JP3421841B2 - 有機薄膜作製方法およびその方法で製造される薄膜光学素子 - Google Patents

有機薄膜作製方法およびその方法で製造される薄膜光学素子

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JP3421841B2 JP17523199A JP17523199A JP3421841B2 JP 3421841 B2 JP3421841 B2 JP 3421841B2 JP 17523199 A JP17523199 A JP 17523199A JP 17523199 A JP17523199 A JP 17523199A JP 3421841 B2 JP3421841 B2 JP 3421841B2
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機薄膜作製方法お
よびその方法で製造される薄膜光学素子に関する。更に
詳しくは、この発明は、波長選択透過膜、反射膜、光非
線形効果膜、光電変換装置、光センサー、太陽電池、エ
レクトロルミネッセンス素子、フォトクロミック素子、
エレクトロクロミック素子、ガスセンサー、イオンセン
サー、光記録媒体等の光技術およびエレクトロニクス技
術に有用な、高機能性の有機薄膜作製方法およびその方
法で製造される薄膜光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カラーフィルター、電子写真感光
体、光センサー、太陽電池、エレクトロルミネッセンス
素子、光記録媒体、非線形光学素子、電気光学素子、フ
ォトクロミック薄膜、エレクトロクロミック素子、ガス
センサー、および、イオンセンサーなどの機能素子に用
いられる機能材料、すなわち色素、電荷発生材、電荷輸
送材、エレクトロルミネッセンス材料、感光性色素、非
線形光学材料、電気光学材料、フォトクロミック材料、
エレクトロクロミック材料、ガスセンシング材料、およ
びイオンセンシング材料などに用いられる有機化合物の
薄膜の製造方法として、例えば以下のような方法が利用
されている。
【0003】溶液または分散液を用いる湿式法として
は、塗布法、ブレードコート法、ロールコート法、スピ
ンコート法、ディッピング法、スプレー法などの塗工
法、平版、凸版、凹版、孔版、スクリーン、転写などの
印刷法、電着法、電解重合法などの電気化学的手法など
が挙げられる。
【0004】液体状モノマーの重合ないし重縮合反応を
利用する方法としては、キャスティング法、リアクショ
ン・インジェクションモールド法などが挙げられる。
【0005】気体分子または気体状モノマーを用いる方
法としては、昇華転写法、蒸着法、真空蒸着法、イオン
ビーム法、スパッタリング法、プラズマ重合法、光重合
法などが挙げられる。
【0006】加熱による溶融あるいは軟化を利用する方
法としては、ホットプレス法、射出成形法、延伸法、溶
融性粉体を用いる静電塗工法などが挙げられる。
【0007】また、フェロセン残基含有界面活性剤の電
解酸化を利用する方法を用いることができ、例えば、フ
ェロセン残基を有する界面活性剤を用いて、疎水性有機
化合物を水中に可溶化した液、または、微粒子として分
散した分散液を電解し、アノード表面において該フェロ
セン残基を酸化することにより界面活性剤としての機能
を喪失させ、アノード表面近傍において、前記疎水性有
機化合物の可溶化状態または前記化合物の微粒子の分散
状態を破壊し、その結果、該疎水性有機化合物または微
粒子をカソード表面へ付着させる方法[T.Saji,K.Hoshi
no,Y.Ishii,M.Goto,Journal of the American Chemical
Society、113巻、450頁(1991年)]が挙げ
られる。
【0008】アゾ化合物残基含有界面活性剤の電解還元
を利用する方法を用いることができ、例えば、アゾ化合
物残基を有する界面活性剤を用いて、疎水性有機化合物
を水中に可溶化した液、または、微粒子として分散した
分散液を電解し、カソード表面において該アゾ化合物残
基を還元することにより界面活性剤としての機能を喪失
させ、カソード表面近傍において、前記疎水性有機化合
物の可溶化状態または前記化合物の微粒子の分散状態を
破壊し、その結果、該微粒子をカソード表面へ付着させ
る方法[特開平7−62594号公報]が挙げられる。
【0009】
【発明の解決しようとする課題】これらの従来の薄膜製
造方法は種々の利点を持つ反面、前記の機能性有機化合
物薄膜の製造に適用する場合、例えば以下のような制限
や課題がある。
【0010】従来の湿式法による薄膜の製造方法として
は、有機化合物をバインダー樹脂の有機溶剤溶液中へ溶
解または微粒子として分散させた塗工液、塗料、また
は、インキを被塗物に塗工する方法が広く用いられてい
る。バインダー樹脂を用いる場合の課題の一つは、得ら
れる薄膜に、機能材料の微粒子とともにバインダー樹脂
が共存することとなり、該薄膜の単位体積中の機能材料
の量、すなわち機能材料の濃度が減少するという問題が
ある。該薄膜中のバインダー樹脂の使用量を低減させ、
機能材料の濃度を向上させることは、カラーフィルタ
ー、電子写真感光体、光センサー、太陽電池、エレクト
ロルミネッセンス素子、光記録媒体、非線形光学素子、
電気光学素子、フォトクロミック薄膜、エレクトロクロ
ミック素子、ガスセンサー、およびイオンセンサーなど
の特性を向上させる上で重要な課題である。
【0011】前述の湿式法においてバインダー樹脂を用
いる場合の他の課題として、該樹脂の選択の問題があ
る。機能材料の微粒子の隙間に介在するバインダー樹脂
は、電気伝導や熱伝導の特性に及ぼす影響は極めて大き
い。従って、前記湿式法薄膜製造方法において用いられ
るバインダー樹脂は、薄膜中の有機化合物微粒子の分散
性および分散安定性、該微粒子の結晶成長抑制、分散液
の流動特性といった薄膜製造に係わる諸特性を満足させ
るだけでなく、薄膜の機械的強度、安定性、光学特性、
電気的特性といった薄膜の諸特性を同時に満足させるこ
とが要求される。このため、バインダー樹脂の選択は容
易でなく、多くの場合、全ての特性を完全に満足するバ
インダー樹脂を選択できるとは限らないという問題があ
る。
【0012】また、液体状モノマーを利用する方法の課
題として、液体状モノマーは、それ自身が重合反応を起
こすという高い反応性を有するため、有機溶剤を使用す
る場合と同等以上に高度な防災・安全・環境保全のため
の付帯設備を必要とするという問題がある。
【0013】気体分子または分子クラスターを用いる方
法の課題として、この方法に用いられる昇華転写法、蒸
着法、真空蒸着法、イオンビーム法、スパッタリング法
などは、気化しうる有機化合物のみを単独で薄膜化しう
る利点がある反面、気化により分解しやすい物質や気化
