JP3419704B2

JP3419704B2 - 車両用シート

Info

Publication number: JP3419704B2
Application number: JP05344199A
Authority: JP
Inventors: 晃根本
Original assignee: Tachi S Co Ltd
Current assignee: Tachi S Co Ltd
Priority date: 1999-03-02
Filing date: 1999-03-02
Publication date: 2003-06-23
Anticipated expiration: 2019-03-02
Also published as: JP2000247172A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、前方衝突時の衝
撃から着座者の下肢、腰部等を保護可能とする保護機能
を有した車両用シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車等の前方衝突時（前突時）におい
ては、その衝撃によってフロント部分、たとえばエンジ
ンルーム等から車体が潰れる。そして、過度の衝撃等の
もとで、エンジンルーム等が、たとえば、エンジンその
他の多種収納物の総容積以下にまで圧迫変形されると、
その収納物等の移動に起因する圧力等のもとで、フロン
トシート着座者の足元前方にある、乗員室とエンジンル
ームとの間の仕切り板、いわゆるトウボードが、乗員室
内に突出変形する場合がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、着座者は、
通常、前方での危険を察知した際において意識的に、あ
るいは無意識のうちに足を前方に突っ張る傾向にある。
特に、ドライバーは、衝突を察知した段階でブレーキペ
ダルを前方に大きく踏み込むため、前方に延びて硬直し
た足が、トウボードとシートとの間で剛的に強固に架設
されることになる。

【０００４】そして、ブレーキペダルは、通常、トウボ
ードに沿った位置で運転席（ドライバーシート）の前方
に位置するため、トウボードが前突時における過度の衝
撃等のもとで乗員室内に突出変形すると、ブレーキペダ
ルが、これに伴って着座者方向に移動する虞れが多分に
ある。

【０００５】しかし、膝を伸ばした状態で足を強く突っ
張っているドライバーにとっては、着座者方向へのブレ
ーキペダルの移動を感じても瞬時に反応することが容易
でないため、シートのクッション性等により保護されて
いるとはいえ、場合によっては、ブレーキペダルからの
圧迫力に対してはドライバーの下肢、および腰部等の安
全性が十分に保てなくなる虞れが否定できない。

【０００６】このような衝撃に対する保護構造として
は、たとえば、着座者の腰部を弾性的に支持し、この弾
性のもとでブレーキペダルからの圧迫力を吸収可能とす
る構成が考えられる。しかし、腰部の弾性支持は、着座
姿勢の安定化や疲労の軽減等の点においてマイナスとな
るため、着座性の維持に加えた保護性の更なる向上が、
現状では十分に得られていない。

【０００７】この発明は、着座性の低下、および構成の
複雑化等を招くことなく、前方衝突時等の衝撃に対する
着座者の下肢、腰部等の保護性を一層高める車両用シー
トの提供を目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、この発明によれば、少なくともシートクッションを
固定的に支持する左右のサブフレームが、左右に離間並
置された一対のベースプレート毎に付設され、このベー
スプレートに対し、サブフレームの前部がベルクランク
のアーム部を介して上昇可能に、また、サブフレームの
後部が下方に延びた下降ガイド孔への支持軸の挿通のも
とで下降可能に、それぞれ連結、支持されている。ま
た、ベースプレートに対して前方移動自在に付設、支持
されたロックプレートの前端部が、ベルクランクのクラ
ンク部に連動可能に連結、枢着されるとともに、下降ガ
イド孔上部からの支持軸の下降を規制する前部位置と、
この支持軸の下降規制を解除する後部位置とに分割規定
された略長孔状ロック溝の前部位置への挿通を伴って、
サブフレーム後部の支持軸が下降ガイド孔上部に挿着、
保持されている。

【０００９】そして、所定の衝撃信号の入力のもとで牽
引動作を呈するプリテンショナーが、ロックプレートと
ベースプレートとの間に架設、連結され、プリテンショ
ナーが牽引動作を呈したとき、ロックプレートの前方移
動に伴うベルクランクの回動、およびロック溝後部位置
における支持軸の下降規制解除により、少なくともシー
トクッションを、初期の下方位置からのサブフレーム前
部の上昇、および上方位置からのその後部の下降のもと
で後傾方向に強制的に揺動可能としている。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの発
明の実施の形態について詳細に説明する。

