ15’,カップリング16’と送りねじ14’を介してY方向に移動できるように構成されている。このY移動系はガイドウエー19を介してベース板12上に組付けられている。モータ15,15’には、パルスモータとかサーボモータ又はリニアモータ等が使用でき、リニアモータを使用する場合には送りねじ14,14’等は必要ない。
【0015】100はキャッツアイで、位置計測が必要な対象物である。キャッツアイ100の中心101を目指して入射した平行光線102は、入射点の真裏で反射し、元の位置及び方向に戻ってくるように、使用するレーザ波に合わせて球半径及びガラスの屈折率が決められている。このキャッツアイ100の代替品としてキューブコーナ反射鏡を使用することもできる(これら反射鏡を本明細書においては「レトロリフレクタ」という。)。
【0016】図1において、2点鎖線はレーザ光の光軸を示しており、レトロリフレクタ100からの戻り光は、首振り運動光てこ1の半球2の上面中心20で反射して、平面反射鏡104,直角プリズム105を通過し、ビームスプリッタ106に達する。この戻り光の約1/2は、ここで反射して四分割受光素子107に入射する。四分割受光素子107は、図6に示すような4つの受光面A、B、C、Dを持っている。
【0017】四分割受光素子107は、レトロリフレクタ100が静止しているときに該受光素子107の4つの受光面A、B、C、Dからそれぞれ得られる電気的出力a,b,c,dが全て等しくなるように中立位置が調整されて組付けられている。レトロリフレクタ100が移動すると、前記電気的出力a,b,c,dの出力バランスが崩れる。電気的出力に関して、〔a+c〕−〔b+d〕の値を制御偏差として〔a+c〕−〔b+d〕=0を目標としたX軸方向の位置制御を、同様にして〔a+b〕−〔c+d〕の値を制御偏差として〔a+b〕−〔c+d〕=0を目標としたY軸制御を実行することにより、レトロリフレクタ100の位置を追尾できる。
【0018】図1の1点鎖線で囲まれた部分108は測長用干渉計の原理的構成を示しており、この干渉計108の中心109から首振り運動光てこ1の上面中心20までの光路長は常に一定な長さであるから、干渉計108の中心109からレトロリフレクタ100の中心101までの光路長を計測することにより、レトロリフレクタ100の中心101と光てこ1の上面中心20までの、レトロリフレクタ100の移動による距離差、即ち、L1−L0の値を干渉計測できる。
【0019】図7は、前記した計測ユニットを使用して三辺測量を実施する方法の説明図である。01,02,03の三カ所に計測ユニットを設置し、100にはコーナーキューブあるいはキャッツアイなどのレトロリフレクタを設置する。三カ所に設置した計測ユニット01,02,03からレトロリフレクタ100の中心101までの距離L11,L12,L13を測定する。ここで計測ユニット01,02,03の互いの位置関係を予め計測しておけば、三辺測量の原理により距離L11,L12,L13からレトロリフレクタ100の中心位置101を一意に決定することができる。
【0020】しかしながら、計測ユニットの互いの位置関係を1μm以下の精度で正確に測定することは非常に困難である。さらに計測ユニットにインクリメンタルなカウンタを用いたレーザ干渉計を使用した場合、レトロリフレクタの移動量のみが測定可能であり、計測ユニットとレトロリフレクタとの絶対的な距離を測定することができない。この場合、以下に述べる自己校正法により計測ユニットの互いの位置関係と測定開始時の計測ユニットとレトロリフレクタの絶対距離を決定することが可能であり、したがって、三辺測量の原理によりレトロリフレクタの中心位置を決定することが可能になる。
【0021】次に自己校正法の原理について説明する。上記したような三辺測量を行うには、計測ユニットが3台必要である。自己校正法を行うためには、3つの計測ユニット01,02,03に加えて第4の計測ユニット04を使用する。この場合、計測ユニット間の位置関係と、それぞれの計測ユニットとレトロリフレクタ100の中心までの距離は未知で良い。次にレトロリフレクタ100を任意の位置に設置し、それぞれの計測ユニットに装備されたレーザ干渉計のカウンタをゼロにリセットする。さらにレトロリフレクタ100を任意の別の位置に移動し、それぞれの計測ユニットのレーザ干渉計で計測を行う。つまりこの時点では4台の計測ユニットから、都合4つの計測値が得られたことになる。さらにレトロリフレクタ100を別の場所に移動し計測を行うことを繰り返すと、n回の移動を行った後には合計4×n個の計測値を得ることができる。
【0022】ここで各々の測定点の座標は測定者にとっては未知数である。これは三次元の座標であるので、未知数は3個である。上記の測定はn回行われたので、合計3×n個の未知数が存在することになる。さらに計測ユニットの位置関係に関する未知数が6個、レトロリフレクタの初期位置に関する未知数が3個、存在する。したがって、未知数の合計は、3×n+6+3個である。一方、測定値は4×n個存在するので、これら二つの数がもし等しくなる、つまり方程式 3×n+6+3=4×nを解いてn=9、したがって9点の測定を行えば、これらの未知数は全て数学的に一意に決定できる。以上が自己校正法の原理であり、この方法により、一旦、計測ユニットの位置関係とレトロリフレクタまでの初期距離が決定できれば、その後任意の場所にレトロリフレクタが移動した場合においても、各計測ユニットに装備されたレーザ干渉計の測定値から三辺測量の原理によりレトロリフレクタの位置を決定することができる。なお、未知数の決定のための計算に9点以上の測定点が利用できる場合は、方程式が過拘束の状況になり解くことができないので、その場合は最小二乗法を用いて決定すれば良い。