しない物質には適用できないという重大な制限がある。
またプラズマ重合法や光重合法も、適用できる例は限ら
れている。
【0014】上述の加熱による溶融あるいは軟化を利用
する方法の課題として、第1に熱的安定性の問題があ
る。これは、熱的に不安定な物質には適用できないとい
う重大な制限がある。第2に薄膜の膜厚の問題があり、
ホットプレス法、射出成形法、延伸法、溶融性粉体を用
いる静電塗工法などの方法で1μm未満の膜厚の薄膜を
製造することは極めて困難である。
【0015】また、フェロセン残基含有界面活性剤の電
解酸化、または、アゾ化合物残基含有界面活性剤の電解
還元を利用する方法の制約事項として、有機化合物が疎
水性である必要があり、親水性の有機化合物には適用で
きない。
【0016】そこで、この発明は、以上の通りの従来技
術の欠点を解消して、有機化合物の薄膜を製造する方法
を提供すること、および、その方法で製造される薄膜光
学素子を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願の請求項1記載の発明に係る有機薄膜作製方法
は、揮発性の強酸からなるプロトン化剤とプロトン付加
によって溶媒に可溶化する有機化合物を含有する溶液
を電気分解し電極表面に前記有機化合物を堆積させる工
程と、電極表面に堆積した前記有機化合物の膜を破壊せ
ずに前記溶液から取り出す工程と、からなることを特徴
とする。
【0018】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項2記載の発明に係る有機薄膜作製方法は、請求項
1に記載の有機薄膜作製方法において、電気分解終了
時、電圧を印加したまま前記電極を前記溶液から抜き出
し、直ちに電極表面に堆積した前記有機化合物の膜中の
前記プロトン化剤を蒸発させることによって、電極表面
に堆積した前記有機化合物の膜を破壊せずに前記溶液か
ら取り出すことを特徴とする。
【0019】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項3記載の発明に係る有機薄膜作製方法は、請求項
1に記載の有機薄膜作製方法において、電気分解終了
時、電圧を印加したまま前記電極を取り付けた電解槽か
ら電解液を抜き出し、直ちに電極表面に堆積した前記有
機化合物の膜中の前記プロトン化剤を蒸発させることに
よって、電極表面に堆積した前記有機化合物の膜を破壊
せずに前記溶液から取り出すことを特徴とする。
【0020】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項4記載の発明に係る有機薄膜作製方法は、プロト
ン付加によって溶媒に可溶化する有機化合物を含有する
溶液を電気分解し電極表面に前記有機化合物を堆積させ
る工程と、前記電極表面に堆積した前記有機化合物の膜
を破壊せずに前記溶液から取り出す工程と、前記電極表
面に堆積した前記有機化合物の膜に重ねて樹脂層を形成
させる工程と、からなることを特徴とする。
【0021】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項5記載の発明に係る有機薄膜作製方法は、プロト
ン付加によって溶媒に可溶化する有機化合物を含有する
溶液を電気分解し電極表面に前記有機化合物を堆積させ
る工程と、前記電極表面に堆積した前記有機化合物の膜
を破壊せずに前記溶液から取り出す工程と、前記電極表
面に堆積した前記有機化合物の膜に重ねて樹脂層を形成
させる工程と、形成された前記樹脂層と共に前記有機化
合物の膜を電極表面から剥離させる工程と、からなるこ
とを特徴とする。
【0022】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項6記載の発明に係る有機薄膜作製方法は、プロト
ン付加によって溶媒に可溶化する有機化合物を含有する
溶液を電気分解し電極表面に前記有機化合物を堆積させ
る工程と、前記電極表面に堆積した前記有機化合物の膜
を破壊せずに前記溶液から取り出す工程と、前記電極表
面に堆積した前記有機化合物の膜に重ねて樹脂層を形成
させる工程と、形成された前記樹脂層と共に前記有機化
合物の膜を電極表面から剥離させる工程と、前記有機化
合物の膜の剥離面に重ねて第2の樹脂層を形成させる工
程と、からなることを特徴とする。
【0023】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項7記載の発明に係る有機薄膜作製方法は、請求項
1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、または
請求項6に記載の有機薄膜作製方法において、前記溶液
は、前記有機化合物の一種であるフタロシアニン化合物
にプロトン付加して溶解可能な溶液であることを特徴と
する。
【0024】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項8記載の発明に係る有機薄膜作製方法は、請求項
1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、または
請求項6に記載の有機薄膜作製方法において、前記溶液
は、前記有機化合物の一種であるフタロシアニン化合物
の濃度が0.01mmol/Lないし10mmol/L
の場合に、フタロシアニン化合物濃度の10ないし10
0倍の濃度のトリフルオロ酢酸を含有し、前記フタロシ
アニン化合物にプロトン付加して溶解させる溶液である
ことを特徴とする。
【0025】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項9記載の発明に係る薄膜光学素子は、プロトン付
加によって溶媒に可溶化可能な有機化合物を含有する溶
液を電気分解することにより電極表面に堆積させた前記
有機化合物の膜を有することを特徴とする。
【0026】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項10記載の発明に係る薄膜光学素子は、プロトン
付加によって溶媒に可溶化可能な有機化合物を含有する
溶液を電気分解することにより電極表面に堆積させた前
記有機化合物の膜に重ねて樹脂層を形成したことを特徴
とする。
【0027】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項11記載の発明に係る薄膜光学素子は、プロトン
付加によって溶媒に可溶化可能な有機化合物を含有する
溶液を電気分解することにより電極表面に堆積させた前
記有機化合物の膜に重ねて樹脂層を形成し、更に前記樹
脂層に重ねて透明基板を設けたことを特徴とする。
【0028】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項12記載の発明に係る薄膜光学素子は、プロトン
