JP3423401B2 - 芳香族ポリアミド組成物 - Google Patents

芳香族ポリアミド組成物

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JP3423401B2
JP3423401B2 JP06524494A JP6524494A JP3423401B2 JP 3423401 B2 JP3423401 B2 JP 3423401B2 JP 06524494 A JP06524494 A JP 06524494A JP 6524494 A JP6524494 A JP 6524494A JP 3423401 B2 JP3423401 B2 JP 3423401B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、芳香族ポリアミド組成物
に関し、さらに詳しくは、結晶化合物速度が大きく、耐
熱性、機械的特性、耐水性、耐薬品性等の物理的化学的
特性、特に耐熱性に優れた成形体を形成しうる芳香族ポ
リアミド組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】一般に、ポリカプロラクタム(6-
ナイロン)、ポリヘキサメチレンアジパミド(6,6-ナイ
ロン)、ポリヘキサメチレンアゼライト(6,9-ナイロ
ン)、ポリヘキサメチレンセバサミド(6,10-ナイロ
ン)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(6,12-ナイロ
ン)、ポリラウリックラクタム(12-ナイロン)などに代
表される脂肪族系ポリアミドは、ポリオレフィンなどに
代表される熱可塑性樹脂に比べて、強度、剛性、耐熱
性、耐摩耗性などに優れており、エンジニアリングプラ
スチックとして種々の成形用途に広く利用されている。
【0003】しかしながら上記のような脂肪族ポリアミ
ドは、さらに高度の性能が要求されるエンジニアリング
プラスチックとして用いるには、融点、ガラス転移点、
熱変形温度などの耐熱性、剛性、引張り強度、曲げ強
度、限界PV値、耐摩耗性などの機械的特性および耐水
性、耐沸水性、耐塩水性、飽和吸水性、耐薬品性などの
物理的化学的特性が充分でなく、その用途は限られてい
た。
【0004】このような耐熱性、機械的特性、物理的化
学的特性に優れたエンジニアリングプラスチックとして
は、たとえばポリテトラフルオロエチレン(商標名;テ
フロン)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(商標
名;ケブラー)、4,4'- ジアミノフェニルエーテルとピ
ロメリット酸無水物との縮合物よりなるポリイミド(商
標名;カプトン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリア
セタールなどが挙げられる。これらのエンジニアリング
プラスチックのうちで、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリパラフェニレンテレフタルアミドおよび前記ポリア
ミド樹脂などは、耐熱性、機械的特性および物理的化学
的特性には優れた材料であるが、溶融成形を行うことが
できないという問題点がある。またポリフェニレンスル
フィド、ポリアセタールなどは、融点、ガラス転移点、
熱変形温度などの耐熱性、耐衝撃強度、耐摩耗性などの
機械的特性に劣るという問題点がある。
【0005】一方、成形性および耐熱性が改善されたポ
リアミド組成物として、たとえば特開昭61-188,457号公
報および特開昭61-188,458号公報に開示された成形用ポ
リアミド樹脂などが開発されている。前者は、4,6-ナイ
ロンにガラス繊維および滑剤を含有させたポリアミド組
成物であり、また後者は、4,6-ナイロンにビスアミド
類、金属塩、ポリエチレングリコール、脂肪族カルボン
酸等の滑剤を含有させたポリアミド組成物であって、こ
れらのポリアミド組成物は、高温雰囲気下での高い剛性
と高い熱変形温度とを有し、かつ溶融時の流動性に優れ
成形性が良好である。
【0006】ところが、最近における著しいエンジニア
リングプラスチックの用途の多様化に伴ない、耐熱性、
機械的特性および物理的化学的特性に関して高度の性能
を有するエンジニアリングプラスチックが希求されてい
る状況においては、上述した材料はいずれも満足すべき
ものと首肯するに至っておらず、さらに耐熱性、機械的
特性および物理的化学的特性、特に耐熱性の面について
