JPH0974065A - 化合物半導体薄膜の形成法 - Google Patents

化合物半導体薄膜の形成法

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JPH0974065A
JPH0974065A JP7228775A JP22877595A JPH0974065A JP H0974065 A JPH0974065 A JP H0974065A JP 7228775 A JP7228775 A JP 7228775A JP 22877595 A JP22877595 A JP 22877595A JP H0974065 A JPH0974065 A JP H0974065A
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thin film
compound semiconductor
semiconductor thin
forming
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JP7228775A
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Takeshi Nishio
剛 西尾
Hideaki Oyama
秀明 大山
Kuniyoshi Omura
邦嘉 尾村
Mikio Murozono
幹夫 室園
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属−硫黄結合を少なくとも一つ内部に有す
る有機金属化合物の熱分解によって硫化物薄膜を形成す
る方法で、均一かつパターンの形成の可能な大面積硫化
物薄膜を形成する。 【構成】 金属−硫黄結合を少なくとも一つ以上内部に
有する金属メルカプチド等の有機金属化合物を、1−メ
チル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解させて、5センチ
ポアズ以上100センチポアズ以下の粘度を有する溶液
とする。これにより、基板上にフレキソ印刷法を利用し
て塗布でき、均一かつパターンの形成の可能な大面積硫
化物薄膜を形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光電変換素子に使用さ
れる化合物半導体薄膜の形成法、特に金属の硫化物薄膜
の形成法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、化合物半導体、特に硫化カド
ミウム、硫化亜鉛、硫化鉛、硫化銅等の硫化物薄膜は光
電変換素子材料として光電子産業分野で幅広く用いられ
てきた。そして、これらの化合物の多くは従来、スパッ
タリング法、蒸着法、CVD法などによって製造されて
きた。これらの手法により製膜された薄膜は光電変換素
子材料として所望の膜質を有するものであるが、何れも
真空装置を必要とするため、大面積均一製膜、高速連続
製膜等が困難であったり、もしくは、できたとしても装
置が非常に高価になる等の問題があった。
【0003】大面積薄膜の形成をより安価に行う方法と
して溶液法もあるが、しかし、この手法を用いたとして
も、確かに装置およびプロセスは安価であるが、化合物
半導体薄膜の大面積製膜において、膜質の均一性および
再現性に大きな問題があった。
【0004】そこで、化合物半導体薄膜の大面積製膜を
安価な装置で再現性良く行う手法として塗布・焼結法を
用いた太陽電池が提案された。これは、化合物半導体の
微粉末分散ペーストを基板上にスクリーン印刷し、連続
ベルト炉で焼結する手法による硫化カドミウム焼結膜上
に、同じ手法によりテルル化カドミウム焼結膜を積層形
成したテルル化カドミウム太陽電池が開示されている
(特公昭56−28386号公報)。
【0005】この塗布・焼結法は、前記した通り安価な
装置で、均一にかつ再現性良く化合物半導体薄膜の大面
積製膜を連続して行え、かつ製膜と同時にパターンニン
グが可能であるという極めて優れた特徴がある。しか
し、塗布・焼結法にも幾つかの問題があった。それら
