JP3426011B2 - 半導体製造装置及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体製造装置及び半導体装置の製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体製造装置及びその
半導体製造装置を使用する半導体装置の製造方法に係
り、特に半導体製造工程における熱処理に用いられる炭
化珪素反応管及びその炭化珪素反応管を使用する半導体
装置の熱処理方法に関する。半導体製造工程における熱
処理に用いられる治具材料には、石英、SiC(炭化珪
素)、多結晶シリコン、CVD−SiCなどがあるが、
価格、純度、使い易さ、耐熱性という不純物拡散等の熱
処理工程における要求項目を完全に満たす治具はなかっ
た。そのため、耐熱性に優れ、かつ高純度で価格の安い
材料を開発することが要請されている。
【0002】
【従来の技術】従来の不純物拡散等の熱処理工程に用い
られる治具材料としては、比較的純度が高くて低価格の
石英が一般的であったが、石英は高温での軟化の問題が
絶えず挙げられていた。そのため近年では、石英に代わ
り、SiC、多結晶シリコン、CVD−SiCといった
材料が注目されてきた。
【0003】しかし、これらの材料は耐熱性では石英よ
りも優れているが、それぞれ問題があった。例えばSi
Cは純度が低くかつ高価格であり、多結晶シリコンは高
価格で形状に制約があり、CVD−SiCはそのSiC
膜が剥離し易くかつ高価格であるなど、一長一短である
ため、必ずしも石英を上回っているとは言い切れなかっ
た。
【0004】このため、例えば低純度のSiCを熱処理
工程の反応管として用いた場合、そのSiC反応管の内
側に筒状の石英管を設けたり、その内壁表面にシリコン
系絶縁膜をコートしたりして、SiC反応管からの汚染
を防止する工夫がなされていた(特願昭52−1437
57号、特願平2−236281号参照)。ところが最
近では、SiCに関する改善が行われ、SiCの問題点
である純度が飛躍的に高まり、耐熱石英よりも純度的に
良い物が完成している。このため、SiC反応管が普及
し始めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のSiC反応管は、粒径10〜50μmφ又は粒径1
00〜150μmφのSiCのパウダーを焼き固め、そ
のポーラスなSiCの周囲にSiを流し込んで作製する
ため、この溶融Siを介する粒界拡散によりFe、C
r、Cu等の金属不純物がSiC反応管を透過してしま
う。
【0006】通常、SiC反応管の外側はタンタル線等
からなるヒータなどがあり、このヒータからの金属不純
物が存在する雰囲気となっているため、この金属不純物
がSiC反応管を透過してしまい、SiC反応管の内側
にまで金属不純物が入り込んでくるという現象が生じて
いた。本発明者らは、この現象を定量的に確認するた
め、図5に示すようなサンドイッチアニール法を用いた
実験を行った(尚、サンドイッチアニール法について
は、特開平4−263421号及び特開平4−2673
27号を参照のこと)。
【0007】Siウェーハ30の全表面に厚さ100〜
200nmのSiN膜32を形成し、このSiウェーハ
30の両面のSiN膜32上に、それぞれSiC反応管
と同じ高純度のSiC層34を設け、更にこのSiC層
34の両面をSiC反応管の外の汚染を想定した不純物
の多い石英層36で挟んだものを第1の試料として用い
た(図5(a)参照)。
【0008】また、この第1の試料との比較を行うた
め、Siウェーハ30の両面のSiN膜32上にそれぞ
れSiC層34を設けただけの第2の試料と、Siウェ
ーハ30の両面のSiN膜32を石英層36で挟んだだ
けの第3の試料とを用いた(図5(b)、(c)参
照)。そしてこれら第1〜第3の試料のサンドイッチア
ニールを行った。即ち、N2雰囲気中において、温度1
100℃の条件で6時間の熱処理を行った。次いで、S
iN膜32をHFで溶かし、AAS(Atomic Absorptio
n Spectrometry;原子吸光分析)法を用いて、SiN膜
32中に拡散した不純物を検出した。この結果を、図6
に示す。
【0009】この図6から明らかなように、SiN膜3
2上に石英層36を設けた第3の試料からは、当然に多
くの不純物が大量に検出された。また、SiN膜32上
にSiC層34を設けた第2の試料からは殆ど検出され
ない金属、例えばLi、Cr、Fe等が、SiN膜32
上にSiC層34を介して石英層36を設けた第1の試
料から検出された。これらの金属は、石英層36から放
出され、SiC層34を拡散して、SiN膜32中に入
ってきたものと考えられる。
【0010】従って、高純度のSiC反応管を使用した
場合においても、その外側にヒータなどの金属不純物源
が存在するときは、SiC反応管はその周囲の雰囲気に
存在する金属不純物を透過してしまい、SiC反応管の
内側にまで金属不純物が入り込んでくることになる。こ
のため、高純度のSiC反応管を使用しても、そのSi
C反応管内で熱処理中のウェーハが金属不純物で汚染さ
れ、作製される素子特性に悪影響が及ぶという問題を生
じる。
【0011】そこで本発明は、反応管の外側からの金属
不純物の透過を阻止して、反応管内で処理される半導体
