JP3425628B2 - 締付けレンチ - Google Patents

締付けレンチ

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JP3425628B2
JP3425628B2 JP11620492A JP11620492A JP3425628B2 JP 3425628 B2 JP3425628 B2 JP 3425628B2 JP 11620492 A JP11620492 A JP 11620492A JP 11620492 A JP11620492 A JP 11620492A JP 3425628 B2 JP3425628 B2 JP 3425628B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、打撃式締付けレンチ
の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の代表的な打撃式締付けレンチとし
て、図11に示すようなハンマー方式の締付けレンチが
ある。この締付けレンチは、自転可能なハンマー200
をモータの駆動によって出力軸(アンビル)201のま
わりに公転させ、そのハンマー200の先端部を出力軸
201に設けた斜面202に衝突させて反発させること
により、慣性エネルギを出力軸201に伝達するように
している。
【0003】上記ハンマー200は、出力軸の斜面20
2に衝合した場合、出力軸201の斜面202との衝合
位置xが、ハンマー200の自転中心C2 から斜面20
2に直交するように引いた線dに対して内側に位置する
ようになっており、ハンマー200には出力軸201に
向かう方向の回転モーメントが生じる。このため、ハン
マー200は斜面202に衝合した後、図12に示すよ
うにその斜面202に沿って内側に引き込まれる。そし
て、ハンマー200が出力軸201の内面203と衝突
すると、それ以上公転することが阻止されるため、急激
に角速度の方向が変化して反転し、その反転時に大きな
慣性エネルギを出力軸201に伝達する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のハンマー方式の
締付けレンチにおいては、出力軸201に対するハンマ
ー200の相対的な衝突角速度が、ハンマー200が引
き込まれる時の衝撃角速度と、ハンマー200が反転す
る時の反発角速度とを合せた値になる。すなわち、衝突
時にハンマー200の公転が自転運動に交換されるた
め、衝突の際の相対的な正味の角速度が大きくなり、大
きな衝撃音が生じる問題がある。
【0005】また、ハンマー200と出力軸の内面20
3とが衝突又は反発する際、出力軸201の斜面202
の最奥部でハンマー200が挾み込まれた状態となるた
め、ハンマー200と斜面202との間に大きな摩擦抵
抗が生じる。これにより、ハンマー200の反発しよう
とする自転方向とは逆向きの慣性抵抗力は、上記の摩擦
抵抗によって減少させられることになり、衝突時のハン
マー200から出力軸201に伝達される力的損失が大
きい。このため、十分なハンマーの打撃力(反転による
慣性抵抗力)を得るためには、摩擦による力的損失を見
込んでハンマー200の重量を大きく設定する必要があ
るが、このような重量の増加はハンマーの慣性モーメン
トを大きくし、大きな衝撃音を発生させる欠点がある。
【0006】また、衝突によって反転するハンマー20
0は、図13に示すように衝突端部とは反対側の端部が
出力軸201に激突して反転の動きが止められるが、こ
の激突時に大きな衝撃音が発生し、使用時の騒音を大き
くする問題がある。
【0007】この発明は、上記の課題を解決するために
なされたもので、その第1の目的は、打撃時の相対的な
衝突速度や力的損失を小さくし、上記のハンマー式のレ
ンチに比べて使用時の衝撃音を大きく減少できる締付け
レンチを提供することである。
【0008】また、この発明の第2の目的は、トルク伝
達に必要な打撃音以外の衝撃音を無くし、騒音の発生を
