JP3422992B2 - 質量分析計 - Google Patents

質量分析計

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JP3422992B2 JP2001220809A JP2001220809A JP3422992B2 JP 3422992 B2 JP3422992 B2 JP 3422992B2 JP 2001220809 A JP2001220809 A JP 2001220809A JP 2001220809 A JP2001220809 A JP 2001220809A JP 3422992 B2 JP3422992 B2 JP 3422992B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に蛋白質などの
難揮発性物質の分離分析に重要な液体クロマトグラフと
質量分析計とを結合した装置、すなわち液体クロマトグ
ラフ・質量分析計におけるインターフェースに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、分析の分野では液体クロマトグラ
フ・質量分析計の開発が重要視されている。液体クロマ
トグラフは混合物の分離に優れるが物質の同定ができ
ず、一方質量分析計は感度も高く物質の同定能力に優れ
るが混合物の分析は困難である。そこで、液体クロマト
グラフの検出器として質量分析計を用いる液体クロマト
グラフ・質量分析計は、混合物の分析に対して大変有効
である。
【0003】参考のために、従来の液体クロマトグラフ
・質量分析計の全体の構成を示すブロック図を図14に
示す。液体クロマトグラフから溶出してくる試料溶液は
配管2によりイオン源に導入される。イオン源はイオン
源用電源4により信号ライン5aを介して制御されてい
る。イオン源で生成した試料分子に関するイオンは、質
量分析部に導入されて質量分析される。この質量分析部
は排気系により真空に排気される。質量分析されたイオ
ンはイオン検出器8で検出され、検出信号は信号ライン
5bを介してデータ処理装置に送られる。
【0004】さて、このように液体クロマトグラフ・質
量分析計の原理は簡単であるが、液体クロマトグラフは
溶液中の試料を扱うのに対して、質量分析計は高真空中
のイオンを扱うという相性の悪さから、この方法の開発
は非常に困難なものとなっている。この問題を解決する
ためにいくつかの方法が開発されている。なかでも有力
視されているのは、液体クロマトグラフからの溶出液を
噴霧し、生成した液滴中に含まれる試料分子をイオン化
して質量分析部へと取り込む噴霧イオン化法である。
【0005】噴霧イオン化法の例として、アナリティカ
ル ケミストリー 1987年、59巻、2642頁
(Analytical Chemistry 59 (1987) 2642)に記載され
ている静電噴霧法について説明する。図15に静電噴霧
イオン源を備えた液体クロマトグラフ・質量分析計の構
造を示す断面図を示す。液体クロマトグラフ1から溶出
してくる試料溶液を、配管2、コネクタ10を介して噴
霧細管11に導入する。この噴霧細管11と対向電極1
2との間に数kVの電圧を印加すると、噴霧細管11の
先端で試料溶液がコーン状態になりその先端から微小液
滴が生成する、いわゆる静電噴霧現象が起こる。静電噴
霧法では、噴霧用ガス噴出口13を設け、噴霧細管11
のまわりから窒素などのガスを流し微小液滴の気化を促
進させる。さらに、生成した微小液滴に向けて、窒素な
どのガスを対向電極12側に設けられた気化用ガス噴出
口14から吹き付け、微小液滴の気化を促進させる。以
上のような過程を経て生成したイオンは、イオン導入細
孔15から直接真空中に導入され、高真空下の質量分析
部6で質量分析される。
【0006】米国特許第4,935,624号には、加
熱して試料溶液の噴霧を行なう際に噴霧細管の位置はプ
ロセスに無関係であり、細管をオリフィス板に対して9
