JP3418229B2 - パラレルスキャン型イオン注入装置 - Google Patents

パラレルスキャン型イオン注入装置

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JP3418229B2 JP28803793A JP28803793A JP3418229B2 JP 3418229 B2 JP3418229 B2 JP 3418229B2 JP 28803793 A JP28803793 A JP 28803793A JP 28803793 A JP28803793 A JP 28803793A JP 3418229 B2 JP3418229 B2 JP 3418229B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子産業における集
積回路製造用装置に有利に用いられ得るパラレルスキャ
ン型イオン注入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、多重極静電偏向器を用いたパラレ
ルスキャン型イオン注入装置は、例えば、特開平4−67
39号、特開平4−137346号、特開平3−102750号、特開
平1−232652号の各公報に開示されているように公知で
ある。添付図面の図12にはその一例を示し、イオン源31
から引きだされたイオンビーム33は質量分離器32によっ
て目的のイオン種だけのイオンビームとされた後、この
イオンビームは加速管34によって必要なエネルギーまで
加速され、その後、四重極レンズ35によって集束され、
そして第1の八重極静電偏向器36によって3.5゜オフセ
ット偏向された後さらに3.5゜、合計で7゜オフセット
偏向され、この方向を最終的光軸として、この光軸のま
わりにラスター偏向され、さらに第2の八重極静電偏向
器37によってビームの方向を曲げ戻し、光軸に平行なビ
ームとしてウエハ38に注入される。この場合、イオンビ
ームの走査方法は、図13に示すように、ウエハ37を中に
含んだ八角形の領域を左右にビームを走らせつつ、上か
ら下へと−定のステップ間隔でラスターし、下端に達し
たら1/4ステップづつずらせて、前と同じステップ間
隔で下から上へとラスターするようにしている。また第
1、第2の八重極静電偏向器35、36の各電極に印加され
る電圧は図14に示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の多
重極静電偏向器を用いたパラレルスキャン型イオン注入
装置によりイオンビームの方向をウエハの全域に対して
常に一定の角度にして常に同じ方向からウエハにイオン
を注入することが可能となったが、しかしビームのウエ
ハ上の走行速度については何も規定されていなかった。
ところで、上述のような公知の偏向系において時間と共
に時間に対して線型に変化する横方向の偏向電場を加え
る場合、このイオン光学系では厳密には偏向電場に比例
してイオンビームが横方向には偏向されず、従ってイオ
ンビームの横方向の走行速度は時間に対して線型には変
化しないことが、イオンビーム軌道の精密解析の結果明
らかとなった。
【0004】イオン光学的解析によれば、多重極静電偏
向器の端縁部の電場の効果により、ウエハ上のドーズの
分布は次のようになる。すなわち、イオンビームをX方
向(水平方向)及びY方向(垂直方向)に偏向させる電
場を時間にリニヤーに変化させると,ウエハ上の中心に
おけるドーズ量を1として規格化した点(X,Y)での
ドーズ量F(X,Y)は、 F(X、Y)=1+λX+λY+λ+λ (0) となる。F(X、Y)=1.01とおくと,(0)式は、 λ+λ+λX+λY=0.01 となり、これは一つの楕円曲線を表し、ドーズ分布が中
心における値の101%の等高線を表す。同様に、F
(X、Y)=1.02, 1.03,…とすると、ドーズが102%、
103%、…の楕円曲線を表す。このように上記の光学系
ではλ、λは正の値をとり、ドーズ分布の等高線は
同心楕円群となり、ウエハの周辺が中心よりも過注入に
なる。その平均偏差は8インチのウエハで1.5〜2%にな
る。
【0005】一方、平均偏差に関して、近年ICの性能
及び歩留り向上のため注入の平均偏差を1%以下に抑え
ることが要求されるようになってきている。しかし、上
述の従来例のように、偏向電場を時間にリニヤーに変化
させてラスターすると、ビームスポットはウエハの周辺
で走行速度が中心に比べて遅くなり、ウエハの周辺部が
過注入になる。そのため、ウエハ上のすべての点でのビ
ームスポットの走行速度を等しくし、ドーズ分布が等し
くなるように偏向電場の時間についての変化の割合を変
化させてやることと、そのようなラスターを実際に行わ
せる制御方法を提供することが要望されている。そこ
で、本発明は、上記の課題を解決して基坂上の全領域に
おけるドーズ量を均一にできるようにパラレルスキャン
型イオン注入装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、イオン源から引出されたイオンビーム
を質量分離、加速した後、集束ビームの形にして、第1
の多重極静電偏向器の中心軸に対して、オフセット偏向
角の約2分の1の角度で入射させ、さらに第1の多重極
