JP3419160B2 - 燃料ホースおよびそれに用いる樹脂組成物 - Google Patents

燃料ホースおよびそれに用いる樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の燃料配
管に用いられる燃料ホースおよびこれに用いられる樹脂
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車等の燃料配管に用いられ
る燃料ホースは、ゴムや樹脂から形成された種々の層を
組み合わせた多層構造となっている。この多層構造の燃
料ホースのなかでも、図5に示すような、内層2がフッ
素樹脂から形成され、この内層2の外周面にポリアミド
樹脂製外層3aが直接積層形成された2層構造の燃料ホ
ース1が賞用されている。すなわち、フッ素樹脂は、薬
品およびガソリン等に対する耐腐食性を有するととも
に、ガソリンが酸化されて生成するサワーガソリンに対
する耐性(耐サワーガソリン性)に優れているため、燃
料と直接接触するホース内層の形成材料として最適であ
る。また、ポリアミド樹脂は、耐薬品性,耐熱性の諸特
性に優れ、さらに耐摩耗性や成形性に優れるため、燃料
ホースの外層として最適である。このように、種々特性
に優れるフッ素樹脂とポリアミド樹脂とを用いて製造さ
れた2層構造の燃料ホースは、他の構成の燃料ホースに
比べて高性能で長寿命なものである。
【0003】このフッ素樹脂製内層およびポリアミド樹
脂製外層を備えた2層構造の燃料ホースの製造に際し
て、フッ素樹脂の表面に特殊な接着処理が行われる。こ
れは、フッ素樹脂が難接着性であるため、接着剤による
処理では、充分な接着強度が得られず、実用的な構造強
度を有する燃料ホースとすることが困難だからである。
さらに、接着強度が要求される場合には、上記特殊な接
着処理の後に、ウレタン系接着剤等の接着剤を用いた処
理が行われる。上記特殊な接着処理としては、ナトリウ
ム錯体処理等の湿式条件下で行われる活性化処理や、コ
ロナ放電処理やグロー放電等のプラズマ処理(例えば、
特開平2−107371号公報に記載の方法)の乾式処
理があげられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような特殊な接
着処理およびこれに続いて行われる接着剤による処理に
より、フッ素樹脂製内層とポリアミド樹脂製外層とを強
固に接着することができるようになり、実用的な燃料ホ
ースの製造が可能となる。しかしながら、このような特
殊な接着処理および接着剤による接着処理を経て製造さ
れる燃料ホースは、種々の問題を有する。まず第一に、
これらの処理を施すことにより、製造工程が著しく煩雑
となって製造効率が低下し、この結果、得られる燃料ホ
ースのコストが高いものとなる。また、上記ナトリウム
錯体処理において用いられるナトリウム錯体溶液や接着
剤の溶解に使用する有機溶媒等は、人体に有害であるた
め、安全性の問題もある。そして、プラズマ処理を行う
ためには、プラズマ発生装置や高度の真空度を保持する
ためのチャンバー等の特殊な設備や装置を必要とするた
め、プラズマ処理を経て得られる燃料ホースのコストは
一層高いものとなる。
【0005】このように、従来の燃料ホースは、製造す
る際の安全性に問題があるうえ、コストが高いという問
題がある。しかしながら、前述のように、フッ素樹脂製
内層およびポリアミド樹脂製外層からなる燃料ホース
は、高性能であるため、上記両樹脂の接着性の問題を改
善し、製造上の問題やコスト面での問題を解決すること
が強く望まれている。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、製造上の安全性に問題がなく、高性能で層間の
接着強度が高い低コストの燃料ホースおよびこれに用い
る樹脂組成物の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、管状内層と、この管状内層の外周面に直
接積層形成された外層とを備えた燃料ホースであって、
上記管状内層がフッ素樹脂を用いて形成され、上記外層
が、カルボン酸の1・8−ジアザビシクロ〔5・4・
0〕ウンデセン−7塩を含有するポリアミド樹脂を用い
て形成され、上記カルボン酸の1・8−ジアザビシクロ
〔5・4・0〕ウンデセン−7塩の含有割合が、上記ポ
リアミド樹脂100重量部に対し、0.5〜10重量部
の範囲に設定されている燃料ホースを第1の要旨とし、
管状内層と、この管状内層の外周面に直接積層形成され
た外層とを備えた燃料ホースであって、上記管状内層
が、カルボン酸の1・8−ジアザビシクロ〔5・4・
0〕ウンデセン−7塩を含有するポリアミド樹脂を用い
て形成され、上記外層がフッ素樹脂を用いて形成され、
かつ、上記カルボン酸の1・8−ジアザビシクロ〔5・
4・0〕ウンデセン−7塩の含有割合が、上記ポリアミ
ド樹脂100重量部に対し、0.5〜10重量部の範囲
に設定されている燃料ホースを第2の要旨とする。
【0008】また、ポリアミド樹脂に、カルボン酸の1
・8−ジアザビシクロ〔5・4・0〕ウンデセン−7塩
が配合され、この配合割合が、上記ポリアミド樹脂10
0重量部に対し、上記カルボン酸の1・8−ジアザビシ
クロ〔5・4・0〕ウンデセン−7塩が0.5〜10重
量部の範囲に設定されている樹脂組成物を第3の要旨と
する。
