JP3424815B2 - 水素吸蔵合金および該合金を用いた水素の吸放出方法並びに該方法を用いた水素燃料電池 - Google Patents

水素吸蔵合金および該合金を用いた水素の吸放出方法並びに該方法を用いた水素燃料電池

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金に対
して水素加圧と減圧を繰り返して行う水素の吸放出方法
に関するものであり、さらに詳しく述べるならば、二段
プラトーあるいは傾斜したプラトーを有する水素吸蔵合
金に関し、特に実用的な圧力範囲と温度範囲において放
出される水素量を増大させる水素の吸放出方法、及びそ
の吸放出方法に好適な水素吸蔵合金並びに前記水素の吸
放出方法を用いた水素燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、石油等の化石燃料の使用量が増加
することに伴い増大するNO (窒素酸化物)による酸
性雨や、また同様に増大するCOによる地球温暖化が
懸念されており、これらの環境破壊が深刻な問題となっ
てきていることから、地球に優しい各種クリーンエネル
ギーの開発・実用化が大きな関心を集めている。この新
エネルギー開発の一環として水素エネルギーの実用化が
挙げられる。水素は地球上に無尽蔵に存在する水の構成
元素であって、さまざまな一次エネルギーを用いて作り
出すことが可能であるばかりか、燃焼生成物が水だけで
あるために環境破壊の心配がなく、従来の石油に変わる
流体エネルギーとして使用が可能である。また電力と異
なり貯蔵が比較的容易であるなど優れた特性を有してい
る。
【0003】このため近年においては、これら水素の貯
蔵および輸送媒体として水素吸蔵合金の検討が活発に実
施され、その実用化が期待されている。これら水素吸蔵
合金とは、適当な条件で水素を吸収、放出できる金属・
合金のことであり、この合金を用いる事により、従来の
水素ボンベと比較して低い圧力でしかも高密度に水素を
貯蔵することが可能であり、その体積密度は液体水素あ
るいは固体水素とほぼ同等かそれ以上である。
【0004】これら水素吸蔵合金としては、例えば特開
平10−110225号公報にて提案されているよう
に、V,Nb,TaあるいはCrTiMn系、CrTi
V系などの体心立方構造(以後「BCC型」と呼称す
る)を有する水素吸蔵合金が主に検討されている。これ
らの合金は現在までに実用化されているLaNiなど
のAB型合金あるいはTiMnなどのAB型合金
に比較して水素吸蔵量が多いことが知られている。これ
はBCC型合金では水素吸蔵サイト数が多いためであり
H/M=2程度(H:吸蔵水素原子、M:合金構成元素。原
子量50程度Vなどの場合約4.0wt%)と極めて大
きい。
【0005】これら比較的大きな水素吸蔵量を有するB
CC型合金はRei11y and R.H. Wiswa11; Inorg. Chem.9
(1970) 1678において示されるように、その水素吸蔵過
程において二段階の反応を行ない水素化物を形成するこ
とが知られている。例えばVは、常温において水素と反
応し、水素圧力に応じて2種類の水素化物を形成する。
まず、水素圧力が低圧である反応初期にはV→VH
0.8(α相→β相)という極めて安定な水素化物を形成
し(以後「低圧プラトー部」と呼称)、室温付近ではこの
逆反応はほとんど生じない。更に水素圧力を印加すると
VH0.8→VH .01 (β相→γ相 : 高圧プラト
ー部と呼称)という水素化物を形成する。この反応の平
衡水素圧は室温付近で数気圧程度と適当な圧力であるこ
とから、これらV含有BCC合金が高容量水素吸蔵合金
として熱心に研究されている。
【0006】図1は、これら前記した低圧プラトー部並
びに 高圧プラトー部の二段プラトーを有するV単体の
PCT曲線の概念図である。この図1の水素圧力10
−1Paにおける平坦部が低圧プラトー部であり、10
Paにおける平坦部が高圧プラトー部である。なお低
圧プラトー部と高圧プラトー部の傾斜部はジーベルツの
法則に従う領域である。V以外にこれら二段プラトーを
有する金属としてはNb(低圧相NbH、高圧相NbH
)がある。また高温作動ではあるがTiがα→β→γ
と変態して二段プラトーを示す。さらに二段プラトーを
有する金属間化合物としては40℃付近で動作するFe
Tiがある。さらに、(Zr,Ti)Vなどの合金は傾
斜プラトーを示し、これらの合金も水素吸蔵合金として
使用されている。
【0007】また、前述のような二段プラトーや傾斜プ
ラトー特性により高容量水素吸蔵合金とする思想に立脚
したと考えられる従来技術としては以下のようなものが
ある。
【0008】(イ)体心立方構造のTi合金にスピノーダ
ル分解組織を発現する(前掲特開平10−110225
号公報)
【0009】(口)Ti−Cr−V系合金にCu及び/又
は希土類元素を添加する(前掲特公平4−77061号
公報)
【0010】(ハ) Ti合金溶湯を急冷して室温にてB
CC相単相とする(特開平10−158755号公報)
【0011】(二) Ti−Crを主要元素とするBCC
合金の格子定数を調整する(特開平7−252560号
公報)
【0012】これら上記した水素吸放出方法の内、水素
の吸放出温度に関しての記述があるものは特開平10−
110225号公報や特開平7−252560号公報で
あり、該方法は、いずれも一定温度で水素の吸放出を行
う方法である。なお、後者の特開平7−252560号
公報では活性化前処理は前段の低温と後段の高温の二段
階処理で行われているが、吸放出温度は一定(20℃)
である。また、特公昭59−38293号公報では、B
CC合金ではない六方晶Ti−Cr−V系合金に水素を
吸収させ、100℃以上に加熱する方法(第4欄第32
〜39行)も一定温度での吸放出方法である。
【0013】しかしながら、これら高容量水素吸蔵合金
として多く検討されているV含有BCC合金等の前記二
段プラトー特性を有する水素吸蔵合金においては、前述
のように、低圧プラトー部における水素吸蔵反応が室温
では水素との反応側にのみ進行することから、これら低
圧プラトー部において吸蔵された水素を取り出して、有
効水素として使用することは実施されていなかった。
【0014】つまり、前掲特開平10−110225号
公報や特公平4−77061号では、これら低圧プラト
ー部については言及されておらず、また後者ではTiH
(高圧プラトー部化合物)の生成を避けるとの教示があ
るところから低圧プラトーと高圧プラトーとの間におけ
る水素吸蔵反応を利用しているに留まっていると言え
る。
【0015】一般に、純V、純Nbをはじめとする体心
立方構造型水素吸蔵合金から取出される水素の量は理論
量に対して非常に低いと言われている(新版 水素吸蔵
合金−その物性と応用−大角秦章著 アグネ技術センタ
ー刊(1992年2月5日新版第1刷)、第340〜34
1頁)。
【0016】現在までに実用化されているLaNi
どのAB型合金あるいはBCC型合金においては合金
成分を制御することにより水素との反応平衡圧力を制御
する事が可能である。また水素吸蔵合金の水素との平衡
圧力は作動温度により制御することが可能であるが、こ
れら従来の合金開発は前述の低圧プラトー部における水
素吸蔵特性を改良することを特に意識したものではな
い。
【0017】よって、前記BCC型水素吸蔵合金におけ
る吸蔵水素の高容量化の為には、BCC型合金のβ相領
域(低圧プラトー部と高圧プラトー部間のジーベルツ則
に従う領域)の他に、α相→β相間即ち低圧プラトー部
の反応(例えばVにおいてはV→VH0.8の反応)に
おける水素を吸蔵・放出反応に寄与させることが有効で
あると考えられるが、未だにその手法は開示されていな
い。
【0018】したがって、本発明は、従来の二段プラト
ーもしくは傾斜プラトー部を示す純V、純Nbあるいは
それら金属と類似の水素吸蔵放出反応を示す固溶体をは
じめとするTi−Cr素などのBCC固溶体合金につい
て、α相→β相間即ち低圧プラトー部の反応及び低圧β
相領域(低圧プラトー部と高圧プラトー部間のジーベル
