JP3419039B2 - 自発光型カラーディスプレイおよびその製造方法 - Google Patents

自発光型カラーディスプレイおよびその製造方法

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JP3419039B2
JP3419039B2 JP22814993A JP22814993A JP3419039B2 JP 3419039 B2 JP3419039 B2 JP 3419039B2 JP 22814993 A JP22814993 A JP 22814993A JP 22814993 A JP22814993 A JP 22814993A JP 3419039 B2 JP3419039 B2 JP 3419039B2
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司 林
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Nissin Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばカラーテレ
ビ、パソコン等の薄型表示装置として用いられる自発光
型カラーディスプレイおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の自発光型カラーディスプレイの
従来例として、EL(エレクトロルミネッセンス)式の
ものがある。
【0003】そのような自発光型カラーディスプレイの
構造を図6を参照して説明すると、この自発光型カラー
ディスプレイは、ガラス基板102上に赤色用、緑色用
および青色用の透明電極104a〜104cを形成し、
その上に下部絶縁膜105を形成し、その上であって各
透明電極104a〜104c上に位置する所に赤色発光
層106a、緑色発光層106bおよび青色発光層10
6cをそれぞれ形成し、その間および上に発光領域分離
用の絶縁膜107を形成し、その上に上部絶縁膜108
を形成し、その上に上部電極110を形成して成る。
【0004】各発光層106a〜106cは、例えばZ
nS系ELディスプレイの場合には、ZnS結晶中に赤色
用、緑色用および青色用の発光中心(発光体粒子)をそ
れぞれ分散させて成る。
【0005】各透明電極104a〜104cおよび上部
電極110は、図示例のものは互いに直交する複数のス
トライプ状のものであるが、それ以外にも、透明電極1
04a〜104cが多数の画素電極であり、上部電極1
10が共通電極の場合もある。いずれにしても、このよ
うな透明電極104a〜104cと上部電極110との
間に、マトリクス状に配置された多数の画素が形成され
る。
【0006】透明電極104a〜104cと上部電極1
10との間に電圧を印加すると、各赤色発光層106
a、緑色発光層106bおよび青色発光層106cへ電
子が注入され、それが電界によって加速されて各発光層
106a〜106c中の発光中心と衝突し、その際に、
赤色光112a、緑色光112bおよび青色光112c
がそれぞれ放出され、これが透明電極104a〜104
cおよびガラス基板102を通して外部に取り出され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
なEL式の自発光型カラーディスプレイには、発光効率
が極めて低く、従って大きな発光強度を得るためには電
力消費が大きいという問題がある。これは、各発光層1
06a〜106cの大部分を構成しているZnS結晶は
それ自体は発光するものではなく、そのような発光しな
いものの中に分散させた発光中心のみが発光するからで
ある。
【0008】そこでこの発明は、発光効率の高い自発光
型カラーディスプレイおよびその製造方法を提供するこ
とを主たる目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の自発光型カラーディスプレイは、ガラス
基板と、このガラス基板上に形成された赤色用、緑色用
および青色用の透明電極と、微粒子の表層部のみにその
酸化層または窒化層を形成して成り量子効果を発現して
発光する量子箱の集合体である量子箱層であって、前記