【0009】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明者らは、上記課
題を解決するために、プラズマ処理等の従来の特殊な接
着処理および接着剤による接着処理の改良ではなく、燃
料ホースの構成材料である樹脂組成物を中心に検討し、
フッ素樹脂とポリアミド樹脂との接着性の改善を行っ
た。そして、様々な組成や添加剤を配合した樹脂組成物
を試作して燃料ホースを作製したところ、カルボン酸の
1・8−ジアザビシクロ〔5・4・0〕ウンデセン−7
塩を特定の割合で含有するポリアミド樹脂は、フッ素樹
脂に対して優れた接着性を有することを突き止めた。そ
こで、この特殊な添加剤を含有するポリアミド樹脂と、
通常のフッ素樹脂とを用いて燃料ホースを製造すると、
プラズマ処理等の接着処理や接着剤を用いた接着処理を
必要とすることなく、フッ素樹脂製内層とポリアミド樹
脂製外層とを強固に接着させることが可能となることを
見出し本発明に到達した。上記カルボン酸の1・8−ジ
アザビシクロ〔5・4・0〕ウンデセン−7塩として、
フッ素樹脂に対する一層の接着性向上の観点から、特
に、ナフトエ酸の1・8−ジアザビシクロ〔5・4・
0〕ウンデセン−7塩、ソルビン酸の1・8−ジアザビ
シクロ〔5・4・0〕ウンデセン−7塩を用いることが
より好ましい。
【0010】そして、上記特殊なポリアミド樹脂と、フ
ッ素樹脂とを用いて得られた燃料ホースとして、フッ素
樹脂製内層と特殊なポリアミド樹脂製外層とを備えた構
成の燃料ホース以外に、特殊なポリアミド樹脂製内層と
このポリアミド樹脂製内層の外周面に、フッ素樹脂製外
層が形成された、すなわち、上記構成材料とは互いに逆
の材料を用いて形成された燃料ホースであっても、フッ
素樹脂およびポリアミド樹脂がそれぞれ有する優れた特
性を生かし、しかも両層同士を強固に接着させることが
可能であることを見出し本発明に到達した。
【0011】さらに、これら構造を有する燃料ホース、
フッ素樹脂製内層とポリアミド樹脂製外層を備えた構
造、ポリアミド樹脂製内層とフッ素樹脂製外層を備えた
構造のそれぞれの燃料ホースにおいて、内層もしくは外
層のいずれか一方の層に導電性を付与すると、ホース内
の燃料の流動により生ずる静電気に起因したスパークの
発生による車両火災の発生を防止することができ一層好
ましいものである。
【0012】また、上記フッ素樹脂製内層、あるいはフ
ッ素樹脂製外層において、その曲げ弾性率を100〜1
700MPaに設定すると、可撓性に優れ、ホース配管
時の取り付け性およびシール性に優れるようになる。
【0013】つぎに、本発明の燃料ホースについて詳し
く説明する。
【0014】本発明の燃料ホースの構成としては、二通
りの形態があげられる。まず、フッ素樹脂から形成され
た管状内層と、この管状内層の外周面にポリアミド樹脂
から形成された外層とを備えた多層構造のホースである
第1の燃料ホースについて述べる。
【0015】上記管状内層の形成材料であるフッ素樹脂
は、特に制限されるものではなく、燃料ホースの分野で
一般に用いられるものを使用することができる。このよ
うなフッ素樹脂のなかで、フッ化ビニリデンの含有量が
少ないものが好ましい。これは、フッ素樹脂のフッ化ビ
ニリデンの含有量が高いと、ガソリン等の燃料に添加剤
(清浄剤等)として配合されるアミン系化合物等により
フッ素樹脂製内層に腐食が発生するおそれがあるからで
ある。このような、フッ化ビニリデン含有量が少ないフ
ッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデンを全く含
有しないフッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE),テトラフルオロエチレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),テトラ
フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
(FEP),エチレン−テトラフルオロエチレン共重合
体(ETFE),エチレン−クロロトリフルオロエチレ
ン共重合体(ECTFE)等があげられる。この他に、
フッ化ビニリデン含有量が少ないフッ素樹脂としては、
フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体,
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体,フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体,ポリフッ化ビニリデン
とフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体とのグラフト重合体において、フッ化ビニリデンの含
有量を60モル%以下としたものがあげられる。これら
は、単独であるいは2種類以上併用することができる。
また、これらフッ素樹脂にアクリル系エラストマーを混
合したものを使用することもできる。上記フッ素樹脂の
なかでも、フッ化ビニリデンの含有量の少ないものが好
ましいという点から、ETFE、PTFE、FEP、フ
ッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体(モル比=2/6/2)等を用
いることが好ましい。