装置を金属不純物の汚染から保護する半導体製造装置及
び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題は、半導体装置
の製造工程における熱処理に用いられるSiC反応管
と、前記SiC反応管の外側に設置され、OH基(水酸
基)を少なくとも100ppm以上含有する筒状の石英
管とを有することを特徴とする半導体製造装置によって
達成される。
【0013】また、上記の半導体製造装置において、前
記石英管が、酸素−水素炎溶融法を用いて製造された石
英管であることが望ましい。また、上記の半導体製造装
置において、前記石英管が、少なくとも前記SiC反応
管内に挿入される半導体装置の周囲を覆う長さを有して
いればよい。更に、上記課題は、上記の半導体製造装置
に半導体装置を挿入して、前記半導体装置に対する熱処
理を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法によっ
て達成される。
【0014】
【作用】高純度のSiC反応管の外側に、OH基を少な
くとも100ppm以上含有する筒状の石英管が設置さ
れていることにより、石英管中のOH基による金属不純
物の拡散防止効果が発揮されるため、SiC反応管の外
側からの金属不純物がSiC反応管内にまで透過するこ
とはない。従って、SiC反応管内で熱処理中の半導体
装置が金属不純物で汚染されることはない。尚、石英管
中のOH基が金属不純物の拡散を防止するメカニズムに
ついては諸説があり、未だ十分には解明されていない。
【0015】また、石英管の材料たる石英の種類には、
その製法により、電気溶融石英と、酸素−水素炎溶融石
英と、合成石英がある。電気溶融石英は、水晶のパウダ
ーを電気炉内で加熱溶融して作製するもので、耐熱生に
優れているが、純度が低く、かつ石英管中のOH基が通
常30ppm以下である。また、合成石英は、SiCl
4 ガスを用いたCVD法により作製するもので、高純度
であるが、耐熱生に劣る。これらに対して、酸素−水素
炎溶融石英は、水晶のパウダーをバーナーで加熱溶融し
つつ種結晶上に成長させていくもので、純度が高く、か
つ石英管中のOH基が通常100ppm以上である。
【0016】従って、石英管が、酸素−水素炎溶融法を
用いて製造された石英管であることにより、石英管中の
OH基による金属不純物の拡散防止効果が大きくなる。
また、石英管は、SiC反応管の長さと同一又はそれ以
上の長さを有していれば、SiC反応管の外側からの金
属不純物の透過を防止する効果は最も大きいが、少なく
ともSiC反応管内に挿入される半導体装置の周囲を覆
う長さを有していれば、SiC反応管内で熱処理中の半
導体装置に対する金属不純物の汚染を防止することがで
きる。従って、半導体装置に要求される汚染防止の程度
と石英管に要するコストとを勘案して、上記の範囲内で
石英管の長さを決定することが可能である。
【0017】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて具
体的に説明する。図1は本発明の一実施例による半導体
製造装置を示す概略断面図である。半導体装置の製造工
程における例えば熱酸化や不純物拡散等の熱処理に用い
られる半導体製造装置は、炉体10の中央に、一方の端
部を絞った高純度のSiC反応炉12が設置されてい
る。また、このSiC反応炉12の外側のほぼ全体にわ
たり、少なくとも2mm以上の間隔をおいて、酸素−水
素炎溶融法を用いて製造された200ppmのOH基を
含有する筒状の石英管14が設置されている。更に、石
英管14の外側には、例えばタンタル線等を用いたヒー
タ16が設置されている。
【0018】そしてSiC反応炉12内に、例えばSi
Cからなるボード18に装填されたSiウェーハ20が
挿入され、所定の温度、所定の雰囲気中で熱処理される
ようになっている。次に、この半導体製造装置におい
て、SiC反応炉12の外側に設置した石英管14の効
果を明らかにするため、図2に示すようなサンドイッチ
アニール法を用いた実験を行った。
【0019】Siウェーハ20の全表面に厚さ100〜
200nmのSiN膜22を形成し、このSiウェーハ
20の両面のSiN膜22上に、それぞれ石英管14と
同じく200ppmのOH基を含有する石英層24を設
け、更にこの石英層24の両面をSiC反応管12の外
の汚染を想定した不純物の多い石英層26で挟んだもの
を第1の試料として用いた(図2(a)参照)。
【0020】また、この第1の試料との比較を行うた
め、Siウェーハ20の両面のSiN膜22上にそれぞ
れ石英層24を設けただけの第2の試料と、Siウェー
ハ20の両面のSiN膜22を石英層26で挟んだだけ
の第3の試料とを用いた(図2(b)、(c)参照)。
そしてこれら第1〜第3の試料のサンドイッチアニール
を行った。即ち、N2雰囲気中において、温度1100
℃の条件で6時間の熱処理を行った。次いで、SiN膜
22をHFで溶かし、AAS法を用いて、SiN膜22
中に拡散した不純物を検出した。この結果を、図3に示
す。
【0021】この図3から明らかなように、SiN膜2
2上に石英層26を設けた第3の試料からは、当然に多
くの不純物、例えばFe,Cr,Ni,Cu等が大量に
検出された。また、SiN膜22上にSiC層26を設