ツ則と類似の挙動を示す低圧領域部分)の水素を可逆的
に水素吸放出反応に寄与させ、より多くの水素を吸放出
可能とする水素吸蔵合金および該合金を用いた水素の吸
放出方法並びに該方法を用いた水素燃料電池を提供する
ことを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明の水素吸蔵合金は、水素吸蔵量と水素圧
力との関係において二段プラトー特性もしくは傾斜プラ
トー特性を示す体心立方構造型相を主相とする水素吸蔵
合金であって、水素放出過程の少なくとも一時期におい
て該合金温度(T2)を、水素吸蔵過程における合金温
度(T1)よりも高い温度(T2>T1)とする事によ
り、前記二段プラトーにおける低圧プラトー領域或いは
傾斜プラトーの下部プラトー領域の吸蔵水素の少なくと
も一部を放出可能となるように合金を構成する金属の組
成比率を低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プ
ラトー領域における合金中の吸蔵水素の安定性を低減化
するように適正化したことを特徴としている。この特徴
によれば、従来において放出されることなく利用される
ことのなかった低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの
下部プラトー領域の吸蔵水素を、合金中の吸蔵水素が不
安定化することで、水素放出過程における該合金の温度
を高温(T2)とすることにより前記低圧プラトー領域
或いは傾斜プラトーの下部プラトー領域からの水素放出
を容易とすることができ、利用可能な水素として取り出
すことが可能となり、結果的にこれら水素吸蔵合金にお
いて利用可能な水素量を増大させることができる。
【0020】本発明の水素吸蔵合金は、前記水素吸蔵過
程における合金温度(T1)が地球生活圏内の極低温か
ら373Kの範囲とされていることが好ましい。このよ
うにすれば、水素吸蔵過程における合金温度(T1)が
常温領域に近いものとすることができ、実用性を向上で
きる。
【0021】本発明の水素吸蔵合金は、前記吸蔵水素の
安定性を低減化するように適正化された組成を有する水
素吸蔵合金が、Nb,Ta,W,Mo,Ti,Cr,M
n,Fe,Al,B,Co,Cu,Ge,Ni及びSi
の少なくとも一種以上を0〜95at%含有するV合金
であることが好ましい。このようにすれば、これらの組
成を有する合金は、合金中の吸蔵水素を不安定化する効
果が高く、水素放出過程において昇温することにより、
低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラトー領
域から多くの水素を放出させるために好適である。
【0022】本発明の水素吸蔵合金は、前記吸蔵水素の
安定性を低減化するように適正化された組成を有する水
素吸蔵合金が、VTi(41−0.4a+b)Cr
(59− 0.6a−b)、但し、0≦a≦70at%、−
10≦b≦10で表される基本組成を有する合金である
ことが好ましい。このようにすれば、これらの組成を有
する合金は、高圧プラトー領域における水素吸蔵量が多
いばかりか、合金中の吸蔵水素を不安定化する効果が高
く、水素放出過程において昇温することにより、低圧プ
ラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラトー領域から
多くの水素を放出させるために好適であって、利用可能
な有効水素量が多いことから高い実用性を有する。
【0023】本発明の水素吸蔵合金は前記水素の安定性
を低減化するように適正化された組成を有する水素吸蔵
合金が、V(a−d)M2Ti
(41−0.4a+b)Cr
(59−0.6a−b−c)、但し0≦a≦70a
t%、−10≦b≦10+c、0≦c、0≦d≦a、M
はNb,Mo,Ta,W,Mn,Fe,Al,B,C,
Co,Cu,Ge,Ln(各種ランタノイド系金属)、
及びN,Ni,P,Siから選ばれた少なくとも一種類
以上の元素で表され、M2はMo,Nb,Ta,Ta,
W,Mn,Fe及びAlから選ばれた少なくとも一種以
上の元素を表される基本組成を有する合金であることが
好ましい。このようにすれば、これらの組成を有する合
金は、高圧プラトー領域における水素吸蔵量が多いばか
りか、合金中の吸蔵水素を不安定化する効果が高く、水
素放出過程において昇温することにより、低圧プラトー
領域或いは傾斜プラトーの下部プラトー領域から多くの
水素を放出させるために好適であって、利用可能な有効
水素量が多いことから高い実用性を有するとともに、前
記ランタノイド系金属やN,Ni,P,Siから選ばれ
た少なくとも一種以上の元素を適宜添加することによ
り、これら合金の融点の低下やそれに伴うプラトー部の
平坦性の向上が図られ、スピノーダル分解が生じやすい
熱処理を施さないか、処理時間を短時間とすることで吸
蔵量の低下を抑止することが可能になるという効果が得
られる。
【0024】本発明の水素吸蔵合金は、前記適正化され
た水素吸蔵合金の組織構造が、体心立方構造単相であっ
てスピノーダル分解相を有しないか、あるいは体心立方
構造相と不可避的に生成する最小限のスピノーダル分解
相のみを有するものであることが好ましい。このように
すれば、水素吸蔵合金は最小限のスピノーダル分解相を
有するかまたはスピノーダル分解相を有しないことか
ら、これらスピノーダル分解相の生成による吸蔵水素量
の低減を最小限に抑えることができる。
【0025】本発明の水素吸蔵合金を用いた水素の吸放
出方法は、水素吸蔵量と水素圧力との関係において二段
プラトー特性もしくは傾斜プラトー特性を示す体心立方
構造型水素吸蔵合金に対して水素加圧と減圧とを適宜繰
り返し実施して水素の吸放出を行う水素の吸放出方法で
あって、水素放出過程の少なくとも一時期において前記
水素吸蔵合金の温度(T2)を、水素吸蔵過程における
水素吸蔵合金温度(T1)よりも高い温度(T2>T
1)とすることを特徴としている。この特徴によれば、
従来において放出されることなく利用されることのなか
った低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラト
ー領域の吸蔵水素を、利用可能な水素として取り出すこ
とが可能となり、これら水素吸蔵合金において利用可能
な水素量を増大させることができる。
【0026】本発明の水素吸蔵合金を用いた水素の吸放
出方法は、前記水素吸蔵過程における合金温度(T1)
が地球生活圏内の極低温から373Kの範囲とされてい
ることが好ましい。このようにすれば、水素吸蔵過程に
おける合金温度(T1)が常温領域に近いものとするこ
とができ、実用性を向上できる。
【0027】本発明の水素吸蔵合金を用いた水素の吸放
出方法は、前記水素吸蔵合金が、該合金の温度を前記高
温(T2)とした際に、前記二段プラトーにおける低圧
プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラトー領域の
吸蔵水素の少なくとも一部を放出可能となるように合金
を構成する金属の組成比率を低圧プラトー領域或いは傾
斜プラトーの下部プラトー領域における合金中の吸蔵水
素の安定性を低減化するように適正化したものであるこ
とが好ましい。このようにすれば、合金中の吸蔵水素が
不安定化することで、水素放出過程における該合金の温
度を高温(T2)とすることにより、前記低圧プラトー
領域或いは傾斜プラトーの下部プラトー領域からの水素
放出を容易とすることができ、結果的に、有効水素量を
増大させることができる。
【0028】本発明の水素吸蔵合金を用いた水素の吸放
出方法は、前記吸蔵水素の安定性を低減化するように適
正化された組成を有する水素吸蔵合金が、Nb,Ta,
W,Mo,Ti,Cr,Mn,Fe,Al,B,Co,
Cu,Ge,Ni及びSiの少なくとも一種以上を0〜
95at%含有するV合金であることが好ましい。この
ようにすれば、これらの組成を有する合金は、合金中の
吸蔵水素を不安定化する効果が高く、水素放出過におい
て昇温することにより、低圧プラトー領域或いは傾斜プ