【0016】そして、上記フッ素樹脂において、その曲
げ弾性率が100〜1700MPaのものを使用するこ
とが好ましい。一般に、フッ素樹脂は、剛性が高く、上
記のようなフッ化ビニリデンの含有量が少ないものは、
特にその傾向が強い。このような剛性が高いフッ素樹脂
を用いて形成された燃料ホースは、例えば、自動車のエ
ンジンルームに配管する時、任意の形状に沿った取り付
けが困難となったり、この燃料ホースと嵌合連結するパ
イプ等との嵌合性がわるくなってシール性が低下するお
それがある。しかし、上記特定の範囲の曲げ弾性率のフ
ッ素樹脂を用いれば、このような不都合を解決すること
が可能となる。なお、上記曲げ弾性率の特に好ましい範
囲は、100〜1300MPaである。この範囲であれ
ば、燃料ホースの取り付け性やシール性等の特性が著し
く向上するようになる。
【0017】つぎに、上記管状内層の外周面に直接積層
形成される外層の形成材料であるポリアミド樹脂につい
て説明する。このポリアミド樹脂は、特殊な添加剤を含
有するものである。
【0018】上記ポリアミド樹脂としては、特に制限す
るものではなく、従来から燃料ホースの分野で一般的に
使用されているものがあげられる。例えば、ナイロン
6,ナイロン66,ナイロン610,ナイロン612,
ナイロン11,ナイロン12、、またはこれらの共重合
体,混合物が好適に使用される。そして、柔軟性付与を
目的として、上記ポリアミド樹脂に可塑剤やエラストマ
ーを配合したもの、あるいは上記ポリアミド樹脂とポリ
エーテル,ポリエステルを共重合したものを使用するこ
とも可能である。このなかでも、耐凍結防止剤性の理由
から、ナイロン11,ナイロン12が好ましい。
【0019】そして、上記ポリアミド樹脂には、特殊な
添加剤が配合される。具体的には、下記の一般式(1)
で表されるカルボン酸の1・8−ジアザビシクロ〔5・
4・0〕ウンデセン−7塩(以下「カルボン酸DBU
塩」という)である。
【0020】
【化1】
【0021】上記カルボン酸DBU塩としては、ナフト
エ酸DBU塩あるいはソルビン酸DBU塩が好ましい。
これらは、単独であるいは併用することが可能である。
このようなカルボン酸成分がナフトエ酸あるいはソルビ
ン酸のものを使用すると、ポリアミド樹脂のフッ素樹脂
に対する接着性がさらに優れるようになる。
【0022】また、上記カルボン酸DBU塩のポリアミ
ド樹脂への配合割合は、ポリアミド樹脂100重量部
(以下「部」と略す)に対し、0.5〜10部の範囲で
あり、好ましくは1〜5部の範囲である。すなわち、配
合割合が、0.5部未満であると、カルボン酸DBU塩
の効果が奏されず、フッ素樹脂との接着性が充分なもの
とはならないからである。逆に、10部を超えて配合す
ると、ポリアミド樹脂製外層の機械的強度が劣るように
なる。
【0023】上記ポリアミド樹脂へのカルボン酸DBU
塩の配合は、ポリアミド樹脂を200〜270℃に加温
して溶融状態とし、一般的な樹脂混練機を用いて行われ
る。この樹脂混練機としては、二軸混練押出機を用いる
ことが好ましい。
【0024】このように、ポリアミド樹脂に上記特殊な
添加剤を配合すると、ポリアミド樹脂とフッ素樹脂との
接着性が著しく向上するようになって、プラズマ処理等
の特殊な接着処理および接着剤による接着処理を施すこ
となく、ポリアミド樹脂がフッ素樹脂に強固に接着する
ようになる。これが、本発明の最大の特徴である。この
接着性の発現の原因については明らかではないが、フッ
素樹脂とポリアミド樹脂との界面で、上記両樹脂間で共
架橋が生成することに起因するものと推察される。
【0025】このような特殊な添加剤(カルボン酸DB
U塩)をポリアミド樹脂に配合した樹脂組成物は、フッ
素樹脂との接着性に優れるという特有の利点を有し、か
つ耐薬品性,耐熱性,耐摩耗性,成形性等というポリア
ミド樹脂本来の特性も兼ね備えるものである。したがっ
て、この樹脂組成物は、本発明の燃料ホースの製造に用
いることができる他、フッ素樹脂とポリアミド樹脂とを
接着して製造される樹脂製品への適用も可能である。こ
の樹脂組成物の適用により、樹脂製品の製造効率を向上
させ、コストの低減に寄与することが可能となる。
【0026】また、上記管状内層を形成するフッ素樹
脂、あるいは、外層を形成する特殊な添加剤を配合した
ポリアミド樹脂のいずれか一方には、燃料(ガソリン
等)がホース内部を流れた際に発生する静電気を逃がす
目的で、導電性を付与することが好ましい。このフッ素
樹脂、あるいは、ポリアミド樹脂への導電性の付与は、
例えば、導電剤を配合することにより、その目的を達成
することができる。上記導電剤としては、カーボンブラ
ック,微細なステンレス繊維等があげられる。そして、
導電剤の配合割合は、フッ素樹脂100部、あるいはポ
リアミド樹脂100部に対し、0.5〜16部の範囲に
設定することが好ましい。この範囲で導電剤を配合する
と、得られる燃料ホースの導電性を付与した層の体積抵
抗率が1010Ω・cm以下となって、発生する静電気を
ホース外部に放電して逃がすことが可能となる。この結
果、静電気による燃料への引火等の事故を未然に防止す
ることが可能となる。
【0027】なお、本発明の燃料ホースは、プラズマ処
理等の特殊な接着処理や接着剤による接着処理を行わず
に製造することができるが、これらの処理を併用して製
造してもよい。これらの処理と併用することにより、さ