0°にしてもよいとの記載がある。しかし、細管を加熱
しない場合に、噴霧細管の中心線を細孔の中心線に対し
て傾斜することによって得られる顕著な効果を示唆する
ような記載は存在しない。また、特開平3−23505
5には、噴霧ノズルを二つに分けて噴霧を行なうことが
示されている。しかし、液適の方向は細孔の中心軸に対
して直角であり、また、イオン放電は電極を用いて行な
っており、本発明とは全く別のものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来の方法には
次のような課題があった。静電噴霧イオン源に導入でき
る試料溶液の流量は、毎分10マイクロリットル程度に
限られており、これを超える流量をイオン源に導入する
とイオンを安定して観測することができなかった。これ
は、試料溶液の流量が増すとともに、静電噴霧により生
成される液滴の直径が大きくなり、液滴を気化し液滴中
に含まれるイオンを取り出すことが困難となるためであ
る。一方、通常用いられる液体クロマトグラフの流量は
毎分200マイクロリットルから毎分1000マイクロ
リットルである。この、液体クロマトグラフと静電噴霧
イオン源との流量の不適合のために、液体クロマトグラ
フと静電噴霧イオン源とを直接結合することが不可能で
あった。従来は、液体クロマトグラフから溶出してくる
試料溶液をスプリッターを用いて分離し、試料溶液のご
く一部だけを静電噴霧イオン源に導入する方法が採られ
ていた。スプリッターを用いて液体クロマトグラフと静
電噴霧イオン源とを結合する構成図を図16に示す。液
体クロマトグラフから溶出してくる試料溶液を、配管2
aを通してスプリッター16に導入する。試料溶液はス
プリッター16により分割され、ごく一部だけが配管2
bによりイオン源3に導入されるが、大部分の溶液は配
管2cより排出される。
【0008】しかしながら、図16に示したような構成
では、分離比1/100といった、分離比の高いスプリ
ッターを用いなければならなかった。分割比の高いスプ
リッターは安定に動作させることが困難であり、観測さ
れるイオン強度も安定しない。さらに、イオン源3に試
料溶液を導入する配管2b内の流量が少ないと、配管2
b内での拡散の問題も無視できなくなる。従って、スプ
リッターを用いずに液体クロマトグラフと静電噴霧イオ
ン源とを直結できるような、高い流量でも安定して動作
可能な静電噴霧イオン源の開発が望まれていた。
【0009】本発明の目的は、高い流量の試料溶液を導
入することができる静電噴霧イオン源を提供することで
あり、これにより液体クロマトグラフと静電噴霧イオン
源を直結し、安定して使用可能にすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的、すなわち、静
電噴霧イオン源を高い流量でも安定して動作可能とする
ため、液体クロマトグラフから送られてくる試料溶液を
噴霧細管の一端に導入し噴霧細管の他端から静電噴霧さ
せイオンを生成するための静電噴霧イオン源、生成した
イオンを真空部に導入するためのイオン導入細孔、及び
導入されたイオンを質量分析するための質量分析部を備
えた質量分析計において、噴霧細管の中心軸をイオン導
入細孔の中心軸に対し傾けて、所定の角度を有するよう
に配置する。より詳細には、噴霧細管より試料溶液を静
電噴霧し生成した噴流に向けて、イオン導入細孔の中心
軸に対して噴霧細管の中心軸を傾けた方向とは逆の方向
から溶媒分子の分圧を下げ液滴の気化を促進させるとと
もに微粒化した液滴を前記イオン導入細孔の方向に押し
戻すためのガス(クロスフローガス)を吹きかける。ま
た、静電噴霧により生成した液滴を、摂氏50度から2
50度に加熱したイオン導入細孔を通して真空部へ導入
する。静電噴霧イオン源の他の部分とは独立して、イオ
ン導入細孔を有する電極を加熱する。さらに、試料溶液
の流量を測定する機構を設け、測定された流量に応じ
て、噴霧細管の角度、噴霧細管の位置、噴霧用ガスの流