はなお改善の余地があった。
【0007】このような点に鑑みて、本願出願人は、テ
レフタル酸成分単位を主成分単位として含有する芳香族
系ジカルボン酸成分単位(a) と、脂肪族系ジアミン成分
単位(b) とから構成される耐熱性ポリアミドを提案し
た。この耐熱性ポリアミドは、非常に耐熱性に優れてい
るが、成形温度が高いため、射出成形などによって成形
する際に、射出成形された溶融体の降温速度(冷却速
度)が、通常のポリアミドと比較して著しく大きく、こ
のため結晶成長速度が遅く得られる成形体の結晶化度が
低くなってしまうという問題点があった。もし得られる
成形体の結晶化度が低いと、この成形体の耐熱剛性が不
足するという問題点が生じてしまう。
【0008】このような問題点を解決するため、上記の
ような耐熱性ポリアミド中に一般的に核剤として用いら
れているタルクを添加することが考えられるが、タルク
による結晶化速度促進効果は充分とはいえない。
【0009】このため耐熱性ポリアミドと、該耐熱性ポ
リアミドに対して優れた結晶化速度促進効果を示す核剤
とからなる組成物の出現が強く望まれていた。
【0010】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであり、ナイロンなどの通常のポリアミ
ドと比較して著しく高い融点を有する特定の芳香族ポリ
アミドと、結晶核剤としてのホウ酸アルミニウムウィス
カおよび/または窒化ホウ素粉末とからなり、結晶化速
度が大きくしたがって成形時の反りまたは収縮によって
変形を生じることがなく、耐熱剛性に優れ、しかも優れ
た機械的強度を有する成形体を得ることができるような
芳香族ポリアミド組成物を提供することを目的としてい
る。
【0011】
【発明の概要】本発明に係る芳香族ポリアミド組成物
は、 [A]芳香族ポリアミド;100重量部と、 [B]ホウ酸アルミニウムウィスカおよび/または窒化
ホウ素粉末;0.001〜30重量部とからなる組成物
であって、 前記の[A]芳香族ポリアミドは、(i) ジカ
ルボン酸と(ii)ジアミンとから誘導される構成単位から
なり、 (i) ジカルボン酸から誘導される構成単位は、テレフタ
ル酸から誘導される構成単位を30〜100モル%の量
で、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸および/ま
たは炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸から誘導
される構成単位を0〜70モル%の量で含み、 (ii)ジアミンから誘導される構成単位は、側鎖メチル基
を有する2-メチル-1,5-ジアミノペンタンから誘導され
る構成単位、または該構成単位および炭素原子数4〜1
8の直鎖アルキレンジアミンから誘導される構成単位
らなることを特徴としている。
【0012】
【0013】上記の炭素原子数4〜18の直鎖アルキレ
ンジアミンが、1,6-ジアミノヘキサンであることが好ま
しい。
【0014】このような芳香族ポリアミドと、結晶核剤
としてのホウ酸アルミニウムウィスカおよび/または窒
化ホウ素粉末とからなる本発明に係る芳香族ポリアミド
は、結晶化速度が大きい。
【0015】
【発明の具体的説明】本発明に係る芳香族ポリアミド組
成物は、[A]芳香族ポリアミドと、[B]ホウ酸アル
ミニウムウィスカおよび/または窒化ホウ素粉末とから
形成されている。
【0016】以下、まず本発明に係る芳香族ポリアミド
組成物を形成する成分について説明する。[A]芳香族ポリアミド 本発明で用いられる芳香族ポリアミドは、(i) ジカルボ
ン酸と(ii)ジアミンとから誘導される構成単位からな
る。
【0017】この芳香族ポリアミドを形成する(i) ジカ
ルボン酸は、芳香族ジカルボン酸を必須成分として含有
しており、芳香族ジカルボン酸として好ましくは(i-a)
テレフタル酸を含有している。
【0018】またこの(i) ジカルボン酸は、(i-b) テレ
フタル酸以外の芳香族ジカルボン酸さらには(i-c) 脂肪
族ジカルボン酸を含有していてもよい。
【0019】(i-b) テレフタル酸以外の芳香族ジカルボ
ン酸としては、たとえばイソフタル酸、2-メチルテレフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸、およびこれらの組合
せなどが挙げられる。これらのうちではイソフタル酸が
好ましい。
【0020】(i-c) 脂肪族ジカルボン酸としては、具体