らに構造強度に優れた燃料ホースとすることが可能とな
る。
【0028】つぎに、第1の燃料ホースの製造について
説明する。
【0029】第1の燃料ホースは、上記材料を用い、例
えば、つぎのようにして作製される。すなわち、まず、
必要に応じて導電剤を配合したフッ素樹脂と、上記特殊
な添加剤を配合したポリアミド樹脂とを準備する。そし
て、2層クロスヘッドを備えた2層押出機を用い、22
0〜300℃の条件、好ましくは250〜300℃の条
件で上記フッ素樹脂およびポリアミド樹脂を同時押出し
て、フッ素樹脂製内層の外周面にポリアミド樹脂製外層
を直接積層形成する。前述のように、この押出成形時
に、ポリアミド樹脂がフッ素樹脂に強固に接着する。こ
の両樹脂層の接着力は、1〜2N/mmの範囲であり、
燃料ホースとして充分な強さのものである。なお、第1
の燃料ホースの製造において、上記共押出成形後に、ホ
ースに対して熱処理を行ってもよい。この熱処理によ
り、フッ素樹脂製内層とポリアミド樹脂製外層との接着
がさらに強固なものとなる。この熱処理の条件は、通常
100〜180℃×10〜60分、好ましくは120〜
160℃×30〜60分である。このようにして、図1
に示すような、フッ素樹脂製管状内層2と、この管状内
層2の外周面に直接積層形成されたポリアミド樹脂製外
層3とを備えた燃料ホース1(第1の燃料ホース)を得
ることができる。この2層構造の燃料ホース1におい
て、管状内層2の厚みは、通常0.05〜1.0mmの
範囲に、好ましくは0.1〜0.5mmに設定される。
また、上記外層3の厚みは、通常0.5〜4.0mmの
範囲に、好ましくは0.5〜2.0mmに設定される。
このように、外層に対して管状内層の厚みを薄くするこ
とにより、コストが高いフッ素樹脂の使用量を節約する
ことができる。
【0030】そして、第1の燃料ホースは、上記の2層
構造のものに限定されず、ポリアミド樹脂製外層の外周
に、補強糸を用いて補強糸層を形成したり、ゴムや軟質
樹脂を用いて補強層や外皮層を形成し、3層以上の多層
構造の燃料ホースとしてもよい。
【0031】上記多層構造の燃料ホースとしては、図2
に示すような、ポリアミド樹脂製外層3の外周面に補強
層4が形成されたもの等があげられる。図において、図
1と同一部分には同一符号を付している。この補強層4
を形成することにより、上記2層構造の燃料ホースが備
える耐サワーガソリン性等の基本特性に加え、耐火炎性
や耐チッピング性を備えるようになる。この補強層4
は、ゴムや軟質樹脂を用いて形成されるものであり、上
記ゴムとしては、例えば、クロロスルホン化ポリエチレ
ンゴム(CSM),クロロプレンゴム(CR),ニトリ
ル・塩化ビニルゴム(NBR・PVC),エピクロルヒ
ドリンゴム(CO,ECO),エチレンプロピレンゴム
(EPM,EPDM)があげられ、単独でもしくは2種
類以上併用される。このなかでも、耐火炎性,耐オゾン
性の理由からCSM,NBR・PVC,CO,ECO,
EPM,EPDMが好ましい。また、上記軟質樹脂とし
ては、ウレタン系,オレフィン系,ニトリル系,アミド
系等の熱可塑性エラストマーをあげることができる。こ
のなかでも、耐候性の理由からアミド系の熱可塑性エラ
ストマーを使用することが好ましい。この補強層4は、
例えば、内層2と外層3とを押出成形する際に、押出成
形機を用いて補強層4を同時に押出して、ついで通常の
ゴム加硫の条件で加硫することにより形成することがで
きる。この加硫の条件は、通常150〜180℃×20
〜60分である。また、この補強層4の厚みは、通常
0.5〜5.0mmの範囲に、好ましくは0.5〜3.
0mmの範囲に設定される。
【0032】また、他の多層構造の燃料ホースとして
は、図3に示すような、ポリアミド樹脂製外層3の外周
に補強糸層5が形成され、この外周に外皮層6が形成さ
れている4層構造の燃料ホースがあげられる。このよう
に、補強糸層5を形成すると、燃料ホースの耐圧性が向
上するようになる。この補強糸層5は、麻や綿等の天然
素材の糸や、ポリエステル糸,ビニロン糸等の合成糸、
あるいはワイヤー等の金属製糸を用いて形成される。こ
のなかでも、強度や軽量性の理由からポリエステル糸,
ビニロン糸等の合成糸が好ましい。この補強糸層5は、
2層構造の燃料ホースを作製した後、編組機を用いて形
成することができる。そして、この補強糸層5の外周
に、ゴムや軟質樹脂を押出成形機により押出して加硫す
ることにより外皮層6を形成することができる。なお、
この外皮層6の形成材料であるゴムや軟質樹脂は、上記
補強層と同様のものを使用することができ、また上記加
硫の条件も、通常のゴム加硫と同様の条件である。ま
た、外皮層6の厚みは、通常0.5〜5.0mmの範
囲、好ましくは0.5〜3.0mmの範囲に設定され
る。
【0033】そして、第1の燃料ホースの他の例として
は、図4に示すような、フッ素樹脂製内層とポリアミド
樹脂製外層とからなる2層構造の燃料ホースの外周に、
補強層4,補強糸層5,外皮層6を順次積層形成した5
層構造の燃料ホースがあげられる。この5層構造の燃料
ホースは、耐火炎性,耐チッピング性,耐圧性の全ての
特性を備えるようになる。また、この5層構造の燃料ホ
ースは、上記の押出成形機や編組機を用いて作製するこ
とができ、また補強層4,補強糸層5,外皮層6の形成
材料や厚みも、前述の3層構造および4層構造の燃料ホ