量、クロスフローガスの流量、イオン導入細孔の温度の
うち少なくとも一つを制御する機構を設ける。また、試
料溶液の電気伝導度を測定する機構を設け、試料溶液の
電気伝導度に応じて噴霧細管に印加する電圧を制御する
機構を設ける。
【0011】噴霧細管の中心軸をイオン導入細孔の中心
軸に対し傾けて配置するので、静電噴霧により生成した
微小液滴のうち特に粒径の小さなものだけを選択的にイ
オン導入細孔に導入し、真空部に取り込み質量分析する
ことができる。加熱したイオン導入細孔を通すので、イ
オン導入細孔内で液滴の気化が促進される。試料溶液の
流量を測定する機構を設け、流量に応じて、噴霧細管の
角度、噴霧細管の位置、噴霧用ガスの流量、クロスフロ
ーガスの流量、イオン導入細孔の温度を制御する、さら
に試料溶液の電気伝導度を測定する機構を設け、電気伝
導度に応じて噴霧細管に印加する電圧を制御するので、
液体クロマトグラフと静電噴霧イオン源とを直結して、
毎分数百マイクロリットルというような高い流量の試料
溶液を導入しても、安定してイオンを観測できる液体ク
ロマトグラフ・質量分析計が可能となる。又、液体クロ
マトグラフから送られてくる試料溶液を噴霧細管の一端
に導入し、この噴霧細管の他端から静電噴霧させイオン
を生成するための静電噴霧イオン源、この生成されたイ
オンを真空部に導入するためのイオン導入細孔、および
この導入されたイオンを質量分析するための質量分析部
を備えた質量分析計において、前記噴霧細管の先端が前
記イオン導入細孔から所定の距離をおいて配置され、前
記噴霧細管の先端が前記イオン導入細孔の中心軸から所
定の距離の範囲内にあり、かつ前記噴霧細管の中心軸と
前記噴霧細管の先端を通る前記イオン導入細孔の中心軸
と平行な直線とが所定の角度をなしている。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明による実施例を図1から図
13により説明する。図1は、本発明による第1の実施
例である静電噴霧イオン源を示す。液体クロマトグラフ
から溶出してくる試料溶液は、配管2、コネクタ10を
介して噴霧細管11に導入される。噴霧細管11の中心
軸の角度は、対向電極12に開口するイオン導入細孔1
5aの中心軸に対して傾けることができる。ここで述べ
る角度とは、噴霧細管11の中心軸と、噴霧細管11の
先端を通りかつイオン導入細孔15aの中心軸と平行な
直線とのなす角度を意味する。また、噴霧細管11の先
端の位置は、イオン導入細孔15aに対して移動させる
ことができる。噴霧細管11先端とイオン導入細孔15
aとの間の距離は、近すぎると放電が起きやすくなり、
遠すぎるとイオンが強く観測できないので、3mmから2
0mmの間が望ましい。細管11先端の、イオン導入細孔
15aの中心軸に対するずれは、0mmから20mmの間が
望ましい。試料溶液は噴霧細管11と対向電極12との
間に高電圧を印加することにより静電噴霧されるが、同
時に噴霧用ガス噴出口13より噴霧用ガスを流すことに
より噴霧が容易となる。この噴霧用ガスは加熱してもよ
い。
【0013】保護電極17は外界の電場の影響を遮蔽す
るために設けられているが、電源18aを用いて対向電
極12との間に電圧を印加することにより、静電噴霧で
生成されたイオンをイオン導入細孔15aの方向にドリ
フトさせることができる。また、この電極17を絶縁材
に置き換え、噴霧細管11の先端と対向電極12との間
に電界を集中させてもよい。得られたイオンは、イオン
導入細孔15a、差動排気部19、イオン導入細孔15
bを通して、質量分析部6に取り込まれ、質量分析され
る。イオン導入細孔15aとイオン導入細孔15bとの
間には、電源18bにより数十ボルトのドリフト電圧を
印加する。このドリフト電圧は、イオンの透過率を向上
させるとともに、差動排気部19において溶媒分子の付
着したイオンと残留ガスとを衝突させ、イオンから溶媒
分子を取り除く効果がある。イオン導入細孔を有する対
向電極12には、大気圧側あるいは中間圧力側のいずれ