的に、炭素原子数2〜20好ましくは4〜12のアルキ
レン基を有する脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、たとえ
ばコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
およびこれらの組合せなどが挙げられる。これらのうち
では、アジピン酸、セバシン酸が好ましい。
【0021】また上記のように(i) ジカルボン酸ととも
に芳香族ポリアミドを形成する(ii)ジアミンは、側鎖ア
ルキル基を有する2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、ま
たは2-メチル-1,5-ジアミノペンタンおよび炭素原子数
4〜18の直鎖アルキレンジアミンであることが好まし
い。
【0022】このような(ii-a)炭素原子数4〜18の直
鎖アルキレンジアミンとしては、具体的に、1,4-ジアミ
ノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタ
ン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10
-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジ
アミノドデカン、およびこれらの組合わせなどが挙げら
れる。
【0023】これらのうち、1,6-ジアミノヘキサン、1,
8-ジアミノオクタン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジア
ミノドデカンが好ましく、特に1,6-ジアミノヘキサンが
好ましい。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】上記のような(i) ジカルボン酸と(ii)ジア
ミンとから誘導される芳香族ポリアミド[A]では、具
体的に、(i) ジカルボン酸がテレフタル酸であるとき、
(i-a) テレフタル酸と(ii)ジアミンとから誘導される構
成単位(a) は下記式[I-a] で示される。
【0028】
【化1】
【0029】式中、R1側鎖アルキル基を有する2-メ
チル-1,5-ジアミノペンタンに由来する基である。また
(i-b) テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸と(ii)ジ
アミンとから誘導される構成単位(b) は、芳香族ジカル
ボン酸がイソフタル酸である場合には、下記式[I-b] で
示される。
【0030】
【化2】
【0031】式中、R1 は上記の式[I-a] 中のR1 と同
じである。さらに(i-c) 脂肪族ジカルボン酸と(ii)ジア
ミンとから誘導される構成単位(c) は、下記式[I-c] で
示される。
【0032】
【化3】
【0033】式中、nは通常2〜20好ましくは4〜1
2であり、R1 は上記の式[I-a] 中のR1と同じである
が、(ii)ジアミンとして2-メチル-1,5-ジアミノペンタ
ンとともに、(ii-a)直鎖アルキレンジアミンたとえば1,
6-ヘキサジアミンが用いられるとき、この(ii-a)直鎖ア
ルキレンジアミンと(i) ジカルボン酸とから誘導される
構成単位は、下記式[II-a]で示される。
【0034】
【化4】
【0035】式[II-a]中、R2 は上記の(i) ジカルボン
酸に由来するp-フェニレン基、m-フェニレン基またはア
ルキレン基などの2価の炭化水素基である。また(ii)ジ
アミンが側鎖アルキル基を有する2-メチル-1,5-ジアミ
ノペンタンであるとき、2-メチル-1,5-ジアミノペンタ
ンと(i) ジカルボン酸とから誘導される構成単位は、下
記式[II-b]で示される。
【0036】
【化5】
【0037】式[II-b]中、R2 は上記の式[II-a]中のR
2 と同じである。本発明で用いられる芳香族ポリアミド
[A]は、上記のような(i) ジカルボン酸と(ii)ジアミ
ンとから誘導される構成単位からなるが、(i) ジカルボ
ン酸から誘導される構成単位を100モル%とすると
き、テレフタル酸から誘導される構成単位(a) を、30
〜100モル%好ましくは45〜100モル%さらに好
ましくは70〜100モル%の量で、またテレフタル酸
以外の芳香族ジカルボン酸から誘導される構成単位(b)
および/または脂肪族ジカルボン酸から誘導される構成
単位(c) を、0〜70モル%好ましくは0〜55モル%