静電偏向器の中心軸に対してオフセット偏向角の約2分
の1の方向にオフセット偏向させ、このオフセット偏向
角の方向を中心としてラスター偏向させ、そして第1の
多重極静電偏向器に同期させて第1の多重極静電偏向器
と幾何学的に相似形の第2の多重極静電偏向器でラスタ
ー偏向角を曲げ戻し、イオン注入すべき基板に対して常
に一定の方向に平行な方向からイオンビームを入射させ
つつ掃引を行なうようにしたパラレルスキャン型イオン
注入装置において、基板の縦方向(Y方向)に階段的に
ステップ・アップまたはステップ・ダウンさせる偏向電
圧のステップ幅を一定とし、横方向(X方向)における
基板の中心における偏向電場の変化の速度を1として規
格化するとき、第1の多重極静電偏向器の長さを2l1
とし、第2の多重極静電偏向器の長さを2l2とし、第
1、第2の多重極静電偏向器の間隔をLとし、第2の多
重極静電偏向器の出口中心から基板までの距離をLD
する時、基板上の各点(X、Y)におけるビームスポッ
トに対応する横方向の偏向電圧の変化速度が、次式 で与えられるF(X、Y)となるように第1、第2の多
重極静電偏向器に与えるラスター電圧をディジタル制御
し、基板上の全域に渡ってイオンビームスポットの走行
速度を等しくするように構成したことを特徴とするもの
である。
【0007】また、本発明の別の特徴によれば、イオン
源から引出されたイオンビームを質量分離、加速した
後、集束ビームの形にして、第1の多重極静電偏向器の
中心軸に対して、オフセット偏向角の約2分の1の角度
で入射させ、さらに第1の多重極静電偏向器の中心軸方
に対してオフセット偏向角の約2分の1の方向にオフセ
ット偏向させ、このオフセット偏向角の方向を中心とし
てラスター偏向させ、そして第1の多重極静電偏向器に
同期させて第2の多重極静電偏向器でラスター偏向角を
曲げ戻し、イオン注入すべき基板に対して常に一定の方
向に平行な方向からイオンビームを入射させつつ掃引を
行なうようにしたパラレルスキャン型イオン注入装置に
おいて、基板上の各点(X、Y)におけるビームスポッ
トの走行速度データを記憶する記憶装置と、記憶装置に
記憶されたビームスポットの走行速度データをアナログ
電圧信号に変換するDA変換器と、このアナログ電圧信
号を周波数信号に変換する電圧−周波数変換器と、電圧
−周波数変換器で得られた周波数信号を計数して基準座
標データを形成するアップダウンカウンタと、この基準
座標データに基き第1、第2の多重極静電偏向器に与え
る信号源電圧を発生する装置とを有し、基板上の全域に
渡ってイオンビームスポットの走行速度を等しくするよ
うに構成したことを特徴としている。
【0008】
【作用】このように構成した本発明のパラレルスキャン
型イオン注入装置において、第1の多重極静電偏向器と
第2の多重極静電偏向器とは幾何学的に相似形になるよ
うに構成され、第1、第2の多重極静電偏向器の相対応
する電極に同一のラスター電圧が加えられ、(例えば、
図14のような八重極の静電偏向器を用いた場合には相
対応する電極(5a、5eというように)に第1の八重
極静電偏向器の各電極に与える電圧からオフセット電圧
(V、或いは−V、V/√2、−V/√2等)
を差し引いたラスター偏向電圧(U、−U、V、−V、
1/√2・(U+V)等)と同一の偏向電圧(U′、−
U′、V′、−V′、1/√2・(U′+V′)、…、
ここにU=U′、V=V′)を加えられ)、偏向系は相
似則によって設計されているということにする。基板の
縦方向(Y方向)に階段的にステップ・アップまたはス
テップ・ダウンさせる偏向電圧の変化のステップ幅は一
定とし、基板の横方向(X方向)の偏向電場の変化の速
度を基板の中心における偏向電場の変化の速度を1とし
て規格化したラスター偏向電圧の時間についての変化の
割合を上述の関数に従って変化させると、基板上をラス
ターするビーム・スポットの基板上の走行速度は基板上
の場所によらず一様となり,優れたドーズの均一性が得
られることになる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下添付図面の図1〜図11を参
照して本発明の実施の形態について説明する。 図1に
は本発明の一実施の形態を示し、1はイオン源、2はイ
オン源1より引き出されたイオンビーム3の中から同一
質量数のイオン(例えば、ひ素、燐、ボロン等)だけを
分離する質量分離器、4は質量分離器2で分離されたイ
オンビーム3を加速する加速器、5は加速器4で加速さ
れたイオンビーム3を集束させる集束レンズ、6は集束
レンズ5で集束されたイオンビーム3を、一定の角度、
例えば7°だけオフセット偏向ししかも水平方向(X方
向)及び垂直方向(Y方向)に同時にラスター偏向させ
る第1の多重極静電偏向器で、その中心軸は入射してく
るイオンビーム3の方向に対してオフセット偏向角の約
2分の1(例えば3.5°)傾斜している。7は第1の
多重極静電偏向器6と幾何学的に相似形に構成された第
2の多重極静電偏向器で、この第2の多重極静電偏向器
7は、第1の多重極静電偏向器6でオフセット偏向され
たイオンビームの方向の軸線上に配置され、第1の多重
極静電偏向器6でラスター偏向されたイオンビーム3を
水平方向(X方向)及び垂直方向(Y方向)に同時にラ