ラトーの下部プラトー領域から多くの水素を放出させる
ために好適である。
【0029】本発明の水素吸蔵合金を用いた水素の吸放
出方法は、前記吸蔵水素の安定性を低減化するように適
正化された組成を有する水素吸蔵合金が、VTi
(41− 0.4a+b)Cr(59−0.6a−b)、但し、
0≦a≦70at%、−10≦b≦10で表される基本
組成を有する合金であることが好ましい。このようにす
れば、これらの組成を有する合金は、高圧プラトー領域
における水素吸蔵量が多いばかりか、合金中の吸蔵水素
を不安定化する効果が高く、水素放出過において昇温す
ることにより、低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの
下部プラトー領域から多くの水素を放出させるために好
適であって、利用可能な有効水素量が多いことから高い
実用性を有する。
【0030】本発明の水素吸蔵合金を用いた水素の吸放
出方法は、前記水素の安定化を低減化するように適正化
された組成を有する水素吸蔵合金が、V(a+b)M2
Ti(41−0.4a+b)、但し0≦a≦70a
t%、−10≦b≦10+c、0≦c、0≦d≦a、M
はNb,Mo,Ta,W,Mn,Fe,Al,B,C,
Co,Cu,Ge,Ln(各種ランタノイド系金属)、
及びN,Ni,P,Siから選ばれた少なくとも一種類
以上の元素で表され、M2はMo,Nb,Ta,W,F
e及びAlから選ばれた少なくとも一種以上の元素を表
される基本組成を有する合金であることが好ましい。こ
のようにすれば、これらの組成を有する合金は、高圧プ
ラトー領域における水素吸蔵量が多いばかりか、合金中
の吸蔵水素を不安定化する効果が高く、水素放出過にお
いて昇温することにより、低圧プラトー領域或いは傾斜
プラトーの下部プラトー領域から多くの水素を放出させ
るために好適であって、利用可能な有効水素量が多いこ
とから高い実用性を有するとともに、前記ランタノイド
系金属やN,Ni,P,Siから選ばれた少なくとも一
種以上の元素を適宜添加することにより、これら合金の
融点の低下やそれに伴うプラトー部の平坦性の向上が図
られ、スピノーダル分解が生じやすい熱処理を施さない
か、処理時間を短時間とすることで吸蔵量の低下を抑止
することが可能になるという効果が得られる。
【0031】本発明の水素吸蔵合金を用いた水素の吸放
出方法は、前記適正化された水素吸蔵合金の組織構造
が、体心立方構造単相であってスピノーダル分解相を有
しないか、あるいは体心立方構造相と不可避的に生成す
る最小限のスピノーダル分解相のみを有するものである
ことが好ましい。このようにすれば、水素吸蔵合金は最
小限のスピノーダル分解相を有するかまたはスピノーダ
ル分解相を有しないことから、これらスピノーダル分解
相の生成による吸蔵水素量の低減を最小限に抑えること
ができる。
【0032】本発明の水素燃料電池は、水素吸蔵合金を
内包する水素貯蔵タンクと、前記水素吸蔵合金を直接或
いは該吸蔵合金の雰囲気温度を昇温または冷却する温度
調節手段と、該水素貯蔵タンクより供給される水素を化
学変化させることにより電力を出力可能な燃料電池セル
と、水素吸蔵時における前記水素吸蔵合金の温度(T
1)に対して、水素放出時の少なくとも一時期におい
て、前記合金温度を前記吸蔵過程における温度(T1)
よりも高温(T2)とする制御を行う制御部と、を具備
することを特徴としている。この特徴によれば、水素放
出時において前記水素吸蔵合金の温度(T2)が水素吸
蔵過程における温度(T1)に対して高温とされること
により、従来において水素吸蔵合金より放出されること
なく利用されることのなかった低圧プラトー領域或いは
傾斜プラトーの下部プラトー領域の吸蔵水素を、利用可
能な水素として取り出すことが可能となり、燃料電池セ
ルにて得られる電力量を増大させることが可能となる。
【0033】本発明の水素燃料電池は、前記制御部は、
前記水素貯蔵タンクから前記燃料電池セルに供給される
水素ガスの圧力、温度、流量を適宜制御可能とされてい
ることが好ましい。このようにすれば、水素ガスの圧
力、温度、流量を制御することで、燃料電池セルにおけ
る発電量を負荷に応じて適宜調節することが可能とな
り、該燃料電池セルにおいて使用される水素の利用効率
を高めることができる。
【0034】本発明の水素燃料電池は、前記温度調節手
段は、前記燃料電池セルから放出される熱または該燃料
電池セルから排出される排出ガスの熱を前記昇温に利用
可能とされていることが好ましい。このようにすれば、
前記水素吸蔵合金温度の昇温に燃料電池セルの放熱また
は排熱を利用可能となることから、これら水素吸蔵合金
温度の昇温に電力等を必要とすることがなく、水素燃料
電池全体における効率を高めることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明を説
明する。まず、本発明の合金の組成を上記のように定め
た理由を説明すると、純VにおけるV→VH0.8(α
→β相)反応は極めて安定であり、VH0.8から水素
を実用的条件で解離させることは困難であるが、例えば
673K(300℃)において真空保持すれば脱水素が
可能である。本発明の合金はTi及びCrによりVを大
幅に置換することにより、V(M)H0.8−尚「V
(M)」はVの固溶体を指す−の安定性を低下させるこ
とにより、比較的低温の実用的温度でも水素を解離させ
るようにしたものである。本発明の合金はスピノーダル
分解が起こり易い組成であるが、詳しくは後述のとおり
スピノーダル分解組織は水素吸蔵特性を劣化させる要因
となるので、不可避的に形成される限度で許容されるも
のとした。
【0036】次いで、本発明合金の組成の限定理由を説
明すると、Vは5〜100at%の組成範囲においてB
CC単相を生成しうる。また、Ti、CrはVと合金化
することにより、VH0.8の安定性を低下させる元素
である。Tiの原子半径(1.47Å)は、Vの原子半
径(1.34Å)やCrの原子半径(1.30Å)より大
きいために、VをTiおよびCrに置換を行うとき、T
iへの置換量がCrより大きくなると、BCC主相の格
子定数が大きくなり、PCT曲線のプラトー圧が低下す
る。本発明の合金は前記Ti及びCrにてVを大幅に置
換するすることにより、前記低圧プラトーにて生成する
V(M)H0.8の安定性を低下させることにより、該
合金の水素放出容量の増大を目指すものであるが、高圧
プラトー部の水素解離圧は実用範囲内を維持する必要が
あり、そのためには、前記のTi及びCrによる置換を
行う場合におけるTiとCrとの置換比率が重要な要素
となってくる。
【0037】本発明における出発組成は、V70Ti
12Cr18(数字は原子%)である。この合金は純V
からV−30at%をTi−12at%及びCr−18
at%に置換を行ったもの、すなわち30at%のVを
Ti:Cr=4:6の比率にて置換を行った合金であ
る。V全量をTi:Cr=4:6の比率にて置換を行っ
た場合、Ti40Cr60なる合金が得られ、圧力条件
の適正化のためにTi41Cr59合金V−0at%時
の組成として基本式VTi(41−0.4a)Cr
(59−0.6a)が導かれ(aは合金中のVの原子%
を示す)、aの範囲が0≦a≦70at%と導かれる。
【0038】図4にV−Ti(40−0.4x)−C
(60−0.6x)鋳造合金の313K(40℃)に
おける水素吸蔵特性を示す。合金中のV量を80at%
未満とした合金が良好な特性を有することが判る。
【0039】この合金の解離圧に適切な幅−すなわち作
動温度に合わせて調節するため−をもたせるために、あ
る程度の解離圧調整が可能なように合成成分に選択幅を
持たせたのがb項であり、−10≦b≦10at%を基
本とする。
【0040】図5にV−Ti37.5−Cr
(62.5−x)(x=0〜7.5)合金を1673K
(1400℃)で1時間熱処理した熱処理合金の313
K(40℃)における水素吸蔵特性(第3サイクル)を
示す。図よりV含有量が5から7.5原子%と少量でも
熱処理を施すことによりBCC結晶構造を有すれば2.