【0023】
【発明の効果】本発明は、干渉光学系の光路中に首振り運動光てこを設け、該首振り運動光てこの反射面の中心にレーザ光線を入射し、首振り運動光てこを制御することによりその反射光線を任意の方向に変化可能とし、反射光線を計測対象であるレトロリフレクタに照射して追尾するようにしたことにより、光軸の姿勢を変化させても、干渉計測原点の移動量を微少にすることのできる追尾式レーザ干渉測長器を得ることができる。また、本発明は、上面を光学的反射面とした半球と球状接触子とを連結軸で結合した首振り運動光てこの前記半球の球面部を三球球面座に加圧的に設座させるとともに前記球状接触子を移動テーブルの上面に固定したV板のV形面に加圧的に接触させるようにしたことにより、首振り運動による偏心が微少な、測定の基準となる原点が得られる。また、本発明は、干渉光学系の戻り光路中に干渉計測用とは別なビームスプリッタを設け、戻り光のほぼ1/2を四分割受光素子に導き、該受光素子により得られる電気的出力を制御装置への入力として、該受光素子のX方向及びY方向出力の中立点が最大光量点となるごとく、移動テーブルの位置制御を行うことによりV形面を移動させて首振り運動光てこの姿勢を制御することにより、レトロリフレクタの位置を的確に追尾することができる。
【0024】本発明による光線追尾式レーザ干渉測長器を4セット使用して、計測対象であるキャッツアイ位置を追尾計測することで、光線追尾式レーザ干渉測長器の互いの位置関係及び光線追尾式レーザ干渉測長器とレトロリフレクタとの距離が測定できない場合においてもレトロリフレクタの位置を決定することができる。また、工業用ロボットの作業軸端にキャッツアイを取付けて、追尾させた場合に、ロボットの位置決め誤差が求められる。ロボットの位置決め誤差が判っておれば、現在、ロボットの実働現場で行われている、プログラム修正作業が不要となり、机上プログラミング作業で位置決めプログラミング作業を済ますことができ、大幅な時間節約となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の正面図で、その一部を断面図で表示している。
【図2】本発明の実施例の右側面図である。
【図3】本発明の実施例に係る首振り運動光てこ、首振り運動光てこを設座する三球球面座及び首振り運動光てこを制御するV板を示す正面図である。
【図4】本発明の実施例に係る首振り運動光てこの三球球面座への設座状況を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例に係る首振り運動光てこの球状接触子とV形面との接触状態を示す平面図である。
【図6】本発明の実施例に係る四分割受光素子の正面図である。
【図7】本発明の実施例に係る光線追尾式レーザ干渉測長器を3又は4セット使用して3辺又は4辺測量する要領を示す説明図である。
【図8】従来の光線追尾式レーザ干渉測長器を示した正面図である。
【図9】図8に示した従来の光線追尾式レーザ干渉測長器の3軸交点の様子を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
1 首振り運動光てこ
2 半球
3 連結軸
4 球状接触子
5 V板
6、8 ピン
7 引張ばね
9 三球球面座基板
10 X移動テーブル
11 Y移動テーブル
12 ベース板
14,14’ 送りねじ
15,15’ モータ
20 半球の上面中心
41 鋼球
51 V形面
100 レトロリフレクタ
101 レトロリフレクタの中心
106 ビームスプリッタ
107 四分割受光素子
108 干渉計

Claims (4)

  1. 干渉光学系の光路中に首振り運動光てこを設け、該首振り運動光てこの反射面の中心にレーザ光線を入射し、首振り運動光てこを制御することによりその反射光線を任意の方向に変化可能とし、反射光線を計測対象であるレトロリフレクタに照射して追尾するようにしたことを特徴とする首振り運動光てこによる光線追尾式レーザ干渉測長器。
  2. 上面を光学的反射面とした半球と球状接触子とを連結軸で結合した首振り運動光てこの前記半球の球面部を三球球面座に加圧的に設座させるとともに前記球状接触子を移動テーブルの上面に固定したV板のV形面に加圧的に接触させるようにしてなることを特徴とする請求項1記載の首振り運動光てこ。
  3. 干渉光学系の戻り光路中に干渉計測用とは別のビームスプリッタを設け、戻り光のほぼ1/2を四分割受光素子に導き、該受光素子により得られる電気的出力を制御装置への入力として、該受光素子のX方向及びY方向出力の中立点が最大光量点となるごとく、移動テーブルの位置制御を行うことによりV形面を移動させて首振り運動光てこの姿勢を制御することを特徴とする請求項1記載の首振り運動光てこの姿勢制御方法。
  4. 請求項1記載の光線追尾式レーザ干渉測長器を4セット使用して、計測対象であるレトロリフレクタの位置を所定回数追尾計測することにより、光線追尾式レーザ干渉測長器の互いの位置関係及び光線追尾式レーザ干渉測長器とレトロリフレクタとの距離が測定できない場合においてもレトロリフレクタの位置を決定可能とすることを特徴とする光線追尾式レーザ干渉測長器を用いた測量方法。
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