一定に制御できる締付けレンチを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の第1の目的を達成
するため、この発明は、原動機に連結する入力軸と工具
に連結する出力軸とを同軸上に配置し、上記入力軸の周
囲に、その入力軸と共回りして公転すると共に入力軸に
平行な軸線を中心に自転運動する重錘を設け、その重錘
に関連して重錘と共に回転する衝撃子を設け、上記出力
軸には、上記衝撃子と衝合するカム面を設け、そのカム
面と衝合子との衝合位置における法線に直交するように
重錘の自転中心から向かうモーメント腕の向きを、カム
面からの衝撃反力によって上記衝撃子が衝合位置及び出
力軸の表面から離れる方向に重錘の自転中心モーメント
が生じるよう構成したのである。
【0010】また、第2の目的を達成するため、この発
明は上記の構造において、入力軸又は入力軸と共に回転
する部材に、カム面に対して反発する衝撃子の反転運動
を制限する受け部を設け、その受け部を緩衝部材で覆っ
た構造としたのである。
【0011】
【作用】上記第1の手段においては、入力軸と、その周
囲を入力軸と共に重錘が公転する間に、慣性エネルギが
蓄積され、重錘に関連した衝撃子が出力軸のカム面に衝
合すると、上記の慣性エネルギが出力軸に伝達される。
【0012】この衝撃子とカム面との衝突の際、衝撃子
はカム面から衝合位置の法線方向の反発力を受け、その
反発力により衝撃子に回転モーメントが生じるが、この
回転モーメントの向きは、重錘の自転中心から上記法線
に向かって直交するように延びるモーメント腕の方向に
より決定される。この場合、モーメント腕の作用方向に
より、上記法線方向の反発力に対して衝撃子が衝合位置
から離れる向きに重錘が回転モーメントを受けるため、
衝突と共に上記衝撃子は衝合位置と出力軸の表面から離
反する方向に急速に角移動する。このため、衝撃子の公
転が自転に変換されて生じる反発角速度のみが衝撃子と
カム面間の相対的な正味の衝突速度となり、上記の角移
動方向と逆方向の角移動は起こり得ないから衝突速度の
値が小さくなり、衝撃音が抑えられる。
【0013】また、衝突と共に衝撃子が瞬時にカム面及
び出力軸の表面から離反し、それを妨げるものもないた
め、衝撃子とカム面間の衝合位置における摩擦抵抗が著
しく小さくなり、重錘の反発が容易となって重錘の自転
による反転方向とは逆向きの慣性抵抗力が有効にカム面
に作用する。このため、衝突による力的伝達効率が高く
なり、重錘の重量(慣性モーメント)を小さくしても衝
撃子とカム面間に十分な係止効果が得られ、上記重錘の
公転による慣性エネルギを効率良く出力軸に伝達するこ
とができる。
【0014】一方、第2の手段においては、衝突後反転
する重錘を受け部で受けることで、重錘の反転運動を一
定の範囲に制限することができる。この場合、受け部を
上記重錘の公転と同一の回転系に設けることで、受け部
と重錘が激突する際に上記公転による慣性エネルギの損
失を伴うことなく衝突時の衝撃を緩衝部材が吸収するた
め、トルク伝達に必要な打撃音以外の騒音が防止され
る。
【0015】
【実施例】以下、この発明の第1の実施例を添付図面に
基づいて説明する。図1は、締付けレンチの動力部を除
いたトルク伝達機構部を示す。
【0016】円筒状ケーシング10の一端には、図示し
ない原動機、例えば電動モータ、エアモータ、油圧式モ
ータ等の駆動軸20が取付けられ、その駆動軸20に、
歯車減速機構を介して入力軸23が連結されており、ケ
ーシング10の他端には、上記駆動軸20及び入力軸2
3と同軸上に配置された出力軸100が取付けられてい
る。
【0017】上記駆動軸20は、遊星歯車21に噛み合
い、この遊星歯車21がさらに大径の内歯歯車22に噛
み合っている。また、上記遊星歯車21は、図2に示す
ように、入力軸23の一端に固定されたディスク24に
自転可能に支持されており、これにより入力軸23は、
駆動軸20の回転と共に一定の減速度で回転駆動され
る。
【0018】上記入力軸23の他端は、出力軸100の
端部に設けた孔に回転自在に支持されており、その入力
軸23の他端から少し内側に、フライホイール25がキ