【００１１】図１、図２に示すように、この発明に係る
車両用シート10においては、一対のベースプレート12
が、前後方向（図１の左右方向）に延びて左右に離間並
置されるとともに、ブラケット14,15を介してシートク
ッション18を固定的に支持する左右一対のサブフレーム
20が、左右のベースフレームに対してそれぞれ付設され
ている。

【００１２】図１に示すように、この発明の実施の形態
においては、シート（車両用シート）10が、ランナ22を
ガイドレール24に対してスライド可能に支持したシート
スライド装置26を有する、いわゆるスライドシートとし
て具体化され、このランナに一体の上方延出部分が、ベ
ースプレート12として左右それぞれにおいて規定されて
いる。

【００１３】なお、シートスライド装置26の構成は公知
であり、その基本構成、および構造自体はこの発明の趣
旨でないため、ここでは詳細に説明しない。

【００１４】また、ここでは、ランナ22の上方延出部分
をベースプレート12として規定しているが、ベースプレ
ートとランナとが一体的に移動（スライド）可能な一体
構造であれば足りるため、これに限定されず、たとえ
ば、別体のベースプレートを溶着等のもとでランナに一
体的に固定する構成としてもよい。

【００１５】図１、図２に示すように、左右のベースプ
レート12の前部間が、たとえば、パイプ状のフロントコ
ネクティングロッド28の架設、固定のもとで一体的に連
結されている。そして、たとえば、リヤコネクティング
ロッド30の架設、固定により後部間の連結された左右の
サブフレーム20が、このベースプレート12の内方位置に
おいて、ベースプレートに対しそれぞれ付設されてい
る。

【００１６】ここで、この発明の実施の形態において
は、略く字形状のベルクランク32がベースプレート12の
前部に配置、枢着されるとともに、上下方向に延びた昇
降ガイド孔34が、支持軸となるリヤコネクティングロッ
ド30の延出端30aの挿通を可能に、ベースプレートの後
部に形成されている。そして、ベルクランク32のアーム
部32aへの連結のもとで前部が上昇可能に、また、下降
ガイド孔34への支持軸（延出端）30aの挿通のもとで後
部が下降可能に、サブフレーム20はベースプレート12に
対して支持、連結されている。

【００１７】なお、支点、たとえば枢支ピン36を中心と
したベルクランクのアーム部32aの回動軌跡と、支持軸3
0aを中心としたサブフレーム20前部の揺動軌跡とのずれ
は、たとえば、アーム部の連結ピン38の挿通されるサブ
フレームサイドの挿通孔40を前後方向に延びた長孔とす
ることで保障される。

【００１８】そして、この発明においては、ロックプレ
ート42が、たとえば、ガイドピン44での長孔状前進ガイ
ド孔46の挿通のもとで、ベースプレート12に対して前方
移動自在に付設、支持され、その前端部が、ベルクラン
クのクランク部32bに連結ピン48を介して連動可能に連
結、枢着されている。

【００１９】なお、図1、図２の参照符号49は、ベルク
ランク32の回動範囲を規定する規定孔であり、たとえ
ば、連結ピン48の延出端48aを挿通可能に、支点（枢支
ピン）36を中心とする円弧状長孔として、ベースプレー
ト12に形成されている。

【００２０】また、前進ガイド孔46は、ロックプレート
42の前方移動量を規定可能に、対応する長さに形成され
ている。

【００２１】ここで、ロックプレート42は、その後部
に、下降ガイド孔34上部からの支持軸32aの下降を規制
する前部位置50aと、この支持軸の下降規制を解除する
後部位置50bとに分割規定された略長孔状ロック溝50を
有している。このロック溝50の形状として、たとえば、
ほぼ水平方向に延びた前部位置50aと、後方かつ斜め下
方に延出された後部位置50bとの組み合わせからなる略
く字形状が例示できる。そして、この発明においては、
サブフレーム後部の支持軸30aが、ロック溝の前部位置5
0aへの挿通を伴って下降ガイド孔34の上部に挿着、保持
されている。