かにヒーター20が設けられており、イオン導入細孔1
5aを通して気体が断熱膨張する際に温度が下がり、溶
媒分子が再び凝集することを防ぐと同時に、イオン導入
細孔15aの内部及びその周辺部における汚れを軽減し
ている。
【0014】図1に示したように、噴霧細管11とイオ
ン導入細孔15aの中心軸との間の角度を傾けることに
より、静電噴霧により生成した液滴の中で噴流の外周部
に存在する特に粒径の小さい液滴だけをイオン導入細孔
15aから取り込むことができる。しかも、イオン導入
細孔15aの軸と噴霧細管11の軸とが平行である場合
には、噴霧細管11から生成した噴流が対向電極12で
はね返り、流れが不安定になるのに対して、イオン導入
細孔15aの軸と噴霧細管11との軸が平行でない場合
には、噴流が対向電極12に沿って流れるため流れが安
定し、質量分析部6で観測されるイオン強度の安定性が
向上した。噴霧細管11とイオン導入細孔15aの中心
軸との間の角度は、イオン源に導入する試料溶液の流量
により最適な角度は異なるので、10°から90°の間
で流量に応じて調節する。
【0015】静電噴霧により得られた微小液滴を含む噴
流に対し、噴霧細管11を傾けた方向とは逆の方向から
クロスフローガス21を当て、高い流量の場合にも十分
なイオン強度を得ることができる。このクロスフローガ
ス21は加熱してもよい。クロスフローガス21には、
溶媒分子の分圧を下げることにより液滴の気化を促進さ
せる効果とともに、微粒化した液滴をイオン導入細孔1
5aの方向に押し戻す効果がある。クロスフローガスの
種類は、希ガス、窒素ガス、酸素ガス、二酸化炭素ガ
ス、SF6 ガス、あるいはこれらのガスの混合ガスが好
ましい。
【0016】対向電極12側に気化用ガス噴出口14を
設け、クロスフローガス21とともに気化用ガスを液滴
に吹き付け、さらに液滴の気化を促進させる第2の実施
例を図2に示す。また、図2に示した構造の場合、対向
電極12にヒーター20cを取り付け、噴流の中心付近
に存在する粒径の大きな粒子を対向電極12に当てるこ
とにより消滅させ、かつ噴流の外周部に存在する粒径の
小さな液滴だけをイオン導入細孔15aより真空中に取
り込むことにより、噴霧細管11の軸とイオン導入細孔
15aの中心軸とのなす角を必ずしも10°から90°
の間にせず、10°より少ない角度でもイオン源に高い
流量を導入することができる。
【0017】高い流量の試料溶液を噴霧すると、噴流が
イオン導入細孔15aに当ることによりイオン導入細孔
15aの周囲が局所的に冷却され、液滴の気化が十分行
なわれなくなり、質量分析可能なイオン量が減少する場
合がある。これを避けるためには、図3に示す第3の実
施例ように、イオン導入細孔付電極22とイオン導入細
孔支持電極23とを断熱部24を用いて熱的に分離し、
ヒーター20aによりイオン導入細孔付電極22を独立
して加熱する。ヒーター20aは電界を乱さないようセ
ラミック製が望ましい。イオン導入細孔の温度が低すぎ
るとイオンが得られにくくなり、高すぎると蛋白質等の
熱解離しやすい試料が分解する恐れがある。このような
場合、イオン導入細孔付電極22に熱伝対25などの温
度計を接続しておき、温度を適温に保つようにヒーター
20aの発熱量を制御して、安定にイオンを得ることが
できる。イオン導入細孔付電極22の温度は、50度か
ら250度程度が望ましい。静電噴霧により生成した液
滴のうち、噴流の中心部分に存在する粒径の大きな液滴
は、ヒーター22bにより加熱されているイオン導入細
孔支持電極23に接触し消滅する。イオン導入細孔付電
極22の電位は、イオン導入細孔支持電極23と同電位
でもよいが、電源18cを用いて独立に変化させてもよ
い。なお、イオン導入細孔支持電極23はイオン導入細
孔付電極22を支持する部分である。
【0018】より効果的に液滴を気化するために、加熱
した長いイオン導入細孔を通して液滴を取り込む第4の
実施例を図4に示す。静電噴霧により生成した微小液滴