8質量%の高い水素吸蔵量を有する事が判る。
【0041】更に、合金成分中のCr項を他成分にて置
換を行う場合の置換成分をM、置換量をc−at%とす
ると、基本式は、VTi(41−0.4a+b)Cr
(5 9−0.6a−b−c)となる。ここで、M成
分により解離圧が上昇する傾向が見られるので、b項は
−10≦b≦10+c−at%なる条件が導かれる。こ
の合金は従来と同様に一定温度での水素吸放出に供する
こともできる。従来の合金では理論量の半分程度しか水
素が取り出せなかったが、本発明合金では大幅な水素放
出容量増大をもたらすとの利点がある。
【0042】図5に示したとおり微量のVを含有したV
−Ti−Cr系BCC型合金は高い吸蔵量を有すること
が判る。Vと同様にTi,Crに対してBCC結晶構造
を形成しやすい元素としてMo,Nb,Ta,W,Fe
あるいはAlが知られており、これら元素をVの一部を
置き換えBCC型構造をめざす事は状態図からも有効で
あると考えられ(前記のBCC形成促進成分を以後M2
項と称する)、合金成分中V項を前記M2項(M2成分
は前述のCr置換成分項、すなわちM項としても利用可
能である)への置換量はd−at%(0≦d≦a)と定
義できる。
【0043】かくして提供される本発明の水素吸蔵合金
は、二段プラトー特性を有するV系水素吸蔵合金におい
て、V(a−d)M2Ti(41−0.4a+b)
59−0.6a−b−c)、但し0≦a≦70
at%、−10≦b≦10+c、0≦c、0≦d≦a、
MはNb,Mo,Ta,W,Mn,Fe,Al,B,
C,Co,Cu,Ge,Ln(各種ランタノイド系金
属)、及びN,Ni,P,Siから選ばれた少なくとも
一種類以上の元素を意味し、M2はMo,Nb,Ta,
W,Mn,Fe及びAlから選ばれた少なくとも一種以
上の元素を意味する組成式で表され、かつ合金主相が体
心立方構造であり、スピノーダル分解組織を有さない
か、あるいは不可避的に生成するスピノーダル分解相を
有することを特徴とするものである。
【0044】本発明の方法は、二段プラトーもしくは傾
斜プラトー特性を示す水素吸蔵合金の低圧プラトー領域
の吸蔵水素を有効に利用する方法として、低温度領域
(T1)で水素を吸蔵させ、放出過程において昇温を行
い、高温度領域(T2>T1)にて低圧プラトー部の水
素解離圧を上昇させることにより、低圧プラトー部の水
素を放出させる水素の吸放出方法である。
【0045】前記低温度領域(T1)の下限は人間が地
球上で生活し、水素をエネルギー源として利用できるよ
うな生活圏での極低温であり、現在のところ243Kが
そのような極低温の例である。また、前記高温度領域
(T2)とは、前記吸蔵温度である低温度領域(T1)
より高い温度のことを示し、水素吸蔵合金を例えば燃料
電池用のタンクに用いた場合、動作時(すなわち水素放
出過程に対応)に燃料電池部で生じる廃熱(一般に70
〜100℃程度)、或いは専用のヒーター等の熱を用い
ることで実現できる。
【0046】この本発明の水素の吸放出方法は、各種体
心立方型水素吸蔵合金に適用可能であるが、特にV合
金、とりわけTi,Cr,Nb,Mo,Ta,W,M
n,Fe,Al,B,C,Co,Cu,Ge,Ln(各
種ランタノイド系金属)、およびN,Ni,P,Siか
ら選ばれた少なくとも一種以上の元素を0〜95at%
含有するV系水素吸蔵合金に好ましく適用することがで
きる。
【0047】より好ましくは、VH0.8(或いはV
(M)H0.8、すなわち低圧プラトー部)の安定性を
低下させた合金に低温で水素を吸蔵させ、放出過程末期
に高温で放出させる水素吸放出方法を適用すると、より
多くの水素を吸収・放出させることが可能である。放出
サイクルは一部の期間では吸蔵時と同じ温度(ここまで
述べてきた低温;T1)にて放出を行っても良いが、少
なくとも放出末期には、昇温により前記の高温(T2)
にして水素を十分に放出させることが必要である。ま
た、好ましくは前記高圧プラトー部における水素は、比
較的低温(前記T1と同一温度でも良い)にて放出を行
い、水素放出過程末期において前記低圧プラトー部より
の水素を取り出すために合金を昇温して温度を前記高温
(T2)として水素の放出を行う。
【0048】以下、本発明者の実験を引用して本発明に
おける水素吸放出方法の効果をより具体的に説明する。
なお、試料とした合金は、特に断らない限り、原料をイ
ンゴットの重量が14gになるように秤量し、40kP
aのアルゴン雰囲気中でアーク溶解し、均質性を高める
ために溶解・撹拌を3回繰り返してインゴットを得、次
にこれを鋳造のまま試料にするか、あるいは1473K
で2時間Ar雰囲気中で均質化熱処理する方法で行っ
た。
【0049】まず、現在活発に研究が行われているV量
が多いV70Zr0.5Ti11. Cr18合金につ
いての測定を行った。測定前に測定温度において十分に
排気させた後、測定温度で水素吸蔵特性を調べた。その
結果を図6(圧力組成等温線図:PCT線図)に示す。
図6により測定温度が低下するほどプラトー圧が低下
し、吸蔵量が増加していることが分かる。
【0050】次に、上記のV70Zr0.5Ti
11.5Cr18合金の水素吸放出特性を303K(3
0℃)及び323K(50℃)で測定した結果を図7に
示す。ここで303Kと323Kの放出特性を比較する
と323Kと高温で動作した方がより多くの水素を放出
させることが出来ることが分かる。これら図6と図7の
結果をまとめると、低温で水素の吸蔵を行い、高温で水
素を放出させればより多くの水素を吸放出させることが
出来る。従来の一段プラトーを有する水素吸蔵合金(図
2参照)と異なり二段プラトー部を有する水素吸蔵合金
は図7に示した結果より高温で作動させることにより低
圧プラトー部分、あるいは傾斜プラトー部分が水素の吸
蔵放出に寄与するために高温で作動させても吸放出量の
明確な低下は見られない、すなわち低圧プラトー部分の
利用が始まっていると考えられる。
【0051】ここで改めて背景技術の項で述べた一段プ
ラトーを有する水素吸蔵合金のPCT線図(図2及び図
3)を見てみると一段プラトー合金の場合高温にするこ
とによる水素放出曲線の増加はほとんど生じていないこ
とから、水素放出過程における動作温度の上昇による水
素放出量の増加は二段プラトーあるいは傾斜プラトー部
を有する水素吸蔵合金に対し極めて有効であることが解
る。
【0052】ここで図6、図7の実験結果を基に、先に
図1に提示したV金属のPCT曲線概念図を参考に二段
プラトーを有するPCT曲線における温度差の影響の概
念図を作製、図8として示す。今回検討を行ったV70
Zr0.5Ti11.5Cr 18合金では放出量の向上
が見られた。そこで低温であるT1と高温であるT2で
作動させた場合の比較を行うと両者の吸放出量に差異が
殆ど見られないものの合金内に残存する水素量に大きな
違いが生じているものと考えられる。そこで低温である
T1で吸蔵後、T1より高温であるT2で放出を行った
場合、すなわち温度差法を導入した場合の水素容量の増
大概念図を図9に示す。従来の単一プラトー部を有する
水素吸蔵合金と異なり二段プラトーを有する水素吸蔵合
金の場合合金設計の適正化、放出過程の査収時を中心に
昇温することにより二段プラトー、あるいは傾斜プラト
ーを有する水素吸蔵合金に対し水素放出過程で作動温度
を上昇することにより低圧プラトー部に関連する部位を
水素の吸放出に寄与させることが可能となれば水素吸放
出量の増大が可能であることが図9からも理解でき、一
段プラトー合金を有する水素吸蔵合金とは異なった原理
により水素放出量の増大、あるいは水素吸蔵合金を用い
た水素タンクなどの高容量化可能性を見いだした。
【0053】しかし、従来純V合金の場合100℃程度
への昇温では水素放出量の増加すなわち低圧プラトー部
から水素を十分取り出すことが出来ないという事は先の
背景技術の項でも述べたとおり良く知られており、温度
差法による吸蔵量の増大は検討されていなかった。すな
わち今回のV70Zr0.5Ti11.5Cr18合金
は従来のV合金とは異なった新たなる原理により放出過
程での昇温による水素放出量の増大が生じうるものと結
論できる。この結論が別組成の公知のV合金に適用でき
ることを以下の通り確認した。
【0054】次に、前掲特開平10−110225号に
て発表されたV40Ti25Cr 合金(1473K
で2時間熱処理を施しスピノーダル分解組織を有する)
につき、活性化処理後、313K(40℃)において第
1サイクルと第2サイクルの測定を行い、その後室温で
5時間以上排気し、次に368K(95℃)において3
時間排気を行った後、313Kにて第3サイクルの測定