さらに好ましくは0〜30モル%の量で含有しているこ
とが望ましい。
【0038】なお脂肪族ジカルボン酸から誘導される構
成単位(c) の含有率が70モル%を超えるポリアミドは
吸水率が高く、このようなポリアミドから得られる成形
体は吸水によって寸法変化が大きくなることがある。
【0039】また本発明で用いられる芳香族ポリアミド
[A]は、トリメリット酸、ピロメリット酸などの三塩
基性以上の多価カルボン酸から誘導される構成単位を、
少量通常5モル%以下の量で含有していてもよい。
【0040】さらに本発明で用いられる芳香族ポリアミ
ド[A]は、上記のようなジカルボン酸としてのテレフ
タル酸から誘導される構成単位(a) を主な構成単位とす
る芳香族ポリアミドと、ジカルボン酸としてのイソフタ
ル酸から誘導される構成単位(b) を主な構成単位とする
芳香族ポリアミドとの混合物であってもよい。
【0041】本発明で用いられる芳香族ポリアミド
[A]は、30℃の濃硫酸中で測定される極限粘度
[η]が、0.5〜3.0dl/g好ましくは0.5〜
2.8dl/g特に好ましくは0.6〜2.5dl/gであ
ることが望ましい。
【0042】上記のような特定の構造を有する芳香族ポ
リアミド[A]は、成形性に優れるとともに特に耐熱性
に優れており、さらに吸水率が低い。またこの芳香族ポ
リアミド[A]の非晶部におけるガラス転移温度(T
g)は、従来から使用されている脂肪族ポリアミドのガ
ラス転移温度よりも高く、通常80℃以上好ましくは9
0〜150℃である。このように非晶部のガラス転移温
度が高いので、この芳香族ポリアミド[A]を含んで形
成される成形品は、高温に晒されることがあっても溶融
状態になりにくく、寸法が変化しにくい。
【0043】本発明で用いられる芳香族ポリアミド
[A]は、上記のような(i) ジカルボン酸と(ii)ジアミ
ンとを重縮合させることにより製造することができる。
具体的には、まず上述したような量でテレフタル酸(i-
a) を必須成分として含むジカルボン酸(i) とジアミン
(ii)とを、水性媒体中、次亜リン酸ナトリウムなどの触
媒の存在下、加圧下に加熱してポリアミド前駆体を製造
し、次いでこのポリアミド前駆体を溶融混練することに
より製造することができる。なおポリアミド前駆体を製
造する際には、安息香酸などの分子量調整剤を配合する
こともできる。
【0044】[B]ホウ酸アルミニウムウィスカおよび
/または窒化ホウ素粉末 本発明では、上記のような芳香族ポリアミドの結晶核剤
として、ホウ酸アルミニウムウィスカおよび/または窒
化ホウ素粉末が用いられる。
【0045】本発明で用いられるホウ酸アルミニウムウ
ィスカとしては、式nAl23 ・mB23 で示される
ホウ酸アルミニウムのウィスカ状物である。このような
ホウ酸アルミニウムとしては、具体的に、9Al23
2B23 、2Al23・B23 、Al23・B23
が挙げられるが、本発明では、これらのうち式9Al2
3・2B23 で示されるホウ酸アルミニウムのウィス
カが好ましく用いられる。
【0046】本発明で用いられるホウ酸アルミニウムウ
ィスカは、平均繊維長が10〜30μmであり、平均繊
維径が0.5〜1.0μmであることが望ましい。このよ
うなホウ酸アルミニウムウィスカは、溶融法、気相法、
内部フラックス法(自己フラックス法)、外部フラック
ス法などの公知の方法により製造することができる。ま
たこのホウ酸アルミニウムウィスカとしては、たとえば
アルボレックス(四国化成工業(株)製)などの商品名
で市販されているものを用いることができる。
【0047】このようなホウ酸アルミニウムウィスカ
は、各種カップリング剤で表面処理が施されていてもよ
い。ホウ酸アルミニウムウィスカに表面処理が施される
場合には、カップリング剤としてはたとえばアミノシラ
ン系化合物、エポキシシラン系化合物、メタクリロキシ
シラン系化合物などのシラン系化合物を用いることが好
ましい。
【0048】本発明で用いられる窒化ホウ素粉末は、化
学式BNで示されるホウ素窒化物の粉末である。本発明
で用いられる窒化ホウ素粉末には、少量たとえば1重量
%以下の量の酸化ホウ素(B23 )などが含有されて
いてもよい。
【0049】本発明では、窒化ホウ素粉末として平均粒
径0.1〜10μmのものが好ましく用いられる。この
ような窒化ホウ素粉末は、たとえばデンカボロンナイト
ライド(電気化学工業(株)製)などの商品名で市販さ
れている。
【0050】芳香族ポリアミド組成物 本発明に係る芳香族ポリアミド組成物は、上記のような