は、焼結温度が約700℃と高温であるため基板として
低価格の並ガラスが使えないこと、2時間以上の長時間
の焼結反応を必要とするため高速・大量生産に不向きな
こと、焼結時に融点降下剤の蒸発を制御するためのセラ
ミック製の高価な焼結ケースが必要であること、焼結時
に窒素等の不活性雰囲気が必要であること、原材料の粒
径(通常2〜4μm)よりも薄い膜ができないこと、さ
らに、同焼結膜中には多数の空隙があり膜質が均一でな
いこと、等であるが、これらの問題は金属化合物の微粉
末を原材料とする塗布・焼結法では解決が極めて難し
い、とされていた。
【0006】最近、塗布・焼結法の特徴を生かしこれら
の諸課題を解決する手法として、金属−硫黄結合を少な
くとも一つ内部に有する有機金属化合物層を基板上に塗
布し、酸化雰囲気中で蒸気有機金属化合物を熱分解して
金属の硫化物薄膜を形成するという提案がなされている
(特公平6−99809号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記硫化物薄膜の形成
法は、化合物半導体薄膜の大面積・低コスト製膜方式で
ある塗布・焼結法の特徴を生かしながら、焼結温度を3
20〜450℃で抑えることができるため基板として低
価格の並ガラスが使用可能であること、熱分解を酸化雰
囲気中で行うため有機分である炭素や水素を完全に分解
することができるること、また熱分解後不活性雰囲気中
で焼成することが記載されている。
【0008】しかし、塗布法についてはスピナーを用い
ているだけで、化合物半導体を用いる特徴のひとつでも
あるパターンニングすることができないものであった。
また、この薄膜を太陽電池として用いる場合、膜厚が5
00〜5000 と厚いため光の透過率が悪く、変換効
率が悪いという課題があった。
【0009】本発明は上記課題を解決するものであり、
膜厚が薄く、パターンニングが可能な化合物半導体薄膜
の形成法を得ることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、金属−硫黄結合を少なくとも一つ以上内部
に有する有機金属化合物を、所定の溶媒に溶解させた5
センチポアズ以上100センチポアズ以下の粘度を有す
る溶液を基板上に印刷法により塗布し、熱分解する構成
である。印刷法としては、凸版印刷、凹版印刷、平板印
刷または孔版印刷等があるがいずれも使用することがで
きる。
【0011】硫黄と結合する金属としては、カドミウ
ム、亜鉛、鉛、銅もしくは水銀が好ましい。また、金属
−硫黄結合を少なくとも一つ以上内部に有する有機金属
化合物としては、金属メルカプチド、金属のチオ酸塩、
金属のジチオ酸塩、金属のチオカルボナート塩、金属の
ジチオカルボナート塩、金属のトリチオカルボナート
塩、金属のチオカルバミン酸塩もしくは金属のジチオカ
ルバミン酸塩が好ましい。
【0012】有機金属化合物を溶解させる溶媒は、少な
くとも0.2モル/リットル以上2モル/リットル以下
の有機金属化合物を溶解させるものが好ましい。同溶媒
としては1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラク
トン、テトラリン、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、トルエン、クロロホルム、アルコール類お
よびセロソルブ系、カルビトール系等の多価アルコール
とその誘導体を用いることが好ましい。また、熱分解後
の膜質をより向上させるため溶解液を濾過し残留物を除
去、もしくは遠心分離し沈殿物を除去することが好まし
い。
【0013】有機金属化合物を熱分解する温度は、10
0℃以上500℃以下であることが好ましい。また、基
板として並ガラス、金属もしくは樹脂フィルムを使用す
ることが好ましい。本発明により金属の硫化物薄膜を形
成する場合、同薄膜が700ナノメータ以下であれば極
めて良質な化合物半導体薄膜を得ることができる。
【0014】
【作用】本発明は上記構成により、金属−硫黄結合を少
なくとも一つ以上内部に有する有機金属化合物を基板上
に印刷法により塗布し、同有機金属化合物を同基板上で
熱分解させ化合物半導体としての金属の硫化物薄膜を得