付加によって溶媒に可溶化可能な有機化合物を含有する
溶液を電気分解することにより電極表面に堆積させた前
記有機化合物の膜を前記電極表面から剥離され、剥離さ
せた前記有機化合物の膜上に重ねて1層以上の樹脂層を
形成したことを特徴とする。
【0029】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項13記載の発明に係る薄膜光学素子は、プロトン
付加によって溶媒に可溶化可能な有機化合物を含有する
溶液を電気分解することにより電極表面に堆積させた前
記有機化合物の膜を前記電極表面から剥離され、剥離さ
せた前記有機化合物の膜上に重ねて1層以上の樹脂層を
形成さし、更に前記樹脂層に重ねて1層以上の透明基板
を設けられた有することを特徴とする。
【0030】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項14記載の発明に係る薄膜光学素子は、請求項
9、請求項10または請求項11のいずれか1項に記載
の薄膜光学素子において、前記電極が透明であることを
特徴とする。
【0031】また、上記目的を達成するために、本願の
請求項15記載の発明に係る薄膜光学素子は、請求項9
ないし14のいずれか1項に記載の薄膜光学素子であっ
て、前記有機化合物がフタロシアニン化合物であること
を特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について、詳説する。
【0033】〔プロトン付加によって溶媒に可溶化する
有機化合物〕プロトン(水素イオンH)付加によって
溶媒に可溶化する有機化合物としては、例えば、窒素原
子を含有する有機化合物を挙げることができる。具体的
には、例えば、ポルフィン、5,9,15,19−テト
ラメチルポルフィン、4,5,9,10,14,15,
19,20−オクタメチルポルフィン、4,5,9,1
0,14,15,19,20−オクタメチル−2,7,
12,17−テトラザポルフィン、4,5,9,10,
14,15,19,20−オクタエチルポルフィリン、
5,10,15,20−テトラフェニルポルフィン、
4,5,9,10,14,15,19,20−オクタフ
ェニルポルフィリン、4,5,9,10,14,15,
19,20−オクタ(p−メトキシフェニル)ポルフィ
リン、5,10,15,20−テトラフェニルポルフィ
ン・ニッケル(II)錯体、5,10,15,20−テ
トラフェニルポルフィン・コバルト(II)錯体、5,
10,15,20−テトラフェニルポルフィン・銅(I
I)錯体、5,10,15,20−テトラフェニルポル
フィン・パラジウム(II)錯体、5,10,15,2
0−テトラフェニルポルフィン・白金(II)錯体、な
どのポルフィン化合物、および、無金属フタロシアニ
ン、銅フタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、コバ
ルトフタロシアニン、パラジウムフタロシアニン、白金
フタロシアニン、マンガンフタロシアニン、鉄フタロシ
アニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、フルオロ
クロミウムフタロシアニン、クロロクロミウムフタロシ
アニン、クロロマンガンフタロシアニン、ジクロロ錫フ
タロシアニン、ジクロロシリコンフタロシアニン、オキ
シチタニウムフタロシアニン、オキシバナジウムフタロ
シアニン、などのフタロシアニン化合物、および、ナフ
タロシアニン、銅ナフタロシアニンなどのナフタロシア
ニン化合物を挙げることができる。
【0034】プロトン付加によって溶媒に可溶化するフ
タロシアニン化合物の具体例を化学構造式として以下に
示す。
【0035】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0036】〔プロトン化剤〕本発明において、プロト
ン化剤としては揮発性の強酸を好適に使用することがで
きる。具体的には、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢
酸、クロロ硫酸、無水フッ化水素、無水塩化水素などを
使用することができる。中でも、トリフルオロ酢酸は、
沸点が72.5℃と低く、吸湿性はあるものの、水分と
接触しても分解することがないため、最も好適に使用す
ることができる。
【0037】プロトン化剤の使用量は、化学量論的な等
量よりも過剰に用いることが好ましい。
【0038】〔溶媒〕本発明において、溶剤としては、
揮発性が高く、プロトン化剤と相溶性があり、かつ、水
分の除去が容易な有機溶剤を好適に使用することができ
る。具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、1,
2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、
クロロベンゼンなど、およびこれらの混合溶剤を好適に
使用することができる。
【0039】〔電極材質〕本発明では、カソードとして
作用する導電性基板、すなわち電極の材質としては、導
電性の材質であって、プロトン化剤と反応しないもので
あれば、任意のものを使用することができる。透明な電
極として、例えば、ガラス表面にインジウム・錫複合酸
化物(ITO)の導電性透明膜を形成したものを用いる
ことができ、これを透明基板として用いることもでき
る。
【0040】また、アノードとして作用する電極の材質
としては金、白金などの貴金属、黒鉛、グラッシーカー
ボンなどを使用することができる。
【0041】〔薄膜作成方法〕溶媒にプロトン化剤を溶
解し、プロトン化剤含有溶液を調製する。このプロトン
化剤含有溶液へ上述の有機化合物を溶解させる。次い
で、後述する化学式〔1〕および〔2〕に示すように、
有機化合物にプロトンを付加することによって生成した
有機化合物のプロトン付加物を上記プロトン化剤含有溶
液に溶解させる。次に、この有機化合物のプロトン付加
物が溶解したプロトン化剤含有溶液を電解装置の電解液
容器に入れ、アノードおよびカソードからなる1対の電
極を用いて電解を行う。通電することにより、有機化合
物のプロトン付加物が還元されて、一方の電極(すなわ
ち、カソード)表面に有機化合物の微結晶が経時的に析
出して、有機化合物の薄膜が堆積する。
【0042】なお、電極表面に析出した薄膜を電解液中
に放置し、通電を中止すると、電極表面に析出した薄膜
は再度電解液中のプロトン化剤によってプロトン化され
溶解してしまう。そこで、電極間に電圧を印加したま
ま、迅速にカソードを電解液中から取り出し、更に薄膜
に付着したプロトン化剤を溶媒と共に揮発させる。ま
た、他の方法としては、電極間に電圧を印加したまま、