スター偏向させてラスター偏向角を曲げ戻し基板8に対
して常に一定の方向に平行な方向からイオンビームを入
射させるように構成されている。また9は第1、第2の
多重極静電偏向器6、7へのラスター電圧をディジタル
制御して基板8の全領域に対するドーズ量ユが均一とな
るようにする制御装置である。
【0010】この制御装置9は、第1の多重極静電偏向
器6の長さを2lとし、第2の多重極静電偏向器7の
長さを2lとし、第1、第2の多重極静電偏向器6、
7の間隔をLとし、第2の多重極静電偏向器7の出口中
心から基板8までの距離をLとする時、基板8上の各
点(X、Y)におけるビームスポットに対応するX方向
の偏向電圧の変化速度が、次式 で与えられるF(X、Y)に比例して第1、第2の多重
極静電偏向器6、7に与えるラスター電圧をディジタル
制御するように構成される。
【0011】上記の関係式はイオン光学的に得られ、実
験で証明されたものであり以下それについて説明する。 (A)多重極静電偏向器型パラレル・スキャンに見られ
る基板のドーズ分布のイオン光学的解析:多重極静電偏向器内の電場の分布 : 多重極静電偏向器で電極数の多くなった理想多重極静電
偏向器内の電位分布を有限要素法でシミュレートした結
果を図2に示す。図2には真空容器内に収められた理想
多重極静電偏向器の電位分布と規格化された中心軸上の
電場分布が入口側半分について示されている。中心軸上
の電場分布は多重極静電偏向器の中心を座標の原点にと
って、次の式で精度よく表すことができる。 E=E・1/(esp(−β(z+l))+1) (2) 今、直径150mm、長さ350mmの理想多重極静電偏向器の両
端に10mmの空隙を設けて、直径150mm、長さ20mmの接地
電位のガード・リングを設けた場合について考えてみる
と、β=0.0459mm−1、l=180.475mmとなり、こ
の値を(2)式に代入して計算した結果とシミュレーシ
ョンの結果とを対比させて図2に示す。(2)式による
計算値は多重極の入口近くでフルスケールの0.4%程度
シュミレーションの結果と異なるだけで、それ以外の所
では誤差0.1%の精度で一致する。また多重極静電偏向
器の右側での電場分布は、 E=E・1/(exp(β(z−l))+1) (3) で表すことができる。以下解析を進めるに当たり、軸か
らあまり離れていない部分のみならず軸からかなり離れ
ている部分でもこの近似関数で電場が分布しているもの
とする。
【0012】第1の多重極静電偏向器内のイオンの軌
: 多重極静電偏向器を用いたパラレルスキャン偏向系とし
て図3図に示すような偏向系を考える。イオンビームは
第1の多重極静電偏向器6の中心から|l|だけ入射側
にとった中心軸上の入口中心Oめがけて、中心軸とα
(3.5°)をなす方向から入射し、ラスターを行わない
時には、さらに多重極静電偏向器の中心から|l|だ
け出射側にとった中心軸上の出口中心Cめがけて中心
軸と角αをなす方向すなわち入射ビームの方向と2α
(7°)をなす方向(CCO方向)に出射するように
し、そしてCCOをオフセット偏向後の新しい光軸と
し、この光軸に中心軸を一致させて第2の多重極静電偏
向器7を設置する。第1の多重極静電偏向器6には入射
ビームのCC1O方向への7°オフセット偏向とCC
O方向を中心しとするラスターを行なわせる。第2の多
重極静電偏向器7には、第1の多重極静電偏向器6によ
るラスター偏向を曲げ戻すような電場を発生させる電圧
を各電極に加え、第2の多重極静電偏向器7を出射する
イオンビームは光軸と何時も平行であるようにする。こ
れは偏向系を相似則によって設計することにより得られ
ることになる。
【0013】第1の多重極静電偏向器6内のイオンの軌
道を解析するために、偏向器の入口側半分では座標の原
点をlだけマイナス側のOに移し、偏向電場を、 E(z)=E/(exp(−βz)+1) (4) とし、出口側半分では座標の原点をlだけプラス側の
Cに移し、 E(z')=E/(exp(−βz')+1) (5) とする。先ず入り口側半分の軌道を解析する。Oを原
点とする直角座標系O−xyzを図4のようにとり、
入射ビームはyz面内をz軸とαをなす方向からO
めがけて入射するとする。即ち第1の多重極偏向器6の
中心Cから−y方向にltanα離れた点をCとする
と、直線OCの方向から入射するとする。そして、偏
向電場が0から立ち上がる入射点z=−ζから偏向を
受ける(図2、図3、図4参照)。イオンの出発点即ち
イオン源のプラズマ・メニスカの電位をφinit
し,電荷をe、質量をm、入射点でのイオンの初速度を
とすると、この点の電位は0だから、1/2・mv
=eφinitと表される。初速度のz成分をvz0
すると、偏向電場はz軸に垂直となるので第1の多重極
偏向器6内ではいつも vz0=v・cosα=cosα・√(2e)φinit
m) となり、 z=−ζ+vz0・t t=(z+ζ)/vz0 従って、 dt/dz=1/vz0 となる。偏向電場のy方向成分をE(z)とすると、y
方向の運動方程式は m・dy/dt=eE(z) (6) となる。従って、入射点でのイオンのy方向速度成分を
y0とすると、 となる。入射点では、t=0で、y=y=ζtanα
であるので、 となる。従って、 となる。従って、
【0014】−i イオンビームのラスターを行わない場合に、中心軸とα