ー26を介して係止されている。
【0019】また、入力軸23の一端に固定されたディ
スク24とフライホイール25との間には、2本の作動
軸27、27が回動可能に取付けられている。この各作
動軸27、27は、それぞれ一端がディスク24に、他
端がフライホイール25に回転可能に支持されており、
これにより各作動軸27は、入力軸23が回転するとそ
れと共回りして公転すると共に、入力軸23と平行な軸
線を中心として自転できるようになっている。
【0020】上記それぞれの作動軸27には、入力軸2
3を取り囲むように腕28、29が設けられ、これらの
腕28、29の先端に、それぞれ重錘30、31が取付
けられている。
【0021】また、各作動軸27、27のフライホイー
ル25に支持されている端部32は、半円柱状に切り欠
かれ、その内面に、衝撃子33となる円弧状突起が形成
されている。なお、この衝撃子33は、ローラのような
回転可能なものでもよい。
【0022】一方、上記出力軸100の内端には、カラ
ー101が形成され、そのカラー101の外周の180
度対称位置に、カム面102が形成されている。また、
上記カム面102以外のカラー101の外周は、衝撃子
33の公転軌跡より小さく形成され、上記衝撃子33
は、カラー101のカム面102に対応する位置に配置
されている。
【0023】上記カム面102の表面形状は、出力軸1
00の円周方向に対称な円弧面で形成され、これに対し
て、衝撃子33の表面形状は、作動軸27の自転中心C
2 に対して偏心した円弧中心C3 を基準とする半円形の
円弧面で形成されている。
【0024】また、作動軸27の自転中心C2 に対して
偏心させる衝撃子33の円弧中心C3 の位置は、図4に
示すように、上記自転中心C2 に対して中心C2 の公転
角における時計方向又は反時計方向の任意角θの偏心
(図の実施例では時計方向の偏心角となっている)をと
るように設定されている。
【0025】このような構成により、図5に示すように
衝撃子33が時計回りに公転してカム面102と左側面
に衝突した場合、カム面102と衝撃子との衝合位置x
における法線aに作動軸27の自転中心C2 から直交す
るように向かうモーメント腕Mが、上記法線a方向に衝
合位置xから外側に向かう反力Fに対して、上記衝撃子
33が衝合位置x及び出力軸100の表面(カラー10
1の外周面)から離れる向きに作動軸の自転中心モーメ
ント(矢印で示す)を生じるようになっている。
【0026】また、衝撃子33が反時計方向に公転し、
図6に示すようにカム面102の右側面に衝突した場合
は、上記と同様に、衝合位置xにおける法線aに作動軸
27の自転中心C2 から直交するように向かうモーメン
ト腕Mが、上記法線a方向に衝合位置xから外側に向か
う反力Fに対して、上記衝撃子33が衝合位置x及び出
力軸100の表面から離れる向きに作動軸の自転中心モ
ーメント(矢印で示す)を生じるようになっている。
【0027】また、上記作動軸27が反時計方向に反転
運動した場合、作動軸27に設けた腕28が入力軸23
の外周面と衝合して反転運動が制限されるようになって
おり、この作動軸27を受け止める入力軸23の外周面
に、ゴムやスポンジ等の緩衝部材34が巻き付けられて
いる。
【0028】なお、図1において、符号103は、出力
軸100の先端に取付けたボックスレンチであり、工具
としては、そのほかドライバ等を取付けることもでき
る。
【0029】実施例の締付けレンチは上記のような構造
であり、次にその動作を説明する。いま、図4において
入力軸23の時計回りの回転をトルクの締付け方向に設
定し、図示しない原動機を作動させて駆動軸20を時計
回りに回転させると、歯車21、22を介して入力軸2
3が回転し、ディスク24とフライホイール25も回転
する。それと共に、ディスク24とフライホイール25
に支持された作動軸27、27が入力軸23の周囲を回
動し、重錘30、31が公転する。
【0030】このように重錘30、31が公転運動して
いる間に、フライホイール25に加えて作動軸27、2
7やディスク24等の入力軸23と共にその周囲を回動