赤色用、緑色用および青色用の透明電極上にそれぞれ形
成されており、かつ各量子箱層を構成する量子箱の大き
さがそれぞれ相対的に大、中および小である赤色発光量
子箱層、緑色発光量子箱層および青色発光量子箱層と、
これらの量子箱層の間および上に形成された絶縁膜と、
この絶縁膜上に形成された上部電極とを備えることを特
徴とする。
【0010】また、この発明の製造方法は、上記のよう
な自発光型カラーディスプレイを製造するに当たり、前
記ガラス基板上の赤色用、緑色用および青色用の透明電
極に、大きさが相対的に小、中および大の正電圧をそれ
ぞれ印加した状態で、当該ガラス基板上にプラズマCV
D法によって微粒子を堆積させ、次に当該ガラス基板を
大気に曝すことなく、前記のようにして堆積させた各微
粒子の表層部のみを酸化または窒化して前記赤色発光量
子箱層、緑色発光量子箱層および青色発光量子箱層を形
成することを特徴とする。
【0011】
【作用】上記自発光型カラーディスプレイは、その各量
子箱層を形成している量子箱の全てが発光するので発光
効率が高い。
【0012】しかも量子箱の発光は、量子効果による発
光であり、量子箱に注入された電子か殆ど全て、量子箱
のエネルギー準位間で発光し再結合するので、元々発光
効率が高い。このことも、この発明の自発光型カラーデ
ィスプレイの発光効率向上に寄与している。
【0013】また、プラズマ中で発生した微粒子は帯
電、より具体的には負に帯電している場合が殆どであ
り、上記製造方法では、この性質を利用することによっ
て、ガラス基板上の正電圧を印加した透明電極上に微粒
子を選択的に導いて堆積させることができる。これによ
って、従来から困難であった微粒子膜の微細加工工程を
省くことができる。
【0014】しかも、各透明電極に印加しておく正電圧
の大きさを上記のように異ならせておくことにより、一
回の微粒子堆積工程で、赤色発光用の粒径の大きい微粒
子、緑色発光用の粒径の中位の微粒子および青色発光用
の粒径の小さい微粒子を、赤色用、緑色用および青色用
の透明電極上にそれぞれ堆積させることができる。
【0015】このように上記製造方法によれば、赤、緑
および青の発色部を、一回の微粒子堆積工程で、しかも
パターニング工程を用いずに形成することができるの
で、製造コストの大幅な低減が可能になる。
【0016】
【実施例】図1は、この発明に係る自発光型カラーディ
スプレイの一実施例を部分的に示す概略断面図である。
【0017】この自発光型カラーディスプレイは、ガラ
ス基板2と、このガラス基板2上に形成された赤色用、
緑色用および青色用の透明電極4a〜4cと、この透明
電極4a〜4c上にそれぞれ形成された赤色発光量子箱
層6a、緑色発光量子箱層6bおよび青色発光量子箱層
6cと、これらの量子箱層6a〜6cの間および上に形
成された絶縁膜8と、この絶縁膜8上に形成された上部
電極10とを備えている。
【0018】各量子箱層6a〜6cは、例えば図2に示
すように、微粒子61の表層部62のみにその酸化層ま
たは窒化層を形成して成る多数の量子箱60の集合体で
ある。量子箱とは、量子効果が現れる立体状(例えば箱
状、球状等)をした粒子をいう。
【0019】上記表層部62は酸化物あるいは窒化物の
いずれでも良いが、酸化物の方がエネルギーのバンドギ
ャップが大きく、多くの量子化準位ができやすいので、
発光色を制御する場合に有利である。例えば、微粒子6
1がSiの場合、表層部62はSiO2またはSi34であ
るが、SiO2のバンドギャップは約10eV、Si34
のバンドギャップは約5.2eVである。
【0020】このような量子箱60は、それを形成する
微粒子61の大きさによって、電子が存在するエネルギ
ー準位(量子化準位)が決まり、微粒子61が小さいほ
ど、より高いエネルギー準位にしか電子が存在できなく
なり、発光時のエネルギー差が大きいので青色に近い色
の光を発し、逆に微粒子61が大きいほど、赤色に近い
色の光を発する。
【0021】従ってこの実施例では、赤色発光量子箱層
6a、緑色発光量子箱層6bおよび青色発光量子箱層6
cを構成する各量子箱の大きさを、それぞれ、相対的に
大きくて赤色発光に適した大きさ、相対的に中位で緑色
発光に適した大きさ、および相対的に小さくて青色発光
に適した大きさにしている。