の角度をなして第1の多重極静電偏向器6の入口中心O
に向かって入射するイオンを図3のように偏向し、出
口中心C目掛けて出射するようにするのに必要な偏向
電場Ey of fsetを求める。次の光軸CCを中
心としてラスターする場合には、このオフセット電場と
ラスター電場とを重畳させた電場を加えればよいことに
なる。Ey offsetとして、 Ey offset=Ey0 offset/(exp
(−βz+1)) とすると、この偏向電圧のみを加えた場合、第1の多重
極静偏向器の中心を通る断面上で、図3に示すように軌
道の接線がz軸と平行になれば、電場がこの断面に関し
て対称であるので、イオンの軌道は出口中心Cに向か
って出射される。式(7)から、 となり、第1の多重極静偏向器6の中央でy方向の電場
がEyo offsetとなるような電圧を各電極に与
えればよいことになる。
【0015】 -ii オフセット電場とラスター偏向電場とがある場
合の偏向角と偏向量: イ) y方向の偏向: オフセット偏向電場Eyo offsetとラスター偏
向電場のy成分E1y0を受ける場合のイオンの軌道 イ−1)第1の多重極静偏向器の入り口側半分でのイオ
ンの軌道: 上記の−iを参照して、
【0016】次にyz=l1を計算する。 とおく。ここでexp(−βz)=λとおくと、 −βexp(−βz)dz=dλ 従って dz=−1/β・dλ/λ となる。 またz=0:λ=1、z=l:λ=2.526×10−4
であるので、 となる。
【0017】イ−2)第1の多重極静電偏向器6の出口
側半分でのイオンの軌道: 座標の原点をz軸上多重極静電偏向器の中心からl
け出口側にずらし、この新しい原点Cを原点として図
3のようにとると、y方向の電場は、 となる。従って、第1の多重極静電偏向器6の出口で
は、 となる。従って、式(8)、(9)、(10)を参照し
て、 すなわち、イオンビームの軌道は、z=−l、y=−
tanαの点から直線的に進んできてフィールド・フ
リーの領域に出るかのように進んでくることになる。
【0018】ロ)第1の多重極静電偏向器6のx方向の
偏向: 第1の多重極静電偏向器6内のx方向の偏向を、入口側
半分では、Oを原点とする直角座標系O−xyzで
計算し、出口側半分ではCを原点とし、z軸はO
xyzと共通の座標系C−x'y'z'で計算する。第
1の多重極静電偏向器6内の電場のx成分E(z)と
すると、入口側半分では、 E(z)=E1x0・1/(exp(−βz)+1) となり、入射条件は、z=−ζで、x=x=0、dx
/dz=(dx/dz)=0である。運助方程式は、 m・d2x/dt2=eE1x0・1/(exp(−βz)+
1) で表される。
【0019】また、出口側半分では、直角座標C
x'y'z’で運動方程式は、 m・d2x/dt2=eE1x・1/(exp(βz)+1) で表される。これらの運助方程式をイ)を参照して解く
と、第1の多重極静電偏向器6のはみだし電場を出たと
ころ、すなわちz'=ζでは、 すなわち、イオンの軌道のyz面への投影はあたかも第
1の多重極静電偏向器6の中心のyz面への投影点から
出発して直進してフィールド・フリーの所に出て来たか
のようにフィールドフリーの領域へと進んで行くことに
なる。
【0020】第2の多重極静電偏向器7内のイオンの
軌道: −i) 第2の多重極静電偏向器7へのイオン・ビー
ムの入射条件: 上記において示したように、第1の多重極静電偏向器
6の中心Cから−y方向にltanαだけ離れた点を
Cとすると、第1の多重極静電偏向器6からフィールド
・フリーの所へ向かうイオンの軌道sは,あたかも位置
Cから出発して直進したかのようにフィールド・フリー
の所に出てゆく。この様子を図4に関係立体図で示す。
位置CでZ軸と直交する平面Sとイオンの軌道すな
わち直線sとの交点をPとし、Pからyz面に垂線
を下ろし、またPからCCに垂線P
を下ろす。Sから線分Hに等しく且つ平行な線
分Sを引く。S⊥P、H‖P
、P⊥Hである。従って、 となる。さて、直線CCが第2の光軸となり、これを
Z軸とし、Z軸上に第2の多重極静電偏向器の有効入口
端Oがあるとし、図4のように座標系O−XYZをと
る。OY‖Sで、Y軸はyz面上にあり、YZ面
とyz面は一致する。
【0021】−ii)第2の多重極静電偏向器7内のイ
オンの軌道: イ)運動方程式と入射条件: 第2の多重極静電偏向器7は第1の多重極静電偏向器6
と幾何学的に相似に作られており、各部分の1寸法がそ
れぞれ第1の多重極静電偏向器6のλ倍であるとし、第
2の多重極静電偏向器7のそれぞれの電極には対応する
第1の多重極静電偏向器6のそれぞれの電極と同一の電
圧が加えられているとする。第2の多重極静電偏向器7
の有効出口端をOとし、図2に示すように直角座観系
−X'Y'Z'をとる。第2の多重極静電偏向器7内
の電位分布は第1の多重極静電偏向器6内の電位分布と
相似であり、第2の多重極静電偏向器7内の電場は,入
口側半分では、 E=E20/(exp(−βZ')+1) で表され、また出口側半分では、 E=E20/(exp(−βZ)+1) て表され、 β=β/λ E20=−E10/λ ζ=λ・ζ=λ・l である。連動方程式は、 m・d2X/dt2=e・E2x0 m・d2Y/dt2=e・E2y0 m・d2Z/dt2=0 である。入射条件は、 1/2・((dX/dt) 2+(dY/dt) 2+(dZ/dt) 2)=