する質量体(以下、入力軸系という)に慣性エネルギが
蓄積される。
【0031】いま、出力軸100が無負荷の場合は、衝
撃子33がカム面102に係止され、入力軸23と出力
軸100は一体となって回転する。
【0032】一方、出力軸100に負荷がかかっている
場合には、上記の蓄積した慣性エネルギを次のようにし
て伝達する。
【0033】上記衝撃子33は、カム面102以外のカ
ラー101の外周面に対して非接触の状態で回転するた
めに、カム面102の左側面に直接衝突する。
【0034】この衝突時、図5に示すように衝撃子33
にはカム面102から衝合位置xにおける法線方向の反
発力Fを受けるが、この反発力によって衝撃子33に生
じる回転モーメントのモーメント腕Mは、自転中心C2
から法線aに向かって直交するように延びる方向に形成
される。このため、衝撃子33は、衝突と同時にカム面
102から離れる方向の回転モーメントを受けて衝合位
置xから離れる向きに反発し、反時計方向に高速で角移
動する。すなわち、公転する衝撃子33がカム面102
の有効衝撃面Tに衝突した時点で、突然角移動を起こし
て反発作用が起こる。このとき、衝撃子の反発位置とカ
ム面の有効衝撃面Tの両方には、重錘30、31や腕2
8、29等と質量体を構成する作動軸27の急激な角移
動によって生じる慣性モーメントにより、大きな慣性抵
抗力が発生する。この慣性抵抗力のために、衝撃子33
とカム面102とが瞬間的に強力に係止され、入力軸系
に蓄積した慣性エネルギが、短時間のうちに衝撃子33
とカム面102を介して慣性トルクとして出力軸100
に伝達される。
【0035】上記作動軸27の公転による衝撃作用と自
転による反発作用においては、衝撃子33が衝突した後
カム面102から離れる向きにはね返されるため、相対
的な正味の衝突角速度は、衝撃子によって作動軸の公転
より自転に変換されて生じる反発角速度のみとなる。こ
のため、前述したようなハンマーの衝撃角速度と反発角
速度が重なり合うハンマー方式の締付けレンチに比べ
て、正味の衝突角速度が小さくなり、打撃音を小さくす
ることができる。
【0036】また、衝撃子33は衝突と同時にカム面1
02からはね返り、カム面102の表面上を摺動しない
ため、衝合位置にはほとんど摩擦抵抗が発生しない。こ
のため、衝撃子の反発が容易となって作動軸27の反転
による慣性抵抗力が有効にカム面に作用するから高い力
的伝達効率が得られ、その分、重錘30、31や作動軸
27等から成る質量体の重量を小さくしても、十分に大
きな慣性抵抗力を得ることができ、入力軸系の慣性エネ
ルギを出力軸に受け渡しする過程において高いエネルギ
伝達効率を維持することができる。
【0037】上記のように衝撃子33の反発作用が起こ
ると、衝撃子33がカム面102から離脱し、作動軸2
7は反時計方向に反転するが、その反転運動は、作動軸
27に設けた腕28が入力軸23に衝突することにより
止められる。この場合、入力軸23の表面に緩衝部材3
4が巻かれているため、上記衝撃が吸収され、衝撃音は
発生しない。
【0038】衝撃子33が非接触状態となると、作動軸
27の重錘30、31の遠心力によって作動軸27のバ
ランスが回復され、衝撃子33は再びカム面102に向
かって公転を始める。
【0039】一方、駆動軸20及び入力軸23を反時計
方向に回転させ、トルクを緩める方向に回転させた場合
は、図6に示すようにカム面102の右側面に衝撃子3
3が衝突する。
【0040】この場合、図に示すように、カム面102
から加わる反発力Fによって衝撃子33に加わる回転モ
ーメントのモーメント腕Mは、作動軸27の自転中心C
2 から法線aに向かって直交するように延びる方向に形
成される。このため、衝撃子33は、衝突と同時にカム
面102から離れる方向の回転モーメントを受け、自転
中心C2 に対して反時計方向に高速で角移動する。この
反発時には、前述したトルク締付けの場合と同様に、重
錘30、31や作動軸27等から成る質量体の慣性モー
メントによって大きな慣性抵抗が発生するため、入力軸
系に蓄積した慣性エネルギが短時間で出力軸に伝達され
る。