を、ヒーター20aにより加熱されている長いイオン導
入細孔15cを通して差動排気部19に導入する。液滴
が長いイオン導入細孔15c内を通過する際に熱エネル
ギーを得て、液滴の気化が促進される。イオン導入細孔
15cの長さは、液滴の気化に限れば長いほど効果的だ
が、長くなるにつれてイオン導入細孔内部のクリーニン
グが困難となる。従って、イオン導入細孔15cの長さ
は、イオン導入細孔15cの内径の10倍から1000
倍の間が好ましい。図1、図2、図3、図4に示した構
造において、噴霧細管先端11の位置をイオン導入細孔
15に対して移動させるのが困難な場合には、図5に示
すように、噴霧細管先端11の位置をイオン導入細孔1
5の中心軸上の一点に固定し、この固定点を中心に噴霧
細管11のイオン導入細孔15の中心軸に対する角度を
変えることにより、噴霧細管11に導入可能な試料溶液
の流量として毎分数マイクロリットルから毎分数百マイ
クロリットルまでの間で幅広く設定することができる。
【0019】図6に、図4に示した静電噴霧イオン源の
イオン導入細孔付近の拡大図を示す。真空シールはOリ
ング26により行う。粒径の大きな液滴は、熱容量の大
きなイオン導入細孔支持電極23に触れて消滅するの
で、イオン導入細孔付電極22とイオン導入細孔支持電
極23との間の熱伝達を悪くしておけば、図6に示した
断熱部24を特に設けなくともイオン導入細孔15cの
温度が急に変化することはない。図7に示すように、イ
オン導入細孔付電極22とイオン導入細孔支持電極23
とを独立の構造体とし、電極間の隙間に生ずる気層27
により断熱を行なってもよい。図7に示した構造の場
合、イオン導入細孔付電極22はイオン導入細孔支持電
極23に取り付けられたヒーター20bにより加熱され
るので、イオン導入細孔付電極用ヒーター20aは必ず
しも必要ではない。
【0020】図4、図6、図7に示した長いイオン導入
細孔を有するイオン導入細孔付電極22は、金属ブロッ
クに穴を開けることにより製造されるが、加工が困難な
場合には、図8に示すように、金属ブロック28にイオ
ン導入細管32を埋め込み、ロウ付け等の手段により金
属ブロック28とイオン導入細管32を熱的に接触させ
ても良い。イオン導入細孔付電極22に取り付けられる
ヒーター20aが気体の流れを乱さないように、図9に
示すように、イオン導入細孔付電極22にヒーター20
aを埋め込んでもよい。また、図10に示すように、イ
オン導入細孔付電極22は先端がシャープな形状でもよ
い。
【0021】図11に、図4に示した静電噴霧イオン源
を用いて測定した、静電噴霧イオン源に導入する試料溶
液の流量と観測されるイオンの強度との関係を示す。試
料溶液として、蛋白質であるチトクロームC溶液(濃度
10〜6 mol/l(リットル)、水/メタノール/5%酢
酸)を用い、試料分子にプロトンの付加した15価のイ
オンを観測した。噴霧細管とイオン導入細孔の中心軸と
のなす角度は、0度、30度、45度として測定を行な
った。イオン強度は、イオン源に毎分50マイクロリッ
トルを導入したときに観測される強度を基準とした相対
強度を表す。イオン源に導入する溶液の流量が毎分50
マイクロリットルの場合には、噴霧細管とイオン導入細
孔の中心軸とのなす角を変えても、観測されるイオン強
度は実験誤差の範囲内でほとんど変わらなかった。しか
し、角度が0度の場合には、溶液の流量を増すととも
に、観測されたイオン強度は減少した。噴霧細管11を
イオン導入細孔15cの中心軸より45度傾けた方向に
配し、かつ、加熱した長いイオン導入細孔15cを通し
て液滴を取り込むことにより、試料溶液の流量を毎分5
0マイクロリットルから毎分200マイクロリットルま
で変化させても、観測されるイオンの強度はほとんど変
化しない。この時、イオン導入細孔径は0.25ミリメ
ートル、イオン導入細孔の長さは30ミリメートル、温
度は約100度、噴霧用ガスの流量は毎分1.5リット
ルであった。
【0022】また、クロスフローガスの流量は、試料溶