電解液容器から電解液を迅速に抜き出してもよい。
【0043】〔樹脂層〕本発明の方法によって電極上に
作成した有機化合物の薄膜を薄膜光学素子として利用し
ようとする場合、堆積した有機化合物がアモルファス状
であれば樹脂層を積層しなくてもさしつかえないが、通
常は有機化合物が結晶状態で堆積するため、そのままで
は光散乱が起こりやすい。本発明の方法によって電極上
に作成された有機化合物の薄膜に適当な樹脂層を積層す
ることによって、光散乱を低減することができる。この
ような目的で使用される樹脂の具体例としては、例え
ば、ケトン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン、ポ
リ(α−メチルスチレン)、ポリインデン、ポリ(4−
メチル−1−ペンテン)、ポリビニルピリジン、ポリア
セタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセター
ル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリプロ
ピオン酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペン
テン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化
ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフ
ルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルメ
チルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニル
ベンジルエーテル、ポリビニルメチルケトン、ポリ(N
−ビニルカルバゾール)、ポリ(N−ビニルピロリド
ン)、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、
ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリ
ル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル
酸ブチル、ポリメタクリル酸ベンジル、ポリメタクリル
酸シクロヘキシル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル
酸アミド、ポリメタクリロニトリル、ポリアセトアルデ
ヒド、ポリクロラール、ポリエチレンオキシド、ポリプ
ロピレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリカーボネート類(ビスフ
ェノール類+炭酸)、ポリサルホン、ポリエーテルサル
ホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(ジエチレン
グリコール・ビスアリルカーボネート)類、6−ナイロ
ン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、6,12−ナ
イロン、ポリアスパラギン酸エチル、ポリグルタミン酸
エチル、ポリリジン、ポリプロリン、ポリ(γ−ベンジ
ル−L−グルタメート)、メチルセルロース、エチルセ
ルロース、ベンジルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アセチルセル
ロース、セルローストリアセテート、セルローストリブ
チレート、アルキド樹脂(無水フタル酸+グリセリ
ン)、脂肪酸変性アルキド樹脂(脂肪酸+無水フタル酸
+グリセリン)、不飽和ポリエステル樹脂(無水マレイ
ン酸+無水フタル酸+プロピレングリコール)、エポキ
シ樹脂(ビスフェノール類+エピクロルヒドリン)、エ
ポキシ樹脂(クレゾールノボラック+エピクロルヒドリ
ン)、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、
メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、フラン樹
脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂などの樹
脂、ポリ(フェニルメチルシラン)などの有機ポリシラ
ン、有機ポリゲルマンおよびこれらの共重合・共重縮合
体が挙げられる。また、二硫化炭素、四フッ化炭素、エ
チルベンゼン、パーフルオロベンゼン、パーフルオロシ
クロヘキサンまたはトリメチルクロロシラン等、通常で
は重合性のない化合物をプラズマ重合して得た高分子化
合物などを使用することができる。
【0044】〔樹脂層作成方法〕樹脂層の作成方法とし
ては、公知の任意の方法を用いることができる。ただ
し、本発明の方法によって電極上に作成した有機化合物
の薄膜が溶融したり、溶解するような方法および条件の
適用は避けることが好ましい。具体的には、例えば、樹
脂を溶融成膜する場合は、前記有機化合物の溶融温度よ
りも低い温度で加工する必要があり、樹脂の溶液を塗工
する場合は、前記有機化合物を溶解しない種類の溶剤を
用いて塗工する必要がある。また、紫外線硬化型樹脂を
使用する場合は、紫外線硬化樹脂のモノマーないしオリ
ゴマーが前記有機化合物を溶解してはならない。
【0045】〔電極からの剥離〕本発明の方法によって
電極上に作成した有機化合物の薄膜を薄膜光学素子とし
て利用しようとする場合、前記薄膜に積層して樹脂層を
形成した後、樹脂層と一緒に、電極表面から前記薄膜を
剥離して用いることができる。電極表面から剥離させた
前記薄膜の剥離面に、第2の樹脂層を形成しても良い。
このようにすることによって、電極の透明性を問題にす
る必要がなくなり、かつ、電極を繰り返し使用すること
が可能となる。
【0046】
【実施例】以下、実施例を示し、更に詳しくこの発明に
ついて説明する。
【0047】〔実施例1〕ジクロロメタン(関東化学
製)10重量部にトリフルオロ酢酸(関東化学製)1重
量部を溶解し、トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン溶液
を調製した。トリフルオロ酢酸の濃度は1mol/Lで
ある。このトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン溶液へβ
型銅フタロシアニン(大日精化工業製)を1mmol/
Lの濃度で溶解させた。溶解は迅速に進行し、室温下、
30分間程度撹拌することによって完全に溶解する。以
下の化学式〔1〕および〔2〕に示すように、銅フタロ
シアニンの環窒素原子へプロトンが付加することによっ
て生成したプロトン付加物がトリフルオロ酢酸/ジクロ
ロメタン溶液中へ溶解するものと推定される。
【0048】