ースと同様である。
【0034】つぎに、前述の、フッ素樹脂製内層と、こ
の内層と外周面に形成されたポリアミド樹脂製外層を備
えた多層構造の燃料ホース(第1の燃料ホース)以外の
形態を有する他の燃料ホース(第2の燃料ホース)につ
いて述べる。
【0035】この燃料ホース(第2の燃料ホース)は、
特殊な添加剤が配合されたポリアミド樹脂から形成され
た管状内層と、この管状内層の外周面にフッ素樹脂から
形成された外層とを備えた多層構造のホースである。す
なわち、この第2の燃料ホースは、前述の第1の燃料ホ
ースの構成(フッ素樹脂製内層と、この内層の外周面に
形成されたポリアミド樹脂製外層)において、内層の形
成材料と外層の形成材料とを逆に使用してなる燃料ホー
スである。
【0036】この燃料ホース(第2の燃料ホース)にお
いて、管状内層の形成材料である特殊な添加剤を配合し
たポリアミド樹脂からなる樹脂組成物、および、上記管
状内層の外周面に直接積層形成される外層の形成材料で
あるフッ素樹脂としては、それぞれ、前述の燃料ホース
(第1の燃料ホース)と同様の材料が用いられる。
【0037】そして、前記第1の燃料ホースと同様、上
記ポリアミド樹脂製管状内層、もしくは、フッ素樹脂製
外層のいずれか一方の層に、燃料(ガソリン等)がホー
ス内部を流れた際に発生する静電気を逃がす目的で、導
電性を付与してもよい。上記フッ素樹脂、あるいは上記
ポリアミド樹脂に導電性を付与する材料としては前述の
燃料ホースと同様のものが用いられ、かつ、その材料の
配合量も、前述の燃料ホースと同様に設定される。
【0038】そして、この燃料ホース(第2の燃料ホー
ス)は、前述の燃料ホース(第1の燃料ホース)と同様
にして製造される。すなわち、2層クロスヘッドを備え
た2層押出機を用い、前記と同様の条件で上記フッ素樹
脂およびポリアミド樹脂とを同時押出して、ポリアミド
樹脂製内層の外周面にフッ素樹脂製外層を直接積層形成
する。このようにして、フッ素樹脂製内層と、この内層
の外周面に形成されたポリアミド樹脂製外層とを備えた
構造の燃料ホース(第2の燃料ホース)が製造される。
【0039】したがって、このようにして製造される燃
料ホース(第2の燃料ホース)における、ポリアミド樹
脂組成物製管状内層と、フッ素樹脂製外層との接着機構
は、当然、前述の燃料ホースと同様に考えられる。
【0040】そして、この燃料ホース(第2の燃料ホー
ス)の各厚みについては、前述の燃料ホース(第1の燃
料ホース)と同様、ポリアミド樹脂製管状内層の厚み
は、通常、0.5〜4.0mmの範囲に、好ましくは
0.5〜2.0mmに設定される。また、上記外層の厚
みは、通常、0.05〜1.0mmの範囲に、好ましく
は0.1〜0.5mmに設定される。
【0041】そして、この燃料ホース(第2の燃料ホー
ス)は、上記の2層構造のものに限定されず、前述の第
1の燃料ホースのように、フッ素樹脂製の外層の外周
に、補強糸を用いて補強糸層を形成したり、ゴムや柔軟
な樹脂を用いた補強層や外皮層を形成した、3層以上の
多層構造の燃料ホースとしてもよい。
【0042】このような多層構造の燃料ホース(第2の
燃料ホース)としては、前述の燃料ホース(第1の燃料
ホース)の場合と同様、外周面に補強層が形成されたも
のがあげられる。この際の材料、補強層の厚み、製造条
件等も、前述の燃料ホースと同様である。
【0043】また、上記多層構造の燃料ホースとして、
補強糸層を形成した燃料ホースとしては、前述の燃料ホ
ースのように、フッ素樹脂製の外層の外周に補強糸層を
介して外皮層が形成された4層構造の燃料ホースがあげ
られる。上記補強糸層の材料は上記と同様のものがあげ
られ、補強糸層の厚みも前述の多層構造の燃料ホースと
同様に設定される。
【0044】そして、この第2の燃料ホースの他の例と
して、前記第1の燃料ホースと同様、ポリアミド樹脂製
の管状内層とフッ素樹脂製の外層に加えて、補強層,補
強糸層,外皮層からなる5層構造の燃料ホースもあげら
れる。このような組合わせの燃料ホースは、耐火炎性,
耐チッピング性,耐圧性の全ての特性を兼ね備えるよう
になる。このような5層構造の燃料ホースは、上記の押
成形機や編組機を組み合わせることにより作製すること
ができる。また、補強層,補強糸層,外皮層の各層の厚
みも、上記3層構造および4層構造の燃料ホースと同様
である。
【0045】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0046】(1)まず、フッ素樹脂製管状内層の外周
面に、ポリアミド樹脂製外層が形成された第1の燃料ホ
ースについて述べる。
【0047】
【実施例1】まず、後記の表1に示す材料および条件に
より、フッ素樹脂製内層およびポリアミド樹脂製外層か
らなる2層構造の燃料ホースを作製した。すなわち、ポ
リアミド樹脂(ナイロン11)に、可塑剤とナフトエ酸
の1・8−ジアザビシクロ〔5・4・0〕ウンデセン−
7塩とを配合し、ラボプラストミル(モデル80C10
0,東洋精機社製)を用いて230℃で混練を行い、外
層形成用のポリアミド樹脂を調製した。このポリアミド
樹脂と、内層形成用のフッ素樹脂(ネオフロンEP52
1,ダイキン社製)とを用い、クロスヘッド構造を有す
る樹脂用2層共押出機により、300℃で内層と外層を
同時に押出成形して、2層構造の燃料ホース(内径:6
mm,総厚み:1mm)を作製した。