【0022】各透明電極4a〜4cおよび上部電極10
は、図示例のものは互いに直交する複数のストライプ状
のものであるが、それ以外にも、透明電極4a〜4cが
多数の画素電極であり、上部電極10が共通電極の場合
もある。いずれにしても、このような透明電極4a〜4
cと上部電極10との間に、マトリクス状に配置された
多数の画素が形成される。
【0023】このような自発光型カラーディスプレイに
おいては、その各透明電極4a〜4cと上部電極10と
の間に電圧を印加すると、それによって各量子箱層6a
〜6cに電界がかけられ、各量子箱層6a〜6cを構成
する各量子箱が量子効果によって前述したような色で発
光する。即ち、赤色発光量子箱層6aは赤色光12aを
発し、緑色発光量子箱層6bは緑色光12bを発し、青
色発光量子箱層6cは青色光12cを発し、これが透明
電極4a〜4cおよびガラス基板2を通して外部に取り
出される。
【0024】この自発光型カラーディスプレイは、その
各量子箱層6a〜6cを形成している量子箱の全てが発
光するので、発光層の大部分は発光しない物質で構成さ
れていてその中に発光中心を分散させている従来のEL
式の自発光型カラーディスプレイに比べて、発光効率が
非常に高い。
【0025】しかも、量子箱の発光は、量子効果による
発光であり、量子箱に注入された電子が殆ど全て、量子
箱のエネルギー準位間で発光し再結合するので、元々発
光効率が高い。このことも、この自発光型カラーディス
プレイの発光効率向上に寄与している。
【0026】従って、この自発光型カラーディスプレイ
は、電力消費を小さく抑えながら、大きな発光強度を得
ることができる。
【0027】次に、上記のような自発光型カラーディス
プレイの製造方法について説明する。
【0028】図3は、この発明の製造方法の実施に使用
するプラズマCVD装置の一例を示す概略図である。真
空排気装置32によって真空排気される真空容器24内
に、高周波電極26とホルダ兼電極28とを対向させて
収納している。ホルダ兼電極28は、ここでは接地され
ている。ホルダ兼電極28上には、微粒子を堆積させよ
うとするガラス基板2が載せられる。ガラス基板2は、
例えばホルダ兼電極28内のヒータ30によって加熱さ
れる。
【0029】真空容器24内には、高周波電極26につ
ながるガス導入部34を経由して原料ガス40が導入さ
れる。この例では、ガス源42および44から、マスフ
ローコントローラ46および48をそれぞれ経由して、
原料ガス40を構成するガスがガス導入部34に供給さ
れる。50は、ガス源42からのガスの気化に用いられ
るヒータであり、ガスの種類によっては不要な場合もあ
る。
【0030】高周波電極26とホルダ兼電極28間に
は、マッチングボックス36を経由して、高周波電源3
8から例えば13.56MHzの周波数の高周波電力が
供給される。
【0031】このような装置において、真空容器24内
に原料ガス40を導入して真空容器24内を例えば数百
mTorr程度にすると共に、高周波電極26とホルダ
兼電極28間に高周波電源38から高周波電力を供給す
ると、両電極26、28間で高周波放電が生じてプラズ
マ52が発生する。そしてこのプラズマ52によって原
料ガス40が活性化され、化学反応が進んで微粒子が生
成され、これがガラス基板2上に堆積して微粒子膜が形
成される。例えば、原料ガス40としてSiH4(シラ
ン)ガスを用いた場合、ガラス基板2上にSi微粒子が
堆積される。
【0032】上記成膜時のプラズマ52のポテンシャル
の一例を図4に示す。高周波電極26はマッチングボッ
クス36内に含まれているブロッキングコンデンサによ
って直流的に切られており、この高周波電極26には軽
くてイオンよりも移動度の遙かに大きい電子の方が多く
入射するので、高周波電極26の表面は負の電位になっ
ており、これに対してプラズマ52のポテンシャル(電
位)VP は正になっている。ガラス基板2は、この例で
はホルダ兼電極28が接地されているので接地電位にあ
る。ガラス基板2および高周波電極26の表面とプラズ
マ52との間には、イオンのシース52a、52bがそ
れぞれ形成されている。
【0033】上記のようにしてプラズマCVD法で微粒
子を堆積させる際、プラズマ52中で発生した微粒子