【0041】また、衝撃子33が反発すると、作動軸2
7は、トルクの締付けの場合と同様に反時計方向に反転
運動し、腕28が入力軸23に衝突して反転が止められ
る。この場合も入力軸23に巻き付けた緩衝部材34が
腕28の衝突を吸収するため、衝撃音が発生しない。
【0042】この実施例の締付けレンチでは、トルクの
締付け方向と緩める方向の両方の回転方向において、衝
撃子が反発した後の作動軸27の反転方向を同一に(反
時計方向)し、その作動軸27の反転を入力軸23に設
けた緩衝部材34で受けて衝撃音を吸収するようにした
ので、トルク伝達に必要な打撃音以外の衝撃音を無くす
ことができ、使用時の騒音を小さくすることができる。
これに対して、図11乃至図13に示したハンマー方式
の締付けレンチでは、トルクの締付け方向と緩める方向
とでハンマー200の反転時の自転がそれぞれ逆方向に
反転するため、その反転による衝撃を吸収するための緩
衝部材を入力軸に設けたとしても、締付け反転側と緩め
反転側の両方に設けねばならず、このため、締付け時に
はハンマーの有効衝撃力を上記緩め反転側の緩衝部材が
吸引してしまい、又緩め時には上記締付け反転側の緩衝
部材が有効衝撃力を吸収してしまう。さらに、上記の緩
衝部材を、出力軸に設けると、トルクを伝達するための
ハンマーの公転エネルギをも吸収してしまうことにな
る。このため、緩衝部材によってハンマーの反転による
衝撃を吸収する構造を採ることができず、使用時の騒音
が大きくなる欠点がある。
【0043】図7は、第2の実施例を示している。この
例では、出力軸100のカラー101の外周面に、作動
軸27の衝撃子33が摺接する真円の摺接面104を形
成し、その摺接面104にカム面102を設けている。
他の構造は前述の実施例と同じである。
【0044】上記の構造では、入力軸23が回転する
と、衝撃子33が摺接面104に沿って滑動し、その間
に入力軸系に慣性エネルギが蓄積される。
【0045】また、カム面102との衝突時点まで衝撃
子33が常に摺接面104に接触して回転が案内される
ため、カム面102に対する衝突位置が確実に限定され
る。このため、打撃のタイミングや衝突時の角速度が一
定の範囲で正確に実行されることになり、予期しない騒
音発生が無くなって衝撃音を計画された音量に制御する
ことができる。
【0046】なお、上記の構造の場合、作動軸27、2
7に設けた2つの重錘30、31のうち一方の重錘の重
量をやや重くしておくのが好ましい。これにより、作動
軸27の入力軸23を中心とする回動による遠心力によ
って、作動軸27に矢印方向の回転モーメントが与えら
れ、衝撃子33は、真円の摺接面104に沿って摺動す
る。また、重錘30、31の重量をほぼ同一にする場合
には、作動軸27に、図7の矢印方向に回転モーメント
が生じるように図示しないスプリングで偏向させてお
く。
【0047】一方、図8は第3の実施例を示しており、
この例では、カム面102を左右対称な直線状の傾斜面
105、106で形成している。
【0048】このようにカム面を傾斜面とした場合で
も、衝撃子33の衝突時に、作動軸27に作用する回転
モーメントのモーメント腕Mが、カム面102から衝撃
子33が離れる方向に形成されるように設定すれば、衝
撃子33がカム面102から外側に反転しやすくなり、
相対的な正味衝突角速度は、作動軸の公転が自転に変換
する反発角速度のみとなる。このため、打撃時の相対的
な衝突速度は小さくなり、衝撃音が抑えられる。
【0049】ところで、上記の各実施例においては、出
力軸に形成したカラーの外周面にカム面を設け、そのカ
ム面に外側から衝撃子を接触させるようにしたが、図9
に示すように、出力軸にカム面を設け、そのカム面に衝
撃子を内接させるようにしてもよい。この図9におい
て、150は出力軸に設けた円筒状のカップであり、こ
のカップ150の内周面にカム面151を形成し、その
カム面151の内側から重錘152に連結する衝撃子1
53を衝合させるようにしている。
【0050】この場合も、図10に示すように、衝撃子
153がカム面151に衝突した場合、衝合位置xにお