るものである。つまり、同薄膜は、基板上に塗布された
金属−硫黄結合を少なくとも一つ以上内部に有する有機
金属化合物が、熱分解反応により有機物と金属−硫黄に
分離し、有機物が飛散すると同時に分子状に分離した金
属硫化物が同基板上で規則配列し得られるものであるた
め、極めて緻密な薄い膜が形成可能である。
【0015】また、同熱分解反応は100℃〜500℃
の温度で10分以下の時間で終了し、熱分解反応のため
の特別なケースも必要なく、かつ、同熱分解反応は空気
中で行うことができる。無論、窒素等の不活性ガス中で
も良い。そのうえ、溶液の粘度を5センチポアズ〜10
0センチポアズとすることにより、パターンニングする
ことができるため、化合物薄膜としてさまざまな機能
(例えば太陽電池)を持たせることができる。
【0016】
【実施例】以下に実施例により説明する。
【0017】(実施例1)有機金属化合物としてのイソ
プロピルキサントゲン酸カドミウムを、溶媒である1−
メチル−2−ピロリドンに1.2モル/リットル溶解さ
せ、その後、同溶液を遠心分離し沈殿物を除去させ、粘
度約50センチポアズの溶液を作製する。同溶液を、表
面に約600ナノメータの厚さにSnO2膜を形成した
35cm角の並ガラス基板上にフレキソ印刷を用いて塗
布し、同塗布基板を110℃で乾燥し溶媒を揮発させ
る。その後、大気中にて、450℃・3分間の熱分解反
応を行う。同熱分解反応は窒素等の不活性雰囲気下でも
同様に行えることが確認されている。このようにして、
膜厚300ナノメータの均一な膜が得られた。この膜の
X線回折の測定結果の解析から、六方晶硫化カドミウム
の(002)ピークが観察された。また、同膜のカドミ
ウムの結合をX線光電子分光法により分析した結果、カ
ドミウム−硫黄の結合が単結晶硫化カドミウムのカドミ
ウム−硫黄の結合と同じであることが確認された。さら
に、同分析の結果から同硫化カドミウム膜表面および同
膜中に顕著なカーボンの残留が無いことも確認された。
なお、溶液を濾過し沈殿物を除去しても同様の結果が得
られた。
【0018】一方、同実験でイソプロピルキサントゲン
酸カドミウムを0.1モル/リットル溶解した溶液の粘
度は3センチポアズであった。フレキソ印刷で同溶液を
基板上に塗布し、その後上記と同様の乾燥・熱分解を行
ったが、同溶液は粘度が低すぎたため、均一な膜は得ら
れなかった。また、遠心分離あるいは濾過により沈殿物
を除去していない溶液を用いて同様の実験を試みたが、
やはり均一で良好な膜は得られなかった。
【0019】同様に、イソプロピルキサントゲン酸カド
ミウムを0.2モル/リットル、0.8モル/リット
ル、2.0モル/リットル、2.4モル/リットル溶解
した溶液で同様の実験を行った。溶液の粘度はそれぞれ
5、10、100、120センチポアズであった。フレ
キソ印刷で各溶液を基板上に塗布し、その後上記と同様
の乾燥・熱分解を行った結果、0.2モル/リットル、
0.8モル/リットル、2.0モル/リットルの溶液を
用いたものは均一で良好な膜が得られたが、2.4モル
/リットルの溶液は同溶液は粘度が高すぎたため、フレ
キソ印刷を用いて均一に塗布することが難しく、また、
どうにか塗布できた部分でも高品質の薄膜にはなってい
なかった。
【0020】以上の結果をまとめて表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表に示したように、イソプロピルキサント
ゲン酸カドミウム溶液の濃度が0.2モル/リットル、
0.8モル/リットル、1.2モル/リットル、2.0
モル/リットルの場合、粘度がそれぞれ5センチポア
ズ、10センチポアズ、50センチポアズ、100セン
チポアズで、同溶液をフレキソ印刷を用いて基板上に塗
布し、乾燥、熱分解を行った結果、均一な膜が得られ
た。一方、イソプロピルキサントゲン酸カドミウム溶液
の濃度が0.1モル/リットル、2.4モル/リットル
の場合、粘度がそれぞれ3センチポアズ、120センチ
ポアズで、フレキソ印刷を用いて基板上に塗布し、乾
燥、熱分解を行ったが、均一な膜は得られなかった。
【0023】以上のように、均一で高品質な膜を得るに