eφinit であり、ここに(dX/dt)は第2の多重極静電偏向器
7へのイオンの入射速度のX,Y,Z成分である。−
i)より、 (dX/dt) 2+(dY/dt) 2=tan2β・(dZ/dt) 2 となる。
【0022】第2の多重極静電偏向器7でも電場はZ軸
に垂直であるとすると、 と表される。
【0023】ロ) X方向のイオンの軌道: ロ−i) 第2の多重極静電偏向器7を出たイオンの軌
道の平行性: となる。実際の例としては、E1y0=0、φinit
=200kV、E1x0=1883.4V/cm(8インチウエハの最
外郭:X=10cmに相当)とし、α=3.5°、l=180.4
7mm、ζ=119.525mm、β=0.0459mm-1、λ=7/3と
して計算すると、 (dX'/dZ')out=−0.00469=tan-1(−0.269°) となる。(dY'/dZ')outについて計算しても同様の小
さい値が得られる。従って、第2の多重極静電偏向器7
を出るイオンビームは光軸と0.3°以内の平行度を保つ
ことになる。
【0024】ロ−ii) 第2の多重極静電偏向器7内の
X方向の軌道: 第2の多重極静電偏向器7からフィールド・リーな空間
にイオンが出る位置(Z’=ζ)でのX'座標をX'
outとし、有効入口端(Z=0)における値を添字
で、中央における値を添字centreで表すと、 となる。第2の多重極静電偏向器の有効出口端(Z’=
0)から基板までの距離をLとし、基板上のイオンビ
ームのスポットの位置を(X,Y)とすると、 X = X’out +(dX'/dZ')out・(L
ζ) となる。この計算を実行し、規格化偏向電場ξ
η、ξ、ηを導入し、 (l1x0/φinit)=ξ、(l
1y0/φinit)=η (l2x0/φinit)=ξ、(l
2y0/φinit)=η とおくと、次式が得られる。
【0025】ハ)第2の多重極静電偏向器7内のY方向
の軌道: 上記ロ)と同様にして、第2の多重極静電偏向器7の出
口端(Z'=ζ)でのイオンの軌道の方向(dY'/dZ')
out及び基板上のスポットのY座標Yは次のように
なる。 上記−ii)のイ)から第2の多重極静電偏向器7が第
1の多重極静電偏向器6と幾何学的に相似であり、図14
に八重極静電偏向器の例について示したように第1の多
重極静電偏向器6で偏向したビームを第2の多重極静電
偏向器7で曲げ戻すように相対応する電極(例えば5a
と6eというように)に第1の多重極静電偏向器6の各
電極に与える電圧からオフセット電圧を差し引いた電圧
を加える場合(上述のようにこれを“相似則”で設計さ
れていると定義した)には、 ξ =−ξ η =−η となる。
【0026】(B)基板上を均一な走行速度でビームス
ポットをラスターさせるために必要な電場のデジタルス
キャンの関数: (A)の結果、式(14)及び(15)によれば、偏向系が
相似則で設計されている時でも、基板上のビームスポッ
トの位置座標X、Yはラスター電場E1x0、E
1y0に正確には比例せず、非線型な項を含んでいる。
このためにラスター電場E1X0、E1y0の時間変化
がX、Yによらず一定である場合には、基板の周辺
になるに従って、スポットの走行速度で減少し、単位面
積当たりスポットの滞在する時間の割合が大きくなるの
で、基板の周辺で中心部分に較べてイオンの過注入が生
じることになる。
【0027】そこで、ラスター電場の変化速度を一定で
はなく、スポットが基板の周辺に行くに従って早くして
やって、基板の場所によらず均一なドーズ分布を得るよ
うにしなくてはならない。そのためにはどういう関数に
したがって偏向電場の変化速度を変えてゆくかを求めて
みる。 (l1x0/φinit)=ξ、(l
1y0/φinit)=η (l2x0/φinit)=ξ、(l
2y0/φinit)=η で相似則に従って偏向系が設計されているので、 ξ=−ξ、η=−η である。式(14)、(15)から、 が得られる。基板上にビーム・スポットのX、Y座標を
はξ、ηの関数であるので、 X =f(ξ,η)、Y =g(ξ,η) と書くことができる。図5のように、ξ1η1面上の微小
面積dS'(dS'=dξ・dη)がX面上の微小面積
dS(dS=dξ・dη)に対応するとすると、微分の定理
から、 であり、Jは関数行列式(ヤコービアン)である。Jの
ウエハ中心での値をJとする。従って ウエハ上のビーム・スポットのラスターは図15に示すよ
うにEのy成分をステップ関数δη=一定となるよ
うに保ち、dζ/dtをζ、ηの関数としてドーズ
分布が一定となるようにサブストレート上をラスターさ
せなければならない。ウエハ上のイオン・ビーム・スポ
ットの走行速度が場所に依存して変化する場合のドーズ
布分と走行速度との関係及び規格化されたドーズ関数に
ついて更に説明すると、まずウエハ上の各点におけるド
ーズ濃度はスポットの大きさによらず、p点におけるド
ーズ濃度Dは D= I/(Vxp・δyp)×ラスター回数 で与えられることが見出された。ここにIは全電流、V
xpは点pにおける走行速度(x方向を向く)、δyp
点pにおけるラスターライン間の距離である。図15に示