芳香族ポリアミド[A]100重量部に対して、ホウ酸
アルミニウムウィスカおよび/または窒化ホウ素粉末
[B]を0.001から30重量部好ましくは0.01
〜20重量部さらに好ましくは0.1〜15量部の量で
含有している。
【0051】このように芳香族ポリアミド[A]と、芳
香族ポリアミド[A]に対する特定の核剤であるホウ酸
アルミニウムウィスカおよび/または窒化ホウ素粉末
[B]とから形成された本発明に係る芳香族ポリアミド
組成物は、結晶化速度が大きい。したがって本発明に係
る芳香族ポリアミド組成物からは、結晶化度が高く耐熱
性特に耐熱強度に優れるとともに機械的強度にも優れた
成形体が得られる。なおこのホウ酸アルミニウムウィス
カおよび/または窒化ホウ素粉末[B]の量がポリアミ
ド[A]100重量部に対して0.001重量部未満で
あると、該ホウ酸アルミニウムウィスカおよび/または
窒化ホウ素粉末がポリアミドに対して充分な核剤効果を
示さず、芳香族ポリアミド組成物は、耐熱性特に耐熱強
度が充分に向上されないことがある。一方、30重量部
を超えると機械的強度が低下してしまうことがある。
【0052】本発明に係る芳香族ポリアミド組成物は、
上記のような芳香族ポリアミド[A]とホウ酸アルミニ
ウムウィスカおよび/または窒化ホウ素粉末[B]とか
らなるが、これら[A]、[B]とともに、必要に応じ
てホウ酸アルミニウムウィスカおよび窒化ホウ素粉末
[B]以外の結晶核剤[C]を含有していてもよい。
【0053】このような[C]結晶核剤としては、粉末
状、粒状、板状、繊維状の無機または有機化合物が挙げ
られ、具体的には、シリカ、アルミナ、シリカアルミ
ナ、タルク、ケイソウ土、クレー、カオリン、石英、ガ
ラス、マイカ、グラファイト、二硫化モリブデン、セッ
コウ、ベンガラ、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミニウ
ム、銅、ステンレスなどの粉状、板状の無機化合物、ガ
ラス繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、石綿繊維、
ステンレススチール繊維などの繊維状の無機化合物、ポ
リパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレ
ンテレフタルアミド、ポリパラフェニレニソフタルアミ
ド、ポリメタフェニレニソフタルアミド、ジアミノジフ
ェニルエーテルとテレフタル酸(イソフタル酸)との縮
合物、パラ(メタ)アミノ安息香酸の縮合物などの全芳
香族系ポリアミド、ジアミノジフェニルエーテルと無水
トリメリット酸または無水ピロメリット酸との縮合物な
どの全芳香族系ポリアミドイミド、全芳香族系ポリイミ
ド、ポリベンツイミダゾール、ポリイミダゾフェナンス
ロリンなどの複素環含有化合物、ポリテトラフルオロエ
チレンなどの粉状、板状、繊維状の有機化合物などが挙
げられる。
【0054】これらの化合物は2種以上組合せて用いて
もよく、またこれらの化合物をシランカップリング剤あ
るいはチタンカップリング剤などで処理して用いてもよ
い。上記のような結晶核剤[C]のうちでも粉末状の結
晶核剤は、平均粒径が0.1〜200μm好ましくは1
〜100μmであることが望ましい。このような平均粒
径を有する粉末状の結晶核剤を含んでいると、芳香族ポ
リアミド組成物は耐摩耗性が著しく向上するため好まし
い。
【0055】粉末状の結晶核剤[C]としては、上記の
うち、粉末状シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、二酸
化チタン、グラファイト、二硫化モリブデン、ポリテト
ラフルオロエチレンなどが好ましく用いられ、特に粉末
状のグラファイト、二硫化モリブデンまたはポリテトラ
フルオロエチレンなどが好ましく用いられる。
【0056】このような粉末状の結晶核剤を含有する芳
香族ポリアミド組成物からは、動摩擦係数、テーパー摩
耗、限界PV値などの耐摩耗性が向上された成形体が形
成されるため好ましい。
【0057】また上記の結晶核剤のうち、有機繊維とし
ては、全芳香族系ポリアミド繊維たとえばポリパラフェ
ニレンテレフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンテレ
フタルアミド繊維、ポリパラフェニレニソフタルアミド
繊維、ポリメタフェニレニソフタルアミド繊維、ジアミ
ノジフェニルエーテルとテレフタル酸(またはイソフタ