【００２２】また、この発明の実施の形態においては、
左右のロックプレート42間に、たとえばパイプ状の支持
ロッド52が架設、固定されている。そして、図１、図２
に示すように、この発明では、所定の衝撃信号の入力の
もとで牽引動作を呈するプリテンショナー54が、フロン
トコネクティングロッド28と支持ロッド52との間、つま
りベースプレート12とロックプレート42との間に架設、
連結されている。

【００２３】図１、図２に加えて図３(A)を見るとわか
るように、プリテンショナー54は、その本体56の内部に
規定されたシリンダ58と、シリンダ内を軸線方向に摺動
可能に内設されたピストン60と、ピストンからシリンダ
の封止端、つまりシリンダ開口を封止した封止体62を介
して本体外部に延出された可動体64とを具備している。
そして、ピストン60に対する所定の起動動作により可動
体64を本体56の内部に引き込む牽引動作、つまり支持ロ
ッド52を前方に牽引する牽引動作を、所定の衝撃信号の
入力のもとで呈するように、このプリテンショナー54は
構成されている。

【００２４】なお、この実施の形態においては、可動体
64が、たとえばワイヤ等の可撓性部材から形成され、そ
の端末64aの巻装により、ロックプレートの支持ロッド5
2に回動自在に連結されるとともに、プリテンショナー
の本体56が、フロントコネクティングロッド28に固着、
突設されたブラケット66に、枢支ピン68によって枢着さ
れている。そして、このように、本体56、および可動体
64をフロントコネクティングロッド28、支持ロッド52に
それぞれ回動自在に連結することによって、牽引動作時
での各ロッドに対するプリテンショナー54の回動が保障
されている。

【００２５】ここで、プリテンショナー54の起動動作と
して、たとえば、薬剤の爆発によるものが例示できる。
たとえば、図３(A)に示すように、この種のプリテンシ
ョナー54においては、ピストン60と封止体（封止端）62
との間がシリンダ58の牽引側チャンバ58aとして規定さ
れ、この牽引側チャンバに、膨張薬等の薬剤54が内蔵、
たとえば充填されるとともに、衝撃信号の入力のもとで
点火動作する起爆装置72が、牽引側チャンバに配置され
ている。

【００２６】なお、起爆装置72の点火動作を行う衝撃信
号の発生源として、たとえば、自動車のステアリングホ
イール等に装備されるエアバッグ装置の衝撃センサ（図
示しない）が利用できる。

【００２７】このようなプリテンショナー54において
は、衝撃センサからの入力信号のもとで起爆装置72が点
火動作を呈すると、薬剤70の爆発に伴った、発生ガス74
による牽引側チャンバ58aの拡大により、ピストン60
は、図３(B)に示すように牽引方向、つまり図中左方に
移動する。そして、このピストン60に伴った、図３(A)
の伸長位置から図３(B)の牽引位置への可動片64の移動
動作が、プリテンショナー54における牽引動作となり、
この牽引動作を支持ロッド52に伝達、付与することによ
って、前方（図１の左方）へのロックプレート42の牽引
が可能となっている。

【００２８】なお、図３(A),(B)の参照符号76は、発生
ガス74の余剰分をシリンダ58、ひいては本体56の外部に
放出、排気するための排気孔であり、図３(B)に示すよ
うに、ピストン60の移動後に牽引側チャンバ58aにこの
排気孔を整列させることによって、ピストン、ひいては
可動体64の過度の移動を防止するようにプリテンショナ
ー54は構成されている。

【００２９】シート10の初期状態を図１に示す。この初
期状態においては、プリテンショナー54の可動体64が伸
長位置にあり、このプリテンショナーの伸長状態に伴う
ロックプレート42の後方保持により、サブフレーム20の
前部が下方位置に保持されるとともに、ロック溝前部位
置50aへの支持軸30aの整列配置により、支持軸、ひいて
はサブフレーム後部が下降ガイド孔34の上部に保持され
ている（図３(A)参照）。そして、このような初期状態
において自動車の前方衝突（前突）等が発生すると、衝
撃センサ等からの衝撃信号の入力、およびこれに起因す
る薬剤70の爆発により、プリテンショナー54が所定の牽
引動作を呈する（図３(B)参照）。