は、プラズマ52中の電子の衝突やイオンの衝撃を受け
て通常は帯電している。より具体的には、イオンよりも
電子の方が軽くて移動度が遙かに大きいので、当該微粒
子は通常は負に帯電している。そしてこの性質を利用す
ることによって、ガラス基板2側の必要の部位に微粒子
を静電気力(クーロン力)によって選択的に導くことが
できる。また、堆積させる微粒子の大きさの制御も可能
である。これを図5を参照して詳述する。
【0034】図5は、図1で説明したような自発光型カ
ラーディスプレイを製造する方法の一例を示すものであ
り、まず図5Aに示すように、ガラス基板2上の前述し
たような赤色用、緑色用および青色用の透明電極4a〜
4cに、直流電源54a〜54cから、大きさが相対的
に小、中および大の正電圧をそれぞれ印加した状態で、
ガラス基板2上に図3の装置を用いたプラズマCVD法
によって微粒子を堆積させる。
【0035】透明電極4a〜4cに正電圧を印加してお
くと、プラズマ52中で作られかつ負に帯電した微粒子
は、この透明電極4a〜4cの正電位によって引き寄せ
られ、結果として、図5Bに示すように、ガラス基板2
上の透明電極4a〜4c上のみに微粒子を選択的に堆積
させて微粒子膜5a〜5cを形成することができる。従
って、透明電極4a〜4cを所望のパターンにしておけ
ば、そのパターンどおりに微粒子膜5a〜5cを形成す
ることができる。
【0036】微粒子膜をパターニングする場合、従来
は、まず粗いパターンで微粒子膜を基板上に塗布した
り、プラズマCVD法によって基板上の全面に微粒子を
堆積させたりした後、微粒子膜をフォトリソグラフィー
およびドライエッチングによって加工していたが、フォ
トリソグラフィーおよびドライエッチングの技術を用い
て加工を行う場合、光の回折によるマスクパターンのぼ
けや、サイドエッチングによるアンダーカット等が不可
避的に生じるため、微粒子膜の微細加工は非常に困難で
あった。また、実験によれば、微粒子膜は、理由は定か
ではないが、ドライエッチングによる微細加工は不可能
に近いことが確かめられている。
【0037】これに対して、上記方法によれば、微粒子
を透明電極4a〜4c上にそのパターンどおりに選択的
に堆積させることができるので、従来困難であった微粒
子膜の微細加工工程を省くことができる。
【0038】また、透明電極4a〜4c上に堆積する微
粒子の大きさを制御することもできる。これは次のよう
な理由による。
【0039】プラズマ52中で作られる微粒子は、その
粒径の大きいものほど、表面積が大きいので多くの負電
荷を帯びやすいという性質がある。このプラズマ52中
の微粒子が有する負電荷、その微粒子の重さおよびガラ
ス基板2上のシース52a(図4参照)の部分の電界に
よって、ガラス基板2上に堆積する微粒子の大きさが異
なることが実験によって確かめられている。
【0040】即ち、ガラス基板2上のシース52aの部
分の電位差(これは、ガラス基板2が0電位であれば、
プラズマ52のポテンシャルVP に等しい)が小さい場
合、プラズマ52中の微粒子は粒径が小さいままでガラ
ス基板2側に引かれて堆積し、シース52aの部分の電
位差が中位の場合は、プラズマ52中の微粒子は粒径が
中位になった時にガラス基板2側に引かれて堆積し、シ
ース52aの部分の電位差が大きい場合、プラズマ52
中の微粒子は粒径が大きくなって初めてガラス基板2側
に引かれて堆積するという性質がある。つまり、シース
52aでの電位差が小さければ粒径の小さい微粒子が選
択的にガラス基板2上に堆積し、シース52aでの電位
差が中位であれば粒径の中位の微粒子が選択的にガラス
基板2上に堆積し、シース52aでの電位差が大きけれ
ば粒径の大きい微粒子が選択的にガラス基板2上に堆積
する。
【0041】透明電極4a〜4cに印加する電圧の大き
さを制御することにより、図4中のガラス基板2側の電
位が(より具体的にはその上の透明電極4a〜4cの電
位が)上下することになり、プラズマ52のポテンシャ
ルVP を変えなくても、この透明電極4a〜4cの部分
では、シース52aの部分の電位差が制御されることに
なり、その結果、上記のような性質によって透明電極4
a〜4c上に堆積する微粒子の大きさを制御することが
できる。