を行った。第2及び第3サイクルのPCT曲線を図9に
示す。第2サイクルは通常の吸排出過程を行ったもので
あり、そこで可逆的に取出すことができる水素の量は、
従来の報告と同程度の約2.4質量%であるのに対し、
通常と同様の低温の第2サイクルに対して高温過程を導
入した第3サイクルでは、水素吸蔵量は2.49質量%
と僅かではあるが増加した。
【0055】この結果に基いて、40at%V程度を含
有するBCC系合金においてはV(M)H0.8からの
水素の放出反応による吸蔵量の増加は困難ではある。し
かし、一旦低温サイクルを経た後に高温サイクルを行う
と水素吸蔵量が増加する。本発明による合金作動方法自
体の有効性は確認され、組成の改良を行えばさらに吸蔵
量が向上すると結論される。
【0056】この水素有効利用サイクルを適用できる最
適組成合金としてV量をさらに減少させたV30Cr
30Ti40合金(図6の合金と同様にスピノーダル分
解組織を有する)のPCT曲線を313Kの一定温度で
3サイクルまで測定した結果を図11に示す。この結果
得られた吸蔵量は従来報告されたものと同程度である。
【0057】その後、本発明法の有効性を確認するため
に、第4サイクルとして368Kで2時間排気後、31
3Kで測定したPCT曲線、および第5サイクルとして
363Kで5時間排気後測定したPCT曲線をそれぞれ
図12に示す。本発明法を適用することにより水素吸蔵
量は2.45質量%から2.8質量%に増加していること
が確認される。ここで重要なことは、V30Cr30
40合金は室温での排気を行っておらず、前記V40
Ti25Cr35合金(高温での排気の前に室温での排
気を行った)よりも放出時間が短いにもかかわらず、水
素吸蔵量の増大が認められ、約2.8質量%に達してい
る事が分かる。従って、本発明の水素吸放出方法は同一
の組成でも、従来の一定温度動作に比較して低圧プラト
ー部からの水素をより効率良く取出すことが可能である
ので、有効に利用可能な水素吸蔵量を飛躍的に増加させ
られることが分かる。
【0058】図13には、鋳造のままの合金及び157
3Kで保持時間を変えて熱処理を施したV35Ti25
Cr40合金のPCT吸蔵曲線を示す。この結果は、十
分にスピノーダル分解させた合金よりも、熱処理を全く
行わないか、あるいは熱処理時間ができるだけ短時間で
あるほど、吸蔵特性が良好であることを示している。こ
の知見を基に本発明合金の組織はBCC単相であり、ス
ピノーダル分解相を有しないか、あるいは不可避的に生
成するものに限って許容することとした。なお不可避的
に生成とは図13における−●−より僅かに長い2分未
満であり、この程度の短時問であれば合金がスピノーダ
ル分解温度域に保持されてもよい。なお、図13におけ
る加熱時間が2〜50時間の合金に本発明法を施すこと
により、相応の吸蔵量の増加を達成できることは、上記
の説明から明らかであろう。
【0059】また、上述のように二段プラトーを示す水
素吸蔵合金の低温プラトー部を有効活用できるので、本
発明法を傾斜プラトーを示す合金に適用して低温部を水
素吸蔵に有効活用することができることも明らかであろ
う。
【0060】次いで、V量を変化させたVTi30
(70−X)合金について、368Kで測定したPC
T曲線を図14に示す。この図14の結果より、この温
度では2.65質量%まで吸蔵し、特にV27.5Ti
30Cr42.5合金は吸蔵した水素を全て放出してい
ることが分かる。従来の合金では理論量の半分程度しか
水素を取り出すことができなかったが、368Kにおい
て、水素を取り出せば試料中の吸蔵水素を全て有効に利
用できることになる。
【0061】次に、この試料に本発明法を適用した結果
を図15に示す。すなわち、第1サイクルは従来と同様
の定温度で行い、第2、3サイクルは測定前にそれぞれ
368Kで排気を行ってから、313Kで測定したとこ
ろ、水素吸蔵量は2.8質量%まで増加した。従って、
27.5Ti30Cr42.5合金を313Kで水素
を吸蔵させ、368Kで水素を放出させれば、水素を有
効的に最大限利用できることになる。図16にその結果
を示す。有効利用水素量は、313Kでの吸蔵過程7M
Pa時における水素吸蔵量と368K放出過程0.01
MPa時の合金内残存水素量との差であるから、2.7
質量%となる。
【0062】同様に図17にV20Ti35Cr45
製合金に本発明を用いた結果を示す。
【0063】図面中に368K(90℃)で吸放出を行
ったもの(△)、一度368Kで放出を行った後313
K(40℃)で吸蔵放出を行うという温度差法を導入し
たサイクル(□)、同様に368Kで放出を行った後3
13Kで吸蔵、放出過程途中で平衡水素解離圧0.05
MPaまでの放出後、解離圧をモニターしながら368
Kまで昇温を行ったサイクル(●)のそれぞれの放出過
程のPCT曲線を示す。
【0064】□で示した曲線は368Kで放出を行った
後313Kで吸蔵を行ったものであり、大きな吸蔵量を
示しており、温度差法が有効であることが解る。●で示
した曲線では放出過程で平衡解離圧が0.05Mpaに
達したときに徐々に動作温度を上昇(それぞれの段階の
温度を図面中に記載)、昇温する事により解離圧を制
御、プラトー部の平坦性、有効水素を大幅に増大させる
と共に0.005Mpaでの合金中の残存水素量は36
8Kで求めた放出曲線(△)一致していることが図面か
らも解る。
【0065】即ち温度差法を用いた場合の水素吸蔵量は
増大し、かつ放出時において昇温すると有効に利用でき
る水素量が増大することが解る。
【0066】次に、V−Ti(40−0.4x)−C
(60−0.6x)鋳造合金に本発明合金作動法すな
わち温度差法を適用した結果を図18に示す。今回示し
たV含有量を20〜60at%とした合金では約2.8
5〜2.95質量%の水素吸蔵量を示す。図4と比較す
ると本発明を適用することにより約0.2〜0.3質量
%の水素容量の増加が確認され、本発明の有効性、実用
性が判る。
【0067】さらに、前述したように、2.4質量%程
度の水素を吸蔵すると報告されたV 40Ti25Cr
35合金を本発明により吸排出処理すると、2.49質
量%まで吸蔵量が増加することを示したが、BCC固溶
体を形成する傾向の強いNbで一部置換した結果を図1
5に示し、図19はV40Ti25Cr35Nb合金
の第3、4サイクル目と368Kで測定したPCT曲線
を示す。この結果より、Nbの置換により水素吸蔵量は
増大し、かつ368Kに温度を上昇させることにより、
低圧プラトー部分の解離圧が上昇したと考えられる。有
効利用水素量は2.7質量%である。このように、既知
の合金についても、Nb等の置換元素により、吸蔵量が
増加し、かつ本発明法により利用できる有効水素量が増
大することが分かる。
【0068】図20に2.8質量%と高い水素吸蔵量を
示したVTi37.5Cr(62 .5−x)熱処理合
金(図5参照)に本発明温度差法を適用した結果を示
す。V含有量5〜7.5原子%とV含有量を少なくした
合金においても本発明を適用することにより約3.0質
量%の水素吸蔵量を示す。図5(従来同様に313K単
一温度での吸放出)の結果と比較を行うと本発明を適用
することにより約0.2質量%の水素容量の増加が認め
られ本発明の有効性、実用性が判る。特に今回提示した
ものは廃熱の利用が簡単な温度範囲内での結果のみを示
したが、補助的、あるいは積極的に加熱装置を水素吸蔵
合金タンクに組み込み、放出過程の末期に加熱すること
により水素吸蔵合金タンクの異なる高容量化も可能であ
る。
【0069】本発明の一実施例として、313K(40
℃)で水素を吸蔵させ、368K(95℃)で水素を放
出させる事例を示したが、水素吸蔵過程をさらに低温度
で、水素放出過程をさらに高温度で行えばさらに利用で
きる有効水素量は増大する。
【0070】前記にて説明してきたように、本発明の水
素吸蔵合金並びに該水素吸蔵合金を用いた水素吸放出方
法を用いることにより、水素の吸蔵と放出における温度
差を40〜100℃という容易に実現可能な温度差にお
いても、良好な水素吸蔵量の増加を図れることから、こ
れら水素吸蔵合金並びに水素吸放出方法を適用した水素
吸蔵タンクを用いることで、高効率、高容量の水素燃料
電池についても以下に説明する。
【0071】図21は、本発明の水素燃料電池の好適な
実施形態を示すシステム構成図であり、図22は、本実
施形態の水素燃料電池に用いた燃料電池セルにおける電
力生成のメカニズムを示す模式図である。
【0072】本実施形態の水素燃料電池の構成は、図2
1に示すようになっており、前記本発明に係わり低圧プ