【0048】つぎに、同表に示す材料および条件で、上
記2層構造のホースの外周に、押出機および編組機を用
い、補強層,補強糸層,外皮層を順次積層形成し、図4
に示すような5層構造の燃料ホースを作製した。なお、
上記補強層および外皮層の形成の際の加硫条件は、15
0℃×30分である。
【0049】
【実施例2〜14,比較例1,2】後記の表1〜表3に
示す材料および条件で、実施例1と同様の操作を行い、
2層構造のホースを作製した。そして、実施例8では、
このまま2層構造の燃料ホースとし、また実施例9で
は、前述の方法により補強層を形成して3層構造の燃料
ホースを作製した。これ以外の実施例,比較例では、上
記実施例1と同様にして5層構造の燃料ホースを作製し
た。なお、実施例7において、ポリアミド樹脂に可塑剤
等を配合して混練する際の温度条件は、270℃とし
た。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【実施例15〜18】つぎに、管状内層形成材料もしく
は外層形成材料のいずれか一方にカーボンブラックを配
合することにより、内層もしくは外層のいずれか一方の
層に導電性を付与した燃料ホースを作製した。すなわ
ち、下記の表4に示す材料および条件で、前記実施例1
と同様の操作を行い、2層構造のホースを作製した。続
いて、前記実施例1と同様にして5層構造の燃料ホース
を作製した。また、繊維補強層はブレード編みによって
形成した。上記導電性を付与した層の体積抵抗率は、J
IS K 6911に準じて測定した。
【0054】
【表4】
【0055】(2)つぎに、ポリアミド樹脂製管状内層
の外周面に、フッ素樹脂製外層が形成された燃料ホース
(第2の燃料ホース)について述べる。
【0056】
【実施例19】まず、後記の表5に示す材料および条件
により、ポリアミド樹脂製内層およびフッ素樹脂製外層
からなる2層構造の燃料ホースを作製した。すなわち、
ポリアミド樹脂(ナイロン11)に、可塑剤とナフトエ
酸の1・8−ジアザビシクロ〔5・4・0〕ウンデセン
−7塩とを配合し、ラボプラストミル(モデル80C1
00,東洋精機社製)を用いて230℃で混練を行い、
内層形成用のポリアミド樹脂を調製した。このポリアミ
ド樹脂と、外層形成用のフッ素樹脂(ネオフロンEP5
21,ダイキン社製)とを用い、クロスヘッド構造を有
する樹脂用2層共押出機により、300℃で内層と外層
を同時に押出成形して、2層構造の燃料ホース(内径:
6mm,総厚み:1mm)を作製した。
【0057】つぎに、同表に示す材料および条件で、上
記2層構造のホースの外周に、押出機および編組機を用
い、補強層,補強糸層,外皮層を順次積層形成し、図4
に示すような5層構造の燃料ホースを作製した。なお、
上記補強層および外皮層の形成の際の加硫条件は、15
0℃×30分である。
【0058】
【実施例20〜32,比較例3,4】後記の表5〜表7
に示す材料および条件で、実施例1と同様の操作を行
い、2層構造のホースを作製した。そして、実施例26
では、このまま2層構造の燃料ホースとし、また実施例
27では、前述の方法により補強層を形成して3層構造
の燃料ホースを作製した。これ以外の実施例,比較例で
は、上記実施例19と同様にして5層構造の燃料ホース
を作製した。なお、実施例25において、ポリアミド樹
脂に可塑剤等を配合して混練する際の温度条件は、27
0℃とした。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【実施例33〜36】つぎに、管状内層形成材料もしく
は外層形成材料のいずれか一方にカーボンブラックを配
合することにより、内層もしくは外層のいずれか一方の
層に導電性を付与した燃料ホースを作製した。すなわ
ち、下記の表8に示す材料および条件で、前記実施例1
9と同様の操作を行い、2層構造のホースを作製した。
続いて、前記実施例19と同様にして5層構造の燃料ホ
ースを作製した。また、繊維補強層はブレード編みによ
って形成した。上記導電性を付与した層の体積抵抗率
は、JIS K 6911に準じて測定した。
【0063】
【表8】
【0064】このようにして得られた実施例1〜36
品,比較例1〜4品の燃料ホースについて、内層と外層
の接着性,燃料透過性,シール性,柔軟性,機械的強度
の各種特性について調べた。この結果を、後記の表9〜
表15に示す。なお、上記各特性は、下記の方法により
調べた。
【0065】〔内層と外層の接着性〕接着性の試験は、
JIS K 6301に準じておこなった。すなわち、
図6に示すように、実施例品および比較例品の2層構造
のホースを、長さ10mmとなるようにリング状に切断
し、さらに長手方向に切開して試験サンプルとした。つ
いで、この試験サンプルの切開面から、内層11および
外層12を剥離し、その剥離端を、引張試験機のつかみ
治具に固定して、引張速度25mm/分で引張試験を行
い、得られた荷重から上記二層間の剥離強度を求め、接
着性を評価した。なお、図において、Lは、試験サンプ
ルの長さ10mmを表す。
【0066】〔燃料透過性〕まず、二種類の試験用混合
ガソリンA,Bを準備した。混合ガソリンAは、メチル
tert−ブチルエーテル(MTBE)/レギュラーガ
ソリン=15/85(体積混合比)の混合ガソリンであ
り、混合ガソリンBは、エタノール/レギュラーガソリ