は、溶液の濃度が0.2モル/リットル以上2.0モル
/リットル以下で、溶液の粘度が5センチポアズ以上1
00センチポアズ以下である必要があることがわかる。
【0024】(実施例2)有機金属化合物としてのジベ
ンジルジチオカルバミン酸カドミウムを、溶媒である1
−メチル−2−ピロリドンに0.4モル/リットル溶解
させ、その後、同溶液を遠心分離し沈殿物を除去させ、
粘度約10センチポアズの溶液を作製する。同溶液を、
表面に約600ナノメータの厚さにSnO2膜を形成し
た35cm角の並ガラス基板上にフレキソ印刷を用いて
塗布し、同塗布基板を150℃で乾燥し溶媒を揮発させ
る。その後、大気中で、450℃・3分間の熱分解反応
を行う。同熱分解反応は窒素等の不活性雰囲気下でも同
様に行えることが確認されている。このようにして、膜
厚100ナノメータの均一な膜が得られた。この膜のX
線回折の測定結果の解析から、六方晶硫化カドミウムの
(002)ピークが観察された。また、同膜のカドミウ
ムの結合をX線光電子分光法により分析した結果、カド
ミウム−硫黄の結合が単結晶硫化カドミウムのカドミウ
ム−硫黄の結合と同じであることが確認された。さら
に、同分析の結果から同硫化カドミウム膜表面および同
膜中に顕著なカーボンの残留が無いことも確認された。
なお、溶液を濾過し沈殿物を除去しても同様の結果が得
られた。また、遠心分離あるいは濾過により沈殿物を除
去していない溶液を用いて同様の実験を試みたが、やは
り均一で良好な膜は得られなかった。
【0025】一方同実験でジベンジルジチオカルバミン
酸カドミウムを2モル/リットル溶解した溶液の粘度は
120センチポアズであったが、同溶液は粘度が高すぎ
たため、フレキソ印刷を用いて均一に塗布することが難
しく、また、どうにか塗布できた部分でも高品質の薄膜
にはなっていなかった。溶液の粘度は120センチポア
ズ以下であることが必要である。
【0026】(実施例3)有機金属化合物としてのn−
ブチルキサントゲン酸カドミウムを、溶媒である1−メ
チル−2−ピロリドンに0.6モル/リットル溶解さ
せ、その後、同溶液を遠心分離し沈殿物を除去させ、粘
度約10センチポアズの溶液を作製する。同溶液を、表
面に約600ナノメータの厚さにSnO2膜を形成した
35cm角の並ガラス基板上にフレキソ印刷を用いて塗
布し、同塗布基板を100℃で乾燥し溶媒を揮発させ
る。その後、大気中で、450℃・3分間の熱分解反応
を行う。同熱分反応は窒素等の不活性雰囲気下でも同様
に行えることが確認されている。このようにして、膜厚
150ナノメータの均一な膜が得られた。この膜のX線
回折の測定結果の解析から、六方晶硫化カドミウムの
(002)ピークが観察された。また、同膜のカドミウ
ムの結合をX線光電子分光法により分析した結果、カド
ミウム−硫黄の結合が単結晶硫化カドミウムのカドミウ
ム−硫黄の結合と同じであることが確認された。さら
に、同分析の結果から、同硫化カドミウム膜表面および
同膜中に顕著なカーボンの残留が無いことも確認され
た。なお、溶液を濾過し沈殿物を除去しても同様の結果
が得られた。また、遠心分離あるいは濾過により沈殿物
を除去していない溶液を用いて同様の実験を試みたが、
やはり均一で良好な膜は得られなかった。
【0027】(実施例4)有機金属化合物としてのチオ
安息香酸カドミウムを、溶媒であるγ−ブチロラクトン
に0.6モル/リットル溶解させ、その後、同溶液を遠
心分離し沈殿物を除去させ、粘度約20センチポアズの
溶液を作製する。同溶液を、表面に約600ナノメータ
の厚さにSnO2膜を形成した35cm角の並ガラス基
板上にフレキソ印刷を用いて塗布し、同塗布基板を10
0℃で乾燥し溶媒を揮発させる。その後、大気中で、4
50℃・3分間の熱分解反応を行う。同熱分解反応は窒
素等の不活性雰囲気下でも同様に行えることが確認され
ている。このようにして、膜厚約500ナノメータの均
一な膜が得られた。この膜のX線回折の測定結果の解析
から、六方晶硫化カドミウムの(002)ピークが観察
された。また、同膜のカドミウムの結合をX線光電子分
光法により分析した結果、カドミウム−硫黄の結合が単