液の流量が毎分50マイクロリットルの場合には毎分0
〜2リットル、毎分100〜150マイクロリットルの
場合には毎分1〜4リットル、毎分200マイクロリッ
トルの場合には毎分3〜5リットルの範囲においてイオ
ンが強く観測された。このように、イオン導入細孔の中
心軸から傾けた方向から試料溶液を噴霧し、かつ加熱し
た噴霧細管を通して真空中に液滴を導入し、さらにクロ
スフローガスを用いることにより、イオン源に導入する
試料溶液の流量を増してもイオンが強く観測された。
【0023】本発明の結果、静電噴霧イオン源に毎分数
百マイクロリットルの流量を導入してもイオンが強く観
測された。その結果、液体クロマトグラフと静電噴霧イ
オン源の直結が可能となった。
【0024】また、図11より明らかなように、イオン
源に導入する試料溶液の流量によって、イオン強度が最
も強く得られる噴霧細管とイオン導入細孔の中心軸との
角度が異なる。そこで、図12に示したように、液体ク
ロマトグラフとイオン源を連結する配管2の途中に流量
計を配し、この流量計からの信号を信号ライン5cによ
りイオン源制御部に送り、イオン源制御部により、
(1)噴霧細管の中心軸のイオン導入細孔の中心軸に対
する角度、(2)噴霧細管の先端のイオン導入細孔から
の距離、(3)噴霧用ガスの流量、(4)クロスフロー
ガスの流量、(5)イオン導入細孔の温度、のいずれか
の条件、あるいは複数の条件を自動的に制御することに
より、常に最高のイオン強度を得ることができる。
【0025】また、静電噴霧イオン源に導入する試料溶
液の組成、とくに溶液の電気伝導度により、試料溶液を
静電噴霧させるために噴霧細管に印加する電圧の最適値
が異なる。図13に示すように、溶媒をイオン源3に導
入するための流路の一部に溶媒の電気伝度を測定する装
置31を設け、その信号を信号ライン5dによりイオン
源用電源に送り、噴霧細管に印加する電圧を自動調節す
ることにより、安定にイオンを得ることができる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、静電噴霧により生成し
た液滴の中でも特に粒径の小さいものだけを真空部へと
導入できる。液体クロマトグラフと静電噴霧イオン源と
を直結して、従来の数十倍の流量の試料溶液を導入して
も、安定してイオンを観測できる液体クロマトグラフ・
質量分析計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である、噴霧細管の中心
軸とイオン導入細孔の中心軸とを傾けて配置した静電噴
霧イオン源の断面図。
【図2】本発明の第2の実施例である、クロスフローガ
スとともに気化用ガスを液滴に吹き付ける静電噴霧イオ
ン源の断面図。
【図3】本発明の第3の実施例である、ヒーターにより
イオン導入細孔付電極を独立して加熱する静電噴霧イオ
ン源の断面図。
【図4】本発明の第4の実施例である、加熱した長いイ
オン導入細孔を通して液滴を取り込む質量分析計の断面
図。
【図5】本発明の第5の実施例である、噴霧細管の先端
をイオン導入細孔の中心軸上に配し、噴霧細管の先端を
中心にして噴霧細管の中心軸とイオン導入細孔の中心軸
とのなす角を可変とする静電噴霧イオン源の断面図。
【図6】第4の実施例のイオン導入部分の拡大断面図。
【図7】イオン導入細孔付電極とイオン導入細孔支持電
極とを独立の構造体としたイオン導入部分の拡大断面
図。
【図8】金属ブロックに噴霧細管を埋め込み製造した長
いイオン導入細孔を有するイオン導入細孔付電極の断面
図。
【図9】ヒーターが埋め込まれたイオン導入細孔付電極
の断面図。
【図10】先端がシャープな形状のイオン導入細孔付電
極の断面図。
【図11】第4の実施例の静電噴霧イオン源を用いて測
定した、イオン源に導入する試料溶液の流量と観測され
たイオン強度との関係を示す図。
【図12】試料溶液の流量を測定し、イオン源を制御す
るための構成図。
【図13】試料溶液の電気伝導度を測定し、イオン源を