ン=10/90(体積混合比)の混合ガソリンである。
そして、これら混合ガソリンA,Bを燃料ホースに封入
し、温度40℃で168時間放置した。ついで、新しい
混合ガソリンに入替えた後、さらに40℃で72時間放
置して、放置前後の重量変化から一日当たりのガソリン
透過量を算出した。
【0067】〔シール性〕図7に示す形状の金属パイプ
20に燃料ホースの先端口を外嵌した。この状態で、室
温(25℃)条件および熱老化(120℃×288時間
放置)処理後の条件で燃料を0.49MPaで送液し、
シール性を確認した。このシール性の確認は、燃料漏れ
の有無により行い、燃料漏れが無かったものを○、燃料
が漏れたものを×で表した。
【0068】〔柔軟性〕図8に示すように、長さ1mの
燃料ホース21を用いて輪を作り、その交叉部を手でも
って、矢印方向に燃料ホース21を引っ張った。そし
て、さらにその輪の径を小さくしていき、燃料ホースが
キンクした時点のR部の輪の径を測定した。
【0069】〔機械的強度〕各実施例品および比較例品
の2層構造の燃料ホースのポリアミド樹脂製外層あるい
は内層の引張強度および伸びを調べた。なお、この引張
強度および伸びは、ASTM D 638に準じて測定
した。
【0070】
【表9】
【0071】
【表10】
【0072】
【表11】
【0073】
【表12】
【0074】
【表13】
【0075】
【表14】
【0076】
【表15】
【0077】上記表9〜表14から、全実施例品の燃料
ホースは、内層と外層の接着性に優れていることがわか
る。このことから、本発明の燃料ホースは、プラズマ処
理等の特殊な接着処理や接着剤による接着処理を施さな
くても、優れた構造強度を有し、複雑な工程を経ること
なく簡単に製造することができるといえる。また、全実
施例品の燃料ホースは、ポリアミド樹脂製外層、あるい
はポリアミド樹脂製内層において、特殊な添加剤の配合
割合が適正範囲であるため、ポリアミド樹脂製の層の機
械的強度に優れていた。そして、全実施例品の燃料ホー
スは、そのフッ素樹脂製内層、あるいはフッ素樹脂製外
層の曲げ弾性率が適正な範囲に設定されているため、シ
ール性,柔軟性および燃料透過性に優れていた。
【0078】これに対し、上記表15から、比較例1,
3品の燃料ホースは、ポリアミド樹脂に特殊な添加剤を
配合していないため、内層と外層とが接着しなかった。
また、比較例2,4品の燃料ホースは、特殊な添加剤の
配合割合が、適正範囲外となっているため、ポリアミド
樹脂製外層、あるいはポリアミド樹脂製内層の機械的強
度が悪かった。
【0079】
【発明の効果】以上のように、本発明の燃料ホースは、
フッ素樹脂製管状内層の外周面に、特殊な添加剤を配合
したポリアミド樹脂を用いて外層を直接積層形成してい
る。この特殊な添加剤を配合したポリアミド樹脂は、プ
ラズマ処理等の特殊な接着処理やこれに続いて行われる
接着剤を用いた接着処理をフッ素樹脂に施す必要がな
く、通常の押出工程を経ることにより、フッ素樹脂へ強
固に接着する。したがって、本発明の燃料ホースは、本
来の性能を損なうことなく、従来の燃料ホースの製造で
必要であった上記特殊な接着処理工程および接着剤によ
る接着工程の2工程を省略して製造することが可能とな
る。そして、上記特殊なポリアミド樹脂を用いたポリア
ミド樹脂製層とフッ素樹脂製層とが強固な接着性を有す
るという点から、上記特殊なポリアミド樹脂製の管状内
層の外周面に、フッ素樹脂製外層を形成した構成を備え
た燃料ホースにおいても上記と同様の効果を奏する。こ
の結果、本発明の燃料ホースは、従来品と同じ高性能を
維持し、かつ従来品と比べて極めてコストが低いものと
なる。
【0080】特に、上記形成材料からなる管状内層もし
くは外層のいずれか一方の層に導電性を付与することに
より、ホース内の燃料の流動により生ずる静電気に起因
したスパークの発生による車両火災の発生を防止するこ
とが可能となる。
【0081】そして、本発明の燃料ホースにおいて、特
定範囲の曲げ弾性率のフッ素樹脂を用いて管状内層、あ
るいは外層を形成すれば、燃料ホースの可撓性が優れる
ようになる。このような燃料ホースは、任意の形状に沿
って配管することが可能であるため、自動車のエンジン
ルーム等の複雑な配管箇所への取り付けが容易になる。
また、このような燃料ホースは、シール性に優れ、金属
パイプ等の他の配管部材と強固に嵌合して連結するた
め、高圧力で燃料を送液しても、嵌合部(連結部)での
燃料の漏出や、燃料ホースの離脱等の事故が発生するこ
とがなくなる。さらに、本発明の燃料ホースに用いられ
る特殊な添加剤を配合したポリアミド樹脂(樹脂組成
物)は、フッ素樹脂との接着性に優れるばかりでなく、
耐薬品性,耐熱性,耐摩耗性,成形性等というポリアミ
ド樹脂本来の特性も備えるものである。したがって、こ
の樹脂組成物は、本発明の燃料ホースの製造の用途の
他、フッ素樹脂とポリアミド樹脂とを接着して製造され
るシート状品やフィルム状品等のその他各種の樹脂製品
に適用することもできる。この樹脂組成物の適用によ
り、樹脂製品の製造効率を向上させ、コストの低減に寄
与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料ホース(第1の燃料ホース)の構
成を示す説明図である。
【図2】本発明の燃料ホース(第1の燃料ホース)のそ