ラトー領域の吸蔵水素を昇温により放出可能なように構
成元素の組成が適正化された水素吸蔵合金を内在し、該
水素吸蔵合金に吸蔵された水素を後述する燃料電池セル
1に供給可能とされた水素燃料タンク4と、該水素燃料
タンク4より供給される水素を燃料とし、該水素を酸素
と反応させて水に変化させることで電力を取り出し可能
とされるとともに、逆に電力が印加されることにより、
水を分解して水素を前記水素燃料タンク4に供給可能と
された燃料電池セル1と、前記燃料電池セル1より出力
される直流電力を所定の交流電力に変換するインバータ
ー2と、前記燃料電池セル1より排出される比較的高温
の水蒸気に内在する排熱や外気と、前記水素燃料タンク
4の外周に設けられた冷温媒ジャケットに循環通水され
る冷温媒としての冷温水との熱交換を実施する熱交換器
5と、前記水素燃料タンク4内の水素吸蔵合金の温度の
昇温や降温の各制御や、前記燃料電池セル1に供給され
る水素の圧力や流量や温度等のマスコントロールおよび
前記各部の制御を実施する制御装置3と、から主に構成
されており、該制御装置3は、前記各部を図21のよう
に連結する各種配管上に設けられたポンプP1〜P5や
電磁弁V1〜V11、圧力弁B1・B2、フローメータ
FM、温度センサTS1〜TS3にそれぞれ破線に示す
ように接続されている。尚、図中のLSは、燃料電池セ
ル1より排気される水蒸気が熱交換器5により冷却され
た際に生成する水を貯溜する貯溜タンクにおける水位レ
ベルセンサである。
【0073】以下、本実施形態の水素燃料電池の動作に
ついて以下に説明すると、まず、前記水素燃料タンク4
内の水素吸蔵合金への水素吸蔵工程について説明する。
【0074】まず、水素吸蔵合金に吸蔵される水素は、
図21に示す原料水素として、高圧の水素ボンベを水素
供給口に接続してバルブV1を開くことにより、該水素
燃料タンク4内に供給され、水素吸蔵合金が低圧プラト
ーおよび高圧プラトー部と水素を吸蔵していく。
【0075】この際、前記制御装置3は、熱交換器5に
連結されているバルブV9、V10を開放させるととも
にポンプP5を動作状態として外気を熱交換器5に送り
込み、前記冷温水を外気にて冷却するとともに、前記温
度センサTS3により水素吸蔵合金の温度を監視して、
該水素吸蔵合金の温度(T1)が40℃以下となるよう
に、適宜循環ポンプP3を動作させて前記冷温媒ジャケ
ットに前記熱交換された冷温水を適宜通水して水素吸蔵
合金の冷却を実施し、所定量の水素が吸蔵された段階に
おいて、前記バルブV11を閉じて水素の吸蔵を終了す
る。
【0076】これら吸蔵が終了した後、燃料電池を動作
させて電力を得る際には、前記制御装置3は、バルブV
1を開くとともに、圧力弁B1の下流部に設けられたフ
ローメータFM、圧力センサPM、温度センサTS1に
おける検出データに基づいて、水素燃料タンク4より燃
料電池セル1に供給される水素の圧力、流量を前記圧力
弁B1を適宜動作させて所定圧力となるように調節する
とともに、供給される水素の温度の調節を、前記冷温水
を前記冷温媒ジャケットに適宜通水して実施する。ま
た、これとともに制御装置3は、ポンプP1を動作させ
て外気中の酸素を前記燃料電池セル1内に送り込む。
【0077】これら燃料電池セルが発電する前における
制御装置3を含む各部の動作は、該水素燃料電池内に搭
載された蓄電池(図示せず)により付勢されて実施され
る。
【0078】前記のように燃料電池セル1に水素および
酸素(外気)が供給されることにより、該燃料電池セル
1内においては、図22に示すように、電解質を加えた
水に直流電流を加えた際に水が電気分解することにより
水素と酸素が生成されるのと反対の反応を用いて直流電
気を得るもので、水素燃料タンク4から供給された水素
分子は、水素電極において電子を放出して水素イオンと
なり、この電子が陽極側に移動することにより電力が得
られる。
【0079】この水素イオンは、電解質中を陽極側に移
動して、陽極で電子を受け取り水素原子に戻るととも
に、前記供給された外気中に含まれる酸素と反応して水
(水蒸気)となり、この水への反応における反応熱によ
り比較的高温(70〜90℃程度)の水蒸気を含む排気
は、前記制御装置3がこれら排気の熱を利用して前記冷
温水を加熱したい場合において、バルブV5・V7とが
開かれて(当然バルブV9・V10・V6は閉状態)、
該高温の排気が熱交換器5内に導かれて熱交換が実施さ
れ、該熱交換にて冷却された排気は貯溜タンクを通じて
外気に排出され、該冷却により生成した水は、貯溜タン
クに貯溜される。尚、これら熱交換が必要ない場合にお
いては、バルブV5・V7が閉じた状態とされ、バルブ
V6が開かれて前記排気が貯溜タンク内にて曝気にて水
蒸気が適宜除かれてから、外気に排出されるようになっ
ている。これら動作時において、バルブV4は当然なが
ら開状態とされている。
【0080】これら発電開始時においては、前記水素燃
料タンク4内より供給される水素は、前記水素吸蔵合金
の高圧プラトー領域における水素であるために、これら
水素吸蔵合金の温度は、前記水素吸蔵時の温度とほぼ同
等の温度に制御されているが、これら水素の放出が続
き、該水素吸蔵合金の高圧プラトー領域からの水素放出
が低下して供給する水素の圧力が低下した場合には、前
記制御装置3は、前記熱交換器5における熱交換を前述
のようにバルブ制御を実施して行うとともに、これら熱
交換にて昇温された冷温水を循環ポンプP3を運転状態
として水素燃料タンク4に通水して水素吸蔵合金の加熱
を開始する。
【0081】これら加熱により、前記水素吸蔵合金の温
度が上昇していき、前述のように、傾斜プラトーの下部
領域または低圧プラトー領域の吸蔵水素が放出されるよ
うになり、これら放出された水素が燃料電池セル1に供
給されて発電が継続的に実施され、これら水素燃料電池
の発電容量を大幅に向上させることができる。
【0082】これら水素吸蔵合金の加熱温度(T2)と
しては、本実施例では冷温媒として水を用いていること
から、最大で90℃程度が上限であるが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、これら水素吸蔵合金の加熱
をヒーター等によって実施して、より高温に加熱するよ
うにしても良い。また、本実施例では外気との熱交換に
よる放熱による冷却にて水素吸蔵時の温度を実用的な4
0℃以下としているが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、これら冷却を冷却装置等を別途設けて実施し
ても良いし、更には、前記冷温媒にフロンやアンモニア
等の冷媒等を用いるとともに、これら冷媒を圧縮、膨張
させて熱交換を行うヒートポンプにて実施するようにし
ても良い。又、これらヒートポンプに代えてペルチェ素
子等により冷却および加熱の双方を実施できるようにし
ても良い。
【0083】また、前記のように熱交換器5を使用する
ことは、これら加熱や冷却に多くの電力を必要とせず、
該水素燃料電池より得られる出力電力を多くでき、水素
燃料電池の効率を向上できることから好ましいが、本発
明はこれに限定されるものではない。
【0084】次いで、これら水素の放出が終了して新た
な水素を蓄える場合には、前記のように、原料水素を水
素燃料タンク4に供給する手法の他に、前記燃料電池セ
ル1に電力を印加し、水の分解により生成した水素を貯
蔵させる方法もある。
【0085】この手法について、以下に説明すると、ま
ず、前記燃料電池セル1に所定の直流電流を印加してお
き、バルブV4を閉じた状態でポンプP4を動作させ
て、前記発電にて貯溜タンク内に貯溜された水中に外気
を通気させて水蒸気を含ませ、該水蒸気を含んだ空気を
バルブV6を通じて燃料電池セル1内に供給する。
【0086】これにより、該燃料電池セル1内の前記の
陽極側表面には水が付着し、該付着した水が電気分解さ
れて酸素となり、該酸素を含んだ空気が燃料電池セル1
外に排出されるとともに、該電気分解にて生成した水素
は、前記陽極側にて電子を奪われて水素イオンとなり、
前記発電時と同様に電解質中を移動して前記の水素電極
側へ移行し、該水素電極側にて電子を受け取り、水素分
子となって該水素電極より放出される。
【0087】このようにして放出された水素は、バルブ
V2を開状態としてポンプP2にて加圧されて圧力弁B
2に供給され、該圧力弁B2にて所定の圧力とされた水
素が水素燃料タンク4内部に供給されて、前記水素吸蔵
合金に吸蔵されていく。この際、前記制御装置3は、前
記水素ボンベからの水素供給と同様に、該水素吸蔵合金
の温度を40℃以下となるように制御しており、これら