ける法線aに重錘152の自転中心C2 から直交するよ
うに向かうモーメント腕Mが、上記法線a方向に衝合位
置xから内側に向かう反力Fに対して、衝撃子153が
衝合位置xと出力軸の表面(この場合はカップ150の
内周面)から離れる方向に重錘の自転中心モーメント
(矢印方向)が生じるように設定する。
【0051】なお、上記の各実施例では、作動軸27と
カム面102をそれぞれ入力軸23と出力軸100の対
称位置に2個設けたが、これらは単数又は3個以上設け
るようにしてもよい。また、作動軸27とカム面102
の数は、必ずしも同数でなくてもよい。
【0052】さらに、上記実施例では、カム面102と
衝撃子33の形状が円弧状又は直線状の例について説明
したが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意
の曲線を加え、衝突速度の計画値に応じて締付け側と緩
め側の組合せにおいて、上記任意の曲線、円弧、直線を
任意に組合せてカム面及び衝撃子の形状を形成するよう
にしてもよい。
【0053】
【効果】以上のように、この発明の第1の手段は、入力
軸と共に重錘を公転させ、その重錘に関連して設けた衝
撃子をカム面に衝突させて慣性トルクを伝達し、衝突時
に衝撃子がカム面及び出力軸の表面に対して離れる方向
の自転モーメントを重錘に付与するようにしたので、衝
撃子とカム面間の相対的な衝突速度が重錘の公転運動か
ら変換された自転運動に伴う反発角速度のみとなって正
味の衝突速度を小さくすることができる。併せて、衝撃
子とカム面間の摩擦抵抗が減って重錘の反転が容易とな
り、重錘の慣性モーメントを小さくできるため、使用時
の衝撃音を大幅に減少させることができる。
【0054】また、この発明の第2の手段では、重錘の
反転運動を入力軸等に設けた受け部で制限し、その受け
部と重錘との衝突による衝撃を緩衝部材により吸収する
ので、トルクを伝達する打撃音以外の衝撃音を無くすこ
とができ、使用時の騒音量を小さく制御できる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例を示す要部縦断面図
【図2】図1のII−II線に沿った横断面図
【図3】同上のトルク伝達機構の分解斜視図
【図4】衝撃子とカム面の形状を拡大して示す図
【図5】トルク締付け方向の衝撃子とカム面の相対関係
を示す線図
【図6】トルク緩め方向の衝撃子とカム面の相対関係を
示す線図
【図7】第2の実施例を示す線図
【図8】第3の実施例を示す線図
【図9】その他の実施例を示す横断面図
【図10】同上の衝撃子とカム面の相対関係を示す線図
【図11】従来のハンマー方式の締付けレンチを示す線
【図12】同上のハンマーの衝突状態を示す線図
【図13】同上のハンマーの反転状態を示す線図
【符号の説明】 23 入力軸 27 作動軸 30、31、152 重錘 33、153 衝撃子 100 出力軸 102、151 カム面 104 摺接面

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原動機に連結する入力軸と工具に連結す
    る出力軸とを同軸上に配置し、上記入力軸の周囲に、そ
    の入力軸と共回りして公転すると共に入力軸に平行な軸
    線を中心に自転運動する重錘を設け、その重錘に関連し
    て重錘と共に回転する衝撃子を設け、上記出力軸には、
    上記衝撃子と衝合するカム面を設け、そのカム面と衝合
    子との衝合位置における法線に直交するように重錘の自
    転中心から向かうモーメント腕の向きを、カム面からの
    衝撃反力によって上記衝撃子が衝合位置及び出力軸の表
    面から離れる方向に重錘の自転中心モーメントが生じる
    ように構成した締付けレンチ。
  2. 【請求項2】 上記入力軸又は入力軸と共に回転する部
    材に、カム面に対して反発する衝撃子の反転運動を制限
    する受け部を設け、その受け部を緩衝部材で覆った請求
    項1に記載の締付けレンチ。
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