の他の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の燃料ホース(第1の燃料ホース)のそ
の他の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の燃料ホース(第1の燃料ホース)のそ
の他の構成を示す説明図である。
【図5】従来の燃料ホースの構成を示す説明図である。
【図6】接着性試験において使用する試験サンプルの説
明図である。
【図7】シール性を試験する際に使用する金属パイプの
説明図である。
【図8】キンク性を調べる状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 燃料ホース 2 管状内層 3 外層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 昭彦 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600 東 海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 小玉 勉 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600 東 海ゴム工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−8353(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 77/00 - 77/12

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管状内層と、この管状内層の外周面に直
    接積層形成された外層とを備えた燃料ホースであって、
    上記管状内層がフッ素樹脂を用いて形成され、上記外層
    が、カルボン酸の1・8−ジアザビシクロ〔5・4・
    0〕ウンデセン−7塩を含有するポリアミド樹脂を用い
    て形成され、上記カルボン酸の1・8−ジアザビシクロ
    〔5・4・0〕ウンデセン−7塩の含有割合が、上記ポ
    リアミド樹脂100重量部に対し、0.5〜10重量部
    の範囲に設定されていることを特徴とする燃料ホース。
  2. 【請求項2】 管状内層もしくは外層のいずれか一方の
    層に導電性が付与されている請求項1記載の燃料ホー
    ス。
  3. 【請求項3】 上記カルボン酸の1・8−ジアザビシク
    ロ〔5・4・0〕ウンデセン−7塩が、ナフトエ酸の1
    ・8−ジアザビシクロ〔5・4・0〕ウンデセン−7塩
    およびソルビン酸の1・8−ジアザビシクロ〔5・4・
    0〕ウンデセン−7塩の少なくとも一方である請求項1
    または2記載の燃料ホース。
  4. 【請求項4】 フッ素樹脂から形成された管状内層の曲
    げ弾性率が、100〜1700MPaの範囲である請求
    項1〜3のいずれか一項に記載の燃料ホース。
  5. 【請求項5】 管状内層と、この管状内層の外周面に直
    接積層形成された外層とを備えた燃料ホースであって、
    上記管状内層が、カルボン酸の1・8−ジアザビシクロ
    〔5・4・0〕ウンデセン−7塩を含有するポリアミド
    樹脂を用いて形成され、上記外層がフッ素樹脂を用いて
    形成され、かつ、上記カルボン酸の1・8−ジアザビシ
    クロ〔5・4・0〕ウンデセン−7塩の含有割合が、上
    記ポリアミド樹脂100重量部に対し、0.5〜10重
    量部の範囲に設定されていることを特徴とする燃料ホー
    ス。
  6. 【請求項6】 管状内層もしくは外層のいずれか一方の
    層に導電性が付与されている請求項5記載の燃料ホー
    ス。
  7. 【請求項7】 上記カルボン酸の1・8−ジアザビシク
    ロ〔5・4・0〕ウンデセン−7塩が、ナフトエ酸の1
    ・8−ジアザビシクロ〔5・4・0〕ウンデセン−7塩
    およびソルビン酸の1・8−ジアザビシクロ〔5・4・
    0〕ウンデセン−7塩の少なくとも一方である請求項5
    または6記載の燃料ホース。
  8. 【請求項8】 フッ素樹脂から形成された外層の曲げ弾
    性率が、100〜1700MPaの範囲である請求項5
    〜7のいずれか一項に記載の燃料ホース。
  9. 【請求項9】 ポリアミド樹脂に、カルボン酸の1・8
    −ジアザビシクロ〔5・4・0〕ウンデセン−7塩が配
    合され、この配合割合が、上記ポリアミド樹脂100重
    量部に対し、上記カルボン酸の1・8−ジアザビシクロ
    〔5・4・0〕ウンデセン−7塩が0.5〜10重量部
    の範囲に設定されていることを特徴とする樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 上記カルボン酸の1・8−ジアザビシ
    クロ〔5・4・0〕ウンデセン−7塩が、ナフトエ酸の
    1・8−ジアザビシクロ〔5・4・0〕ウンデセン−7
    塩およびソルビン酸の1・8−ジアザビシクロ〔5・4
    ・0〕ウンデセン−7塩の少なくとも一方である請求項
    9記載の樹脂組成物。
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