【0042】即ち、赤色用、緑色用および青色用の透明
電極4a〜4cに、大きさが相対的に小、中および大の
正電圧をそれぞれ印加しておくことにより、各透明電極
4a〜4c上のシース52aでの電位差がそれぞれ相対
的に大、中および小になるので、赤色用の透明電極4a
上には粒径の相対的に大きい微粒子を、緑色用の透明電
極4b上には粒径の相対的に中位の微粒子を、青色用の
透明電極4c上には粒径の相対的に小さい微粒子を、そ
れぞれ選択的に堆積させることができる。
【0043】量子箱は、それを形成する微粒子が大きい
ほど、赤色に近い色の光を発し、逆に微粒子が小さいほ
ど、青色に近い色の光を発することは前述のとおりであ
る。
【0044】従って、微粒子を堆積させる際に各透明電
極4a〜4cに印加しておく正電圧の大きさを、相対的
に小、中および大の関係を維持しつつ適度なものにする
ことにより、赤色用の透明電極4a上には赤色発光量子
箱層6aの形成に都合の良い大きさの微粒子から成る微
粒子膜5aを、緑色用の透明電極4b上には緑色発光量
子箱層6bの形成に都合の良い大きさの微粒子から成る
微粒子膜5bを、青色用の透明電極4c上には青色発光
量子箱層6cの形成に都合の良い大きさの微粒子から成
る微粒子膜5cを、それぞれ形成することができる(図
5B)。
【0045】ガラス基板2上の各透明電極4a〜4c上
に上記のようにして微粒子を堆積させて微粒子膜5a〜
5cを形成した後、当該ガラス基板2を大気に曝すこと
なく、即ち真空容器24の真空を破ることなく、原料ガ
ス40を酸素(酸化処理を行う場合)またはアンモニア
(窒化処理を行う場合)に切り換えて、真空容器24内
にプラズマ52として酸素プラズマまたはアンモニアプ
ラズマを発生させ、これによって、微粒子膜5a〜5c
を構成する各微粒子の表層部のみを酸化または窒化させ
る(図5C)。これにより、各透明電極4a〜4c上に
前述したような赤色発光量子箱層6a、緑色発光量子箱
層6bおよび青色発光量子箱層6cが形成される(図5
D)。
【0046】微粒子は表面積が大きいので、それを堆積
させたガラス基板2を、酸化または窒化処理前に大気に
曝すと、微粒子の表面に水分が付着して、後の酸化また
は窒化処理によって量子箱を一様に形成することが困難
になるが、上記方法によれば、このような問題の発生を
防止することができる。
【0047】その後は、公知の方法により、各量子箱層
6a〜6cの間および上に絶縁膜8を形成し(図5
E)、更にその上に上部電極10を形成する(図5
F)。これによって、図1で説明したような自発光型カ
ラーディスプレイが得られる。
【0048】従来のEL式の自発光型カラーディスプレ
イの場合、その赤、緑および青の発色部を形成するため
には、成膜工程およびパターニング工程が三回ずつ(即
ち赤用に一回ずつ、緑用に一回ずつ、および青用に一回
ずつ)繰り返す必要があり製造コストが高くなるという
欠点があったが、上記製造方法によれば、赤、緑および
青の発色部を、一回の微粒子堆積工程で、しかもパター
ニング工程を用いずに形成することができるので、製造
コストの大幅な低減が可能になる。
【0049】上記のような製造方法に従ったより具体的
な実施例を説明すると、ガラス基板上の表示領域部分
に、ITO(スズをドープしたインジウム)から成るス
トライプパターンの透明電極を赤色用、緑色用および青
色用に形成しておき、これらに相対的に小、中および大
の正電圧を印加した状態で、SiH4(シラン)プラズマ
によって各透明電極上にSi微粒子を引き寄せて選択的
に堆積させた。その際に赤色用、緑色用および青色用の
各透明電極に印加する正電圧の大きさは、赤色発光、緑
色発光および青色発光に都合の良い粒径が得られるよう
にそれぞれ設定した。そして、各透明電極上にSi微粒
子を堆積させた後、真空を破らずに、原料ガスを酸素に
切り換えて酸素プラズマを発生させ、各Si微粒子の表
層部のみを酸化させて量子箱層を形成した。この実施例
の処理条件等をまとめると次のとおりである。
【0050】ディスプレイの用途:パソコン用据置薄型
表示装置、基板:ガラス基板、基板寸法:350×35
0mm角、透明電極:ITO、電圧印加方法:正電圧の
大きさを異ならせた、成膜時の原料ガス:SiH4 40