水素の放出並びに吸蔵が繰り返し実施可能とされ、これ
ら水素吸蔵時の水素吸蔵合金温度を低温とし、水素放出
時、特に水素放出末期時において水素吸蔵合金温度を高
温とする制御を実施することにより、燃料電池セルに供
給可能な水素量を増大させることができ、よってより多
くの発電量を得ることができるようになる。
【0088】
【発明の効果】本発明は次の効果を奏する。
【0089】(a)請求項1の発明によれば、従来にお
いて放出されることなく利用されることのなかった低圧
プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラトー領域の
吸蔵水素を、合金中の吸蔵水素が不安定化することで、
水素放出過程における該合金の温度を高温(T2)とす
ることにより前記低圧プラトー領域或いは傾斜プラトー
の下部プラトー領域からの水素放出を容易とすることが
でき、利用可能な水素として取り出すことが可能とな
り、結果的にこれら水素吸蔵合金において利用可能な水
素量を増大させることができる。
【0090】(b)請求項2の発明によれば、水素吸蔵
過程における合金温度(T1)が常温領域に近いものと
することができ、実用性を向上できる。
【0091】(c)請求項3の発明によれば、これらの
組成を有する合金は、合金中の吸蔵水素を不安定化する
効果が高く、水素放出過程において昇温することによ
り、低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラト
ー領域から多くの水素を放出させるために好適である。
【0092】(d)請求項4の発明によれば、これらの
組成を有する合金は、高圧プラトー領域における水素吸
蔵量が多いばかりか、合金中の吸蔵水素を不安定化する
効果が高く、水素放出過程において昇温することによ
り、低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラト
ー領域から多くの水素を放出させるために好適であっ
て、利用可能な有効水素量が多いことから高い実用性を
有する。
【0093】(e)請求項5の発明によれば、これらの
組成を有する合金は、高圧プラトー領域における水素吸
蔵量が多いばかりか、合金中の吸蔵水素を不安定化する
効果が高く、水素放出過程において昇温することによ
り、低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラト
ー領域から多くの水素を放出させるために好適であっ
て、利用可能な有効水素量が多いことから高い実用性を
有するとともに、前記ランタノイド系金属やN,Ni,
P,Siから選ばれた少なくとも一種以上の元素を適宜
添加することにより、これら合金の融点の低下やそれに
伴うプラトー部の平坦性の向上が図られ、スピノーダル
分解が生じやすい熱処理を施さないか、処理時間を短時
間とすることで吸蔵量の低下を抑止することが可能にな
るという効果が得られる。
【0094】(f)請求項6の発明によれば、水素吸蔵
合金は最小限のスピノーダル分解相を有するかまたはス
ピノーダル分解相を有しないことから、これらスピノー
ダル分解相の生成による吸蔵水素量の低減を最小限に抑
えることができる。
【0095】(g)請求項7の発明によれば、従来にお
いて放出されることなく利用されることのなかった低圧
プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラトー領域の
吸蔵水素を、利用可能な水素として取り出すことが可能
となり、これら水素吸蔵合金において利用可能な水素量
を増大させることができる。
【0096】(h)請求項8の発明によれば、水素吸蔵
過程における合金温度(T1)が常温領域に近いものと
することができ、実用性を向上できる。
【0097】(i)請求項9の発明によれば、合金中の
吸蔵水素が不安定化することで、水素放出過程における
該合金の温度を高温(T2)とすることにより、前記低
圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラトー領域
からの水素放出を容易とすることができ、結果的に、有
効水素量を増大させることができる。
【0098】(j)請求項10の発明によれば、これら
の組成を有する合金は、合金中の吸蔵水素を不安定化す
る効果が高く、水素放出過において昇温することによ
り、低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラト
ー領域から多くの水素を放出させるために好適である。
【0099】(k)請求項11の発明によれば、これら
の組成を有する合金は、高圧プラトー領域における水素
吸蔵量が多いばかりか、合金中の吸蔵水素を不安定化す
る効果が高く、水素放出過において昇温することによ
り、低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラト
ー領域から多くの水素を放出させるために好適であっ
て、利用可能な有効水素量が多いことから高い実用性を
有する。
【0100】(l)請求項12の発明によれば、これら
の組成を有する合金は、高圧プラトー領域における水素
吸蔵量が多いばかりか、合金中の吸蔵水素を不安定化す
る効果が高く、水素放出過において昇温することによ
り、低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラト
ー領域から多くの水素を放出させるために好適であっ
て、利用可能な有効水素量が多いことから高い実用性を
有するとともに、前記ランタノイド系金属やN,Ni,
P,Siから選ばれた少なくとも一種以上の元素を適宜
添加することにより、これら合金の融点の低下やそれに
伴うプラトー部の平坦性の向上が図られ、スピノーダル
分解が生じやすい熱処理を施さないか、処理時間を短時
間とすることで吸蔵量の低下を抑止することが可能にな
るという効果が得られる。
【0101】(m)請求項13の発明によれば、水素吸
蔵合金は最小限のスピノーダル分解相を有するかまたは
スピノーダル分解相を有しないことから、これらスピノ
ーダル分解相の生成による吸蔵水素量の低減を最小限に
抑えることができる。
【0102】(n)請求項14の発明によれば、水素放
出時において前記水素吸蔵合金の温度(T2)が水素吸
蔵過程における温度(T1)に対して高温とされること
により、従来において水素吸蔵合金より放出されること
なく利用されることのなかった低圧プラトー領域或いは
傾斜プラトーの下部プラトー領域の吸蔵水素を、利用可
能な水素として取り出すことが可能となり、燃料電池セ
ルにて得られる電力量を増大させることが可能となる。
【0103】(o)請求項15の発明によれば、水素ガ
スの圧力、温度、流量を制御することで、燃料電池セル
における発電量を負荷に応じて適宜調節することが可能
となり、該燃料電池セルにおいて使用される水素の利用
効率を高めることができる。
【0104】(p)請求項16の発明によれば、前記水
素吸蔵合金温度の昇温に燃料電池セルの放熱または排熱
を利用可能となることから、これら水素吸蔵合金温度の
昇温に電力等を必要とすることがなく、水素燃料電池全
体における効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】V金属のPCT曲線の概念図である。
【図2】LaNi等における典型的な水素吸蔵解離曲
線と温度の関係を示すグラフである。
【図3】LaNi等における水素放出時の温度上昇に
よる水素放出量の変化を示すグラフである。
【図4】V−Ti(40−0.4x)−Cr
(60−0.6x)鋳造合金の水素吸蔵特性(313
K)を示すグラフである。
【図5】V−Ti37.5−Cr(62.5−x)
処理合金における通常サイクル時の水素吸蔵特性を示す
グラフである。
【図6】V70Zr0.5Ti11.5Cr18合金に
おいて測定温度が水素吸蔵特性に及ぼす影響を示すグラ
フである。
【図7】V70Zr0.5Ti11.5Cr18合金に
おいて測定温度が303K及び323Kである場合の水
素吸放出特性を示すグラフである。
【図8】二段プラトーを有するPCT曲線における温度
差の影響(概念図)を示すグラフである。
【図9】二段プラトーを有するPCT曲線における温度
差による容量増大(概念図)を示すグラフである。
【図10】V40Ti25Cr35合金について通常の
吸放出サイクル(第2サイクル)及び本発明法によるサ
イクル(第3サイクル)を実施して得られた吸放出特性
を示すグラフである。
【図11】V30Ti30Cr40合金において測定温