【００３０】この発明においては、プリテンショナー54
がベースプレート12のフロントコネクティングロッド28
と、ロックプレート42の支持ロッド52間に架設されてい
るため、プリテンショナーが牽引動作を呈すると、支持
ロッド、ひいてはロックプレートがベースプレート、お
よびサブフレーム20に対して前方移動する。すると、図
４のように、ロックプレート42の前方移動に伴うベルク
ランクのアーム部32aの押し上げにより、サブフレーム2
0の前部が上方に持ち上げられるとともに、それに伴う
支持軸30aへのロック溝後部50bの整列のもとでの支持軸
30aの下降規制解除により、サブフレームの後部は下降
ガイド孔34の下部まで下降する。つまり、前突等の衝撃
の発生時において、シートクッション18は、前部の上
昇、および後部の下降のもとで、後傾方向に強制的に揺
動される。

【００３１】このように、シートクッション18が前部の
上昇、および後部の下降のもとで後傾方向に揺動される
と、着座者、たとえばドライバーの大腿部の角度がシー
トクッションと共に後傾方向に変動するため、ブレーキ
ペダルの踏み込み等のもとで突っ張った着座者の膝は、
その突っ張った位置から自ずと持ち上げられる。そし
て、プリテンショナー54の牽引動作のもとでのシートク
ッション18の揺動は急激であり、この急激な揺動にシー
トパッドの反発力が加わることで、ドライバーの膝は、
単純に持ち上げられるだけでなく瞬時に跳ね上げられる
ようになるため、この膝の跳ね上げにより、ドライバー
の足はブレーキペダルから離される。また、完全に離れ
なくとも、シートクッション18の後傾のもとで膝が持ち
上げられることにより、ドライバーの下肢は容易に曲げ
られるようになるため、乗員室内へのトウボードの突出
変形によりブレーキペダルが着座者方向に移動しても、
その力は、下肢の曲がりのもとで吸収できるようにな
る。

【００３２】つまり、前突時等において、ドライバーが
ブレーキペダルの踏み込みのもとでその足を突っ張って
も、その突っ張った状態が容易に解除可能となるため、
トウボードからドライバーの下肢、腰部等への衝撃、負
荷の入力が十分に抑制できる。従って、前突等における
ドライバーの下肢、腰部等の保護性が、このシート10に
よれば一層高く確保可能となる。

【００３３】そして、ドライバーの腰部等を大きな弾性
のもとで支持することもないため、着座姿勢の安定化や
疲労の軽減等の妨げとなることはない。従って、着座性
の維持、および高い保護性の両立が十分に可能となる。

【００３４】更に、ベースプレート12に対し、サブフレ
ーム20の前部を上昇可能に、また、その後部を下降可能
にそれぞれ連結、支持し、ロックプレート42によってサ
ブフレーム前部、後部を初期の下方位置、上方位置にそ
れぞれ保持するとともに、ロックプレートの支持ロッド
52とベースプレートのフロントコネクティングロッド28
との間にプリテンショナー54を架設すれば足りるため、
構成の複雑化を伴うことはない。

【００３５】そして、この発明においては、サブフレー
ム20の前部をベルクランクのアーム部32aで支持してい
るため、ロックプレート42の前方移動量に対する上昇量
が十分に大きく得られる。従って、構成の複雑化を招く
ことなく、シートクッション18の前部の上昇、ひいては
シートクッションの後傾が容易、かつ確実に得られる。

【００３６】また、この発明のシート10においては、シ
ートクッション18が後傾方向に揺動されるため、前突時
等における尻部の前方移動も確実に防止される。つま
り、前突時における、いわゆる尻滑りも防止できるた
め、この点からも、着座者の保護性、および保護の確実
性が一層高められる。

【００３７】なお、この発明の実施の形態においては、
シートクッション18を後傾可能として具体化している。
しかし、シートクッション18の固定されるサブフレーム
20は、シートバック78を前後方向に揺動可能に支持する
リクライニング装置（図示しない）の取り付け部材、い
わゆるリクライニングベースとして兼用可能であるた
め、これを兼用した場合においては、サブフレーム20の
後傾のもとで、シートクッションに伴って、シートバッ
クも一体的に後傾されることになる（図１、図４参
照）。