【化10】 上記の銅フタロシアニン/トリフルオロ酢酸/ジクロロ
メタン溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルター
(住友電気工業製「フロロポアFP−010」)を用い
て濾過して得た電解液3を、図1に示す電解装置の電解
液容器4へ充填した。
【0049】図1に示す電解装置は本発明の薄膜作成方
法を実施するための装置として最も単純なものであり、
電解液3を入れたガラス製電解液容器4へ、電極(カソ
ード)1および白金網(アノード)2を取り付けたポリ
四フッ化エチレン栓5をはめ込んだものである。電極
(カソード)1として表面にインジウム・錫複合酸化物
を焼き付けたガラス(以下、「ITO電極」という;幅
15mm、長さ25mm、厚さ1mm;長手方向に20
mmを電解液へ浸ける)をバネ式クランプ7にて取り付
けてある。電極(カソード)1および白金網(アノー
ド)2は互いの面が平行になるように配置し、電極間の
距離は10mmになるよう調節した。導線9を直流電源
(Matronix社製B418A−125型)へ接続
し、ITO電極がカソードとして働くよう電圧を印加
し、所定の時間に渡って通電した。印加電圧は電極間の
距離に応じて10ないし200V/cm(すなわち、電
極間の距離1cmのとき10ないし200V)に設定
し、通電時間を1秒から数分の間で変化させて、種々の
条件で電解を実施した。
【0050】通電開始と同時にカソード(ITO電極)
表面に銅フタロシアニン微結晶からなる薄膜の堆積が認
められ、通電時間を長くするにつれて、堆積量が増加す
ることが確認された。堆積量は、例えば、得られた銅フ
タロシアニン薄膜をトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン
に再溶解し、溶液のスペクトルを測定し、標準試料を用
いて作製した検量線と比較することによって定量するこ
とができる。
【0051】電解によって、カソード(ITO電極)表
面において銅フタロシアニンのプロトン付加物が還元さ
れ、カソード電極表面に銅フタロシアニン微結晶が析出
し、薄膜として堆積したものと推定される。ここで、カ
ソード電極表面に堆積した銅フタロシアニンの薄膜を電
解液の中に置いたまま、電圧の印加を中止すると、電解
液中には大過剰のトリフルオロ酢酸が存在するため、カ
ソード電極表面に析出した銅フタロシアニン微結晶は再
びプロトン化され、溶解してしまう。このような、再溶
解による薄膜の破壊を防ぐには電極間に電圧を印加した
まま、迅速にカソード(ITO電極)を電解液中から取
り出し、更に、トリフルオロ酢酸などの揮発性強酸を、
溶媒とともに迅速に揮発させれば良い。更に、トリフル
オロ酢酸の濃度をできる限り低くすることによっても、
電解終了後の薄膜の破壊を防ぐことができる。
【0052】図1に示すような小型の電解装置であっ
て、電極サイズが数十mmオーダーの場合、電極間に電
圧を印加したまま、カソード電極を上方へ引き上げ、大
気中に曝すだけで、カソード(ITO電極)表面に堆積
した薄膜を破壊することなく、電解液中から取り出すこ
とができる。また、電極間に電圧を印加したまま、電解
液を電解槽から迅速に抜き出し、次いで、電解槽中へ乾
燥空気を送り込んでも、カソード(ITO電極)表面に
堆積した薄膜を破壊することなく、電解液中から取り出
すことができる。
【0053】前記化学式〔1〕および〔2〕で示される
化学平衡においてプロトン付加体形成に有利にするため
には、揮発性強酸として用いるトリフルオロ酢酸の濃度
を、フタロシアニン濃度よりも大過剰にする必要があ
る。しかしながら、トリフルオロ酢酸の濃度を高くし過
ぎると、フタロシアニンが溶解されやすくなり、電解終
了後、カソード(ITO電極)表面に堆積した薄膜が再
溶解されて破壊される危険性が高まる。一方、トリフル
オロ酢酸の濃度を低くし過ぎると、最初にフタロシアニ
ン結晶を溶解する際、長時間を要する。これらの要件を
加味して種々実験の結果、フタロシアニン化合物をプロ
トン化して溶解させ、かつ、堆積した薄膜が溶解されて
破壊される危険性を下げるには、フタロシアニン化合物
の濃度を0.01mmol/Lから10mmol/Lと
したとき、トリフルオロ酢酸の濃度をフタロシアニン化
合物濃度の10ないし100倍とすれば良いことを見出
した。
【0054】次に、電解時間と薄膜の堆積量の関係であ
るが、一例として、図3に印加電圧25Vで電解時間を
30秒および60とした場合の銅フタロシアニン薄膜
の吸収スペクトルを示す。図3において鎖線は電解時間
30秒、実線は同60秒の場合の吸収スペクトルであ
る。電解時間を長くするほど、薄膜の堆積量が増し、光
吸収が増大していることが判る。
【0055】次に、印加電圧と薄膜の堆積量の関係を調
べたところ、印加電圧を低くするほど、単位時間当たり
の堆積量が減じることが判った。
【0056】β型銅フアロシアニンを原料とし、銅フタ
ロシアニン/トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン溶液を
電解して得た銅フタロシアニン薄膜は走査型電子顕微鏡
写真(図4(a)および(b))に示すように、網状の
微結晶の集合体からなる。この結晶がα型であること
を、X線回析、フーリエ変換赤外線反射スペクトル、お
よび紫外可視スペクトルを、標準のα型銅フタロシアニ
ンの場合と比較することによって確認した。なお、興味
深いことに、濃硫酸に溶解した銅フタロシアニンを水で
希釈して析出させた場合も、α型銅フタロシアニンが得
られることが知られている。
【0057】銅フタロシアニン/トリフルオロ酢酸/ジ
クロロメタン溶液中における銅フタロシアニンの濃度1
mmol/Lおよびトリフルオロ酢酸の濃度1mol/
Lの溶液を印加電圧100Vにて5秒間電解し、透明基
板として用いるITOガラス(幅15mm、長さ25m
m、厚さ1mm)のITO表面に銅フタロシアニンの薄
膜を堆積させたものへ、ポリカーボネート樹脂の薄膜を
重ねて置き、更にカバーガラス(幅15mm、長さ15
mm、厚さ0.15mm)を乗せ、10−4Pa以下の
高真空下、250℃にて10分間、ホットプレスを行
い、断面構成が「ガラス(膜厚1mm)/ITO層/α
型銅フタロシアニン薄膜/ポリカーボネート膜(膜厚2
0μm)/ガラス(膜厚0.15mm)」という積層構
造の薄膜光学素子を製造した。
【0058】この薄膜光学素子の吸収スペクトルを測定
したところ、α型銅フタロシアニンの結晶型が保持され
ていることが確認された。
【0059】〔比較例1〕実施例1で使用した電解液を
用い、電解なしに、ITO電極基板へのディッピング塗
工を試みた。電解液から引き上げた基板の表面に付着し
た電解液から溶媒を蒸発させたが、銅フタロシアニンが
僅かに斑状に薄く付着しただけで、平滑な塗工膜を得る