結晶硫化カドミウムのカドミウム−硫黄の結合と同じで
あることが確認された。さらに、同分析の結果から同硫
化カドミウム膜表面および同膜中に顕著なカーボンの残
留が無いことも確認された。なお、溶液を濾過し沈殿物
を除去しても同様の結果が得られた。また、遠心分離あ
るいは濾過により沈殿物を除去していない溶液を用いて
同様の実験を試みたが、やはり均一で良好な膜は得られ
なかった。
【0028】さて、実施例1から実施例4に示した手法
で作製した硫化カドミウム薄膜を用いて硫化カドミウム
/テルル化カドミウム構造の薄膜太陽電池を作製した。
尚、テルル化カドミウム薄膜の作製には近接昇華法を用
いた。図1に作製した薄膜太陽電池の断面構造を示す。
また、図3には従来の塗布・焼結法により作製した太陽
電池の断面構造を示す。図より明らかなように、本実施
例により試作した太陽電池の硫化カドミウム層1の厚み
は、従来の塗布・焼結法で試作した太陽電池の硫化カド
ミウム層7の厚みに比べはるかに薄いことが分かる。
【0029】また、図2に本実施例による太陽電池の電
流−電圧特性を、図4に従来の太陽電池の電流−電圧特
性をそれぞれ示す。図2より、本実施例で作製した太陽
電池の変換効率は14.6%(1cm2)であり、開放
端電圧は813mV、短絡電流密度は24.8mA、曲
線因子は72.6%という高い値であることが分かっ
た。一方、従来の塗布・焼結法で作製した硫化カドミウ
ム/テルル化カドミウム構造の太陽電池の性能は図4に
示す通り変換効率11.3%(1cm2)であり、開放
端電圧は797mV、短絡電流密度は21.1mA、曲
線因子は67.2%である。これらから、本実施例によ
り作製した太陽電池は変換効率が大幅に向上しているこ
とが分かる。これは、本実施例により試作した太陽電池
は硫化カドミウム層の厚みが薄く、かつ空隙の無い緻密
な膜であるため、短波長感度が増し、結果として短絡電
流が増加したことによるものである。
【0030】更に詳しく述べるならば、本実施例によ
り、化合物半導体薄膜の大面積・低コスト製膜方式であ
る塗布・焼結法の特徴を生かし、同製膜法のもつ問題点
である、焼結温度が約700℃と高温であるため基板と
して低価格の並ガラスが使えないこと、2時間以上の長
時間の焼結反応を必要とするため高速・大量生産に不向
きなこと、焼結時に融点降下剤の蒸発を制御するための
セラミック製の高価な焼結ケースが必要であること、焼
結時に窒素等の不活性雰囲気が必要であること、さら
に、同塗布焼結法では、原材料の粒径2〜4μm)より
も薄い膜ができないこと、さらに、同焼結膜中には多数
の空隙があり膜質が均一でないこと、等の問題が全て同
時に解決される。つまり、熱分解温度が100℃以上5
00℃以下であるため安価な並ガラスが使用でき、熱分
解時間も10分以下に大幅短縮されるため高速・大量生
産が極めて容易となり、高価な焼結ケースおよび雰囲気
ガスとしての大量の窒素ガスも不要となるため間接材料
費の大幅低減が計れ、かつ、700ナノメータ以下であ
れば、塗布膜厚もしくは溶解液の濃度等を変えることに
より、任意の厚みをもつ金属の硫化物からなる空隙の無
い所望の高品質化合物半導体薄膜を得ることができる。
【0031】また、前記した通り、本実施例による化合
物半導体薄膜の形成法を硫化カドミウム/テルル化カド
ミウム構造の薄膜太陽電池の作製に応用したところ、従
来の塗布・焼結法で試作した同構造の太陽電池の変換効
率のチャンピオンデータが11.3%(1cm2)であ
るのに対し、本発明による製膜方式で試作した太陽電池
の変換効率は14.6%(1cm2)となり、大幅な特
性の向上が確認された。
【0032】さらに、最近、重金属としてのカドミウム
による環境汚染が話題になっているが、本発明により試
作した太陽電池のカドミウムの使用量を、個人住宅用3
kWpの太陽電池システムとして試算してみると、カド
ミウムの使用量は約90グラム/3kWp(変換効率を
13%と仮定)となり、住宅の総重量を約60トンとす
ると住宅の総重量に対するカドミウムの濃度は約5pp
mとなり、日本の土壌中に含まれる平均カドミウム濃度
とほぼ等しくなる。ちなみに、従来の塗布・焼結法で作