【００３８】このように、シートクッション18、シート
バック78を一体的に後傾させれば、ドライバーの上体も
その大腿部と共に後傾するため、ドライバーに無理な姿
勢を強いることなく、膝の跳ね上げを得ることが可能と
なる。従って、この点からも、着座者に対する保護性は
十分に高められる。

【００３９】ここで、この発明の実施の形態において
は、ロック溝50を略く字形状として具体化しているが、
挿通された支持軸30aの下降を規制する前部位置50aと、
下降規制を解除可能な後部位置50bとの組み合わせから
なる形状であれば足りるため、これに限定されず、たと
えば、後部位置をほぼ垂直方向に伸ばした略鉤形状に、
ロック溝を形成してもよい。

【００４０】また、この発明の実施の形態においては、
リヤコネクティングロッドの延出端30aを下降ガイド孔3
4、およびロック溝50に挿通される支持軸として具体化
している。しかし、支持軸は、サブフレーム20に一体的
に突設されたピン状体であれば足りるため、これに限定
されず、たとえば、別体のピンをサブフレームに突設し
てもよい。

【００４１】しかしながら、この実施の形態のように、
左右のサブフレーム20間にリヤコネクティングロッド30
の架設、固定される構成であれば、リヤコネクティング
ロッドの延出端30aを支持軸として利用することによっ
て、部品点数の増加、および構成の複雑化等が防止でき
る。

【００４２】また、図２を見るとわかるように、この実
施の形態においては、ロックプレート42がベースプレー
ト12とサブフレーム20との間に介在、配置されている。
しかし、これに限定されず、たとえば、ベースプレート
12の外方に、ロックプレート42を配置する構成としても
よい。

【００４３】更に、この発明の実施の形態においては、
プリテンショナーの可動体64をワイヤ等の可撓性部材と
して例示している。しかし、ピストン60の移動による牽
引力を支持ロッド52、ひいてはロックプレート42に伝
達、付与すれば足りるため、これに限定されず、たとえ
ば、剛性の強いロッドを、可動体64としてプリテンショ
ナー54に組み込んでもよい。

【００４４】そして、上述した実施の形態においては、
プリテンショナー54の起動動作として、薬剤の爆発によ
るものを例示している。しかし、プリテンショナー54
は、衝撃センサ等からの衝撃信号のもとで牽引動作を呈
する構成であれば足りるため、これに限定されず、たと
えば、圧縮コイルばね等の偏倚力のもとで牽引動作可能
に、プリテンショナーを構成してもよい。

【００４５】なお、この発明においては、シートとして
自動車等のドライバーシートを例示しているが、これに
限定されず、自動車の他のシート、たとえばアシスタン
トシート(助手席)やリヤシート等に、この発明を応用し
てもよい。

【００４６】また、自動車のシートに限定されず、たと
えば、電車、飛行機、船舶等の他のシートに、この発明
を応用してもよい。

【００４７】上述した実施の形態は、この発明を説明す
るためのものであり、この発明を何等限定するものでな
く、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたも
のも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。

【００４８】

【発明の効果】上記のように、この発明に係る車両用シ
ートによれば、シートクッションが、前突等の際に前部
の上昇を伴って後傾方向に揺動されるため、これによる
膝の持ち上げ、あるいは跳ね上げによって、着座者の足
の突っ張りは解除され、また、完全に解除されなくと
も、着座者の下肢は容易に曲げられるようになる。つま
り、前突時等において、着座者が足を突っ張っても、そ
の突っ張った状態が容易に解除可能となるため、トウボ
ードから着座者の下肢、腰部等への衝撃、負荷の入力が
十分に抑制できる。従って、前突等における着座者の下
肢、腰部等の保護性が、このシートによれば一層高く確
保可能となる。

【００４９】そして、着座者の腰部等を大きな弾性のも
とで支持することもないため、着座姿勢の安定化や疲労
の軽減等の妨げとなることはない。従って、着座性の維
持、および高い保護性の両立が十分に可能となる。

【００５０】更に、ベースプレートに対し、サブフレー
ム前部を上昇可能に、また、その後部を下降可能にそれ
ぞれ連結、支持し、ロックプレートによってサブフレー
ム前部、後部を初期の下方位置、および上方位置にそれ
ぞれ保持するとともに、このロックプレートとベースプ
レートとの間にプリテンショナーを架設すれば足りるた
め、構成の複雑化を伴うことはない。