すように、ラスターはウエハの上から下へ、下から上へ
というように規則正しく行なわれる。考察する点pで微
少面積dfがdtという時間の間に受ける電荷の量d
はビーム・スポットの面積をfとし、簡単のため
にビーム内では微小電流分布が一様であるとすると、 dq=I/f・df・dt で表される。スポットの大きさに比べてラスタ・ライン
間のずれは小さいので、x方向に何回もスポットが考察
している微小面積をよぎりながら通過していくので、ビ
ーム・スポットがすっかりdfpを通過しきってしまう
までにdfの受ける総電荷量δQは、 ΣL δy=f であるので、 δQ=I/f・df・ΣL/v=I・df/
(δy・vxp) となり、dfに注入される全電荷量は、 δQdf=I・df/(δy・vxp)×ラスター回
数 で表され、また点pにおけるドーズ濃度は δQdf/df=I/(δy・vxp)×ラスター回
数 となる。すなわち、ウエハ上のドーズ濃度はビームのス
ポットサイズfには無関係となる。第1の多重極静電
偏向器と第2の多重極静電偏向器とが幾何学的に相似で
あり、相対応する電極に同一の偏向電圧を加える場合に
は、第1の多重極静電偏向器の有効長さを2l、偏向
電場をE、第2の多重極静電偏向器のそれぞれの値を
2l、Eとする。点pにおけるドーズ濃度Dは、
スポットの走行速度が場所に依存する時どのようになる
かを求めると、上述のように (l1x0/φinit)=ξ、(l
1y0/φinit)=η (l2x0/φinit)=ξ、(l
2y0/φinit)=η であり、第1の多重極静電偏向器と第2の多重極静電偏
向器とが幾何学的に相似であり、相対応する電極に同一
の偏向電圧を加えるというパラレルスキャンの条件か
ら、 ξ=−ξ、η=−η となり、偏向されたスポットのウエハ上の位置は上述の
ように、 X=f(ξ,η)、Y=g(ξ,η) で表される。δη=一定でラスターする。dξ/d
tをξ、ηの値によって適切に変化させてドーズ分
布がウエハ全面にわたって一様になるようにデジタルス
キャンを行おうとする時の各多重極静電偏向器のU電圧
としてどのような電圧を加えるべきかについて考察する
と、ξ−η面上の微小面積dS'=dξdηがウ
エハ上のX−Y面の微小面積dS=dXδYに対応す
るとすると、上記の式(18)が成り立ち、従って D = I・ラスター回数/((dX/dt)・δYw
) = I・ラスター回数/((dξ/dt)・δη) となる。ドーズ分布がウエハ全面にわたって一様である
ためには、D =一定=D(ウエハの中心における
ドーズ濃度)でなければならないから、 |J| ・(dξ/dt)・dη = |J|・(d
ξ/dt)0・(δy) dξ/dt=(|J|/|J|)・(dξ/dt) (dE1x0/dt)Xw,Yw=(|J|/|J|
)・(dE1x0/dt) (dU/dt)Xw,Yw=(|J|/|J|)・
(dU/dt) =F(X,Y)・(dU/dt) となり、規格化されたドーズ関数として (|J|/|J|)=F(X,Y) を定義すると、規格化されたドーズ関数に従ってU電圧
を変えてゆけばよいことになる。そこで、式(18)、
(17)、(16)に従ってFN(ξ,η)を計算する
と、0.1%の精度を保つように微小項を省略して次式が
得られる。 となる。
【0028】次に基板上のドーズ分布が均一になるよう
に上記で述べた規格化ドーズ関数に従ってラスターを行
う実際の手段について説明する。ラスターの構成はディ
ジタルスキャンを上記に述べた方法によって行うという
ことを除いては特願平2−258113の明細書及び特願平3
−102750の明細書に記述したものと同様である。図14に
実際のラスター図形が示してある。図14に示すように縦
方向(ウエハではY方向、偏向電圧ではV方向)には
偏向電圧を一段当たりΔVだけ一定のステップで変え、
横方向(ウエハではX方向、偏向電圧ではU方向)に
は偏向電圧Uの時間についての変化速度を基板の場所場
所によって変えてやる。E1x0 = k・U/r
1y0 = k・V/r ここでkは多重極静電偏向器の電極の幾何学的形状で決
まる定数で、オクタポールの場合は0.96であり、理想多
重極静電偏向器の場合は1である。このようなラスター
を行う時には縦方向の電場は一定のステップで変化する
ので、式(12)で、dη/dt=(dη/dt)0=一
定となり、従って、 dξ/dt=FN・(dξ/dt)
(25) となるように、E1x0をウエハの場所場所によって変
えてやればよい。すなわち (dE1x0/dt)Xw、Yw=FN(X,Y
・(dEx/dt)(26) 従って、 (dU/dt)Xw、Yw=FN(X,Y)・(dU
/dt) (27) となるようにU電圧の時間変化速度を対応するウエハの
場所場所によって変えてゆけばよい。
【0029】そこで図6及び図7を参照してオクタポー
ルとして構成した場合の第1、第2の多重極静電偏向器
6、7の各電極に与える電圧の発生回路の一例について
説明する。図6に示すように基板上のスキャンポイント
を例えばX方向64ポイント、Y方向128ポイントにし、
これらのスキャンポイントを矢印を付けた走査線で示す
ようにスキャンするようにされている。図7に示すブロ
ック線図において、10は電圧−周波数変換器、11はDA
変換器、12は第1のアップダウンカウンタ、18は第2の