度が313Kである場合の水素吸放出特性を示すグラフ
である。
【図12】図11で実施した吸放出サイクルに続いて第
4及び第5サイクルを実施して得られた吸放出特性を示
すグラフである。
【図13】1573Kで各時間熱処理を施したV35
25Cr40合金の第3サイクルの吸蔵特性を示すグ
ラフである。
【図14】VTi30Cr(70−X)合金(X=2
7.5,30,32.5)の368Kにおける吸蔵特性を
示すグラフである。
【図15】V27.5Ti30Cr42.5合金の31
3Kにおける水素吸蔵特性を示すグラフである。
【図16】V27.5Ti30Cr42.5合金に本発
明法を適用した場合の有効水素吸蔵特性を示すグラフで
ある。
【図17】520Ti35Cr45試料を用いた温度差
法の概念実証(放出時313K→368Kへと昇温、解
離圧制御)を示すグラフである。
【図18】本発明合金であるV−Ti
(40−0.4x)−Cr(60−0.6x)鋳造合金
に本発明合金作動方法を適用した水素吸蔵特性を示すグ
ラフである。
【図19】V40NbTi25Cr32合金における
温度上昇の解離圧に及ぼす影響を示す水素吸蔵特性グラ
フである。
【図20】V−Ti37.5−Cr(62.5−x)
熱処理合金に本発明温度差法を適用した水素吸蔵特性を
示すグラフである。
【図21】本発明の水素燃料電池の実施形態を示すシス
テムフロー図ある。
【図22】本発明の水素燃料電池に用いた燃料電池セル
における電力生成のメカニズムを示す模式図である。
【符号の説明】
1 燃料電池セル 2 インバータ 3 制御装置(制御部) 4 水素燃料タンク(水素貯蔵タンク) 5 熱交換器(温度調節手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−29014(JP,A) 特開 平6−174196(JP,A) 特開 平7−252560(JP,A) 特開 平8−157998(JP,A) 特開 平8−222252(JP,A) 特開 平10−110225(JP,A) 特開 昭52−20314(JP,A) 特開 昭60−65473(JP,A) 特開 昭62−108701(JP,A) 特公 昭61−16880(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/00,14/00 C22C 27/02,27/06 C01B 3/00 F17C 1/00 - 17/00 H01M 4/24,4/26 H01M 4/38,8/04

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素吸蔵量と水素圧力との関係において
    二段プラトー特性もしくは傾斜プラトー特性を示す体心
    立方構造型水素吸蔵合金であり、該水素吸蔵合金が、 V a Ti (41-0.4a+b) Cr (59-0.6a-b) (式中、0<a≦70at%、−10≦b≦10) で表される組成を有する合金、または、 V (a-d) M2 d Ti (41-0.4a+b) Cr (59-0.6a-b-C) M c (式中、0<a≦70at%、−10≦b≦10+c、
    0≦c、0≦d≦a、Mは Nb, Mo, Ta, W, Mn, Fe, Al,
    B, C, Co, Cu, Ge, Ln(各種ランタノイド系金属)、
    及び N, Ni, P, Siから選ばれた少なくとも一種類以上
    の元素で、M2は Mo, Nb, Ta, W, Fe 及びAlから選ばれ
    た少なくとも一種以上の元素である、ここで0<a−d
    であり、M とM2とが同一の元素である場合を除く) で表される組成を有する合金 に対して水素加圧と減圧と
    を適宜繰り返し実施して水素の吸放出を行う水素の吸放
    出方法であって、 水素放出過程の少なくとも一時期において前記水素吸蔵
    合金の温度(T2)を、水素吸蔵過程における水素吸蔵
    合金温度(T1)よりも高い温度(T2>T1)とする
    ことを特徴とする水素吸蔵合金を用いた水素の吸放出方
    法。
  2. 【請求項2】 前記水素吸蔵過程における合金温度(T
    1)が地球生活圏内の極低温から373Kの範囲とされ
    ている請求項1に記載の水素吸蔵合金を用いた水素の吸
    放出方法。
  3. 【請求項3】 前記水素吸蔵合金が、該合金の温度を前
    記高温(T2)とした際に、前記二段プラトーにおける
    低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラトー領
    域の吸蔵水素の少なくとも一部を放出可能となるよう
    に、合金を構成する金属の組成比率を、低圧プラトー領
    域或いは傾斜プラトーの下部プラトー領域における合金
    中の吸蔵水素の安定性を低減化するように適正化したも
    のである請求項1または2に記載の水素吸蔵合金を用い
    た水素の吸放出方法。
  4. 【請求項4】 前記適正化された水素吸蔵合金の組織構
    造が、体心立方構造単相であってスピノーダル分解相を
    有しないか、あるいは体心立方構造相と不可避的に生成
    する最小限のスピノーダル分解相のみを有するものであ
    る請求項に記載の水素吸蔵合金を用いた水素の吸放出
    方法。
  5. 【請求項5】 水素吸蔵量と水素圧力との関係において
    二段プラトー特性もしくは傾斜プラトー特性を示す体心
    立方構造型水素吸蔵合金であり、該水素吸蔵合金が、 V a Ti (41-0.4a+b) Cr (59-0.6a-b) (式中、0<a≦70at%、−10≦b≦10) で表される組成を有する合金、または、 V (a-d) M2 d Ti (41-0.4a+b) Cr (59-0.6a-b-C) M c (式中、0<a≦70at%、−10≦b≦10+c、
    0≦c、0≦d≦a、Mは Nb, Mo, Ta, W, Mn, Fe, Al,
    B, C, Co, Cu, Ge, Ln(各種ランタノイド系金属)、
    及び N, Ni, P, Siから選ばれた少なくとも一種類以上
    の元素で、M2は Mo, Nb, Ta, W, Fe 及びAlから選ばれ
    た少なくとも一種以上の元素である、ここで0<a−d
    であり、M とM2とが同一の元素である場合を除く) で表される組成を有する合金 を内包する水素貯蔵タンク
    と、 前記水素吸蔵合金を直接或いは該吸蔵合金の雰囲気温度
    を昇温または冷却する温度調節手段と、 該水素貯蔵タンクより供給される水素を化学変化させる
    ことにより電力を出力可能な燃料電池セルと、 水素吸蔵時における前記水素吸蔵合金の温度(T1)に
    対して、水素放出時の少なくとも一時期において、前記
    合金温度を前記吸蔵過程における温度(T1)よりも高
    温(T2)とする制御を行う制御部と、 を具備することを特徴とする水素燃料電池。
  6. 【請求項6】 前記制御部は、前記水素貯蔵タンクから
    前記燃料電池セルに供給される水素ガスの圧力、温度、
    流量を適宜制御可能とされている請求項に記載の水素
    燃料電池。
  7. 【請求項7】 前記温度調節手段は、前記燃料電池セル
    から放出される熱または該燃料電池セルから排出される
    排出ガスの熱を前記昇温に利用可能とされている請求項
    またはに記載の水素燃料電池。
  8. 【請求項8】 前記水素吸蔵合金が、水素吸蔵量と水素
    圧力との関係において二段プラトー特性もしくは傾斜プ
    ラトー特性を示す体心立方構造型水素吸蔵合金、あるい
    は該合金の温度を前記高温(T2)とした際に、前記二
    段プラトーにおける低圧プラトー領域或いは傾斜プラト
    ーの下部プラトー領域の吸蔵水素の少なくとも一部を放
    出可能となるように、合金を構成する金属の組成比率
    を、低圧プラトー領域或いは傾斜プラトーの下部プラト
    ー領域における合金中の吸蔵水素の安定性を低減化する
    ように適正化したものである請求項5〜7のいずれか一
    記載の水素燃料電池。
  9. 【請求項9】 前記適正化された水素吸蔵合金の組織構
    造が、体心立方構造単相であってスピノーダル分解相を
    有しないか、あるいは体心立方構造相と不可避的に生成
    する最小限のスピノーダル分解相のみを有するものであ
    る請求項8に記載の水素燃料電池。
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