【００５１】そして、サブフレームの前部をベルクラン
クのアーム部で支持しているため、ロックプレートの前
方移動量に対する上昇量が十分に大きく得られる。従っ
て、構成の複雑化を招くことなく、シートクッション前
部を大きく上昇させるシートクッションの後傾が容易、
かつ確実に得られる。

【００５２】また、サブフレームを、リクライニング装
置の固定されるリクライニングベースを兼用可能とした
形状とし、このサブフレームに取り付けられたリクライ
ニング装置を介して、シートバックをサブフレームに連
結すれば、シートクッションに伴って、シートバックも
一体的に後傾される。このように、シートクッション、
シートバックを一体的に後傾させれば、ドライバーの上
体もその大腿部と共に後傾するため、ドライバーに無理
な姿勢を強いることなく、膝の跳ね上げを得ることが可
能となる。従って、この点からも、着座者に対する保護
性は十分に高められる。

【図面の簡単な説明】

【図１】初期状態における、この発明に係る車両用シー
トの概略縦断面図である。

【図２】車両用シートの部分的な概略斜視図である。

【図３】初期状態、および作動後での、車両用シートに
おけるプリテンショナーの各概略縦断面図である。

【図４】作動後における、車両用シートの概略縦断面図
である。

【符号の説明】

10 車両用シート 12 ベースプレート 18 シートクッション 20 サブフレーム 30a リヤコネクティングロッド延出端（支持軸） 32 ベルクランク 34 下降ガイド孔 42 ロックプレート 50 ロック溝 54 プリテンショナー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B60N 2/00 - 2/72

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくともシートクッションを固定的に
支持する左右のサブフレームが、左右に離間並置された
一対のベースプレート毎に付設され、このベースプレー
トに対し、サブフレームの前部がベルクランクのアーム
部を介して上昇可能に、また、サブフレームの後部が下
方に延びた下降ガイド孔への支持軸の挿通のもとで下降
可能に、それぞれ連結、支持され、前記ベースプレートに対して前方移動自在に付設、支持
されたロックプレートの前端部が、前記ベルクランクの
クランク部に連動可能に連結、枢着されるとともに、下
降ガイド孔上部からの支持軸の下降を規制する前部位置
と；この支持軸の下降規制を解除する後部位置と；に分
割規定された略長孔状ロック溝の前部位置への挿通を伴
って、サブフレーム後部の前記支持軸が下降ガイド孔上
部に挿着、保持され、所定の衝撃信号の入力のもとで牽引動作を呈するプリテ
ンショナーが、前記ロックプレートとベースプレートと
の間に架設、連結され、プリテンショナーが牽引動作を
呈したとき、ロックプレートの前方移動に伴うベルクラ
ンクの回動、およびロック溝後部位置における支持軸の
下降規制解除により、少なくともシートクッションを、
初期の下方位置からのサブフレーム前部の上昇、および
上方位置からのその後部の下降のもとで後傾方向に強制
的に揺動可能とした車両用シート。
【請求項２】少なくともシートクッションを固定的に
支持する左右のサブフレームが、左右に離間並置された
一対のベースプレート毎に付設され、このベースプレー
トに対し、サブフレームの前部が上昇可能に、またその
後部が下降可能に、それぞれ連結、支持されるととも
に、前記ベースプレートに対して前方移動自在に付設、支持
されたロックプレートにより、サブフレーム前部、後部
が初期の下方位置、および上方位置に、それぞれ保持さ
れ、所定の衝撃信号の入力のもとで牽引動作を呈するプリテ
ンショナーが、前記ロックプレートとベースプレートと
の間に架設、連結され、プリテンショナーの牽引動作に
伴うロックプレートの前方移動により、少なくともシー
トクッションを初期の下方位置からのサブフレーム前部
の上昇、および上方位置からのその後部の下降のもとで
後傾方向に強制的に揺動可能とした車両用シート。
【請求項３】サブフレームが、リクライニング装置の
固定されるリクライニングベースを兼用可能とした形状
であり、このサブフレームに取り付けられたリクライニ
ング装置を介して、シートバックがサブフレームに連
結、支持された請求項１または２記載の車両用シート。