アップダウンカウンタ、14はカウンタ、15はRAM、16は
データ、17はCPU、18はROM、19は3−ステート回路、20
はマルチプレクサ回路、21、22はDA変換器、23、24は
増幅器、25、26は反転回路、27〜30は加算回路であり、
これらの回路は図示したように接続されている。基板上
の各スキャンポインとに対する走行速度データ16はCPU1
7によってRAM回路15またはRAM回路18に記憶される。ス
キャンポイントはカウンタ14の数値によって指定され、
このカウンタ14の数値によってRAM回路15はアドレスさ
れる。すなわちカウンタ14の出力はRAM回路15のアドレ
スを指定し、RAM回路15に記憶されているデータにより
速度データ及びアップダウンカウンタ12、13の制御信号
を出力させる。RAM回路15がカウンタ14の数値によって
アドレスされると、RAM回路15に記憶されたディジタル
走行速度データはDA変換器11によってアナログ電圧信
号に変換され、そして電圧−周波数変換器10に入力さ
れ、電圧−周波数変換器10で得られる周波数信号は走行
速度データに対応している。こうして得られた周波数信
号は第1のアップダウンカウンタ12、第2のアップダウ
ンカウンタ13及びカウンタ14にクロックとして入力され
る。第1のアップダウンカウンタ12、第2のアップダウ
ンカウンタ13及びカウンタ14では電圧−周波数変換器10
からクロック信号として入力されてた周波数信号が計数
され、座標データが形成される。カウンタ14からの座標
データはアドレスとしてRAM回路15に入力され、速度デ
ータ及びアップダウンカウンタ12、13の制御信号として
用いられる。座標データが予定のスキャンポイントと一
致すると、カウンタ14の働きによってそのポイントにお
けるスキャン速度のデータがRAM回路15からDA変換器1
1を介して電圧−周波数変換器10に出力される。またRAM
15からの制御信号により第1のアップダウンカウンタ12
及び第2のアップダウンカウンタ13においてそれぞれ動
作の選択とアップ、ダウンの指定が行われる。第1のア
ップダウンカウンタ12及び第2のアップダウンカウンタ
13からの出力はそれぞれDA変換器21、22により変換さ
れてアナログ電圧にされ、そして増幅器23、24をそれぞ
れ介してスキャンの基本信号であるU電圧及びV電圧と
なる。なお、座標データに対するRAM15の各データはCPU
17を介して内部のROMや外部から入力され得る。またス
キャン中、RAM15の動作は3−ステート回路19及びマル
チプレクサ回路20によってCPU17から切り離され、それ
でカウンタによりアドレスを指定することができるよう
に構成されている。第1のアップダウンカウンタ12及び
第2のアップダウンカウンタ13からDA変換器21、22及
び増幅器23、24をそれぞれ介して得られたU電圧及びV
電圧は二つの反転回路25、26及び、各々反転、加算、ゲ
イン可変機能をもつ演算増幅器から成る四つの加算回路
27〜30により処理されて八つの出力に図示したような電
圧が発生される。このようにして基板上の各スキャンポ
イントに適したスキャン速度をもってスキャンできるデ
ィジタル制御されたラスター電圧を得ることができる。
図8及び図9には基準V電圧及び基準U電圧波形を示
す。
【0030】図10及び図11にはディジタルスキャンを行
なわない場合と行なった場合との基板上のドーズ分布を
それぞれ示し、図10はディジタルスキャンを行わないで
100KeVB+を1cm2当たり1014個のイオンを注入した8
インチ・ウエハのドーズ分布を4探針法で測定した結果
を示す。この場合のドーズ分布の等高線は式(23)で求
めた分布と殆ど違わない。図11は式(27)に従ってディ
ジタルスキャンを行った8インチ・ウエハのドーズ分布
を示す。この場合には平均偏差0.45%という良好な結果
が得られている。
【0031】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、基板の縦方向(Y方向)に段階的にステップ・アッ
プまたはステップ・ダウンさせる偏向電圧のステップ幅
は一定とし、基板の横方向(X方向)の偏向電場の変化
の速度を基板の中心における偏向電場の変化の速度を1
としてラスター偏向電圧の時間についての変化の割合を
基板の場所場所に応じて変化させるように構成している
ので、基板上をラスターするビーム・スポットの基板上
の走行速度は基板上の場所によらず一様となり、ドーズ
分布が均一となり、基板上におけるドーズ量をその全域
に渡って均一化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す概略線図。
【図2】理想多重極静電偏向器内の電位分布を有限要素
法によりシュミレートした結果を示す線図。
【図3】第1、第2多重極静電偏向器におけるイオンの
軌道を示す線図。
【図4】第1、第2多重極静電偏向器におけるイオンの
軌道を示す関係立体図。
【図5】基板上を均一な速度でビームスポットをラスタ
ーさせるために必要な電場のディジタルスキャン関数を
導く説明図。
【図6】ディジタルスキャンにおける基板上のビームス
ポットの位置を例示した説明図。
【図7】ディジタルスキャン用の電圧の発生回路の一例