成された硫化カドミウム/テルル化カドミウム太陽電池
のカドミウムの使用量は約1400グラム/3kWp
(変換効率を10%と仮定)であり、本実施例の硫化カ
ドミウム/テルル化カドミウム太陽電池のカドミウムの
使用量は、従来の塗布・焼結法で作成された硫化カドミ
ウム/テルル化カドミウム太陽電池のカドミウムの使用
量の約15分の1以下に低減されることが分かる。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、金属−硫黄結合を
少なくとも一つ以上内部に有する有機金属化合物を、所
定の溶媒に溶解させた溶液を基板上に塗布し、熱分解す
ることにより、化合物半導体としての、高品質の金属の
硫化物薄膜を極めて容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による硫化カドミウム/テル
ル化カドミウム薄膜太陽電池の構造を示す断面図
【図2】図1に示す太陽電池の電圧−電流特性図
【図3】従来の塗布・焼結法による硫化カドミウム/テ
ルル化カドミウム太陽電池の構造を示す断面図
【図4】図3に示す太陽電池の電圧−電流特性図
【符号の説明】
1 硫化カドミウム 2 テルル化カドミウム 3 カーボン電極 4 AgIn電極 5 ガラス基板 6 透明導電膜 7 硫化カドミウム 8 テルル化カドミウム 9 カーボン電極 10 AgIn電極 11 ガラス基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 室園 幹夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属−硫黄結合を少なくとも一つ有する
    有機金属化合物を、溶媒に溶解させて5センチポアズ以
    上100センチポアズ以下の粘度を有する溶液とし、こ
    の溶液を基板上に印刷法により塗布し、熱分解すること
    を特徴とする化合物半導体薄膜の形成法。
  2. 【請求項2】 金属−硫黄結合を形成する金属がカドミ
    ウム、亜鉛、銅、鉛もしくは水銀であることを特徴とす
    る請求項1記載の化合物半導体薄膜の形成法。
  3. 【請求項3】 有機金属化合物は、金属メルカプチド、
    金属のチオ酸塩、金属のジチオ酸塩、金属のチオカルボ
    ナート塩、金属のジチオカルボナート塩、金属のトリチ
    オカルボナート塩、金属のチオカルバミン酸塩もしくは
    金属のジチオカルバミン酸塩であることを特徴とする請
    求項1記載の化合物半導体薄膜の形成法。
  4. 【請求項4】 溶媒は、1−メチル−2−ピロリドン、
    γ−ブチロラクトン、テトラリン、ジメチルホルムアミ
    ド、ジメチルスルホキシド、トルエン、クロロホルム、
    アルコール類およびセロソルブ系、カルビトール系等の
    多価アルコールとその誘導体であることを特徴とする請
    求項1記載の化合物半導体薄膜の形成法。
  5. 【請求項5】 溶液の濃度は、0.2モル/リットル以
    上2モル/リットル以下であることを特徴とする請求項
    1記載の化合物半導体薄膜の形成法。
  6. 【請求項6】 有機金属化合物を溶媒に溶解させた後、
    濾過し残留物を除去するか、または遠心分離し沈殿物を
    除去することを特徴とする請求項1記載の化合物半導体
    薄膜の形成法。
  7. 【請求項7】 有機金属化合物を熱分解する温度が10
    0℃以上500℃以下であることを特徴とする請求項1
    記載の化合物半導体薄膜の形成法。
  8. 【請求項8】 基板がガラス、金属、セラミックもしく
    は樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1記載の
    化合物半導体薄膜の形成法。
  9. 【請求項9】 熱分解で得られた金属の硫化物薄膜の膜
    厚が700ナノメータ以下であることを特徴とする請求
    項1記載の化合物半導体薄膜の形成法。
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