ル酸)との縮合物から得られる繊維などが好ましく用い
られ、無機繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維な
どが好ましく用いられる。
【0058】これら有機または無機の繊維状結晶核剤
は、繊維の平均長さが0.1〜20mm好ましくは1〜1
0mmであることが望ましい。このような平均長さの繊維
状結晶核剤を含んでいると、芳香族ポリアミド組成物
は、成形性が向上するとともに、その成形体は、熱変形
温度などの耐熱性、引張り強度、曲げ強度などの機械的
特性などが向上するため好ましい。具体的に、有機繊維
を含む芳香族ポリアミド組成物の成形体は、引張り強
度、アイゾット衝撃強度などの機械的特性、熱変形温度
などの耐熱性などが向上し、また無機繊維を含む芳香族
ポリアミド組成物の成形体は、引張り強度、曲げ強度、
曲げ弾性率などの機械的特性、熱変形温度などの耐熱
性、耐水性などの物理的化学的特性などが向上するので
好ましい。
【0059】本発明に係る芳香族ポリアミド組成物は、
上記のような結晶核剤[C]を、芳香族ポリアミド
[A]100重量部に対して、通常0.001〜1重量
部好ましくは0.01〜1重量部特に好ましくは0.1
〜1重量部の量で含有していてもよい。
【0060】さらに本発明に係る芳香族ポリアミド組成
物は、必要に応じて他の熱可塑性樹脂、有機または無機
の充填剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、光保護剤、耐熱
安定剤、亜燐酸塩安定剤、過酸化物分解剤、塩基性補助
剤、増核剤、可塑剤、潤滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔
料、染料などを含有していてもよい。
【0061】他の熱可塑性樹脂としては、本発明で用い
られる芳香族ポリアミド[A]以外の芳香族ポリアミ
ド、脂肪族ポリアミド、(メタ)アクリル樹脂、ポリオ
レフィン樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、ポリフ
ェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルホン、ポリエ
ステル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート
などが挙げられる。本発明に係る芳香族ポリアミド組成
物は、芳香族ポリアミド[A]とともにこのような他の
熱可塑性樹脂を含むことにより芳香族ポリアミド[A]
と他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイを形成すること
ができる。
【0062】また上記の充填剤としては、上記に示した
[C]結晶核剤と同様の有機および無機化合物を用いる
ことができるが、その形状は上記の粉末状、粒状、繊維
状に限定されることなくさらにストランド状、クロス
状、マット状などであってもよく、さらにこれら化合物
の2次加工品であってもよい。
【0063】本発明に係る芳香族ポリアミド組成物は、
このような充填剤を芳香族ポリアミド[A]100重量
部に対して、通常200重量部以下好ましくは100重
量部特に好ましくは0.5〜50重量部の量で含有して
いてもよい。とくに充填剤が繊維状である場合には、芳
香族ポリアミド[A]100重量部に対して、通常5〜
180重量部以下好ましくは5〜100重量部特に好ま
しくは5〜150重量部の量で含有していてもよい。
【0064】本発明に係る芳香族ポリアミド組成物は、
従来公知の樹脂組成物を調製する方法によって調製する
ことができ、たとえば上記のような各成分を溶融状態に
維持しながら充填剤を配合するなどの方法により調製す
ることができる。この際、押出し機、ニーダーなどを用
いることができる。
【0065】本発明に係る芳香族ポリアミド組成物は、
通常の成形方法(溶融成形法)たとえば圧縮成形法、射
出成形法または押し出し成形法などによって成形するこ
とができる。
【0066】本発明に係る芳香族ポリアミド組成物は、
エンジニアリングプラスチックなどとして種々の用途に
用いられる。
【0067】
【発明の効果】本発明に係る芳香族ポリアミド組成物
は、結晶化速度が大きく、したがって耐熱性特に耐熱剛
性に優れしかも機械物性にも優れた成形体を、反りまた
は収縮による変形を生じることなく得ることができる。
【0068】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0069】