制御するための構成図。
【図14】従来の液体クロマトグラフ・質量分析計の構
成を示すブロック図。
【図15】従来の静電噴霧イオン源を備えた液体クロマ
トグラフ・質量分析計の構造を示す断面図。
【図16】従来のスプリッターを用いて液体クロマトグ
ラフと静電噴霧イオン源とを結合する構成を示す図。
【符号の説明】
1…液体クロマトグラフ、2、2a、2b、2c…配
管、3…イオン源、4…イオン源用電源、5a、5b、
5c、5d…信号ライン、6…質量分析部、7…排気
系、8…イオン検出器、9…データ処理装置、10…コ
ネクタ、11…噴霧細管、12…対向電極、13…噴霧
用ガス噴出口、14…気化用ガス噴出口、15、15
a、15b、15c…イオン導入細孔、16…スプリッ
ター、17…保護電極、18a、18b、18c…電
源、19…差動排気部、20、20a、20b、20c
…ヒーター、21…クロスフローガス、22…イオン導
入細孔付電極、23…イオン導入細孔支持電極、24…
断熱部、25…熱伝対、26…Oリング、27…気層、
28…金属ブロック、29…流量計、30…イオン源制
御部、31…電気伝導度測定装置、32…イオン導入細
管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−41748(JP,A) 特表 平2−503354(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 49/10 H01J 49/04 G01N 27/62 - 27/70 G01N 30/72

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料溶液を静電噴霧するための噴霧細管を
    備えた静電噴霧イオン源と、該静電噴霧イオン源により
    生成されたイオンを質量分析するための質量分析部と、
    前記イオンを前記質量分析部へ導入するためのイオン導
    入細孔を有する金属ブロックから構成されるイオン導入
    細孔付電極とを有し、前記イオン導入細孔の内径はその
    長さより小さく形成されていることを特徴とする質量分
    析計。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の質量分析計において、
    記イオン導入細孔の長さは、前記内径の10倍から10
    00倍の範囲内に設定されていることを特徴とする質量
    分析計。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の質量分析計において、前
    記イオン導入細孔は前記金属ブロックに形成された細孔
    であることを特徴とする質量分析計。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の質量分析計において、前
    記イオン導入細孔は前記金属ブロックにイオン導入細管
    を埋め込んで形成され、前記金属ブロックと前記イオン
    導入細孔を熱的に接触させることを特徴とする質量分析
    計。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の質量分析計において、
    記噴霧細管の中心軸は前記イオン導入細管の中心軸に対
    して所定の角度で傾いていることを特徴とする質量分析
    計。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の質量分析計において、
    記所定の角度が、10°〜90°であることを特徴とす
    る質量分析計。
  7. 【請求項7】請求項1に記載の質量分析計において、前
    記イオン導入細孔付電極に所定の電圧を印加するための
    電源を有することを特徴とする質量分析計。
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