けた第2の試料から検出される金属の量は極めて少な
く、Cuが目立つ程度である。これに対して、SiN膜
22上に石英層26を設けた第1の試料から検出される
金属の量も極めて少なく、第2の試料からも検出される
Cuを除けば、Feが目立つ程度であり、そのFeも第
3の試料からの検出量と比較すると、1桁以上減少して
いる。
【0022】このことから、200ppmのOH基を含
有する石英層24の存在が石英層26からのFe,C
r,Ni,Cu等の金属不純物の拡散を有効にブロック
していることが確認される。従って、本実施例によれ
ば、高純度のSiC反応管12の外側に200ppmの
OH基を含有する筒状の石英管14が設置されているこ
とにより、石英管14による金属不純物の拡散防止効果
が発揮されて、外部からの金属不純物がSiC反応管1
2内にまで透過することが阻止されるため、SiC反応
管12内に挿入したSiウェーハ20が熱処理中に金属
不純物で汚染されることを防止することができる。
【0023】また、SiC反応炉12と石英管14との
間には少なくとも2mm以上の間隔があるため、外側の
石英管14が熱変形しても、低価格の石英管14のみを
取り替えることが可能であるため、高価格のSiC反応
炉12の寿命を長くし、装置全体を低コストで維持する
ことができる。尚、上記実施例においては、石英管14
がSiC反応炉12の外側のほぼ全体を覆うように設置
されており、この方が金属不純物の汚染を防止すること
からは望ましいが、図4の他の実施例による半導体製造
装置に示されるように、石英管14が少なくともSiC
反応炉12内に挿入されたSiウェーハ20が装填され
ているボード18を十分に覆う長さを有していれば、か
なりの金属不純物汚染防止を発揮することができる。
【0024】従って、Siウェーハ20に対して要求さ
れる汚染防止の程度と石英管14に要するコストとを勘
案して、石英管14の長さを決定することが可能であ
る。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、半
導体装置の製造工程における熱処理に用いられる炭化珪
素反応管と、この炭化珪素反応管の外側に設置され、O
H基を少なくとも100ppm以上含有する筒状の石英
管とを有することにより、石英管中のOH基による金属
不純物の拡散防止効果が発揮されるため、外部からの金
属不純物がSiC反応管を透過しSiC反応管内で熱処
理中の半導体装置を汚染することを防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による半導体製造装置を示す
概略断面図である。
【図2】図1の半導体製造装置における石英管の効果を
明らかにするためのサンドイッチアニール法を用いた実
験を説明するための概略図である。
【図3】図2に示す実験による不純物の検出結果を示す
図である。
【図4】本発明の他の実施例による半導体製造装置を示
す概略断面図である。
【図5】従来のSiC反応管における不純物汚染を明ら
かにするためのサンドイッチアニール法を用いた実験を
説明するための概略図である。
【図6】図5に示す実験による不純物の検出結果を示す
図である。
【符号の説明】
10…炉体 12…SiC反応炉 14…200ppmのOH基を含有する石英管 16…ヒータ 18…ボード 20…Siウェーハ 22…SiN膜 24…200ppmのOH基を含有する石英層 26…不純物の多い石英層 30…Siウェーハ 32…SiN膜 34…SiC層 36…不純物の多い石英層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−243126(JP,A) 特開 昭62−268129(JP,A) 特開 平4−32224(JP,A) 特開 平4−10531(JP,A) 特開 平2−236281(JP,A) 特開 昭52−143757(JP,A) 実開 平2−52435(JP,U) 実開 昭62−14722(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体装置の製造工程における熱処理に
    用いられる炭化珪素反応管と、 前記炭化珪素反応管の外側に設置され、水酸基を少なく
    とも100ppm以上含有する筒状の石英管とを有する
    ことを特徴とする半導体製造装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体製造装置におい
    て、 前記石英管が、酸素−水素炎溶融法を用いて製造された
    石英管であることを特徴とする半導体製造装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の半導体製造装置
    において、 前記石英管が、少なくとも前記炭化珪素反応管内に挿入
    される半導体装置の周囲を覆う長さを有していることを
    特徴とする半導体製造装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の半導
    体製造装置に半導体装置を挿入して、前記半導体装置に
    対する熱処理を行うことを特徴とする半導体装置の製造
    方法。
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