sccm、ガス圧:350mTorr、基板温度:20
0℃、堆積微粒子:Si、微粒子直径:50〜500n
m、高周波電力:100W、後処理:酸素プラズマによ
る酸化
【0051】
【発明の効果】以上のようにこの発明の自発光型カラー
ディスプレイによれば、発光層に量子箱層を用いている
ので、発光効率が高く、従って、電力消費を小さく抑え
ながら、大きな発光強度を得ることができる。しかも、
各量子箱層を構成する量子箱の大きさの違いによって発
光色の違いを実現することができる。
【0052】また、この発明の製造方法によれば、赤、
緑および青の発色部を、一回の微粒子堆積工程で、しか
もパターニング工程を用いずに形成することができるの
で、製造コストの大幅な低減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る自発光型カラーディスプレイの
一実施例を部分的に示す概略断面図である。
【図2】量子箱の構造を示す概略断面図である。
【図3】プラズマCVD装置の一例を示す概略図であ
る。
【図4】図3の装置におけるプラズマのポテンシャルの
一例を示す図である。
【図5】図1で説明したような自発光型カラーディスプ
レイを製造する方法の一例を示す図である。
【図6】従来のEL式の自発光型カラーディスプレイの
一例を部分的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
2 ガラス基板 4a 赤色用の透明電極 4b 緑色用の透明電極 4c 青色用の透明電極 6a 赤色発光量子箱層 6b 緑色発光量子箱層 6c 青色発光量子箱層 8 絶縁膜 10 上部電極 12a 赤色光 12b 緑色光 12c 青色光 24 真空容器 26 高周波電極 28 ホルダ兼電極 38 高周波電源 40 原料ガス 52 プラズマ 54a〜54c 直流電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−206515(JP,A) 特開 平1−100916(JP,A) 特開 平1−101388(JP,A) 特開 平5−218499(JP,A) 特開 平4−112548(JP,A) 特開 平3−53567(JP,A) 特開 平6−112524(JP,A) 特開 昭64−12498(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 33/00 G09F 9/30 - 9/46 H04N 9/12 H05B 33/00 - 33/28

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板と、このガラス基板上に形成
    された赤色用、緑色用および青色用の透明電極と、微粒
    子の表層部のみにその酸化層または窒化層を形成して成
    り量子効果を発現して発光する量子箱の集合体である量
    子箱層であって、前記赤色用、緑色用および青色用の透
    明電極上にそれぞれ形成されており、かつ各量子箱層を
    構成する量子箱の大きさがそれぞれ相対的に大、中およ
    び小である赤色発光量子箱層、緑色発光量子箱層および
    青色発光量子箱層と、これらの量子箱層の間および上に
    形成された絶縁膜と、この絶縁膜上に形成された上部電
    極とを備えることを特徴とする自発光型カラーディスプ
    レイ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の自発光型カラーディス
    プレイを製造するに当たり、前記ガラス基板上の赤色
    用、緑色用および青色用の透明電極に、大きさが相対的
    に小、中および大の正電圧をそれぞれ印加した状態で、
    当該ガラス基板上にプラズマCVD法によって微粒子を
    堆積させ、次に当該ガラス基板を大気に曝すことなく、
    前記のようにして堆積させた各微粒子の表層部のみを酸
    化または窒化して前記赤色発光量子箱層、緑色発光量子
    箱層および青色発光量子箱層を形成することを特徴とす
    る自発光型カラーディスプレイの製造方法。
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