を示すブロック線図。
【図8】図7の回路で得られた基準V電圧波形を示す
図。
【図9】図7の回路で得られた基準U電圧波形を示す
図。
【図10】ディジタルスキャンを行なわない従来のパラ
レルスキャンによるイオン注入における基板上のドーズ
分布を示す図。
【図11】ディジタルスキャンを行なった本発明による
イオン注入における基板上のドーズの分布を示す図。
【図12】従来のパラレルスキャン型イオン注入装置を
示す概略線図。
【図13】従来のパラレルスキャン型イオン注入装置に
よるイオンビーム操作方法を示す図。
【図14】従来のパラレルスキャン型イオン注入装置に
おける八重極静電偏向器の各電極に加えられる電圧を示
す図。
【図15】基板上の点pにおけるドーズ密度が基板上に
おけるイオンビームのスポットサイズ及び形状に依存し
ないことを説明する概略線図。
【符号の説明】
1:イオン源 2:質量分離器 3:イオンビーム 4:加速器 5:集束レンズ 6:第1の多重極静電偏向器 7:第2の多重極静電偏向器 8:基板 9:制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 美原 康雄 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真 空技術株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−102750(JP,A) 特開 平4−163847(JP,A) 特開 平4−22900(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/317 H01L 21/265 C23C 14/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン源から引出されたイオンビームを質
    量分離、加速した後、集束ビームの形にして、第1の多
    重極静電偏向器の中心軸に対して、オフセット偏向角の
    約2分の1の角度で入射させ、さらに第1の多重極静電
    偏向器の中心軸に対してオフセット偏向角の約2分の1
    の方向にオフセット偏向させ、このオフセット偏向角の
    方向を中心としてラスター偏向させ、そして第1の多重
    極静電偏向器に同期させて第1の多重極静電偏向器と幾
    何学的に相似形の第2の多重極静電偏向器でラスター偏
    向角を曲げ戻し、イオン注入すべき基板に対して常に一
    定の方向に平行な方向からイオンビームを入射させつつ
    掃引を行なうようにしたパラレルスキャン型イオン注入
    装置において、基板の縦方向(Y方向)に階段的にステ
    ップ・アップまたはステップ・ダウンさせる偏向電圧の
    ステップ幅を一定とし、横方向(X方向)における基板
    の中心における偏向電場の変化の速度を1として規格化
    するとき、第1の多重極静電偏向器の長さを2l1
    し、第2の多重極静電偏向器の長さを2l2とし、第
    1、第2の多重極静電偏向器の間隔をLとし、第2の多
    重極静電偏向器の出口中心から基板までの距離をLD
    する時、基板上の各点(X、Y)におけるビームスポッ
    トに対応する横方向の偏向電圧の変化速度が、次式 で与えられるF(X、Y)となるように第1、第2の多
    重極静電偏向器に与えるラスター電圧をディジタル制御
    し、基板上の全域に渡ってイオンビームスポットの走行
    速度を等しくするように構成したことを特徴とするパラ
    レルスキャン型イオン注入装置。
  2. 【請求項2】イオン源から引出されたイオンビームを質
    量分離、加速した後、集束ビームの形にして、第1の多
    重極静電偏向器の中心軸に対して、オフセット偏向角の
    約2分の1の角度で入射させ、さらに第1の多重極静電
    偏向器の中心軸方に対してオフセット偏向角の約2分の
    1の方向にオフセット偏向させ、このオフセット偏向角
    の方向を中心としてラスター偏向させ、そして第1の多
    重極静電偏向器に同期させて第2の多重極静電偏向器で
    ラスター偏向角を曲げ戻し、イオン注入すべき基板に対
    して常に一定の方向に平行な方向からイオンビームを入
    射させつつ掃引を行なうようにしたパラレルスキャン型
    イオン注入装置において、基板上の各点(X、Y)にお
    けるビームスポットの走行速度データを記憶する記憶装
    置と、記憶装置に記憶されたビームスポットの走行速度
    データをアナログ電圧信号に変換するDA変換器と、こ
    のアナログ電圧信号を周波数信号に変換する電圧−周波
    数変換器と、電圧−周波数変換器で得られた周波数信号
    を計数して基準座標データを形成するアップダウンカウ
    ンタと、この基準座標データに基き第1、第2の多重極
    静電偏向器に与える信号源電圧を発生する装置とを有
    し、基板上の全域に渡ってイオンビームスポットの走行
    速度を等しくするように構成したことを特徴とするパラ
    レルスキャン型イオン注入装置。
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