ことはできなかった。
【0060】〔応用例1〕実施例1の薄膜光学素子を用
い、特開平11−52435号公報に記載の光制御方法
の実験を行った。すなわち、集光レンズとして開口数
0.65、有効開口半径4.03mmの顕微鏡レンズお
よび受光レンズとして開口数0.4の顕微鏡レンズを用
い、制御光としてヘリウム・ネオンレーザー(発振波長
633nm)をビームエキスパンドして直径約8mmの
平行ガウスビームとして用い、信号光として半導体レー
ザー(発振波長780nm、連続発振出力3mW)の出
射光をビーム整形して直径8mmの平行ガウスビームと
して用い、制御光および信号光を集光レンズにて同軸集
光し、集光レンズの焦点位置に薄膜光学素子の銅フタロ
シアニン層が位置するように光学系および薄膜光学素子
の位置を微調整し、制御光を光音響素子で断続し、薄膜
光学素子のポリカーボネート層に誘起される熱レンズ効
果によって信号光が変調される様子を観察した。その結
果、実施例1の薄膜光学素子は、制御光のパワー20m
W、ビームウエスト(半径0.45μm)における光パ
ワー密度約3MW/cmの連続照射に耐えること、
また、制御光をデューティー比1:1で断続させたと
き、信号光の光応答は5MHz、パルス幅として100
ナノ秒まで追従することが確認された。すなわち、実施
例1の薄膜光学素子は熱レンズ効果を用いた光・光制御
素子としてして極めて高い性能を発揮することが判っ
た。
【0061】〔実施例2〕実施例1の場合と全く同様に
して、銅フタロシアニン/トリフルオロ酢酸/ジクロロ
メタン溶液を印加電圧100Vにて5秒間電解し、透明
基板として用いるITOガラスのITO表面に銅フタロ
シアニンの薄膜を堆積させた。銅フタロシアニン薄膜の
表面に紫外線硬化樹脂(大日精化工業製「セイカビーム
VDAL−392」)を塗工しカバーガラス(幅15m
m、長さ15mm、厚さ0.15mm)を積層して、断
面構成が「ガラス(膜厚1mm)/ITO層/α型銅フ
タロシアニン薄膜/紫外線硬化樹脂層(膜厚3μm)/
ガラス(膜厚0.15mm)」という積層構造の薄膜光
学素子を製造した。
【0062】この薄膜光学素子の吸収スペクトルを測定
したところ、α型銅フタロシアニンの結晶型が保持され
ていることが確認された。
【0063】この薄膜光学素子の性能を応用例1の場合
と同様にして試験したところ、本実施例の薄膜光学素子
は、制御光のパワー20mW、ビームウエスト(半径
0.45μm)における光パワー密度約3MW/cm
の連続照射に耐えること、また、制御光をデューテ
ィー比1:1で断続させたとき、信号光の光応答は5M
Hz以上、パルス幅として100ナノ秒以下まで追従す
ることが確認された。
【0064】〔実施例3〕実施例1の場合と同様にし
て、銅フタロシアニン/トリフルオロ酢酸/ジクロロメ
タン溶液を印加電圧50Vにて1分間電解し、金電極
(幅15mm、長さ25mm、厚さ1mm;長手方向に
20mmを電解液へ浸ける)表面に銅フタロシアニンの
薄膜を堆積させた。金電極表面に堆積した銅フタロシア
ニンの上へ、ポリカーボネート樹脂の薄膜を重ねて置
き、更に、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、P
ETと略記)の膜(幅15mm、長さ15mm、厚さ
0.15mm)を乗せ、10−4Pa以下の高真空下、
250℃にて10分間、ホットプレスを行った。次い
で、金電極を剥離して、断面構成が「α型銅フタロシア
ニン薄膜/ポリカーボネート膜(膜厚20μm)/PE
T膜(膜厚0.15mm)」という積層構造の薄膜光学
素子を製造した。
【0065】また、上記薄膜光学素子の銅フタロシアニ
ン面にポリカーボネート樹脂の薄膜を重ねて置き、更
に、カバーガラス(幅15mm、長さ15mm、厚さ
0.15mm)を乗せ、10−4Pa以下の高真空下、
250℃にて10分間、ホットプレスを行い、断面構成
が「ガラス(膜厚0.15mm)/ポリカーボネート膜
(膜厚20μm)/α型銅フタロシアニン薄膜/ポリカ
ーボネート膜(膜厚20μm)/PET膜(膜厚0.1
5mm)」という積層構造の薄膜光学素子を製造した。
【0066】〔実施例4〕図1に示すような電解装置を
用い、実施例1に記載のように長手方向20mm程度の
カソード電極面に薄膜を堆積させる場合、電解液からカ
ソード電極を上向きに抜き出すのに要する時間は、例え
ば、引き上げ速度を2m/秒としたとき、0.1秒と計
算される。すなわち、カソード電極の下端は、上部より
も0.1秒間長く電解される。この影響は、言うまでも
なく、電解時間が短いほど大きい。仮に、カソード電極
引き抜きに要する時間の影響を2%未満にしようとする
と、電解時間をカソード電極引き抜きに要する時間の5
0倍以上に設定する必要がある。上記の例の場合、電解
時間は0.1秒の50倍、すなわち5秒以上であれば良
い。実施例1のように長手方向20mm程度のカソード
電極を秒速2mで引き抜くことは容易であるが、カソー
ド電極サイズが大きくなるに従い、高速に引き抜くこと
が次第に困難になる。そのような場合、図2に示すよう
なオーバーフロー方式の電解槽を用いれば良い。
【0067】図2に示す電解装置において、平板型電極
(カソード)101は電極面を下向きにして、移動式電
極ホルダー88に取り付けられる。移動式電極ホルダー
88は移動式電極ホルダー支持架208に沿って、一定
速度、例えば4mm/秒で移動するものとする。平板型
電極(カソード)101が白抜き矢印81の方向に移動
し、内部電解液槽401の開放端を完全に塞ぐ位置に到
達したとき、電解液循環ポンプ410を始動させること
によって、電解液は外部電解液槽410から内部電解液
槽401へ送り込まれ、内部電解液槽401の上端(開
放端)と平板型電極(カソード)101の間の隙間(例
えば、間隔1mm)を通り、オーバーフローし、外部電
解液槽410へ戻る。電解液循環ポンプ410の始動と
同時に、平板型電極(カソード)101と、内部電解液
槽401内に取り付けられたグラッシーカーボン電極
(アノード)102の間に電解電源99から電圧が印加
される。平板型電極(カソード)101とグラッシーカ
ーボン電極(アノード)102の電極面は正確に平行に
相対するよう設置され、電極間隔は、例えば10mmに
調節されるものとする。電極間隔を10mmとした場
合、電解電圧は10ないし200Vに設定することが好
ましい。電解液循環ポンプ410の送液速度は、内部電
解液槽401の上端(開放端)と平板型電極(カソー
ド)101の間の隙間からのオーバーフロー440が乱
流とならず、層流として流れるよう調節することが好ま
しい。
【0068】ニュートン流体の流動状態は、レイノルズ
数Reの大きさにより層流と乱流に区別される。隙間か
らのオーバーフローのReは式(1)で定義される。
【0069】