【芳香族ポリアミドの製造】1,6-ジアミノヘキサン13
9.3g(1.20モル)、2-メチル-1,5-ジアミノペ
ンタン139.3g(1.20モル)、テレフタル酸3
65.5g(2.2モル)と、触媒として次亜リン酸ナ
トリウム0.55g(5.2×10-3モル)と、イオン
交換水64mlとを1リットルの反応器に仕込み、窒素
置換後、250℃、35kg/cm2 の条件で1時間反応さ
せた。1,6-ジアミノヘキサンと2-メチル-1,5-ジアミノ
ペンタンとのモル比は50:50である。
【0070】1時間経過後、この反応器内で生成した反
応生成物を、この反応器と連結されかつ約10kg/cm2
低い圧力に設定された受器に抜き出すことにより、極限
粘度[η]が0.15dl/gのポリアミド前駆体561
gを得た。
【0071】このポリアミド前駆体を乾燥し、次いで二
軸押出機を用いてシリンダー設定温度330℃で溶融重
合して芳香族ポリアミドを得た。得られた芳香族ポリア
ミドのジアミン構成単位は、1,6-ジアミノヘキサン構成
単位が50モル%であり、2-メチル-1,5-ジアミノペン
タン構成単位が50モル%であった。
【0072】
【実施例1〜4】上記のように製造された芳香族ポリア
ミドと、この芳香族ポリアミド 100重量部に対して
成分[B]として表1に示すような量のホウ酸アルミニ
ウムウィスカまたは窒化ホウ素粉末とを、一軸押出機を
用いて350℃で溶融混合し、芳香族ポリアミド組成物
のペレットを得た。なお実施例において、ホウ酸アルミ
ニウムウィスカとしては、平均繊維長10〜30μm、
平均繊維径0.5〜1.0μmのホウ酸アルミニウムウィ
スカ(市販品;アルボレックス、四国化成工業(株)
製)を用い、窒化ホウ素粉末としては、平均粒径3.5
μmのもの(市販品;デンカボロンナイトライド、電気
化学工業(株)製)を用いた。
【0073】得られた芳香族ポリアミド組成物のペレッ
トを350℃で射出成形して、厚さ8mmの試験片を作
成し、この試験片について結晶化度を測定した。結晶化
度は、PSPC法によるX線透過法で測定した。結果を
表1に示す。
【0074】
【比較例1】上記の芳香族ポリアミドのみについて、実
施例1と同様にして結晶化度を測定した。結果を表1に
示す。
【0075】
【比較例2〜3】実施例1において、成分[B]に代え
てタルクを表1に示すような量で用いた以外は、実施例
1と同様にして組成物を得て、結晶化度を測定した。結
果を表1に示す。
【0076】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−268373(JP,A) 特開 昭58−76451(JP,A) 特開 平2−55761(JP,A) 特開 平7−82474(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 77/00 - 77/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 [A]芳香族ポリアミド;100重量部
    と、 [B]ホウ酸アルミニウムウィスカおよび/または窒化
    ホウ素粉末;0.001〜30重量部とからなる組成物
    であって、 前記の[A]芳香族ポリアミドは、(i) ジカルボン酸と
    (ii)ジアミンとから誘導される構成単位からなり、 (i) ジカルボン酸から誘導される構成単位は、テレフタ
    ル酸から誘導される構成単位を30〜100モル%の量
    で、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸および/ま
    たは炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸から誘導
    される構成単位を0〜70モル%の量で含み、 (ii)ジアミンから誘導される構成単位は、側鎖メチル基
    を有する2-メチル-1,5-ジアミノペンタンから誘導され
    る構成単位、または該構成単位および炭素原子数4〜1
    8の直鎖アルキレンジアミンから誘導される構成単位か
    らなることを特徴とする芳香族ポリアミド組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の芳香族ポリアミド組成物
    からなる成形体。
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