【数1】Re = D・u・G/B …(1) (ただし、 D: 隙間の間隔 [cm]、 u: 平均流速 [cm/s]、 G: 流体の密度 [g/cm]、 B: 流体の粘度 [g/cm・s]。
【0070】また、 Re<2100〜2300のと
き、層流、Re>4000のとき、乱流、である。) 図2に示す電解装置を用いる場合、電解時間Tは、平板
型電極(カソード)101の移動速度Sと、平板型電極
(カソード)101の移動方向について測定した場合の
内部電解液槽401の開口部分の長さLによって、式
(2)で計算される。
【0071】
【数2】T = L/S …(2) 例えば、Lが20mm、Sが4mm/秒であれば、電解
時間Tは5秒である。
【0072】電解電圧の印加および電解液循環ポンプ4
10による電解液の送液は、平板型電極(カソード)1
01の後端が内部電解液槽401の上端(開放端)を通
り過ぎた後、停止するものとする。
【0073】電解液から引き抜かれた平板型電極(カソ
ード)101の表面に付着した電解液から揮発性の強酸
を迅速に気化させるため、電解槽に隣接してエアフィル
ター付送風機300を設置し、白抜き矢印301の方向
に送風を行う。揮発性の強酸および溶媒の気化による温
度低下によって、平板型電極(カソード)101の表面
に水が結露することを防ぐため、また、有害な揮発性強
酸の蒸気による環境汚染を防止するため、電解槽40
1、404、平板型電極(カソード)101、およびエ
アフィルター付送風機300等は、密閉式外装200の
内部に設置し、密閉式外装200の内部の空気は冷却式
トラップ220を通じ、温度調節式送風機230にて循
環させることが好ましい。平板型電極(カソード)10
1の表面から蒸発した揮発性強酸および溶媒は、冷却式
トラップ220にて回収することができる。冷却式トラ
ップ220は、密閉式外装200内部の水蒸気をも捕集
するものであり、例えば、冷凍機によって−20℃以下
まで冷却することが好ましい。温度調節式送風機230
は、冷却式トラップ220によって冷却された空気を、
例えば電熱ヒーターにて加熱し、例えば20ないし25
℃に温度調節された空気を密閉式外装200内部へ送風
するものである。
【0074】密閉式外装200内部へ平板型電極(カソ
ード)101を搬入し、電解の後、取り出すに当たって
は、ロードロック室(図示せず)を用いるものとする。
また、密閉式外装200内部の圧力を大気圧と同等に保
つため、調圧弁(図示せず)を設け、必要に応じて窒素
ガスを導入するものとする。
【0075】密閉式外装200内部に設置される装置類
は、揮発性強酸蒸気および有機溶剤の蒸気に、常に曝さ
れるため、その表面材質として、金属部分は、例えばチ
タンおよびチタン合金、樹脂部分には例えば、ポリ四フ
ッ化エチレンなどを用いるものとする。
【0076】図2に示す電解装置であって、内部電解液
槽401の開口部分の長さLが20mm、開口部の幅が
500mmのものを用い、実施例1に記載の電解液を用
い、電解電圧100Vおよび電解時間5秒(電極移動速
度S=4mm/秒)の条件にて、平板型電極(カソー
ド)101(幅520mm、長さ1050mm、厚さ1
mm)の表面の幅500mm、長さ1000mmに渡
り、α型銅フタロシアニンの薄膜を均一に製造すること
ができる。
【0077】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
有機薄膜作製方法およびその方法で製造される薄膜光学
素子によれば、バインダー樹脂やモノマーを用いずに、
有機化合物の薄膜を製造すること、および、化合物の親
水性・疎水性に係わらず、プロトン化によって可溶化す
る有機化合物であれば、極めて簡便に薄膜化することが
できる。
【0078】また、バインダー樹脂を用いずに有機化合
物の緻密な薄膜を作成できるため、収束された高パワー
レーザーの照射に耐え、高速な熱レンズ効果を発揮する
薄膜光学素子を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に供する薄膜を製造するための電解槽
の一例である。
【図2】 本発明における平板型の電極を移動させなが
ら薄膜を製造するための電解装置の一例である。
【図3】 本発明の方法で製造された銅フタロシアニン
薄膜の吸収スペクトルである。
【図4】 本発明の方法で製造された銅フタロシアニン
薄膜の走査型電子顕微鏡写真であり、薄膜の表面(a)
および断面(b)を観察したものである。
【符号の説明】
1 電極(カソード)、2 白金網(アノード)、3
電解液、4 電解液容器、5 ポリ四フッ化エチレン
栓、7 クランプ(バネ式)、8 電極保持具、9 導
線、80 電極ホルダー車輪、81 電極の移動方向、
88 移動式電極ホルダー、99 電解電源、101
平板型電極(カソード)、102 グラッシーカーボン
電極(アノード)、200 密閉式外装、208 移動
式電極ホルダー支持架、210 送風ダクト、220
冷却式トラップ、230 温度調節式送風機、300
エアフィルター付送風機、301 送風の方向、401
内部電解液槽、404 外部電解液槽、410 電解
液循環ポンプ、440 電解液のオーバーフロー、44
4 外部電解液槽の液面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 000004329 日本ビクター株式会社 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12 番地 (74)上記3名の代理人 100075258 弁理士 吉田 研二 (外1名) (72)発明者 佐治 哲夫 東京都大田区北千束1丁目36番10号 (72)発明者 平賀 隆 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業 技術院 電子技術総合研究所内 (72)発明者 守谷 哲郎 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業 技術院 電子技術総合研究所内 (72)発明者 田中 教雄 東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6 号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 柳本 宏光 東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6 号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 上野 一郎 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12 番地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 辻田 公二 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12 番地 日本ビクター株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−48281(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 9/02 G02B 1/11 G02B 5/22 G02F 1/01

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 揮発性の強酸からなるプロトン化剤と
    ロトン付加によって溶媒に可溶化する有機化合物を含
    有する溶液を電気分解し電極表面に前記有機化合物を堆
    積させる工程と、 電極表面に堆積した前記有機化合物の膜を前記溶液から
    取り出す工程と、 からなることを特徴とする有機薄膜作製方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の有機薄膜作製方法にお
    いて、 電気分解終了時、電圧を印加したまま前記電極を前記溶
    液から抜き出し、直ちに電極表面に堆積した前記有機化
    合物の膜中の前記プロトン化剤を蒸発させることによっ
    て、電極表面に堆積した前記有機化合物の膜を破壊せず
    に前記溶液から取り出すことを特徴とする有機薄膜作製
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の有機薄膜作製方法にお
    いて、 電気分解終了時、電圧を印加したまま前記電極を取り付
    けた電解槽から電解液を抜き出し、直ちに電極表面に堆
    積した前記有機化合物の膜中の前記プロトン化剤を蒸発
    させることによって、電極表面に堆積した前記有機化合
    物の膜を破壊せずに前記溶液から取り出すことを特徴と
    する有機薄膜作製方法。
  4. 【請求項4】 プロトン付加によって溶媒に可溶化する
    有機化合物を含有する溶液を電気分解し電極表面に前記
    有機化合物を堆積させる工程と、 前記電極表面に堆積した前記有機化合物の膜を破壊せず
    に前記溶液から取り出す工程と、 前記電極表面に堆積した前記有機化合物の膜に重ねて樹
    脂層を形成させる工程と、 からなることを特徴とする有機薄膜作製方法。
  5. 【請求項5】 プロトン付加によって溶媒に可溶化する
    有機化合物を含有する溶液を電気分解し電極表面に前記
    有機化合物を堆積させる工程と、 前記電極表面に堆積した前記有機化合物の膜を破壊せず
    に前記溶液から取り出す工程と、 前記電極表面に堆積した前記有機化合物の膜に重ねて樹
    脂層を形成させる工程と、 形成された前記樹脂層と共に前記有機化合物の膜を電極
    表面から剥離させる工程と、 からなることを特徴とする有機薄膜作製方法。
  6. 【請求項6】 プロトン付加によって溶媒に可溶化する
    有機化合物を含有する溶液を電気分解し電極表面に前記
    有機化合物を堆積させる工程と、 前記電極表面に堆積した前記有機化合物の膜を破壊せず
    に前記溶液から取り出す工程と、 前記電極表面に堆積した前記有機化合物の膜に重ねて樹
    脂層を形成させる工程と、 形成された前記樹脂層と共に前記有機化合物の膜を電極
    表面から剥離させる工程と、 前記有機化合物の膜の剥離面に重ねて第2の樹脂層を形
    成させる工程と、 からなることを特徴とする有機薄膜作製方法。
  7. 【請求項7】 請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5、または請求項6に記載の有機薄膜作製方
    法において、 前記溶液は、前記有機化合物の一種であるフタロシアニ
    ン化合物にプロトン付加して溶解可能な溶液であること
    を特徴とする有機薄膜作製方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5、または請求項6に記載の有機薄膜作製方
    法において、 前記溶液は、前記有機化合物の一種であるフタロシアニ
    ン化合物の濃度が0.01mmol/Lないし10mm
    ol/Lの場合に、該フタロシアニン化合物濃度の10
    ないし100倍の濃度のトリフルオロ酢酸を含有し、前
    記フタロシアニン化合物にプロトン付加して溶解させる
    溶液であることを特徴とする有機薄膜作製方法。
  9. 【請求項9】 プロトン付加によって溶媒に可溶化可能
    な有機化合物を含有する溶液を電気分解することにより
    電極表面に堆積させた前記有機化合物の膜を有すること
    を特徴とする薄膜光学素子。
  10. 【請求項10】 プロトン付加によって溶媒に可溶化可
    能な有機化合物を含有する溶液を電気分解することによ
    り電極表面に堆積させた前記有機化合物の膜に重ねて樹
    脂層を形成したことを特徴とする薄膜光学素子。
  11. 【請求項11】 プロトン付加によって溶媒に可溶化可
    能な有機化合物を含有する溶液を電気分解することによ
    り電極表面に堆積させた前記有機化合物の膜に重ねて樹
    脂層を形成し、更に前記樹脂層に重ねて透明基板を設け
    ことを特徴とする薄膜光学素子。
  12. 【請求項12】 プロトン付加によって溶媒に可溶化可
    能な有機化合物を含有する溶液を電気分解することによ
    り電極表面に堆積させた前記有機化合物の膜を前記電極
    表面から剥離し、剥離させた前記有機化合物の膜上に重
    ねて1層以上の樹脂層を形成したことを特徴とする薄膜
    光学素子。
  13. 【請求項13】 プロトン付加によって溶媒に可溶化可
    能な有機化合物を含有する溶液を電気分解することによ
    り電極表面に堆積させた前記有機化合物の膜を前記電極
    表面から剥離し、剥離させた前記有機化合物の膜上に重
    ねて1層以上の樹脂層を形成し、更に前記樹脂層に重ね
    て1層以上の透明基板を設けられたことを特徴とする薄
    膜光学素子。
  14. 【請求項14】 請求項9、請求項10または請求項1
    1のいずれか1項に記載の薄膜光学素子において、 前記電極が透明であることを特徴とする薄膜光学素子。
  15. 【請求項15】 請求項9ないし14のいずれか1項
    記載の薄膜光学素子であって、 前記有機化合物がフタロシアニン化合物であることを特
    徴とする薄膜光学素子。
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